らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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祝いの旋律~今年最初の誕生日会~

かがみとまつりさんを預かる波乱の3日間。

 

そして、最近立て続けに起きている事故や正月早々に引いた風邪の事を含め、俺は鷹宮神社のおみくじって本当はよく当たるんじゃなかろうか?とさえ思い始めていた。

 

ちなみにあの後なのだが、案の定、宿題をやっていなかったつかさにせがまれて、かがみはしぶしぶ宿題を見せる羽目になったとの事。

 

今朝の通学の時にかがみが憂鬱そうに俺に話して来るのを聞きながら、俺はただただ苦笑するしかなかったのだが・・・・・・

 

そんなこんなで1月が過ぎようとしている月末の学校で、俺は間近に迫っているこうの誕生日の事に頭を悩ませていた。

 

前にあいつと話した時に何か考えてやると言ったその事が、結果的に俺の首をしめてしまっていた。

 

うっかり予告なんかをしてしまったものだから、もはやこうが俺が何かを企んでいるという事は容易に想像してしまうだろう。

 

だからこそ、こっそり何かをやろうという企みは意味をなさなくなっていた、というのもあった。

 

俺が一人教室で自分の席に座りながら難しい顔をしていると、あやのが俺の側にやってきて

 

「あら?慶ちゃん。なんだか考え込んでるみたいだけど何かあったの?」

 

そう声をかけてくれたあやのに、俺は困ったような表情で

 

「あー・・・まあ、ちょっとなー・・・実はもうそろそろこうの誕生日なんだけど、その事で悩んでるんだよ。」

 

その説明にあやのは

 

「八坂さん、誕生日近いのね?なら永森さんの時みたいに何かやってあげたらいいんじゃないかしら?」

 

頬に人差し指を添えつつ、考えるように言うあやのに俺は苦笑しながら

 

「それなんだけどさ、うっかり俺が予告みたいなこと言っちゃったからこっそり何か準備してやる、っていう手が使えなくなっちゃっててな・・・だからこそ困ってるって訳なんだけどさ・・・」

 

そんな俺の言葉にあやのは首を傾げつつ「どうして?」と短く聞いてきたので俺は

 

「向こうがこちらが何かを企んでる事を知らないというのであれば、前のやまとの時みたいに感動させられる演出も効果がでるだろうけどすでに知ってしまってる状況じゃ相手にも心の準備が出来ちゃってるからな・・・だからこそやりにくいんだよなあ・・・・」

 

その言葉にあやのは少し考え込んだ後

 

「いいんじゃない?それでもさ。慶ちゃんが八坂さんに何かをしてあげるって事が大事なんだと思うわよ?それが例え相手の心の準備ができていたとしてもね。だから、慶ちゃんは慶ちゃんがやってみたいようにやればいいと思うわ。もちろん私達にも声かけてくれるのならちゃんと協力はするしね。」

 

そう言って笑顔で笑うあやのに俺は

 

「うーん・・・そうか、そうだよな・・・。ありがとう、あやの。何ができるか分からないけどやってみるよ。その時は声かけるから協力たのむな。」

 

俺もあやのに笑顔で返しつつそう言うと、あやのも嬉しそうに頷いてくれたのだった。

 

あやのとのそんなやり取りの後、その日の昼休み、俺は珍しく星桜の樹の側にある自販機で飲み物を購入しつつ1人で休憩していたのだが、そんな俺に声をかけてくる者がいた。

 

「あ、あのー・・・森村先輩、ですよね?アニ研の仮部長されている。噂は色々聞いていますよ?」

「こら、たまき。いきなりそれは失礼だよ。すいません、この子私の幼馴染なんですよ。」

 

という声に振り向いてみれば、そこには2人の女生徒の姿があった。

 

「えーと?君達は?」

 

俺が聞くと、最初に声をかけてきた子に注意を促した子が

 

「あ、申し遅れました。私は毒島みく、といいます。こっちの子は私の幼馴染で山辺たまき。私達はこの学校の1年です。」

 

