らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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第10章 旋律達の日常、文化祭編
緩やかな旋律~帰ってきた日常~


こなたに自分の思い、そして決意を聞かされた日、俺は全てを晒して改めてみんなに共に戦って欲しいという事を伝えようと心に決めた。

 

そして、次の日の朝、俺は新たな決意と強い気持ちをもって目を覚ました。

 

勉強会合宿時にこなたに貸した部屋で寝ているこなたを起こさないように俺は、学校へ行く準備を済ませると1階に降りて朝食の準備を始めた。

 

ほどなくして準備を終えて、いまだ起きてこないこなたを起こしに俺は部屋へと向かった。

 

部屋の前について俺はとりあえずノックをしてみるとあの時と同じように返事がない。

 

とりあえず部屋に入ると断りをいれて俺は、部屋に入ってこなたの様子を見た。

 

あの時同様、だらしない姿で夢の中を彷徨うこなたを俺はとりあえず揺すってみるが、「もう少し寝かせて・・・」と言って起きようとしない。

 

次に俺は「こなたー、起きろー、朝だぞー?」そう声をかけながらこなたを揺すって起こす事を試みてみたが結局効果なし。

 

昨日の事もあるから穏便に優しく起こしてやろう、という俺の努力が水泡に帰した事を悟った俺は神の右手の人差し指に全てを託してこなたの額に一閃させた。

 

「はぅっ!!」

 

という情けない声と共に飛び起きるこなた。

 

寝ぼけ眼で周りを見渡してすぐに痛みが額にきたらしく涙目になって俺を見て

 

「・・・ねえ、慶一君。これやめようよ・・・ほんと痛いから・・・」

 

そんな風に抗議してくるこなたに俺は

 

「一応の努力はした。昨日の事もあるから出来るだけお前を優しく起こそうとがんばった。けどな、結局起きなかったんだよ、お前は。まったく・・・結局最終手段をとらざるを得なかったよ・・・」

 

呆れたようにそう言いながらこなたに

 

「とにかく起きたんなら着替えて下に来い。朝飯作ってあるからきっちり食って学校行こう。」

 

額をさすりながら俺の言葉にこなたも頷いて

 

「わかったよ。着替えて行くから下で待っててー?」

 

その言葉に俺も頷き返して

 

「ああ。時間的にはまだ余裕あるしあまり慌てなくていいからな?」

 

こなたの返事を聞いてから俺は部屋を出て下へと向かう。

 

少しして学校へ行く準備を済ませたこなたが降りてきた。

 

「おまたせー。うーん、慶一君は洋食派なのかな?」

 

並べられたトースト等を見てこなたがそう感想を漏らすのを見て

 

「うーん、まあ、作るのが楽といえば楽だからな。これなんかただ焼くだけでいいしさ。」

 

と言って目玉焼きの乗った皿を持ち上げて見せる俺。

 

「まあ、わからなくもないけどね。でも御飯も食べた方がいいとは思うよー?」

 

その言葉に俺も考え込みながら

 

「まあ、頑張ってみるよ。それじゃ食べちゃうか。ほら、こなたコーヒー。」

 

そう言ってこなたにコーヒーを差し出して、俺達は食事を始めた。

 

「ありがとう。そういえば合宿の1日目の朝もこうやってコーヒー飲んだね。」

 

こなたの言葉に俺もその時の事を思い出して

 

「そうだな。あの時からそう時間は経ってないはずだけど何だか懐かしい気がする。」

 

こなたはそんな俺の言葉に笑いながら

 

「あはは。それだけ色んな事あったからじゃないかなー?でも、こんな些細な事も思い出になるといいよね。」

 

そのこなたの言葉をしみじみとかみ締めながら

 

「・・・ああ、そうだな・・・」

 

俺はこんな些細な事ではあっても心に刻んでおこうと思ったのだった。

 

やがて、朝食も済んで洗い物を終えた俺たちは学校へと行く準備をして玄関で靴を履いていたが、こなたがふいに忘れ物を思い出して部屋に取りに戻ったので、俺はそのまま玄関でこなたを待ったのだった。

 

程なくしてこなたが

 

「ごめーん。お待たせー。」

 

そう言いながら玄関にやってきたので、俺はこなたが靴を履き終わるのを確認した後、2人して”いってきまーす”と返事の返ってこない家に向かって声をかけて外に出た時俺は絶句した。

 

「おはよー。慶一くん、一緒に学校・・・って、こなた!どうしてあんたが慶一くんと一緒に家から出てきてるのよ!!」

 

そう声をかけてきたのは俺を迎えに来たかがみだった。

 

