「合同任務、ご苦労だった。
…き、霧隠れの者達も、遠い所から…良く来たな…。い、今書類を書こう。」
どこか怯えたような雷影様は、私たちの─正確に言えば、私の─顔を見ずに言った。
「ボス、テンパりすぎてダルイので落ち着いてください。
うずまきアカリさんは出産の際に亡くなっています。この子は娘さんではありますが、本人ではありません。」
「そ、そうだな、そうだよな…生き返ったりしてない…よな?それにしても…そっくり過ぎてトラウマが刺激されたわ。
…死神の娘が12になるか…俺も歳を取ったな。」
「…?」
「ボスは、貴女のお母様であるうずまきアカリさんに腹を捌かれた上、ピー!を半分ちぎられて女にされかけまして…大鎌も赤い髪もトラウマになっているんですよ…しかも、ダルイ事に半玉になってから恐怖でピー!が出来なくなっているんです。」
「あの時は後ろに般若が20は見えたぞ。
人間では無く、悪魔と死神が合わさった存在なのかと本気で思った。」
お母さん…何してんだ…。
ガチムチな雷影に怯えられるって…。ピー!が何を指しているのかは敢えて聞かない。これ以上聞けば、雷影の男としての名誉にトドメを刺してしまう気がする。
「…だから死神って呼ばれたんですよ、貴女のお母様。」
「写真では普通だったのに…どんどん私の中でお母さん像が崩れて…。」
「大丈夫だ。刺激しなければ問題無かった。刺激すれば(精神的・社会的に)死ぬだけで。」
「私のお母さんは爆弾か何かですか…。」
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「そう言えば…鬼鮫班の3人は一応下忍だったな…今度の木ノ葉での合同中忍試験は参加するのか?」
「えぇ、参加させますよ。書類も提出しましたし。」
「え、先生!?聞いてない!」
「そうだぞ、受けるのは俺らなのに!」
「…そもそも、俺らはまだ忍者に成り立てだぞ?」
「Dランク90回、Cランク20回、Bランク5回、Aランク1回。
負傷0でこれだけの任務を行うのがペーペー?ふざけんなですよ。三ヶ月、たったの三ヶ月ですよ!?
上忍もびっくりの経歴、メンバー全員が人柱力とはいえ、私が事務員であれば書き間違いを疑います。
それがまだ下忍?むしろまだ上忍では無かったのかと言いたい程ですっ!下忍のまま上忍のような経歴を積んで…上忍のメンツが成り立ちません!
さっさと中忍なんぞ飛び越えて上忍になりやがれですっ!」
一気に捲し立てた鬼鮫先生は、はぁはぁと肩で息をする。
先生も大変だな…誰のせいだろう、上忍である先生がこんなに苦労するなんて…その人は余程鬼畜なのだろう。
「そんなに受けてたっけ…」
「えぇ、木遁ですぐに終わらせて次の任務へ向かったり、1日に何個も任務を行うものだから…下忍になってからのお給金見なかったのですか?
私は急に増えたので驚きましたよ…。
だからD、Cランク任務受注禁止令がでるんですよ…。」
「…殆ど引き降ろしてないや。」
「俺も〜」
「俺も使わんな。」
「…殆ど木遁で終わらせる事が出来ますものね。そうでした。
木遁は日常生活において最強でしたね。」
家の修理から、食品まで色々と使える木遁。敢えて言うならシャンプーなどの日用品位だろう。
水も水遁を使えば問題ないし…あれ…山奥で隠居しても快適に過ごせるな。
ちなみに、帰ってから確認してみれば3人共貯金残高が日本円にして1千万以上貯まっていた。
アカデミー入る前からこんな暮らしを続けていればそうなるのか…家賃も掛からないしな…。
結論:木遁万能説は本当だった。