合図が鳴ると同時に、術を発動させる。
「木遁・草結びの術!」
『おぉ、お前にしてはまともな術名が出てきたぞ!』
なんか騒いでいる羽虫は放置し、鱗粉で全員の巻物を強奪する。
「さ、終わったから行きましょう。」
その場を立ち去り、残されたのは開始早々巻物を強奪された哀れな受験者達が草によって地面に括り付けられた姿のみであった。
「ダメね…全部外れ。」
「なら守鶴の人柱力から奪うか。」
「ん、最初からバージョン2の尾獣化で行った方が良いかもね。」
赤黒い皮膚のチャクラに覆われるバージョン2の尾獣化は、完全に顔が見えなくなるため、それを利用して顔を隠す。
木遁で我愛羅達の居場所を突き止め、向こうからは死角になる所でバージョン2の尾獣化した姿になると、我愛羅達も尾獣チャクラを感知したようだ。
我愛羅達はこちらに殺気を向けるが、あの日の暗殺者程では無い。
私が大鎌と羽根で無数の風の刃を起こし、我愛羅が砂で防ぐ。
その隙にやぐらとウタカタ、2人の合成尾獣玉を3人に叩きつければ、避けてギリギリ直撃は免れたが衝撃波により3人は地面に叩きつけられてしまう。
その隙に木遁で3人の体を木に結び、瓢箪を鱗粉で塞いで砂を使用不可にする。
「…あ、当たりだ。よし、行こっか。」
その場を立ち去り、尾獣化を解くとやぐらが口を開く。
「なんか、あんまり…強くなかった。」
「…人柱力3人がかりだからな。尾獣玉も使ったし。所詮、一尾だしな…。」
鱗粉雲の上で好き勝手言ってはいるが…相手が私達みたいな人柱力で無ければ、砂の3人は絶対的強者である。
因みに、余った天の書は空からばらまいておいた。
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試験開始後45分でゴールし、史上最速記録を打ち立てたのはいいが…
「暇…」
「眠い…」
「ウンコ…トイレ行ってくる。」
本来なら数日掛けて行う試験を1時間足らずで終わらせると、何もする事が無いまま貸し与えられた塔の部屋のベッドで自堕落に過ごすハメになっていた。
試験中、塔から出てはならないと説明されると3人で凹んでしまった。
部屋は狭く、必要最低限の設備で修練場も無いため暇を持て余していた。
そんな中私は、無限収納のポーチから一冊の本を取り出して読み始めた。
暇潰しには読書が一番だ。
〝医療忍術の心得〟と書かれた本を読み進める内に、時間は過ぎていった。
我愛羅フルボッコェ…