らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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こうとやまとと慶一と〜3つの旋律が生まれた日〜後編〜

こうから受験合格祝いに誘われてやまとと再会を果たし、俺達はこうがやって来るまでの間、俺達が出会った当時を懐かしく思い出していた。

 

あの時から2年。

 

俺はこうとやまとの2人と友達となりこうに振り回されながらも2年間の間ずいぶん楽しくやってきたと思う。

 

俺の卒業時には2人とも珍しく涙を見せていたほどに、俺達3人の関係はいいものであったのだと思う。

 

そんな回想に浸っていると、やまとが俺を見つめながら

 

「あの時の先輩の計画にはまった時は少し呆れはしたけど今は感謝しているわ・・・。」

 

あの時の事を思い出しながら俺にそう言うやまとに俺は薄く微笑んでやまとの頭を軽くぽんと叩くと

 

「俺はお前らがあのまま友達としての関係を終わらせてしまう事が嫌だった、それだけさ。それに俺もまがりなりにも係わった訳だしな。」

 

あの時の自分の気持ちをそのまま伝えるとやまとは少し頬を赤く染めて

 

「そうね・・・あの時から私達の事を何かと気にかけてくれたのもあなただったわよね・・・だから、私はあなたを信頼したわ。あなたもそれに応えてくれた・・・。」

 

そんなやまとの言葉を聞いて俺は頬をかきながら

 

「まあ、俺には中学時代は友人と呼べる程の奴もいなかったからな。でも、お前らだけは俺と居てくれた数少ない友人だからな。」

 

やまとを見ながら俺はそう言ってさらに言葉を続けた。

 

「俺を頼ってくれる以上は、俺もその信頼に応えたいと思ったからな・・・。まあ、お前らのおかげで楽しい中学時代だったさ。」

 

笑いながら俺がそう応えるとやまともクスリと小さく笑って

 

「ふふ、そうね。私も楽しかった。」

 

俺達はそう言ってお互いに笑いあった。

 

そうこうしてるうちにようやくもう一人の友人が息を切らせてやってきたのだった。

 

「先輩ー!やまとー!ごめん、遅れてー!!」

 

俺はそんなこうを見てあの頃のこうを思い出し、苦笑しながらやまとに

 

「ほら、おいでなすったぞ?我等の遅刻姫が。」

 

俺が皮肉を込めたニックネームでそう言うとやまとも呆れ顔で

 

「遅刻姫・・・言い得て妙よね・・・。でもほんと自重してほしいわね・・・。」

 

お互いに顔を見合わせて2人して笑いつつも、こうを出迎えた。

 

「遅いぞー?待ち合わせしたのならもっと早く来い。今度こそやまとに愛想つかされたら俺はもう知らんからな?」

 

こうにそう声をかけるとやまとも不機嫌な顔をこうに向けて

 

「まったくよ。あの頃に比べたら大分マシにはなったけど、それでももう少し早くきなさいよ?」

 

2人の嫌味攻撃がこうに直撃すると、こうはばつの悪そうな笑顔を浮かべて

 

「ごめん、色々と手間取ったからつい。でも今日のお昼はおごるから勘弁してよー。」

 

俺はそう言って手を合わせるこうを見て中学時代こいつがはまっていたある事を思い出して

 

「なあ、こう、ひょっとして例のあれをやってたのか?」

 

こうに確認するように問い正してみるとこうは申し訳なさそうに

 

「えへへ、実はそうだったりします。こればっかりはやめられないもので・・・。」

 

苦笑しながら俺に言ってくるのを見てやまとも無理に付き合わされていた事を思い出したのだろう、こうを横目で見ながら

 

「まだあんな事やってたのね?まったく、あんなものの何がいいのかしらね・・・?」

 

そう言うやまとも呆れ気味だ。

 

こうはそんなやまとの態度が不満なのかやまとにまとわり付いて

 

「やまとーそんなつれない事言わないでよー。やってみると結構楽しいんだからさー。やまともこっちの世界においでよー。」

 

やまとにすがるように言うこう。

 

だがやまとは付き合いきれないとばかりに突っぱねる。

 

「お断りよ!やりたいのならあなた一人でやってればいいでしょう!?私を巻きこまないでほしいわ!」

 

