ダンジョンで数多の魔剣に溺れるのは間違っているだろうか 作:征嵐
ちょっと短いかな? すいません。
華麗に裏通りを抜けて大通りへ戻る。迷った事実はすっぱり忘れて、怪物祭を楽しもうじゃないか!
数歩歩くと、横から立ち上がった影──ウォーシャドウが襲いかかってくる。カールスナウトで一閃して爆散させると、その奥にいたキラーアントへとワームスレイヤーを投擲してこれも爆散させる。これが怪物祭か! オラリオに魔物を放つとは、面白い事を考える。あ、でも、非戦闘員はどうするんだろうか。···やっぱり神ってアホの集まりなんじゃね?
「まぁ間違えてはいないわね。」
「でしょ?」
アダマスの賛同も得られたところで、魔物を狩って行きましょう! ルールとかよくわからないけど、多分、オラリオ内の魔物を多く狩った冒険者に景品があるとか、そんな感じでしょ。定番だよね。···いや、強力な魔物を狩った方がポイントは高いのかな? わからん。
悲鳴を上げて逃げ惑う人をぼんやりと見つめる。やっぱり非戦闘員の退避がされてないしアホなんじゃ···? それともテイムされているモンスターで、非戦闘員は怖がらせるだけで殺さないのだろうか。そっちの線が濃厚かな? いや、でも、神だし···。神ヘスティアを基準に考えるのはどうなのか知らないが、神々はどうも抜けている気がしてならない。
ぐちゃり。背後からそんな音がした。
振り向く。
まず目に入ったのは地面にぶち撒けられた血液と内臓の破片──赤とピンクの混じった、汚物。次いで、それを垂れ流す肉塊。子供か大人か、男か女か、情報が全くといって良いほど分からない、肉塊。分かるのはそれが最早死んでいるということ。そして、
「またお前か···。」
目の前のミノタウロスが
「と、いうか。殺すのは不味いでしょ。事故か? テイムできて無かった? いや、ガネーシャ·ファミリアによるテロ···?」
と、とりあえず殺すか。うん。考えるのは後にしよう。
「ミノタウロスって確かミノス王の···攻略した英雄、誰だっけ?」
「テセウスよ。武器は無銘の短剣だから、マスターは持ってないわ。」
なんだそりゃ。つまらん。でもビーストキラーでもマンイーターでも特攻は入るのか。いや、でも、まぁ。
「別に天丼でも構わんのだろう?」
雪月花を顕現させて斬りかかる。AAランクの魔剣ではあるが、そもそも魔剣──超上位の武器であるが故に、下級の魔物であれば一閃で終わる。
筈だった。
きぃん。そんな軽い音を立てて刃が弾かれる。あぁ、知っている。この感触。通常の物理攻撃であればSランクの魔剣だろうと弾き返す、最高位の防護。
「神性とはね。ステュクス川にでも浸かったの?」
アキレス腱が弱点なのだろうか。なんて益体のない事を考える。まぁ幸いにして、神殺しも何人かいる。が、その前に。
「誰が、その加護を与えた?」
冥界に流れるステュクス川に、ミノタウロスごとき下級の魔物が浸かって無事な訳がない。ならば、神が加護を与えたと考えるのが妥当──いや、神々は下界では神の力を使えないのではなかったか? 抜け穴でも見つけたか、或いは、本当に自力でステュクス川から帰ってきたのか···。
「わからない。わからないな···。」
別に分からない事があるからといって死にたくなったりはしないが、それでも不快なことに変わりはない。
「ウォォォォォォオ!!!」
武器が弾かれた事を嘲笑うかのように咆哮したミノタウロスが突っ込んでくる。全く。不幸な目に遭うのはベルの役目じゃないのか···、と。
ミノタウロスの両拳のラッシュを避けて大きく後ろに跳躍する。攻撃は単調で、躱すのに苦労はない。雪月花の攻撃はほぼ必中だが当たっても無意味。対して、相手方の攻撃は余程のことがない限り当たらないが、当たれば神性による強化の所為で大ダメージ。分かりやすいピンチだ。
ならどうするか。雪月花よりも強力な、神性を持つ魔剣で攻撃すればいい。
──魔力が渦巻く。
感想も評価も、凄く嬉しいです! どこが良くて何が悪いとか、どこが面白いとか、この主人公強すぎかよとか、ほんと嬉しry