らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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来る年の旋律~旋律達の願い事~

コ○ケでの羞恥プレイ、そして、まさかのいずみさんとの遭遇もそうだけど、今回のコ○ケにこなた、かがみ以外のつかさ、みゆき、あやの、みさお、更にはやまとの参戦があった事にも驚いていた。

 

何故なら、そのうち数人は、おおよそこういうものに似つかわしくないイメージのある子達だったからだ。

 

そんなこんなで、クリスマスパーティからの地獄の日々も終わりを告げ、俺は一路、鷹宮神社を目指して、自転車を走らせていた。

 

後もう数分で年が明ける。

 

俺は年明け最初の初詣を鷹宮神社でやろうと前から決めていたのだ。

 

そして、神社に辿り着く頃、年明けを告げる鐘の音が響き渡った。

 

俺は鐘の音を聞きながら(ああ、ついに年が明けたか・・・今年はどんな年になるのかな?)と考えつつ、自転車を駐輪場に止めて神社に向けて歩き出す。

 

そして、その途中で俺はふいに声をかけられた。

 

「よう、慶一。あけましておめでとう、だな。お前がここに来るかも、と思ってな。」

 

そう俺に声をかけてきたのは、龍兄だった。

 

俺は驚きながら

 

「た、龍兄!?一体どうして?あ、えと、あけましておめでとう。」

 

そう返事をすると、龍兄は不敵に笑いながら

 

「この龍也を甘く見てもらっちゃ困るぜ?と言いたいところだが、かがみちゃんの所に電話して聞いたんだよ。まあ、そうでなくても俺は前にこの神社を鍛錬で使わせてもらった事があったからな。その時に、初詣はここもいいかもな、と思ってたんだ。」

 

という龍兄の答えに俺は少し呆れつつ

 

「・・・なんだよ、一瞬すげえ!って思っちゃったじゃないか。でも、結局年明け前に家にも戻れなかったしな。ここで龍兄に会えてよかったかも。」

 

その言葉に龍兄は笑いながら

 

「そういや、お前は24日にはサンタクロースの真似事してたんだってな。かがみちゃんから聞いたぞ?それにその時に一度家に帰ってきてた事もお袋から聞いたしな。」

 

龍兄の言葉に俺は恥ずかしさで顔を赤くしながら

 

「かがみの奴、そんな事まで龍兄に話したのか?お袋にも内緒でやってたって言うのに・・・」

 

そんな俺の言葉に龍兄は

 

「まあ、そう言うな。かがみちゃん達も喜んでたって言うんならいいじゃないか。それに、お前がそんな事までもやってるって言うのは俺にとっても嬉しい事だったからな。けどな・・・お前はそう言う部分では、俺を超えてる。俺がお前に唯一勝てない部分だ。」

 

その龍兄の言葉に俺は驚きながら

 

「え?龍兄?、どういう事だよ。俺はまだ、あんたを超えちゃいない、そのはずだよ。だからそれは買いかぶりすぎじゃ・・・」

 

俺の言葉に龍兄は首を振って

 

「俺は、正当伝承者として修行を積むうちに、人として大事な心を、優しさを、失くしかけている。これも修行のせいもあるんだろうが、お前のように俺の周りには俺を思う仲間の存在はなかった。だが、お前の周りにはお前を思う者達が、お前に心を与えてくれた者達がいる。そしてその者達と接して行くうちにお前は大事な物を手に入れた。俺にはない、仲間を思う気持だ。仲間を守りたいと思うその心だ。俺は、お前を守りたいと思っている。だが俺は、それ以外の仲間を持たない。あくまでもお前だけ、そして、確かに俺はお前の仲間も守ろうと言ったが、それはあくまでもついでだという事さ。」

 

一端言葉を切り、更に言葉を続ける龍兄

 

「本当の意味でお前らは仲間だ。だからこそ、それを守ろうとする心は俺よりも強い。だから俺は、お前が俺を超えた部分だ、と言ったのさ。誇っていいぞ?慶一。それがお前の育んできた力だ。俺にはない力だ。俺よりも強い力だ。」

 

そんな龍兄の言葉に俺は涙をこぼしながら

 

「龍・・・兄・・・俺は・・・」

 

