らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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祈りの旋律~受験に向けての健康祈願~

やまとの大掛かりな2重の誕生日を終えて、俺はその日、実家に泊まる事になった。

 

やまとの喜びっぷりを見れた事と楽しかった1日の余韻は未だ心の中にくすぶっていたが、それでも今日はいい夢を見れそうだと思いながら床へついたのだった。

 

そして次の日の朝、俺はいつものように早起きをすると、学校へ向かう支度をして朝食を摂るためにキッチンへと下りていくと、そこにはお袋と一緒に朝御飯の支度をしているやまとの姿があったのだった。

 

キッチンに来た俺に気付いたやまとは

 

「あ、おはよう、先輩。朝御飯もうすぐ出来るから座っててくれる?」

 

そう声をかけてきたので俺はびっくりしつつも

 

「あ、ああ。おはようやまと、はいいんだが、何でお前がお袋と一緒に朝御飯の支度してるんだ?」

 

そう訊ねるとやまとは照れたように顔を赤らめて

 

「そ、それは、昨日の事が嬉しかったし先輩もこっちに戻って来てるし・・・お礼をしたかったから・・・」

 

少し俯き加減でそう言うやまとの頭をぽんと叩いて

 

「そうか。ありがとうな、やまと。でも、ここまでさせちゃったらかえって悪いなって思うよ。」

 

俺の遠慮がちな言葉にやまとは首を振って

 

「いいの。私が自分でそうしたいって思ったんだから。だから先輩は気にしなくていいのよ?」

 

そのやまとの気持が本気なのだというのが感じられた俺は(それ以上言うのは逆にやまとに悪いな・・・)と心の中で思い、やまとに

 

「わかったよ、やまと。お前の好きなようにやってくれ。準備できたら一緒に飯食っちまおう。」

 

そう伝えるとやまとはにっこりと笑って

 

「わかったわ。もう少しで出来るから座って待ってて?」

 

と言うやまとに促され俺はいつのの席について朝食の準備を待つ。

 

そのうちに親父も起きてきてやまとに

 

「おはよう。お?やまとちゃん。珍しいな、うちに来て朝御飯の準備しているとは。」

 

やまとにそう声をかけるとやまとは親父に

 

「おはようございます、おじさん。すぐに出来ますから先輩と一緒に座って待っていてください。」

 

そう返すと親父もうんうんと頷きながら所定の席へと座ったのだった。

 

そして親父はニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながら俺に

 

「慶一、いい子じゃないか。やまとちゃんは器量よしだからな。お前の嫁にはいいんじゃないのか?」

 

などと、とんでも発言をしてきたので俺は顔を真っ赤にして慌てながら

 

「な、何言ってるんだよ親父!やまとの気持も無視してそんな勝手な事言ってんな!だいたい、やまとにだって迷惑だろうが!」

 

そう反論するが、親父はにやけた顔のまま俺たちを見つめていた。

 

そして、やまとは親父のその発言に顔を真っ赤にして慌てていたのだが、ちらりとやまとの顔をうかがうと、やまとも満更ではない表情をしているようだったので、俺はますます顔を赤くして困惑していたのだった。

 

その様子を見ていたお袋は親父に

 

「お父さん?あんまり2人をからかわないの。然るべき時が来たらそうなるんだからあまり2人を困らせちゃだめよ?」

 

更なる爆弾発言をしたのだった。

 

俺とやまとはさらに顔を真っ赤にしながら慌てていて俺はお袋に

 

「だーっ!お袋も何言ってるんだよ!」

 

混乱しつつもそうツッコミを入れるのだった。

 

そのうちに朝食も完成して皆で朝御飯になったのだが、未だに赤い顔が元に戻らないまま、朝食が始まったのだった。

 

「今日のオムレツと味噌汁はやまとちゃんのお手製よ?2人ともどうかしら?」

 

そうお袋が話を振ってきたので俺はとりあえず、オムレツと味噌汁に箸をつける。

 

その様子をみながらやまとは緊張の面持ちで俺たちの様子を見ていたのだった。

 

そしておずおずと

 

「あの、先輩、おじさん、どうでしょうか?頑張ってみたんですが・・・」

 

そう上目使いで聞いてきたので俺は

 

「美味いよ。味付けも好みだ。味噌汁もいいな。やまと、お前も結構料理できるんだな、驚いたよ。」

 

