らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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蘇る旋律~親友の復活そして、慶一の嘆き 中編~

現在のサイフピンチ状態を脱すべく、実家にバイト代が入るまでの間を凌ぐ為、俺はお袋に都合をつけてもらいに帰っていた。

 

その際に、こうとやまとに中学時代によく利用した店にあの時の一件の後、世話になった2人に奢る約束を果たす為、なつかしのその店に行く事にしたのだった。

 

そして実家に戻り、こうとやまとを夕食に招待して俺は、2人を待つ間に瞬の所に電話をかけて、今回の一件に対する礼と共にそれを乗り越えた事で俺は自分をようやく許す事が出来、再び瞬と親友として元の関係に戻れたのだった。

 

次の日に思い出の店レゾンに瞬も誘い、久しぶりに元同じ中学の者同士、同窓会気分で会うことになったのだが、当日の朝にまさかのみなみ達と出会う事になり、みなみ達を心配させていた事を知った俺はみなみ達もレゾンへと誘う事になった。

 

そして、待ち合わせ時間までのんびりしている時、突然にこなた達が実家にやってきたのだった。

 

「やふー、慶一君。遊びにきたよー。」

 

と、俺ににこやかに挨拶するこなたの後ろで少々苦笑ぎみな面々も俺に手を振っていた。

 

「こなた。お前一体なんでここに?」

 

そう俺が尋ねるとこなたも笑いながら

 

「いやー、かがみから慶一君が実家に帰ってるって話を聞いちゃってさー。それで峰岸さん達も慶一君の猫の世話してるって聞いたから、峰岸さん達を迎えに行ってさ、まだ慶一君の実家に行った事のない峰岸さん達を慶一君の実家に連れて行ってあげようかなって思ってねー。」

 

俺は軽いため息を一つついて

 

「あやの達の事はわかったけど、なぜにかがみたちも居るんだ?」

 

そう、かがみに質問をぶつけると、かがみは俺から目をそらして

 

「いや、その・・・こなたが慶一くんが実家に帰ってる事を話したらこなたが遊びに行くから一緒に行こうっていうからつい・・・」

 

俺はかがみの言葉に苦笑しながら

 

「なるほど・・・それでみゆき達も来た、と。」

 

みゆきもなんとも答えずらそうに

 

「泉さんに誘われて、つい・・・すいません、慶一さん。慶一さんにもご都合というものがあったかも知れない事を考慮していませんでした・・・。」

 

心からすまなそうに言うみゆきに俺も

 

「ああ、いいよ。今日は特に忙しい訳じゃないからさ。」

 

そうみゆきを安心させるように言うと、みゆきもほっとしたようで

 

「そうですか・・・それならよかったです・・・」

 

そう言いながら胸をなでおろしているみゆきの後ろでつかさもニコニコしながら

 

「大丈夫だよゆきちゃん。けいちゃん、怒ってないからさ。」

 

と、のん気な事を言っているつかさを見て俺は苦笑していたのだが、そこにあやのとみさおが

 

「慶ちゃん、モモちゃんとミィちゃんのお世話はちゃんとしてきてるから安心してね。それと、突然押しかけてごめんなさい。」

「わりーな慶一。私もお前の実家ってのに興味あったからさー。それにしてもなかなかでけー道場じゃね?」

 

俺はそんな2人にも声をかけた。

 

「あやの、お世話してくれたみたいで助かるよ。それに気にしてないから安心してくれ。みさお、俺はここで育ち、ここで鍛えられたんだ。後で道場内も見せてやるよ。」

 

俺がそう言うと、あやのはほっと一安心し、みさおは目を輝かせて

 

「ありがとう慶ちゃん。少しは役に立てたみたいでよかったわ。」

「ほんとかー?慶一、絶対だかんな?後で嘘だとかいうなよなー?」

 

そんなみさおに俺は苦笑しつつ

 

「わかってるって。嘘は言わないさ。」

 

そう答える俺にこなたは何かを思いついたのか俺に

 

「なら慶一君、みさきち達に”あれ”を見せてあげたら?」

 

そう提案してきたので、俺は少し考えつつ時間を見ながら

 

「そうだな、まだ少し時間もあるしいいだろ。じゃあ、みんな。道場の方へ案内するから来てくれ。」

 

