新たな旋律~秋葉での出会い、パトリシア・マーティン~
皆からの気持を受け取り、その感謝の気持をその場で貰ったチョコを食べる事で示し、最後はかがみの悩みを解決して色々あったバレンタインが終わった。
そして、俺は昨日のチョコの食いすぎに胃をもたれさせながらも、いつもの時間に目を覚まし、朝食作りと学校へ行く用意をして着替えを済ませると洗面所に顔を洗いに下に降りたのだが、ふいにキッチンから漂ういい匂いと、聞き覚えのある声での鼻歌に気付いた俺は、キッチンを覗きに行った。
キッチンの中を覗きこむとそこには、上機嫌で鼻歌を歌いながら朝食の準備をするかがみの姿があった。
俺は驚きつつもかがみに声をかける。
「お、おはよう、かがみ。今日は一体どうしたんだ?」
そう声をかけると、かがみは満面の笑顔でこっちに振り向き
「あ、おはよー♪慶一くん。ちょっと思い立ってねー。もうすぐ朝御飯できるから準備して待っててね。」
その、物凄いいい笑顔に俺は圧倒されつつ
「あ、ああ。わかった。じゃあ、ちょっと顔洗ってから戻ってくるから。」
そう応えるとかがみも頷いて
「うん。こっちは任せてね。それじゃいってらっしゃーい♪」
朝からのあまりのテンションに少し引き気味になりつつも、俺は顔を洗いに洗面所まで行くのだった。
洗面所から戻り、キッチンに入った俺はかがみを横目で見つつ、席につく。
それと同時に朝食も出来上がったようなので、かがみが作った料理を持ってきて俺の前に並べてくれた。
今日の献立は、甘シャケの焼いた物とひじきの煮付け、そしてきゅうりのおしんこと味噌汁だった。
俺は並べられた料理を見て
「へえ?これは中々美味そうだな。かがみ、早速いただくよ。」
と言う俺の言葉と共にかがみは、俺に茶碗に盛った御飯を渡してくれる。
「どうぞ、召し上がれ。今日は私、頑張ったからね。」
御飯を俺に渡しながら笑顔でそう言うかがみを見ながら俺は、早速箸をつける。
「ふむ。魚の焼き加減も丁度いいな。それに、この煮付け、手作りじゃないか?結構手間かかるやつだけどこんなの食材で買ってきてたっけな?」
そう言うと、かがみは照れながら
「ありがと。その煮付けは昨日の晩につかさに教わりながら作ったのよ。何回か失敗しちゃったけど最後は上手くいったからね。」
その言葉に俺は感心しながら
「大したもんだよ、かがみ。それに味噌汁は相変わらず美味いしな。」
得意の味噌汁を褒めるとかがみは赤くなって
「それは慶一くんやみんなや、龍也さんも褒めてくれたからね。でもやっぱり褒めてもらえたら嬉しいな。」
そんなかがみに俺も微笑みを返す。
すると、かがみはますます赤くなって視線をそらした。
そんな感じで朝食を取りつつ談笑している時、かがみに今日の事を訊ねた。
「なあ、かがみ。今日はどうしてこんな事を?」
そう訊ねると、かがみは赤くなって少しもじもじとしながら
「・・・昨日のことがさ・・・凄く嬉しかったから・・・だから・・・何かお礼したいな、って思ってさ・・・ひょっとして、迷惑だったかな?」
上目使いでそう聞いてくるかがみに俺は少しどきりとしつつも
「いや、そんな事ないよ。いつ来てもいいように鍵渡してあるし、それに、俺もありがたかったからさ。」
そんな俺の言葉を聞いてかがみは表情をほころばせて嬉しそうに
「ふふ。そう言ってくれるなら来た甲斐もあったってもんね。よかった、喜んでくれて。」
笑顔でそう言うかがみに俺も笑顔で頷き返したのだった。
そして、お茶を出そうと準備してる時に玄関の呼び鈴が鳴ったので、あやのが来たのかも、と思いながら
「かがみ、あやのが猫の世話に来たかもだ。俺は迎えに行ってくるから片付け頼むな。」
かがみにそう言うとかがみは
「わかったわ。こっちは任せといて。峰岸、出迎えてきなさいよ。」
と言うかがみの言葉に頷いて、俺は玄関へと向かった。
「はいはい、今開けるよー。」
そう言って玄関を開けると、そこには思ったとおり、あやのの姿があった。
「おはよう、慶ちゃん。今日も寄らせてもらったわ。あら?」
あやのが玄関に置いてあるかがみの靴に気付いたようで、俺に
「慶ちゃん、今誰か来てるの?あら?この靴は、確か・・・ひょっとして柊ちゃん?」
