本戦が始まる直前、会場の熱気は外にまで伝わっていた。
第一試合
日向ヒナタVSダン
第二試合
うずまきレナVS波風ナルト
第三試合
やぐらVSウタカタ
第四試合
油女シノVSエフ
クジの結果、やぐらとウタカタのやぐら班同士の対決や、私とナルトの従兄妹対決が決まった。
二戦続けて人柱力同士が戦うため、会場が崩壊しないか心配である。
------------------------------------------------------------
第一試合、柔拳使いのヒナタと岩隠れの大男ダンの決着は簡単についた。
弱気そうなヒナタに油断したダンは、大きな体を生かし、パワーでヒナタを圧倒しているかの様に見えた。
だが、徐々に柔拳のダメージで動きが鈍っていき、最後は血を吐いて倒れてしまった。
勝ったヒナタは、かなり動揺を隠せないでいる。
「レナ、頑張れよ。」
「お前なら…やれるさ。」
「二人共…ありがとう。」
-----------------------------------------------------------
「第二試合、開始!」
審判の声が聞こえ、
「飛斬!」
重明の力を借り、飛斬を何回か飛ばす。
ナルトは難なく交わし、手の上にチャクラの玉─螺旋丸を作る。
(影分身無しで…ミナトが生きてるから教えて貰えたのかな。)
ならば、飛雷神にも気をつける必要がある。
飛雷神に似た術は私も使えるが…。
羽根を出して空に退避し、印を結ぶ。
「多重鱗粉爆発分身の術!」
20の分身達がナルトへと攻撃を仕掛ける。
ナルトが螺旋丸を次々と作って攻撃すれば…ドッカァンと大きな音をたてて爆発した。
爆弾式の鱗粉分身だ。
ちなみに時限爆弾式もあり、5体混ぜてある。
1体爆発させれば、近くの分身が続けて爆発する。更に、私が任意で爆発させる事も出来る。
ナルトは…傷だらけではあるが、普通の人間であれば傷だらけでは済まないだろう。
「めちゃくちゃウザイってばよ!」
攻撃すれば爆発し、悩んで時間をかけても爆発し、爆発すれば近くの分身も爆発する。
遠距離攻撃がないナルトにはもってこいである。
つまり、爆発は芸術である。
『んな訳あるか…これじゃあただの爆弾魔だよ。』
ツッコミを貰った所で全ての分身が消えた。ナルトはボロボロで服も破れてどこかのショタコン蛇野郎に乱暴された後に見える。
『…やったのはお前だがな。』
「こまけぇ事はいいんだよ。ま、スグに終わらせよう。
木遁・挿し木の術!」
殺す気は無いので千本のような細い物だ。
「な…も…、は?」
ナルトは驚きで固まっている。
そりゃそうだ。木遁だもの。これほど初見殺しな物はない。
千本が刺さっていき、ナルトは戦闘不能になり、私が勝利した。
観客席のザワザワがやべぇ…戻りづらい。
…助けて、重明えもん!
『いや、普通に戻れ。』
「あ、はい。」
------------------------------------------------------------
「第三試合、開始!」
「ウタカタ…初戦でお前と当たるとはな。」
「…やぐら、勝った方がレナと戦う権利がある。勝たせてもらう。」
「こっちのセリフだっ!」
「やめて、私の為に争わないで…って言えばいいの?」
『お前の為じゃない、自分の為に戦ってるのが見えねぇのか、って突っ込めばいいのか?』
「レナはどちらを応援しているんですか?
はっきりいって戦いが高度すぎてどっちが押してるとかいまいち分からない域に達してるんですが…。」
「どっちも応援してるよ。幼なじみだもの。戦いはほぼ互角ね。
特殊攻撃と回避が得意なウタカタと、物理攻撃が得意で防御がずば抜けているやぐら。
…決着は中々つかないかも。」
お互いに攻撃を仕掛ける度に、ドカンと音をたてて地面が抉れている。
『…最悪完全尾獣化からのダブルノックアウトも有り得るな。』
「ありそうね。」
「か、完全尾獣化…!?」
元々青い鬼鮫先生の顔が更に青くなる。
いくらコントロールが出来るからと言っても、尾獣は怖いもの。
だから、安心させるように言う。
「もし暴走するような事になれば私が抑えるわ。
そうはならないから大丈夫よ。」
「そ、そうですね。他の人柱力の皆さんもいますしね。」
ほっとした様子の鬼鮫先生だが、未だに高速の戦いは続き、2人はバージョン2の尾獣化を済ませた所であった。