何かを言おうとするが、上手く言葉にならず俺は泣いていたが、その俺の肩を龍兄はぽんと軽く叩き

 

「泣くなよ、慶一。まったく、泣き虫な所は昔から変わってねえな・・・ははは。」

 

そう言いながら苦笑する龍兄と共に俺は、鷹宮神社へと足を踏み入れていった。

 

そして、少し歩いた時、俺達に近づく人の気配を感じてそっちを振り向くと、そこには晴れ着姿のみゆきとこうとやまとの3人が立っていたのだった。

 

「あけましておめでとうございます、慶一さん。それに・・・龍也さん?」

「あけましておめでとうございます先輩。今年もよろしくお願いします。あれ?龍也さん、どうして?」

「あけましておめでとう先輩。今年もよろしく。それに、驚いたわね、龍也さんも一緒だなんて。」

 

新年の挨拶をしてくる3人に俺と龍兄も

 

「あけましておめでとう、みゆき、こう、やまと。今年もよろしくな。」

「あけましておめでとう、3人とも。ちょっと俺もこっちで初詣したかったから来たんだよ。」

 

新年の挨拶と龍兄がここにいる事情の説明をすると、3人とも納得したようで

 

「そうでしたか。龍也さんもお元気そうでなによりです。」

「そういえば龍也さんは1年ほどこちらに戻っていると言う事でしたよね?」

「そういえばそんな事を聞いたわね。でも、その後はまた武者修行の旅にでるのかしら?」

 

と言う3人に龍兄は笑いながら

 

「ありがとう、みゆきちゃん。こうちゃん、とりあえずそういう事だな。やまとちゃん、事が済んだらまた旅に出ると思うよ、その時には慶一の事よろしくな。」

 

龍兄の最後の言葉にやまとは顔を赤くしながら

 

「え、えっと・・・その・・・わかってるわ・・・こうも私も先輩の側にいるから・・・その・・・安心して?」

 

照れながらそう言うやまとを見て龍兄は優しく微笑んでいた。

 

そして、何故か少し黒いオーラを発しながらみゆきが

 

「龍也さん、大丈夫ですよ?私も慶一さんの側にいますから。だから何の心配もありません。」

 

そのみゆきの言葉に、俺と龍兄とこうの3人は少し顔を引きつらせつつ苦笑していた。

 

俺はとりあえず場の空気を変えるため3人に

 

「と、とりあえず、折角合流したんだし、一緒に初詣回ろうぜ?それに3人とも晴れ着、似合ってるぞ?」

 

そう言うと3人とも顔を赤らめながら

 

「あ、あの・・・そう言っていただけると嬉しいです・・・」

「久々に先輩に褒められた感じ、嬉しいけど照れくさいですね。」

「お、おだてたって何もでないわよ?でも、ありがとう・・・」

 

そう言う3人を見て何とか空気を変えれた事にほっとしている俺だったのだが、その横で龍兄がニヤニヤとしているのを見て

 

「た、龍兄!何にやついてんだよ!」

 

と抗議をすると龍兄はとぼけながら

 

「んー?別にー?いいんじゃないか?青春しててさ。」

 

と言う言葉に俺達4人は再度顔を真っ赤にしていたのだった。

 

そんな俺達を笑いながら見つつ、龍兄は俺達の前を歩いて行く。

 

そんな龍兄を俺達は慌てて追いかけてしばらく行くと、巫女服に身を包んだかがみとつかさの姿が見えてきたのだが・・・昨日の今日なだけに何だか滅茶苦茶疲れているようだった。

 

それでも、2人にはちゃんと新年の挨拶をしておこうと思い、俺達は2人の元へ歩いて行き、そして声をかけた。

 

「あけましておめでとう、かがみ、つかさ。昨日の今日でご苦労様、だな。」

「あけましておめでとう、かがみちゃん、つかさちゃん。ん?昨日の今日って何かあったのか?」

 

そう声をかける俺たち2人に気付いたかがみとつかさは

 

「あ、慶一くん。それに龍也さんもあけましておめでとう。今年もよろしく・・・はあ・・・眠いわね・・・」

「けいちゃん、龍也さん、あけましておめでとう~・・・つかれたよ~・・・」

 

と言いながらかなりしんどそうだった。

 

俺は龍兄が昨日の今日という言葉に首を傾げているのを見て

 

