らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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旋律達の夏休み4~慶一の誕生日~

コ○ケから数日後の朝、俺は夢の中を彷徨っていたのだが、俺を揺り起こす声で意識を覚醒させる事になった。

 

「・・・・・・君~。起きてよー?朝だよー?」

 

その声に反応して目覚めてみると、そこにいたのはこなただった。

 

「・・・ん?・・・ふぁ~あ、おはようこなた。というか、ちゃんと俺が起きる時間より早めに来れたんだな?」

 

こなたにそう言うと、こなたは得意げに

 

「ふふん。私だってやればできるのだよ。少しは見直したかな?慶一君。」

 

そんなこなたに俺は苦笑交じりに

 

「ははは。普段もそうだったらもっと見直すところだけどな。それより悪いな、朝食をわざわざ作りに来てくれてさ。」

 

こなたは俺が言った最初の部分に少しほおを膨らませながら

 

「むう、余計なお世話だよ。後、朝食の件については私がやるって言ったからね。言った以上はその義理は果たすよー?」

 

そう言うこなたに俺は、こなたの頭を軽くぽんと叩きながら

 

「ありがとな、こなた。とりあえず着替えてくるから先にキッチンに行っていてくれ。」

 

そう促すとこなたはいたずらっぽい顔をしながら

 

「着替えるの手伝ってあげよっか?」

 

とか言って来たので俺は慌てながら

 

「いらん!ったく、変な事言ってないでキッチン行ってろよな」

 

こなたにそう促すと、こなたは不満げな顔をしつつも「ちぇー、わかったよー。早く来てよね。」と言いながら部屋を出て行った。

 

何故こなたが俺の家に来て俺を起こし、朝御飯まで作ってくれているのか、その理由は数日前の柊家訪問後、俺自身が以前から感じていた奇妙な感覚の正体に気付き、俺が”あることを”実行に移したからだった。

 

こなた達と出会い、みんながこの家を出入りするようになって俺は、この家に帰ると常に一人きりだった事を意識するようになっていたらしい。

 

だが、柊家にお邪魔するまではその感覚は漠然としたものであって、はっきりと認識できていたわけではなかった。

 

柊家において家族や姉妹に触れ、俺はその時味わった楽しい時間の余韻を残したままかがみたちと別れた時に、そして自分の家には自分を迎えてくれる者は猫だけしかいない、そこに人がいないのだということにはっきりと気付いてしまったのだ。

 

俺は一人でいる事は実の両親もいない、そして、実家にいるのでもない訳だからそれが当然の事だと今まで意識すらしていなかった。

 

だが、今回の旅行において俺はみんなとの絆を確かめあい、みんなとの距離がさらに縮まった事で一人という事を意識した時これほどに自分が寂しさに脆い人間なのだという事を思い知った。

 

そんな俺が柊家を訪れた日以降に取った行動は、こなた達に自分の家の合鍵を渡し、この家を好きなように使ってもらおう、というものだった。

 

そうする事で、常に誰かしらが俺の家にいる状況を作りたかったと言うのが本当の本音だった。

 

こうする事で俺は、自分が寂しさに弱い人間だという事をこなた達に知られ、からかわれたり笑われたりもしたが、その程度の事を受け入れる事で孤独を減らせるのなら、それがかなうのならそんな事は俺にとって些細な事だと切り捨てた。

 

その後はこなた達も今回のように好きなように家に遊びに来てくれるようになった。

 

俺は着替えをしながら柊家に訪れてからの事を思い出していたが、ふいに俺の携帯が着信を告げたので携帯のディスプレイを見て相手を確認すると、こうからの電話だったのでとりあえず電話に出た。

 

「もしもし?こうか?こんな早くから何か用か?」

「おはようございます先輩。先輩、今日は何か予定はありますか?」

 

こうの言葉にとりあえず今日の予定について頭を巡らせてみたがなにもなさそうだったので

 

