らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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第8章 旋律達の新学期と熱闘体育祭編
旋律達の新学期~新たに始まる学校生活~


旋律達との夏休み最後の大勉強会をやってから3日が過ぎ、9月1日、俺達はいよいよ2学期を迎える事となった。

 

長い夏休みを経て、久々に行く学校でまた新たな騒動が待っているのだろうな、と思いながら俺はいつものように早起きをして朝食を済ませ、猫達に餌を与えて家を出る時間まで少しの間のんびりとしているのだった。

 

やがて、家を出る時間が来て俺は鞄を持ち玄関をでた時、新学期最初のサプライズを目にしたのだった。

 

「おはよう、慶一くん。時間は丁度よかったみたいね。それじゃ早速学校へ向かいましょ?」

「ふああ~、おはよう、けいちゃん・・・うーん・・・まだねむいよう・・・」

 

そこに立っていたのはかがみとつかさの2人だった。

 

俺はいきなり2人が立っていることに驚いて

 

「お、おはよう。かがみ、つかさ。けど何で2人がここに?」

 

かがみにそう訪ねると、かがみは少し照れた顔で

 

「慶一くんの家の場所は私の家からだと通り道のようなものだから、一度迎えに行って驚かそうと思ってね。」

 

いたずらっぽく微笑みながら言うかがみに俺も少し照れつつ

 

「ま、まあ、理由はわかったけど、一度電車を降りてからここへ来るのは面倒じゃなかったか?」

 

かがみにそう聞き返してみると、かがみはすぐ側に止めておいた自転車を指差して

 

「あれがあるから大丈夫なのよ。慶一くんも駅までは自転車を使う事あるんでしょ?」

 

かがみの乗ってきた自転車を見て俺は成る程と頷きながら

 

「そういや俺もたまに使ってたな。それじゃ今日は自転車使って行くとするか。準備してくるからかがみとつかさもすぐ出れるようにしといてくれよ?」

 

2人にそう伝えると2人とも頷いて

 

「わかったわ。つかさ、自分の自転車を持ってきなー?」

「・・・うん、わかったよ。おねえちゃん・・・」

 

そう言って自分の自転車をまだ眠そうな顔をしながらも取りにいくつかさを見つつ、俺も自分の自転車を出しにいった。

 

自転車を出してきて2人と合流する。

 

「お待たせ。さあ行こうか。」

「うん。それじゃいきましょ?つかさー、いくよー?」

「まって~、おねえちゃん、けいちゃん~」

 

そう言って、俺達3人は駅に向かって走り出す。

 

走りながら俺は、一つ疑問に思った事があったのでかがみに訪ねてみることにした。

 

「なあ、かがみ。いつも電車を使って家に来てたお前が自転車でよく家の場所分かったな?」

 

俺の質問にかがみは軽く笑いながら

 

「それは慶一くんの知らない時に一度、お使いを頼まれて自転車でこっちの方に来た事があったからよ。その時ついでに慶一くんの家の場所を覚えたの。」

 

かがみの答えを聞いて俺は頷きながら

 

「なるほどな。そういう事だったか・・・・・・おっと駅が見えてきた。かがみ、つかさ。俺が使ってる駐輪場に自転車を置いていけばいいよ。空いてる場所案内するからついて来て?」

 

そう2人に促すとかがみが「じゃあ、お願いね?」といいながらつかさを誘導して俺の後について来た。

 

俺は自分が使ってる場所に自分の自転車を止めた後かがみたちを駐輪場の空いてる場所へ連れて行き自転車を止めさせた。

 

「これでいいな。かがみ、時間は?」

「電車の時間はまだ余裕よ?つかさ、いくわよー?」

「・・・ふああ・・・は~い・・・おねえちゃん・・・」

 

かがみがつかさに声をかけるが、つかさはまだかなり眠そうだった。

 

俺はそんなつかさを苦笑交じりで見ながらも、2人を伴って駅のホームへと向かった。

 

「途中の駅でこなたと合流する予定だから私達はいつもこなたが乗ってくるこの場所に乗ればいいわ。」

 

駅で電車を待ちながらこなたとの合流の事を教えてくれるかがみに従って、俺もこなたが乗り込んでくる場所へとついていく。

 

やがて電車が到着して俺達は電車に乗り込んだ。

 

「28日は迷惑かけちゃったわね。」

 

ふいにかがみが俺に話を振ってきたので俺は軽く笑いながら

 

「結果的に皆で勉強できたんだし、宿題も間にあったのなら別にいいさ。」

 

そう答えると眠そうなつかさも俺に

 