「あー・・・龍兄、こっちの話だ。龍兄には縁のない世界のね。だから気にしなくていいよ。」

 

と言う俺の言葉に首を傾げつつも、いまいち納得がいっていない風の龍兄だった。

 

そこに更にみゆき達も

 

「あけましておめでとうございます。かがみさんにつかささん。今年もよろしくお願いしますね。」

「あけましておめでとうございます。先輩達、巫女服いいですねー。」

「こら、こう!何言ってるのよあなたは!あ、あけましておめでとう。ごめんなさい、こうが変な事言って」

 

その言葉とみゆきがこの場に居る事に驚いたかがみとつかさは

 

「ああ、あけましておめでとう。って、珍しいわね、みゆきがここに初詣なんて。それと永森さん、別に気にしていないから大丈夫よ。あいつが来たらどうせ同じ事言われるだろうからね。」

「あけましておめでとう~。そういえばそうだね?ゆきちゃん去年も田舎に帰ってるって事だったもんね~。」

 

その言葉にみゆきはがらにっこりと笑いながら

 

「ええ、実は私の希望で今年と来年はこちらで過ごさせてもらう事にしたんですよ。田舎には高校時代以外でも帰る事はできます。ですが、高校時代、私達がこうやって初詣をする機会は今と来年の2回しかないですから。大事な時間をこちらで過ごしたい、そう思ったんです。」

 

その言葉にこうとやまとも感心していて、かがみとつかさもどこか嬉しそうな顔をしていた。

 

そして俺も、みゆきの言葉を聞いた時、少し前にした約束の事を思い出して

 

「そっか、あの約束をみゆきも果たしたいが為に、って事なんだな。なんだかんだでみゆきもこだわるなあ。」

 

俺がそう言うとみゆきはクスッと笑って

 

「当然ですよ。貴重な機会は2回しかないんですから。やると決めたからには悔いは残したくないですからね。」

 

そう説明するみゆきに俺たちも笑いながら頷くのだった。

 

そして、7人で話をしていると俺たちの背後から声をかけてくる者がいた。

 

「やふーかがみん、つかさー、あけおめー、ってあれ?みんなもいたんだ。」

 

と言う言葉に振り向くと、そこにはそうじろうさんと一緒にこなたがいたのだった。

 

「よっ、こなた、そうじろうさん、あけましておめでとう。今年もよろしく。」

 

と言う俺の挨拶にこなたとそうじろうさんも

 

「あ、慶一君、あけおめー。今年もよろしくねー。」

「やあ、森村君。あけましておめでとう。今年も俺の作品で楽しんでくれたら嬉しいよ。」

 

そんなこなたとそうじろうさんからの挨拶が返ってくると、それを見ていたみゆき達も同じように挨拶をこなたに返していた。

 

「へえ?あんたこういうのめんどくさがると思ってたけど、中々殊勝じゃない。」

 

かがみが感心したように言うと、こなたはいつものように目を細めながら

 

「一年の計は元旦にありって、さ。おとーさんが言うから。」

「どうも~」

 

そうじろうさんの挨拶にかがみと俺は心の中で

 

(急に何かが引っかかるー!!)

 

と突っ込んでいたが、こなたとそうじろうさんはそんな俺たちの事など意にも介さないようで

 

「いやあ、眼福眼福。」

「巫女服新鮮ー!」

 

と言って親指をびしっと立てているのを、俺達は呆れながら見ていたのだった。

 

そして、そんな俺達を見ていた龍兄が

 

「なあ、慶一。あの人もお前の知り合いなのか?」

 

そう訪ねてきたので俺は龍兄に

 

「ああ、あの人はこなたのお父さんだよ。そして、俺が尊敬する小説家の先生でもある人さ。」

 

そう言う俺に、龍兄はそうじろうさんを見ながら何事か考え込んでいたが、ふいにそうじろうさんの所へ行って

 

「初めまして。俺は森村慶一の義兄の龍神龍也といいます。うちの義弟があなたのファンだそうで。」

 

そう挨拶すると、そうじろうさんも龍兄を見て驚きながら

 

「ああ、こちらこそ初めまして。成る程、森村君にお兄さんがねえ・・・俺はこなたの父の泉そうじろう。よろしく。そういえば君と森村君とは性が違うみたいだね、何か事情があるのかい?」