そう皆に声をかけて移動しようとした時、俺たちの後ろから声がかかったのだった。

 

「あれ?こなたおねーちゃん、それに皆さんも。どうしてここにいるんですか?」

「・・・こんにちは、先輩。少し早いですが・・・来て見ました・・・!?泉先輩達、どうしてここに・・・?」

「こんにちはー。先輩、来たっスよー。ってあれ?泉先輩?何でいるっスか?」

 

その声に俺たちも振り向いて

 

「お?ゆたか、みなみ、ひより、早かったな。」

「ゆーちゃん達こそどうして?慶一君、これってどういう事?」

 

俺にそう聞いてきたので、俺は朝にあった事をこなたに説明すると、こなたは納得したようで

 

「そうだったんだ。ゆーちゃん達もがんばってるんだねえ。丁度いいや。慶一君、ゆーちゃん達にも”あれ”見せてやってよ。」

 

こなたの言葉に俺もやれやれというジェスチャーをして

 

「まあ、見てない人もいることだし、いいか。それじゃ道場に案内するからみんなついてきて?」

 

俺がそう促すと、皆も頷いて俺の後について来て道場内に入る。

 

それを見届けた俺は、胴着に着替える為に皆にここに居るように言い残して離れの家に戻っていった。

 

「なあ、ちびっ子。一体何が始まるんだ?」

「泉ちゃんの言ってた”あれ”って何なの?」

「まあまあ、すぐにわかるから待ってようよ。」

 

とこなた達が話している向こうでみなみ達も

 

「ねえ、みなみちゃん。先輩何かやるつもりなのかな?」

「はあー・・・それにしても大きな道場だね。慶一先輩はここで体を鍛えたんだねー・・・そういえば岩崎さんは何か知ってるみたいだよね?それって?」

「・・・待っていればわかるよ・・・」

 

みなみはゆたかとひよりにそう答えたのだった。

 

程なくして俺は胴着に着替えて道場に戻ってくると、みさお達やゆたか達が「おおーかっこいーなー」「慶ちゃん中々様になってるわ。」「慶一先輩かっこいいなー。」「これはいいネタの予感!」

 

と様々に話しているのを聞きながらも俺はみんなに

 

「こなた達は知っているけどみさお達やゆたか達は知らないと思うから言うが、これから俺のやっている武術の演武をやるからそこで見ていて欲しい。」

 

そう伝えると、皆は頷いて静かにして俺の動向を見守った。

 

そんな中で俺はいつもの演武をするのだった。

 

一通りの演武を終えるとみさお達が俺のところにやってきて

 

「慶一すげーなー。動きがかなりキレがあってかっこよかったぜー。」

「私も見とれちゃったわ。慶ちゃん凄いのね。」

「先輩、凄かったです、かっこよかったです。私も感動しちゃいました。」

「いやー、先輩のあの動きとか武術漫画の参考になるっスねー。いいネタいただきました。」

 

若干1名別の事で賞賛しているようだったが、皆一様に喜んでくれたようだ。

 

「ははは、それでも大分鈍ってるけどな。やっぱり少しブランクあるようだよ。とりあえず俺は一度シャワーを浴びて準備してくるから道場内で待っててくれ。」

 

俺の準備という言葉に引っ掛かりを覚えたかがみが俺に

 

「慶一くん、準備ってなんなの?どこかにでかけるとか?」

 

俺はかがみの質問に頷いて

 

「ああ、そういえばこなた達には言ってなかったっけな。もう少ししたら俺が中学時代によく行っていたなじみの喫茶店へと行こうと思っててな。」

 

そう答えると今度はこなたが俺に

 

「喫茶店?思い出の場所なの?」

 

そう聞いてきたので俺は頷きながら

 

「まあ、そういったところだ。ゆたか達が来たのも俺がそこに連れて行こうと思ったからなわけだけどな。」

 

俺の言葉にこなたは目を輝かせながら

 

「ねえ、慶一君、私達も一緒に行っていい?なんとなく見てみたいなって思ったからさー。」

 

俺は軽いため息を一つつくと

 

「今更ダメなんて言えないさ。とにかくお前らも連れて行ってやるからちょっと待っててくれよな。」

 

俺がそう言うとこなたは満面の笑みで

 

「うんうん。待ってるから早く来てねー。」

 

