真剣で人生を謳歌しなさい!   作:怪盗K

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どうもおはこんばんにちは。

感想、お気に入り、評価、誤差報告ありがとうございます。

第20話となります。
今回のお話は、1万文字を超えてしまっておりますので、疲れた際はは休み休み、またはマジ恋をプレイしながらをお勧めいたします。


それでは、駄文ですが、よろしくお願いします。




第20話

「シュージ! シュージ! 死なないでくれ!」

 

 

 可愛らしい子が俺に、必死にしがみついている。

 綺麗な空の様な蒼い瞳に、いっぱいの涙を浮かべて。陽の光で輝く金色の髪を、血に濡れるのも構わずに振りかぶり。

 そんな必死な金切り声に、沈みかけていた俺の意識が引き戻される。

 

 

「……ぎゃー、ぎゃー……うる、せぇぞ」

「シュージ……? シュージ!」

 

 

 何とか、声を絞り出す。息苦しいし、口から今にも吐き出してしまいそうな血の味が気持ち悪い。

 てか、あーあー、お嬢様がこんなに血で汚れちまって。早く洗わねぇと、色が落ちねぇぞ。お父様とやらに買ってもらったお気に入りのワンピースなんだろ?

 ただまあ、綺麗な柔肌に傷一つねぇようでよかった。お前のような子に、傷痕は似合わねぇからネェ。

 

 

「がんばれ、あと少しで救急車が来る! だから……だから!」

 

 

 祈るような彼女の声に、俺は手を伸ばすことで応える。

 口を開けるのも億劫だ。どうやら、今回は本当にヤバい状態らしい。

 彼女は伸ばされた手を掴み、自分の頬へと当てる。血の手形が、彼女の頬を汚してしまう。それでも彼女は、自らへと手を当て続ける。

 離れないで、行かないで、そんな感情が触れ合った部分から伝わってくる。

 

 

「ったく、なんてかお、してやがる……」

 

 

 随分とまぁ速攻でデレおって、可愛いやつめ。チョロインは嫌いじゃぁねぇぞ?

 ……あぁくそ、また意識が飛んでいきそうだ。血を流し過ぎた。

 やろぉ、人の体穴だらけにしてくれやがって。これで死んでなかったら、ぜってぇ復讐してやる。

 

 

「なぁ、クリス……」

 

 

 一瞬だけ、小雪や百代ちゃん、冬馬や準、ミサゴちゃんやあずみちゃん、風間ファミリーの奴らやら、いろんな奴らの顔が過ぎる。

 クソ、柄にもねぇこと思い出しちまった。

 

 

「カハハ、なぁ……キスして、くれよ」

 

 

 恥ずかしかったから、最後の最後まで俺らしくいてやろう。

 

 

「シュージ、ダメだ、ダメだダメだ。目を閉じるな! キスなら後でいくらでもしてやるから!」

 

 

 マジで? 何でもするって?

 あぁ、でも……、眠いんだよ。いったん、寝かせてくれや……。

 

 

 

 

 

 悪ぃな、クリス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たぜ! ドイツ! 待ってたか! ドイツの美女たちよ! 俺が来たぜ!」

 

 

 京ちゃんが俺たちの輪の中に加わってから、俺の周りはさらに賑やかになった。

 風間ファミリーとの交流も増え、何時ぞやだったか、竜舌蘭の花を一緒に守ったこともあった。あの台風の中呼び出された時は、肝が冷えた。

 百代ちゃんや俺はともかく、あの貧弱ボーイどもはマジで死にかねない状況だった。

 

 そんなこんなで俺たちは小学校も最終学年になり、百代ちゃんは中学一年生。聞いた話じゃあ、既に学校の不良どもを従えて、女の子を侍らせて優雅な学校生活を送っているらしい。

 あれ? なんか俺に似てきてね?

 

 まあ、各々平凡で愉快な日々を過ごしているが、ちーとばかし、スパイスが足りないと常々思っていた。

 

 

「んじゃ、修二、俺はここで別れるが、あんまりハメ外しすぎるなよ?」

「わーってるってよぉ、帝。ただ、こちとらお前さんのもめごとに付き合ったんだ、少しは見逃せよ?」

 

 

 

 異国の空港で、大量のボディガードに囲まれながらの密談は理由もなくワクワクする。

 どこか漠然とした退屈を感じてる時、帝から護衛の誘いがあり、外国へと向かう機会があった。その依頼料に目がくらんでホイホイと付いてきてしまったが、一国の軍隊と喧嘩しかけるという大惨事になりかけた。

 まあ! 権益独り占めしようとする帝と俺が悪かったんだけどね!

