真剣で人生を謳歌しなさい!   作:怪盗K

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駄文ですが、よろしくお願いします。


幼少期編
第1話


 目が覚めたら体が縮んでいた。しかも、どっかも知らない河原にワープしていた。

 いや、なんでやねん。え、俺、どこかの頭脳は大人、身体は子供な探偵的な目にあったの? あれだよ? 俺高卒だから実際頭脳は子供のよ? 体まで子供にしたらただの子供よ? あれ、何か問題あるっけ?

 

「というか、マジでここどこよ」

 

 だだっ広い河川敷で一人ぽつんと黄昏る俺、見渡す世界は低い、ガチで子供の体になっている。遠くの方にビルディングが見えるし、日本語の看板も見えるから日本だろう。

 そこまで考えながら、俺は小さくなった手をにぎにぎする。

 

 俺、この体なら女湯に入れるんじゃね?

 

 まじか、あの楽園の園に行けるというのか、こけた振りしてパイタッチも自由なのか。ヒャッホー! コナ●最高! ガキボディ最高!

 

「こりゃ、早々に温泉か銭湯を探すしかねぇな」

 

 思い立ったが吉日が信条である俺は夕暮れの河川敷から走り出す。目指すは女湯、周りは見た感じ夕方だし人も多くなるタイミングだ。

 

「て、金持ってねぇじゃん」

 

 見知らぬ自分の服のポケットを探るが、小銭一つ出てきやしない。なんてことだ、俺の野望がこんなも早くとん挫するとは。

 

「オイ、お前、ここは俺たちの遊び場だぞ」

「あ?」

 

 呼ばれたので振り向いたら、やたらガタイのよさそうながきんちょが居た。その後ろには何人か控えている。ひーふーみー、四人か。コ●ンボディになって少し筋肉落ちたか? まあいいか、俺最強なナイスガイだし。

 

「お前、ここは俺たちの遊び場だぞ、出て行けよ」

「ほー、言うじゃねぇか、お前。何だ、同年代より図体デカいから少し粋がってんのか? あ?」

 

 子供の言葉にも同じレベルで返してあげる俺クオリティ。少し煽ってあげれば、ガタイのいいがきんちょは俺につかみかかってこようとする。遅い遅いィ!

 まっすぐに来たガタイのいいガキの顔面を蹴り飛ばす。手より足の方が長い、はっきりわかんだね。

 すぐさま奥に居たひょろりとしたガキの方に走っていき、テレフォンパンチをかます。ガタイのいいガキも、ひょろりとしたガキも気を失ったみたいだ。

 

「で? お前はどうするよ?」

「や、闇の申し子の俺に手を出したらどうなるかわかっているのか?」

 

 なんか変なことを言い出したがきんちょが居たのでとりあえずコークスクリューブローをかます。

 意識飛んだか、やりすぎたかな。急に変なこと言い出したからつい、殺っちまった。

 意識を失ったがきんちょどもの衣服を漁る。ち、小銭しか持ってねぇ、まあいい、風呂入ってコーヒー牛乳を飲んでアイスを買うぐらいはあるだろ。

 

「な、何でそんなことするの……?」

「あ? 雌だったのか、お前」

 

 最後まで残ってたのは幼女でした。幼女かぁ……幼女かぁ……。流石にこの年のガキンチョとなると、射程圏内に入るかどうか……。

 うーん、ありじゃね? 俺もガキの体だし。どこかの源氏さんも青い果実はもぎ取れって言ってたし。

 

「いやね、こいつらは俺がここにいることに対して、文句を言ってきたじゃないか? そのうえで、彼は俺に掴み掛ってきたんだ、俺は死ぬかと思ったよ。だって彼はとても体が大きいじゃないか? 君もそう思うだろう?」

「う、うん……ガクト、からだ大きいよ、ね」

「そこで、俺は正当防衛したわけだ。やらなきゃやられてたからね。そして、そこからは戦争だ。奪うか奪われるかの残酷な戦いが始まったんだよ」

「? せーとー? むずかしいことばは分からないわ」

「つまりは俺は青い果実を貪ることにしたんだ」

「??」

 

 このまま捲したてればいけそうだな。この子、抜けたところがあるっぽいしな。アホの子ってやつか?