そう自己紹介すると、もう1人の子も俺に

 

「えっと、山辺たまきです。さっきはいきなり声をかけてすみません。」

 

そう言って来たので俺も

 

「いやいや、ちょっと驚いただけだし、構わないよ。俺は森村慶一よろしくな。」

 

そう言うと毒島さんが

 

「よろしくお願いします、先輩。それでですね、先輩に声をかけさせてもらったのはアニ研の部長の先輩にお願いがあるからなんです。」

 

毒島さんのお願いがなんなのかを訊ねてみようと思い、俺は

 

「お願い?どういう内容?話によっては聞けない事もあるけど?」

 

そう言うと、毒島さんは山辺さんに目配せして。先程の声かけに関する事を改めて話してくれた。

 

「はい。実はですね、私達もアニ研に入りたいと思いましてそれならば部長である先輩に相談するのがいいと思ったんですよー。」

 

俺はその言葉に苦笑しつつ

 

「なるほど、そういう事か。実質そっちの方もこうに任せっきりだったからすっかり忘れてたな。それで?入部希望は君だけかい?」

 

そう訊ねると、山辺さんの代わりに毒島さんが

 

「私も一緒に、です。構いませんでしょうか?」

 

そう言って来たので俺は頷いて

 

「ああ。構わないよ。部員が増えるのは嬉しい事だし、こうも喜ぶだろう。それじゃ、入部届けを書いて俺に・・・まてよ?」

 

俺はそう言った後、少しの間考え込みはじめる。

 

やがて考えが纏まったので俺は顔を上げて2人に

 

「なあ、君達にちょっと頼みがあるんだけどいいかな?」

 

俺がそう言うと2人はきょとんとした顔で

 

「私たちに、ですか?なんでしょうか?」

「私たちに出来ることですか?」

 

そう聞いてきたので俺は頷きながら

 

「ああ、実はね・・・・・・という事なんだけどどうかな?」

 

俺の頼みに2人は顔を見合わせていたが、2人して頷くと

 

「ええ、構いませんよ。それじゃ細かい連絡などは先輩からよろしくお願いします。」

「ちょっとしたサプライズですねー?そういうのも面白そうです。私も協力させてもらいますよー?」

 

俺の頼みを快く承知してくれる2人に俺は改めて御礼を言うと、俺は、こう以外のメンバーを集めて早速誕生日の計画を練り始めるのだった。

 

ちなみにやまとにはこうに気付かれる事を防ぐ為に、何かとストッパーになってもらう事にした。

 

そして、屋上にて・・・・・・

 

「・・・・・・以上が今回の誕生日会に関する計画だ。何か質問はある?」

 

一応の計画の概要を説明するとこなたが

 

「なるほど、今回はアニ研部室を使うんだね。こういうのも中々面白そうじゃん?それで、慶一君。当日はちゃんと使用許可とってくれるんだよね?部室使えなかったら意味ないよー?」

 

と言うこなたに俺は頷きながら

 

「そこらへんは抜かりない。ちゃんと桜庭先生に許可取って来たから。」

 

俺の言葉に納得して頷くこなた。

 

「それじゃ、私達は永森さんが八坂さんを連れて来るまでの間に準備済ませればいい訳ね?」

 

かがみの言葉に頷いて

 

「ああ。また準備の方頼んじゃうけどよろしく頼むよ。」

 

そしてつかさも俺に

 

「わたしと峰岸さんとでケーキとか用意するよ~。だからこっちはわたし達に任せてね?」

 

その言葉に俺も頷いて「ありがとう。」と短く礼を言う。

 

つかさも俺の言葉ににっこりと笑って頷いてくれた。

 

「では、私達は飾り付け等をがんばりましょうか。」

「そうだなー。それでまた派出に誕生日を祝おうゼ?」

 

みゆきとみさおが2人してそう言ってくる。

 

俺は2人に頭を下げつつ

 