というこなたの態度に苦笑しながら俺は道場を後にしてとりあえずシャワーを浴びに向かったのだった。

 

そしてシャワーから戻ってきた時、皆が来てる事に気付いていたお袋が俺にこっそりとお金を余分に渡してくれたので、俺はその事にお礼を言うと、こなた達の待つ道場へと戻っていった。

 

「お待たせ、さて、それじゃ行こうか。みんな、俺についてきてくれ。」

 

皆にそう促すと、皆も頷いて俺の後についてきたのだった。

 

喫茶店へとつくまでの間、俺達は歩きながら軽いやり取りをする。

 

「ねえ、慶一君。その喫茶店って何かお勧めとかある?」

「そうだな・・・ケーキとかパフェなんかはお勧めかな。」

「ケーキか・・・食べたいけど・・・うーん・・・どうしよう・・・」

「かがみ、またダイエット中?どうせ無駄なんだから諦めたらー?」

「う、うるさいわね!まだダメだって決まったわけじゃないでしょ!?まったく・・・」

「パフェか~。わたし食べようかな~?」

「私も興味がありますね。慶一さん、お勧めを教えてもらえませんか?」

「まあ、それは店についてからって事でだな。あやのやみさおも何か食べたい物あるか?」

「え?でも前回奢ってもらってるわよ?なんだか悪いな。」

「私はケーキだなー。慶一、また奢ってくれるんだろ?」

「みさちゃん、だめよ。慶ちゃんに前回も大分お金使わせちゃったのよ?」

「あ、そういやそうだっけ。わりい慶一。」

「いいよ、気にすんな。お袋が俺に余分にお金渡してくれたからな。それにゆたか達にも奢るつもりだったのにお前らだけ奢らない訳にもいかないだろ?」

「え?でも、本当にいいの?」

「ああ。任せてくれ。だからあやのもそんなに気を使わなくていいよ。」

「そう?それじゃお言葉に甘えちゃおうかな?」

「私もいいんだよな?慶一。」

「ああ、構わんさ。」

「・・・あの慶一くん・・・私達もいいのかな?」

「まとめて面倒見るよ。だから遠慮するな。」

「ありがとう、けいちゃん。」

「ありがとうございます、慶一さん。でも今回は慶一さんにも悪いので一品程度にしますね?」

「ありがとうございます先輩。」

「・・・ありがとう・・・ございます、先輩・・・ご馳走になりますね・・・?」

「気を使わせてしまってすいませんっス、先輩。」

「いいさ、今日は頼ってくれ。それと、向こうで俺の親友も待ってるだろうからな。知らない顔が居ると思うけど皆にも紹介したいからさ。」

「親友?慶一君、ひょっとして・・・」

「ああ、そういう事だ、こなた。俺は昨日あいつの所に電話を入れて、今回の一件で世話になった事に礼を言い、そしてあの夏に過去を乗り越えてそして、今回の一件も乗り越えて俺はようやく自分自身を許せるようになった。だからその事をあいつに伝えて俺はあいつとの親友関係を復活させたって事さ。」

「そっか・・・よかったね、慶一君。」

「ありがとう。この事もこなたには感謝かな。お前が俺に話してくれたから俺は瞬に対して素直になることが出来たんだしな。」

「あの?先輩、何かあったんですか?親友とか自分自身を許す、とか・・・」

「ん。昔にちょっとな。その辺はこなた達にも話してあるからさ、後で聞いてみてくれ。おっと、ようやく着いたな。みんな、この店だよ。」

 

俺が店を指差すと皆も店のたたずまいを見ながら

 

「へー・・・結構年代物って感じだねー・・・」

「アンティークな感じがいいわね。」

「雰囲気あるね~。」

「なんだか懐かしくなるような気分ですね。」

「どことなく時代を感じさせるっていうか・・・」

「私は結構好きだな、こういうのはさ。」

「なんだか時間が戻ったような気分ですね。」

「・・・ここの事でしたか・・・レゾン・・・私も利用した事ありますよ・・・?」

「これはまたいい建物のモデルになりそうっスね」

 

俺は皆の反応を見つつ、みなみが呟いた事に驚いて

 

「へえ?みなみもここに来たことあったのか、以外だったな。」

 

そう訪ねると、みなみもコクリと頷いて

 