そんなやり取りを見てた俺はこうに生暖かい視線を送りつつ

 

「まあ、こうの趣味だしな。俺は何も言わないがあまり暴走しすぎるなよ?」

 

とやんわり忠告する。

 

俺のその言葉にこうは頷きつつ

 

「分かってますって。でも先輩は意外と私のこの趣味を理解してくれましたよね?普通の人には引かれるかもとは思ってましたから。」

 

こうがそう言うと俺は自分もそういう物はそれほど嫌いな方でもなかったし、たまに暇潰しで漫画やアニメを目にする機会もあったので

 

「まあ、俺もアニメやゲーム、漫画は嫌いな方じゃないしな。多少は理解できるつもりだ。だからかな・・・。」

 

そう応える俺にこうは嬉しそうな顔になって

 

「やっぱり先輩は話のわかる先輩だわ。いい人と友達なれたなー。」

 

うんうんと頷いて納得しているいるのを見てすかさずやまとがこうに突っ込む。

 

「先輩だからよ?他の人だったら普通に引かれてしまうんだから私達以外の人の前では自重しなさいよ?」

 

その鋭い突っ込みにこうは慌てながら

 

「わ、わかってるよやまと。それじゃそろそろ行きましょうか先輩、やまと。」

 

時間も頃合だったのでこうは俺達に声をかける。

 

俺がこの後の予定等はまだ聞いていなかったのもあって、こうにこの後の事について確認の為

 

「ああ。所でこれからどこへ行くんだ?」

 

と俺が尋ねるとこうはにっこり笑いながら

 

「それはついてきてのお楽しみです。」

 

そう言って歩き出すこうに俺達は付いていて行く事にした。

 

駅に着き電車に揺られて着いた場所は・・・

 

「秋葉腹・・・。」

 

俺は思わずため息まじりにそう呟いた。

 

やまともまた俺と同じようにため息をついている。

 

そんな俺達の様子もなんのそのですごくいい笑顔になったこうは

 

「さあ色々巡りましょうー。結構楽しいもんですよ?ここも。」

 

俺達の手を引いて歩き出すその横でやまとは自分の額に手を当てながら

 

「ほかに行く所なかったのかしらね・・・?」

 

と呆れたように呟いていた。

 

その言葉には俺も苦笑する他なかったのだが。

 

電車での移動時間もあってか、着いた頃には丁度昼になっていたので、まず俺達は腹ごしらえしていく事にした。

 

「先輩、やまと、ここでいいかな?」

 

こうに連れられて訪れたのはマ○ドナ○ド。

 

俺は奢ってもらえるのなら特に希望もなかったので

 

「まあ、奢ってもらえるのならどこでもいいさ。」

 

俺はそう応えやまとも

 

「まあ、こうの財布事情を考慮したらここでもいいわね。」

 

そう言うのだった。

 

”やまとの精神攻撃、こうに50ポイントのダメージ!!”

 

「やまと、それはひどいよ・・・。」

 

こうは少々落ち込みつつもやまとに抗議していた。

 

店に入りそれぞれ注文を取って居る間、俺は3人分の席の確保に回った。

 

「よし、ここでいいな。こう、やまと、こっちだ。」

 

俺は注文の品を取って上がって来たこう達に声をかけると、俺を見つけたこう達はこちらにやってきた。

 

「先輩、席の確保助かります。」

 

そう言いながら俺の前の席へと移動するこうとやまと

 

「とりあえず奥へ行ってよ、こう。」

 

2人とも席についたので食事を始めた。

 

食事をしながら俺はこうにこの後の予定を聞くことにした。

 

「それで、これからどうするんだ?」

 

俺がこうに尋ねると、こうはとりあえずの目的地を決めていたのだろう、俺たちに今日回る予定のコースを伝えてきた。

 

「まずは本屋さん等を巡って、その後ゲームセンターに行こうと思ってます。」

 

本屋という言葉に反応するやまと。

 

俺も少し嫌な予感を覚えていたが、やまとも俺と同様に嫌な予感を感じたのだろう、こうに確認を取る為に聞いてみるやまとだった。

 

「まさか、そういう関係の所じゃないでしょうね・・・?」

 

そう、やまとが突っ込むと

 