「そっちの方はよろしく頼むよ。ただ、今回は当日に飾り付けて当日に撤去するようにするから直前までは飾りつけがすぐできるように手配を頼むぜ?とは言え、まあ、みゆきに任せておけば安心かな。」

 

冗談交じりに俺がそう言うとみさおは頬を膨らませながら

 

「何だよ慶一!私じゃ信用ないっていうのかよー!それはあんまりじゃねえか?」

 

と怒ってしまったので俺は慌てて

 

「いやいや、悪かった。そんなつもりで言ったんじゃないんだ。すまん。」

 

みさおに謝ると、横からかがみが

 

「まあ、普段のあんたの行いが原因って事ね。少しは反省したら?」

 

ニヤつきながら突っ込みを入れるとみさおは涙目になって

 

「あやのー・・・そこに悪魔がおるよ?」

 

そう言いつつあやのに泣き付くみさおを、あやのは「よしよし」と言いながら頭をなでてやっていたのだった。

 

その微笑ましい光景に俺も思わず笑みをこぼすと

 

「ま、とにかく、当日はよろしくな。みんな。」

 

改めてそう言うと、皆は笑って頷いてくれたのだった。

 

その後の俺達は、なんとかこうに気付かれるのを防ぎつつも着々と準備を進めていった。

 

俺も俺でこうのためにプレゼントを購入しつつ、こうの誕生日に備えた。

 

そして、こうの誕生日前日の2月2日の土曜日、桜庭先生の機転で早めに部活を終えたこうとやまとを俺達が部室付近で2人が出て行くのを確認してから部室に入り込み、誕生日会の飾り付けをするのだった。

 

「おーし、あんまり派手な物でなくていいぞ?やり終えた直後はすぐに片付けられるようにそっちの準備もしなくっちゃな。」

 

俺は手が空いていたので、料理担当のこなた達以外のメンバーと共に飾り付けにいそしむ。

 

「慶一くん、これはここでいいかな?」

 

飾りの設置をしながらかがみが俺に確認を取ってくる。

 

俺は頷きながら

 

「ああ、それでいいぞ。みさお、それはそこでいいぞ?みゆきと一緒に頼む。」

 

誕生日おめでとうと書かれたボードを正面の黒板にくっつける作業をみさおたちはやっていた。

 

「おう!こっちはまかせてくれー。高良ー、そっち頼むゼー?」

 

反対側を持ちながら、もう反対にいるみゆきに指示を出すみさお。

 

「こうでいいでしょうか?日下部さん。」

 

角度の確認をするようにみさおに言うみゆき。

 

みさおは頷いて

 

「ああ。それでいいぞ?んじゃ次はこれかな?」

 

そう言って手作りの花飾りをつけて行く。

 

みゆきも同じように手伝いつつ作業を進めた。

 

俺はある程度一段落した事を確認して、明日の事で新入部員の2人に確認の連絡を入れる。

 

数回のコールの後、毒島さんが電話に出た。

 

『もしもし。毒島さん?俺だけど、明日の準備、こっちは着々と進んでるよ。2人はどうかな?』

『あ、先輩。ご苦労様です。こちらは大丈夫ですよ。ですが念のため、一度こちらに連絡が欲しいです。集まる1時間前くらいに連絡を一本入れてくれますか?』

『オッケー。その頃にもう一回連絡するよ。山辺さんの方にも君から連絡入れておいて欲しい。』

『分かりました。それでは明日に。』

『ああ、よろしく。』

 

そう言って電話を切り、俺は今度は料理チームの方に連絡を取る。

 

数回のコールの後、こなたが電話にでた。

 