あやのの言葉に俺は頷きながら
「ああ。かがみが今朝、俺に朝食を作ってくれに来たんだ。俺がいつも作る時間にキッチンにいたからびっくりさ。」
そう説明するとあやのは驚きつつ
「まあ、そうだったの。でも、珍しいわね、柊ちゃんがこういう事しにくるなんて・・・昨日何かあった?」
少し考え込みつつそう聞いてくるあやのに俺は
「実はな・・・・・・と言う訳でな。」
と昨日かがみの家に行った時の事を説明すると、あやのは嬉しそうな顔になって
「そっか、慶ちゃん、柊ちゃんのメッセージに気付いてくれたのね。」
そう言ってくるあやのに俺は照れつつ
「ま、まあ、あの話し方で気付けないようじゃな・・・でも、かがみも自分の気持出せたみたいだからすっきりした顔してたな。」
そんな俺にあやのは笑顔を向けながら
「ふふ。ありがとう、慶ちゃん。柊ちゃんの事気付いてくれて。」
嬉しそうなあやのの顔を直視できず、視線をそらしながら俺は
「かがみも俺にとっては大事な仲間であり友人だからな。」
ほおを掻きつつそう答えると、あやのは少し呆れるような表情を見せていたが、すぐに笑顔になると
「ともあれ、今日もやる事やっちゃうわね?それじゃ上がるわ、慶ちゃん。」
そのあやのの言葉に俺も頷きながら
「ああ、いつもありがとな、あやの。今日もお茶用意してるから落ち着いたら学校いこうぜ。」
俺の言葉に頷くあやのだった。
そしてキッチンに戻ってくる俺をかがみが出迎えてくれた。
「おかえり、やっぱり峰岸だったの?それにしては少し遅かったんじゃない?」
と言う言葉に俺は苦笑しながら
「はは、すまない。少し話し込んじゃっててな。さて、それじゃお茶用意するよ。かがみ、カップとソーサー頼む。」
そう言うとかがみも「わかったわ。」と言ってお茶セットの準備をしに行ってくれた。
俺はその間にお湯を沸かし、お茶の用意をする。
そして、そろそろ鞄取ってきたほうがいいなと思った俺は準備を終えた後、鞄を取りに2階へと行く際にかがみに
「かがみ、鞄取って来ちゃうからそこで待っててくれ。」
と言う俺の言葉にかがみも頷く。
それを確認してキッチンを出る時、あやのとすれ違った。
「あら、慶ちゃん。忘れ物かしら?」
と言うあやのに俺は
「今、鞄を取りに行こうと思ってな。あやのはかがみとキッチンにいてくれ。」
そう告げるとあやのも頷いて「わかったわ、いってらっしゃい。」
と言ってくれたのだった。
あやのside
今日もいつものとおり、慶ちゃんの家の猫の世話にやってきた私だったが、私を慶ちゃんが出迎えてくれた時玄関に柊ちゃんの靴が置いてあるのを見つけた。
その事を慶ちゃんに聞くと、朝早くに家にやって来て朝食の準備をしているという。
驚いた私は慶ちゃんに事情を聞いたのだけど、昨日の事が原因なのだと慶ちゃんは説明してくれた。
そして、柊ちゃんの心の叫びに気付いてくれた慶ちゃんを私はとても嬉しく思ったのだった。
いつものように猫を世話を終えてキッチンへ向かうと、鞄を取りに行くと言う慶ちゃんとすれ違った。
慶ちゃんを軽く見送って私はキッチンへと入って行くと、そこには、こちらからみても明らかに上機嫌な柊ちゃんが私を出迎えてくれたのだった。
「あら、峰岸、いらっしゃい。お茶の準備できてるわよ?」
そう言って席につくように促してくれる柊ちゃんに
「ふふ。その様子だと、昨日は上手く行ったみたいね。よかったわね、柊ちゃん。」
私がそう言うと柊ちゃんは顔を赤くしつつ照れながら
「あはは、本当は最後の勇気振り絞った時も失敗しちゃってさ、諦めかけてたんだよね。でも、慶一くんが私の言いたかった事に気付いてくれてね。」
嬉しそうに言う柊ちゃんに私は頷きながら
「時折鋭い時あるわよね、慶ちゃん。でも、私もほっとしたわ。」
そう言うと柊ちゃんは私に
「うん。そうね・・・。ありがと、峰岸。あんたに言われた通り、諦めないでよかった。後悔せずに済んだものね。」
そんな柊ちゃんの言葉に私は
「どういたしまして。私も柊ちゃんのお友達だからね。私に出来ることなら力になるわ。」
そう言うと柊ちゃんも私に笑ってくれたのだった。
そうこうしているうちに慶ちゃんがキッチンに現れたので
「お帰り、慶ちゃん。」
と言って出迎えてあげたのだった。