 

「そんじゃあ今日から君、俺の性奴隷ね」

 

 俺の超理論の飛躍はアポロよりも高く飛んでいく。

 顔はよさそうだが、やっぱり子供だから体は貧相だな。まあ、そのあたりは将来に期待だな。

 ……何故か、そこまで育たないという電波を受け取ったが。

 

「どれー?」

「まあ、つまりは、一緒に遊びましょってことだ。あ、性奴隷のことはこいつらには秘密な」

「わかったわ! 私があなたと一緒に遊べば、ガクトたちにもうひどいことしないのね!」

 

 たぶんなんも分かってないだろうが。まあいいや、大人のお医者さんごっこしよう。やっぱり一度は漢なら夢見るよね、お医者さんごっこ、まさか実現できそうな日が来るとはな。

 と、てか、ここどこなんだ? 丁度目の前に地元民が居るので聞いてみようそうしよう。

 

「そうそう、それじゃ、まずはこの辺りを案内してくんね? 具体的には地名とか」

「うーん、他の遊び場所、公園とかでいいかしら?」

 

 なんとまぁ無邪気な、これを今から汚すとなると背徳感ぱないわー。てか青い果実を性奴隷にするとか俺の守備範囲は一郎級だったようだ。

 

「あ、でもガクトたち……」

「いいんだよ、寝かせとけば。たまにはこいつらもぐっすり寝ないと」

「そうなのかなぁ?」

 

 子どもって騙されやすいなーお兄さん心配になっちゃうよ。見た目が大人だったら完全にアウトだが、俺も子供だからセーフセーフ。

 

 

 

 

 

「きゃ、もうー、くすぐったいよー」

「……」

「触らないでーよ、あはは」

「……」

「どうかしたの? シュウジ」

「……」

 

 俺のエクスカリバーが起たねぇ、ふざけんなよ子供ボディ。コ●ン君もこんな気分になったのか、すまねぇ、女湯入り放題じゃんとかいつも思ってて。こんな悲しい気持ちになるんだな。

 

「シュウジ?」

「いんや、何でもねぇよ。ほら、気持ちいいか? 一子」

 

 脇をもみもみ、さわさわしてやるが、岡本一子ちゃんも未発達のため中々反応が薄い。俺のゴールデンフィンガーも、流石にガチロリの体を開発するのは中々に難しい作業のようだ。

 信じられない敗北と折れた聖剣のことで俺の精神はボドボドだ。

 

「んー、気持ちいいわよ? 少しくすぐったいけど、あったかくて、ポカポカするわ」

「ほーへー、なるほど。もっとしてほしいか?」

「うん! もっと触ってちょうだい!」

 

 ナチュラルになんつーセリフを、いや、言わせた俺も俺だが。まあいいや、毎日開発してれば刷り込みできるだろ。エクスカリバーが抜けたら、まずは一子ちゃんにブチ込むとしよう。

 それにしても、こいつのおばあちゃんも人が良すぎねぇか? 娘の友達と思ったからって一緒にお風呂に入るまで許すなんて。

 あー、何か、流石にあのおばあちゃんを騙すのは、気が引けるな。

 

「……」

「シュウジ、さっきから元気ないわよ?」

「あー、いや、そうだな。一子ちゃんは奴隷からペットに昇格してあげよう」

「むー、ペットって何よー。えい! シュウジもくすぐってやる!」

 

 一子ちゃんの無邪気さやべぇ、俺の真似して乳首や股間触ってきやがった。こりゃあ、俺もおつんつんおっきしちゃうぜこれ……。

 

 うん、起たねぇ。聖剣を抜くにはもっと資格とか必要みたいだ、ユーキャンで取れっかな。

 

「ほら、二人とも、遊んでないでそろそろおあがり、牛乳が冷やしてあるよ」

「はーい! 行きましょ! シュウジ」

「あいあい」

 

 脱衣所の方からおばあちゃんが声をかけてくれる。このおばあちゃんと話すたびに俺の罪悪感がちくちくと刺激されてしまう。なんだかなぁ、こういう人、天敵なんだよなぁ。

 

「しかし、川神ねぇ。てか、神奈川なのね、ここ」

 

 風呂上がりの一杯を終え、俺はおばあちゃんの亡くなったじいさんの浴衣に袖を通していた、めっちゃ袖が余るが着心地は悪くない。いらないといったが、あのおばあちゃんに押し切られちまった。んで、今は一子ちゃんの部屋で彼女の勉強を見ている。流石に小学生レベルならいける……いける、よね。