『もしもし、慶一君?どうしたのー?』

『こちらは大分準備が済んだからそっちの様子確かめておきたくな。そっちの状況はどうだ?』

『こっちは抜かりないよ。ケーキも完成したしね。私から見てもなかなかの出来栄えだったよー?これなら明日八坂さんも喜んでくれるよ。』

『そうか、それなら安心だな。つかさとあやのにもご苦労様って伝えておいてくれ。明日はとりあえずがんばろうぜ。』

『うん。思い出に残る誕生日になればいいね。』

『そうだな、あ、それとだ、こなた。くれぐれも言っておくが、今日は深夜までのゲーム禁止な。それで遅れてこられちゃ困るからな。』

『ぶー!分かってるよー!わざわざそんな風に釘刺さなくていいじゃん!慶一君の意地悪ー!』

『その3人の中じゃお前が一番心配だからだ!ふう・・・まあいいや、とにかく明日な。こなたの料理も楽しみにしてるからな。』

『え!?あ、うん。わ、わかったよ。まったく、ずるいよね、慶一君は・・・』

『ずるいってなんだよ?俺、なんかしたか?』

『・・・はあ、これだもんね・・・いいよ、わからないならそれで。とにかく明日ちゃんといくから楽しみにしててねー』

『ああ、待ってるぞ。』

 

そう言って電話を切る俺だった。

 

ただ、最後にこなたが俺に言った事の意味がいまいちわからず、頭にハテナマークを飛ばす事になったのだが。

 

そして、何故かその様子を見ていたかがみもまた、俺を見ながら苦笑を浮かべているのを見てさらにハテナマークの数が増えた俺だった。

 

そして少しの不安をよそに迎えた当日、俺達はやまとに細工を頼み、いつもの集合時間をずらしてもらって先に部室に集合していた。

 

毒島さんと山辺さんも時間に来てくれたので、部室の準備室で待機しておいてもらう。

 

そこに時間にはまだ余裕があったものの、少し遅れてこなたが到着した。

 

用意してた料理は柊家で作っておいたので、そっちはかがみとあやの、つかさ、みさおに頼んで運んでもらっていた。

 

「よしよし、こなた。少し遅れたが今までよりは早いし余裕もあるからいいぞ。それじゃみんな最終確認だ。各自チェック頼む。」

 

そう指示を出すとこなたは

 

「料理は大丈夫だよ。ケーキも準備よしだね。」

 

そう言って、かがみ、みさお、みゆきも

 

「飾り付けの方も大丈夫よ。ちゃんと出来てるから。」

「こっちもオーケーだゼ?」

「こちらもおかしいところはないようです。心配入りませんよ。」

 

と最終報告をしてくれた。

 

俺はそれに頷いて、あやのとつかさを含めた全員にプレゼントの確認を促すと、全員が持ってきたものを確認してこちらの準備は完了した。

 

そしていよいよ誕生日会、なのだが、予想通りというかなんというか・・・やっぱりこうは遅れてきた。

 

予定の時間を30分程オーバーした頃、こうがやってきた。

 

俺達はその事をすっかり失念していたために、逆にこっちが虚を突かれる事となったのだった。

 

「いやー、みなさんお待たせです・・・ってあれ?」

 

後ろで呆れ顔をしているやまと、そして部室に入るなり頭にハテナマークを飛ばすこう、そして、すっかりタイミングを外されて逆に脅かされる俺達。

 

「うお!びっくりした・・・こう!お前、いい加減遅刻癖直せ!タイミング狂っただろうが!」

 

皆を代表して俺がこうに突っ込むと

 

こうは未だに何が何だか分からないという風で俺に

 

「す、すいません。けど、みんなも集まっていったいどうしたんです?今日、何かありましたっけ?」

 

というこうの言葉に俺たちは揃って脱力仕掛けたのだが、何とか持ち直す。

 

こうの後ろにいたやまとが呆れたような声で

 

「こう、あなた、自分の誕生日忘れたの?まったく、あきれるわね・・・」

 

と言うやまとの指摘にこうは少し考える仕草をしていたが、やがて掌をぽんと一度打つと

 

「そうでした、色々忙しくてすっかり忘れてましたよ。あの、もしかしてこれって・・・」

 

おずおずと俺に聞いてくるこうに俺は大きく頷くと

 

「そうだよ。みんなも俺も、お前の為に集まったんだ。今日はお前の誕生日だからな。みんなで祝ってやろうと言う事でな。」

 

