両投げ両打ち!!   作:kwhr2069

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こんにちは。
二日空きましたが、平常運転です。

前回:干支高校を相手に、三回ウラ2点を先制。果たしてリードを守れるのか...!

今話はまず、後藤六目線から始まります。
ということで、どうぞ!


Episode.12

アメモヨウ

 

 四回表、ワンアウト一、三塁。

 マウンド上の俺は、ピンチを迎えていた。

 

 この回先頭の卯川にヒットを許し、次の四番丑光はレフトフライに抑えたが、五番巳上の打順で卯川に盗塁され、さらに、巳上にヒットを浴びた。

 そして今、打席には六番の羊田。

 

 援護点をもらっている。これを、守らなければいけない。このチームのエースとして。

 

 初球。低めにストレート。きれいにストライク。

 二球目。スライダー。

 

「っ!」指に引っかかる。

 

 ボールがワンバンして、キャッチャーの小野原がはじいた。

 幸い三塁ランナーは突っ込んでこなかったが、一塁ランナーは進塁。

 一死二、三塁と、更にピンチが広がった。

 

 流石に二塁ランナーは、返すわけにはいかない!

 

 三球目。アウトコース、ストレート。四球目。アウトコース、カットボール。

 どちらもファールとなる。ツーストライク、ワンボール。

 

 五球目。高めに釣り球の要求。

 思いっきり投げ込むと、打者が振ってくれた。空振り三振。これで、ツーアウトだ。

 

「ッシャァァ!!」

 

 抑える!!絶対に、抑える!!

 

 二死二、三塁から、バッターは、七番猿渡。

 

 初球、低めのストレート。

 

 

 痛打された。

 

 打球は、二遊間を抜けてセンター前へ。

 

 ホームベースカバーに入る。

 

 三塁ランナーは、悠々生還。これで一点。

 

 

 二塁ランナーも、三塁を蹴ってホームに向かってきた。

 

 センターの秋五がボールを捕球するのが見えた。

 

「(頼む、秋五!刺してくれ!)」

 

 秋五は、良い外野手。肩も強い。

 

 

 良い返球が来る。ワンバウンドの、ストライク送球。

 

 

 ランナーの滑り込み。小野原は、捕球し、懸命にタッチ。

 

 

 砂埃が上がる。ど、どうなった...。

 

 

 そして――。

 

 

 審判の手は...上に、突き上げられた!

 

「アウト、アウト!!」

 

「・・クッ...。」

 悔しがる本塁憤死のランナー、巳上。

 

「「「ヨッシャァア!!!」」」

 喜びを見せるほしうら学院ナイン。

 

 喜ぶのは、俺とて例外ではない。

 

「ナイス!秋五!マジで、助かった!!」

 

「ああ!刺せてよかった!」

 

 

 一点を返されはしたが、二点目は何とか防いだ。

 

 まだ一点リードしている。でも、たった一点だけ。

 余裕は、持てない。

 

 できることなら、追加点を。

 

 

 四回ウラのほしうら学院の攻撃。

 五番佐藤夏三からの打順。夏三は、死球で出塁。

 六番小野原が確実に送りバントを決め、一死二塁。

 七番玄山は、粘って四球を選ぶ。

 八番は、俺。チャンスだったが、二球目のストレートを打ち上げてファーストフライ。

 そして、九番の冬二も、ショートゴロに倒れる。

 

 追加点とはならなかったが、とりあえずランナーは出ている。

 きっと大丈夫だ。

 

 

 五回表。先頭は、八番辰森。三球目のフォークが抜けて、甘く入ってしまった。センターオーバーのツーベースヒット。

 九番羽鳥は手堅く送る。一死三塁。

 

 ピンチだ。だけど、ココで点をやるわけにはいかない。皆がくれた援護を、守り切る!

 

 打者は、一番木寅。

 初球、アウトロー、ストレート。少し外れてボール。

 二球目もストレート。外れる。ノーストライク、ツーボール。

 

 少し焦りつつ、ロジンを手に。味方皆を見て心を落ち着ける。

 

 三球目。ストライクゾーンいっぱいにスライダーが決まる。

 四球目もスライダー。ゾーンは外れたが、バッターが空振り、追い込んだ。

 

 よし!ここで抑える!

 

 五球目。フォーク。

 バッターが、打った。カキン、と、良い音がする。打球はレフト方向へ飛ぶ。

 

「(すくい上げられた!狙われてたか?)」

 

 打球の行方を見ながらベースカバーに回る。

 

 レフトの四季が、定位置より少し深い位置で捕球体勢に入る。

 

 前に出ながらキャッチ。ランナーが、スタート。

 

 

 四季の送球が少し右にそれる。

 ランナーは、左からまわりこんでスライディング。

 

 小野原が、捕球し、タッチをしにいく。

 

 しかし、ランナーの手は、すでにホームベースを触っていた。

 

 

 干支高校、二点目を取って、ようやく同点に追いつく。

 

 

「(くそっ...。援護点を守れなくて、何がエースだ...。)」

 

 ボールをもらい、マウンドに戻る。

 

 

「六!!絶対、また点取ってやるから、抑える方は頼むぞ!」

 

