両投げ両打ち!!   作:kwhr2069

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現実世界の、甲子園大会が終わりましたね...。
花咲徳栄高校、優勝おめでとうございます!


ということで、コッチの世界でも、どんどん進んでいければなとは思っていますが。
果たしてどうなるのやら...。



Episode.11

ヨソウガイ

 

 勝った!勝った!

 

 これで、俺たちほしうら学院高校は、三回戦へ進む。

 

 

 

 喜びもつかの間。

 

 俺たちは、次の対戦相手、干支高校の情報を確認する。

 

 試合は四日後だ。

 俺たちには、休む暇など、無い。

 

 

 干支高校。県の第二シード校。

 

 エースピッチャーは、子島。

 左投げ左打ち。オーバースロー。打線では五番も打つ。

 ストレートは、最速145キロで、制球力は並程度で、スタミナは、かなりある。

 変化球は、SFF、スライダー、チェンジアップ。

 投手として、かなりレベルが高い。プロのスカウトも、見に来ているらしい。

 

 二番手ピッチャーは、犬崎。

 右投げ右打ちの、アンダースローピッチャー。

 130キロほどのストレート。変化球は、スライダーとシンカー。

 とにかくコントロールが良い。スタミナも、まあある方。

 ただ、立ち上がりは良くないピッチャーらしく、そこが狙い目だろう。

 

 他に、基本はサードを守る、辰森という選手も、たまに投げることがある。

 本職は野手だから、ピッチャーとしては、並程度。

 持ち球は、カーブとチェンジアップ。

 根性で投げ込んでくるタイプだ。

 

干支高校の、基本的な打順は、

 1番 3 木寅 右右

 2番 7 有馬 左左

 3番 4 卯川 右左

 4番 2 丑光 右右

 5番 1 子島 左左

 6番 6 巳上 右左

 7番 9 猿渡 右左

 8番 5 辰森 右右

 9番 8 羊田 右右

 

 全体的に見て、左打者が多い印象。

 

「諒が投げるなら、左で、だな。」

 朔良が一言。

 

「そうだな。」

 

 主軸に左打者が集中している。確かに投げるとなれば左でだろう。

 

 木寅、有馬、羊田は、非常に足が速い選手。塁にはできるだけ出したくない。

 

 五番を打つエースの子島は、長打力が持ち味。一発には警戒だ。

 

 打率が特に高い三人は、卯川、丑光、巳上。上手く対処したい。

 

 丑光には、もちろんパワーもあり、注意したい四番打者だ。

 

 猿渡、辰森は、守備がうまい選手という印象。

 打撃力は、そこまでない。ただ、小技はうまいので、そこは注意だ。

 

 控えにいるのは、主将の羽鳥と、代打の切り札的存在、猪村。

 羽鳥は、チーム皆をまとめ、また辰森が投手をする時はサードを守ったりする。右投左打。

 猪村は、代打の打率が8割越え。チャンスにも強い。右投右打。

 

 

 今まで挙げた12人は、全て3年生。

 

 相手は第二シード。手ごわい敵だ。

 

 

 だけど、負ける気はない。負けたくない。

 ぜっったい、勝ってやる!!

 

 

 

 そして、試合の日。

 

「「「ええ!相手先発、まさかの辰森!?」」」

 

 ほしうら学院ベンチに響く絶叫があった。

 

 そう。

 干支高校の先発投手が、辰森だったのだ。五番でエースの子島はベンチスタート。

 

 両チームのスターティングメンバー。

 

 3 木寅  1番  6 杉山

 7 有馬  2番  8 高橋

 4 卯川  3番  5 松宮

 2 丑光  4番  7 鈴木

 6 巳上  5番  3 佐藤

 8 羊田  6番  2 小野原

 9 猿渡  7番  9 玄山

 1 辰森  8番  1 後藤

 5 羽鳥  9番  4 土屋

 

 先攻が干支高校、後攻がほしうら学院高校。

 

 干支高校の先発は、犬崎でくるだろうと予想していただけに、かなり驚かされた。

 予想外だ。予想外だ、けど...。

 

「辰森なら、絶対に大量得点できる!むしろチャンスだろ!」

 

 誰かが言う。

 