「・・・あの時は本当にたすかったよ~。ありがとね?けいちゃん・・・ふああ・・・」

 

そうお礼を言って来るつかさに俺は、一応釘をさそうと思い

 

「今度はきちんと自分の力でやれるようにがんばらなきゃだめだぞ?つかさ。」

 

俺のその突っ込みにつかさは苦笑をうかべながら

 

「・・・あはは・・・がんばってみるよ・・・」

 

なんとも歯切れの悪い答えに俺もやれやれ、と心の中で思いつつ窓の外に目をやった。

 

しばらくしてこなたが乗ってくる駅へと到着し、こなたが電車に乗り込んできたので俺はこなたに朝の挨拶をした。

 

「こなた、おはよう・・・ってお前凄い顔してるな・・・髪もぼさぼさだし、一体何があった?」

 

俺の声に半ば朦朧とした意識でこなたは俺に挨拶を返した。

 

「・・・あー・・・慶一君、おはよう・・・うう・・・眠い・・・」

 

そのこなたの態度にかがみも呆れながら

 

「まったく、酷い顔ね、こなた。またゲームでもやりこんでたの?」

 

そうかがみが聞くと、想像よりも凄い答えが帰ってきた。

 

「いやー・・・かれこれ3日徹夜でゲームをさー・・・」

 

こなたの言葉に俺とかがみは大きなため息をついて

 

「お前な・・・少しは自重しろ。日常生活にまで支障をきたしてどうする気だ・・・」

「呆れて物も言えないわね・・・まったく、いつか体を壊すわよ?」

 

俺たちの忠告など聞こえてないかのようにふらつきながらこなたはつかさの元へと移動して

 

「・・・あー・・・おはよう・・・つかさ・・・眠いねえ・・・」

「・・・おはよう、こなちゃん。ほんとにね~・・・眠いね・・・」

 

その2人を見てかがみは拳を握り締めながら

 

「まったく、こいつらはだらしのない所ばっかり似やがってー!」

 

そう突っ込みを入れているかがみをとりあえずなだめる俺だった。

 

「とりあえず落ち着けかがみ。皆が見てるぞ?」

 

かがみにそう言うと、かがみは”はっ”と我に帰り顔を真っ赤にしていた。

 

いつもならここでこなたのからかいが始まる所なのだが、今日に限っては体調不良のほうが勝っているようで今のこなたにはかがみを弄ぶ余裕もないようだった。

 

そうこうしているうちに電車は粕日部へと到着したので、俺はこなたを、かがみはつかさを引っ張って電車から降りた。

 

「まったく、しっかりしろよな?こなた。」

「つかさ、あんたもしゃきっとする!」

 

俺達は2人に激を飛ばしつつ学校前まで行くバスに乗り込む。

 

「おはようございます。慶一さん、かがみさん、つかささん、泉さん」

 

そう声をかけてくる女生徒に振り返り俺とかがみは挨拶を返していた。

 

「おはよう、みゆき。このバスで会えるとは思ってなかったけどな。」

「みゆき、おはよ。そういえばあんたとこのバスで会うのもめったにない事よね?」

 

みゆきは微笑みながら

 

「うふふ。そうですね。私も驚いていた所です。そういえばつかささんと泉さん、なんだか体調が悪そうですが大丈夫なんでしょうか?」

 

心配そうなみゆきに俺達は軽いため息をつきながら

 

「あー・・・あいつらの事なら心配いらないよ。日ごろの不摂生が出ただけだ。」

「つかさはいつものとおり朝が弱いだけだから心配はないわ。」

 

俺たち2人の言葉にみゆきは苦笑しつつもほっとしていたようだった。

 

そんなやり取りをしてるうちにバスは学校前のバス停へと到着する。

 

俺達はいまだ体調が戻らないこなた達を引き連れ、バスを降りて昇降口へと向かうとその途中で

 

「あ、おはようございます先輩達。」

「おはよう、先輩達。今日から新学期ね。」

 

こうとやまとの2人に声をかけられたので俺達も2人に挨拶を返しながら歩く。

 

「おはよう、こう、やまと。2学期もよろしくな。」

「おはよう。八坂さん、永森さん。」

「おはようございます。八坂さん、永森さん。お2人はお元気そうですね。」

「・・・おはよー・・・八坂さん・・・永森さん・・・」

「・・・ふああ・・・おはよう・・・八坂さん・・・永森さん・・・」

 

俺たち以外の2人にこうとやまとは驚きながら

 

「泉先輩につかさ先輩、なんだか体調悪そうですねー」

「慶一先輩、かがみ先輩。大丈夫なの?この2人」

 

