らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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第12章 旋律達の裏側と龍也登場編
舞い戻る旋律~帰ってきた義兄~


突然にバイトをやめ、俺達のいるア○メ○トに急遽参戦してきたこなた。

 

俺はそんなこなたの行動力に驚きつつもそれがこなたの意思ならばとかなり呆れはしたが、尊重する事にしたのだった。

 

そしてクリスマスも近づく中、俺達にとっても今年最後の期末試験に臨む事となった。

 

こなたやつかさ、みさおは終始いやそうな顔をしていたが、それでも昼休みにみんなで行った苦手な部分の強化が効いていたのか、それなりに手応えを感じているようだった。

 

テストも2日目、俺達はいつものように集まって試験の中間報告をしあっていた。

 

「とりあえず試験も中日となったわけだが、みんなの調子はどうだ?」

 

そう言って、皆を見回しつつ聞くと

 

「私はいつもよりはいいかもしれない。一夜漬けはやったけどそれ以前からやってた慶一君から教わったやり方と弱点克服の図書室での勉強が効いてるみたい。」

 

珍しい答えを返すこなたにかがみも感心しつつ

 

「へえ?珍しいじゃない。いつもテストで喘いでいたあんたからそんな答えを聞くなんてさ。とはいえ、私も図書室でやったあれは効いてるわね。今回もいい感じよ?」

 

かがみの前半の言葉にむくれるこなたに”にひひ”と言う笑いを向けるかがみを苦笑しながら見ているつかさは

 

「わたしもいつもよりはいい感じ。やっぱりけいちゃんから教わったあれはいい感じだね~。それにみんなでやった勉強も身についてたよ~。」

 

予想以上に調子がでていて嬉しそうなつかさにいつもの微笑みを向けながら

 

「私も今回の弱点克服の勉強は役に立っているみたいです。いつもよりも手応えを感じています。」

 

自信ありげに言うみゆきを羨ましそうに見つつみさおは

 

「やっぱ、優等生は違うよなー・・・とはいえ私も今回は調子いいゼ?なあ、あやの。」

 

みさおもそれなりに調子を上げているみたいで、成果が出ている感じを嬉しそうに見ながらあやのも

 

「そうね。今回はみさちゃん、がんばってるからきっと結果でると思うわよ?私もみさちゃんに教えながらいい勉強になってるしね。」

 

にこにこしながらそう答えるあやの。

 

「さすが先輩達ってとこですね。でも今回は私も自信ありですよー?」

 

自信満々にそう答えるこうに軽いため息をつきながらやまとは

 

「張り切るのはいいけど、それが空回りして悲惨な結果にだけはならないでね?それはともかく、私もいつもよりはいい感じね。」

 

いつもながらきついツッコミをこうにいれて自分の調子も報告するやまと。

 

「やまと・・・相変わらず、ツッコミきついよ・・・」

 

こうもそんなやまとに抗議していたが、結局やまとに一蹴されて、またも涙目になっていたのだった。

 

そんな様子を俺達は笑いながら見ていたが、そろそろ時間も来たので、俺達は今日もまたバイト先へと向かう事となったのだが、テスト中という事もあり、時間も結構空いていたので今日は一度各自の家に戻ってそれぞれにバイト先へ向かおうと言う事になった。

 

今日はかがみ達も早めに帰ったので、俺は珍しく1人の帰り道を歩いていたのだが、後ろから突然鳴らされたクラクションに驚いてそっちを見ると、そこには笑顔で俺に手を振るゆいさんがいたのだった。

 

「おーい、森村君!私だよー!!旅行以来だねー!!」

 

と、かなり大声で俺に叫んでいるゆいさんに恥ずかしくなった俺は慌てて車にかけよって

 

「ゆ、ゆいさん、恥ずかしいので大声は勘弁です。」

 

そうたしなめるとゆいさんは笑いながら

 

「いやー、ごめんごめん。久々に君の姿見たものだからついねー。ところで森村君、これから少し時間ある?」

 

そう訊ねてくるゆいさんに俺はバイトの時間の事も考慮しながら

 