慶一side
鞄を取ってキッチンに戻ると、かがみとあやのが楽しそうに談笑していた。
俺はそんな姿を見て改めて微笑ましい気持で2人を見ていたのだった。
そして、2人にお茶を振舞って俺達は学校へ向けて出発する。
いつもの電車に乗ると、いつもの時間につかさも電車に乗って来ていたので、俺達は合流する。
こなたとも合流していつもの朝の通学風景になった。
「おはよ、つかさ、こなた。改めて、昨日はありがとな。チョコ美味かったよ。」
そう言うと2人とも顔を赤らめながら
「あはは。喜んでくれたなら嬉しいよ。とはいえびっくりはしたよー?突然食べ出すんだもんね。」
「そうだよね~。でも、けいちゃんの本心聞けて嬉しかったな。」
俺はそんな2人の言葉に照れながら
「ま、まあ、それしかチョコをくれたお前らに報いる方法を思いつかなかったってのもあるけどな。」
そんな俺の言葉を聞いた2人はとても嬉しそうな顔をしていたが、俺はそんな2人の顔を照れで直視できずに視線をそらした。
そんな俺をニヤニヤとしながら見ているこなたに、かがみとあやのも挨拶をするのだった。
「おはよう、こなた。つかさ、ちゃんと起きれたみたいね。」
「おはよう、泉ちゃん、妹ちゃん。良かったね、慶ちゃん喜んでくれて。」
そんな2人にこなたとつかさも
「おはよー、かがみ、峰岸さん。うん、頑張った甲斐があったよー。」
「おはよう~おねえちゃん。何とか起きれたよ~?それと峰岸さん、喜んでくれた事も嬉しいけど、けいちゃんの本心と共に食べてもらえた事も嬉しいよ?」
そんな2人にかがみもにこにことして、あやのも微笑みながら頷いていた。
そんなかがみの様子を見たこなたが
「かがみんもその様子だと、慶一君に渡す事出来たみたいだね?」
さり気なくこなたはかがみに突っ込まれるような事を言ったのだが、今日のかがみはそんな事など意にも介さずににこにこの顔を崩さず
「昨日、渡せたわよ?私も嬉しかったしね♪」
そんなテンションのかがみにこなたがかなり引き気味になりながら
「・・・かがみが壊れた・・・」
と呟くのを聞いて俺は苦笑していた。
その後もかがみのテンションは落ちる事を知らず、学校に行ってもこのテンションを持続しつづけて、みゆき達すらも若干引かせていたのだった。
ちなみに、かがみのテンションはそれから3日間は持続しつづけて、そんなかがみを見ているこなたは大分疲れているように見えた。
そして、その次の日は休日だったのだが、今日は珍しく全員に用事があったようで、俺は久々に1人での休日を過ごす事となった。
軽く部屋の掃除をして、猫に餌をやったりと、午前中は家の事を重視で動きまわり、午後からはラノべの新刊等を見るのとパソコンのパーツを探す為に秋葉腹へと向かった。
秋葉に着いてパソコンのパーツを選び終えて、次はア○メ○トかゲ○ズにでも立ち寄ろうかと考えながら歩いていると、何やら助けを求める女性の声が聞こえてきた。
「・・・・・・デス!ダレかワタシにミチをオシえてクダサイ!」
言葉の感じから、どうも日本人ではなさそうだなと思いつつ、声のする方を見てみると、そこにはショートの金髪でボーイッシュないでたちの外人の女の子がしきりに道行く人に声をかけて道を尋ねようとしていたが、外人ともなるとどうにも目をそらす人が多いみたいで、声をかける人かける人にことごとく無視をされていた。
その子の様子を見ていると相手にしてもらえない状況から、徐々に落ち込みの表情を見せ始めていたので、俺はその様子を見てため息を一つつくと、その子の側にいって声をかけた。
「あー・・・エクスキューズミー・・・」
と言う俺の呼びかけにその子はこちらを振り向いて困ったような表情で
「えーと・・・ワタシですヨネ?シンパイいりませんー。ニホンゴわかりマスから。」
そう返してきたので、俺は驚いて
「え?あ、そ、そうなんだ。えーっと・・・何だか困っているみたいだったからね、お節介かな?と思ったんだけど声かけさせてもらったよ。君は何か聞きたい事あるんじゃないか?」
その子にそう言うと困ったような表情で頷きながら