 

 その後、帝の金でドイツ観光をさせてくれるとのことだったので、俺は喜んで遊ぶ金をせしめてこの空港に至る。

 

 

「んじゃ、また一週間後な。置いてくなよ?」

「そんときゃ、人を置いておく。てか、お前時間も忘れて腰振りすぎるなよ?」

 

 

 じゃかあしぃ! きっとこれから出会う異国美女が俺を離してくれんのじゃい!

 俺は、帝たちから足早に離れ、綺麗な街並みへと思いを馳せる。

 

 

 うーん、カハハ、どんな美女に出会えるかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迷ったわ。ここどこだよ」

 

 

 流石に土地勘も、風土も違う異国の街を気ままに練り歩きすぎた。太陽も頭のてっぺんにあるせいで、方角すらわからなくなってしまった。

 でかい城があるから、なんとなくそれを目印にすりゃあいいんだが。

 

 

「てか、なぁんか、街が騒がしいなぁ。やたら人が走り回ってやがるし」

 

 

 美しい河と石造りの建築物に包まれた風光明媚な都市だが、それをぶち壊すかのように走り回ってるやつらが多い、なんだ? 祭りって雰囲気でもねぇな。テロか?

 あぁ? せっかく人が気分よくドイツの女をナンパしようって時によぉ。

 

 

「あーあー、どっかで飯食って日当たりのいいところで昼寝でもすっかねぇ」

 

 

 俺ほどいい男なら、餌をまく様に振舞っているだけで女の側から寄ってくるだろう。

 そんなことを町の大通りを歩きながら考えていたら、目の前に黄金が飛び出してきた。

 

 

「うわっ!?」

「のわっ!? っと、あぶねっ」

 

 

 それが少女の綺麗な金髪だと気づけたのは、これまた綺麗な碧眼と至近距離で見つめ合うことになったからだ。

 咄嗟に受け止めて、足を踏ん張らせる。

 

 

「おいおい、大丈夫か?」

「あ、え、あ、す、すまない……」

 

 

 俺が手を離すと、その少女の全体像が見えるようになる。

 一目で高級と分かるワンピース、手入れの行き届いたお髪に、玉のような白い肌。

 品のある佇まいに、生まれながらに授かった美しさ。

 明らかに上流階級のお嬢様な少女が、これまた優雅に頭を下げる。

 

 

「別に構いやしねぇよ、俺もぼーっとしちまってたしな」

「いや、道を走って、飛び出したのは私だ。すまなかった」

 

 

 凛とした物言いは、俺の頭の中に姫騎士という三文字が思い浮かばせた。

 くっコロとかめっちゃ似合いそうだな、この子。

 

 

「まあ、素直に受け取っとくよ。見たとこ、急いでたみたいだが、良かったのか?」

「そうだった!」

 

 

 そう言うなり、彼女は俺の体の影に隠れて周囲を見回す。

 

 

「あっ」

 

 

 そして何かを見つけたのか、声を上げた後にさらに俺の体の影へと身を隠す。

 俺が彼女の視線の先へと目を向けたら、屈強な男たちがこれまた周囲を見回しながら街を歩いていた。明らかに堅気な雰囲気じゃ無いし、そこはかとなく血の気配を感じさせた。

 

 

「もしかしてお前さん、あいつらから逃げてるのか?」

「ああ。もし捕まったら、ひどいことをされるんだ」

 

 

 ふーん、酷いことネェ。おしりぺんぺんとかかな?

 まあ、あの男たちはギャングやマフィアとか、そう言うアウトローな感じはしない。どちらかと言えば、軍人やら警官とか、そういう護る側の人種だろう。

 

 

「そんじゃあ、逃げるの手伝ってやろうか?」

「え?」

 

 

 さしづめ、逃げ出したお嬢様とその護衛ってところか? 何で逃げ出したかは分からないが、こんな面白そうなイベント、見逃す訳にゃあいかねぇよなぁ。

 

 

「困ってんだろ? なら、助けてやるよ」

「そんな、知らない人に着いて行くなって、お父様が……」

 

 

 困ったように戸惑う彼女の手を取り、物陰へと身を潜める。

 そして、さっきまで俺たちが居た場所を先程の男たちが走り抜けていく。

 それを見送った後、腕の中の彼女へと顔を向ける。

 

 

「織原修二だ。これで、知らない奴じゃ無いだろ?」

「クリス……クリスティアーネ・フリードリヒ……だ」

 

 

 おっけおっけ、クリスちゃんな。いい名前じゃないか、ますますくっころして欲しくなったぞ。

 んじゃま、軍か警察か、分かりゃしないが、追いかけっこと行こうかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺とクリスちゃんの逃亡劇は、このドイツ、リューベック全域に及んだ。俺が黒服たちを避け、クリスちゃんの手を引いて隠れ潜んで歩いていく。

