ダンジョンで数多の魔剣に溺れるのは間違っているだろうか 作:征嵐
迷宮でベルをとっ捕まえてホームへ帰宅する。ホームへ帰宅って意味被ってるな。ホームへ戻る。が、的確か。日本語は正しく使いましょう。
それで、何故僕がこんな現実逃避をしているのか、と言えば。それは僕に跨がって頭を抱えている黒髪ツインテロリ巨乳の紐──神ヘスティアの所為だ。いや、神ヘスティアには何の落ち度もないし、そもそもの原因は僕なのだけれど。
「なんなんだい!? このステイタスの上がり方は!?」
先にステイタスを更新したベルのように大幅に──異常な程、大幅にステイタスが上昇した、という訳ではない。むしろ、その逆だ。今の僕のステイタスは──
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Lv.1
力:I 0
耐久:I 0
器用:I 0
敏捷:I 0
魔力:H100
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スキルと魔法は相変わらずだが、あぁ、いや、
「きっちりと、説明して貰おうか!!」
「ベルとリディはもう寝てるんですから、静かにしてくださいよ。神ヘスティア。」
リディは明日も朝からアルバイトだそうだ。ほんと、どういう勤務時間してるの······。年中無休、朝の4:00から夕方16:00までは確実。加えて秘密のアルバイト···うわぁ、僕はもう酒場に足を向けて寝られないな。
「あ、ご、ごめん···。それで?」
「僕のスキル、
「えっと、魔剣を顕現可能、魔剣少女の顕現可能、心を通わせる事で性能上昇。だったよね?」
「お、正解です。」
指折り、スキルの内容を諳じる神ヘスティアに驚きを隠せない。
「当然だろ? 君も、僕の大事な家族なんだから!」
「イケメンですね。···で、話を戻しますけど、僕にできる事は『魔剣の顕現』だけなんですよ。」
魔剣を顕現させるだけ。つまり、
つまり、魔剣を振るう意思は僕のもので、魔剣に流す魔力も僕のものだが、それを行使、実行する身体は僕のものではないということ。そりゃあ、魔力以外のステイタスは上がらない。
「···まぁ、こんな感じですかね。」
一通りの説明を終える。
「···そう、だったのか。」
一切の疑いを持っていない瞳で、神ヘスティアは僕を見据える。そう言えば、神々に嘘は吐けないんだったか。···カンタレラの嘘泣きが通じるかどうか、今度実験してみようか。
「でもなぁ···そうすると他のステイタスが上がらないんだよなぁ···あぁ···どうしよう···。」
「いや、そこは、なんとかしますよ。」
頭を抱えて悩む神ヘスティアに適当な言葉をかける。あぁ、と、言うか。
「寝ていいですか?」
今、日付が変わった気がする。時計なんてものはないけれど。
「まぁ、そこは僕の方でも考えてみるよ。おやすみ、マスターくん。」
で、翌日、と言うか朝。僕は大変な事に気付いてしまった。そう。
「すいませんでしたっ!!」
「ごめんなさいっ!!」
僕とベルの声が朝の酒場に響きわたる。頭を下げている為に分からないが、酒場の中からは苦笑の雰囲気が漂ってくる。これは···助かったか?
「アンタら昨日の食い逃げ犯だろ? 出頭とは、また随分と殊勝じゃぁないか。」
骨の鳴る音が聞こえてくる。···あ、死んだな(確信)
後ろ襟をがっしりと捕まれる。ちょ、え?
「ほら、アンタはもう行きな。」
「あ、はい。本当にすいませんでした!!」
ベルがつったかつったかと走り去っていき、見えなくなる。
「えーっと···」
「なんでアンタだけ残ったのかって?」
「あい。」
と、言うか、どうもこの人が相手だと魔剣達が浮き足立つというか、落ち着かないようなので女将の前職とか詳しく···鍵師ではない? あ、やっぱり? 他人の空似だったか。
「アンタの分は、昨日リディが払って行ったよ。ほれ。」
「あ、どうも。」
今日払った分の袋を返される。リディ、お前、神なのか···? 拝んどこ。
開店準備に勤しんでいるリディに合掌して感謝の念を送る。しあわせれんせい! なーむー。···おっと、別アプリの宣伝はやめておこう。グリモアに消されてしまう。
その後、数十分ほど、「あんな良い子に金を払わせるとはどういう事か」みたいな説教を延々と受けて、ようやくダンジョンへ向かう。
「げ。」
「ん?」
運悪く──いや、普通は幸運と感じるのだろうが──ロキファミリアの一団と遭遇してしまった。しかも、ダンジョン内部で。
「···。」
「あ、君は···昨日は済まなかった!」
「!?」
すわ戦争か。と身構えた僕の予想を裏切って、ロキファミリア団長の小人は僕に頭を下げた。
「昨日はベートが君と、君の仲間を侮辱してしまった。本当に、悪かったと思っている。」
「あー、いえ、怒ってないので、頭を上げてください。」
僕が怒ったのは魔剣たちを侮辱されたと
「ありがとう。で、本題なんだけど、君の持っていたあの魔導書。あれは何の魔法が顕現するものだったんだい?」
「···。」
「あぁ、うん。そうだよね、勿論、身内以外に手の内を明かすべきではない。当然だね。」
いや、唐突すぎて付いていけてないだけなんだけど。謝罪から一転、詰問されてるってどういうことなの···。
「そこで、提案なんだが。──」
「···。」
演出の為か、まぁ十中八九そうだろうけど、そこで間を開けるのは狡いと思う。此方も、どんな条件が出てくるのか気になるじゃあないか。
「──ロキファミリアに入らないか?」
何でステイタスが上がらないの?
↓
ソウルを介して魔剣を使ってるから
↓
ソウルってなーに?
↓
何かすごい身体
誤字報告ありがとうございました···。謎なミスしてるな···。