らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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揺らぐ旋律第2話~離れていく心と絆~

体育祭が終わり、1日の休日を経て再び学校生活へと戻る俺達。

 

そして、体育祭前と後とでは俺の周りの環境に変化があった。

 

体育祭前と後では、俺はあまりに目立ちすぎるリレーの結果により、学内の女生徒らからアプローチを受ける日々が始まった。

 

俺は俺に好意を抱いてくれる子達の気持ちを嬉しく思いつつも、その子達と付き合う意思を持っていなかったので事あるごとにその好意を断り続けて来た。

 

そしてそんな日々の3日目に俺達の関係を崩しかける程の事件が起きたのだった。

 

3日目の手紙の相手の最後の一人織部由美子、彼女こそがその事件の発端となった。

 

いつものように俺は彼女にも付き合う意思はないと告げ、言うべき事を言った後、俺は屋上を後にしようとしていた。

 

しかし、苦悶の表情を見せた織部さんが俺の去り際に発した言葉は俺を驚愕させるのに十分なものだった。

 

慶一side

 

俺は織部さんに付き合う意思のない事を告げた後、この場から去ろうと屋上の出入り口に向かおうとした。

 

だが、その後ろで彼女は意外な言葉を発した。

 

「・・・・・・成神章、って知ってるわよね・・・・・・?」

 

その言葉に驚き、俺は彼女の方に向き直り

 

「・・・何故、君がその名前を知っている!?」

 

そんな俺の様子を伺うように俺を見つめていた彼女は口の端を少し吊り上げて

 

「ふふ。あなたにとってはあまり良い思い出のある人じゃないみたいね・・・私の知り合いに彼を知っている人が居る、そういう事よ。そしてその人の悪い噂もね。」

 

俺は彼女の真意を探るように彼女を見据えつつ心の中で焦りを感じていた。

 

(そんな馬鹿な・・・この学校の生徒に成神との接点があるやつなんて噂すら聞いた事がない、それなのに・・・唯一知っているとしたら、この前氷室と会ったみゆきくらいのはず・・・これはどういう事なんだ・・・)

 

そんな俺の心の葛藤を見抜くような目で俺を見て妖しく微笑むと

 

「・・・つまりは、私は成神章との連絡も取り合う事も出来るという事よ?その事を踏まえた上でもう一度聞くわ?私と付き合いさなさい。」

 

彼女のその言葉に俺は未だ心の葛藤を続けていたが、そこに彼女はもう一言だめ押しを乗せて来た。

 

「これを断ったら、あなたが大切に思っているあの子達がどうなるかは・・・保証しないわよ?それを頭に入れた上で再度私の言葉に返事をするのよ?そして、これが最後のチャンス。いい?これが最後だからよく考えなさい。・・・私と、付き合いなさい。」

 

そのあまりの言葉に俺は愕然となった。

 

俺は拳を握り締め、ギリリと歯を食いしばりながら彼女を見据え、そして

 

「・・・わかった・・・君と付き合う。だからあの子達には手を出すな・・・」

 

その俺の答えに満足げな表情をして彼女は俺に

 

「ふふ、いい答えね。それと、この事は彼女達にも言ってはだめよ?その事が発覚し次第、私は成神に連絡を取るわ。そうなったら、どうなるか分かるわよね?あの子達を守りたいのなら黙っている事、いいわね?」

 

彼女の言葉に怒りを覚えつつも俺は皆を守る事を優先するためにその気持ちを抑えつけ、彼女の言葉に頷いた。

 

俺の頷きを見て、彼女は俺に近づいて来て俺を見上げると静かに目を瞑る。

 

「・・・何のつもりだよ・・・」

 

俺が彼女にそう言うと彼女は一度瞑った目を開いて

 

「キス、してよ。私達付き合う事になったのよ?恋人になったのならそれくらいはしてくれてもいいと思うわ?それとも断るの?断るつもりなら私にも考えがあるわよ?」

 

その言葉に俺はどうする事もできず、再度硬く拳を握り締めながら俺は黙って彼女と口づけを交わした。

 

「ふふ。初めてだからぎこちなかったのは許してあげるわ。それと、携帯の番号を教えてもらえる?ああ、それと携帯の履歴は毎日私に見せなさい。そしてあの子達の電話番号やメールアドレスも消すの、いいわね?それを守れなければどうなるかは、分かるわよね?」

 