「・・・はい・・・去年の今ごろでした。何回か足を運んだ事がありました・・・。」

 

俺はそんなみなみに笑顔を向けながら

 

「そっか。でも知ってる人がいるのは嬉しいもんだな。」

 

みなみはそんな俺に顔を赤らめつつ

 

「・・・私も、です・・・ここを知ってる人はあまり居ないと・・・思ってましたから・・・」

 

店の前でそんなやり取りをしていると、俺たちの後ろの方でバイクが止まる音が聞こえた。

 

そして、バイクから降りてくる人はヘルメットを取りながら俺に話し掛けてきたのだった。

 

「・・・おや?慶一君じゃないか。店の前でこんなに大人数で何をやってるんだい?」

 

俺はその声に驚きつつふり返ると、そこには微笑をたたえた氷室結城が立っていた。

 

「俺はみんなを中学時代に使ってた懐かしい店に連れて来たのさ。氷室、お前こそこんな所で何してるんだよ?」

 

俺の質問に相変わらずの微笑のままで

 

「僕もこの店はいつも憩いの時間を過ごす為に中学時代から使っていたからね。今日もゆったりとした時間を過ごしたいと思ったからここに来たのさ。それに普段はこんな風にのんびりはできないからね。こういう時間を僕は大切にしているのさ。」

 

そう答える氷室に俺は

 

「へえ?これまた意外な事だな。ひょっとして俺達の中学はこの店って結構知れ渡ってたりしたのか?」

 

そう質問すると氷室はゆるやかに首を振って

 

「いや、そんなには有名じゃなかったよ。それに君が利用してたまたま僕も利用していた、そして今日君と偶然ここで出会ったというだけの話さ。」

 

俺はそんな氷室の言葉に納得しつつ

 

「そういう事か・・・そうだ、氷室。今回の一件では世話になったな。改めて礼を言わせてくれ。」

 

俺の言葉に氷室は笑いながら

 

「いいよ。僕も君には成神の件でお願いする事もあるだろうからね。持ちつもたれつ、さ。それにしても・・・」

 

そう言いながら俺の後ろに居るみんなに視線を向かわせて

 

「君の後ろにいる子達が君の言ってた仲間なのかい?大分賑やかそうだね。」

 

その言葉に俺も頷きながら

 

「そういう事だ。こいつらが俺の守りたい仲間って訳さ。」

 

そんな俺に視線を戻した氷室はクスクスと笑いながら

 

「いや、それにしても見事に女の子ばっかりだとはね。まさにハーレム状態ともいえなくもないんじゃない?」

 

その言葉にみんなは顔を赤くして俺も慌てて

 

「ば、馬鹿言うな。そんな風には思ってないよ・・・ったく・・・ともあれ、今回の件での報酬には物足りないかもしれないが、お前にも今日は何か奢らせてくれ。」

 

俺の言葉に氷室は俺やみんなを見て考えながら

 

「でも、いいのかい?僕がお邪魔しちゃってもさ。」

 

そんな氷室に俺は笑いながら

 

「いいさ、お前にも何らかの形で礼がしたいと思っていたしそれに、瞬も来てるはずだからな。あいつもお前の話をしたらもう一度会って見たいといっていたし。」

 

氷室は俺から出た意外な名前に驚きながら

 

「へえ?瞬君が来ているのか。なら、君のお誘いを受けるとしようか。久しぶりに○○中学の同窓会気分に浸るのもいいね。」

 

その答えに俺も頷いて

 

「なら、そういう事で。それじゃ皆、店に入るぞ?」

 

そう皆に促すとみんなも頷いて俺について店に入った。

 

その際に氷室はみゆきに何事か話し掛けていたようだったが。

 

氷室side

 

慶一君に誘われ、久々に同窓会気分を味わう事になった訳だけど、僕は今回の一件で高良さんが少なからず傷ついたかもしれないなと思っていたのでこっそりと高良さんに声をかけた。

 