「ええ。ある程度ならありますが、俺に用事ですか?」

 

俺の質問にゆいさんは大きく頷いて

 

「うん。君を見つけたっていうのもあるんだけど、あの時の旅行のお礼ってしてなかったなーって思ってね。家でお茶でもどう?ゆたかも君に会いたがってたみたいだし。」

 

その言葉に俺は苦笑しつつ

 

「わざわざその為に俺に声をかけてくれたんですか。あの事なら自分の意志でそうしたわけですからお礼を言うとしたら車を提供してくれた事に対して俺がしたい、とも思ってたところですけどね。けど、そういう事でしたら少しお付き合いさせてもらいますよ。ところで、ゆたかは元気にしてますか?」

 

ゆいさんの提案を受けつつゆたかの事を訊ねると、ゆいさんは自分の車の後部席を指差して

 

「あはは。森村君は謙虚だねー。ゆたかなら後ろの席でお休み中だよ?」

 

そう言うゆいさんに促され後部席を見ると、顔色を悪くして気絶してるゆたかを見て俺は思わず

 

「ゆいさん!あれはお休みしてるんじゃなく、気絶してるんですよ!!とにかく家まで早く!!」

 

そう言いながら慌てて俺はゆいさんの車に乗り込むと、そのままゆいさんの家に向けて出発したのだった。

 

道中俺はずっとゆたかの様子を見つづけつつも、道を覚えたいと思ったのもあって、俺はちらちらと窓から見える風景を頭に焼き付けたのだった。

 

そして、小早川家に着いた俺達はゆたかを極力刺激しないようにゆっくりと部屋に運び込み、ベットに寝かせてしばし様子を見ていると、顔色が良くなって来たので俺はひとまず安心してリビングへと降りていった。

 

そしてリビングで苦笑しているゆいさんをじろりと睨みつけると

 

「・・・まったく、だめじゃないですか。あなたはゆたかの姉なんですからゆたかの体調をもう少し気遣ってあげないと・・・」

 

そう言って軽く説教したのだが、当のゆいさんは謝りつつもあまり反省してないようだった。

 

「ごめんごめん。気をつけてはいるんだけどついね。とりあえず紅茶でいいかな?森村君。」

 

俺の説教を切り上げたいゆいさんはそう言って話をそらすと、逃げるようにお茶の準備をしにキッチンへ走っていったのだった。

 

俺はその様子を見て重々しくため息を一つついて

 

「ゆいさんにも困ったもんだな・・・」

 

そう呟いていると、後ろから俺に声をかけてくる人の気配に気付いた。

 

「あ、あの。慶一先輩、ですよね?どうして家にいるんですか?」

 

その声に振り向くと、ゆいさんの運転からようやく復活したらしいゆたかが首を傾げながら俺に聞いてきたのだった。

 

「お?ゆたか、もう起きても大丈夫なのか?いや、実はゆいさんに旅行の時のお礼をしたいからお茶でもどうかな?って誘われたからね。お邪魔させてもらったんだ。その時一緒の車に乗ってたんだが、どうやらゆたかは気絶してたから気付かなかったんだろうな。」

 

そう説明するとゆたかは途端に慌てて

 

「そ、そうだったんですか。ごめんなさい先輩。ゆいお姉ちゃんがご迷惑を・・・」

 

そういいつつ落ち込んだので、俺はゆたかの頭を軽くポンと叩いて

 

「気にするなよ。俺もゆいさんのご厚意を受けるつもりできたんだしな。それよりもゆたか、体の方は大丈夫か?」

 

そう訊ねるとゆたかは顔を少し赤らめつつも

 

「は、はい。少し休んだら楽になりました。そうですか、でしたらゆっくりしていってください。私も先輩とお話したいですし。」

 

そう言ってくれたので俺もゆたかに笑いかけながら

 

「ありがとう。けど、俺もバイトやってる身だからね。その時間の事もあるしあまり長居はできないけど時間内はつきあうよ。それにゆたかももうすぐ受験だしな。あまりお前の迷惑にもなる訳にいかないからな。」