 

 なにはともあれ、一子ちゃんから聞いた場所は聞いたこともない場所であった、いや、俺が知らなかったと言えばそれまでだけど。神奈川は地元ちゃうからなー。

 

「ふえー、シュウジ、ここが分からないわぁ」

「あ? んなもん、ここをガシャーンしてウィーンしてトーテムポールすんだよ」

 

 フィーリングで分かりやすく伝える。決して面倒だからとかではない。

 

「ちゃんと教えなさいよー」

 

 ぽかぽかと殴ってくる一子ちゃんがうざいので乳首の位置をつねる。飼い主に噛みついてきた犬へのしつけの意味も込めて少し強めに。

 

「んぁ……」

 

 ……。

 

「び、びっくりしたぁ……シュウジ、今なにしたの?」

「あー、うん、算数教えてやるよ、どこが分かんねぇんだ?」

 

 流石の俺もビビったわ。すげぇエロかったぞ、今の一子ちゃん。幼女でも女ってわけか……。

 

 まあ俺のエクスカリバーは眠ったままですけどね!

 

「Zzzz……」

「流石に幼女に睡姦はレベル高いよね」

 

 俺は好きなおかずは最後までに取っておくタイプなのさ! それに俺は情緒も大事にするタイプだから。

 流石に幼女の夜は早いのか、一子ちゃんは22時になるまでには寝落ちしてしまっていた。

 

「……さて、と」

 

 こっそりと川の字になってた布団から抜け出す。そのまま部屋を後にし、まだ起きてるだろうおばあちゃんのとこへと向かう。

 

「あら、まだ起きてたのかい?」

「ん、まあな」

 

 起きてきた俺におばあちゃんは、うちの布団じゃ寝れなかったかねぇ、と優しく笑う。そのまま俺様の頭を撫でてくる。

 

「織原修二くん、だったかい? 一子とは同じクラスの子なのかい?」

「あー、いや、学校違うわ。まあ、河川敷で会って、そっからだ」

「そうかいそうかい」

 

 そういや、そのあたりとかどうなってんだろ、面倒だから住所不定無職でいいか。

 

「そりゃまあ、一子ちゃんとは将来を決めあった仲ですしおすし」

 

 性奴隷またはペットとしてだけど。

 

「そりゃまた、気の早い子だねぇ。ふふ、修二くんなら、一子を任せても大丈夫そうね」

 

 おばあちゃんあなたの目は節穴ですか。それとももう痴呆が始まってしまったのですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一子ちゃんの性への目覚めを手助けしてしまった翌日、俺の姿はまたも河川敷にあった。春のうららかな風が心地よく俺を撫でて通り過ぎていく。

 

「あー、どうすっかなぁ」

 

 一子ちゃんは学校だし、金もねぇし、何よりエクスカリバーは鞘に収まったまんまだし。真名開放はいつになったらできるのか。

 ロリボディだったからいけなかったのか、一子ちゃんのエロスが足りなかったのか。聖剣はオネショタでも望まれているのか? いや、ありっちゃありだけど。

 

「まあ、あと1、2年すれば起つじゃろ」

 

 一子ちゃんたちは小学3年生らしい、なら俺もそのくらいだ。今決めた、俺がルールだ。

 

「ほう、昨日から感じた気の持ち主がどんな奴かと思って来てみれば、こんな子供だったとはな。膨大な気を持つとはいえ、ただの赤子か」

 

 なんかめっちゃ上から目線のじじいに後ろから声をかけられた件。こりゃぁ、キレた若者としての一面を見せるべきだろうか。俺は本来温厚だが、赤ちゃん呼ばわりされるのは我慢ならない。俺を赤ちゃん扱いしていいのは赤ちゃんプレイのときだけだ。

 

「いや、流石に赤ちゃんプレイは射程圏外なんだけどね」

「何を言っている。気でも触れているのか?」

 

 失礼なジジイめ。てか改めて見るとなんか、すごく嫌な予感をビンビン感じ取るんだが、目を離したら一発でぶち殺されそうなそんな感触。チリチリと後頭部が焼けつくような感覚がする。

 

「あっれー、冷や汗止まんないんだけど。じいさん、もしかしてめちゃくちゃな人種? ラオウとかオーガとか、そういう部類」

「羅の王か。そいつがどんな人物かは知らんが、俺の強さを感じ取れる程度はできるようだな」

 

 ラオウ知らないとか信じられないですわー。てか、どうする、今のところ本能がアラーム鳴らしっぱなしなんだけど、セコム早く来てくんね?