 最近、川神院や九鬼から姿を消すために隠形の術をあずみちゃんから教えてもらった。要は視点の誘導と気配の薄弱化らしいが、あずみちゃんに見せてもらったらできるようになった。

 

 

「そういや、クリスちゃんは目的地とかあるのか?」

「う……そ、そうだな。えーと、実はだな……」

「おん?」

「私、家出を、してきたのだ」

 

 気不味そうに、クリスちゃんは俯き気味に告白する。

 そして、それからつらつらとクリスちゃんは、事情を話してくれる。

 何でも、発端は父親が過保護すぎることらしく、周りも父親の部下だからか、自分に優しくしてくれるが、それも度が過ぎてるとのことだ。

 

 

「自分は、優しくされるのは分かっているが、甘やかされたい訳では無いのだ……」

 

 

 欲しいものは何でも買ってくれるし、軍人である父親の部下は優しく、まるでお姫様のように扱ってくれるそうだ。

 今までは気にもならなかったが、最近になって、それを鬱陶しく感じるようになったらしい。

 そのまま溜まり溜まった不満が爆発、家出という結果に繋がったらしい。

 

 

「なるほどねぇ。やっぱ良いとこのお嬢さんだったか」

「すまない。私は、シュージを騙して、お父様の部下たちから逃げ延びたのだ」

 

 

 ほんと、蝶よ花よと愛されて育ってきたのだろう。清廉潔白で、真っ直ぐないい子ちゃんじゃあねぇか。

 プチ反抗期が来たくらい、むしろ真っ当な育ち方してやがると思うがねぇ?

 

 

「別に構いやしねぇよ。俺は俺がしたかったから、に手を貸しただけだ」

「したかったから……?」

「ああ、クリスちゃんもそうしたかったから、家出したんだろ?」

 

 

 ああしたい、こうしたい、そう感じたままに行動するのは大切なことだ。

 だから、クリスちゃんは、したいようにするといい。その結果大人に迷惑をかけたなら、後でごめんなさいすりぁいい。

 俺? んなヘマはしねぇよ。

 

 

「さてさて、んじゃ、クリスちゃん。せっかくの家出だ。普段は行けねぇような場所に行こうや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クリスちゃんとの家出デートは、それなりに楽しんでいただけたとは思う。

 アイスを食べ歩きしながら、

 

 

「んでぇ? テメェは一体何のようだ?」

 

 

 俺がクリスちゃんを背中にやり、暗がりへと目を向ける。いつ何が飛んできてもいいように身構える。

 突如、暗がりから針が飛ばされてくる。それを一本も逃すことなく掴み取る。

 

 

「先端に毒か。随分とまぁ、粋なことをするネェ?」

「…………」

 

 

 暗闇から現れたのは、のっぺりとした東洋人の男だ。目には闇しか存在せず、その服装も闇に溶け込むように黒で統一されている。

 表情から感情は読み取れない、殺意も悪意もなく、ただ空虚で静かな目だけが俺たちを見据える。

 

 

「こちとらデート中なんだわ。悪いがお引き取り……っ!」

 

 

 男が取り出したのは鎖鎌。素早く手首の回転だけで振り回し、風切り音を鳴らす。音速を超えて回された鎖鎌は目の錯覚で円盤のように見え、今にも勢いよく俺たちへと襲い掛かろうとしている。

 

 男の手首がブレる。思考するより速く、一呼吸の間もなく俺はクリスを引き倒した。

 

 

「きゃっ!」

 

 

 なろぉ、今のは俺じゃなくてクリスを狙ってやがった!

 

 

「クリス! ぜってぇに顔出すなよ!」

 

 

 俺は再び振われ、弧を描く鎖鎌を足で弾く。そして、石畳を蹴り砕き、飛び散った破片を襲撃者へと投げつける。

 

 

「…………」

 

 

 襲撃者は弾かれた鎖鎌を素早く手元に戻し、飛んできた破片を再び鎖鎌を回転させることで全て打ち弾く。

 

 

「ったく、まぁたマスタークラスかよ。なんだってこう、俺の行く先々にはこんな展開ばっかなんだよ」

 

 

 そんなに超人が居ていいわけねぇだろうがよぉ!