だが、俺が驚いたのはそれだけじゃなかった。

 

そこにはつかさやみゆき、みさお、あやの、こう、やまとまでもが揃っていたからだった。

 

半ば呆然としつつも俺はかがみに

 

「お、おはよう、かがみ、みんな。えーと、これは一体何があったのかな?」

 

その俺の言葉にみんなも挨拶を返しながら

 

「おはよ~けいちゃん。わたしたち今日はみんなでけいちゃんを迎えに行こうって相談したの。それでみんなで来たんだよ?それよりも、ねえ、どうしてこなちゃんもけいちゃんの家にいたの?」

 

不思議そうな顔をするつかさ。

 

「おはようございます慶一さん。とりあえず状況の説明をお願いできますか?」

 

顔は笑っているが、その背後に物凄いどす黒いオーラを纏っているみゆき。

 

「おはよう慶一。私も理由がききてえなあ?」

 

不機嫌そうに理由を尋ねてくるみさお

 

「おはよう。慶ちゃんもすみにおけないわね。」

 

笑顔だけど少し怖さを感じるあやの。

 

「おはようございます先輩。先輩もなかなかやりますねー?」

 

ニヤニヤしながら俺にそう言うこう。

 

「おはよう、先輩。泉先輩を連れ込んで何をしてたんですか?」

 

相当に不機嫌そうなやまと。

 

俺は一部の黒オーラに怯えながら

 

「ああ、その、実は昨日こなたが気を使って俺に夕食をご馳走しにきてくれてだな・・・それでその後話し込んでたらこなたの終電に間に合わなくなって仕方なく・・・こなたを泊めたんだよ・・・」

 

最後の方は黒いオーラを纏ったままにじりよってくるみゆきを前にしてしどろもどろになる俺

 

その後ろでこなたはかがみに大いに怒られていた。

 

「こなた!あんた昨日私達と約束したわよね!?皆で一緒に慶一くんを迎えに行くって!その事の確認であんたの携帯に電話かけたのよ!?なのに電話に出ないと思ったらあんたまた勝手になにやってんのよ!!」

 

そのあまりのかがみの剣幕にこなたもたじたじになりながら

 

「ご、ごめんって、かがみ。昨日は電車に間に合ったらそのまま帰ろうとしたんだよ。でもつい話し込んでたら時間が過ぎちゃったから・・・」

 

そしてその矛先はついに俺にも向けられた。

 

「慶一くんも慶一くんよ!どうしてちゃんとこなたを帰さなかったの!?それと念のために聞くけど変な事してないでしょうね!?」

 

かがみの詰問に俺は首をブンブンと振って

 

「ない!かがみが考えているような変な事は断じてないから!だからもう勘弁してください・・・」

 

そんな騒動があったが、ようやく場が治まり落ち着いた頃、皆はそれぞれの方法で家に来ていたが、ここはこの人数だとバスに乗った方がいいだろうと思い、俺はみんなを最寄のバス停に連れていった。

 

そして、バスを待ちながら俺はみんなの方に向き直ると

 

「みんな。聞いて欲しい事がある。」

 

俺は昨日の決意をみんなに聞いてもらおうと思い、声をかけるとみんなは俺に注目して

 

「聞いて欲しい事?一体なんなの?」

 

かがみが代表で俺に聞いてきたので俺は頷いて

 

「実は昨日こなたからみんなが俺の過去の事、その因縁の人物の事についての情報を得ているという話を聞いたんだ。」

 

その言葉にこなた以外は皆驚いたような顔をしていたが、かがみがこなたに

 

「こなた、あんた慶一くんに言っちゃったの?あんたが言ったんじゃない。慶一くんに気を使わせない為に知っていても知らないふりしてよう、って」

 

かがみの言葉にこなたも真剣な表情を向けて

 

「うん。その事については大分悩んだよ。でも私はみんなの気持ちを慶一君に知って欲しかった。そして慶一君の背負っている荷物を私達で少しずつ背負ってあげたいって思ったから。私達は直接慶一君と一緒には戦えないけど心で一緒に戦う事くらいはできる、その事を慶一君に伝えたかったんだよ。みんなもそうだよね?」

 

こなたが他の皆を見回しながらそう言うと皆も頷いて

 

「まあね。私は慶一くんの力になりたいって思うから、それが例え心だけだとしてもね。」

「わたしもそう。けいちゃんを一杯応援してあげたいよ。」

「私もです。私の心も慶一さんと共にありますから。」

「私もだぜ?お前と共に心で戦う覚悟はあるつもりだかんな。」

「私もよ?私だって慶ちゃんの友達で大切な仲間だって思ってもらっているから。」

「私もです。先輩との絆はやわじゃないですからね。そこの所はわかって欲しいですね」

「私も。何も出来ない私だけど心は先輩と一緒に戦いたいって思っているから・・・」

 

