らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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託された旋律~旅行にあぶれたかがみとまつりさん~

新学期のスタート、そして、こなたとの2人だけでの秋葉巡り。

 

その時に起きたハプニングで俺は、こなたとキスをしてしまったのだった。

 

それからこなたと顔を合わせる事になったが、こなたは別段意識をしてるわけでもないように見えた。

 

だが、俺は少しの間はこなたを見る度にあの時の事が頭をよぎり、少し顔を赤らめてしまうという状態が続いていたのだが、それもようやく慣れて来た頃、成人式を含めた3連休のスタートが明日に近づいていた。

 

そして、連休を2日後に控えた晩の事、家事等やるべき事を終えた俺は部屋でのんびりとしていたのだが、ふいに俺の携帯に着信が入った。

 

携帯を開き、相手の確認をすると電話の主はよくわからなかったのだが、俺はとりあえず電話に出るのだった。

 

「もしもし、森村ですが。」

「やあ、森村君。私だ。すまないね、突然電話をかけて。」

「あ、その声はただおさんですか?」

「うん。そうだよ。実は君に折り入ってお願いがあるんだよ。」

「俺に、ですか?一体どんな事でしょう?」

「年末の福引で旅行が当たってね。それで明日から行く事になったんだけど、人数制限があってうちの家族全員が行けなくてね。それで、くじ引きの結果、まつりとかがみが残る事になってね。娘2人の留守番では心配だ、というのもあってね、君に3日間、2人を託したいと思ったのだけど君の都合はどうかな?と思ってね。」

「なるほど・・・そういう事でしたら特に用事もあるわけではないので構いませんよ?それで、かがみ達がこちらに来るのですか?それともこちらが伺う事に?」

「とりあえず、君さえよければそちらにお邪魔させてもらってもいいだろうか?と考えたのだけどどうだろう?」

「分かりました。なら、3日間責任を持ってお預かりします。安心して行って来て下さい。」

「そうか。本当にありがとう、おっと、かがみが君と話したいらしい。今代わるから。」

 

そうただおさんが言うと、慌てた様子のかがみが電話に出た。

 

「・・・もう、お父さんは・・・あ、ごめんね慶一くん。いきなりこんな頼み事してさ。でも、いいのかな?慶一くん、予定とかあったんじゃない?」

「いや、取り立てて大した用事があるわけでもないし、心配はないよ。とりあえず明日からだな?」

「う、うん。それじゃ慶一くん、悪いんだけど、よろしくね?」

「ああ、それじゃ、来る時には一度連絡いれてくれな。」

「うん、わかった。それじゃ明日ね。」

「ああ、お休み。かがみ。」

 

そう言って電話を切った後、俺は2人を泊めるための部屋のチェックと簡単な掃除を済ませるために出向いたのだった。

 

そして、軽く部屋の掃除をして今日は休む事にしたのだった。

 

翌日の昼間・・・・・・

 

かがみからの電話が入った。

 

「もしもし、慶一くん?今からそっちへ行くからよろしくね?」

「ああ、わかった。来る時には気をつけてな。」

「うん、後でね。あ、そうだ慶一くん。読みたいラノべとかある?ついでだからもっていくわ。」

「ん?そうだな・・・それじゃ・・・・・・を頼もうかな?もうそれは読み終わってるか?」

「うん。そっちはもう終わってるわ。それと、慶一くんの所にもゲームあったわよね?ソフトも何本か持っていくわ。」

「わかった。それじゃ後でな。」

 

そう言ってやり取りを終えて時間を見ると、午前11時を少し回った所だったので、俺は(お昼でも準備しつつ、到着を待つかな?)と心の中で思いながら冷蔵庫を開けて中を見るのだった。

 

とりあえず簡単な物でも作るか、と思った俺は、残り物の冷御飯と卵、ひき肉、玉ねぎ等を使い、オムライスを作る事にした。

 

オムライスを作りながら俺は、勉強会でつかさが作ってくれたオムライスの事を思い出しつつ、材料の下ごしらえが済んだ頃、玄関の呼び鈴が鳴ったので俺は玄関へと出向いていったのだった。

 

「はいはいっと、今空けますよー。」

 

そう言いながら玄関を開けると、そこにはかがみとまつりさんの姿があった。

 