 

「赤子、名前は?」

「織原修二」

 

 俺は一歩後ろに下がる。ジジイも一歩間合いを詰めてくる。まじぃ、逃げられそうにない。川に飛び込んでも普通に追いかけてきそうだ。

 

「てか、なんで俺が逃げなきゃなんねぇんだ?」

 

 そもそも、このジジイが悪い人と決まったわけじゃ………。

 

「……」

「うわー、人殺して食べてそうな見た目してるわー、髭とかで人を刺し殺せそうだわー」

 

 あ、何か威圧感増えた。これ動き出したらヤラレルね。俺はいつだって女の子をヤル側だってのに。てか、今じゃヤルこともできないし……。俺から性の喜びを奪いやがって。

 

「とりあえず、何の用よ」

「ふん、小生意気にも俺を挑発してなお、そのふてぶてしさには感心するな」

「バトル漫画みたいな展開はいいから。とりあえず何の用だべ」

「赤子、九鬼に来るがいい。俺が手ずから鍛えてやろう」

 

 会話になってねぇ。人の話を聞かない奴って困りますわー。てか鍛えるってどういうことよ、あれか、悟空みたいに超重力の中で腕立て腹筋とかしなきゃいけないの? ヤダよそんなスパルタン。亀仙流の修行法とかなら考えないこともないけども。

 

「てか、九鬼って何よ」

「九鬼を知らないとは、世間知らずな赤子だな」

「子供って世間知らずなくらいがちょーどいいのよ。俺は世間に埋没したくないお年頃なのよ」

 

 それよりも聞き捨てならないあったな。鍛える? このバトル漫画から出てきたような闘気を醸し出しているジジイが? 明らかにバトル漫画の展開だろ、それ。

 

「あのー、拒否ってできます?」

「却下だ。貴様の気の総量を考えれば放置はありえん」

 

 気ってなんだよ、やっぱりドラゴンボールか? 七つの玉を集めればギャルのパンティをもらえるあれな世界なのか?

 

「……」

 

 逃げるか。たぶん無理と思うけど。

 

 

 

 

 

 

 

 結論、やっぱり逃げきれませんでした。

 

「ドナドナドーナー」

 

 今なら売られていく子牛の気持ちが分かる。首根っこ掴まれて背負われて連行されております。てか、逃げ出そうとした瞬間になんかよくわからんキックでHP全部持ってかれたわ。チートジジイめ。ジャンル違いがのさばるんじゃない!

 

「てか、これからどうなんのよ、なあ、じいさん」

「貴様が気絶している間にいろいろと調べさせた。戸籍もない、足取りもつかめん。九鬼で調べて出てこないということは戸籍はないのだろう。大方、認知されずに捨てられたか、どこかからか放浪してきたか」

 

 どうやって調べたし、怖すぎるわ。

 でも実は、ただ単に目が覚めてたらコナ●君だっただけです。てか、一子ちゃんとの約束あんだけどどうすんべ、今日も少しずつ性感帯を開発するつもりだったんだけど。

 

「九鬼の方で貴様の戸籍は用意してやる」

「戸籍、ねぇ。なんだってそんなことを?」

「戸籍がないと後々厄介だからな。それに、貴様はつきっきりで俺が扱いてやる。光栄に思えよ?」

 

 このジジイ、どんだけ理不尽なんだ……。俺は俺以外の理不尽なんぞ絶対に認めん、絶対にだ。

 

「ふざけんなジジイ! 俺にはこれから一子ちゃんの調教開発や女風呂ランデブー計画とかすること山ほどあるんだ! なぁにが悲しくてこれからの素敵ライフを枯れたジジイと過ごさにゃならんのだ」

「言うな、赤子……だが、まあ、学校ぐらいには行かせてやるか」

 

 いや、学校とか行く気ないんだけども。あー、それにしても、どうしてこうもままならないのか。

 

「ドナドナドーナー」

 

 俺の唄が虚しく響いていったのでしたまる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、そのガキがさっき連絡してた子供か」

「はい、帝様。この齢にして、気を失いかけながらも私に一撃を入れてくる才を持った子供です。それに、物珍しい能力も持っているようです」

「ほー、そりゃ、すげぇガキだな」

 