 

と聞いてくるそうじろうさんに龍兄は、事情を説明しつつ談笑していた。

 

そして、その様子を見ていると俺達の後ろから2人、声をかけてくる者がいた。

 

「慶一ー、みんなーあけおめー。私らも初詣きたんだけどお前らに会えると思わなかったゼー。」

「慶ちゃん、みんな。あけましておめでとう、今年もよろしくね。あ、それに龍也さんもいるのね?」

 

その言葉に気付いたかがみ達も挨拶を交わしていた。

 

そして俺はみさお達に

 

「お?みさお、あやの。あけましておめでとう。まさかお前らとここで会えるとは思ってなかったけどお前らも確かここが地元だったもんな。」

 

そう言うと2人も頷きながら

 

「おう。そうだぜー?私ら2人で初詣行こうか、って話してたんだ。」

「私もまさか慶ちゃん達と会えるとは思わなかったわ。でも、こうして会えたのなら私達には縁があるのかもしれないわね。」

 

あやのの言葉に俺をはじめとする皆も納得するように頷いていたのだった。

 

俺は皆を見回しながら

 

「なあ、みんな。ここで会えたのも何かの縁だし、みんなでおみくじでも引きに行かないか?」

 

と提案すると、皆も同意してくれたので、俺達はおみくじを引く場所へと向かったのだった。

 

おみくじを引く場所に来ると、カウンターの所にはまつりさんが座っていた。

 

「あけましておめでとうございます。まつりさん。新年の一発目と言う事でおみくじを引きに来ましたよ?」

 

そう声をかけると俺に気付いたまつりさんは

 

「あー!森村君いらっしゃーい。早速やって行くんだね?ん?森村君の後ろにいるお兄さんは誰?」

 

挨拶を返しつつ、俺の後ろにいる龍兄に気付いたまつりさんに俺は

 

「ああ、そういえばまつりさんは初めて会うんでしたね。この人が俺の義兄の龍神龍也。前にまつりさんが龍兄に会いたいって言ってたとかがみから聞いたから連れて来たよ。と言うより、ここに来たら来てたんだけどね。」

 

苦笑しながらそう言う俺に、まつりさんは瞳を輝かせながら

 

「おおー!この人が森村君のお兄さんなんだ。結構いい男じゃない。えっと、龍也さんでしたよね?初めまして、柊かがみ、つかさの姉の柊まつりです。」

 

そう自己紹介するまつりさんに龍兄も

 

「初めまして。龍神龍也です。義弟がいつもお世話になっています。柊さんの家は美人さんが多いですねえ。」

 

とまつりさんを褒めると、まつりさんも満面の笑みを浮かべながら

 

「いやー、嬉しい事いってくれるねー。よーし、そんな龍也さんにはおみくじ代金、特別サービスだよー。」

 

となにやら勝手にやろうとしてるところを見たかがみが

 

「姉さん!何勝手な事してるのよ!お客さん他にもいるんだからそんな事しちゃ苦情きちゃうじゃない!」

 

と突っ込みを入れると、まつりさんは不満気な顔をしながらもしぶしぶと

 

「ちぇー、わかったよー。かがみはほんと堅いわよねえ・・・」

 

と、不満を口にするとかがみはすかさず

 

「姉さんがいい加減だからでしょ!?少しは鷹宮神社の巫女としての自覚をもったらどうなのよ!」

 

と言うのを皮切りに2人の言い合いが始まってしまった。

 

俺達はその様子を苦笑しつつどうすればいいか悩んでいたが、そこに神主のただおさんが現れて

 

「こら、かがみ、まつり!お客さんの前だぞ?2人ともいい加減にしないか!」

 

と言って2人を一喝すると2人ともすぐに黙り込んだのだった。

 

一応の騒ぎが収まったのを見て俺達は小声で

 

『やっぱりあの2人はぶつかり合うなー・・・気の強そうな性格似てるし・・・』

『おい、慶一。お前も大変だな、柊さん所は良さそうな人達がいるけど、ああいう騒ぎよく見てるんだろうからな。』

 

俺は苦笑しつつ

 

『まあ、激しいからなあ・・・でも俺も止めるようにはしてるけどね。』

 

そう言うと、龍兄もどんな顔をしていいのか迷っているようだった。

 