「おーっす、慶一くん。今日から3日間お世話になるわね。それと、私たちを引き受けてくれてありがと。」

「ごめんねー、森村君。私たちだけくじの当たり引けなかったから留守番になっちゃってるからさ。悪いけどお世話になるわね。」

 

という2人に俺は軽く笑いながら

 

「いえいえ、俺も柊家では色々お世話になっているんですから困った時はお互い様ですよ。大したもてなしは出来ませんが、ゆっくりしていってください。丁度お昼も準備しましたので、どうぞあがってください。」

 

そう言うと、2人は少し驚いたような顔をしながら

 

「私達の来る時間に合わせてお昼まで用意してくれてるなんて・・・ありがたいけど、何か悪いわね・・・」

「早速気を使ってくれる所も嬉しいね。とりあえずかがみ、このまま玄関で話しているのもなんだし、森村君の言葉に甘えましょ。」

 

まつりさんがそう、かがみに言うとかがみも気を取り直して

 

「そうね、それじゃ慶一くん。お邪魔するわね。部屋は前に使わせてもらった所でいいわよね?」

 

と言うかがみの質問に俺は頷いて

 

「ああ。その為に部屋は掃除しておいたよ。まつりさんの部屋も用意してありますからどうぞこちらへ。」

 

そう言って2人を家に上げて、俺はまつりさんを、寝泊りしてもらう部屋へと案内する。

 

「ここです。広さもそれなりにあると思いますからどうぞ使って下さい。」

 

そう言うとまつりさんはにっこりと笑いながら

 

「ありがとう、森村君。いやしかし、森村君の家って結構大きいね。部屋数も結構あるみたいだし。」

 

と言うまつりさんに俺も笑いながら

 

「俺の実の両親がどういう意図でこの家を建てたのかは謎のままですけど、自分も初めてこの家に帰って来た時にはそう思いましたね。まあ、もっとも・・・1人で住むには広すぎる家ではありますけどね・・・」

 

最後は少し寂しげな表情をしていたのかもしれない。

 

まつりさんは同情するかのような表情で

 

「ごめんね、何か森村君が言い難い事を聞いちゃったかな?」

 

と言うまつりさんに俺は慌てて手を振って否定しながら

 

「そんな事ないですよ。すいません、何かこっちもしんみりさせるような事言っちゃって・・・」

 

お互いに謝りあう俺達だったが、その姿がおかしかったのか、俺達は2人してクスクスと笑っていた。

 

「あはは。なんかお互いに気を使い合っちゃったね。でも、安心してよね。しばらくは私達もいるから寂しくはないよ?」

 

と言う言葉に俺は赤くなって慌てつつ

 

「ちょ!な、何言うんですか・・・お、俺は別に・・・」

 

そう言い訳する俺を、まつりさんはにっこりと笑って抱きしめてくれながら

 

「ふふ。ここにいる間は君も私の事をまつり姉さんと呼びなさいよ?遠慮はしなくていいからね?」

 

その言葉に俺も困惑を隠せず

 

「ま、まつりさん?そ、それって・・・どういう?」

 

俺の問いかけに”にっ”と笑ったまつりさんは

 

「この家にいる間だけ私は君のお姉さんになってあげよう、って事よ。まあ、私の君のお兄さん同様、血は繋がっていないけどさ、まあ、これからお世話になる君に私の唯一の出来る事だと思うしね。」

 

そのまつりさんの言葉が嬉しくなって俺は

 

「あ、ありがとうございます・・・その・・・まつり・・・姉さん・・・」

 

そう言うと、まつりさんはにっこりと笑って頷いてくれたのだった。

 

そして、次の瞬間物凄いオーラを感じて部屋の入り口に視線を向けるとそこには・・・笑顔ながら物凄い威圧感を放つかがみが立っていたのだった・・・。

 

「慶一くん~?いつまでもキッチンに戻って来ないからおかしいと思って見に来てみれば・・・あんた、何やってるのかしら?姉さんと抱き合って、いいご身分よねー・・・・・・」

 

と言うかがみの言葉に俺はしどろもどろになりながら

 

「い、いや、これはだな・・・俺の方からこうしたわけじゃなくて・・・まつりさんが俺を抱きしめてくれてだな・・・」

 

ふと、まつりさんのほうに視線を移すと両手を合わせて”ごめん!”とジェスチャーしているまつりさんの姿が目に入り、俺は諦めたように大きくため息をついて

 

「・・・わかったよ・・・思い切りやってくれ・・・」

 