 なんか偉そうなバッテンの前に連れてこられてしまいました。てか、無意識のうちに一発かましてたのか。

 

「それで、お前さんがこのガキの面倒を見るのか?」

「はい、これだけの力、放置しておけば九鬼にも累が及ぶやもしれません。そして、この子供を矯正できるのは私以外にはいないでしょう」

「矯正って、俺ほど真面目で善良な一般市民は居ないだろうに」

 

 ぷらーんとジジイにつるされたまま、俺はジジイの言い草に反論する。

 

「黙っていろ、今は俺が帝様と話しているのだ」

「ふぁー、みかどっち、どうよこの傍若無人っぷり。俺たち同じ人類よ? 少しは俺の人権尊重してもいいんじゃないですかー?」

「……」

「……」

 

 あ、ジジイからの殺気が飛んできたわ。てか、ナチュラルに殺気とか感じるようになった俺超人。

 

「貴様……」

「アッハッハッハ! かまわんかまわん、ヒューム。みかどっちなんて初めて呼ばれたぜ」

「おー、そりゃお気に召して何より。だからみかどっちこの隣ですんごい殺気オーラ出してるじいさん止めて」

 

 みかどっちは、笑いながらじいさんをたしなめてくれる。まじみかどっち帝。てか、帝ってゴージャスな名前だな。お金とか持ってそう。……あごは普通だな……うん。

 

「おう、ヒューム。俺が許可する。お前さん、名前は?」

「織原修二。みかどっち、名字の方は?」

「九鬼だよ、聞いたこと、無いんだったな。んで、こっちがヒュームだ。これからお前の面倒を見るから、仲良くしとけよ?」

「えー、このじいさん怖いぜー、みかどっち」

「ああ、ヒューム怒るとこえーからな、怒らせんじゃねーぞー」

「あっはっはっは。……笑えねぇ」

 

 いきなり襲い掛かられて、逃げ出そうとしたら蹴り倒されて、あれ、このじいさんヤバイ人?

……分かりきったことだったね。

 

「まあ、とりあえず、戸籍の方は適当に用意しといてやるよ。学校は、まあ、英雄のとこと一緒でいいだろ。あ、英雄って俺の息子な、仲良くしてやってくれ」

「アッハイ」

 

 なんかもうそれでいいです。

てか、みかどっちの息子かぁ。そこそこ面白そうなやつな気がする。てか、何でかなぁ、みかどっちに反抗しようって気があんま起きねぇ、なんでだろ。

 

「そんじゃ、俺は仕事あっから、あとは任せたぜ、ヒューム。じゃあな! 修二!」

「かしこまりました」

「いってらー」ノシ

 

 高笑いしながらみかどっちはどっかへ行ってしまった。なんか台風みたいなやっちゃなー、みかどっち。なんか一緒に酒でも飲みながらどんちゃん騒ぎしたいな。

 

「……」

「……」

 

 爺さんの俺を持つ手に力が籠った気がする。

 

「あ、気のせいじゃない。痛い痛い痛いッ! 握力ゴリラか!」

「ふん、帝様に関しては許可された以上、もう俺からは何も言わん。だが」

 

 目がキュピーンと光る。え、ガンダム?

 

「目上の者には敬意を払え! ジェノサイドチェーンソー!」

「ちょ、おま」

 

 俺を仕留めたのはその技だったか。次は、かわ……無理ポ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「知らない天井だ」

 

 目が覚めたらふっかふかのベッドだった。河原よりもましだが、それでも俺様の心は黒いものに覆われていた。

 あんのジジイめ、次に会ったら筋肉バスターかけてやる。

 

「……ハッ! ジジイは!」

 

 そのにっくきじいさんは今周囲にはいないようだ。まあいい、この少しスイートクラスを超越した感じの部屋から脱出しなければ。

 まあ、恐らくはあのじいさんに連れられたでっかいビルだろう。

 

「うわ、高。何階まであるんだ、これ」

 

 窓から見た景色は何階か考えるのもめんどくさくなるぐらいの高さだ。俺が鳥類の血を引くか完全生命体だったらこの窓から逃げ出していくのに。流石に生身じゃ無理だ。

 

「さて、スパイごっこすっか」

 

俺はいつだって楽しむことを諦めない男なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちらハンサム、順調に下の階へと向かっている。今まで気づかれていないと思われる。気づいたとしても全員夢の中に居るから問題ない。