そう答え、親父もまたしてもニヤニヤと笑いながら

 

「うん。いい味だ。これならいつ慶一の嫁になっても文句はないな。」

 

その言葉に俺とやまとはまたもや顔を真っ赤にしていたが、俺は親父に

 

「だから!からかうなって言ってんだろ!?」

 

そう怒鳴りつけると、親父は俺に不思議そうな顔を向けて

 

「ん?慶一はやまとちゃんじゃ不満なのか?やまとちゃんはどうなんだ?慶一じゃ不満か?」

 

そう切り返して来たので、俺とやまとはしどろもどろになりながら

 

「い、いや、だから、そういう事じゃなくってだな・・・」

「え、えっと・・・その・・・私は・・・別に・・・」

「っ!あー!もう!!この話題は中止!!」

 

ついには照れのあまり話題を強引に打ち切った俺だった。

 

やまとはというと、終始顔を真っ赤にしたまま少しぼーっとしながら俺達の会話を聞いていたようだった。

 

そして、程なくして朝食を終えて、俺とやまとは学校に行く為に家を出る。

 

玄関で靴を履きながら俺はやまとに

 

「ごめんな、やまと。親父達が変な事ばかり言ってさ・・・」

 

ばつが悪そうな顔で俺はやまとにそう詫びたのだが、やまとはフルフルと首を振って

 

「気にしてないわ。私は・・・その・・・嫌じゃなかったし・・・」

 

また少し顔を赤くしつつ、最後は俺にも聞き取れない程の小声で何かを言っていたようだったが、俺は最後の方の言葉だけは聞き取る事ができず、頭にハテナマークを浮かべていた。

 

そして、玄関から出て俺たちは門の所へと歩いていくと、そこにはみゆきとこうが待っていて

 

「おはようございます。慶一さん。あら?少し顔が赤いですね?それに・・・何故永森さんが慶一さんの家から一緒に?」

「おはようございます先輩。あれ?やまとも一緒だったんだ?一体なんで?」

 

みゆきは俺に挨拶しながらもやまとを確認すると、何やら黒いオーラを発し始めて、こうは何が何だかよくわからないといった風だった。

 

俺は朝の事を2人に説明すると2人は

 

「そういう事でしたか。(うっかりしてました・・・慶一さんがこっちに帰ってきてる事を忘れているなんて・・・私にもチャンスがあったはずなのに・・・)」

「そっかー、よかったね、やまと。先輩に早速恩返しできたんでしょ?」

 

こうの言葉にやまとは苦笑しながら

 

「この程度で恩返しになったかどうかはわからないけどね・・・」

 

そう言うやまとに俺は

 

「そんな事ないぞ?ちょっとびっくりしたけどありがたかったしな。」

 

そう答えると、やまとは顔を赤らめつつもいつもの薄い微笑みを俺に向けていた。

 

そうこうしているうちに時間も押してきたので俺は3人に

 

「何にしてもそろそろ時間だ、行くぞ?3人とも」

 

そう促すと、3人とも頷いて俺の後についてきたのだった。

 

電車の中でこうたちとたわいのない雑談をする俺達。

 

「もうすぐ12月だな。そろそろ寒くなってきたよなー。」

「そうですね。もうすぐクリスマスも近いですよね。先輩は何か考えていますか?」

「その事を決めるにはまずは皆の予定を確認しないといけないだろ?」

「そうね。私達が大丈夫でも他の先輩達の予定とかも確認しないと何も決めれないわよね・・・」

「私は特に予定とかは入っていませんから参加は可能ですよ?」

「高良先輩はおっけー、と。慶一先輩はどうなんですか?」

「俺も特に予定があるわけじゃないから問題ないが。」

「私も大丈夫よ?今度は先輩、どんなプレゼントをくれるのかしらね?」

「ちょっと待て!俺がプレゼントあげる前提なのか!?」

「慶一さんだったら、きっと素敵なプレゼントを下さいますよ。」

「そうですよね。楽しみだなー。」

「お、おまえら・・・はあ・・・わかったよ・・・何か用意させてもらいます・・・」

 

俺の言葉に満足げに頷く皆だった。

 

それからも色々談笑してるうちに学校へと辿り着く。

 

自分のクラスに来て俺は、教室に入りながら朝の挨拶をする。

 

「おはよーっす。」

 

