花咲徳栄高校、優勝おめでとうございます!
ということで、コッチの世界でも、どんどん進んでいければなとは思っていますが。
果たしてどうなるのやら...。
ヨソウガイ
勝った!勝った!
これで、俺たちほしうら学院高校は、三回戦へ進む。
喜びもつかの間。
俺たちは、次の対戦相手、干支高校の情報を確認する。
試合は四日後だ。
俺たちには、休む暇など、無い。
干支高校。県の第二シード校。
エースピッチャーは、子島。
左投げ左打ち。オーバースロー。打線では五番も打つ。
ストレートは、最速145キロで、制球力は並程度で、スタミナは、かなりある。
変化球は、SFF、スライダー、チェンジアップ。
投手として、かなりレベルが高い。プロのスカウトも、見に来ているらしい。
二番手ピッチャーは、犬崎。
右投げ右打ちの、アンダースローピッチャー。
130キロほどのストレート。変化球は、スライダーとシンカー。
とにかくコントロールが良い。スタミナも、まあある方。
ただ、立ち上がりは良くないピッチャーらしく、そこが狙い目だろう。
他に、基本はサードを守る、辰森という選手も、たまに投げることがある。
本職は野手だから、ピッチャーとしては、並程度。
持ち球は、カーブとチェンジアップ。
根性で投げ込んでくるタイプだ。
干支高校の、基本的な打順は、
1番 3 木寅 右右
2番 7 有馬 左左
3番 4 卯川 右左
4番 2 丑光 右右
5番 1 子島 左左
6番 6 巳上 右左
7番 9 猿渡 右左
8番 5 辰森 右右
9番 8 羊田 右右
全体的に見て、左打者が多い印象。
「諒が投げるなら、左で、だな。」
朔良が一言。
「そうだな。」
主軸に左打者が集中している。確かに投げるとなれば左でだろう。
木寅、有馬、羊田は、非常に足が速い選手。塁にはできるだけ出したくない。
五番を打つエースの子島は、長打力が持ち味。一発には警戒だ。
打率が特に高い三人は、卯川、丑光、巳上。上手く対処したい。
丑光には、もちろんパワーもあり、注意したい四番打者だ。
猿渡、辰森は、守備がうまい選手という印象。
打撃力は、そこまでない。ただ、小技はうまいので、そこは注意だ。
控えにいるのは、主将の羽鳥と、代打の切り札的存在、猪村。
羽鳥は、チーム皆をまとめ、また辰森が投手をする時はサードを守ったりする。右投左打。
猪村は、代打の打率が8割越え。チャンスにも強い。右投右打。
今まで挙げた12人は、全て3年生。
相手は第二シード。手ごわい敵だ。
だけど、負ける気はない。負けたくない。
ぜっったい、勝ってやる!!
そして、試合の日。
「「「ええ!相手先発、まさかの辰森!?」」」
ほしうら学院ベンチに響く絶叫があった。
そう。
干支高校の先発投手が、辰森だったのだ。五番でエースの子島はベンチスタート。
両チームのスターティングメンバー。
3 木寅 1番 6 杉山
7 有馬 2番 8 高橋
4 卯川 3番 5 松宮
2 丑光 4番 7 鈴木
6 巳上 5番 3 佐藤
8 羊田 6番 2 小野原
9 猿渡 7番 9 玄山
1 辰森 8番 1 後藤
5 羽鳥 9番 4 土屋
先攻が干支高校、後攻がほしうら学院高校。
干支高校の先発は、犬崎でくるだろうと予想していただけに、かなり驚かされた。
予想外だ。予想外だ、けど...。
「辰森なら、絶対に大量得点できる!むしろチャンスだろ!」
誰かが言う。
その通りだ。
向こうがその気なら、コッチは早めに点をかせがせてもらおう。
「よし!先行する展開で、勝つぞ!いくぞ!」
「「「オオーーー!!!」」」
『プレイボール!!』
午後一時。曇り空のもと、試合が始まった。
今日の天気予報は、午後四時頃から雨だ。
一回表。ほしうら学院エース、後藤の立ち上がり。
一番木寅、ファーストゴロ。
二番有馬、空振り三振。
三番卯川、セカンドフライ。
強豪相手に、一歩も引かない強気のピッチングを見せる。
一回ウラ。対する辰森の立ち上がり。
一番杉山、セカンドゴロ。
二番高橋、サードゴロ。
三番松宮、センターフライ。
こちらも安定した立ち上がりだ。
二回表、後藤は、先頭の四番丑光にレフト前ヒットを許す。
無死一塁で、五番巳上。
その3球目、ヒットエンドラン。打球はファーストゴロで、一死二塁となる。
六番羊田は、四球を選び、一死一、二塁。
七番、猿渡。4球目のインコースのボールを打ち、強いライナーが飛ぶ。
しかし、打球はファースト佐藤のグラブに収まる。
一塁ランナーが飛び出し、ダブルプレー。チェンジ。
二回ウラ、ほしうら学院の四番鈴木が右中間に二塁打。
五番佐藤。送りバントを試みる、が、辰森のフィールディングが勝り、三塁アウト。
一死一塁となる。ここで六番小野原がレフト線への二塁打。
七番玄山は、死球。一死満塁というチャンスをつくる。
打席には、八番後藤。
彼は、燃えていた。
先制点のチャンス。
自分が決めるチャンス。
自援護で、楽になれるチャンス。
打撃に自信があるわけではないが、決めたい。せっかくなら、自分の力で。
初球から、狙っていく。インコースのボール。
「(ストレート!打つ!)」
ボールの軌道が変わる。シンカー気味に、沈むボール。
「(っ!!)」
打球は、ピッチャー正面。
辰森が捕って、ホームへ。丑光が受け取り、ファーストへ。
ダブルプレー。点は入らず、スリーアウトチェンジ。
ツーシーム。
ストレートの軌道から、前述のようにシンカー方向に沈むボール。
データにはなかったボール。
ほしうら学院側の頭には、無かったボール。
これまで辰森がツーシームを投げたという記録は、なかった。
隠していた武器。してやられた。
三回表。先頭の八番辰森が死球で出塁し、九番羽鳥がしっかりと送る。
一死二塁で、一番木寅がセーフティ気味のバント。サード松宮がしっかりと反応して、ファーストアウト。
二死ながら、ランナーは三塁に。
打席は、二番有馬。だが、後藤が踏ん張って、レフトフライに抑える。
この回も、無失点で切り抜けた。
三回ウラ。先頭の九番土屋が、粘りに粘って15球目で四球を選ぶ。
一番杉山は、セカンドゴロ。ゲッツー崩れで一塁に残る。一死一塁。
さらに、杉山が盗塁を成功。二番高橋も、完璧に送りバントを決めて、二死三塁。
打席には、三番松宮。その初球だった。高めに浮いてきたチェンジアップ。逃さなかった。
捉えた打球は、飛んで、飛んで、飛んで――。
外野の柵を越えた。
ツーランホームラン。
ほしうら学院は、二点を先制した。
続く四番鈴木は、ショートフライ。スリーアウト、チェンジ。
とうとう試合が動いた。
ほしうら学院は、待望の先制点。しかも、二点。
このリードを、守りたいところだ。
ほしうら学院、先制点を取り、いい流れ♪♪
はてさて、勝てるのかな...?
感想や誤字訂正等、気が向いたらでいいのでお願いします。
今話も読んでいただき、ありがとうござました!