らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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思い出を紡ぐ旋律、第1話~文化祭の準備開始~

・・・・・・何だか俺のサイフに一足早い冬が来てしまった休日を終えて、俺達は本格的に文化祭の準備に入るのだった。

 

教室内の飾り付け、レイアウトの変更、各種設備の設置等、やる事は山積みだった。

 

しかも、俺達のクラスは出し物の決定が遅れた所為もあり、準備のスタートも他のクラスよりも遅れるという結果になっていた。

 

その分遅くまで居残るとかをやらざるをえなくなり、今日もまたそうなろうとしていた。

 

「なかなか進まないな・・・こんなんで間に合うのかな?」

 

作業を手伝い、その様子を見守りながら俺はそう呟く。

 

その呟きを耳にしたほかの男子生徒も

 

「仕方ないだろ?俺達のクラスはスタート遅くなっちまったんだから。文句を言ってないでちゃっちゃと手を動かす!」

 

そうせかされて俺もとりあえず作業に戻るのだった。

 

今日の作業も一段落した頃、打ち合わせから戻ってきたかがみが俺に

 

「慶一くん、今日もご苦労様。やっぱり進行は遅れ気味ね・・・最悪は泊り込み作業も覚悟しなくちゃならないわ。」

 

かがみのその言葉に俺も重いため息をつきながらも

 

「やっぱりスタートの遅れは結構響いたな・・・けど、やるしかないか・・・」

 

やれやれというジェスチャーをしながらかがみに言うとかがみも困ったような表情で

 

「そうね・・・何にしてもやるしかないし、作業を進めましょ?今日はもうこれ以上は出来ないから明日ね。」

 

かがみの言葉にみさおやあやのもほっとした顔をして

 

「よかった、とりあえず今日はここまでなのね。体を休めて明日もがんばらなきゃ。」

「はあ・・・疲れたぜー・・・それじゃ柊、慶一、私らは先に行くぞー?」

 

みさおの言葉に俺とかがみも頷いて

 

「ご苦労様。しっかり体休めて明日もよろしくね?」

「お疲れ、2人とも。明日もがんばろうな。」

 

そう言って手を振り2人を見送ったのだった。

 

2人を見送った後、俺はかがみに

 

「かがみ、お前も今日は終わりか?それなら一緒に帰るか?」

 

そう言うと、かがみはコクリと頷いて

 

「うん。ちょっと帰る支度してくるから待ってて。」

 

そう言って自分の机の所に鞄を取りにいったのだった。

 

俺はその間に教室の戸締りを確認する。

 

程なくして帰りの支度を終えたかがみが俺の所へとやってきて

 

「お待たせ慶一くん。それじゃ行きましょ?」

 

そう言ってくるかがみに頷いて俺も教室を後にする。

 

教室を出てふとこなた達のクラスに目をやると、まだ誰かが居残っているようだった。

 

「かがみ、ちょっとこなた達のクラス覗いてくるからここで待っててくれるか?」

 

こなた達のクラスの事が気になった俺はかがみにそう伝えると、かがみは頷いて

 

「わかったわ。私先に昇降口に行ってるから用事が済んだら来てよね。」

 

そう言うかがみの言葉に俺も頷くと

 

「わかった。終わり次第すぐ行くから。」

 

そう言って手を振って別れると、俺はこなた達のクラスを覗きにいった。

 

そっと教室のドアを開けると、そこには書類整理をしているみゆきがいた。

 

俺はみゆきを脅かさないように気をつけつつ、声をかけることにした。

 

「よう、みゆき。遅くまでご苦労さんだな。まだ仕事終わらないのか?」

 

俺の声に気付いたみゆきは俺の方を向いて

 

「あ、慶一さん、こんばんは。ええ、まだ少し整理しなくちゃいけない資料がありまして、もう少しかかってしまいそうです。」

 

苦笑交じりに俺にそう言ってくる。

 

「そっか。大変だな、お前は学級委員長もやってるんだし、文化祭の実行委員と兼任じゃきついよな。」

 

みゆきの労をねぎらうようにそう言う俺に、みゆきはいつもの柔らかい微笑みを向けながら

 

「そうですね・・・大変ですが、誰かがやらなければならない仕事ですから・・・」

 