彼女の言葉に俺は黙って頷くと彼女は満足したらしく

 

「それじゃ、明日からよろしくね?森村君。今日はこの辺で、またね?うふふふふ」

 

笑いながら去っていく彼女を俺はただ見送る事しかできなかった。

 

そして、彼女と触れた唇を俺は気付けば何度もごしごしと拭っていた。

 

俺は半ば放心状態ではあったがとりあえず携帯を取り出すと氷室の所へと連絡を取った。

 

数回のコールの後氷室が電話に出ると

 

「もしもし?慶一君かい?君がかけて来るのは珍しいな。」

「・・・氷室、頼みがある。ちょっと調べて欲しい奴がいる。」

「僕に頼みかい?それで内容は?」

「織部由美子という陵桜学園2年E組の女とその知り合いについてだ。彼女はどういうわけか成神章の事を知っていた。彼女の知り合いに成神と関係のある奴がいるとの事だ。」

「成神だって?そいつは確かなのかい?」

「彼女が言い出した事だが、はっきりとしない。だからお前に探ってもらいたい。俺は、情けない話だがその事をネタに俺の仲間達を盾に脅されて彼女と無理やり付き合わされるはめになってしまった。しかし、彼女の言う事がもしも嘘やでまかせであったなら、俺の仲間が危険な思いをしなくて済むし、俺も彼女と離れる事が出来ると思う。だから、頼む。織部由美子の身辺を探ってくれ。」

「君の頼みは分かったよ。成神とも関係があるかもしれないのならば僕も動く必要がありそうだね。でも、その間君はその彼女に付き合わされる事になるわけだよね?大丈夫なのかい?確か、高良みゆきちゃん、だっけ?あの子も君に少なからず好意を持っているようだった。あの子の悲しむ姿は僕も想像したくはないんだけどね。」

「・・・そこの所は俺の過去の罪として罰を受ける覚悟でやるさ。それで例え嫌われたりみんなが俺の側から離れて行く事があったとしても・・・みんなを守れるのであれば後悔はしない。」

「君の覚悟の程はわかった。おそらく一週間近くはかかると思う。詳細がはっきりし次第君のところへ連絡をいれよう。それでいいね?」

「ああ、頼む。それと、俺への連絡用でもう一台携帯を買っておく。番号が分かり次第そっちに伝えるから連絡を入れてくれる際にはそちらに頼む。」

「ん?何故もう一台携帯を?」

「彼女は俺の携帯の着信、発進履歴、メール履歴すらも管理する気でいる。それを避けるためにももう一つの連絡手段を講じておく方がいいだろうと思ったからさ。」

「そういう事なのか。彼女は相当君にご執心のようだね。わかった、そっちが整い次第連絡をしてくれる?それとこれからの一週間は君にとっての地獄になるかもしれないけど、なんとか乗り切ってくれることを祈っているよ。それじゃ一週間後に。」

「ああ、よろしく頼む。」

 

そう言って俺は氷室との連絡を終えて屋上を後にしたのだった。

 

結局俺は気難しい顔のまま教室へと戻る事となった。

 

教室へ戻ると俺の姿を見つけたかがみ達が俺の方へやってきて

 

「慶一くん、おかえり。今日も大変ね。あれ?どうかしたの?なんだか少し辛そうな顔してるわよ?」

「慶一、なんとか無事に帰ってきたみてえだな。ん?何かお前元気なくないか?」

「おかえり、慶ちゃん。今日もご苦労さま・・・あら?慶ちゃん、何かあったの?」

 

俺を気遣い、声をかけてくれる皆を俺はまともに見る事ができなかった。

 

本意ではないとはいえ、手紙の返事を断りに行った相手と付き合う事になり、それに従えなければ今ここに居る3人や隣のクラスの3人にも危害が及ぶかもしれない、それを考えた時俺は気付けば手の平に血が滲むほどに拳を握り締めていたらしい。

 

俺の手の平から滴る血にいち早く気付いたかがみが

 

「け、慶一くん、手の平から血がでてるわよ?どうしちゃったの?一体。とにかく保健室いこ?傷の手当てしないと・・・」

 

そう言ってくれるかがみを俺は手で制しながら

 

「・・・すまない、俺1人で行って来れるから大丈夫だ。これから授業だろ?席に戻ってろよ。」

 

俺は努めて冷静にそう言ったつもりだったが、俺の表情に何かを感じたらしかったが、かがみは

 

