両投げ両打ち!!   作:kwhr2069

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前回:双葉諒、両投げ解禁!!
  監督の登場。佐藤洋寿。


Episode.5

レンシュウ

 

 4月27日、日曜日。

 

 俺は、学校グラウンドのマウンドに立ち、左打席の杉山一春先輩と対峙していた。

 

 今日はいつも通り練習の日。

 投手陣が、レギュラーを相手に投げる、シートバッティング練習。

 そして、今まさに、一番バッターの杉山先輩が打席に入っているところだ。

 ちなみに、一巡目は右、二巡目は左で投げることになっている。

 

 杉山先輩は、ショートを守り、足が速い。出塁率が高く、良い一番打者だ。

 

 能力:弾道・1、ミート・C、パワー・E、走力・A、肩力・C、守備力・C、捕球・D

 

 こういうバッターは、内の球で詰まらせてもダメ、外の球を流されても良くない。

 だから正直、対戦するのは個人的には避けたいタイプだ。

 

 一、二球目と、フォークを続けてツーストライク。

 

 三球目は縦スラで、低すぎて見逃されて、ボール。

 

 四球目、アウトコースのストレート。カットされる。

 

 五球目、インローへのストレートがズバッと決まり、見逃し三振にとった。

 

 とりあえず、ワンナウト。さっきのストレートはかなり良かった。

 

 二番バッターは、センターの高橋秋五先輩。右バッター。

 とにかくバントが上手い。どんな状況のバントでも、完璧にできる。

 ただ、どちらかと言えば守備の選手。打力はあまりない方だ。

 

 能力:弾道・1、ミート・E、パワー・E、走力・C、肩力・B、守備力・B、捕球・B

 

 アウトローのストレートとスローカーブで、ツーストライク。

 こんな風に、ストライク先行でいけるとピッチングの幅が広がるので良い。

 

 三球目のフォークはファールにされたが、四球目のフォークでサードゴロに打ち取る。

 

 ツーアウトだ。今日は、全体的に良いボールが投げられている。

 

 三番バッターは、二年生でサード、松宮琉果先輩。右打ち。

 打撃、守備ともに安定しているプレイヤー。

 気が早いかもしれないが、来年はおそらく松宮先輩がキャプテンをするだろう。

 

 能力:弾道・3、ミート・C、パワー・D、走力・C、肩力・D、守備力・D、捕球・C

 

 丁寧に投げていこうと心掛けたその初球。

 アウトコースの縦スラを捉えられた。

 自分の左側を抜け、センター前に――という打球を。

 

 パシッッ。

 

 セカンドに入っていた洋介が好捕。ファインプレーだ。

 

「ナイスキャッチ!洋介!」

 

「・・べつに。普通だろ。」

 

「いやいや、助かった。ありがとう!」

 

「・・おう。」

 

 おかげで、スリーアウト。

 また、ノーアウトから仕切り直しだ。

 

 打席に入るのは、四番の鈴木四季主将。左バッター。

 安定してヒットを打つ。長打も、しっかりと打てる。

 チャンスに強いのはさることながら、チャンスメークもできる。

 優れた四番と言っていいだろう。主将としての気概が打席に顕れている。

 

 能力:弾道・3、ミート・B、パワー・B、走力・C、肩力・C、守備力・C、捕球・C

 

 一球目。アウトコースへのスローカーブ。見送られ、ボール。

 

 二球目は、インローへのストレート。きれいに決まる。ストライク。

 

 三球目、真ん中低め、縦スラ。空振りを奪う。

 

 しかし、四、五球目のフォークはどちらも見切られ、ボールに。

 

 六球目。アウトローにストレート。三塁線きれてファール。

 

 七球目。同じコースに縦スラ。しかし、カットされる。

 

 八球目、アウトコースへのスローカーブをしぶとくライト前に運ばれ、ヒットを許す。

 

 ノーアウト、ランナー一塁だ。

 

 五番は、ファーストの佐藤夏三先輩。左打席に入る。

 チーム一のパワーで、最も一発のあるバッターだ。

 ただ、少し大振り気味なところが強く、打率は高くない。

 

 能力:弾道・4、ミート・D、パワー・A、走力・E、肩力・D、守備力・D、捕球・C

 

 セットポジションからの一球目。アウトロー、ストレート。見逃して、ストライク。

 

 二球目は、アウトローにスローカーブ。これも見逃す。ストライク。

 

 ここで一度、一塁けん制を挟む。

 そして、三球目。もう一球スローカーブを続ける、が、タイミングをきれいに合わせられる。

 だが、打球の先はライト。ライトフライに打ち取り、ワンナウトだ。

 

 六番バッター、キャッチャーの小野原理玖先輩。右バッター。

 打撃は、簡単に言うと、鈴木主将の下位互換。

 だけど、キャッチャーとしてのリードは、かなり良いと思う。

 キャッチングが上手く、肩も強いので、落ち着いてピッチングができる。

 

 能力:弾道・3、ミート・D、パワー・C、走力・E、肩力・B、守備力・C、捕球・B

 

 変わって入っているキャッチャーの土屋先輩とサイン交換をし、投げたその初球。

 インローへのストレート。きれいにはじき返される、が、三塁線きれてファール。

 

 二球目の前に一塁けん制を一度し、投じたフォーク。

 インローのそれをすくわれる。レフト前ヒット。

 ワンナウト、一塁二塁に。

 

 七番は、二年生の玄山大也先輩。左打ちだ。

 器用なバッター。長打も打てるし、小技も得意。右翼手だ。

 ただ一つ、たまに、すごくたまにだが、ものすごいポカミスをする。

 

 能力:弾道・2、ミート・C、パワー・C、走力・D、肩力・C、守備力・C、捕球・E

 

 まず、二塁にけん制を入れる。

 一、二球目は、ストレートで押して空振り、ファール。

 ツーストライクと追い込んだ。

 

 三球目。インローへの縦スラ。

 この時、二人のランナーがスタートを切った。

 玄山先輩も打ってきて、打球はファースト正面。

 そのままファーストを踏んで、ツーアウト、二塁三塁となる。

 

 ここで、バッターは八番、後藤六先輩。このチームのエース。右打席に入る。

 ピッチャーゆえ、打力はほぼない。

 

 ここは、絶対に抑える!!