俺はそう答えるみゆきの側にゆっくりと歩み寄ってみゆきの肩をぽんと軽く叩くと

 

「何でも頑張る所はお前のいい所だけど、無理はするなよ?こういうのは体が基本だ、無理してダウンしてしまったら元も子もないからな。だから、休める時にはゆっくり休めよ?」

 

俺の言葉にみゆきは嬉しそうにしながら

 

「お気遣いありがとうございます。慶一さんがおっしゃられる事も心にとどめておきますね。」

 

そう答えるみゆきに俺も笑いながら頷きつつ、いくつか気になってる事があったのでそれをみゆきに訪ねてみることにした。

 

「なあ、みゆき、こなたはどうしたんだ?」

 

俺の質問に苦笑しながらみゆきは

 

「泉さんでしたら、御自分の作業が終わり次第帰られました。アニメだけは見逃せないとおっしゃっていましたが・・・」

 

その答えに苦笑する俺だったが、続けざまにもう一つ質問をした。

 

「みゆき、お前はこの後都内の自宅に戻ってそしてまた学校へ来るんだよな?大丈夫なのか?今からの時間じゃたいして休めないんじゃないか?」

 

その質問に困ったような表情で

 

「ええ、そうですね・・・今からですと大して休める時間は取れません、ですが、仕方ないです。私の家はそちらにありますから・・・」

 

みゆきの答えに俺は腕組みをしてしばらく考え込んでいたが、とりあえず一つみゆきに提案してみる事にした。

 

「なあ、みゆき。お前さえよければだが、文化祭が終わるまでの間、俺の家を利用したらどうだ?俺の家ならお前の所よりはるかに近いしそれだけ休む時間も取れる。今のままじゃお前が体を壊すのは目に見えてるからな・・・。」

 

俺の提案にみゆきは驚きの表情をしていたがやがておずおずと

 

「お気持は嬉しいです。でも、いいんですか?慶一さんのご迷惑になりませんか?」

 

みゆきの言葉に俺は笑いながら

 

「心配するな。迷惑になるようなら俺はお前らに家の合鍵を渡さないさ。お前らに鍵を渡した時にも言ったろ?この家を自由に出入りしていいからって。」

 

俺の言葉に目を伏せて考え込んでいるみゆきだったが、どうやら心を決めたらしく目を開き俺の方を見て

 

「わかりました。慶一さんのご好意に甘えさせていただきますね。正直な所、本当に助かります・・・」

 

そのみゆきの言葉に頷きながら

 

「いいってことさ、今日はお前自身の荷物とかもないだろうから準備をして明日から来るといい。」

 

そう言うとみゆきも笑顔を俺に向けて

 

「はい、明日からお世話になりますね。」

 

そう答えるみゆきに俺も頷いた後、ふと時計を確認すると、かがみを相当待たせている事に気付いた俺は慌てて

 

「おっと、いかん、話し込んでいたら大分時間経ってたな、みゆき、まだかかりそうか?」

 

みゆきに尋ねるとみゆきは頷いて

 

「はい、後もう少しはかかりそうです。慶一さん、御用があるのでしたらお先に帰られてかまいませんよ?」

 

みゆきのその答えに俺は少し悩んでいたが、とりあえずは先約を優先しようと思い

 

「すまないな、今日は先にいくよ。とりあえず今日はこれで、じゃあな、みゆき。」

 

手を振って教室を出る俺にみゆきも背後から

 

「はい。事故等にあわないよう、気をつけて帰ってくださいね。それでは明日に。」

 

みゆきの見送りの言葉を受けて俺は、かがみの待つ昇降口に向かったのだが、待たせたお詫びも兼ねて俺は途中の自販機で飲み物を買ってから戻ったのだった。

 

昇降口に戻ると不機嫌そうなかがみが1人下駄箱の前でただずんでいるのを見た俺は(あちゃー・・・こりゃ相当怒ってるかもかもなあ・・・)と思いつつかがみの側に行くと、そっと声をかける。

 

「あー・・・かがみ、すまん。ちょっと時間かかりすぎだったな。」

 

俺の言葉にかがみは不安そうな顔で俺の方を振り向いたが、その表情はすぐに怒りの顔に変わり

 