 

そう伝えるとゆたかも笑って

 

「わかりました。ならその間だけでも・・・それと、受験がんばりますね。きっと私合格してみせますから。」

 

俺はその言葉に頷いて

 

「ああ。がんばれよ?ゆたか。きっと3人揃って俺達の前に来てくれ。」

 

その言葉に嬉しそうに頷くゆたかに俺も笑って頷いていたが、そこにゆいさんが紅茶を準備して戻ってきたので、俺はゆいさんも交えて3人で時間近くまで久々の語らいを楽しんでいたのだった。

 

そして、バイトに向かう時間も近づいて来たので話をきりあげて俺はゆいさんに送ってもらって自宅近くまで戻ってきた。

 

そして家の前まで来た時、俺の家の前でたたずむ1人の男の姿を見つけた俺はその男に近づいて

 

「あのー、この家に何か御用ですか?」

 

そう訊ねると男は俺の方に振り向いて

 

「ん?いや俺の親父からここに俺の義弟(おとうと)が住んでるって聞いてきたんだがな・・・・・・ん?お前、慶一か?ひょっとして。」

 

俺の名前を呼び驚いている男を見て俺はさらに驚いて

 

「た、龍兄?ひょっとして龍兄なのか?」

 

そう訊ねると、龍兄は昔から知っている懐かしい笑顔で

 

「おう、俺だ。久しぶりだな、慶一。ずいぶん元気そうじゃないか。」

 

俺はいつかまた会いたいと思っていた義兄(あに)に出会えた事に驚きと喜びを感じながら

 

「龍兄こそ6年前に武者修行に出るっていって以来音沙汰なしだったじゃないか!俺も親父達も心配してたんだぞ!?」

 

ついつい興奮で強めの口調になっている事に気付きつつも、それを抑えられずに言葉を続ける。

 

「無事でいるんだったら手紙の一つぐらいよこしてもいいじゃないか!」

 

そんな俺の言葉にあの頃と変わらない優しい微笑みをたたえながら龍兄は

 

「ははは。そう怒るなよ。便りのないのは元気な証拠とも言うだろ?けど、慶一。しばらく見ない間にずいぶん大きくなったじゃないか。」

 

その言葉に俺は涙が出そうになるのをこらえながら

 

「まだ、龍兄には及ばないよ・・・俺はまだまだ龍兄に追いつけてない・・・」

 

その言葉を聞いた龍兄は俺の頭をかるくポンと叩くと

 

「あまり自分を卑下するな、慶一。あんときゃほんの餓鬼だったお前だけど、今はかなりいい顔してるぜ?だから自信を持て。お前は俺の誇るべき義弟なんだからな。」

 

その言葉に俺はもはや涙をこらえられずに泣いてしまっていたのだった。

 

かがみside

 

今日のバイトは慶一くんと一緒に行こうと思い、私はつかさと共に慶一くんの家に彼を迎えにいったのだけど、そこで私とつかさは家の前で見慣れない男の人と話す慶一くんの姿を見つけたのだった。

 

その人と話している慶一くんを私達は物陰に隠れて様子を伺っていたのだが、話しているうちに慶一くんが涙をこぼし始めたのを見た私は、一体何が起きているのか分からないままじっとその様子を見つづけていた。

 

「あの人、誰なんだろう・・・何だか慶一くん、やけに親しげに話してるわよね・・・」

「うん。でも、悪い人じゃなさそうだよね・・・」

「あ!慶一くんが涙を流してる・・・一体何が起きてるの?」

「でも、おねえちゃん。あの人、雰囲気がけいちゃんに似てないかな?」

「え?そ、そうかな?・・・・・・言われてみるとそんな感じね・・・」

「ひょっとしてけいちゃんの関係者なんじゃないかな?」

「うーん・・・でも、なんとなくでていきづらい雰囲気よね・・・」

「どうしようか・・・」

 

そう言って私とつかさは困惑しながら2人を物陰から見続けているのだった。

 

慶一side

 