そう告げるとこうは途端に嬉しそうな顔になって

 

「あ、ありがとうございます。みなさん。とても嬉しいです。先輩もありがとう。そっかー、それで最近やまとは私との付き合いよかったんだね。」

 

こうがそう言うと、やまとは軽くため息をつきながら

 

「おおむねはあなたに先輩達の企みに気付かれないようにあなたを引き離す事が目的だったんだけどね・・・誕生日の事本人が忘れてるんじゃ本末転倒ね・・・」

 

やれやれ、とジェスチャーするやまとにこうは両手を合わせて謝り倒していた。

 

「ごめん、ほんとごめんって、ね?この通り!」

 

そんなこうにやまとは

 

「謝るならあなたの為に準備してくれた先輩達に言いなさいよ。私に言ってもしょうがないでしょ?」

 

と言うやまとのことばにこうは俺達の方に向き直って

 

「みなさん!本当にすいませんでした!」

 

と言って頭を下げるこうに俺は苦笑しながら

 

「もういいよ。とりあえずこのままじゃ先にも進まない。だから・・・皆、飲み物を手に持ってくれ!やまと、こうにも飲み物を渡してやってくれ。」

 

何時の間にかこうの分の飲み物を用意して、やまとに手渡されていた飲み物をこうに渡すと

 

「ほら、主役なんだからしっかりしなさい。」

 

と言うやまとから、こうは申し訳なさそうな顔で飲み物を受け取っていた。

 

「はは、そうだね。よしっと、準備オッケー。」

 

そう言って飲み物を掲げるこうの姿を確認した俺はみんなを見ながら

 

「では、改めて、こう、誕生日おめでとう!」

 

と言う掛け声と共にみんなも「「「「「「「おめでとー!!」」」」」」」と一斉に声をあげてグラスを掲げる。

 

その声に応えるようにこうも

 

「みんな、ありがとー。部室でやるっていうのが斬新でいいね。皆さんの好意に感謝です!!」

 

と、俺たちに負けない声で返した。

 

「こう、これは俺からお前にプレゼントだ。」

「これは私からだよ?限定物のアニメDVD選んできたから資料にするなり自分で楽しむなりしてねー?」

「こなたは相変わらずね・・・これは私から。おめでとう八坂さん。」

「これはわたしからだよ~?ケーキと一緒に作ってみたんだ~。よかったら食べてね?」

「これは私からです。お役に立てばいいのですが・・・」

「これは私からだゼ?大事に使ってくれよなー。」

「これは私からよ?私のお気に入りを元にチョイスしてみたの。」

 

皆からのプレゼントを受け取って満面の笑みをうかべるこう。

 

「皆ありがとうー。凄く嬉しいですよ。これ大事にしますね?」

 

そして最後にやまとが

 

「これは私から。まあ、あなたに使ってもらえればそれでいいわ。」

 

とプレゼントを手渡すとこうは凄く嬉しそうに

 

「ありがとう、やまと。これ使わせてもらうからね。」

 

と言うこうにやまとは照れながらそっぽを向いて

 

「あなたには以前に私の為にしてもらってるからね、そのお返しをしただけよ。」

 

そのやまとの態度にこうはニヤニヤしながら

 

「ツンデレなやまと萌え!」

 

とこうが言うとこなたもそれに同意して

 

「うんうん、いいツンデレ、かがみにも引けをとりませんなー。」

 

と言いながらニヤついていた。

 

さらにそこにかがみも突っ込みをいれて

 

「私はツンデレじゃないっての!まったく勝手な事言うんじゃないわよ!!」

 

そう言うとやまともこうに顔を赤くしつつ

 

「萌えとか言わないでよ!ほんとにあなたって人はー!!」

 

2人してこなたとこうに説教する姿を見て、俺達は苦笑を浮かべるのみだった。

 

そして、俺はここでもう一つ、こうへのプレゼントを渡す事にしたのだった。

 

「こう、俺からもう一つプレゼントがあるんだが、受け取ってくれるか?」

 