「・・・何やってんのよ、あんたは!すぐに戻るとか言って中々帰って来ないで!・・・少し、不安だったんだからね?」

 

最後は寂しげな表情でそう言うかがみに俺は、持っていたジュースを手渡しながら

 

「ごめん、全面的に俺が悪い。そのお詫びと言ってはなんだが、お前にこれを買ってきた。」

 

心からかがみに謝ると、かがみは表情を和らげながら

 

「・・・ふーん?まあ、いいわ。私を置いて帰ったわけじゃなかったみたいだしね。許してあげる。」

 

ジュースを受け取りながらそう言ってくれるかがみに俺はおどけながら

 

「へへーっ、お許しいただき感謝の極みです、かがみ様。」

 

その俺のふざけ様に顔を赤くしてそっぽを向きながら

 

「かがみ様っていうな!恥ずかしいじゃない。」

 

恥ずかしそうにしているかがみを見てクスクスと笑いながら

 

「くくく。すまんすまん、ついこなたの真似をしちゃったよ。あー、それと、かがみ。遅くなりついでで悪いんだけどさ、もう少しだけ待ってもらっていいか?」

 

俺の言葉に照れからたち直ったかがみが

 

「え?どういう事?待つって何を待つのよ?」

 

かがみの言葉に頷きながら

 

「うん。さっきこなたのクラスを覗いてきた時にまだみゆきが居残っていてさ、後もう少しだけかかりそうだって言ってたんだよ。けど、このまま俺達が帰ってしまうとみゆき1人での下校って事になるからな。俺もあいつの友達である以上は、1人きりで帰すのは忍びないな、と思ったんでな。」

 

俺の説明を聞いてかがみはじっと俺の方を見ていたが、軽いため息を1つついて

 

「ふーん?まあ、理由はわかったけどさ、あんたもたいがいお人好しよね?」

 

そのかがみの言葉に俺は両手の平を上に向けて首をすくめて

 

「まあ、性分だからな。自分でもいやというほど自覚はしてるさ。」

 

そんな俺を見てかがみもクスリと笑うと

 

「いいわ。そういう事なら一緒に待ってましょ?それにみゆきは私にとっても友達だしね。」

 

笑顔でそう言うかがみに俺は

 

「すまないな、かがみ。」

 

お礼を言うとかがみは途端に慌てながら

 

「べ、別にあんたのためじゃないわよ。あくまでもみゆきの為なんだからね?そこの所勘違いするんじゃないわよ?」

 

顔を赤くしつつそう言うかがみに俺は、苦笑するのみだった。

 

そうしてしばらく待っていると、今日の仕事を終えたみゆきが昇降口に現れ、俺達の姿を見つけると驚いた顔で俺達の側に来て

 

「け、慶一さん?それに、かがみさんもどうしてここにいらっしゃるんですか?」

 

その言葉にかがみが俺の方を横目で見ながら

 

「慶一くんがあんたを1人で下校させるわけにはいかないから待っていてやろう、って言ったからよ。」

 

かがみのじと目の視線を受けながら

 

「まあ、そういう事だ。本当はかがみと一緒に帰るつもりだったけど、お前と話をしてかがみを待たせちゃってさ。なら、かがみを待たせたついでにみゆきも待ってやろう、って思ったんだ。」

 

俺の説明にみゆきは嬉しそうな表情になって

 

「ありがとうございます。お2人とも気をつかわせてしまってすみません。」

 

俺たち2人にペこりと頭を下げながらそう言うみゆきに、俺たちもにっこりと笑って頷いたのだった。

 

そして俺達は夜の学校を後にする。

 

帰りがてら俺達は軽くやり取りをするのだった。

 