俺はそんな皆の言葉に力強く頷いて

 

「俺は昨日こなたに今回の一件の最後の決着をつける際にかがみたちを教室で見た時、俺の心に力がみなぎるのを感じた。みんなのその思いがあるから俺は戦えた。戦えるんだと思った。だから、この先俺の過去がみんなにとって危険を呼ぶかもしれないけど、俺にはみんなが必要だから、だからこれから起こるかもしれない困難に立ち向かう時、俺と共に戦って欲しい、力を貸して欲しい。その事を改めてみんなに言いたかったんだ。」

 

俺がそう言い終えると皆は力強く頷いてくれ、口々に。

 

「君が私達を必要としてくれるなら、私達はいつでも君の力になってみせるよ?」

「たとえ側にいなかったとしても、私達の心はあんたと共にあるから、それを忘れるんじゃないわよ?」

「わたしたちはいつでも一緒だよ?けいちゃん。」

「今回の事に立ち向かってから私は、こんな形でもあなたの力になれる事を知りました。また何が起きても、私は今回のように力になってみせます。」

「私もだぜ?大した事はできねーかもしれねえけど、私もいるって事だけは覚えておいてくれな?」

「私も力になってみせるわ。何も出来ないかもしれないけどそれでも慶ちゃんの私達を大事に思ってくれる心に報いたいから。」

「私も力になりますよ。先輩、頼りないかもしれませんが頼ってください。」

「先輩は私達を助けてくれたから。だから私も先輩の困難に一緒に立ち向かってあげたいって思う。だから私も頼って欲しい。」

 

改めてみんなは俺にそう言ってくれた。

 

俺は改めて皆に頭を下げて礼を言うと、皆もにっこりと笑って答えてくれたのだった。

 

その後、俺たちは学校へと向かう。

 

そして、学校の校門前で俺たちは織部由美子と鉢合わせる事となった。

 

俺にも、皆にもにわかに緊張が走る。

 

だが、織部さんは俺たちの前に来ると、皆の前で深々と頭を下げて

 

「ごめんなさい、みんな。私のせいで色々と迷惑かけちゃって・・・もう、あんな事はしないわ。今日皆を待っていたのは皆に今までのお詫びを言いたかったからなの・・・そうしないと気がすまなかったから・・・」

 

そう言って織部さんは俺たちに詫びてきたのだった。

 

俺もみんなも困惑していたが俺は織部さんに

 

「君の気持ちはよくわかった。でも勘違いしないでくれ、俺は君を恨んだりしちゃいない。恨むとしたら俺が自ら作ってしまった過去に対してだ。だからそこの所は気にしないで欲しい。それが俺の罪なんだから。」

 

そう俺が言うと、織部さんはふっと微笑んでから俺たちに頭をもう一度下げると、踵を返して校舎に入っていったのだった。

 

「あの子も出会い方を間違えなければ、ひょっとしたら私達の仲間になっていたのかもしれないね・・・」

 

ふとこなたが漏らした言葉に俺を含めた全員が頷いていた。

 

俺は気を取り直すと

 

「さあて、これからまた色々行事もあるんだし、テストだってある。心機一転、張り切っていこうぜ?」

 

俺のその言葉に若干名はテストという言葉に少し嫌な顔をしていたが、皆で頷くと俺たちはそれぞれの教室へと入っていった。

 

俺は久々に何のしがらみもない授業時間を過ごしていた。

 

それと同時に悩んでいる間、俺は大分授業が頭に入っていなかったことを改めて知る事になり

 

「かがみ、すまないがこの一週間の授業のノートを見せてくれないか?」

 

そうかがみに頼んでノートを借りて、必死の復習を開始したのだった。

 

その横で笑いながら俺にアドバイスを送ってくれるかがみとあやの、俺はその風景にようやく日常を取り戻した事をしみじみと嬉しく思っていた。

 

そして、お昼休みになり、久々に皆でお昼を食べる事になり、今日は皆で屋上で食べようという事になったのだった。

 

皆で集まり早速弁当を広げる俺達だったが、こなたはいつものとおりなのだが、今日に限っては俺も弁当を作れなかったので、学食でパンを買ってきたのだった。

 

俺が珍しくパンを食べているのを見たかがみが

 