 ショートの一春から、声がかかる。

 

 

 顔を上げると、野手の皆が口々に声をかけているのが分かった。

 

 

「(そうだよな。まだ五回。俺の仕事は、失点をできる限り少なくすることだ。)」

「(こんだけで落ち込んでる方が、エース失格だな!)」

 

「ツーアウトな、ツーアウト!」

 

 

 二番有馬が打席に入る。

 初球から、フォーク。空振りを奪う。

 二球目は、ストレート。バッターは見逃し、ストライク。良いところに決まった。

 三球目、高めの釣り球はボール。

 四球目、低めのストレート。カットされる。

 五球目、インコースへのカットボールで詰まらせる。セカンドゴロ。

 

 スリーアウト、チェンジ。

 

「シャァア!!」

 

「オッケー、オッケー。まだ同点同点!」

「この回、点取るぞ!」

 

「一春~!出塁しろよ~!」

「ヨッシャア!任しとけ!」

 

 

 五回ウラ。この回の先頭は、一番の一春。

 四球目のツーシームを叩きつける。三遊間にゴロが転がる。懸命に走って、セーフ。

 二番の秋五は、きっちりと送りバント。

 一死一塁。打席には、前の打席でホームランの松宮が入る。

 初球。松宮は、三塁線にセーフティバントを試みる。

 完全に意表をついた。ボールは、転がって、きれた。ファール。

 その後、四球目。チェンジアップをひっかけて、サードゴロ。一春も動けず、二死二塁。

 四番、四季。チームのキャプテン。

 

「四季~!打ってくれ~!」

 

 

 カーブが二球続けてくる。どちらも見逃して、カウント1-1。

 三球目。アウトローにきれいなストレート。ストライクだ。

 

「(カーブ、カーブ、ストレート、か。)」

 

 今は、二死二塁。同点の状況。

 

 何よりも、良いピッチングをしている六に援護点をプレゼントしたい。

 

 後悔は、したくない。

 

 

 四球目。さっきとほぼ同じコースのボール。

 

「(ストレート...、いや、これは、ツーシームだ!)」

 

 逆らわずに打つ。

 バットにしっかりと当たった打球は、左中間に高々と上がった。

 

「(やば、ちょっと、下打ち過ぎたか...?)」

 

 ボールの行方を見る。

 

 打球は、思ったよりも伸びていた。

 

「(え?入る?)」

 

 さすがに、そこまではなく。

 

 高々と上がった打球。

 左中間のフェンスの、上のところに当たった。

 

 それを確認した一春は、すでにホームインしていた。

 俺も、二塁を蹴って三塁に向かう。

 

 タイムリースリーベースヒット。一点勝ち越しだ。

 

 そして、次の夏三も、右中間にヒットを打ち、俺がホームイン。

 またも、二点差になった。

 

 ただ、夏三は二塁でタッチアウトとなり、スリーアウトチェンジ。

 

「六!良いピッチング、期待してるぞ!」

 

「ああ!援護、ありがとう。今度こそ、きっちり守ってみせるぞ!」

 

 

 六回表。相手の打順は、三番卯川から。

 インコースのカットボールを詰まらせて、セカンドゴロに打ち取る。

 四番丑光を、ストレートで詰まらせてファーストフライ。

 五番巳上にはヒットを許したが、六番羊田を空振り三振。

 

「ナイス、六!この調子で、行こう!」

 

「もちろんだ!」

 

 

 六回ウラ。

 

 干支高校は、選手の交代があった。

 

 ピッチャーが、エースの子島になったのだ。

 

 そして彼は、凄まじいピッチングを見せる。

 六番小野原、七番玄山、八番後藤を三者連続三振に切って取る。

 

 圧巻だった。

 

 

 七回表。子島は、さらに魅せた。

 この回先頭の猿渡がセンターフライに倒れ、ワンアウト。

 八番に入った子島が、初球のカットボールを振り抜き。

 

 ライトスタンドに飛び込む、ソロホームラン。

 

 後藤は、その後ランナーも出しながらもなんとか無失点で切り抜ける。

 

 

 七回ウラ。

 九番土屋、サードゴロ。

 一番杉山、空振り三振。

 二番高橋、セカンドフライ。

 

 またも三者凡退。子島、素晴らしいピッチング。

 

 

 七回まで終わって、4-3と、ほしうら学院高校がリード。

 

 しかしながら、試合の流れは今、干支高校側に傾こうとしている。

 

 

 果たして、ほしうら学院高校は、四回戦に勝ち進むことはできるのか。

 

 試合前半のイケイケムードから一転。

 雲行きが怪しくなってきた。

 

 

 今日は、午後四時頃から雨が降る予報だったのに。

 

 空は、今にも雨が降り出しそうな様子だった。

 




さてさて、暗雲が立ちこもってまいりました~!
ほしうら学院、大丈夫なのか!?

★途中経過
    ➀②③④⑤⑥⑦ 計
 干支 0001101 3
 ほし 0020200 4

頑張れ、ほしうら学院高校!勝つんだ!

ということで、今話も読んでいただき、ありがとうございました!!

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