という2人の質問に俺とかがみは先程バスでみゆきにした説明を再度するのだった。

 

そうしてこなた、つかさ、みゆき、こう、やまと、とも別れ、自分達の教室にかがみと共に向かう俺だった。

 

教室につくと俺達の姿を見つけたあやのがこちらにやってきて

 

「おはよう。慶ちゃん、柊ちゃん。今日から新学期ね。」

 

そう声をかけてくるあやのに俺達も

 

「おはよう、あやの。今日からまたよろしくな、はいいがみさおはどうしたんだ?」

「おはよ、峰岸。そういえば日下部は挨拶にこなかったわね。」

 

挨拶を返しつつもみさおの事が気になった俺はあやのに聞いてみると、あやのはみさおの席を指差しながら

 

「みさちゃん、あんな状態なのよね・・・ずっと眠そうなのよ。」

 

苦笑しながら俺達にそう言うあやのに俺達もみさおの方を見て呆れたため息をつきながら

 

「まったく、こなたやつかさだけでなくみさおもか・・・」

「ほんといつも手を焼かせてくれるわよね。峰岸、あんたも少しは日下部に言ってやりなさいよ?」

 

俺達のその言葉にあやのは困った表情を俺達に向けるしかないようだった。

 

そうこうしているうちに予鈴が鳴り、教室に桜庭先生が入ってきた。

 

「みんなおはよう。早速だがこれから始業式があるから全員体育館へ集合するように。」

 

桜庭先生が皆にそう告げると、俺達も始業式のために体育館へと向かうのだった。

 

「さあ、体育館に行くか。かがみ、あやの、みさお。」

「そうね、慶一くん。いきましょ?」

「ほら、みさちゃんもしゃきっとしないと。」

「・・・ヴァー・・・わかったよー・・・」

 

俺達は頷きあいながら教室を出た。

 

こなたside

 

慶一君達と朝出会ってから教室に辿り着いてようやく私の意識も覚醒してきていた。

 

つかさは相変わらずまだ眠そうだったけど、とりあえず席について黒井先生が来るのを待っていた。

 

ところが、かなりぎりぎりの時間になってもやってこない黒井先生に私はどうしたんだろう?と心の中で考えていると、廊下の方で誰かがものすごい勢いで走ってくる音が聞こえた。

 

何事かと思っていると教室の扉が凄い勢いで開き、そこには髪の毛がぼさぼさでかなり息を切らせている黒井先生が立っていて

 

「みんなー、席つけー!」

(あぶな!よかった、ぎりぎりセーフや)

 

私達にそういいながら教室に入ってくる黒井先生に私も心の中で(アウトです。)と突っ込みを入れていた。

 

いまだ息切れ状態のままで壇上に立ち、私達に

 

「あー、これから新学期が始まるわけやけど、いつまでも休み気分でいないで心機一転がんばるように。」

 

そこまで言い切ると途端に黒井先生の顔が真っ青になり壇上に倒れこんだ。

 

そんな様子を見ていた生徒一同は(説得力ねえ!)と心の中で力いっぱい突っ込んでいたのであった。

 

とりあえずなんとか回復した黒井先生は私達を見回して

 

「これから始業式がはじまるから、みんな体育館に移動するようになー。」

 

という言葉と同時に私達は席を立ち、つかさとみゆきさんに体育館へ行こうと声をかけると2人は頷いて

 

「それじゃ体育館にいこっか。」

「うん。ゆきちゃん、いっしょにいこ~」

「そうですね。行きましょう。」

 

そう言って私達は体育館へと移動した。

 

慶一side

 

始業式もつつがなく終わり、教室に戻ってきた俺達は朝のHRを終えてその日の授業を行い、昼で授業は終了なので帰りのHRを終えた後こなたたちと合流するためかがみやみさお、あやのに声をかけて2年E組へと向かう事にした。

 

「かがみ、みさお、あやの。こなた達誘って昼にしようぜ?」

「そうね。いきましょ?」

「慶一、私達も一緒に行っていいのか?」

「1学期は誘われる事なかったからちょっと驚きかな。」

 

2人が少し遠慮がちに聞いてきたので俺は笑いながら

 

「何言ってる。1学期の頃とは違うだろ?今の俺達の関係ってやつはさ。遠慮する事はないさ。」

 

俺がそう言うと、かがみはうんうんと頷いていてみさおとあやのは凄く嬉しそうな顔を向けて

 

「ありがとなー、慶一。なんだか私らもやっとみんなの仲間になれた気がするぜ」

「嬉しいな。これからはみんなともお昼御飯食べれるのね?」

 