俺の声に気付いたクラスメートも俺に挨拶を返してくれる。

 

そして、かがみたちも俺に気付き、俺の側にやってきた。

 

「おはよう、慶一くん。昨日はお疲れ様。永森さん、喜んでくれたわね。」

「おっす慶一。昨日は楽しかったぜー?永森も嬉しそうだったしいい誕生日だったんじゃねえか?」

「おはよう、慶ちゃん。昨日は大変だったね。今朝も猫ちゃんの様子見てきたから大丈夫よ?」

 

それぞれに挨拶をしてくるみんなに俺も

 

「おはよ、かがみ、みさお、あやの。昨日は協力ありがとな。みさおの言うとおりやまとも大分喜んでくれたよ。それとあやの、毎度の事だけど猫の事ありがとな。いつも助かってるよ、今度何か礼をさせてくれないか?」

 

そうあやのに言うと、あやのはにっこり笑いながら

 

「いいのよ。私がやりたくてやらせてもらってるようなものだしね。あ、そうだ、慶ちゃん。今日の放課後空いてるかしら?」

 

猫の世話に関してはやりたいからやっている、と言うあやのの言葉に感謝を感じつつ、あやののその言葉に俺は

 

「ん?今日は特に用事があるわけじゃなかったけど何かあるのか?」

 

そう訊ねると、あやのは頷きながら

 

「今更なんだけどさ、旅行の時に慶ちゃん、私やみさちゃんを助けてくれたよね?みさちゃんのお兄さんが慶ちゃんにお礼を言いたいって言ってるのよ。」

 

そう答えるあやのの言葉に何か違和感を感じてあやのに

 

「事情は分かったけど、どうしてそれをあやのが言うんだ?みさおの口から聞いてもよさそうな事だよな?それって・・・」

 

あやのに聞くとあやのは少し照れながら俺に

 

「えー・・・っと・・・それは・・・慶ちゃん、ちょっと耳貸してくれるかな。」

 

と言うあやのに俺は自分の耳をあやのの口元に寄せると、あやのは小声で俺に

 

『実はみさちゃんのお兄さんが私の付き合ってる人なの。だから、私の事も含めてお礼を言いたいって言ってたから・・・』

 

と言うあやのの言葉に俺は納得して

 

「そういう事だったか。わかったよ。でも、あの件は俺もあやのやみさおを危険に晒す可能性もあった訳だからかがみの時もそうだったけどお礼とか言われても何だか恐縮しちゃってな・・・。」

 

俺の言葉にあやのはにっこり笑いながら

 

「ふふ。慶ちゃんらしいね。でも、ここはみさちゃんの顔を立てると思ってお願いできないかな?」

 

と言うあやのに俺は(ここで断ったらあやのにも悪いよな・・・)と考えたので

 

「わかったよ。それじゃ放課後に寄るって事でいいかな。」

 

その答えにあやのは微笑みながら「ありがとう。」と言ったのだった。

 

その会話の様子を少し離れた場所で見ていたかがみは、話の内容がいまいちわかりにくかったようで首を傾げながら不思議そうな表情で俺たちを見ていた。

 

その時俺は、一つかがみに頼みたい事があった事を思い出したのでかがみに

 

「あ、かがみ。今日、俺、みさおの家に行く事になったんだがその帰りにお前の所に寄らせてもらっていいか?ちょっと頼みたい事があるんだ。」

 

そう声をかけるとかかがみは俺に

 

「頼みたい事?はいいけど、何時ごろになりそうなの?」

 

かがみは俺にそう聞いてきたので俺は

 

「時間ははっきりとは言えないけど行く時には連絡をいれるよ。」

 

と言う俺の答えにかがみも頷いて

 

「わかったわ。それじゃ来る時には連絡いれてね?たぶん家にいるから大丈夫だとは思うけど。」

 

そう言ってくれたので俺はかがみに

 

「了解。それじゃ後でな。っとそうだ、皆に聞きたいんだけど今年のクリスマスの予定ってどうなってる?」

 

そうかがみに返事をした後に朝電車内でこうたちと話していた事があった事を思い出し、皆に尋ねると

 

「うーん、何もなければ私達はいつもどおり家族と過ごす事になるかも。」

「私は今の所予定はないなー。」

「私は、ちょっと用事があるかな。」

 