「高良さん、ちょっといいかな?」

「はい?なんでしょう?」

「今回の事、大変だったね。高良さん、彼の事ではずいぶん心を悩ませていたんじゃないかな?って思ってね。」

「・・・お気遣いありがとうございます。確かに辛い事もありましたが、今はまたこうして慶一さんや皆さんと一緒にいられます。ですから何も心配はいりませんよ?」

「そうか、それなら良かった。僕も彼に協力した甲斐があったというものだよ。」

「今回の事でお手数をおかけしてしまったようですね。私からもお礼を言わせてください。」

「気にしなくていいよ。僕も彼には協力して欲しい事がある。だからこそ彼に力を貸したんだしね。」

「やはり、成神章さんの事、なのですね?」

「うん。彼は野放しにはしておけないからね。まだ手がかりはつかめていないけど、いずれは彼よりも先に行方を掴んで彼には近づけさせないように努力するつもりだよ。」

「!?どうして氷室さんは慶一さんに協力してくださるんですか?」

「前に会った時も言ったよね?彼とは友達だからって。僕は彼にのされはしたけど、彼の強さに惚れ込んだ1人だからね。そんな彼が成神のような卑劣な奴に何かをされる事を黙って見てはいられないから、というのもあるかな。彼には中学卒業後にも僕が困っている時に何度か力になってもらった事もあったしね。」

「そうなんですか・・・ありがとうございます。氷室さんはいい人なんですね。」

「はは、ありがとう。それとね、彼が傷つく事で君の泣く姿を見たくないから、というのもあるかな?君は彼の側で笑っている方がいい、そう思ったからというのもあるね。」

 

その僕の言葉に高良さんは顔を赤らめて

 

「か、からかわないで下さい・・・。」

 

そう言って困ってる彼女を見て僕は

 

「からかってるわけじゃないよ?本当にそう思っているだけさ。」

 

僕のその言葉に彼女は柔らかい微笑みを僕に向けて

 

「ありがとうございます。氷室さん、氷室さんも暴走族のリーダーをされているんですよね?危険な事も多いのでしょうけど、あまりご無理はなさらないようにしてくださいね。貴方が慶一さんのお友達なのであるのなら、貴方が傷つく事を慶一さんもおそらくそれをよし、とはしないはずですから。」

 

その言葉に僕は驚きつつも嬉しくなって

 

「ありがとう、君に心配してもらえるとは思わなかったな。これからも慶一君の周りが落ち着くまでは協力させてもらうつもりだよ。と、同時に君からのアドバイスも心にとどめさせてもらうよ。それと、これを君に。」

 

そう言って僕は彼女に自分の携帯番号とメールアドレスを渡して

 

「彼にも連絡先は教えてあるけれど、なにかあればここに連絡してくるといい。僕達も君達を守ってあげられる限りは守るから、安心してほしい。」

 

僕の連絡先を受け取って彼女は僕にぺこりと頭を下げると

 

「ありがとうございます。何かの折にはお願いする事もあるかもしれませんが・・・その時には頼らせてください。」

 

そんな彼女に僕もにっこりと笑って頷いたのだった。

 

慶一side

 

皆を連れて喫茶店に入ると懐かしい顔がそこにはあった。

 

「いらっしゃい。龍神君、いや、今は森村君だったね。久しぶりだねえ。」

 

喫茶店のマスターが俺に声をかけてくる。

 

「久しぶりですね、マスター。元気そうで良かった。今日は客一杯引き連れてきたから売上は任せてください。」

 

そう言って笑う俺にマスターも笑顔で

 

「おお、これは確かに大人数だね。それじゃこっちにくるといいよ。特別席にご招待だ。」

 

そう言って俺達を大人数が座れる席に案内してくれた。

 

俺たちもそこに向かい、円を描くように皆で席について、集合時間まで後少しの間を待つのだった。

 

その間に、氷室と皆もお互いに自己紹介を済ませ、俺と氷室との関係について話し終える頃、こうたちがようやくやってきた。

 

そして俺達を見るなり3人は

 

「うわ、先輩、これって一体どういう事なんですか?」

「まさか、泉先輩達や氷室先輩まで来てるなんて・・・」

「おいおい、慶一、俺達だけって事じゃなかったのか?よう、氷室、久しぶりだな。」

 

そう声をかけてくる3人に俺は事のいきさつを説明するのだった。

 

「・・・・・・というわけでな?この店で色々話そうかって事になった訳だ。」

 

俺の言葉に苦笑する瞬は

 

「けど、この大人数を奢る気か?大変だろうが。なんなら俺は自分の分出すからいいぞ?」

 

瞬の言葉に俺は手を振って

 

「ああ、心配すんなって。そっちは大丈夫だからさ。実はお袋が気を使ってくれた。」

 