俺は2人に大きく頷きながら

 

「そういう事だ。こなた達も待ってるから行こう。」

 

そう促すと、3人とも頷きながら俺の後についてきてくれた。

 

教室を出ると今まさに俺達を迎えに来ようとしていたこなた達と会った。

 

「あ、慶一君。呼びに行こうと思ってたんだよ。丁度良かった。」

 

そんなこなたの後ろでにこにこしながら俺達を見ているみゆきとつかさ。

 

「俺達もこなた達を呼びに行くつもりだったんだが、丁度いいからこのままみんなで昼飯にしよう。とりあえず学食へ向かおうか。」

 

俺がそう促すと、皆も頷いてくれたので、俺はみんなを引き連れて学食へと向かった。

 

その途中でこうとやまとにも出会い、2人にも声をかけると2人とも一緒についてきたのだった。

 

学食に来たとはいっても大体の人が弁当持参だったので、俺達はすぐさま場所取りをしてそこに腰を落ち着けてさっそくお昼御飯とあいなった。

 

皆で楽しく雑談をしながらお昼を終えた後、こうに声をかけられた。

 

「先輩。一応仮部長ですので、部活再開のために一言挨拶をしていってもらえませんか?」

 

アニ研の仮部長だということをこうに言われるまでさくっと忘れていた俺は、こうの言葉でその事を思い出したので

 

「あ、そういや俺はそう言う立場だったな。わかった、部室には顔を出していくよ。」

 

そうこうに告げた後皆に

 

「とりあえず部長としての義理を果たしにいってくるよ。みんなは用事とかあるなら先に帰ってもらっててもいいぞ?」

 

そう告げるとこなたは

 

「そっかー。それじゃ私はゲマズに用事があるから先にいくね?かがみ達も一緒に行く?」

 

かがみ達に話を振るとかがみ達は

 

「私は今日はいいわ。また今度付き合うからさ。」

「わたしも今日はけいちゃんを待ってるよ。こなちゃん、ごめんね~?」

「私は委員会がありますのでお先に失礼しますね。」

「ちびっ子ー、私も一緒に行ってみてもいいか?少し興味あるからさ。」

「みさちゃんが行くのなら私も行ってみようかな?泉ちゃん、いいかな?」

 

みさおとあやのの申し出にこなたは少し驚いていたようだったが

 

「いいよー?みさきちに峰岸さん、一緒にいこー。」

「おう、それじゃ行くかー。慶一、柊、高良、それじゃなー。」

「先にいくわね?柊ちゃん、高良ちゃん、慶ちゃんまた明日。」

 

そう言って帰ろうとする3人に俺は

 

「気をつけてな。また学校でなー。」

 

そう声をかけるとみゆきも俺達にお辞儀をしながら

 

「それでは慶一さん、かがみさん、つかささん。私もお先にです。」

 

そう声をかけて委員会へと向かうみゆきを見送って、俺はこうたちと共にアニ研の部室へと向かった。

 

やがて部室前に到着し、こうが部室に入ったのを見届けて俺もノックをして部室へと入っていく。

 

「失礼します。みんな揃ってるみたいだな。」

 

俺がそう声をかけると顧問の桜庭先生が俺に

 

「森村、珍しいな。お前が部室に顔を見せるなんて。」

 

少し驚きながらそう言ってくる桜場先生に俺は

 

「一応仮部長ですしね。っていうか先生、俺の役職忘れないで下さいよ。」

 

そう軽く抗議すると桜庭先生は「すまんすまん、忘れていた。」と言って俺をがっくりとさせていた。

 

そんなやり取りを見ていたこうは部室のメンバーに

 

「今日から新学期が始まるからうちの仮部長に挨拶をしてもらう。みんな心して聞くように。それでは先輩、こちらにどうぞ。」

 

そう告げた後俺を机の壇上へと誘導してくれたので、俺はそれに従って定位置につくと

 

「みんな。これからまた新しい学期が始まった。こういう事ばかりでなく、勉強や運動なんかもやったりするだろうから活動の時間も限られてきてしまうかもしれないが、できる限りの範囲で頑張って欲しい。くれぐれも無理をして体を壊す等しないようにな。俺からは以上だ。」

 

そう言うとみんなからの拍手が起きた。

 

俺は拍手を受けながら壇上を降りるとこうに

 

「こんな感じでいいのか?」

 

そう聞くとこうも頷いて

 

「ええ。問題なしですありがとうございました。」

 

こうの返事に俺も頷いてこうに

 

「それならよかった。俺はそろそろ帰るけど部員達の事任せたぞ?こう。」

 