 俺は踏み砕いた石畳の亀裂に手をかけ、一気に掘り起こす。

 地面を地層ごと掘り起こしてしまえと、力いっぱいに、通路一面の地面を畳返しの要領で掘り返し、投げつける。

 

 

「オラァ! 観光名所破壊アタックじゃボケぇ!」

 

 

 襲撃者からすれば、壁が突然目の前に現れたかのようにも見えるだろう。

 

「…………」

 

 

 しかし、銀線が一筋走り、即席の畳返しは切り捨てられる。

 襲撃者は鎖鎌を捨て、その手には曲刀を携えていた。

 そのまま、俺たち、正確にはクリスに追撃を仕掛けようとした時だった。

 

 

「…………」

「あん? んだこの音」

 

 

 何か機械の駆動音が、空から聞こえて来る。それは段々と近づいてくるかのようだった。

 俺と襲撃者は、揃って空へと意識を向ける。

 

 

 空から、鉄人兵団が降ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が砕いた街並みをさらに砕いて現れたのは、鉄の巨人だった。

 蒸気を吐き出し、巨大な鉄球のついた棍棒を携えている。俺たちと襲撃者の間に立った鉄人は、顔だけをこちらに向ける。

 

 

「ご無事でしたか! クリスお嬢様!」

「テルさん!」

 

 

 クリスが嬉しそうに声を上げる。そこに、さらに声が重ねられる。

 

 

「俺も居るよー、お嬢様。そら、マキビシの術、合わせて金縛りの術!」

 

 

 音もなく俺の側に降り立ったのは、軍服の麗人。プラチナブランドの髪をたなびかせ、指で印を結ぶとともに襲撃者の足元には棘が撒かれ、周囲にはピアノ線のようなものが張り巡らされる。

 

 

「リザさん!」

「まったく、家出するにしても、タイミング悪すぎだよ、クリスお嬢様」

「中将を狙うテロリストが潜伏したという情報があり、猟犬部隊総出でクリスお嬢様を探したのです」

 

 

 クリスちゃんは、見知った顔が現れたことで、僅かに緊張が緩んだらしい。糸の結界に囲まれた襲撃者は、観察するように俺たちを見つめているだけだ。

 俺はいつでも動けるように、気を張っておく。

 

 

「それで? クリスお嬢様、そっちの日本人の子どもは誰だい? 見たところテロリストって感じじゃないけど」

「あぁ、彼は──」

 

 

 クリス、そして、鉄人とリザさんとやらの意識が一瞬だけ、ほんの僅かな間だけ襲撃者から緩められた。

 その隙を、マスタークラスが見逃す訳がなかった。

 

 

「え……?」

 

 

 一呼吸の間も無く、糸の結界は切り裂かれ、鉄人はすり抜けられたことにすら気づかずに、襲撃者は俺たちの目の前へと迫っていた。

 

 

「ちいっ!」

 

 

 唯一反応できたのは俺だけであり、そのままクリスを殺さんと、振われた凶刃を、膝と肘で挟み留める。

 

 

「らぁ!」

 

 

 そのままへし折ってやるが、今度は毒が塗られていたのか。壊死したかのように、肌の表面が崩れてしまう。

 やっぱあるよなぁ、してるよなぁ。そういうことしそうだもんなぁ!

 

 

「油断してんじゃあ、ねぇぞ! ゴラァ!!」

 

 

 激痛が走るのを我慢して、のっぺら面をそのまま殴りつける。そのまま吹き飛び、レンガの壁をぶち壊しながら、家の中へと吹っ飛んでいく。

 

 

「今すぐこっから、クリス連れて逃げろや! 邪魔なんだよ!」

 

 

 砂煙の中から、またしても煌めきが瞬く。それはクリス、そして、近くにいたリザを狙っていたものだ。

 

 

「っそがぁ!」

 

 

 クリスだけならまだしも、もう一人分となると手が足りない。

 仕方なく、俺の身体自身を使って庇う。

 

 右肩に一本、右腕に二本、合計三本の毒針が突き刺さる。

 即効性の毒なのか、酩酊感が襲う。

 

 

「…………」

 

 

 顔の骨を砕かれながらも、顔色一つ変えずに襲撃者は現れる。その手には、小刀のような暗器が、見るからにヤバそうな液体を滴らせながら握られていた。

 

 

「あぁ、くそ、頑張れよなぁ、俺」

 

 

 心臓が激しく動悸する。熱を持った身体を、今すぐにでも引き裂いて冷ましてやりたい。

 

 

「そこまでだ! くらえ! 激震!!」

 

 

 鉄人がその棍棒を振り、襲撃者に攻めかかる。動きは遅いが、その破壊力はかなりのものだろう。

 だが、その遅さは目の前の襲撃者には致命的だった。襲撃者が小刀を滑らすように振るえば、その棍棒はまるでバターのように切り裂かれる。

 返す刀で、そのまま鉄人の首へと刃を滑らせようとする。

 