さらにこなたが

 

『流石に姉妹だねえ、なかなか激しいぶつかり合いだったねー』

 

そう小声で言うと、そうじろうさんは羨ましい物を見る目で

 

『柊さんの所も勝ち組みみたいだな。うちも負けてはいないけどな。』

 

そう呟いたのを聞いたこなたが何かを思い出したらしく、そうじろうさんに

 

『そういえばゆーちゃんも受験成功したらうちで一緒に暮らすんだよね?』

 

そう聞くとそうじろうさんも頷いて

 

『おう、そうだぞ?こなたはおねーさんなんだからちゃんと面倒みてやらなきゃだめだぞ?』

 

その言葉に苦笑しながら

 

『それ、前にも慶一君に言われたね・・・』

 

ばつの悪そうな顔で言うこなただった。

 

みゆきも2人の喧嘩を見て

 

『それにしてもなかなかに激しい姉妹喧嘩でしたね・・・』

 

そう感想をもらすと、みさおとあやのは俺達よりも前からかがみの家へ遊びに行った時の事を思い出して

 

『柊んとこは前からあんな感じだゼ?私らもよく見てたかんな。』

『そうね。いのりさんはそうでもないんだけど、柊ちゃん、よくまつりさんとああなるものね。』

 

そう俺達に2人の事を教えてくれた。

 

こうとやまとも複雑そうな顔をしながら

 

『色々苦労してるんですねえ、かがみ先輩も。』

『でも、流石にかがみ先輩のお父さんね。きっちり喧嘩を収めちゃったわ。』

 

そう言っていたのだが、俺はここに来た目的を果たそうと思い、みんなに

 

「とにかく、おみくじ引いちゃおうぜ?」

 

そう促すと、皆も頷いておみくじを引きに行ったので、俺も後についておみくじを引いた。

 

「よーし!私は何かなー・・・って凶!」

「お、大吉かー。幸先いいなあ。」

 

まずこなたとそうじろうさんの結果が出た。

 

その結果を見ていたつかさが、落ち込むこなたに

 

「大丈夫だよ。今が最低なら後は登って行くだけだもん。」

 

と慰めると、こなたは少しだけ元気を取り戻しつつも

 

「うう・・・物は言い様だね・・・でも、ありがと、つかさ。」

 

とお礼を言っていた。

 

そして次はみゆきなのだが・・・

 

「あ!大吉です。」

 

流石と言うか、みゆきは前から思っていた事だが、運がいいと思っていたので、これには納得の俺だった。

 

「おめでとう、みゆき。」

 

そう俺が言うとみゆきは照れながら

 

「あ、ありがとうございます。慶一さんもいい所引けるといいですね。」

 

と言みゆきに俺も頷いていた。

 

「んー?どれどれ・・・お?末吉か。」

「私は・・・っと、中吉ね。」

 

みさおとあやのは良くもなく悪くもなく、無難な線の結果だった。

 

「2人ともそれなりの物だな。でも、悪くはないな。」

 

俺の物言いに、一応この結果に納得していたようだった2人は笑顔で頷いていた。

 

「私はどうかな?・・・ふむふむ・・・小吉か。微妙だなー・・・」

「私は・・・と。あ、大吉ね。今年は幸先がいいのかもしれないわね。」

 

その結果を聞いて俺は

 

「こう。それでも悪くはないんだし、よかったじゃないか。しかし、やまとも案外運がいいのかもしれないな。」

 

俺の言葉を聞いて2人は

 

「まあ、私はこれを大吉に昇格できるようにがんばりますよ。」

「私はこれを維持して行きたいわよね。」

 

顔を見合わせてそう言っていたのだった。

 

そして俺と龍兄の番になったので2人でおみくじを引く。

 

「俺は・・・っと。あらま、凶だ。」

「慶一、のっけから運がないな。俺は・・・ふむ、中吉か。」

 

と言う結果になった。

 

そしてこなたは同じ凶の仲間がいた事にかなり喜んで

 

「慶一君と一緒だー。出たやつは最悪だけど、何か嬉しいなー。」

 

そう言っているこなたを苦笑しながら見つつ、俺はもう一度自分のおみくじを見る。

 