「慶一くん、今日はお弁当じゃないのね?いつもはちゃんと作ってきてるのに珍しいわわね。」

 

そのかがみの言葉に俺は苦笑しながら

 

「いや、実は昨日夕食の準備に買い物行こうと思ったんだが、こなたが来て夕食作ってくれたからさ。結局、買い物いかずじまいになっちゃってな、食材の買い置きがなかったからさ。」

 

後頭部を掻きながらかがみに事情を話すと、かがみは呆れつつも

 

「はあ・・・ほんとしょうがないわね・・・はい慶一くん、これどうぞ」

 

俺に自分の弁当のおかずの卵焼きを差し出してきたかがみに俺も慌てつつ

 

「え?ちょ、ちょっと待ってくれ、いいのか?かがみだって自分の食べる分しかおかず作ってきてないんだろ?」

 

とりあえず遠慮するとかがみは少し照れながら

 

「い、いいのよ、今日はいつもより多めに作っちゃったんだから。だから遠慮しないで食べなさいよ。」

 

なおも俺におかずを差し出そうとするかがみの気持ちを無にするのは悪いと思った俺は

 

「じゃ、じゃあ、頂かせてもらうよ。」

 

そう言ってかがみからおかずを受け取り早速食べてみる。

 

その様子を不安そうに見つめるかがみに俺は

 

「お?これは美味いな。かがみ、この卵焼き、いい味付けだよ。ありがとな?」

 

俺は素直にかがみに感想とお礼を言うと、かがみは顔を真っ赤にして

 

「そ、そう?喜んでくれて嬉しいな・・・もう一つどう?」

 

そう言ってさらにもう一つ卵焼きを差し出してくるかがみからそれを受け取って食べる。

 

その様子を見ていたほかの皆が羨ましそうにこの状況を見ていたが、そこにみゆきも

 

「慶一さん、あの・・・私も、これ作りすぎちゃったんですが、よろしければどうぞ・・・」

 

今度はそう言って唐揚げを俺にすすめてきたが、ここまで来てしまっては断れない、と覚悟を決めた俺は、それもいただく事にした。

 

「ありがとう、みゆき。これも中々美味いな。味付けは結構好みかも。」

 

俺の感想に顔を赤くして俯くみゆき。

 

それをみていたあやのとこなたを除く他の皆も一品ずつ俺におかずを進めてきたのだった。

 

その様子をみながらこなたはかなり不機嫌そうな顔をしていたのだが・・・。

 

そして、食事を終える頃には俺は食いすぎで倒れていたのだった。

 

10月といってもまだまだ暑さの残るこの陽気の中、俺はみんなの雑談の喧騒を聞きながら側で寝転んで空を見上げながらのんびりとしていた。

 

まだ時間の残る昼休み、俺はいつしか眠ってしまっていたらしい。

 

そして、後頭部にふいに感じた柔らかな感触を感じて目を覚ますと、俺の顔の上には俺を顔を真っ赤にしながら見下ろしているやまとがいた。

 

俺はまだ少し寝ぼけた頭で

 

「なあ、やまと。どうして俺の上にお前の顔があるんだ?」

 

やまとに訪ねるとやまとは赤い顔のまま俺に

 

「私の顔が先輩の上にあるんじゃなくて先輩の頭が私の太腿の上にあるのよ。」

 

俺はやまとの言った言葉を反芻してみる。

 

そしてその状況に気付いて慌てて

 

「ちょ、ちょっと待て!という事は今俺はお前に・・・膝枕・・・されてるって事なのか?」

 

俺の言葉にやまとは黙ってコクリと頷く。

 

その瞬間俺は慌ててやまとの太腿から飛び起きて

 

「す、すまん。うっかり寝てしまっていたとはいえお前にそんな事させてたなんて」

 

俺があたふたしながらやまとに謝っているとそのすぐ後ろで

 

「あーあ、起きちゃったね。残念。」

 

ニヤニヤしながら軽いため息をつくこなた。

 

「でも、慶一くんのあわてっぷりは面白かったわね・・・ちょっと羨ましかったけど・・・」

 

最後の方は皆に聞き取れない程の小声なかがみ。

 

「けいちゃん気持よさそうに寝てたね~。」

 

ニコニコしながら言うつかさ。

 

「勝負の結果だから仕方ないですね・・・」

 

少し憂鬱そうにため息をつくみゆき。

 

「どうせだったら顔に落書きでもしてやればよかったんじゃねーか?」

 

俺のあわてっぷりに笑いをこらえられず笑いながら言うみさお。

 

「それにしてもよく眠れるわよね?そんなに気持ちいい陽気だったのかな?」

 

