両投げ両打ち!!   作:kwhr2069

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さあ、現実世界の夏の終わりとともに、干支高校との再試合。
どんな結末を迎えるかな?

知識不足でダメダメなこんな作者ですが、応援おねがいします。

追伸:今更、Episode.0とEpisode.1の食い違いに気づきました。
   訂正はしませんが、許してください...。


Episode.14

サイシアイ

 

 終わった、のか。

 

 

 一塁側ベンチの片付けをしながら、スコアボードに目をやる。

 

 

『7-2』

 

 完敗、だった。

 

 

 ほしうら学院、玄山先輩、干支高校、犬崎の両先発で始まった試合。

 

 先攻のほしうら学院は、立ち上がり不安定な犬崎を攻めたてる。

 一死一、三塁から、鈴木先輩のタイムリーツーベースヒット。

 初回に幸先よく2点を先制した。

 

 一方の玄山先輩は、一、二回とランナーを背負いながらも粘りの投球で得点は許さない。

 しかし、三回ウラだった。

 四球や自身のエラーなどで一死二、三塁のピンチを作ると、犠牲フライと二連打で3点を失う。

 また、四回にも一点を与え、さらに、五回には三番卯川にソロホームランを浴びる。

 その後、四番丑光に二塁打を打たれたところで、後藤先輩がマウンドへ。

 先輩は、ピンチをしっかりと乗り切る。

 

 反撃が必要な打線だったが、初回以降は、なかなか得点圏にランナーが置けない厳しい状況。

 七回表。ライトで出場の朔良が、今日二本目のヒットでノーアウトのランナー。

 相手のエラーなども絡み、一死満塁のチャンス。

 ここで、干支高校のマウンドには、エースの子島が。

 一番杉山先輩、二番高橋先輩。

 二者連続三振。得点できず。

 

 八回ウラ。

 相手の代打二人に二連打を浴びて、二死二、三塁のピンチ。

 打席には、八番、子島。

 ライトフェンス直撃、二点タイムリーツーベースヒット。

 

 九回表。

 二死走者なしで、最後のバッターは、後藤先輩。

 空振り三振。ゲームセット。

 

              計 H

 ほし 200000000 2 5

 干支 00311002×  7 11

 

 

 

 

 試合翌日。

 ほしうら学院野球部は、ミーティングという形で集まり、三年生一人一人がこれまでのことを振り返った。

 

 先輩方の目に涙はなく、むしろ晴れ晴れとしているように思った。

 悔しさがないわけではないはずだ。

 

 終了後、俺は後藤先輩に呼ばれた。

 

 

「短い間でしたけど、先輩と野球ができて楽しかったです。」

 

 本当に、楽しかった。

 負けてしまったけれど。

 

 

「・・なあ、双葉。お前は、何を目標にしてる?」

 

 いろいろと話して、話題も尽きてきたかというタイミングで、この質問。

 

 目標?それはもちろん...

「全国制覇、です。」

 

「そうか。」

「俺は、とりあえず甲子園に行ってみたいなっていう感じだったんだ。」

 

 後藤先輩は、さらに続ける。

 

「でもさ、今になってわかったんだよ。」

「中途半端に目標持っても、それは達成できない、ってな。」

 

 俺は、黙って聞いていた。

 

「双葉。」

 

「はい。」

 

「お前なら、きっとできるよ。全国制覇。」

 

 

 

 

『俺の中のエースは、後藤先輩でしたから!』か...。

 

 

 双葉諒。

 一年生ながら、その雰囲気というか、オーラというか。

 

 とにかく、何かを感じた。

 

 コイツがいれば...と思わせてくれる、何かがあった。

 

 

 最後の夏。

 双葉は、結局失点しなかった。

 

 双葉が投げ続けていれば、と、たらればを言いたくなる。

 

 

 最後の試合。

 五失点で、敗戦投手になった玄山は、泣いていた。

 

『俺のせいで先輩の夏を終わらせてしまった』と。

 

 断じて、そんなことはない。

 一回目の干支高校の試合で、追いつかせてしまった俺が悪かったのだ。

 さらに言えば、最後の試合でも結局、二失点。

 いずれにせよ、俺では力不足だった。

 

 

 双葉が投げていれば、どうなっただろうか。

 抑えきっただろうか。勝ちに導いただろうか。

 それとも、何失点かしただろうか。

 

 

 たらればはさておき、これからは野球部も代替わり。

 新キャプテンは松宮琉果に決定した。

 あいつなら、きっとしっかりとまとめあげていってくれるだろう。

 来年の夏に向けて、問題はいくつかある中、これから歩き出していく後輩たち。

 

 当たり前だが応援していきたい。

 

 

 そして、俺は、大学進学。

 これからは、野球からは離れて、志望校入学目指して勉強だ。

 

 夏の戦いは終わったが、冬の戦いが残っている。

 

 次こそは、負けないように。

 これから、頑張っていくんだ。

 

 

『全国制覇です。』

 

 俺の問いかけに力強く答えた双葉。

 ふと、頭に浮かぶ。

 

 双葉なら、きっと。

 きっと、やれる気がすると。そんなふうに思う。

 




ハイ。負けました。
ダイジェストでお送りさせていただきました。

ってことで、これにて第一幕は終幕ということになります。
このタイミングで終わらせようと決めていたので、無事にすんで(?)ホッとしています。


ここまで粘り強く読んでくださった方、本当にありがとうございました!!
代替わりからも、もちろん書いていく気ですので、応援していただけると嬉しいです。

ではまた、次話で。
少し日が開いてしまうかもしれませんが、ご容赦ください。

今話も読んでいただき、ありがとうございました!!

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