「・・・そう、それならいいわ。とりあえず私達は席に戻ってるわね?慶一くん・・・何か悩み事があるんなら、私達にいいなさいよ?私達が出来る事なら力になってあげるから。」

 

そのかがみの言葉に俺はあえて振り返らずに

 

「・・・ああ、ありがとうな、かがみ。」

 

短く一言伝えてから俺は保健室へと向かった。

 

かがみside

 

いつものように慶一くんは未だやってくる女の子達からの手紙に断りをいれるために今日も休み時間毎に出かけていっていた。

 

でも、今日の最後の子の断りに行って帰ってきた慶一くんの様子がなにやらおかしいと私は感じていた。

 

教室に入ってきた時の表情、そして先程私と日下部、峰岸との会話においても何だか思いつめているような表情をしていた。

 

そして、気付くと慶一くんは血が出るほどに強く拳を握り締めていたのだが、それに気付いて私は慶一くんを気遣って声をかけたが慶一くんは大丈夫だといってそのまま保健室へ行く為に教室をでた。

 

それを見送った私たちは3人で集まり

 

「慶一くん、やっぱり何か様子が変ね。最後に断りに行った子の所に行く前はあんな感じじゃなかったわよね?」

 

その私の言葉に日下部と峰岸も頷いて

 

「そうだな。何か行く前よりも元気なくなった気がするゼ」

「少し思いつめた表情してたわよね?何かあったのかな?」

 

その2人の言葉に私も頷きつつ心の中にいいしれぬ不安が広がっていくのを感じていた。

 

慶一side

 

かがみたちと別れ、俺は手の平の傷の治療の為保健室へと向かっていた。

 

(だめだな・・・さっきの事を考えると俺は普通の状態ではいられなくなってしまうようだ・・・かがみ達には心配かけたくないんだが・・・くそっ・・・)

 

自分でもどうする事も出来ない感情を抱えながら歩いていくうち、保健室の前へと辿り着く。

 

とりあえずドアをノックして「失礼します」と一声かけて俺は保健室へと入っていった。

 

保健室に入るとそこには白衣を着た天原ふゆき先生がいて、俺の姿に気付きゆっくりと俺の方に歩み寄ってきて

柔らかな笑顔を向けながら

 

「あら?あなたは確か2年D組の森村君ね?今日はどうしたのかしら?」

 

そう声をかけてくる天原先生に俺は自分の手の平を見せて

 

「ちょっと手の平に傷を作ってしまいまして、治療をお願いできますか?」

 

俺がそう言うと天原先生は俺の言葉に優しげな笑みを浮かべてから薬棚から消毒液等を取り出すと

 

「さあ、傷を見せて?ちょっとしみるわよ?少し我慢してね?」

 

そう言いながらゆっくりと俺の手に消毒液をつけ始める。

 

俺は少しだけ染みる消毒液の痛みに我慢をしていたが、そうこうしている内に治療が終わった。

 

「はい、これでいいわ。それじゃ、怪我には気をつけてね?」

 

消毒などをしまいながらニコニコと笑いながらそう俺に言う天原先生。

 

俺は、なんだか教室に素直に戻る気になれなかったので

 

「天原先生、少し気分がすぐれないので休ませてもらってもいいですか?」

 

そう天原先生にお願いすると先生は俺の顔をじっと見ていたが、再び笑顔に戻ると

 

「わかりました。桜庭先生には私から伝えておきますからゆっくりお休みなさい。」

 

俺はそう言ってくれる先生の言葉に甘える事にした。

 

「それじゃ失礼しますね。」

 

そう言ってベットに潜り込み、俺は先ほどのこと、これからのことに思いを巡らせ始めていたのだが不意に天原先生が

 

「・・・森村君、何か悩んでいる事等があるのでしたら話せることなら話してください。生徒の悩みを聞くのも保険医としての義務ですから。」

 

俺はその言葉を聞いた時、ああ、俺が悩み事を抱えている事が表情にでていたのだな・・・と思い、先生に

 

「お気遣いありがとうございます。ですが、今のところは先生に相談するほどの事ではありませんので。もしも先生に相談しなければならない時はちゃんと相談に乗ってもらいますから。俺の事・・・気にしてくださってありがとうございます・・・。」

 

俺がそう答えると、天原先生は少しだけ困ったような表情をしたが、再び俺に微笑を向けた後、机に向かって仕事を再開したのだった。

 