 

「む? 何だ、このダンボ————」

「ホワッチャァ!」

「ぐはぁ!」

 

 執事服を着たおっさんを北斗神拳で殴り倒す。実際はただの急所への攻撃だが、一撃で敵を倒す気概は一緒だから問題ない。とりあえず気絶させた相手の懐を漁る。

 どいつもこいつも、何で武器とか持ってんねん。こいつは銃器だし、さっきのやつはナイフ大量に持ってたし。

 

「まあ、とりあえずあのジジイ対策に借りておくか」

 

 適当に漁り、最後に顔にアンパン●ンの落書きをして、適当な部屋に詰め込んでおく。てか、今何階だ? 結構降りてきたと思うが。

 えーと、今何階だ? めんどくせぇ。エレベーターは流石に目立つからなぁ。一応逃げてる側だし、心は伝説の傭兵だし。葉巻は吸ったことねぇけどな。

 

「……ふと、ダクトを見つけてしまった私はどうすべきでしょうか」

 

 そういえば、近くには海があったな。ビルの高さそれなりにあったっけか……行けるか? うーむ、色々必要なものがあるべぇな。でもここの人たちのドロップ率的にいけないこともなさそうだ。

 

「度肝抜いてやらぁ、クソジジイ」

 

 くはは、面白いこと考えちまったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「I can flyィイイイイイイイ!!!」

 

 俺は外へ目がけて駆け出していく。方向、距離、加速、全てが十分! てか、屋上にヘリポートってこのビルぱねぇな! みかどっちの財力は世界一ぃいいいいいい!

 

「ヒャッホォオオオオ!!」

 

 飛び降りるとともに、はるか下のじいさんの気配が揺らいだ気がした、動揺するように。くはは、どうよ、じいさんが下で待ち受けてたのは何か途中で体得した気配察知で読んでいたのよぉ! 俺ってばやっぱり超人になってるじゃないか! 

 

「パラシュート展開!!」

 

 執事から奪った武器の類や、メイドの下着の類を使って作ったパラシュート、それにいろいろ補強はしたから並大抵のことじゃ壊れんぞ! 流石のじいさんも空を飛べまい! しかも女物の下着だけで作ったから目の保養にもなる! カラフルだしね!

 

「くははは! このまま海に逃げ込んだらぁ!」

 

 子供の体重だからか、俺のパラシュートの出来が凄すぎるからか。想像通り、理想のポイントに落ちていく。そのまま海に落ちていく。

 

 衝撃、流石に痛かったが十分我慢できる。ジジイの気配も遠い、このまま波に紛れて泳いで逃げていく。

 

 くははは! ざまぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は荒波を乗り越えて自らの故郷へと戻っていく鮭の気分を味わった。あいつらは死を覚悟して自らの子孫を残しそうと、川を上っていく。その覚悟、在り方、人間は見習うべきだと俺は考えた。荒波にもまれ、それでも生きねばならない。

 

「というわけで、俺はここまでバタフライで戻ってきたわけだ」

「すごいわ! シュウジ!」

 

 河川敷へと海から川を上ってきたら丁度一子ちゃんたちが遊んでた。てか、あのガタイのいいガキたちもいるんだが、端の方で怯えられてる。

 僕ちんなんでかわかんなーい。

 

「あー、お前さんらも昨日は悪かったな。あれだ、俺もいきなりコ●ン君になってて余裕がなかったんだよ? 仲良くしようぜ。な、一子ちゃん?」

「? よくわからないけど、皆仲良しってのはいいと思う!」

「……ち、何でワン子はそんなにこいつに懐いてんだよ」

「いや、俺ってばモテモテハンサムな男だし? 当然のことじゃないか?」

 

 ガクトくんとかはまだ不満らしい。なんだ、もっと凹した方がいいか? でも一子ちゃん見てやがるしなぁ。とり敢えず俺はピースフルな男だから和平からしていこうと思う。

 

「まあ、えーと、確か島津首置いてけと、直江兼次と、師岡スネ夫か。よろしくな」

「全然あってないよ! それに僕は卓也!」

 

 昨日一子ちゃんにこいつらのこと教えてもらったし、俺がさわやかに挨拶をすると、昨日はテレフォンパンチで終わったスネ夫くんがツッコミをしてくれる。小学3年生にして切れのあるツッコミ、悪くない。

 

「なんだなんだ? こいつがガクトたちの言ってた生意気なやつってことか?」

 

 なんかバンダナしてたこどもが楽しそうに近づいてくる。これがこいつらの頭張ってるキャップとやらか。なんか風魔だったっけ、風間だったっけ、忍者っぽいな。これは俺が忍者スレイヤーになって対決しなくちゃいけないのか?