 

「ボケが! 逃げろって言っただろうがよぉ!」

 

 

 俺は2人の間に入り、鉄人に刃が届く前に襲撃者の手を蹴り上げる。蹴り上げた勢いのまま身体を回転させ、鉄人をクリスたちの方へ投げ飛ばす。

 

 

「テル!」

「……ぐっ、大丈夫だ、リザ……だが、マズイぞ」

 

 

 これでひとまず、あいつらと目の前ののっぺらとの距離は取れた。

 だがなぁ、代償がデカすぎた……。

 右半身の感覚が無くなってきた上に、目が霞む。

 

 

「おいおい、わりぃな。それじゃあ、もう手首は使いもんになんねぇか?」

 

 

 だが、やっこさんの手首もへし折ってやった。イーブンには程遠いが、まあ、敵が無傷よりはマシだマシ。

 

 

「クリス! そこのボケ連れてさっさとどっか行きやがれ! お前がいるとまともに戦えねぇんだよ!」

「え……」

 

 執拗にクリスを狙うこいつをここで逃すわけにはいかない。クリスを庇いながら戦うのも限界がある。

 俺は丹田から息を大きく吐き出し、呼吸を整える。

 気を体内の活性化にフルで回し、毒の中和に専念させる。

 

 

 さて、気合い入れるか。売られた喧嘩は百倍で買ってやらなきゃなぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side :リザ•ブリンカー

 

 

「リザ、私たちの任務はお嬢様の保護だ。ここは撤退するぞ」

 

 

 目の前の同僚が言い出したことが、俺は一瞬信じられ無かった。

 

 

「なに、言ってんだ! テル、あんな子どもに、アレの相手をさせるつもりなのか!?」

 

 

 今も、目の前では超人たちの攻防が繰り広げられている。黒装束の男が暗器を振るい、それを避けながらも拳撃を繰り出す少年。

 毒に侵されているのだろう、血を吐き散らしながらも戦う少年は、常に私たちを庇うように立ち回っている。

 

 

「私には分かった……アレはもう、私たちの手に負える敵ではない……。あの時、彼が間に入らなければ、私は死んでいた」

 

 

 切り裂かれた武器の片割れを俺に見せながら、テルは肩を震わせる。それは死に直面したからの震えか、それとも軍人でありながらも何もできずに子どもに庇われた情けなさからか。

 

 

「ここに居れば、足を引っ張るだけ、ってことかい?」

「そういうことだ。私たちでは歯が立たない……隊長でも何合渡り合えるか……」

 

 

 あぁ、分かってたさ!

 俺たちじゃ、相手にもならないことは!

 あの子どもが、俺とクリスお嬢様を庇ったことくらい!

 

 

「でも、だからって……」

「でもじゃない、リザ、我々は軍人だ。最も優先されるべき事項は任務の遂行だ」

 

 

 テルは諭すように俺の肩を掴み、そのまま引っ張るようにその場を離れようとする。

 肩越しに見えたのは、いまだ戦う少年の背中。しかし、その背中に先ほどまでの苛烈さは感じられず、動きも緩慢に見えた。

 

 それでも、俺たちはその場を離れなくてはならなかった。

 

 俺たちは、軍人であるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血を出しすぎた。頭がクラクラするし、今もまだ激痛が走ってる。

 だがまあ、クリスちゃんたちがここを離れてくれてよかった。

 

 

「…………」

 

 

 襲撃者は、俺と戦う手を止めて距離を取る。毒に冒された獲物がなぜ死んでいないのか、それを疑問に思っているのだろうか。

 無表情すぎて、気味が悪りぃ。

 

 

「っふぅー、ようやく、毒も抜けて来てくれたか……」

 

 

 気の出力をそちらに傾けてたお陰か、何とか毒の中和が間に合って来たらしい。

 ほんと、何でもありだな、俺の身体。

 ただまあ、目の前の根暗陰キャ野郎をボコすには都合がいいから、よしとしよう。

 

 

「…………時間だ」

「あ?」

 

 

 ようやく喋ったかと思えば、そいつは懐から手榴弾のようなものを取り出し、ピンを抜く。

 咄嗟に、俺は顔を手で庇いながら、突貫する。それとともに閃光と爆音が周囲に広がる。

 勘で拳を振り抜く。手応えあり、肋骨を砕くのを感じる。

 

 

 しかし、光が晴れた時、襲撃者は気配を消し、姿を晦ます。

 

 

「くっそが! やろぉ、クリスを追いやがったな!?」

 

 