俺は覚悟を決めてかがみにそう言うと、かがみはオーラを出したままの状態で満面の笑顔を浮かべながら

 

「いい心がけねえ・・・それじゃ受けて貰いましょうか・・・天誅!!」

 

その瞬間、俺は思い切り歯を食いしばり目をつぶった。

 

ゴン!!という音がしたものの、いつものような衝撃ではなかったので俺は不思議に思い、おそるおそる目を開けてみたのだが、そこにはオーラを引っ込め、呆れたような顔をしているかがみの顔があった。

 

「かがみ?どうして?」

 

いつものダメージ以下の攻撃に思わず俺は聞き返していたのだが、かがみは俺のその言葉に複雑そうな顔で

 

「仕方ないわよ・・・私はあんたを本当に死なせかけた事あったんだしさ・・・あれを思い出したら力が抜けてたわ・・・もう、あんな思いはごめんだしね・・・」

 

最後は少し悲しげな顔でそう言うかがみに俺は

 

「あ、そうか・・・お前、あの時の事まだ気にしてたんだな・・・ごめん、お前には2度も命の事に関しては怖い思いさせてたんだっけな・・・いいか、かがみ。これだけは覚えておけ。お前は悪くない。猪の時も、あの時も、結局は俺の自己責任において負った怪我だし、状況でもあった。だからもう、自分を責めるのはよせよ?」

 

俺のその言葉に少しだけ緊張が解けたような感じになったかがみを見ていると

 

「ありがと・・・でもあんたもたいがいお人好しよ・・・ねえ、慶一くん、覚えておいてね?その優しさは嬉しいけれど、時にはそういう事で責められない自分が辛い事もあるんだって事もさ・・・」

 

俺はかがみの言葉に頷きながら

 

「わかったよ。かがみの言葉もよく覚えておく。さてと、色々あったけど、そろそろお昼食べちゃわないとな。キッチンへ行こうか、かがみ。」

 

俺の言葉に笑顔になって頷きながら

 

「そうね。色々やってたらお腹すいちゃったわ。慶一くん、お昼何作ってくれるの?」

 

その言葉に俺は

 

「2人がくるまでにオムライスの仕込みをしといたんだ。後は御飯を炒めて卵を巻いて出来上がりかな。まあ、楽しみにしててくれよ。」

 

そう言いながらキッチンへと移動を始めると、かがみも満面の笑みをうかべながら俺についてきたのだった。

 

キッチンに戻って来ると、さっきの事はどこ吹く風な顔をしたまつりさんが待っていた。

 

「あはは、森村君ごめんねー?ちょっと調子に乗っちゃったかな?」

 

一応謝罪の言葉は言いつつも、あまり反省してなさそうな顔でそう言うまつりさんに、俺とかがみは軽いため息をついて

 

「はあ・・・とりあえず、程ほどにお願いしますね。」

「姉さん?少しは自重しなさいよ?まったく・・・」

 

そう2人で言った後俺は

 

「とりあえず、かがみ、まつりさん。そこで出来上がりを待っていてください。すぐに作ってしまいますので。」

 

そう2人に言ったのだが、かがみは

 

「ねえ、慶一くん。私も側で作ってるところ見せてもらってもいい?私も少しは覚えたいからさ。」

 

と、どうやら料理の経験を積みたいらしく、そう言って来たので俺はかがみの提案を受け入れて

 

「ああ、いいよ。まあ、俺のやり方が参考になるかはわからないが、見ててくれ。」

 

そう言うと、かがみは頷きながら俺の料理してる所を凝視しはじめた。

 

俺はそんな状況に照れつつもオムライス制作に入るのだった。

 

御飯の方はすでに仕込みをしておいたので、フライパンに溶いた卵を乗せて焼きながら、御飯を乗せてくるりとフライパンを上手く返して御飯を卵で包み込む。

 

流石に俺もつかさやこなたほどにできるわけではないので、多少形が崩れかけたがなんとかオムライスを作り終えることができたのだった。

 

それを見ていたかがみが、気付けばなにやらメモに俺の作り方と卵の返し方を書き込んでいた。

 

「・・・で、手首をくぃっと・・・それで・・・」

 

とりあえずメモを書き終えたらしいあたりで俺はかがみに声をかける。

 

「かがみ、とりあえず完成したから食べちゃおう。これ、運んでくれるか?」

 