「それにしても、今回は出遅れだったな。大分厳しい状況だよ。」

「まあ、出し物の決定が遅かったし、仕方ないわよ。」

「私達のクラスも少し手間取ってますね・・・最悪は泊り込みも考えなければならないかもしれません。」

「ん?みゆきのクラスもなのか?うちのクラスも一応視野に入れてるとこだけどな・・・」

「ねえ、慶一くん。喫茶店の看板の事だけどさ、誰か知り合いで絵が描けそうな人いないかな?」

「んー・・・そうだなあ・・・一応、アニ研の部員を当たってみるかな。」

「ならそっちの方は頼める?私はメニュー関連をもう少し煮詰めてみるわ。」

「ああ、けど、期待はしないでくれよ?こっちも確実な事言えないからな。」

「大変ですね。私達のクラスも後は衣装の調達も何とかしないといけませんね。」

「出し物のいいだしっぺはこなたなんだろ?当てがあって言ってたんじゃないのか?」

「ええ、お伺いしてみましたが、バイト先の衣装を借りれそうだ、という話です。」

「え?今バイト先って言ったか?まさかこなたのバイトしてる所って・・・」

「コスプレ喫茶だと、おっしゃっていましたよ?」

「あいつ、そんな所でバイトしてたのか・・・と言うか、よく採用されたわね。」

「かがみ、それは思っていても口に出しちゃいけない事だと俺は思うぞ?」

 

その最後のやり取りにみゆきも苦笑していたのだった。

 

その頃の泉家・・・・・・

 

「はーーーくしょん!!ズズッ・・・誰か噂してるのかな?」

 

かがみのした噂はこなたに届いていたようだ。

 

そして駅に着いて俺達はお互いの電車のホームへと歩いていく。

 

そしてホームの別れ際にみゆきが

 

「それでは今日はこれで。慶一さん、かがみさんまた明日。それと慶一さん、明日からしばらくお世話になりますね。」

 

そう言ってぺこりとお辞儀をしてみゆきはホームへと降りていく。

 

さっきのみゆきの言葉が気になったのかかがみは俺に

 

「ねえ、慶一くん。さっきみゆきが言ってたしばらくお世話になるってどういう意味?」

 

そう聞いてきたので俺はその言葉に頷くと、かがみに事情の説明を始める。

 

「ああ、みゆきの家って都内だろ?それにここの所あいつも仕事に追われて家に帰るとかなり遅い時間だ。それこそ帰ったらすぐ休まなきゃならないくらい時間がない状況だ。だから俺はあいつに文化祭の間だけうちに泊まれと言ったんだ。うちならみゆきの家に帰るよりはずっと学校にも近いし、その分体を休められそうだと考えたんだよ。」

 

俺の言葉にかがみは俺の顔をじっと見つめて

 

「ふうん?ずいぶん優しいのね。けど、本当にそれだけでしょうね?何かやましい事考えてたりしてるんじゃないわよね?」

 

疑り深い目で俺を見ながらそう言うかがみに

 

「それはお前の考えすぎだ。仮にお前がみゆきと同じ状況だったらお前にだって声をかけたぞ?それに、あいつはちょっと頑張りすぎる所があるからな。体壊しそうで見てられなかったんだ。」

 

かがみはそんな俺の言葉に軽いため息を一つつくと

 

「まあ、信用してあげるわ。それにしても、あんただって他人ばかりに目を向けていすぎだと思うわよ?たまには自分の足元を見るようにしないと、あんただってどこかで体を壊す時があるかもしれないわよ?」

 

そのかがみの忠告に俺は”はっ”となって

 

「・・・すまん、かがみ。お前の忠告、心に刻んでおくよ。どうも俺は大切なものの為に自分を見失う所があるようだな。自覚はしてたつもりだったけど、何時の間にか忘れそうになっていたようだ。」

 

俺の言葉にかがみは笑顔になって

 

「まあ、それがあんたのいい所でもあるけどね。でも、分かってくれたならいいわ。さあ、電車が来たから帰りましょ?」

 

そう言って自然に俺の手を引いて電車に乗り込むかがみに俺は、一瞬ドキリとしつつも

 

「あ、ああ。帰るとするか。かがみ、お前も帰ったら体は休めておけよ?俺もそうする。」

 

そう俺が伝えるとかがみもウインクして

 

「わかってるわよ。お互いに無理はしないように頑張りましょ?まだまだ準備の期間はあるんだからね?」

 

その言葉に俺も頷いて

 

「そうだな。さて、これから追い込んでいかないとな。かがみ、明日も頼むぜ?」

 

そう言ってお互いに笑いあって、今日は家へと戻った俺たちだった。

 

