両投げ両打ち!!   作:kwhr2069

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結局、五月中の投稿はできなかったという...。
待っていた方には、申し訳ない気持ちでいっぱいです。すみません。

それと後書きの方に、結構重要なことを記載しています。
悩みましたが、そういうことに決めましたので、どうかご容赦を。

では、春季大会の準決勝の方、どうぞ。


Episode.25

最強打線と躍進

 

 春季大会準決勝の相手が、打多田(ダダダ)高校に決まった。

 

 去年の夏、二回戦で対戦し、六回コールドで勝ったチーム。

 去年の打ちまくる打線は変わっていないが、以前と比べて大きく伸びた部分がある。

 

 それは、投手力。

 主な要因は、エースの成長である。

 

 去年二年生エースだった丹川も、今年から三年生。

 以前はスローカーブとパームの二つの変化球でやりくりしていたが、新たに覚えたシュートで、相手打者の腰を引かせる投球ができるように。

 

 また、去年から残ったレギュラーメンバーが四人いる打線の強さは、もちろん健在だ。

 エース丹川は、打順の方も六番から三番に上がり、去年三番だった光石は一番に、八番を打っていた盛矢は二番、そして五番を打っていた権田は四番に座る。

 彼らは、去年一年生ながらセカンドに入った渡に、散散にしてやられた。

 去年の悔しさを胸に刻み、ここまで成長してきている。

 

 

 一番リベンジに燃えているであろう相手が、パワーアップして帰ってきた。

 苦戦が予想される。

 

 でも、負けるわけにはいかない。

 今日も勝つんだ。絶対に。

 

 両チームのスターティングオーダー

 先攻:ほしうら   後攻:ダダダ

 7 左 玄山大 1番 8 左 光石

 4 右 渡   2番 4 右 盛矢

 5 右 松宮  3番 1 左 丹川

 3 左 沢良宜 4番 9 左 権田

 9 左 梨田  5番 7 右 樋田

 2 右 小野原 6番 3 右 大河内

 6 右 歌間  7番 2 右 山口

 1 両 双葉  8番 5 右 松尾

 8 左 東條  9番 6 右 城

 

 

 一回の表、大也先輩からの打順。

 前の試合での好調を維持し、外角のボールをうまく流し打ってレフト前ヒット。

 二番の渡が送りバントを決めて、ワンナウト二塁となる。

 ここで打席には、チャンスに強い松宮先輩。

 

 しかし、ギアをあげた相手エース丹川のパームで空振り三振。

 そして、続く友章も緩急差の前にストレートを詰まらされてサードゴロ。

 

 一方変わって一回の裏。

 俺は、先頭打者は抑えたものの、二番の盛矢に粘られて死球をあたえてしまう。

 更に、牽制を入れたものの俊足を生かされて盗塁される。

 

 ワンナウト二塁となり、打席にはエースで三番も打つ丹川。

 ストレートで詰まらせてセカンドゴロで打ち取ったが、ランナーは進塁。

 ツーアウト三塁で、相手打者は四番の権田。

 初球はスライダーで外れてボール。

 二球目と三球目はストレートでファール。カウント1-2と追い込む。

 四球目、決めにいったチェンジアップはカットされる。

 五球目は高めにストレートを外し、カウントは2-2。

 六球目、アウトローへのストレート。しかし、これはカット。

 七球目は同じようなコースへのチェンジアップ。これもカット。

 八球目、インコースぎりぎり、胸元へのシュート。だが、外れてボール。

 九球目。打者の胸元――から、ストライクゾーンに入ってくるスライダー。

バッターに手を出させない、完璧なボールで、見逃し三振。俺は、小さくガッツポーズ。

 

 

 その後。

 ランナーは何度か出るものの、どちらも得点が奪えず。

 

 両チームともに、打者三巡目できりよく一番から始まるという勝負の六回。

 先攻のほしうら学院は、一番の大也先輩がライトフライに倒れると、二番の渡は見逃し三振、三番の松宮先輩はサードゴロで、三者凡退。

 