そして、俺は何故か、この結果に妙な胸騒ぎを覚えたのだが、自分の気の回し過ぎかもな、と自分を無理やり納得させてこなたに

 

「ま、とりあえず引いちゃったものは仕方ないからな。こなた、厄払いでその辺の木の枝に結び付けてこようぜ?」

 

と言うとこなたも頷いて

 

「うん、そうしてきちゃおっかー。それじゃ、行こう?慶一君。」

 

そう言って俺の手を引いて歩き出すこなたと一緒におみくじを結びにいったのだが・・・・・・

 

「わ!一杯!!あ!こっちも!!」

 

どこもかしこも結ばれたおみくじで一杯だったのだが、こなたが一ついい場所を見つけたらしくそこに結びつけようとしたところ、あまりにも細い枝だったが為に枝がへし折れて、そんな惨状にこなたは泣きながら

 

「うう・・・これが凶ってやつなのかなー?」

 

と言いながら凹んでいた。

 

そんなこなたに俺は、苦笑しながらもいい場所をもう一つ見つけたので

 

「おい、こなた。こっちにいい所あるからここに結ぼう。位置的にちょっと高いからお前のおみくじを俺に貸せ。」

 

そう言うとこなたは俺に自分のおみくじを差し出して

 

「うん。それじゃこれお願いー。」

 

と言うこなたに俺は頷いておみくじを枝に結び付けた。

 

それを終えて戻ってくると、俺達の結果を聞いたかがみが

 

「こなたも慶一くんも凶だったんだって?でも、落ち込む事もないわよ。こういうのも結局は自分次第なんだしね。」

 

と言う言葉にこなたは苦笑しながら

 

「理屈はわかるけど、関係者の台詞じゃないねえ。」

 

と言っていたのだった。

 

おみくじも引き終えた俺達は、最後に境内で今年の願い事をして行く事になった。

 

それと共に、ある程度の仕事を終えたかがみとつかさも俺達について来て、一緒に願い事をするのだった。

 

「ふう、やっと辿り着いたな・・・流石に凄い人だ。さて、5円玉をっと・・・」

 

俺は財布から5円玉を取り出して賽銭箱にほおり投げて今年の願い事をするのだった。

 

(今年も皆と仲良く、そして、何事もなく無事に過ごせますように・・・)

 

そんな俺を習ってみんなも賽銭を投げ入れて願い事をする。

 

こなたside

 

(今年も皆と一緒に楽しくやれますように・・・慶一君に何も悪い事が起きませんように・・・)

 

私はまだ、慶一君に成神章の影がある事を懸念していたので、その事も重ねてお願いをしたのだった。

 

かがみside

 

(今年は皆と同じクラスになれますように・・・慶一くんとも同じクラスならなおいいので、よろしくお願いします・・・)

 

今年こそは皆と一緒のクラスになりたい、と思っていた私は、密かにそんな事を願っていた。

 

つかさside

 

(今年もみんなと一緒でありますように・・・喧嘩もしないで楽しくやっていけますように・・・)

 

おねえちゃんが一緒のクラスになりたがっていた事を知っていたわたしは、密かにその事も強くお願いした。

 

みゆきside

 

(後一年しかありませんが、皆さんと共に居れますように・・・慶一さんも私達の側にいてくれますように・・・悔いのない高校生活が送れますように・・・)

 

結局私は、あの時慶一さんとした約束にこだわりたかったのもあったのと、みんなと一緒にいい思い出を作りたいと思ったので、そのように願ったのでした。

 

みさおside

 

(私やあやのも柊や慶一達とこれからも居れますように・・・私らだけはぶられませんように・・・って・・・もう仲間と認めてもらってるのにネガティブすぎじゃん!!)