俺はそれを遠目で確認してから改めて先程考えようとしていた事に思いをめぐらせながら、現実から一時的に逃避するためにいつしか眠ってしまったのだった。

 

かがみside

 

結局あれから、慶一くんは保健室に行ったまま放課後まで教室には帰ってこなかった。

 

私達は慶一くんがまだ保健室に居るかもしれないと思い慶一くんの鞄を持って保健室へと向かった。

 

「慶一、まだ居るのかな?」

「とりあえず入ってみましょ?」

 

日下部と峰岸の言葉に私も頷きで返して保健室のドアをノックしようとした時保健室の中から慶一くんともう1人、女の子と話している声が聞こえた。

 

日下部と峰岸もその事に気付いたようで、2人とも聞き耳を立てて中の様子を伺っていた。

 

私も気になったので2人と同じように保健室のドアの前で聞き耳を立てるのだった。

 

・・・・・・保健室内

 

「森村君、ここにいたのね?教室の方に様子見に行った時、君の姿が見えなかったから探しちゃったわよ?」

「・・・別にわざわざ探してくれなくてもよかったけどな。織部さんにだって用事くらいはあるんだろ?」

「・・・由美子、よ。」

「は?」

「折角私達付き合ってるんだから、名字でなく名前で呼んでよ。私も今度からそうするから。」

 

そう言った後、織部さんはまた何かを企むような目で小声で俺に

 

『そう呼べないって言うのなら、構わないわよ?あの子達が不幸になるだけだからね?』

 

そう言われてしまっては今の俺にはどうする事もできず仕方なく

 

「・・・分かったよ、由美子。これでいいよな?」

 

そう呼んでやると織部さんは満足げに頷いて

 

「ええ、それでいいわよ?慶一君。」

 

そう俺を呼んだのだった。

 

・・・・・・保健室の外

 

私達は今何を聞いたのかが分からなくなっていた。

 

というよりも信じられない言葉に現実を受け止められない、という感じだった。

 

「おい、柊、今のって・・・私達の聞き間違え、だよな?」

「な、何かの間違いに決まってるわよ。慶ちゃんに限ってそんな・・・」

 

2人とも動揺しているのが分かった、そして私も同じように動揺していたが

 

「・・・そうよ、きっと何かの間違いよ、私真実を確かめてくる!」

 

私は真実が知りたくなり意を決して保健室へと入っていった。

 

その私に続くように2人も私の後を追って保健室に入る。

 

保健室に入るとそこには1人の女生徒と話す慶一くんの姿があった。

 

私は2人の側に行って

 

「ちょっとあんた!慶一くんと付き合っているって一体どういう事なの!?」

「そうだぜ?慶一には今までそんな噂なんてなかったんだ。適当言って慶一を困らせてんじゃねーのか?」

「慶ちゃんは手紙を貰った子達全てに断りを入れに行ってたのよ?告白の成功した子の話なんて聞いた事もないわ。」

 

その3人に織部さんは鼻で笑い飛ばし得意げな目を向けると

 

「あなた達が慶一君にまとわりついていた慶一君を困らせていた子達ね?残念だけど慶一君は今日から私と付き合ってるの。だからもうあなた達の出る幕はないのよ?それがわかったならさっさとここから立ち去る事ね。」

 

その織部さんの言葉に3人とも気色ばんで

 

「なんですって!?そんな事あんたに言われる筋合いはないわよ!慶一くんは私達にとって大事な人なんだからね!?あんたの方こそ引っ込んでなさいよ!!」

「わりーけど今の言葉は聞き捨てならねえな!慶一は私らの仲間だ!おめーみてえな奴と付き合うような奴じゃねーんだよ!」

「慶ちゃんはあなたのような人に簡単についていくほど軽い人じゃないわ!私達の事をとても大切に思ってくれてる大切なお友達なんだから!」

 

俺はそんな3人の言葉に嬉しさを感じると共に、例え様のない罪悪感にもさいなまされていた。

 

その3人の激昂にも余裕の表情を崩さない織部さんは3人に

 

「・・・ふうん?なら本人に聞いて確かめてみなさいよ?それならはっきりするでしょ?」

 

織部さんの言葉に3人は俺の方に向き直り

 

「慶一くん、あの子と付き合ってるなんて嘘よね?あの子が勝手に言ってるだけなんでしょ?」

「慶一、お前は私らの仲間だよな?あんな奴と付き合っちゃいねーよな?」

「慶ちゃん、何かの間違いよね?私達から離れるなんて事ないわよね?」

 