と、出来上がったオムライスを皿に盛ってかがみに手渡すと、かがみはそれを受け取って

 

「わかったわ、とりあえずまつり姉さんの分をもっていくわね。」

 

そう言って運んで行ってくれたので、俺は残りの分も作って皿に盛り、テーブルへと運んで行くのだった。

 

「お待たせ。かがみの分と俺の分も完成だ。さあ、食べちゃおうか。」

 

そう言ってかがみの前にもオムライスを並べる俺だった。

 

「ありがと。うん、とても美味しそうね。それじゃ食べちゃいましょ?その後は少し勉強してからゲーム、付き合ってよね。」

 

と言うかがみに俺も頷いて

 

「了解だ。それじゃまつりさんも遠慮せずにどうぞ。」

 

そう言うと待ちきれなくなっていたまつりさんは俺に

 

「うーん、待ちくたびれたよ。もうお腹ぺこぺこー。それじゃいただきますー。」

 

そう言って食べ始めるのを見て俺たちも

 

「はは。それじゃ俺たちも。」

「うん。いただきまーす。」

 

お互いに顔を見合わせて笑いながらそう言って、食事を始める俺達だった。

 

そして、食事を終えて少し休憩の後、俺とかがみは3時間程勉強をする事になった。

 

まつりさんはのんびりリビングでテレビを見ているようだったので、俺の部屋でやる事にしたのだった。

 

「えっと・・・ここの公式はこれで、っと・・・」

「ねえ、慶一くん。これはこれであってる?」

「うん。大丈夫だ。かがみ、これなんだが、この訳であってるか?」

「えーっと、どれどれ?うん、大丈夫よ。後ね・・・」

 

という感じで勉強も進めてきた俺達だったが、勉強が終わる頃、俺は何気に時計を見て

 

「ん?もうこんな時間か。かがみ、悪いんだけどゲームの相手するのは夕飯の後でいいか?ちょっと食材足りないから買い物いってこないと、だからさ。」

 

そう聞くとかがみは頷いて

 

「いいわよ?それと買い物行くなら私と姉さんとで家の中の事少しやっておくわ。」

 

そう言って笑うかがみに俺は

 

「それは助かるな。それじゃお土産にかがみの好きなポッキーでも買って来よう。楽しみにしててくれ。」

 

とさり気なく言うと、かがみは途端に顔を赤くして慌てながら

 

「べ、別にいいわよ!あんた私がいつもポッキー食べてるとか思ってない?」

 

その言葉に俺もニヤニヤしつつ

 

「別にー?ただ、よく食べてる所を見かけるから聞いてみただけだよ?」

 

そう言うと、かがみから突然黒いオーラが立ち上るを感じたので俺は

 

「おっと、ちょっとからかい過ぎたな、ごめんごめん。それじゃ行ってくるよー。」

 

そう言いつつ、逃げるように部屋を出て買い物に出かけたのだった。

 

さっきのやり取りを思い出しながら俺は

 

「やれやれ、あの時の仕返しのつもりでからかっちゃっけど、ちょっとやりすぎだったかな?まあ、美味しい夕食作って機嫌直してもらうか・・・」

 

そう呟きつつスーパーへ行って買い物を済ませるのだった。

 

かがみside

 

慶一くんの所で3日間お世話になることになって、お昼を済ませた後、私と慶一くんは勉強をしていた。

 

頃合の時間になって、慶一くんは私に夕食の買い物に行くからゲームの相手は夜にと言われたので、特に異論のなかった私は、慶一くんが買い物に行ってる間に姉さんと家の中の事やらせてもらおうと思って声をかけた。

 

その事を快く承諾してくれた慶一くんだけど、いつかの私のからかいをさり気なく仕返された事に冷静になってから気付いて苦笑していたのだった。

 

「まったく、あいつもいい根性よね・・・ちゃっかり仕返されたわ・・・っと、そう言えば慶一くんの部屋にまともに入るのは今回が初めてじゃないかなあ・・・あの時も死なせかけた慶一くんが心配だったから結局慶一くんの部屋の中見てないものね。それに前回の風邪の時もお見舞いするだけで精一杯だったしね・・・。ふーん?」

 

そう呟きつつ改めて慶一くんの部屋の中を見回す私。

 

「なかなか片付いてるわね。それだけは2度の部屋訪問でも確認は出来てたけど・・・あ、これって・・・」

 

慶一くんの机に飾ってある写真立てを見つけた私は、それを手にとってまじまじと見てみる。

 