 俺は咆哮を上げながら、地を駆ける。

 舐めてくれやがって、ぜってぇ許さねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が追いついた時には、既に手遅れだった。

 血に濡れたリザとやらと、腹が凹まされ、沈黙した鉄人形。

 

 

「くそが……」

 

 

 二人の容体を確かめれば、リザは毒に冒されていたが、鉄人人形の方は中で気絶してただけで、大きな外傷は無かった。

 

 

「起きろ! おい起きろってんだよ!」

 

 

 リザをいつぞやの史文恭ちゃんと同じように治療しながら、鉄人人形から引っ張り出した女の肩を揺らす。

 

 

「……っ、あ、あなたは……クリスお嬢様は!?」

「落ち着けや。暴れんなよ? こっちも今繊細な作業してんだ」

 

 

 気で人を回復させるというのはその実、凄まじく神経を使う。自身の気を他人の気と同化させ、その気を治癒という出力で操作しなければならないのだから。

 いつもならともかく、俺自身も毒でまだ意識がふらついているのだ。

 

 

「落ち着いて、聞かれたことだけに答えろや? 時間が惜しいんだからよ」

「え、あ、ええ……」

「お前らを追って来たのは、さっき俺が戦ってたのっぺり顔でいいか?」

 

 

 テルとやらは頷く。

 

 

「よしよしいい子だぜ? テルちゃん。次に、奴の痕跡は何かあるか? 血でも何でもいい、すぐに追跡しなきゃならんのだ」

 

 

 一刻も早く、クリスの元へ向かわなければならない。

 マジでくっころとか、洒落にならん展開になってたらマズイ。

 

 

「やつの痕跡?」

「ああ、相当深傷を合わせたはずだからな、すぐにそう遠くにはいけねぇはずだ。奴の匂いがある奴なら何でもいい、それで追う」

 

 

 鼻の良さには自信はあるが、猟犬の真似事とかできるかわからん。

 ただ、嗅覚に気を全振りしてでも追いつかなきゃならん。

 

 

「それなら……ここにあるよ」

 

 

 そう言ったのは、俺の手の中で眠っていたリザだった。

 手に握っていたのは、奴が着ていた装束の一部。

 

 

「おい、無理すんなや。まだ毒は抜けきってねぇんだぞ」

「……それは、お前もだろ? 早く、お嬢様を……」

 

 

 リザは装束を無理やり押し付け、治療してた俺の手を離させる。

 

 

「クリスお嬢様を、頼む……」

 

 

 リザはそれだけ言って、また意識を失った。

 

 

「カハ、いい女じゃあねぇか……」

 

 

 最後に気を流し込み、自然治癒力を底上げして、俺は装束に鼻を近づける。

 染み付いた血の匂い、それは奴が積み上げて来た死の匂い。何年経とうが、絶対に落ちることのない死臭は、意識すれば同じ臭いがそこまで遠くない位置にあることを感じさせる。

 

 

「くっせぇなぁ、プンプン臭うぜぇ?」

 

 

 みぃつけた。しっかりファブリー○かけてねぇから、こんなにすぐ見つけられるんだよなぁ。

 

 

「なぁ、テルちゃんよぉ。悪かったな、俺があいつを仕留められてりゃあ、すぐ終わったのによ」

 

 

 ほんと、ロクな目に合わねぇなぁ。普通に観光ぐらいさせろってんだ。

 

 

「んじゃ、行ってくるから、コイツは頼んだぞ!」

 

 

 まぁ、ぐちぐち言っててもしゃあねぇ。

 んじゃま、囚われのお姫様を、助けに行きますか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:クリスティアーネ•フリードリヒ

 

 

 今この時ほど、私は自分の行いを後悔したことはなかった。

 誰も寄り付かない廃工場、黒装束の男に連れられた私は、そこで知らない男と引き合わされた。

 眼鏡をかけた、線の細い男だ。

 

 

「初めまして、クリスティアーネ•フリードリヒ。ご機嫌はいかがかな?」

 

 

 気味の悪い笑みを浮かべながら語りかけて来た男に、私は顔を背けることで応える。

 

 

「おやおや、嫌われたものですね。こんなに無愛想な娘さんなら、フランク中将閣下もたいそうご苦労なされていることでしょう」

「お父様……?」

 

 

 男の口から出てきたお父様の名前に、私はつい反応をしてしまった。

 そうすると男は嬉しそうに、口を歪めながら私に語りかける。

 

 

「そう! お父様! 君のお父様が全て悪いのです! 彼が私の組織を潰さなければ! 彼が私の身柄を逃さなければ! こんなことにはならなかったのです!」

 

 

 男のそばには、あの黒装束が佇んでいる。

 