そう、こうに告げるとこうも頷きながら

 

「任せてください。先輩お疲れ様でした。」

 

こうのその言葉を聞いた後俺はやまとに

 

「それじゃこうの事は任せるぞ。何かあったら連絡してこい。俺で出来る事なら手助けに行く。」

 

俺の言葉にやまとも頷いて

 

「わかったわ。まあ、先輩の手を煩わせる事はないと思うけどね。よっぽどのことでなければ、ね。」

 

やまとの返事を聞いて俺は頷きながら最後に桜庭先生の所に行き

 

「先生。それじゃこの後もよろしくお願いします。俺は先に帰りますから。」

 

先生にそう告げると先生も俺に

 

「わかった。わざわざご苦労だったな。くれぐれも事故等にはあわないように気をつけて帰れよ?」

 

という先生の言葉に頷きながら俺は部室を後にした。

 

昇降口まで戻って来ると、そこには俺を待っているかがみとつかさがいた。

 

2人は俺を見つけると

 

「あ、おかえり慶一くん。待ってたわよ?」

「けいちゃんおかえりー。」

 

そう声をかけて来てくれたので俺も

 

「ただいま。かがみ、つかさ。待たせちゃったか?」

 

そう訪ねると2人は首を左右に振って

 

「このくらいは大した事ないわ。とりあえず用事が済んだのなら帰りましょ?」

「おねえちゃんと色々話していたから平気だったよ?それじゃいこうよ。」

 

そう否定しつつ言う2人に俺も「それじゃ行くとするか。」と言って2人を伴って学校を出る。

 

駅に着いた時、俺は待たせていたお詫びも兼ねてジュースを買ってきて2人に渡した。

 

「ほら、これ。待たせたお詫びさ。」

「え?別に大した事じゃないんだから気を使ってくれなくてもいいのに。」

「いいの?けいちゃん。」

 

2人はそう言いながらジュースを受け取るのを渋っていたが、もう一度俺が2人に受け取って欲しいと促すと2人はにっこりと笑いながら受け取ってくれた。

 

俺達は電車に乗り込み、俺達の降りる駅につくまでたわいのない雑談で盛り上がっていた。

 

「そういえば猫は元気にしてる?」

「ああ。あれから大分大きくなってきたぞ?」

「ヘえ~。また遊んであげたいな。」

「いつでも来ればいいさ。あいつらも喜ぶだろ。」

「いいの?けいちゃん。」

「かまわないさ。それとあの時取った金魚は元気か?」

「うん。ちゃんと毎日世話してるわ。」

「あの時より育ったかもね?おねえちゃん。」

「うーん・・・育ったといえば育ったかもしれないけど・・・」

「あはは・・・」

「なんか気になる笑いだな?何かあったか?」

「いや、まあ、その・・・ただあの時より3倍くらいに大きくなっただけで・・・」

「さ、3倍?一体どうやったらそんなに・・・」

「あはは、まあとりあえず今度私達の金魚も見に来てよ。」

「大事に育ててるって事は確かだから安心して~?けいちゃん。」

「はは。それじゃ今度またお邪魔するかな。」

 

そんな話をしているうちに俺達の降りる駅に近づいてきた。

 

電車を降りて自転車置き場に自転車を取りに行き乗りながら俺は2人に

 

「どうする?2人とも。家によって行くか?」

 

そう声をかけると、2人とも考える仕草をしていたが何か思い出したみたいで俺に

 

「ごめん慶一くん。お母さんに買い物頼まれてたから行かないといけないからさ、私達はこれで行くね。慶一くん、たまにこうして一緒に行ったりしてもいいかな?」

「朝の事はあまり覚えてないんだけど、わたしもまたこうして一緒に行きたいな。だめ、かな?」

 

自分達の用事の事と今朝の事を俺に言って来る2人に俺は

 

「そうか。それじゃ今日はこれで、だな。それと、かがみたちがそうしたいなら無理のない範囲でならかまわないぞ?それじゃ気をつけてな。2人とも。」

 

2人にそう伝えると2人ともにっこり笑って

 

「あ、ありがと。それじゃ私達いくね?また学校でね、慶一くん。」

「けいちゃん、ばいばい~。また明日ねー。」

 

そう言って2人が去っていくのを見送った後、俺は一人自転車を走らせて家に向かいながら、たまにはこういうのも悪くないな、と思うのだった。

 

今日から新学期も始まり、旋律達との新たな学校生活が始まった。これからどんな事が待ち構えているのか見当もつかなかったが、それでもこれからの日々を楽しみにする俺だった。

 


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