 

願い事ををしながらなんか妙なコンプレックスに凹む私だった。

 

あやのside

 

(今年もみんなと一緒にたのしくやれますように・・・あの人といつか一緒になれますように・・・)

 

さり気なくみさちゃんのお兄さんとの事も願う私だった。

 

こうside

 

(今年も先輩やみんなと仲良くやっていけますように・・・アニ研がますます発展しますように・・・ひよりんが無事合格しますように・・・先輩がまたコ○ケに来てくれますように・・・やまととこれからも親友でいれますように・・・)

 

結構多くのお願いをしてしまった私だった。

 

やまとside

 

(今年だけでなく、それ以降もみんなと上手くやっていけますように・・・先輩がこうの趣味に染まりませんように・・・こうの遅刻癖が治りますように・・・先輩がこれからも私達の側にいてくれますように・・・)

 

こうと親友でいれますようにというのを願い忘れたけど、まあいいか、と思う私だった。

 

龍也side

 

(慶一がこれからもみんなと居れますように・・・俺達の戦いにあいつを巻き込みませんように・・・誰も悲しむ事がありませんように・・・そして、全てに決着をつけられますように・・・)

 

慶一にも明かしていない俺の真の目的の完遂と、慶一の幸せを願っておいた。

 

それぞれが願い事を終えて俺達は再び広場に集まっていた。

 

「んー・・・っ、疲れたけど一通り終わったな。」

 

大きく伸びをしながらそう呟くとこなたが

 

「ねえねえ、慶一君は何をお願いしたの?」

 

そう聞いてきたので俺は

 

「俺はみんなとこれからも仲良くやれますように、ってな。」

 

そう、自分がお願いした事を言うと、こなたも笑いながら

 

「へえー?それって私と一緒だね。」

 

と言っていたのを見てかがみも

 

「あんたもそう願ったんだ?まあ、私もだけどね。」

 

同じ事を願った事を言うとつかさがにこにこしながら

 

「わたしもそうだけど、おねえちゃんの場合、一緒のクラスになりたい、っていうのもだよね?」

 

そう言うとかがみは途端に赤くなって

 

「つ、つかさ、あんたはなんですぐばらすのよ!」

 

かがみの言葉にしまった、と言う顔でつかさが

 

「え、えへへ。ごめんね?おねえちゃん。」

 

そうつかさが言うと、こなたがニヤニヤとしながら

 

「そっかー、かがみは私達と同じクラスになりたかったんだー。うんうん、寂しがりやなかがみはやっぱり可愛いねえ。」

 

そうからかうと、かがみは途端に真っ赤になって

 

「こ、こなたー!!修正してやるからそこになおれー!!」

 

そう言ってこなたを追い掛け回すかがみを苦笑しながら見ていると

 

「まったく、しょうがないなあ、あいつらも・・・」

 

呆れながら俺がそう言うと、みゆきも微笑みながら

 

「うふふ。かがみさんらしいですね。でも、去年もそれで落ち込んでいましたからかがみさんの願いが叶えばいいですが。」

 

そう言っていたが、みさおも笑いながら

 

「ま、たとえちびっ子と一緒のクラスになれなくても私らがいるから安心だよなー。」

 

そう言うと、そんなみさおの言葉にあやのも苦笑しつつ

 

「それはそれでいいかもしれないけど、どうせなら皆一緒がいい気がするわよね。」

 

その言葉を聞きつつ、追いかけっこをする2人をみながら「どんだけ~・・・」と呟いていたつかさが

 

「うん。わたしもそうなったらいいなあ、って思ってるんだよ~。」

 

その言葉にこうが難しそうな顔をしながら

 

「うーん、でも、結構厳しいかもしれませんね。基本、双子とか身内はクラス一緒にしないとかいうのがあるって聞いた事ありましたし。」

 

その言葉にやまとも頷きながら

 

「そうね。学校の方針の一つだっていう事を聞いた事があるわ。そうする事で、均等になるようにするのだって。」

 

やまとの言葉に龍兄は

 

「ふーん?結構面倒な事やるようになったんだな。俺が通ってた頃はそんなのなかったけどなあ。」

 

と、顎に手を当てながら言っているのを聞きながらかがみ達を見ていたが、ついにかがみに捕まり、鉄拳制裁を貰って涙目になったこなたを引っ張ってくるかがみに

 

「なあ、かがみ。俺と賭けをしないか?」

 

そう持ちかけた。

 

かがみは俺の言葉に不思議そうな顔を向けて

 

「賭け?一体何を賭けるって言うのよ?」

 

そう聞いてきたので俺は

 

「今年のクラス分けでかがみがこなたと一緒のクラスになれるかどうか、ってやつさ。」

 

俺の言葉に訝しげな瞳を俺に向けてきたかがみだったが

 

「・・・いいわ。乗ってあげるわよ。それで、あんたはどっちに賭けるの?」

 