「まさかー。まだ私達じゃ入れないでしょ?」

 

そのやまとの突っ込みに手を振って否定するこう。

 

その時俺は、前にこうの家へ遊びに行った際に見た本の事を思い出して

 

「じゃあ、今までお前の家にあったあの本はどうやって手に入れたんだ?」

 

と、尋ねるとこうは、ああ、あの事かと俺の聞いた事に心当たりがあるようで

 

「それは、知り合いに頼んで買ってきてもらって、ってやつですよ。」

 

俺に人差し指を立てて説明するこうをみてやまとは額に手を置いて呆れていた。

 

「まあ、今回は普通に漫画とか買いたいだけですから大丈夫ですって。」

 

俺は苦笑して(本当だろうな?)と心の中で思いながらも

 

「まあ、それならいいけどな。」

 

とどこか安心している俺だった。

 

その後、食事の済んだ俺たちはこうに連れられて本屋へと向かった。

 

向かった先はおなじみの○ーマー○、そして○二メ○トだった。

 

俺は店内を見回しながらその活気と店内の様子に見入り、素直な感想を口にしていた。

 

「やっぱりここは品揃えすごいよな。地元の本屋じゃこうはいかない。」

 

そんな俺の言葉にこうも同意して目を輝かせながら

 

「そうですよねー。地元にもこういうの作ってもらえるといいんですけどね。」

 

そう応えるそこにやまとのツッコミが炸裂した。

 

「こういうところにあるからこそ、こうみたいな客が集中するからいいんじゃないのかしら?」

 

”クリティカル!!こうに120ポイントのダメージ!!”

 

「やまと、さっきもそうだけど、なんか酷くない?」

 

そう言ってこうは、少し涙目になりながらもやまとに抗議したのだが、やまとはそんなこうの言葉をさらりと受け流し、こうはそれによって更に落ち込むのだった。

 

そんな一幕もあったが、その後買い物を終えて俺たちは今日の最終目的地であるゲームセンターへとたどり着いた。

 

「さあて、やってきましたよ?ここが今日の最終目的地。今日こそはあの青髪のちびにリベンジを・・・。」

 

こうの言う青髪のちびという言葉に何か引っかかる物を覚えたが

 

「お前格闘ゲーム結構好きだもんな。でも最近勝てない相手がいるって言ってたよな?」

 

そう、俺が尋ねるとこうは俺の言葉に頷いて

 

「そうなんですよ。ここの所負け続きで少し凹んでるんです。今までは現れなかった強敵ですね。」

 

悔しそうに言うこうに俺はこうの格闘ゲームの腕前を思い出しながら

 

「お前の腕は知ってるが、それでも、となると相当の相手らしいな。とりあえずは頑張れとしか言えないが・・・ともあれ、俺は少しUFOキャッチャーとかのある方へ行って見るから後でここで合流な。」

 

俺の言葉にこうも頷きつつ

 

「わかりました。あ、先輩、私の方が遅かった場合はこちらへと迎えに来てくれると助かりますけど。」

 

と言うこうに俺は半ば呆れつつも

 

「あー・・・わかったよ。その時は2人で迎えに行くからそっちで待っててくれ。」

 

と、そう答えると、こうは俺に笑みを見せて

 

「了解です。それじゃ先輩、やまと、また後で。」

 

そう答えるこうに俺は頷き、やまとは呆れ顔をしつつ

 

「あまり先輩や私に迷惑をかけるんじゃないわよ?」

 

と、一言釘を刺すと、こうはその言葉に苦笑しつつも手を振りながら格闘ゲームコーナーへと走って行くのを俺達は見送ったのだった。

 

とりあえず気を取り直すと、俺はやまととともにUFOキャッチャーのコーナーへと向かう為にやまとに声をかける。

 

「よし。それじゃそろそろ行くか、やまと。」

 

俺はやまとにそう声をかける。

 

ゲームセンターに入った頃からやまとがしきりにUFOキャッチャーを気にしていたようだったからだ。

 

俺の言葉に笑顔を見せつつやまとは

 

「ええ、行きましょ?先輩、こっちへ。」

 

そう言って俺をUFOキャッチャーのコーナーへと促し2人して移動する。

 