 その通りだ。

 向こうがその気なら、コッチは早めに点をかせがせてもらおう。

 

「よし!先行する展開で、勝つぞ!いくぞ!」

 

「「「オオーーー!!!」」」

 

 

 

『プレイボール!!』

 午後一時。曇り空のもと、試合が始まった。

 今日の天気予報は、午後四時頃から雨だ。

 

 

 一回表。ほしうら学院エース、後藤の立ち上がり。

 一番木寅、ファーストゴロ。

 二番有馬、空振り三振。

 三番卯川、セカンドフライ。

 

 強豪相手に、一歩も引かない強気のピッチングを見せる。

 

 

 一回ウラ。対する辰森の立ち上がり。

 一番杉山、セカンドゴロ。

 二番高橋、サードゴロ。

 三番松宮、センターフライ。

 

 こちらも安定した立ち上がりだ。

 

 

 二回表、後藤は、先頭の四番丑光にレフト前ヒットを許す。

 無死一塁で、五番巳上。

 その3球目、ヒットエンドラン。打球はファーストゴロで、一死二塁となる。

 六番羊田は、四球を選び、一死一、二塁。

 七番、猿渡。4球目のインコースのボールを打ち、強いライナーが飛ぶ。

 

 しかし、打球はファースト佐藤のグラブに収まる。

 一塁ランナーが飛び出し、ダブルプレー。チェンジ。

 

 

 二回ウラ、ほしうら学院の四番鈴木が右中間に二塁打。

 五番佐藤。送りバントを試みる、が、辰森のフィールディングが勝り、三塁アウト。

 一死一塁となる。ここで六番小野原がレフト線への二塁打。

 七番玄山は、死球。一死満塁というチャンスをつくる。

 打席には、八番後藤。

 

 彼は、燃えていた。

 先制点のチャンス。

 自分が決めるチャンス。

 自援護で、楽になれるチャンス。

 打撃に自信があるわけではないが、決めたい。せっかくなら、自分の力で。

 

 初球から、狙っていく。インコースのボール。

 

「(ストレート!打つ!)」

 

 

 

 ボールの軌道が変わる。シンカー気味に、沈むボール。

 

「(っ!!)」

 

 打球は、ピッチャー正面。

 辰森が捕って、ホームへ。丑光が受け取り、ファーストへ。

 ダブルプレー。点は入らず、スリーアウトチェンジ。

 

 

 ツーシーム。

 ストレートの軌道から、前述のようにシンカー方向に沈むボール。

 

 データにはなかったボール。

 ほしうら学院側の頭には、無かったボール。

 

 これまで辰森がツーシームを投げたという記録は、なかった。

 

 隠していた武器。してやられた。

 

 

 三回表。先頭の八番辰森が死球で出塁し、九番羽鳥がしっかりと送る。

 一死二塁で、一番木寅がセーフティ気味のバント。サード松宮がしっかりと反応して、ファーストアウト。

 二死ながら、ランナーは三塁に。

 打席は、二番有馬。だが、後藤が踏ん張って、レフトフライに抑える。

 この回も、無失点で切り抜けた。

 

 

 三回ウラ。先頭の九番土屋が、粘りに粘って15球目で四球を選ぶ。

 一番杉山は、セカンドゴロ。ゲッツー崩れで一塁に残る。一死一塁。

 さらに、杉山が盗塁を成功。二番高橋も、完璧に送りバントを決めて、二死三塁。

 打席には、三番松宮。その初球だった。高めに浮いてきたチェンジアップ。逃さなかった。

 捉えた打球は、飛んで、飛んで、飛んで――。

 

 外野の柵を越えた。

 ツーランホームラン。

 

 ほしうら学院は、二点を先制した。

 

 続く四番鈴木は、ショートフライ。スリーアウト、チェンジ。

 

 

 とうとう試合が動いた。

 

 ほしうら学院は、待望の先制点。しかも、二点。

 

 

 このリードを、守りたいところだ。

 




ほしうら学院、先制点を取り、いい流れ♪♪
はてさて、勝てるのかな...?


感想や誤字訂正等、気が向いたらでいいのでお願いします。

今話も読んでいただき、ありがとうござました!

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