そう聞いてくるかがみに俺は

 

「俺は・・・お前がこなたと一緒のクラスになれないほうに賭ける。」

 

俺のその言葉に驚きの表情を見せたかがみは、すぐに不機嫌な表情に変わり、俺に

 

「どういう意味?あんたは私がこなたと同じクラスになれなくてもいいって思ってるわけ?」

 

そう言ってくるかがみに俺はそんな視線を受け流しつつ

 

「かがみ。お前が俺がどう言っても自分はこなたと同じクラスになれるんだ、って信じてるなら、信じるのなら、お前は自信を持って俺と真逆の答えを言えばいいだろ?それとも、自信ないか?同じクラスになれるかどうか、って事が。」

 

そう言うと、俺の言葉に”はっ”とした表情になったかがみは俺を見据えながら

 

「・・・ふん、いいわ。私は一緒のクラスになりたいと思ってるから、こなたと一緒のクラスになれるって方に賭けてやるわよ。それで?この勝負をするって事は勝った方が負けた方に何かするとかそういう事があるわけ?」

 

その言葉に俺は頷きながら

 

「まあな。どちらが勝つにせよ負けるにせよ、負けた方は勝った方の言う事を一つ聞くっていう事だ。」

 

俺の言葉に不敵な笑みを浮かべたかがみは

 

「いいわ。その勝負受ける。私が勝った時はあんたに言う事一つ聞いてもらうからね?でも、もし私が負けたら、あんたの言う事一つ聞いてあげるわよ。」

 

そう言い放ったのを見て俺も力強い頷きで返し

 

「なら、そういう事で、だ。クラス分け発表の日を楽しみにしてるぜ?かがみ。」

 

俺がそう言うとかがみも

 

「望む所よ?絶対に勝ってみせるんだから!」

 

そう言い放つのだった。

 

そして、一通りの事を終えて俺達はそれぞれ帰途についたのだが、龍兄とみゆきとこうとやまとの4人はすでに電車がなくなっていたので今夜一晩家に泊める事にして、自転車1台の俺は龍兄以外の3人をピストン輸送で家に送っていたのだった。

 

龍兄はというと、修行になるからと走って家へ向かったのだった。

 

そして、みゆきを最後に乗せて家に戻る途中みゆきが

 

「慶一さん、先ほどのかがみさんとのやり取りを見ていましたが、何故あのような事をおっしゃられたんですか?」

 

その言葉に俺は笑いながら

 

「んー?何となくああやった方が盛り上がっていいかなーと思ったからかな。」

 

俺の答えにみゆきは困惑しながら

 

「けれど、もし同じクラスになれなかったら、かがみさんが可愛そうです・・・」

 

と言うみゆきの言葉に俺は

 

「おいおい、みゆき。俺が文化祭の最終日にお前にプレゼント送った時に言った事を忘れたのか?大丈夫なんだよ。校長とのあの約束があるんだから。」

 

その俺の言葉にみゆきはあの時の事を思い出したようで

 

「あ・・・そういえば、そうでしたね。すっかり忘れてしまっていました。あ、けどそうしたらこの賭けは慶一さんの負けじゃないですか?何故それがわかっていてあのような事を?」

 

その言葉に俺は笑いながら

 

「ははは。そういうのも面白いだろ?それに、かがみが喜ぶ顔が見れるならそれでいいじゃないか。それに、これも俺なりの、かがみへの恩返しみたいなもんさ。」

 

俺の言葉にみゆきは嬉しそうな顔で

 

「ふふふ。慶一さんらしいですね。それにかがみさんの喜ぶ顔が今から楽しみです。」

 

その言葉に俺も頷きながら

 

「そうだな。俺も楽しみだ。あ、それと、みゆき。この事は誰にも言うなよ?俺達の秘密って事でよろしくな。」

 

俺の言葉にみゆきは微笑みながら

 

「ふふ。わかっていますよ。その時までは私達2人だけの胸の中にしまっておきましょう。」

 

その言葉に俺も笑いながら頷いたのだった。

 

旋律達と知り合い、初めての年越し。

 

そして初詣においては旋律のみんなと共に、それぞれの願い事をした。

 

俺はその願い事の中に確実に叶うものがある事を心に隠しつつ、桜咲く日を心待ちにするのだった。

 


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