その言葉に瞬は驚いて

 

「そういう事なのか、後でお前のお袋さんにお礼いっとかなきゃな。」

 

瞬の言葉に氷室も頷きながら

 

「瞬君、僕の分も一緒にお礼を言っておいてくれるかい?」

 

そんな氷室に軽いため息をついて瞬は

 

「わかったよ。お前の分も礼を言っといてやる。」

 

そう言うと、氷室は微笑みつつ「ありがとう」と瞬に言っていた。

 

「それにしても○○中学卒業生、揃い踏みだな。まあ、高校行ってからできた仲間もいるけどな。」

 

俺はそう言いつつ氷室や瞬、こう、やまと達とそれ以外の皆を見回して

 

「何にしても、またこの店に来れたのは嬉しい限りだ。俺は向こうの家に移り住んでしまったから、たまにでなければここに来る機会もないからな・・・」

 

その言葉にこうとやまとが少し寂しそうな顔をして

 

「先輩、実家の方に戻ってきた時でいいですからその折にはここに来てくださいよ。」

「そうね、せめてこっちに帰ってきてる時くらいは・・・」

 

その言葉に俺も頷いて

 

「そうだな。その時位はここに来るようにするよ。その時にはお前らにも付き合ってもらうぞ?」

 

そう言うと2人とも笑顔になって

 

「もちろんです。その時には声をかけてくださいよ?」

「私も付き合うわ。私にも声かけるの忘れないでよ?」

 

そういう2人に瞬は面白くなさそうな顔で

 

「・・・2人とも、俺には声かけてくれないのか?」

 

その瞬の言葉に2人は慌てて

 

「も、もちろん瞬一先輩にも声かけますって。」

「わ、忘れているわけじゃないんだから大丈夫よ。」

 

慌てて取り繕う2人に瞬はため息一つついて

 

「はいはい、俺は所詮慶一のおまけですよ。それでも声かけてくれるのなら嬉しいがな」

 

そんな瞬に2人ともただただ苦笑をしていた。

 

そんなやり取りを俺も苦笑しつつ見ていたのだが、俺は皆に

 

「そろそろ注文するとしよう。皆、メニューを見て好きな物頼んでくれ。」

 

俺がそう言うと、皆はメニューを見はじめて次々に注文をしていったのだった。

 

注文の品が来るまでの間、俺達は色々と話をしていたのだがふいにこうが俺に

 

「そういえば先輩、覚えていますか?私達がここに初めて来た時のことを」

 

こうのその言葉に俺は、昔の記憶を辿ってみると

 

「ああ、覚えてる。確かあの時はこうとやまとと瞬の3人で来たんだよな?」

 

俺の言葉にやまとはなんともばつの悪そうな顔で

 

「う・・・あまり思い出したくない思い出でもあるわね・・・」

 

俺たちの話に瞬は昔の事を思い出したようで

 

「あー、あの時の事か。よく覚えてるよ。」

 

そう答える瞬。

 

そして、その事に興味を持ったのか、こなた達が俺達に口々に

 

「何の話?ねえねえ、聞かせてよ。話してもいい事なら聞きたいな。みんなはどう?」

「私も興味あるわね。ねえ、聞かせてもらっていい?」

「わたしも聞きたいな~」

「昔のお話なのですね?気になります。」

「面白そうな話なら歓迎だぜ?」

「慶ちゃん達の過去か、私も少し興味あるかな。」

「私も聞きたいです。先輩。」

「・・・よければ・・・聞かせてもらえませんか・・・?」

「うーん。ネタの予感・・・是非聞きたいっス。」

「ほう?それは興味深いね、僕も是非伺いたいものだね。」

 

そう言い、その皆の食いつきっぷりに苦笑しながらもどうしようか悩んでいると、瞬が

 

「そんなに聞きたいのなら話そうかな。いいよな?慶一、こうちゃん、やまとちゃん。」

 

瞬の言葉に2人は少し嫌そうだったが、俺も別に話しても構わないだろうと考えて瞬に

 

「まあ、いいか。特に隠すほどの事でもないしな。瞬それじゃ頼むよ。」

 

そう言って瞬に話すことを促すと、瞬はコホンと一つ咳払いをしてゆっくりと話をはじめたのだった。

 


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