2人の予定は分かったたが、あやのに関してはあれだろうな、と推測したので俺は

 

「オッケー。それじゃ、できる人間で集まってクリスマスパーティでもやるか?」

 

俺がそう言うとかがみは腕組みしながら

 

「私達はいいけどさ、こなた達の予定なんかも聞いてみないと、じゃない?」

 

そう聞いてきたので俺は頷いて

 

「そうだな。とりあえずはこうとやまと、みゆきは空いてるってのは聞いてる。後は・・・」

 

俺の言葉を補足するようにかがみが

 

「つかさなら私と同じような物だし、問題ないわよ?」

 

そう言い、俺はその答えに頷いて

 

「なら、後はこなただけだな。こっちに関しては俺が後でこなたに聞いておくよ。それによっては25日以降にやる事になりかねないかもだが・・・」

 

その俺の答えにかがみは首を傾げながら

 

「どういう事?25日以降になるかもって。」

 

かがみの質問に俺は推測ではあるが答えを返した

 

「こなたはコスプレ喫茶でバイトしてるっていってたよな?24日はともすればかきいれどきでもあるし、店に借り出されることに成るんじゃないかって思ってな。そうなると自由になるとしたら25日以降かもしれないとも思ってさ。」

 

そう答えるとかがみも納得したようで

 

「なるほどね・・・それはありえそうだわ。おおよそ信じられない事だけどこなたも一応は働く人なわけだしね・・・」

 

かがみの答えに俺は苦笑しながら

 

「何気にひどい事言ってるような気もするけど、ともあれこなたに聞いてみてそれで改めて話し合おう。それでいいよな?」

 

そう言うとみんなも頷いて

 

「そうね。それでいいわ。」

「じゃあ、慶一、はっきりしたら教えてくれよ。」

「そうね。それでもし出来るようなら皆で楽しみたいわ。」

 

そう言ってくれたので・・・(ってあれ?あやのも乗り気?あやのはデートじゃ?)一瞬心の中でそう考えた後俺はあやのにこっそりと

 

『なあ、あやの。お前は彼氏さんとデートなんじゃないのか?いいのか?参加したいとか言っても。』

 

そう訊ねるとあやのは頷きつつ俺に

 

『あの人とのデートは高校を卒業してからもできるわ。でも、今こうしてみんなと何かできるのは後何年もないかもしれないじゃない?だから私もそんな時間を楽しみたいの。大丈夫よ。あの人もわかってくれてるから。』

 

あやのの言葉に俺は嬉しい気持ちになりながら

 

『そっか、ありがとう。あやの。お前のその気持は無駄にはしないからさ。』

 

そう答えると、あやのはにっこりと笑って頷いてくれたのだった。

 

みさおは何となく俺たちの話している内容をわかっているようだったが、かがみだけは俺とあやののやり取りに不信な物を感じているようだった。

 

ともかく俺は皆に

 

「それじゃ、この件は後でって事で、おっと、そろそろ授業が始まるな。また後で。」

 

そう伝えてその日の授業をこなすのだった。

 

そして、昼休みにこなたに24日の予定を聞いてみたが、案の定バイトに借り出される事になっていた。

 

と同時に、こなたが店ではかなり人気らしい事も聞いたので、俺は世の中わからないものだ、と頭の墨で考えていたのだった。

 

そして放課後、俺はみさおとあやのと共にみさおの家にお邪魔する事となった。

 

みさおの家の場所を知り、みさおのお兄さんと会い、俺は2人を助けた事を感謝されたが、やはり危険な目にあわせる可能性もあり、一歩間違えばこの場で殴られてもおかしくない状況だった事を考えると、どうしても素直に喜べない自分がいたのだった。

 

そして、学校に通ってる間は俺に2人を頼むとお兄さんから言われ、俺はその頼みに力強く頷いたのだった。

 

用事を済ませた俺は、かがみとの約束があったので、かがみの携帯に連絡を入れる。

 

「もしもし、かがみか?用事済んだからこれからそっちへ向かうよ。今は大丈夫か?」

「うん。丁度私も一度出かけて来て帰ってたところだから問題ないわよ?それじゃ、待ってるから。」

「了解、なるべく早く行くよ。それじゃ後でな。」

「うん、気をつけて来てね?」

 

と、軽いやり取りを終えた後、俺は柊家へと足を運んだのだった。

 