ちなみに今日、お袋からの仕送りをもらえるまでの間の数日間、俺は文字通りの塩粥生活を送っていたので、今日の振込みを駅から戻る途中のコンビニのATMで下ろして、久々に肉のある食事を摂ったのだった。

 

後1日塩粥生活が続いていたらやばかったなあ・・・と情けなく思いつつ今日はゆっくり体を休めた俺だった。

 

そして次の日も授業は半分、その後は文化祭の準備の為の時間に当てられていたので、俺は昨日かがみに頼まれた喫茶店の看板の絵に関してこう達に相談するためにアニ研の部室へと向かったのだった。

 

部室のドアをノックして俺は中へと入る。

 

「入るぞー。こう、やまと、それに皆も文化祭の準備、頑張ってるな。」

 

俺が声をかけると、こうたちも俺に気付いて

 

「あ、先輩。とりあえずぼちぼちって所ですよ。」

「先輩はこんな所で油売ってていいの?かがみ先輩から聞いたわよ?かなりきついスケジュールだ、って。」

「あ、部長ー、お疲れ様です。」

「森村、お前も自分のクラスの手伝いはしっかりやれ。こっちは我々で何とかする。」

 

と、口々にそう言って来たが、俺はそれぞれに返事をする。

 

「そうか、それはよかった。まあ、大変だけど何とかするさ。みんなも2人を助けてやってくれよ?それと桜庭先生、今日はちょっとこうに用事があってきたんです。」

 

俺の言葉にこうは首を傾げて

 

「私に、ですか?用事って一体?」

 

その言葉に俺も頷いて

 

「実は俺のクラスの店の看板の絵を描ける奴がいないかなと思ってさ。うちのクラスの連中で上手い奴がいなくてな。」

 

こうは俺の問いかけに少しの間考え込んでいたが、1人の部員を呼んで

 

「先輩、この子なら出来ると思いますよ?看板の絵の作成に使ってやってください。」

 

俺に1人のアニ研部員を紹介してくれた。

 

俺はこうに礼を言って部室を後にしようとしたのだが、一つ気になった事があり、こうとやまとに

 

「2人とも、文化祭の準備は遅くまでやってるのか?」

 

そう訪ねると2人は苦笑しながら

 

「そうですね、一応私は先輩の代わりに責任者としての立場もありますので最後まで残ることはよくありますよ?」

「私はこうに付き合っているっていう感じね。もっぱらこうのフォローが主だけど。」

 

その2人の返事を聞いて俺は少し考えて

 

「こう、やまと。お前ら2人、文化祭が終わるまでの間、俺の家を使え。」

 

そう伝えると、2人は驚いたような顔で

 

「ええ?先輩それって一体どういう意味ですか?」

「いまいち的を得ないわね、先輩、説明してくれる?」

 

俺はそんな2人に昨日みゆきにした説明を聞かせると、2人とも俯いて何やら考え込んでいたようだが、ふいに顔を上げると

 

「そういう事でしたら、お世話になってもいいですか?」

「私も一緒に行くわ。こうだけじゃ心配だもの。それに、先輩の折角の好意だしね。でも先輩、どうして私達にに声をかけてくれたの?」

 

やまとの質問に俺は2人を見て笑いかけながら

 

「俺達の中でみゆきとお前らのみが一番遠い都内組だってのもあるけど、それ以上にお前らの体の事を考えた上でそうしようと思った、ってとこかな。だから、みゆきにも声はかけてあるがな。それに、お前らは俺の大事な後輩であり親友であり仲間だからな。少しでも長く体を休ませられる方法があるのなら俺が協力すべきだと思ったんだよ。」

 

俺の答えに2人は嬉しそうに笑って

 

「ありがとうございます先輩。私達の事を考えてくれる先輩の気持、嬉しいですよ。」

「高良先輩共々お世話になるわ。ありがとう先輩。」

 

その2人の言葉に俺も笑って頷くのだった。

 

そして、文化祭当日までは今日はみゆきが、明日はこうとやまとの2人が俺の家を使う事となったのだった。

 

まだまだ準備は時間をくいそうだが、最後まできっちり頑張ろうと思う俺たちだった。

 


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