そう切り出すと、こうは俺を見て

 

「もう一つのプレゼント、ですか?まあ、いただけるものでしたら遠慮なくいただきますけど。」

 

そう言いつつも少し不思議そうに俺の顔を見るこうを見つつ、俺は待機してもらっていた2人を呼ぶ。

 

「なら、受け取ってくれ。おーい!2人とも、入ってきていいよー!!」

 

と準備室の方に声をかけると、そこから2人の女生徒が入って来たのだった。

 

それを見たこうが俺に

 

「どういう事ですか?先輩、これって・・・私、その気ないんですけど?」

 

と、的外れな事を言うこうに俺は呆れつつ

 

「そういう事じゃない!ったく・・・はいはい、2人とも自己紹介よろしく。」

 

俺達の側にやってきた2人にそう促すと、2人とも頷いて自己紹介を始めたのだった。

 

「初めまして、八坂さん。私は山辺たまき、よろしくね?」

「初めまして。私は毒島みく、よろしく。」

 

と言う2人にこうも思わず自己紹介を返す。

 

「あ、ども。私は八坂こう。よろしくね。2人とも同じ学年?」

 

そう訊ねると、毒島さんが頷いて

 

「うん、同じ1年。クラスは違うけどね。」

 

そう答える毒島さんにこうもなるほど、と頷いていた。

 

そして俺は2人をプレゼントと言った理由を説明する。

 

「こう、実はこの2人な、アニ研には入りたいって事らしいんだ。うちの部は未だ部員数も少ない状況だからな。こうも結構人材探しは苦労してるみたいなようだったし、2人から俺に部に入りたいって言ってきたんでな、なら、お前の誕生日プレゼントの一つで部員を進呈しようと思ったのさ。」

 

その俺の説明に納得したらしく、こうは俺に

 

「そういう事でしたかー。いやー、助かります。2人とも改めてよろしくー。」

 

そう言って握手のために手を出すこうに2人も同じように手を出して

 

「「よろしくね」」

 

そう言って握手したのだった。

 

それと同時に起こる拍手、俺も同じように手を叩いていた。

 

そして俺はその2人にも

 

「さあ、顔合わせはこれで終わりだ。2人もこうの誕生日を楽しんでくれな。」

 

そう言うと2人とも笑いながら

 

「ありがとうございます。それじゃ楽しませてもらいますね。」

「私たちがプレゼントになるとは思いませんでしたがこれもいい経験だね。」

 

と言っていたのを見て俺は苦笑しながら

 

「はは、いきなりこんな事頼んで悪かったね。でも、乗ってくれた事、感謝してるよ。これからもこうと一緒にアニ研、よろしく頼むよ。」

 

そう言うと2人とも頷いて

 

「任せてください。先輩が立ち上げた部ですし盛り上げていきますよ。」

「でも、時折先輩も顔出しに来てくださいね?待ってますから。」

 

と言う2人に俺も頷いて

 

「まあ、正式にこうが部長になる時までは顔出すようにはするよ。」

 

そう言って笑うのだった。

 

今日はこうの誕生日。

 

いつも手渡すプレゼントと一風変わったプレゼントをこうに手渡して、俺はとりあえずは成功かな?と心の中でほっとしていたのだった。

 

そんなこんなで誕生日会も終了し、片付けを終えた俺達はそれぞれに家に戻って行くのだが、バレンタインが近づいていた事をこなた達は意識していたようで、その準備の為に、こなた、みゆきはつかさに、かがみはあやのにそれぞれチョコレートの作り方を教わる事になったようだ。

 

かがみがつかさに教わろうとしなかったのは、かがみにはかがみの考えがあるかららしいという事と、作ってる所をこなたにからかわれたくないという思いがあったという事を後々俺は知る事となった。

 

俺自身も特には気にしていたわけじゃなかったバレンタインだが、また一騒動ありそうなそんな予感を俺は心の中で感じていたのだった。

 

そして、乙女達の戦いの日は、徐々に迫って来ていた。

 


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