一度家にもどり、自転車を用意して俺は柊家へと自転車を走らせる。

 

ほどなくして柊家へと着いた俺は、玄関の呼び鈴を押すのだった。

 

呼び鈴を押してしばらくの後、「はーい、今開けます」という声と共に玄関が開くとみきさんが俺を出迎えてくれたのだった。

 

「あら?森村君、いらっしゃい。かがみに用事かしら?」

 

そう聞いてくるみきさんに俺は頷いて

 

「はい、ちょっと約束してまして。かがみは居ますか?」

 

俺がみきさんにそう尋ねると、みきさんはにっこりと笑って

 

「ええ、ちょっと待ってね。かがみ~!森村君が来たわわよー!?」

 

と、言うみきさんのその声に反応して、かがみから「今行くー!」という返答があり、かがみは急いで部屋から降りてきたのだった。

 

「お待たせ、慶一くん。それで、私に頼みたい事ってなんなの?」

 

早速本題をふって来たので俺は

 

「実は、お守りを3つ欲しいんだ。これから陵桜を受験する3人に送ってやりたくてね。」

 

俺の言葉にかがみは頷くと

 

「なるほど、ゆたかちゃん達に渡すのね?なら、ちょっと神社の方に来てくれる?まつりねえさんが居ると思うけどそこで手に入れられると思うわ。」

 

そのかがみの言葉に「ありがとう、早速行ってみるよ。」と伝えるとかがみは顔を赤くして

 

「別にあんたのためじゃないわよ。あくまでもゆたかちゃん達の為なんだからね?」

 

そっぽを向きながらそう言うかがみに苦笑しつつ、俺は早速神社へと足を向けたのだった。

 

神社の社務所へと出向くと、そこには巫女服姿のまつりさんがいたのだが、俺の姿に気付いたまつりさんがまたも飛びついて来ようと身構えたので俺は先手を打って

 

「まつりさん?人目もあるんだから自重してくださいよ?」

 

そう言うと、まつりさんは実に残念そうな表情で

 

「ちぇー・・・いいじゃん・・・別にー・・・」

 

と言いながら少し拗ねていたのだが、改めて俺に向き直ると

 

「いらっしゃい、森村君。かがみから話聞いてるよ。お守り欲しいって事よね?どれがいいの?」

 

そう聞いてきたので俺は

 

「健康祈願のお守りをお願いできますか?」

 

そう伝えると、まつりさんは少し不思議そうな顔で

 

「え?かがみの話だとこの前文化祭で会ったあの子達に渡すって事よね?それだったら学業祈願の方がいいんじゃないの?」

 

そのまつりさんの指摘に何時の間にかまつりさんの後ろに来ていたかがみも

 

「そうよね?こういうものに健康祈願っていうのも何か違うような気がするわよね?」

 

そしてお互いにうんうんと頷きあいながら

 

「「やっぱりそうよねー。」」

 

と同意してるのを俺は苦笑交じりに見ていたのだが、とりあえず選んだ事情を話しておこうと思い、声をかけた。

 

「はは。確かに2人の言う事もわかるんだけどさ。どんなに勉強をがんばったとしても、受験に自信をつけたとしても、本番で体調を崩したりしたらそれらがすべて無駄になっちゃうだろ?だから、これは本番で体調を崩す事がないようにという願いでもあるわけさ。」

 

そう説明すると、2人ともなるほど、と納得してくれた。

 

「そうね、確かに本番でそんな事になったら何もかもが無駄になっちゃうわね・・・それで試験受けれないとか目も当てられないし・・・」

「うーん、今まで意識した事なかったけど、健康な体って意外と大事なんだね・・・私も気をつけないと・・・」

 

と言う2人に俺は笑いながら

 

「そうですよ?何をするにしても健康な体あっての事です、まずはそこをしっかりしないとやりたい事もできなくなりますからね。そういうのつまらないでしょ?」

 

俺の言葉に再びうんうんと頷く2人だった。

 

そして、健康祈願のお守りを買った俺は、これと共に3人に送るクリスマスプレゼントについても考える事になった。

 

その日は結局、またしてもまつりさんに捕まり、柊家で夕食をごちそうになったのだった。

 

楽しい夕食を終えて俺は、またしばらくバイトしないとな、と心の中で考えながら来たるべきクリスマスに向けて思いを馳せるのだった。

 


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