 

「彼が私の恨みを買わなければ、あなたはこんな目には合わなかったのですよ? まったく、最低な父親だとは思いませんか? ねぇ! クリスティアーネ嬢!」

 

 

 男の目は、復讐に暗く濁っていた。

 たしかに、お父様がその職務で恨みを買うことはあるだろう。

 だが、決してそれは正しいものではない。

 

 

「違う! お父様は人のため、国のために働いている! 私はそんなお父様を誇りに思うし、お前みたいな悪党の逆恨み、どうとも思わない! 」

 

 

 お父様は私の誇りだ。マルさんも、猟犬部隊のみんなも、ドイツ軍の誰もが、私の自慢の家族だ。

 私たちは正しいことの白の中に居て、こいつは黒の中に居る。それだけは、まだ世間知らずなお子さまの自分でも、はっきりと分かった!

 

 

「気に入らない、気に入らないですね。なにも汚いことなんて知らないような顔をして、そんな綺麗事を……」

 

 

 男が拳銃を取り出し、私に向ける。

 

 

「人質として扱いだけなら、足の一、二本、動かなくても問題ないでしょう?」

 

 

 恐怖はなかった。だだ、何故かシュージの顔が思い浮かんだ。

 

 男がトリガーに指をかける。

 

 私は、彼を信じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 間一髪だった。

 俺が投げたレンガは、変態の手を完膚なきまでに破壊し、その手の内にあった拳銃を弾き飛ばした。

 

「手、手がぁ! 僕の手がぁ!?」

「待たせたな、お姫様」

 

 

 俺に気づいた襲撃者あらため、黒装束が短刀を持って俺へと駆けてくる。

 心臓への一突き、神速の速さで繰り出されたそれを、俺は横から手首を掴み取ることで止める。

 

 

「もうテメェの出番は終わりだよ、三下ぁ!」

 

 

 その手を離さずに、ヘッドバッドを喰らわす。そのまま二度、三度と顔面を殴りつけ、最後に渾身の一撃で殴り飛ばす。

 死んでなきゃラッキー、死んでりゃ超ラッキーってぐらい、ボコボコにしてやり、少しばかり気持ちが晴れる。

 

 

「あいにくよぉ、プッツンしてんだよ、俺は今ヨォ!」

 

 

 殴り飛ばした相手を、さらに踏みつけ、完全に再起不能へと追いやる。

 マスタークラスのやつは、死体蹴りするくらいしとかないと起き上がってくるからタチ悪い。

 

 

「ふぅ……こんなもんか」

 

 

 未だ痛い痛いとうるさい奴を放っておき、クリスの拘束を外してやる。

 

 

「怪我はなかったか?」

「シュージ!」

 

 

 クリスは自由な身になるなり、俺の胸へと飛び込んでくる。

 そのうち、ゾロゾロと軍隊の皆様方が来るはずだ。そうすりゃあ、一件落着ってとこか。

 

 ふぅ、今回はマジでしんどかった。毒とか耐性がついてねぇんだよ、普通。

 あーくそ、緊張の糸が緩んだら身体に力が……。

 

 

「あー、クリス……悪いが、そろそろ、俺倒れるぞ」

 

 

 俺の身体が流石に限界を迎え、そろそろ意識を飛ばそうとしていた時──

 

 

 銃のコッキングの音が聞こえた。

 

 

 俺は咄嗟にクリスを抱き抱える。刹那、銃声と衝撃。

 一発や二発ではなく、フルオートの銃弾が俺たちへと浴びせかけられる。

 

 

「くそがぁ! 死ね、死ね、死ねぇええ!!」

 

 

 背中越しに、男の金切り声が聞こえる。

 狙いはノーコン、しかし、動かない的を撃つのは難易度が低過ぎた。

 

 

「シュージ! シュージ!」

 

 

 腕の中のクリスが叫ぶ。俺は歯を食いしばり、暴れもがくクリスを押さえ込む。

 長いようで短かった銃声が止む、カチリと撃鉄が鳴る。

 

 俺は腕に撃ち込まれた弾丸を、指で捻り出す。

 

 

「とっととくたばれや、クソ野郎が」

 

 

 砕けた手でリロードをしようと手間取っている男に、弾丸を親指で弾き飛ばしてお返ししてやる。

 銃で撃ち出されるのと同じ速度で、弾丸は男の右目へと撃ち込まれる。

 ……くそ、脳天撃ち抜くつもりが……外しちまった、か。

 

 

 

「威力も……足りやしなぁ……」

 

 

 だが、見るからに貧弱な男が意識を失うには充分だったのか。そのまま仰向けに倒れる。

 それを見届けてから、俺も膝を突き、倒れ込む。

 