「ジツはそうなのデース。ワタシ、二ホンのアニメとかダイスキなのデスが、このマチにはア○メ○トとやゲー○ーズというショップをサガシにキタデスヨ。けど、ショップのバショがよくワカラナイのでミチをキキたかったのデスガ、ミンナワタシのコエにコタエてくれないのでコマってイマシタ。」
その子の言葉に俺は頷きながら
「なるほどね・・・うーん・・・君の行きたがっていた店なら俺が場所知ってるし、丁度行こうとしてたところだから一緒に行くかい?」
俺がそう持ちかけると、その子は途端に笑顔になって
「ホントですか?サンキューデス。それではサッソクいきまショウ。」
そう言いながら俺の手を取って走り出そうとするその子に俺は
「ははは、慌てなくてもいいよ。ところで、えーっと・・・君はなんて呼べばいいかな?」
俺がそう訊ねるとその子は笑いながら
「そうイエバまだナマエをイッテませんデシタ。ワタシのナマエはパトリシア・マーティンとイイマス。アナタのナマエはなんとイウのデスか?」
自己紹介してくれた子に俺も自己紹介を返す。
「パトリシアさんというのか。俺は森村慶一。俺の事は呼びやすいように呼んでくれ。」
そう言いつつ手を出すと、パトリシアさんも俺に右手を差し出してきてお互いに握手を交わして
「ケイイチ・モリムラなのデスね?ならケイイチとヨバせてモライマス。ワタシのコトはパティとヨンでクダサイ。」
というパティの言葉に俺も頷くのだった。
そして、再び俺の手を取って走り出すパティに俺は道案内をしながらも一緒についていく。
ほどなくして店に辿り着き、俺はパティにここが目的の店だと言う事を伝えると、パティは物凄く目を輝かせながら
「コレがア○メ○トなのデスネ?ワオ!ネットでミタトオリデス!グッズやマンガがイッパイデスー!!ケイイチ!サッソクマワリまショウ!」
俺の目的などお構いなしでパティは俺を店中引っ張りまわすのだった。
「おいおい!パティ、落ち着けって!」
店内を引きずりまわされながら俺はパティに声をかけるが、らんらんと目を輝かせているパティに俺の言葉が届かなかった。
そして・・・・・・
「ハルヒのDVDデス!これはカイデスネ!こっちはコミックスデス!これもカイマス!」
DVD、マンガコーナーへ行っては買い込み・・・
「オウ!これがニホンのゲームデスね?これもカイマス!」
ゲームのコーナーに行っては買い込み・・・
「グッズもタクサンありマスね。これもカイデス!」
お気に入りのグッズを見つけては買い込んでいた。
俺も自分のラノべを買い込みながら、そんなパワフルなパティに終始圧倒されていた。
(外人さんで日本のこういうのが好きな人もいるみたいだけど、エネルギーは半端じゃないなあ・・・)
そう心の中で思いつつも苦笑している俺だった。
やがて、買い物が済む頃にはパティの手荷物はかなりの量になっていたのだが、パティはとても満足そうにほくほく顔で
「イヤー、キョウはタクサンカエマシタ。これもケイイチのおかげデス。ケイイチにはとってもカンシャデスよ。」
その言葉に俺も少し疲れた顔を向けながら
「はは、満足できたならよかったよ。しかし、パティ、凄いエネルギーだよな。ずっと圧倒されっぱなしだったよ。」
と言う俺の言葉にパティは満面の笑みで
「それはトウゼンデース。スキなモノのタメ(アニメ、マンガ、グッズ)にイノチをかける。それがオタクというものデスヨ!」
そう力説するパティに俺はまたしても苦笑するのだった。
そんなやり取りをして何気に時計を見た俺は、いい時間だったのでそろそろ引き上げようと思い、パティに声をかけた。
「パティ、そろそろ時間も時間だから俺はこのまま帰るよ。」
その言葉にパティは慌てて俺に
「ちょっとマってクダサイ。キョウのコトにタイするオレイをまだシテマセン。カイモノでおカネをツカイすぎマシタのでタイしたモノはゴチソウデキませんが、ゼヒそこでオゴらせてクダサイ。」
そう言いつつパティはマクドナルドを指差す。
俺は困惑しつつパティに
「しかし、買い物でお金結構つかっちゃんだろ?きついのなら無理しなくてもいいよ?」
そう言うと、パティは激しく首を振って
「イイエ!おセワになっているのデスからこクライはしないとワタシのキがスミマセン!ワタシのコトはシンパイせずにゼヒ!!」
