木ノ葉の暗部の手によって私達のいる宿へと届けられた、一通の手紙。
〝霧隠れ所属 鬼鮫小隊の皆様へ。
姪っ子とじゃれあう為にラーメン一楽のテーブルを7席、午後６時半に予約致しました。
来て頂けたら幸いです。
波風ミナト うずまきクシナ 波風ナルト〟
「今日はラーメンで決まりか…タダ飯ほど美味いもんは無いよな〜。」
「やぐら…他人事だと思って…」
「…てへっ」
「可愛く言ってもダメっ！
あざとい…あざと可愛いとはこの事か…！」
可愛すぎてイラついたので、やぐらのほっぺたを左右に伸ばす。
あ、意外とモチモチしてる…そう言えば、左ほっぺたの傷は3歳の頃から付いてたな…可愛いから良いけど。
「む〜…可愛い言うな…」
眉間に皺を寄せ、私のほっぺたを左右に伸ばし返してきたやぐら。
「やぐらは可愛い。プリチー系女…男子だし。」
「今…女って…本音が出やがった。
しかもプリチー系ってなんだよ！
俺立派な男だし！ちゃんとゾウさんも付いてるしっ！」
あ、猫がフーッて威嚇してるみたい…。
それに、ゾウさんって…。
「お前ら何やってんだ…？」
部屋から出てきたのはウタカタだ。
荷物を片付け終わったらしい。
「ウタカタ〜レナが俺を女って間違えやがった〜。立派なゾウさんも付いてるのに…」
「…確かにやぐらのは意外と立派だな。
16cmはある。」
ウタカタの証言により、やぐらの性別は無事保証された。だが…
「私、女の子なんだけど？下ネタェ…」
「レナはDカッ…痛っ！」
「痛ってぇ！なんで俺まで…！」
「セクハラ厳禁っ！このムッツリ共め！」
やぐらが冤罪を訴えるが、可愛く言おうとセクハラはセクハラである。
見た目の可愛さに騙されてはいけない。
1度と言わず何度も騙された私が言おう。
この子…自分の可愛さを自覚してやがる…！
と言うことでゾウさん蹴り上げの術を2人に繰り出す。
蹴り上げにより、下半身に大ダメージを負った2人。
だが、それ以上に自分の中の何か大切な物が無くなった気がしたというのは2人の弁だ。
…上司であるはずの鬼鮫が一楽の事を知ったのは、予約時間30分前の事であった。
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「姉さん…やっぱり姉さんに似てるってばね…うぅ…」
一楽へ辿り着くと、赤毛玉…もとい、クシナさんが飛び込んできた。
「クシナ…レナちゃんが困ってるから…」
金髪青眼の男性─波風ミナトが、私に張り付いたクシナさんを剥がして席に座らせる。
…ついでに、私もクシナさんの横に座らせられた。
「さて…霧隠れからよく来たね。
長旅で疲れているだろうとは思ったんだけど…」
「レナちゃんレナちゃんレナちゃん………」
なんかハァハァ言ってる…クシナさんってこんなキャラだっけ…なんか怖い。
「母ちゃん、辞めろってばよ！恥ずかしいからっ！」
あれっ…ナルトの髪が原作と違う。
金髪に、所々赤毛が混じっている。
「あ、俺波風ナルト！
母ちゃんの息子だから俺らは従兄妹だってばよっ！」
「私、うずまきレナ。」
あ、ダメだ…
喉がセメントで固められたみたいな感覚…コミュ障の典型的な症状だ。
「レナちゃん…やっぱりそっくりだってばね。
アカリ姉さんも、人見知りだったから…怒ると怖いけどね。」
「怒ると怖いのはさっき体感したな。
…あれは痛かった。」
「俺は冤罪なのに…」
「セクハラ野郎のﾋﾟｰ!は問答無用で蹴り潰すのは常識でしょう？」
「初めて聞いたってばよ、そんな物騒な常識…。」
恐怖の表情で前屈みになりながら言うナルトと、それに同意する男性陣。
クシナさんはニコニコしながら私に同意する。…恐らく、似たような事をしてきたのだろう。
ミナトさんの顔が引き攣っていた。
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宿へと戻ったのは、8時を過ぎた頃であった。
クシナさんや、見た目の印象は変わっても中身は変わらなかったナルトの迫力に押されて少し疲れていたようで、私はすぐに眠りについた。