「慶一くんと一緒に写ってるこの人達・・・これが慶一くんの本当のご両親なのね?確かにどことなく慶一くんにもその面影があるわ・・・」

 

そのやさしそうな姿を見て私は、心の中が暖かくなるのを感じながらもう一つの写真立てを見た。

 

「あ、これって、旅行の時の・・・ふふ。慶一くん、照れて赤くなってるわね。でも、ちょっと嬉しいかな・・・私達の思い出も大切にしてくれてるみたいだしね・・・」

 

そして私は、初めて慶一くんを出会った時の事を思い出していた。

 

「あの時は驚いたわよね・・・なくしてしまった携帯電話探してたら突然に声をかけてきて・・・最初は、なんだろ?この人、って感じだったもんね・・・。でも、一緒に携帯探してくれるって言ってくれた時、私すっごいお人好しな人だな、って思ったわ・・・そうやって手伝った所で何の得にもなるわけじゃない、それどころか下手すれば不審者と見られてもおかしくないほど、だったものね・・・でも、困った時はお互い様、あの言葉がとても嬉しかったな。あれからよね、慶一くんに興味持ったのって・・・何だか、懐かしいな・・・」

 

独り言のようにそう呟いて私は目を閉じて

 

(あれから、こなたを通じて慶一くんと仲良くなった。でも、慶一くんは初めて会ったときから変わらなくて・・・今でもお人好しで・・・私達のために色々やってくれた。一時は慶一くんを信用できなくなった事もあったっけね・・・でも、やっぱり彼は彼だった。あんな時でも変わらなかった。私は・・・そんな慶一くんの力になる事ができたのかな・・・)

 

等という事を考えていたのだが、ふいに、自分から家の事をやると言っておきながら何も行動してない事に気付いた私は、慌ててまつり姉さんを呼びに部屋を出たのだった。

 

慶一side

 

とりあえず夕飯の買い物を済ませて俺は家へと戻ってくる。

 

「ただいまー。」

 

そう言って玄関をくぐると、慌てた様子のかがみが俺を出迎えてくれた。

 

「お、おかえりなさい。ちょっと考え事してたら時間経っちゃってて今、姉さんと慌てて掃除とかしてたのよ。」

 

少しだけ息を切らせながらそう言うかがみに俺は苦笑しながら

 

「なんだ。そんなに慌てなくてもよかったのにさ。でも、ありがとうな、かがみ。」

 

かがみにそうお礼を言うとかがみは顔を赤らめつつも

 

「こ、この位構わないわよ。お世話になってるのは私達なんだしさ。それに、あんたの為じゃなくて私達にはその責任があるって言うだけの事よ。」

 

と、そっぽを向きながらも相変わらず素直になれないかがみに俺は思わず苦笑していたが、それに気付いたかがみが慌てて

 

「な、何笑ってるのよ!とにかく、いつまでも玄関にいないでさっさとそれキッチンに置いてきなさいよ!ほらっ!」

 

そう言ってまたも無意識に俺の手を引いてキッチンまで連れてくかがみに俺は、またしても苦笑していたのだった。

 

結局その後、その事を指摘すると案の定真っ赤になっていたのだが。

 

更にはその会話をまつりさんにも聞かれていて、さらに顔を赤くするかがみを見る事にもなった。

 

その後は、夕食の支度をする事になったのだが、今回もかがみが手伝うと言ってくれたので、練習がてら野菜の皮むきや切り方を教えつつやったのだが、そこにまつりさんも参戦してきて結局2人に指導する事となった。

 

かがみもまつりさんも意外と飲み込みが早かったので、かなり上達したのを見て俺は

 

(2人とも意外と才能あるみたいだな。)

 

と心の中で感心していたのだった。

 

夕食を終えた俺達は、それぞれにのんびりしつつ、かがみのゲームの対戦相手をしていた。

 

「かがみ、シューティング結構上手いな。俺、意外と苦手かもしれない。」

 

そう言うとかがみは得意げに

 

「一応私の得意分野だからね。こっち方面はこなたにも負けるつもりはないわよ?」

 

と言う言葉に俺は感心しつつ

 

「なら、こっちのはどうだ?これなら俺も簡単には負けるつもりはないぞ?」

 

そう言って取り出したソフトはぷよぷよだった。

 