俺はそんな3人の問いかけに心を苦しめながらも顔は努めて平静を装いつつ、俺が尤も言いたくない言葉を口にするのだった。

 

「・・・その子の、由美子の言う通りさ・・・俺は・・・俺は、由美子と・・・付き合っている・・・」

 

俺がそう言い終わると織部さんは勝ち誇ったような顔をして、かがみ達3人は信じられないような物を見る顔で

 

「・・・そんな・・・嘘よ・・・」

「なんで?慶一、なんでだよ!」

「そんなの信じられないわよ!慶ちゃん!」

 

そんな3人に俺は心の中で何度も詫びるしかなかった。

 

ショックを受ける3人の顔を見ていると俺は涙をこぼしそうになったので3人から顔をそらした。

 

その俺の仕草を見て3人は自分達が拒絶されたのだと思ったのだろう、俺に短い言葉で

 

「・・・さよなら、慶一くん・・・その子と仲良くね・・・」

「・・・お前にはがっかりだゼ・・・じゃあな、慶一」

「・・・信じていた、信じたかったわ・・・でも、さよなら・・・慶ちゃん・・・」

 

そう俺に告げると、3人とも下を向いたままで保健室から走り去っていった。

 

その様子を見ていた織部さんは勝ち誇った笑みを浮かべて3人の去った方を見ていたのだった。

 

その後はこなた達とは会う事はなかったが、俺は織部さんと共に学校を出た。

 

途中までは一緒に帰った俺だが、織部さんと別れると俺は携帯電話の店にもう一つの携帯を購入するために向かった。

 

そして携帯を購入し、俺は改めて氷室に連絡を入れ新しい携帯の番号を伝えた。

 

その後家に戻って俺はみんなで撮った夏休みの旅行での集合写真を見て、別れの言葉を告げて去っていった3人を思い出すと体の奥からふつふつと湧き上がって来た激情と共に俺は気付いたら壁に拳を叩きつけて泣いていた。

 

「・・・ごめん・・・ごめんよ・・・かがみ、みさお、あやの・・・でも・・・これが俺の罪に対する罰の一つなんだな・・・ちくしょう・・・・ちくしょう!!俺は、俺はいつまでたっても、っ!」

 

その日、俺達が奏でていた旋律が歪みを持ち始めた。

 

俺は自分したことに対する罪深さを改めて思い知らされると共に、あの3人から告げられた別れの言葉がこんなにも自分に辛くのしかかる事の辛さを知った。

 

今の俺には何も出来ない、だからその事に対する悔しさで俺は悔し涙を次の日まで流し続けた。

 

明日には更に厳しい現実が待っている事を予想はしているものの、その辛さに心が折れない事を祈るのみだった。

 

そして、俺にとっての地獄とも言える一週間の幕開けでもあった。

 

 




名前:氷室結城(ひむろゆうき)
身長:178センチ、体重58キロ
痩せ型で少し鋭い目をしている。性格は意外と落ち着いた感じ。慶一の中学時代に慶一にケンカを売り、きれいに一撃で倒された。こうとやまとと慶一とのエピソードで出てきたその後ガラクタに突っ込んで盛大に自爆したあの人。
今は実力をつけ、地元の族、紅(くれない)のリーダー。
慶一の実力に心酔し、今は慶一を友として見ている。

成神章

身長170センチ体重60キロ
氷室と同じように痩せ型だが、勝気な釣り目をしている。ケンカの実力的には氷室にも劣るが、狡猾で人を扱うのが上手い。
慶一のもう一つの過去において牧村瞬一を挌闘家として再起不能に追い込む。
その後、切れた慶一にフルボッコにされるが、その時の事を恨みに思っているようだ。
現在は窃盗グループなどを使い、自分が活動する為の資金を集めさせていたりする。
同時に慶一に復讐する機会を狙っているようだ。

織部由美子

こなたと同じクラスに所属する、慶一の事を中学時代から知る人間の1人。
高校にあがるまでは慶一に対しては好意すらももっていなかったが、体育祭の時に活躍を見て慶一に惚れる。

身長152センチ、体重46キロ

セミロングの茶パツで少し釣り気味の目が気の強さを感じさせる。


今回は以上です。

今後も時折プロフィールは載せる場合がありますので、キャラのおおよそはプロフィール紹介にてご確認下さい。

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