俺が龍兄と久々の対面を果たして、その懐かしさと会いたいと思っていた思いがあふれて涙を流していた俺だったが、龍兄は俺を慰めつつも近くにあった2つの気配に気付いたようで

 

「おい、そこの奴、大人しく出て来い。俺達の様子を伺っているみたいだが隠れていて無駄だぞ?」

 

その言葉に気配の主はおそるおそる物陰から出てくる。

 

そして俺はその姿を確認して思わず声をあげたのだった。

 

「か、かがみ、つかさ。お前らどうしてここに?」

 

その2人が俺の知り合いだとわかると龍兄は警戒を解いたようで

 

「なんだ、慶一。お前の知り合いか?」

 

そう言ってくる龍兄に俺も頷いて

 

「ああ。今俺が通ってる学校の友人達さ。そっちのツインテールの子がかがみ、そっちのショートの子がつかさだ。」

 

そう紹介するとかがみとつかさもとりあえず自分たちの自己紹介をするのだった。

 

「あ、あの。私は慶一くんの友人で柊かがみっていいます。そしてこっちは妹のつかさです。」

 

かがみの紹介にぺこりと頭を下げるつかさだった。

 

「柊つかさです。私もけいちゃんとはお友達です。ところで・・・その・・・あなたはいったい誰なんですか?」

 

その言葉に龍兄は優しく笑うと

 

「そうかそうか。ごめんごめん。驚かしちゃったみたいだな。俺は龍神龍也(たつかみたつや)。慶一とは血は繋がっていないが義兄弟(きょうだい)だ。俺が兄にあたる。」

 

そう言って2人に握手の手を差し出すと2人もおずおずと龍兄に握手を返していた。

 

「そ、そうだったんですか。慶一くんに義兄さんがいたなんて驚きです。私達全然知りませんでしたから・・・」

 

かがみがそう言うと龍兄は俺をあきれたような目で見て

 

「おいおい、薄情な義弟だな。俺の事この子らに話してないのか?」

 

その言葉に俺はうろたえながら

 

「だ、だって、龍兄、帰ってくるかもわからなかったじゃないか!もしかしたらこのまま会えないかも知れない人を義兄です、なんて紹介できるかよ!」

 

龍兄は軽くため息を一つつくと

 

「まあ、そう言われりゃそうだよな。すまん慶一、無理言った。」

 

龍兄の言葉に俺も軽くため息をついてやれやれと心の中で思いながら

 

「それはともかく、久々に会ったんだ。義兄弟水入らずで久しぶりに話さないか?」

 

という龍兄に俺は

 

「悪い、龍兄。俺はこれからこの子らとバイトいかなきゃならないんだ。しばらく居るって言うんなら、俺の家で待っててくれないか?話は俺のバイトが済んでからしよう。」

 

そう言うと、龍兄はやれやれとジェスチャーしながら

 

「つまり俺に留守番していろ、と言う訳か?まあ、そういう事なら仕方ないな。なら待っててやるからバイト済ませて来い。俺は家で待ってるから。」

 

その言葉に俺は頷きながら

 

「悪いな、龍兄。とりあえずは家に上がってくれ。俺も着替えてからでなきゃならないからな。かがみ、つかさもちょっと上がって待っててくれ。すぐに準備済ますから。」

 

俺の言葉に頷く3人を連れて家に入ると同時に、俺はすぐにバイトに向かう準備をするため部屋に行くのだった。

 

かがみside

 

慶一くんがバイトへ行く準備を済ませるのを待つ間、私とつかさと龍也さんはリビングで顔をつきあわせていたのだが、ふいに龍也さんが私に声をかけてきたのだった。

 

「ええっと・・・柊、かがみちゃん、だったかな?慶一の友達だって言ってたよね?」

 

龍也さんの言葉に私は頷きながら

 

「はい。慶一くんには色々とお世話になってます。」

 

その言葉に龍也さんは優しげな笑顔を向けながら

 

