ダンジョンで数多の魔剣に溺れるのは間違っているだろうか   作:征嵐

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 短いけど言い訳は後書きでする。


第三十九話 

 「さーて、キリキリ吐いて貰うよー。」

 「拷問だな? マスター!」

 「ここは是非私に···。」

 「いやいや、まず私ちゃんが···。」

 「マスター様は見てはいけませんよ?」

 「マスターは、お姉ちゃんと向こうでお話しましょう?」

 「約束の膝枕もしてあげますね?」

 「マスター。」

 「マイマスター。」

 「主様。」

 

 「···。」

 

 ──不味い。流石に収拾が付かなくなってきた。100を超える魔剣達が街の一角に犇めき合い、拷問だの甘やかしだのに興じ始めた所為で、ロキファミリアの面々も唖然としている。そんな中、僕はアガートラムやらアークチャリオットやらダインスレイフやらに腕やら腰やらを引っ張られ、取り合われている。うーん、平和な世界。──訂正だ。魔剣達が「割りと本気で」満喫している所為で、そろそろ世界が危ない。エアとかイデアとかガラティーンとか、規格外の魔剣はホント暴れさせちゃ駄目だ。

 

 「おいマスター見ろ! こいつ、内臓を全部引きずり出してもまだ動くぞ! あはは!」

 「ちょおおい!? 見せなくていいから!」 

 「もう、アスカロン。マスターにそんなモノ見せないで下さい。」

 

 アスカロンが笑いながらピンク色の肉片を振り回してこっちに血液を飛ばして来るので、庇うように立ってくれたティナ=エンプレスの背中に隠れる。

 

 「ほらほら! もっと喚け!!」

 

 ヴィィィン!!!! と、光の刃を振るうアスカロン。「楽しそうだなぁ···」と、十歩ほど離れた場所からそれを眺める。

 

 「魔王時代を思い出す?」

 

 愉快そうに、と言うには曇った、こちらを気遣うような調子でグラムが顔を覗き込んでくる。魔力消費よりも世界に気を払わなきゃいけない胃痛で倒れそうなこの感じ。魔王になる前の方が近いかな。

 

 「マスター君、これは一体···いや、まず君は大丈夫なのか? 胴体に攻撃を食らったように見えたんだが···あの蒼い炎で防いだのかい?」

 

 あぁん!?何だぁオメェ!!(意訳) という視線が魔剣たちから団長に殺到する。なんでや団長なんも悪くないやろ···。

 

 「はいはい、みんな落ち着いて。団長、僕は無傷です。それよりアイズさんがあそこの陰にいるので、そっちの手当てをお願いします。」

 「···分かった。でも、後で詳しい話を聞かせてくれないか?」

 「えぇ、構いませんよ。」

 

 そうして、団長以下ロキ·ファミリアの面々が去っていく。それをしっかりと見送り、未だに拷問に興じているドSたちに声をかける。

 

 「何か有益な情報は得られたのかー、解剖研究会どもー。」

 「なんだマスター。このアスカロンの実験台になる気になったのか?」

 「マスター様にそんなコトはさせませんよ?」

 「あらあら、女帝様には私ちゃん様達の高尚な趣味が理解できn」

 

 ぺちっ。そんな音を立てて、ティナ=エンプレスに反駁しようとした龍の髭の頭を叩く。属性不利で単純な力比べでも負ける相手に喧嘩売っちゃいけません。まぁ、喧嘩を売られたぐらいで即刻戦争にはならないだろうけど。

 

 「当然です! そもそも、貴方の魔剣が殺しあったりする訳ないじゃないですか!」

 「それあの二人見ても言える?」

 

 指差す先では、片や暴風を、片や業火を纏ったミストルティンとグラーシーザが鍔迫り合いをしていた。まぁ出力は抑えられているし、二人にしてみれば久し振りのじゃれあいなのだろうが···と、遠い目をした瞬間に、背後から凄まじい衝撃を受け、盛大に石畳へとダイブ──せず、正面にいたカラドボルグに抱き止められる。

 

 「もぅ、二人とも? マスターくんが怪我したらどうするの?」

 「あははー、ごめんねマスターちゃん。」

 「マスターも一緒に遊べば問題ないにゃ!」

 

 ガラティーンと戯れていたバステトが思いっきりぶつかってきたらしい。···いや、柔らかさから考えてガラティーンかな。

 

 「マイマスター。そろそろ皆を止めないと···。」

 

 大惨事になりますよ? とでも言いたげなレヴァンテインだが、もう遅い。アブソリュートだのジエンドだの、『災厄』シリーズの中でも世界への影響力が並外れた魔剣たちが顕現したせいで、空間が歪み始めている。まず空間が『終わり』、次いで『停止』する。『死滅』し、『再生』し、『乖離』し···

 

 「はい、そこまで。全員戻ってねー。」

 「まぁ、順当よね。」

 

 なんの前触れもなく、全ての魔剣少女が消失する。非顕現状態へのシフト。「武器庫」となる『剣王領域』への強制送還だ。仰々しく聞こえるが、やっていることはただ魔力供給を絶つだけの簡単なお仕事だ。

 

 全ての魔剣少女が消えたことで、団長以下ロキファミリアの面々が寄ってくる。さてさて、また尋問かな? ···いや、流石にないか。

 

 

 




 マスターの過去話(魔王になるまでとか魔王編とか)を書こうと思うんですが、新たに「ブレイブソード×ブレイズソウル原作」のssを作るべきですかね? この作品で章分けすればおk?

 短い理由は、過去編のプロット組んでたからモチベが吸われたせい。

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