 クリスが俺へと縋りつくのを見ながら、俺はようやく片付いたと、息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:ジークルーン•コールシュライバー

 

 

 テルちゃんたちから連絡を受けた私たちが、その廃工場に訪れた時には全てが終わった後だった。

 

 

「シュージ、シュージ……」

 

 

 同い年くらいの少年に縋りつき、名前を呼びながら泣き続けるクリスお嬢様。再起不能という言葉が相応しい二人の男性。

 

 そして、文字通り、血溜まりに沈んでいる男の子。

 

 

「お嬢様!」

 

 

 隊長がクリスお嬢様を素早く確保する。少年の状態に眉を顰めたのは一瞬だけ、すぐさまお嬢様を抱えて私たちのところに合流する。

 

 

「ダメだ、マルさん! シュージが、私のせいで、シュージを、シュージを助けてくれ……」

「申し訳ありません、お嬢様。ご容赦を」

 

 

 隊長がお嬢様の首元へ手刀をし、意識を落とす。

 

 

「フィーネ、状況報告を」

「……分かりました。元麻薬組織の幹部、ローウェン•シュライバー。ローウェンの雇った暗殺者、絶影。両名を意識不明の状態で確保」

 

 

 フィーネ副隊長が冷静な声で状況を読み上げる。

 そして、そこで一呼吸区切りを置く。

 

 

「そして、民間人、おそらく日本人の旅行者一名の死亡」

「……」

 

 副隊長の報告を聞き、隊長は表情を固くする。他の隊員たちも、一様に表情を沈める。

 特に、コジちゃんは泣いてしまっている。私も、今にも泣き出しそうになっている。

 

 

「……分かりました。コジマとフィーネは、戦闘部隊を連れローウェンと絶影を拘束、連行しなさい。ジークルーン、あなたは残りの隊員と現場の処理をしなさい」

 

 隊長は表面上はハキハキと命令をする。しかし、内心で最も無念なのは、隊長だろう。

 

 

「私はお嬢様を中将閣下の元へお連れします。では、総員行動開始!」

了解(Jawohl)!」

 

 

 隊長が立ち去り、コジちゃんとフィーネ副隊長も居なくなった後、私は真っ先に少年の元へと駆け寄った。

 

 

「ごめんね……助けてあげられなくて……本当に、ごめんね……」

 

 

 

 よく見れば、その酷い状態が私にはよく分かる。

 毒によって壊死した部位に、呼吸器系も壊されてる。そのうえで、体に何発も撃ち込まれた弾丸。

 

 

「ひどい……ひどいよ……こんなの」

 

 

 こんな小さな体で、お嬢様を護りながら戦ったのだ。傷跡から、彼の優しさを感じてしまい、私は涙を堪えきれなかった。

 

 

「ジークルーン、あまり感情移入しすぎるなよ。死体に手当てをしても……」

 

 

 後ろから同僚が声をかけてくれる。気づけば、私は医療道具を手に彼の手当てをしていたようだ。

 それでも、私は彼の身体から手を離せなかった。一つ一つ、丁寧に弾丸を抜き取り、包帯で止血する。

 

 

 だって、私の感覚が、こうすれば彼が助かると教えてくれるのだ。

 

 

「え……?」

 

 

 私は思考が停止した。しかし、その手は止まらない。今の彼に最適な処置を、手際良く施していく。

 そんな私を見かねたのか、同僚が私の肩を掴もうとする。

 

「おい、ジークルーン! いい加減に──」

「触らないでっ!!」

 

 

 自分でも、信じられない大声が出た。

 

 

「生きてる……。まだ、生きてる!」

 

 

 フィーネ副隊長の眼鏡型デバイスでも読み取れない微弱すぎる脈拍、呼吸は止まっているし、心臓も止まりかけてる。

 

 でも、生きてる。まだ死んでいない。

 

 

「死なせない……絶対に、助けてあげるから……」

 

 

 後ろが何か騒がしくなったが、私の意識は彼にだけ向けられていた。

 この小さな英雄を、死の淵から救い出すために。




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ほんとに、ありがとうございます。

京ちゃん回並みに描きたかった回となります。
クリ吉も好きやねん、私。そして、身長と尻の高い女も大好きです。

今回、猟犬部隊を登場させましたけど、原作開始時よりは弱いです。こっからどんどん実戦を重ねて強くなっていくのでしょう。

それにしても、中々くたばらないですね、修二くん。
今回は蜂の巣にされたりしたのに、ジークちゃんのお陰で助かりました。

さてさて、今回はいつもより長くなりましたが、お付き合いいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

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