「そうか。ありがとうな、柊さん。義弟と仲良くしてくれて。あいつ昔に色々あったからね。まともな友達できるかどうか心配だったんだ。でも、君達とあいつの顔を見てるといい関係なんだって事が分かるよ。俺はあいつが11歳の頃に武者修行の旅にでちゃったからな。あいつの大事な時に側に居てやれなかったから少し心配してたんだ。」

 

そう言ってくる龍也さんに私は

 

「いえ、こちらこそ、慶一くんには色々良くしてもらってますから。それと慶一くんが11歳の頃武者修行に出られたと言ってましたけど、龍也さんて今おいくつなんですか?」

 

少し疑問に思った事があったので訊ねてみると龍也さんはクスっと笑いながら

 

「俺は今24歳さ。武者修行の旅には18歳の頃に出てるからね。あれから6年って訳さ。」

 

龍也さんが大分年上だと言う事に驚きつつ

 

「そうだったんですか。あの、龍也さんは慶一くんの事は今でも大切に思っていらっしゃるんですか?さっきのやり取りを見た限りだと龍也さんの慶一くんを見る目が優しいと思ったから・・・」

 

そう訊ねると龍也さんは笑いながら

 

「ああ。あいつの事は今でも大事に思ってるよ。同じように本当の親がいないもの同士だからな。そう言う部分でも余計に共感した。だからこそ同じ境遇のあいつを守ってやりたいとさえ思っている。龍神流の正当伝承者としてね。」

 

私は龍也さんの正当伝承者の言葉に驚いて

 

「え?龍也さんがそうだったんですか?今まで慶一くんがそうだとばかり思ってました。」

 

私の答えに龍也さんは苦笑しながら

 

「何だ、あいつ。そんな事もちゃんと話してなかったのか・・・とにかくだ。龍神夫妻の間には本当の息子がいたんだけどその子は不幸にも事故にあい他界してしまったんだ。そのショックでお袋も子供を生めない体になってしまった。精神的な物が大きかったんだろうな。だから、龍神流の正当な血筋はここで絶えるかと思われたんだが、親父はそれをよしとしなくてな。養子を取ってでも龍神流を残したいと思った親父は、俺を分家筋の両親を亡くした家から引き取って正当伝承者として育てたんだ。そしてその後、11年ほど経った頃に同じく両親を亡くした慶一を親父は引き取った。俺は正当伝承者としての技を叩き込まれ、その合間に慶一にも全ての技ではないが親父は龍神流の技を教え込んだ。けど、俺と慶一と決定的に違うのは、慶一には教えなかった伝承者のみが教わる技を知らない事だ・・・・・・家の流派ってな。人殺しの技を習得するんだ。親父が慶一にそこまでしなかったのはおそらくだが、慶一には人のままで居て欲しいと願ったんじゃないかな?と思ってる。人を超えた化け物は俺たちだけで十分だと感じたんだろうな。それが慶一が正当伝承者ではない理由だな。」

 

私は龍也さんから聞いた途方もない話に、2人にある違いのようなものがなんなのかが分かったような気がした。

 

確かに2人の雰囲気は似ている、けれど、纏っているオーラのようなものに、その強さに違いを感じた。

 

慶一くんから感じるオーラは強さを感じる事はあってもどこか優しい感じがしたが、龍也さんの纏うオーラはそれよりも異質でどこか怖ささえ感じたのだ。

 

けど、一つだけわかった事がある。

 

龍也さんはそんなオーラを纏う人だけど、慶一くんのような優しさを持つ人だということを。

 

それを感じるからこそ、私は龍也さんという人にどこか安心感を覚えたのだった。

 

「何だか凄い話ですね・・・でもわたし、義兄さんは人として好きになれそうだなあって思いました。」

 

つかさがいつもの笑顔で龍也さんに話し掛けると、龍也さんも優しく微笑みながら

 

「おや?そう言ってもらえるのは嬉しいね。ふむ・・・よし、君達に何かあったら俺に言いなさい。俺が君達を、慶一の手が及ばない場合がある時は守ってあげよう。君達は慶一にとっても大切な人みたいだからね。そして慶一が大切に思う人ならば、俺にとってもそうだからね。ドーンと任せなさい。」

 