やまとはUFOキャッチャーを一通り物色すると欲しいものがあったのか、その台へと向かったので俺もそっちへ付いていった。

 

「これを狙ってみよう・・・。」

 

お金を入れてアームを操作し始めるやまと。

 

俺はそれを見守りながらも俺もやりたい台で景品を取っていた。

 

「まあ、こんなもんかな・・・。」

 

戦利品をあげると、初音ミクフィギュア、キャラ物マグカップ、猫のぬいぐるみを取る事が出来た、俺はやまとの方に再び目をやると取りたかった物が取れなかったのか落ち込んでいるやまとの姿が見えた。

 

俺はやまとの方へ行き

 

「どうしたやまと、取れなかったのか?」

 

そう俺が聞くとやまとはがっかりした顔で頷いて

 

「ええ、3000円くらい使ったんだけどだめだったわ・・・。UFOキャッチャーは貯金箱って上手い事を言ってた人がいたけど、そうかもしれないわね・・・。」

 

かなりな落ち込みようだったので俺は持っていた景品をやまとに預かってもらい、挑戦してみる事にした。

 

「やまと、これ持っててくれ。俺がやってみる。」

 

そう言ってお金を入れてアームの操作を始める俺。

 

3回ほど失敗したが4回目で何とか取る事ができた。

 

俺はその景品をやまとに渡す

 

「ほら、これ欲しかったんだろ?あとこの猫のぬいぐるみも一緒にやるよ。」

 

そう言って景品をやまとに渡すとやまとは顔を赤くして

 

「ありがとう先輩。でも、このぬいぐるみももらっちゃって良かったのかしら?」

 

そう遠慮がちに聞いてくるやまとに俺は軽く笑いながら

 

「はは、取ってはみたものの俺にはそのぬいぐるみは合わないと思ったしな。それにこうにも合うとは思えないし、お前にもらってもらうのが一番だと思ったからな。」

 

俺がそう言うとやまとはますます顔を赤くして

 

「じ、じゃあ、貰っとくわね?先輩ありがとう・・・。」

 

やまとが俺に礼を言う。

 

そんなやまとの仕草に少し照れる俺だったが、何気に時計に目をやると丁度いい時間だったので、俺たちはこうを迎えに行く事にした。

 

景品を貰って満足気なやまとに俺はこうを迎えに行こうと声をかける。

 

「やまと、そろそろこうを迎えにいこう。」

 

俺のその言葉にやまとも頷いて

 

「ええ、わかったわ。いきましょう。」

 

そう言ってこうを迎えに行く為に移動を始めたのだった。

 

俺達2人はこうのいる格闘ゲームコーナーに向かった。

 

こうの座る席に俺達が行くとこうは必死の形相で対戦相手に連コインで勝負を挑んでいた。

 

こうがここまで負けるのを見るのが珍しかったのか俺はふいに対戦相手の姿を確認するため反対側の台へと行ってみたら、そこに見知った人の姿を見つけて驚いた。

 

「もうー、いいかげんしつこいなあ・・・そろそろ嫌になってきたよ・・・このまま逃げちゃおうかな?」

 

そう呟くこうの対戦相手に思わず俺は声をかけた。

 

「泉?泉じゃないか。何やってるんだ?こんな所で。」

 

俺の呼びかけに泉はこちらに顔を向けて

 

「あれ?森村君じゃん。君こそどうしたのさ?こんな所で。」

 

そんな泉の質問に俺は軽く事情を説明する事にした。

 

「今日は俺の通ってた学校の後輩の合格祝いも兼ねて後輩達と遊びにきてたのさ。」

 

そう言って俺は俺の後ろに立っていたやまとを紹介し、泉もやまとに自己紹介をした。

 

「こいつは後輩の一人で永森やまとっていうんだ。やまと、こっちは俺と同じ学校で同じクラスの泉こなただ。」

 

俺の紹介にやまとは泉に軽く会釈をしつつ

 

「・・・よろしく。泉先輩、でいいのかしら?」

 

そう言うやまとも泉の背丈で俺と同期というのが信じられなかったのだろう、かなり驚いた表情をしていた。

 

泉のほうもそう思われるのには慣れていたらしく

 

「うん、永森さんだったよね?なりはこんなだけど森村君と同い年だから。」

 