苦笑しながらも少し呆れ気味に言うあやの。

 

「やまと美味しいとこどりだねー。今度は私が先輩にやってあげようかな?」

 

と、心臓に悪い冗談を言うこう。

 

「ごめんなさい、先輩。一応罰ゲームだから・・・」

 

そう言って、膝枕の理由を話すやまと。

 

とりあえずやまとの言っていた罰ゲームという言葉が引っかかったので、俺は皆に聞いてみた。

 

「罰ゲームって何の話だ?」

 

その質問にこなたが答えてくれた。

 

「実は、じゃんけん勝負して一番最初に負けた人が慶一君に膝枕をする、というゲームをしてたんだよね。」

 

そのこなたの説明に額に手をあてて呆れつつ

 

「なんで俺に膝枕するとかってなってるんだよ・・・他に罰ゲームとか、考えるならあるんじゃないのか?」

 

その俺の言葉にこなたはニヤニヤとして

 

「えー?こういう罰ゲームだから面白いんじゃん。それとも慶一君、嬉しくなかったのー?」

 

と言うこなたに俺は

 

「い、いや、嬉しくない事もなかったが・・・って何を言わせる!!」

 

そう言いかけて顔を真っ赤にして乗りツッコミした。

 

そして、そんな俺の言葉にやまとも再び顔を赤くしてたのだった。

 

その後はこうやみさおらに色々ツッコまれたりしていたが、色々ごまかしてとりあえず昼休みを乗り切ったのだった。

 

午後の授業の後LHRがあり、俺たちは文化祭の出し物について話し合いをしたのだが、今日中には出し物を決定する事ができなかった。

 

そして、放課後になり、再びこなた達と教室の外で鉢合わせたのだが、何故か落ち込むみゆきがいたので俺はこなたに

 

「なあ、こなた、みゆき落ち込んでるみたいだけどなにかあったのか?」

 

と聞いてみると、こなたは苦笑しながら

 

「いやー、実は今日のLHRの時にさ、文化祭の出し物について決めてたんだけどさ、みゆきさんが提案した出し物に票がみゆきさんの一票だけしか入らなかったからその事に落ち込んでるんだよねえ。」

 

そう話すこなたに俺は、みゆきが提案した出し物について聞いてみる。

 

「こなた、みゆきが提案した出し物って?」

 

俺の問いにこなたは困った顔で

 

「実はね、みゆきさんが提案したのは桐たんすの文化と歴史的背景の展示なんだよね。」

 

そのテーマに俺も、どう言ったら良いのかわからずに困惑していたが、とりあえずみゆきを慰める事にした。

 

「まあ、なんだ。自分の意志を示した事だけでも評価できる事だから、な?とりあえず元気だせ。」

 

俺と共にこなたもとりあえずみゆきを慰める言葉を言うのだった。

 

「頑張った!感動した。その努力は認められるよ!」

 

俺達2人の慰めにみゆきはますます落ち込んでいた。

 

それを見守るかがみたちも苦笑しながら困った顔をしているのだった。

 

とりあえず、かなり苦労したが、みゆきをなんとか立ち直らせて俺たちは学校を後にする。

 

学校から帰る途中でみゆきが俺たちに

 

「みなさん。みなみちゃんへの誕生日プレゼントありがとうございました。みなみちゃんも凄く喜んでいましたよ?みなさんにお礼を言っておいて欲しいとことづかってきました。」

 

そんなみゆきの報告に俺たちも笑顔で応えていた。

 

そしてみゆきは俺に小声で

 

『慶一さん、みなみちゃん、慶一さんからのメッセージカードを受け取ってとても喜んでいましたよ?私からもお礼を言わせてください。』

 

そのみゆきの言葉に俺も笑って頷いたのだった。

 

ちなみに俺が送ったメッセージは

 

<みなみ、誕生日おめでとう。受験の追い込みがあるから誕生日会を開いてやれないけど、プレゼントだけでも受け取って欲しい。そしてひよりやゆたかと一緒に陵桜に来てくれる事を待っている。だから最後までがんばれよ?>

 

という内容だ。

 

俺はもう、みんなが陵桜にいるイメージをしている。

 

そしてそれは現実になるだろうという妙な確信があった。

 

何故なら、みなみもゆたかもひよりも俺にとっても、皆にとっても大切な旋律の一つだから。

 

俺はその日を楽しみにしながら、文化祭の出し物やみゆきの誕生日、そしてうっかりやっちゃった「お詫びに何か奢ります」イベントにとりあえず頭を悩ませていたのだった。

 


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