そこまで引き止められては俺も無下に断るわけにも行かず、俺は結局パティに言われるままにマクドナルドでご馳走になる事となった。
「わかった。パティの顔を立てよう。先に注文させてもらうよ?席の確保しておくからさ。」
俺がそう言うとパティも頷いて
「なら、ソチラのほうはおネガイシマス。ワタシもチュウモンをスませてそっちにイキマス。」
と言うパティに俺も頷いた後、注文をして俺はパティの分の席も確保した。
そして、自分の分を持ってやってきたパティに席へと誘導すると、ハンバーガーを食べながらパティとの談笑をしていた。
「そういえばパティっていくつなんだ?」
「ワタシデスか?ワタシは今年で16歳になりマス。」
「へえ?俺より2つ下か。日本へは何をしにきたんだ?」
「ケイイチはトシウエでしたか。日本にはコウカンリュウガクセイとしてやってキマシタ。シガツからリョウオウガクエンとイウトコロにカヨうヨテイなのデスヨ。」
その聞き覚えのある名前に俺は思わず
「え?陵桜だって?そいつは奇遇だな。俺も陵桜の生徒なんだよ。」
そう聞き返すとパティはかなり驚いたようで
「オウ!それはホントウデスか?ナルホド、これはヒョットしたらウンメイというヤツなのかもしれマセンネ。」
などと言うことを言って来たので俺は呆れつつ
「運命、って大げさな・・・ただの偶然だろ?」
そう言うとパティは人差し指を顔の前で数回振ると
「アマイデスね、グウゼンとはすなわち、ヒツゼンというものデスヨ?つまりワタシにとってケイイチはウンメイのヒトとイウわけデスヨ。」
と言うパティに俺は軽い頭痛を覚えつつ
「はは、なんと言うかお前って俺の知ってるやつに似てるな・・・たぶんお前となら話合うかもしれないな。」
俺の言葉にパティは瞳を輝かせると
「ホントウですか!?ケイイチのカヨうガッコウにワタシとハナシのアイそうなオタクがいるのデスネ?」
その言葉に俺は慌てつつ
「ば、馬鹿、声が大きい!あまりそう言う言葉を出すなって・・・まあ、そういう事だ、2人はお前にとって先輩になるだろう。どちらも年上だしな。もう1人は、今年試験に合格していればおそらく入学してくるはずだ。パティ、お前にもわかるように名前を教えておいてやる。学校に来たら、話してみろよ。」
そう言った後、俺はパティに3人の名前を教えると、パティはその名前を噛み締めるようにして笑顔を浮かべて
「コナタとコウ、そしてヒヨリとイウのデスネ?よくオボエておきマス。サンキューネ、ケイイチ。」
お礼を言うパティに俺も頷いて笑顔を返した。
「・・・ケイイチも、ワタシのフレンドになってくれマスカ?」
ふと思い立ったように俺に言うパティに俺は少し驚いていたが
「それは構わないが、俺でいいのか?」
そう訊ねるとパティは満面の笑みで
「モチロンデス!ケイイチからうけたオンはワスレてはいないデスからネ。それに、ケイイチならいいフレンドになってくれそうデスカラ。」
そんなパティに俺も照れながら
「そんな風に言われると照れるな、でも、改めてよろしくなパティ。」
「ワタシこそよろしくデス。」
そう言って再度俺達は握手を交わすのだった。
そして、食事を済ませて俺とパティは秋葉を後にする。
その際にパティと携帯電話のメルアドと番号の交換をして別れたのだった。
今日俺は新たな出会いを果たす事となった。
その子は意外にも日本人ではなく、交換留学生として日本にやってきたアメリカ人の女の子だった。
そして、話を聞いてみると、偶然にも留学してくる学校は俺や他の旋律達と同じ所だと言う。
俺はこの偶然の一致にあの子が最後の方で言っていた運命という言葉を思い出した。
改めて考えてみた時、俺はあの子の言う運命という奴もあるのかもしれないな、と思うのだった。
この子は今後俺達の旋律の中に加わる事になる、という事を何故か疑いもしなかった。
それを自然と感じた事もまた、運命と言う言葉を否定せずに受け入れられたのかもしれないとさえ思う。
だが、俺はさらにこの後でとんでもない事態になる事にその兆候すらも気付きもしないまま、日々を過ごす事になるのだった。
また一つ現れた旋律の調べはどんな音楽を奏でるのか、今はまだ、誰にも分からない。
そして旋律達の運命はさらに広がって行くのだった。