そう言って胸を叩く龍也さんに私達は思わず笑いあっていたのだった。

 

そうこうしてるうちに慶一くんが準備を終えて下りてきたのでひとまず話は切り上げとなった。

 

慶一side

 

バイトに行く準備を終え、リビングに向かうと、楽しく談笑している3人の姿が目に入った。

 

俺はリビングに入りながら

 

「お待たせ、かがみ、つかさ。ずいぶん楽しそうにしてたみたいだけど、どうやら龍兄と打ち解けたみたいだな、2人とも。」

 

俺の言葉に2人とも頷きながら

 

「うん。龍也さん、凄くいい人だわ。私も一緒にいて安心できたものね。」

「やっぱりけいちゃんに雰囲気似てるだけはあるよ~。すごくお話しやすかったもん。」

 

その2人の褒め言葉に照れた龍兄は

 

「いやあ。かがみちゃんとつかさちゃん、2人ともいい子だからね。俺もそんな子が慶一の友人である事が嬉しいよ。慶一、これからもちゃんと2人を守ってやれよ?こんないい子達泣かせたら俺が許さんからな?」

 

そう言ってくる龍兄に俺は照れながら

 

「そ、そんなのあたりまえだろ?だれがこいつら悲しませるような真似するかよ。それよりもバイト行って来るから龍兄、猫達の相手でもしてやってくれ。それじゃいくぞ?かがみ、つかさ。」

 

俺の言葉に頷く2人と共に俺を笑いながら見送る龍兄は

 

「おう、がんばってこい。帰ったらここ6年の事でも話して聞かせてくれ。俺は1年ほどは実家の方にいるつもりだからな。」

 

そう言って俺達を送り出したのだった。

 

バイト先に向かう電車の中で俺達は先ほどの事についての軽いやり取りをする。

 

「ふう、それにしても驚いたよ、まさか龍兄が突然帰って来るなんてな・・・」

「私達も最初は驚いたわよ。慶一くん知らない男の人と話してるんだもん。でも、いい人よね、龍也さん。」

「ああ。俺にとっても武術の面でもそうだけど、人としても俺が目標にする人なんだよな。」

「わかるきがするな~。すごく大きい人って感じしたもんね。」

「それにしても、龍也さんから聞いたわよ?あんたの家の事やあんたが正当伝承者じゃないって言う事も・・・ねえ、どうしてその事を話してくれなかったの?」

「・・・龍兄が武者修行から戻らなかった場合、俺が本当に龍神流の後継ぎになるかもしれなかったから、っていうのもあるかな。そうなると龍兄が話した事を俺が結局は話す事になってただろうから・・・だから、遅かれ早かれ結局はかがみ達の耳にも入ってたと思うよ。」

「そっか、あんたにも色々あったのね・・・何にしてもあんたに義兄弟がいたってのはニュースよね。この事こなた達に話しても・・・」

「かまわないさ。どの道に龍兄は1年はこっちに戻ってるっていうんだし、今喋らなくても結局は発覚するだろうからね。」

「でも、一番最初にわたしたちが知れたのは得したかも~。」

「そういうもんかなー・・・」

「そういうものなんだよ~?」

「まあ、つかさの言ううとおりでもあるかもね。あ、そろそろこなたと合流よね?それじゃこなたが乗ってきたら仕事の打ち合わせしちゃいましょ?」

「そうだね。がんばろ~。」

「ああ、今日もがんばってやるとするか。」

 

そう言ってしばらくの後、こなたと合流した俺達は、仕事の打ち合わせをしながら今日旅から帰ってきた俺の義兄の事について盛り上がるのだった。

 

そして仕事を終えて帰宅した俺は、その日は遅くまで龍兄と6年分の1部だけだが語り合ったのだった。

 

突如戻ってきた俺の義兄、それはこの先何を意味するのか。

 

龍兄の目的も、戻ってきた理由も今はわからない状況だったが、俺はこの6年を少しでも埋めたいと思うのだった。

 




今回出てきた新キャラの説明を序盤のプロフィールに追加しました。

設定はそちらの方にてご確認を。

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