 

 能力:弾道・1、ミート・F、パワー・E、走力・D、肩力・B、守備力・C、捕球・D

 

 ワインドアップに切り替えて投げる。

 一球目は、アウトコースへのスローカーブ。ストライクだ。

 

 二球目。ストレート。少し高めに抜ける。力が入っている。

 

 一度深呼吸してから、三球目。アウトローにストレートが決まる。

 

 四球目は、そこから落ちるフォーク。カットされる。

 

 五球目、ストレート。高めの釣り球だが、手は出してくれない。

 

 六球目。真ん中低めの縦スラ。今日一のボール。

 空振り三振を奪う。ランナーを二人背負ったが、なんとか切り抜けた。

 

 仕切りなおして、ラストバッターは土屋冬二先輩。右バッター。

 打席では、とにかく粘る。一番にしっかりつなぐ九番打者。

 また、定位置はセカンドだが、内野はどこでも守れるユーティリティープレーヤーだ。

 今日もすでに、セカンド、ファースト、サード、キャッチャーをこなしている。

 

 能力:弾道・1、ミート・C、パワー・F、走力・D、肩力・C、守備力・B、捕球・C

 

 今日の右でのピッチングは、おそらくこれで最後になる。

 だから、しっかりとした投球で締めたい。

 

 その初球。アウトローにストレート。きれいに決まってストライク。

 

 二球目はフォーク。見逃され、ボール。

 

 三球目。フォークを続ける。バッター打ってファール。

 

 四球目のアウトコース、スローカーブ。五球目のインコース、ストレート。

 どちらも、カットされ粘られる。

 

 六球目はインコースに縦スラ。見逃される。ボール。

 

 七球目のインコースへのスローカーブはファールを打たれる。

 

 八球目、スローカーブを続けてファール。

 

 九球目。今日最速の137キロ。全力ストレートで空振り三振。

 

 ワンナウト。ここで俺は、左投げにかわる。

 

 一番打者、2-1からの五球目。外いっぱいのシュートで見逃し三振。

 

 二番打者、1-1からの三球目。アウトローのストレートでセカンドゴロに打ち取る。

 

 仕切りなおしてから。

 三番打者、2-2からの七球目。アウトローへのスライダーでファーストフライ。

 

 四番打者、2-2からの五球目。外に逃げるスライダーで空振り三振。

 

 五番打者、1-2からの四球目。外のストレート。サードライナー。

 

 仕切りなおして。

 六番打者、2-1からの五球目。外のシュートを打たせてセカンドゴロ。

 

 七番打者、1-2からの四球目。内角シュートをうまく打たれ、ライト前ヒット。

 

 ワンナウト一塁の場面。ランナーは出してしまったが、落ち着いて投げれば問題ない。

 八番打者、2-0からの三球目。外いっぱいに入るスライダー。見逃し三振。

 

 九番打者、2-2からの八球目。内角ストレートで、ショートフライ。

 

 これで、二巡終わった。

 

 ちょうど、五イニング分。

 右では、50球投げて、投球回数は2と3分の1回。奪三振3、被安打2。

 左では、44球投げて、投球回数は2と3分の2回。奪三振3、被安打1。

 

 ランナーを背負うこともあったが、失点は0。

 落ち着いて投げることができた。

 まあ、満足のいく結果で終わってよかった。

 

 

 この後、朔良、玄山先輩、そして、エースの後藤先輩も投げた。

 

 俺は、玄山先輩の時に七番に入った。

 玄山先輩は、右サイドスロー。持ち球はスライダー、スラーブ、シンカー。

 

 ここでようやく、両打ちを披露できた。

 

 一打席目(右)は、1-1からの三球目。外のスライダーを打つも、ファーストゴロ。

 

 二打席目(左)は、2-3からの八球目。粘った末、シンカーをうまく打つも、レフトフライ。

 

 結果、ノーヒットだった。

 だが、悪くはなかった。当たりは悪くないので、このまま維持していければ良い。

 

 練習が終わって。

 

 来週のGWに、練習試合があるのだが、その一、二試合目のオーダーが発表された。

 

 一試合目は、同県の工業高校。実力は、同じくらいらしい。

 この試合は、エースの後藤先輩が先発で、打順もいつも通りの通常のレギュラー陣。

 

 二試合目は、東京にある学院高校。

 この試合、俺が先発することになった。また、一年生四人が揃って出場する。

 どうやら、朔良のいた榊シニア出身者が何人かいるらしい。

 

 もちろん、GWの練習試合はまだあるが、まずは最初の二試合で勝利を収めたいところだ。

 

 よし!練習試合、全勝目指して頑張るぞ!!




ということで今回は、能力公開回でした。

後で、能力のみを掲示した話を投稿しようと思っているので、見にくかった人はそちらでご確認いただければと思います。

次話は、練習試合編かな?おそらく、そうなると思います。

読んでいただき、ありがとうございました!

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