そう答える泉に改めてやまともそんな泉の言葉に小さく呟いたのを俺は聞いていた。

 

「本当なのかしら?それにしても、まるで小学生のような・・・。」

 

そう呟くやまとに俺は苦笑するしかなかったのだが。

 

俺とやまと、泉の3人がそんな会話をしているとお金が尽きたのかこうがゲームを止めてこっちへをやってきた。

 

「あーっ、また負けた・・・悔しいなー・・・おいそこの青髪のちび、今度は負けないから覚悟し・・・と・・・け?」

 

そう言っていたのだが、俺がやまと共にこうの対戦相手の泉と親しげに話をしているのを見て

 

「あれ?あれ?何で先輩がそのちびと話をして?」

 

訳が分からないといった風にて慌てるこうに俺はやれやれと自分の額を手で押さえながら

 

「おいおい、こう。泉はこうみえても俺と同い年だ。言ってみればお前の先輩でもあるんだぞ?」

 

俺がそういうと泉は少し頬を膨らませて

 

「森村君、こう見えても、はないんじゃない?一応私だって気にはしてるんだよ?まあいいや。とりあえず、初めましてだね。私は泉こなた。森村君とは同じ学校で同じクラスだよ?よろしくね。」

 

泉の自己紹介にあっけにとられていたこうはそこに重要なキーワードを見出してさらに驚きつつも

 

「え、あ、私は八坂こう、よろしく・・・って、えええ!?泉さんて森村先輩と同じ学校で同じクラス?そ、それ言ったら、私も今年から一緒の学校じゃ・・・でもその身長はどうみても・・・。」

 

こうがそう言うと泉も少し驚いていたがこうの言ったキーワードに少し不機嫌な顔になって

 

「むう、身長の事は余計だよ・・・じゃあ、八坂さんは私の後輩になるんだねー?一人また知り合いが出来て楽しみかも。ねえ森村君、そっちの永森さんは違うの?」

 

泉がそう聞いてきたのでやまとは少しだけ表情を曇らせつつ

 

「私は聖フィオリナ女学院なので2人とは違う学校へ行く事になるわ・・・。」

 

そう答えたやまとだったがそう答えながらも少し複雑そうな表情をしていた事に俺は気がついたのだが、あまりにも一瞬の事だったので、まあ、気のせいだろうと思っていた。

 

やまとが自分の行く学校の名前を出すと泉は関心しながら

 

「へえ?お嬢様学校じゃん。結構頭いいんだね、永森さんも。」

 

泉がそうやまとへの感想を言うとやまとはそれに答えて

 

「いえ、それほどでもないわ。それを言ったら先輩達も陵桜は結構レベルの高い所らしいじゃない?そこに通えてる先輩達も中々のものだと思うわよ?」

 

そんな風に答えるやまとやこうや俺の顔を泉は見回して突然何かを閃いたらしい泉は俺達に

 

「ねえ、ここであったのも何かの縁だしさ、私達友達にならない?」

 

急にそんな事を言って来た。

 

俺たちは面食らっていたが、そんな中で俺が

 

「確かにお前とは同じクラスだが、まともにはしゃべった事はないだろう?それに、こうややまととも面識は今できたばかりだが、いいのか?そんな俺達で。」

 

泉にそう言うと泉はにんまりと笑って親指を立てて

 

「もちろんだよ。それに森村君には以前の食堂の借りもあるしねー。」

 

とのほほんとしたような顔で言う。

 

俺は泉と初めて話した時の事を思い出していた。

 

そんな俺にこうは興味があったのか事情を聞いてきた。

 

「食堂での借りって一体何があったんですか?」

 

俺はそんなこうの質問を聞きながらあの時のことを思い浮かべて

 

「ああ、俺がたまたまパンを買いに来ていた時泉と会ってな、あいつが欲しがってたパンが売り切れてたから俺が持ってたあいつの好物をあげたんだ。」

 

俺がそう説明するとこうはニヤニヤと笑って

 

「なるほど、フラグを立てた、と。」

 

いい笑顔で言って来るこうに俺は手を振りながら

 

「そんなんじゃないよ。たまたまだよ、たまたま。」

 

そういい訳する俺に今度は泉までもが憎たらしいほどのいい笑顔で

 

