待っていた方には、申し訳ない気持ちでいっぱいです。すみません。
それと後書きの方に、結構重要なことを記載しています。
悩みましたが、そういうことに決めましたので、どうかご容赦を。
では、春季大会の準決勝の方、どうぞ。
最強打線と躍進
春季大会準決勝の相手が、
去年の夏、二回戦で対戦し、六回コールドで勝ったチーム。
去年の打ちまくる打線は変わっていないが、以前と比べて大きく伸びた部分がある。
それは、投手力。
主な要因は、エースの成長である。
去年二年生エースだった丹川も、今年から三年生。
以前はスローカーブとパームの二つの変化球でやりくりしていたが、新たに覚えたシュートで、相手打者の腰を引かせる投球ができるように。
また、去年から残ったレギュラーメンバーが四人いる打線の強さは、もちろん健在だ。
エース丹川は、打順の方も六番から三番に上がり、去年三番だった光石は一番に、八番を打っていた盛矢は二番、そして五番を打っていた権田は四番に座る。
彼らは、去年一年生ながらセカンドに入った渡に、散散にしてやられた。
去年の悔しさを胸に刻み、ここまで成長してきている。
一番リベンジに燃えているであろう相手が、パワーアップして帰ってきた。
苦戦が予想される。
でも、負けるわけにはいかない。
今日も勝つんだ。絶対に。
両チームのスターティングオーダー
先攻:ほしうら 後攻:ダダダ
7 左 玄山大 1番 8 左 光石
4 右 渡 2番 4 右 盛矢
5 右 松宮 3番 1 左 丹川
3 左 沢良宜 4番 9 左 権田
9 左 梨田 5番 7 右 樋田
2 右 小野原 6番 3 右 大河内
6 右 歌間 7番 2 右 山口
1 両 双葉 8番 5 右 松尾
8 左 東條 9番 6 右 城
一回の表、大也先輩からの打順。
前の試合での好調を維持し、外角のボールをうまく流し打ってレフト前ヒット。
二番の渡が送りバントを決めて、ワンナウト二塁となる。
ここで打席には、チャンスに強い松宮先輩。
しかし、ギアをあげた相手エース丹川のパームで空振り三振。
そして、続く友章も緩急差の前にストレートを詰まらされてサードゴロ。
一方変わって一回の裏。
俺は、先頭打者は抑えたものの、二番の盛矢に粘られて死球をあたえてしまう。
更に、牽制を入れたものの俊足を生かされて盗塁される。
ワンナウト二塁となり、打席にはエースで三番も打つ丹川。
ストレートで詰まらせてセカンドゴロで打ち取ったが、ランナーは進塁。
ツーアウト三塁で、相手打者は四番の権田。
初球はスライダーで外れてボール。
二球目と三球目はストレートでファール。カウント1-2と追い込む。
四球目、決めにいったチェンジアップはカットされる。
五球目は高めにストレートを外し、カウントは2-2。
六球目、アウトローへのストレート。しかし、これはカット。
七球目は同じようなコースへのチェンジアップ。これもカット。
八球目、インコースぎりぎり、胸元へのシュート。だが、外れてボール。
九球目。打者の胸元――から、ストライクゾーンに入ってくるスライダー。
バッターに手を出させない、完璧なボールで、見逃し三振。俺は、小さくガッツポーズ。
その後。
ランナーは何度か出るものの、どちらも得点が奪えず。
両チームともに、打者三巡目できりよく一番から始まるという勝負の六回。
先攻のほしうら学院は、一番の大也先輩がライトフライに倒れると、二番の渡は見逃し三振、三番の松宮先輩はサードゴロで、三者凡退。
後攻のダダダ高校、先頭の光石にヒットを打たれ、盛矢は送りバントでワンナウト二塁。
打席には、今日はセカンドゴロとショートライナーに抑えている三番の丹川。
初球、インコースへのシュートでファール。
二球目は、インハイへのストレート。外れてボール。
三球目、アウトローのストレート。
しかしこれを、うまく流し打たれてしまい、レフト前ヒットでランナーは一、三塁に。
そして、四番の権田に低めのスライダーをうまくすくい上げられ、センターへの犠牲フライで一点を失う。
続く五番の樋田は、なんとかチェンジアップでセカンドゴロに打ち取る。
が、この六回に、重い先制点を与える結果となってしまった。
反撃したい七回表。
ツーアウトから小野原先輩がヒット、道隆が四球を選んで一、二塁とする。
しかし、俺がショートゴロに倒れてあえなく二者残塁。
七回裏、先頭打者にセンター前ヒットを浴びて、次打者の送りバントでまたもワンナウト二塁とされる。
ここで代打が告げられ、それにもライト前ヒットを浴びる。
前の回に続いてのワンナウト一、三塁。
そして、打席の九番打者への初球だった。
チェンジアップが抜け、絶好球になってしまう。
やばい、と思って三塁線方向への打球を見送ると、松宮先輩がダイビングキャッチし、サードベースをそのままタッチ。
間一髪、ファインプレーに救われ、追加点は阻止する。
「すみません、先輩。ありがとうございました。」
「おう。…なあ、双葉。」
「はい、なんでしょう?」
「俺たちはそんなに頼りないか?」
「え?」
「今日のお前は、何かどこか気負いがあるように見えるんだよ。」
「そう、でしょうか。」
「いや、俺の気のせいならいいんだよ。
…ただな、双葉。気負って投げても、良い結果はついてこないんじゃないか?」
「…。」
「って、援護点もあげられてないから、偉いこと言えないんだけどな笑。」
最後のプレーに助けられ、松宮先輩に感謝を伝えに行くと、先輩はこんなことを言ってくれた。
そして、八回表。
先頭の伊月が内野安打で出塁し、盗塁。
大也先輩がセカンドゴロで進塁させて、洋介が四球を選ぶ。
ワンナウト一、三塁で、打席に入るのは松宮先輩。
初球の、パームボール。
一閃。
完璧に捉えた当たりは、ライトフェンス直撃の二点タイムリーツーベースヒット。
更に、友章もレフト前ヒットで続き、ワンナウト一、三塁のチャンスが継続。
しかし、五番の朔良、初球のスローカーブを打つもピッチャーライナー。
飛び出してしまったランナーが刺されて、ダブルプレーとなり、チェンジ。
勝ち越したが、その後のチャンスが潰れた。
普通ならキツイが、俺の心情は違っていた。
先程の松宮先輩との会話。
そのおかげで俺は、気持ちをリセットできた。
ただ、自分のベストを尽くす。
俺が考えるのは、これだけでいい。そう感じた。
カキン、と快音が響くも、打球はセンター正面。
東條伊月がしっかりとつかみ、ゲームセット。
逆転してもらった後。
八、九回を三者凡退に抑えたエース双葉は、その打球の行方を見て胸をなでおろす。
試合は、2-1でほしうら学院高校の勝ちとなった。
これで、大会の決勝戦へと駒を進めたことになる。
決勝に進出することになったわけですが。
ここで、前書きでも言っていた「結構重要なこと」について。
次の春季大会決勝戦を終えた後、この小説を一旦休載することにしました。
思っていたよりも筆が進まず、ここまでだらだらと続けてきましたが、この度休載させていただき、再開後は今よりもっとスピーディに、しっかりと進めていけるようにしたいと思っています。
また、個人的な話にはなりますが、他の連載作品の執筆に追われているのも一つあります。
そちらが一段落ついて、こちらのストックが多く出来た時、再開することになります。
次話の決勝戦については、出来るだけ早く投稿しようと思っております。
では、今話も読んでいただき、ありがとうございました!