赤黒いフォルムのバージョン2の尾獣化した姿は、普通の人間からすれば恐怖の対象である尾獣に近い為、観客席からは声一つ上がっていない。
だが、冷静な人間なら分かるだろう。
2人が自由自在に尾獣化出来るという事に。
激突した2人だが、中々決着がつかない。
一般人…いや、上忍達でも戦いがどうなっているのか目で追うことが出来ずにいる。
『もうこれしか無い、か。』
『すぐに決着を決めるぞ!』
2人の姿は変わり、完全な尾獣へと変わる。
周りの影響も気にしたのか、本来の大きさよりもかなり抑えているが。
ざわつく観客席。
だが、理性は保てている事もあり逃げる人間はいなかった。
小さめとは言え、尾獣化した姿でやり合えばどうなるか。
既に審判は上へ退避しているが、会場はボロボロだ。
「先生、これって…次の試合出来るの?」
「…どうでしょう。」
決着がつく前に会場が全壊しそうだ。
キョロキョロと見渡し、五影や人柱力達がいる席を見遣ると、ハラハラしているようだ。
…ナルトもいる。
と言うより私達はあそこにいなくてもいいのだろうか?
人柱力10人分の席が用意されているようだが…。
「レ、レナさん…まだ決着がつかないのですか…そろそろ止めた方が…」
「確かにヤバそうね。」
会場は半壊だ。
審判に止めさせる事を言い、金剛封鎖により動きを止める。
「ストップ!会場がボロボロなので中止、両方負けと言う事で!」
『『…。』』
「返事は!?」
『『はい!』』
両方尾獣化を解き、不戦敗となった。
次の試合は油女シノVSエフなのだが…大丈夫なのだろうか?
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三十分後、油女シノVSエフの試合が開始した。
…虫に驚いたエフが自爆、という結果で。
会場がボロボロのため、ここで試合は終了となった。
「全く…貴方達はゴニョゴニョ…いつも…」
怒っている鬼鮫先生と正座している私達。
予選は霧隠れで何があったのか分からず、本戦は会場を破壊しまくった私達をガミガミと怒っている鬼鮫先生は、周りが見えていない。
…付近に人柱力全員と五影がいることに。
「鬼鮫先生…」
「…言い訳は聞きませんよ!」
「鬼鮫先生、後ろ…」
「後ろ?…うわぁっ!お、お見苦しいところを…」
「先生アワアワしてる〜」
「忍は周りをちゃんと見ないと…」
「…先生って上忍だろ?」
三者三様のダメだしをすると、ムッキーと怒った鬼鮫先生はまた騒ぎ出す。
…が、私の金剛封鎖により黙らせて五影と人柱力全員を見遣ると、火影─波風ミナトが口を開く。
「ん、3人とも、とても素晴らしい試合だったよ。
これから人柱力や五影の集まりがあるから付いてきてくれるかい?」
「はぁ…」
取り敢えず封印を解き、鬼鮫先生を残したまま付いていった。