「えー…次は、さつま芋の収穫手伝いです。」
下忍になり1週間。
人柱力3人とはいえ、新米下忍の仕事はどこの里でも変わらず、強いて違いを言えば私達3人からの不満は0であり、むしろ不満を抱き始めているのは担当上忍である鬼鮫の方であることだ。
「木遁・お手伝い君の術〜!
…何かあればこの子に言って下さいね。じゃあ、頑張って!」
依頼者の農家へと人形を貸し出し、本人達はのほほんと椅子に座っている。
『なぁ、それ…そろそろ何とかなんねぇ?』
「…戦闘が無ければ木遁なんてこんなもんよ。」
「いえ、血継限界である木遁をこんなに贅沢に使うのは…。」
「でも便利だし。」
「野菜とか美味いしな…」
「秘密基地とかも簡単に作る…」
「あぁ、もう…これだからあなた達幼なじみは…!
確かに木遁は他の血継限界とは違い、生きている物を出す、類希な能力ですが…いいですかっ!
木遁と言えば初代火影千手柱間が木の葉を導いた、とても強く素晴らしい能力何ですよ!?」
長々と説明する鬼鮫ではあるが…私達の耳には半分も入ってきてはいなかった。
おじさんの長話ほど耳に入らない話は無いのだ。
「だって素晴らしいのは千手柱間の人格であって木遁じゃないし…」
「…そう言えば、なんでレナは使えるんだ?」
最もな疑問をやぐらは投げつける。
「…うずまき一族が遠縁だからじゃね?とか言ってたけど…なんでだろうね?」
「いや、俺に聞かれても。」
「それ、里の研究所の方でも同じ結論になりましたよ、はい。」
「先生、終わった。」
収穫が終わったと木遁人形から連絡が入り、鬼鮫に伝える。
…ちなみに、任務達成までの所要時間は15分であった。
Dランクの任務では、大抵こんな物である。
「先生〜次は?」
「…もうありません。
あのねぇ…あなた達がDランク任務を総ナメにしちゃってるせいで、他の班から苦情が来てるのですよ。
分かります?忍者成り立ての子から中忍、上忍がいくらやろうとも余りがちなDランクの任務が無くなる異常さが。
ねぇ、聞いてます!?これは由々しき事態だと…あぁ、もう…!何でこんなに自由過ぎるんですか…!」
鬼鮫が長々と抗議の声をあげる中、3人はのほほんとカットされた桃を食べている。
ちなみに、もう受ける任務が無いと言われた時点でこの体勢である。
「あ、先生も食べます?」
差し出されたのは、木で出来た皿に切り分けられた桃。
「そう言うことではなく…。
…食べますけど。」
この日、レナ産の果物・野菜のファンがまた1人増えた。
これは、木遁の新しい可能性の物語─。
※違います。
なんとかして生き残るためのお話です。一応…。