「へえ?あんたもそう言うのやるのね。いいわ。それじゃ勝負よ!?」

「望む所だ!いくぜ!?」

 

そして白熱のぷよぷよミニ大会が始まったのだった。

 

2人ともじわりじわりと連鎖を組み上げつつ牽制しながら、徐々に相手陣地におじゃまぷよを落として妨害する。

 

じりじりと、しかし確実にお互いにチャンスを待ちつつ仕掛けるポイントを探っていた。

 

そして、俺の方に連鎖を切るおじゃまぷよが落下したのをみたかがみが攻勢にでた。

 

連鎖ポイントにぷよを落とし、連鎖が始まる。

 

俺はそれに一歩出遅れる形となった。

 

かがみの方の連鎖が積み重なって行く中、俺も一瞬のチャンスに連鎖を爆発させる。

 

お互いに連鎖の相殺を行っていたが、ふいに連鎖を止められる所にかがみからおじゃまぷよのプレゼントを受けた。

 

そこで手詰まりとなり、俺は連鎖を返す術を失って負けたのだった。

 

「ふっふっふ。私の勝ちね。」

 

得意満面の顔でそう言うかがみに俺は軽いため息をついて

 

「うーん、おしかったな。あそこで邪魔が入らなかったら分からなかったけどな。」

 

そう言うとかがみはニヤニヤとしながら

 

「あららー?負け惜しみ?それじゃもう一戦やってみる?」

 

と言うかがみの一言に俺は、こなたと対戦した時のように熱くなってしまい

 

「おう!やってやるさ!次は勝つ!」

 

と言って、結局遅い時間までかがみと数十回に渡り対戦をしたのだった。

 

対戦結果は100戦48勝51敗1引き分けで俺の負けだった。

 

2人とも肩で息をしながら

 

「な、なかなかやるわね・・・まさかここまで互角の戦いされるとは思わなかったわ・・・あの1引き分けがなかったら負けてたかもね・・・」

 

と言うかがみに俺は少し凹みつつ

 

「くそー・・・及ばなかった・・・あの引き分けは悔やまれる・・・」

 

そう言うと、2人して顔を見合わせた後、笑ったのだった。

 

「さて、大分遅い時間になっちゃったな。今日はここまでにするか。」

 

俺がそう言うとかがみも頷いて

 

「そうね。ねえ、慶一くん。今日はラノべ読めなかったし、明日読もう。慶一くんに読ませて欲しい物もあるし、私のお勧めもあるからさ。」

 

というかがみの言葉に俺も頷いて

 

「そうだな。その為にかがみにもラノべ持ってきて欲しいって頼んだんだしそうするとしよう。」

 

俺の言葉にかがみも満面の笑顔で

 

「うん。それじゃ今日はこれで。お休み、慶一くん。」

 

そう言うかがみに俺も

 

「ああ、お休み、かがみ。」

 

そう言ってお互いに部屋へと戻っていくのだった。

 

かがみside

 

お母さん達の旅行、そして思いがけず慶一くんの家でお世話になることになり、少し戸惑っていた私達だったけど、とりあえずは何事もなく1日を過ごせた事に安堵しつつ、布団に入る私だった。

 

(ふう。一時はどうなる事かと思ったけど、何事もなく過ごせたからよかったわよね・・・明日はラノべも読まないとね・・・なんだか勉強合宿の頃を思い出したわね・・・楽しいな・・・でも、こういう事、後何回できるだろう・・・それを考えると少しだけ寂しいかもしれないわね・・・)

 

そこまで考えて私は”はっ”と気付き、頭をぶんぶんと振って

 

(いけないいけない、折角来てるんだし、楽しむ事だけかんがえましょ。折角なんだしね・・・)

 

ちょっとだけ寂しい考えを振り払って私は、明日を楽しむ事を考えてそのまま眠りについたのだった。

 

慶一side

 

急にかがみたちを託されて俺はちょっと慌ててはいたものの、とりあえずは問題もなさそうだったのでその事も含めて安堵していた。

 

(最初はどうなる事かと思ったけど、意外とかがみたちも動いてくれたりして助かったな。まだ2日あるんだしこれなら大きな問題もないかも、だな。折角だし、俺もこの状況を楽しむとするか。)

 

そう考えながら眠気に身を任せて夢の中へ旅立つ俺だった。

 

とりあえずただおさん達が帰ってくるまでは、何事もないように2人を預からないと、と改めて思う俺だった。

 


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