 後攻のダダダ高校、先頭の光石にヒットを打たれ、盛矢は送りバントでワンナウト二塁。

 打席には、今日はセカンドゴロとショートライナーに抑えている三番の丹川。

 初球、インコースへのシュートでファール。

 二球目は、インハイへのストレート。外れてボール。

 三球目、アウトローのストレート。

 しかしこれを、うまく流し打たれてしまい、レフト前ヒットでランナーは一、三塁に。

 

 そして、四番の権田に低めのスライダーをうまくすくい上げられ、センターへの犠牲フライで一点を失う。

 続く五番の樋田は、なんとかチェンジアップでセカンドゴロに打ち取る。

 

 が、この六回に、重い先制点を与える結果となってしまった。

 

 反撃したい七回表。

 ツーアウトから小野原先輩がヒット、道隆が四球を選んで一、二塁とする。

 しかし、俺がショートゴロに倒れてあえなく二者残塁。

 

 七回裏、先頭打者にセンター前ヒットを浴びて、次打者の送りバントでまたもワンナウト二塁とされる。

 ここで代打が告げられ、それにもライト前ヒットを浴びる。

 前の回に続いてのワンナウト一、三塁。

 

 そして、打席の九番打者への初球だった。

 チェンジアップが抜け、絶好球になってしまう。

 

 やばい、と思って三塁線方向への打球を見送ると、松宮先輩がダイビングキャッチし、サードベースをそのままタッチ。

 間一髪、ファインプレーに救われ、追加点は阻止する。

 

 

「すみません、先輩。ありがとうございました。」

 

「おう。…なあ、双葉。」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「俺たちはそんなに頼りないか?」

 

「え?」

 

「今日のお前は、何かどこか気負いがあるように見えるんだよ。」

 

「そう、でしょうか。」

 

「いや、俺の気のせいならいいんだよ。

 …ただな、双葉。気負って投げても、良い結果はついてこないんじゃないか?」

 

「…。」

 

「って、援護点もあげられてないから、偉いこと言えないんだけどな笑。」

 

 最後のプレーに助けられ、松宮先輩に感謝を伝えに行くと、先輩はこんなことを言ってくれた。

 

 そして、八回表。

 先頭の伊月が内野安打で出塁し、盗塁。

 大也先輩がセカンドゴロで進塁させて、洋介が四球を選ぶ。

 ワンナウト一、三塁で、打席に入るのは松宮先輩。

 

 初球の、パームボール。

 

 一閃。

 

 完璧に捉えた当たりは、ライトフェンス直撃の二点タイムリーツーベースヒット。

 

 更に、友章もレフト前ヒットで続き、ワンナウト一、三塁のチャンスが継続。

 

 しかし、五番の朔良、初球のスローカーブを打つもピッチャーライナー。

 飛び出してしまったランナーが刺されて、ダブルプレーとなり、チェンジ。

 

 

 勝ち越したが、その後のチャンスが潰れた。

 普通ならキツイが、俺の心情は違っていた。

 

 先程の松宮先輩との会話。

 

 そのおかげで俺は、気持ちをリセットできた。

 

 ただ、自分のベストを尽くす。

 俺が考えるのは、これだけでいい。そう感じた。

 

 

 

 

 

 カキン、と快音が響くも、打球はセンター正面。

 東條伊月がしっかりとつかみ、ゲームセット。

 

 逆転してもらった後。

 八、九回を三者凡退に抑えたエース双葉は、その打球の行方を見て胸をなでおろす。

 

 試合は、2-1でほしうら学院高校の勝ちとなった。

 

 これで、大会の決勝戦へと駒を進めたことになる。

 




決勝に進出することになったわけですが。
ここで、前書きでも言っていた「結構重要なこと」について。

次の春季大会決勝戦を終えた後、この小説を一旦休載することにしました。

思っていたよりも筆が進まず、ここまでだらだらと続けてきましたが、この度休載させていただき、再開後は今よりもっとスピーディに、しっかりと進めていけるようにしたいと思っています。

また、個人的な話にはなりますが、他の連載作品の執筆に追われているのも一つあります。
そちらが一段落ついて、こちらのストックが多く出来た時、再開することになります。

次話の決勝戦については、出来るだけ早く投稿しようと思っております。

では、今話も読んでいただき、ありがとうございました!

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