「ええー?そうなの?本当は狙ってたんじゃないのー?」

 

と言って来る始末。

 

俺はその言葉に呆れて

 

「もういい、好きにいってろ、まったく・・・。」

 

と、ふて腐れたのを見てやまとが軽いため息をつきながら

 

「先輩も大変ね?これから。あの泉先輩ってこうと似てるみたいだし。」

 

そう言うやまとの言葉に俺も同意して

 

「まったくだ、これから先が思いやられそうだよ。まあとにかく友達になるのなら俺は構わない。こうとやまとはどうだ?」

 

2人に聞くとこうは不敵に笑って

 

「私も構いませんよ?またリベンジ出来そうですしその時はまた付き合ってくださいよ?泉先輩」

 

こうがそう言うと泉も同じように不敵な笑顔をこうに向けつつ

 

「ふふん。簡単には行かせないよー?まあ、せいぜい頑張る事だねー。」

 

と言う泉に、こうと火花を散らしているイメージを見たような気がした。

 

その様子をみながらもやまとも泉の言葉に頷いて

 

「私も構わないわ。よろしく、泉先輩。」

 

そう言って2人は泉と握手を交わした。

 

それを見て俺も泉を見ながら

 

「そういうわけだ。よろしくな、泉。」

 

といって手を差し出す。

 

泉は俺と握手を交わした後俺の目の前で人差し指を立てながら

 

「泉じゃなくて”こなた”でいいよ?友達になるんだしかたっくるしいのは苦手だしね。その代わり私も君を慶一君と呼ばせてもらうよ?」

 

俺を名前で呼びたいというこなたの提案を受け入れて俺はこなたに

 

「わかったよ、こなた。これからもよろしくな。」

 

俺はふっと小さく笑いながらこなたにそう言うと

 

「うん、よろしくね?慶一君。」

 

こなたも笑顔で俺にそう応えてきた。

 

その後はこうと趣味があったのか、そっち系の事で2人は盛り上がっていた。

 

俺とやまとはそんな2人を見て苦笑しながらも2人を見守っていた。

 

そんなこんなで今日の合格祝いの遊びは終わり、それぞれに帰路につくこととなった。

 

「先輩、今日は付き合ってもらってありがとうございました。知り合いも増えたし中々有意義な一日になったと思います。また学校で会いましょうー。」

 

そう言って俺に太陽のような笑顔を向けて去っていくこう。

 

そしてやまとも少し複雑そうな表情を俺に向けながら

 

「今日はわざわざ来てくれてありがとう。先輩も元気そうだったから安心したわ。まさか一人知り合いが出来てしまうとは思わなかったけど・・・あの・・・先輩・・・私・・・いえ、なんでもないわ。それじゃ・・・。」

 

何か含みのなる言い方をして去っていくやまとに妙な違和感を覚えたがそれがなんなのかわからないまま、やまととも別れた。

 

2人と別れ、こなたと2人になった時、こなたは俺と携帯番号とメールアドレスの交換をしたいと言ってきたのでお互いに交換をしあった。

 

「ねえ、慶一君、携帯番号とメールアドレスを交換しない?」

 

こなたがそう言ってきたので俺は携帯電話を取り出して

 

「ああ、構わないぞ?ほら。」

 

俺はこなたに携帯番号とメールアドレスを渡す。

 

それを受け取ったこなたも俺に番号とアドレスを渡してきた。

 

「はいこれ。私普段あまり携帯を持ち歩かないから今日も持ってきてないんだよね。けど番号とかアドレスくらいは覚えてるからさ、まあ、次までに携帯探しておくからー。それじゃね、慶一君。今日は楽しかったよ。また学校でねー。私の友達紹介してあげるから楽しみにしててね?」

 

走り去っていく後姿に俺は声をかける。

 

「ああ、また学校でなー。」

 

そう言った後に俺はこなたの携帯番号とメールアドレスを確認しながら

 

「しかし、普段持ち歩かないってそれって携帯の意味あるのか?」

 

と一人呟きながら突っ込んでいた。

 

こうして久々の後輩達との再会と新たな友人との邂逅は終わった。

 

その後春休みが終わった学校で俺はさらに驚かされる事態に遭遇する事になるのだが、その時の俺には何も分からないままだった。

 

 


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