 

「あー、うん、昨日はごめんね。俺も大人げなかったわ、すまねぇ」

 

 誠心誠意謝罪を伝える。俺ってば素直で素敵なチャーミング。

 

「ほら、これやっから、過去のことは水に流そうや」

 

 パラシュートの残骸、パンツやブラジャーを差し出す。性に目覚め始めたがきんちょにはいい餌になるだろ。

 

「うおっ! まじかよ、これどこで手に入れたんだ!?」

「ふ、俺もただでお前らと仲直りしにきたわけじゃねぇのよ」

 

 なんか一番ガクトくんが食いついていい反応見せてくれて、俺は気分がいい。スネ夫くんと愛戦士もむっつり反応を示している。

 うんうん、男の子はそうじゃなくちゃ。やっぱり男の子はいつだってパンティに夢中なんだ。

 

「ほら、一子ちゃんにはお菓子をプレゼントしてあげよー」

「わぁ! ありがとう修二!」

「ほれ、お前らにも分けてやんよ」

「お! いいのか! ありがとな!」

 

 俺はズボンのポケットに菓子を取り出すように手を突っ込む。てか、ヤバイな俺。マジヤッベェ、この秘密がバレたらまじヤッベェ。

 一子ちゃんたちから見えないように手のひらに”何か”を凝縮させる。すると、手の中にはなんとうめぇ棒が!

 

 ……。

 便利だとは思うけど、これ、どういう原理なんだろ。物理法則ガン無視よ? あのジジイの言ってた気とやらのせいか?

 んー、この力もコナ●君化の影響かねぇ。思い描けば大体のもんは作れるっぽい。

 

「まあ、そこまで気にせんでもいいか。便利便利」

 

 男どもはパンツで分かり合えたし、バンダナと一子ちゃんはお菓子で釣ることが出来た。

 何てチョロくて平和な世界なのか。これはノーベル平和賞も夢じゃないな。まあ、その授賞式でどっかの国に宣戦布告とか面白そうだな。

 

「やはり、ギャルのパンティは世界を救うのか。いや、メイドさんだったけど」

「何をバカげたことをしているのか。はねっ返りの激しい赤子には、きつい仕置きをせねばならんな」

 

 殺気!

 

「ジェノサイドチェーンソー!」

「させるかよッ!」

 

 前に飛び込むように転がりながら回避する。今度は避けれた!

 それと共にブラジャーを大量にぶちまけ、相手の視界を限りなく防ぐ。そしてそのまま奪っていた拳銃をブラジャー越しに撃ち込む。

 

「ファッキンベイベー!!」

 

 実弾じゃなくてゴム弾っぽいが、暴徒鎮圧ぐらいはできそうな威力だ。

 連射連射ぁ! 弾幕薄いぞぉ!

 

「シッ!」

 

 ジジイの足が霞んだと思ったら、全ての弾丸を蹴り落とし、さらにこっちに跳ね返してきやがった。今度はパンツをシールド代わりにして凌ぐ。弾丸蹴り返すとか化けもんかよ。

 奪ってた武器の中でも大きめのバトルナイフを引き出す。拳銃は投げ捨て、両手でナイフを握りこむ。少し柄が足りんが、まあいい。

 足を引き、腰を落とす。ジジイの一挙一投足に目を凝らす。眼球乾くなんぞ知ったことか、目の前のはSCP173だ、目を離せば殺されちまう。

 

 ――――なら、殺される前に殺す――――

 

 

「ほう」

「んだよ、感心したみたいな顔しやがって」

「事実、感心をしている。いい目をしているな」

「ジジイに言われても鳥肌立つわ」

「ふ、貴様には言われたくはないがな」

 

 目を離してなんぞいなかった。そんな分かり切った愚を犯すなんぞ俺はしないはずだ。つまり、俺が見つめていてなお、俺の視界から逃げ出したのか……!?

 

「これからに、期待だな」

 

 あばー。

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。出来る限り早く次も投稿できるように頑張ります。

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