「今日は特にこれといった用事はないな。」

「それなら今日は私とやまとと3人でちょっと出かけませんか?」

「別に構わないが何時に待ち合わせなんだ?」

「じゃあ、10時頃に多宮駅構内でどうですか?」

「わかった。それじゃその時間までに向かうよ。」

「それじゃ待ってますね?それではー」

「ああ、後でな。」

 

こうとの電話を終えると俺はキッチンへと降りていった。

 

キッチンに顔を出すと俺を待っていたこなたが

 

「あ、慶一君、遅かったね。着替え手間取ったの?」

 

と言うこなたに俺は首をふって

 

「いや、降りようとしたときに電話が来てな。ちょっと話し込んでたんだ。」

 

俺の答えにこなたがかすかに口元を緩ませたような気がしたが、気のせいだろうと思い特に追求はしなかった。

 

「そっかー。とりあえず食べちゃってよ。片付けたらすぐ帰るからさ。」

 

と言うこなたに俺も頷きを返しつつ

 

「ああ。とりあえずいただくよ。それじゃいただきまーす。」

 

そう言って朝食を食べ始めた俺達だった。

 

やがて朝食を食べ終えて俺は部屋に戻り出かける準備を始めた。

 

こなたは洗い物を終えると俺に「これで帰るねー、また暇な時には来るよー。」と言って帰っていった。

 

こなたside

 

慶一君に朝食を作り慶一君が出かける事を確認して私は家を出た。

 

家を出てしばらくして私はおもむろに携帯を取り出すと八坂さんの所へと電話をかけた。

 

数回のコールの後八坂さんが電話にでた。

 

「もしもし、八坂さん?私だよ。上手くやってくれたみたいだね。」

「あ、泉先輩。はい、こちらはばっちりです。そちらの準備はよろしくお願いしますね。」

「まかせたまへー。これからすぐに皆を招集するから、準備できるまで慶一君と時間稼ぎよろしくね。」

「了解です。では後ほどー。」

「うん。後でねー。」

 

と言って電話を終えて、次はかがみ達に連絡を入れるために登録番号を呼び出してかがみに連絡を入れる。

 

かがみはすぐに電話に出てくれたので私は用件を伝えるのだった。

 

「もしもし、かがみ?私だよ。予定通りに慶一君を連れ出してもらったからこっちは準備ができるよ。他の人に連絡しつつつかさと一緒にこっちに来てねー。」

「わかったわ、こなた。それじゃ予定通りにね。」

「おけー。それじゃ後ほどー。」

 

と言って電話を終えると、今日の日の事を考えながら事の顛末を思い出していた私だった。

 

さかのぼる事3日前・・・・・・

 

私はかがみの家で宿題をすべく、みゆきさん達も呼んで勉強会を開いていた。

 

勉強をしながら私は、もうすぐ慶一君の誕生日だなあとカレンダーを見ながらそんな事を考えていたのだが、ふいにこれは面白そうなイベントになるかもと思い、かがみたちに相談を持ちかけるために誕生日の事を話題に出した。

 

「かがみ、かがみ。もうすぐ20日になるけどさ。その日って慶一君の誕生日なんだよね。」

「え?あ、そういえば8月20日だったわね。けど、それがどうかしたの?」

「うん、私達さ慶一君に誕生日にお世話になったじゃない?だからさ、そのお返しに私達も慶一君の為に心に残る誕生日会でも開いてあげようかなって思ってさー。」

 

そう言う私の言葉につかさは誕生日にもらったプレゼントの事を思い出したのだろう。

 

「そういえばあの時もらったプレゼントはうれしかったな~」

 

ニコニコと笑いながら首にかかっている月のペンダントを触りつつ言うつかさにかがみも同じように自分の首にかかる太陽のペンダントを触りながら

 

「そうね。私もこれは嬉しかったな。慶一くん日付変わる前に間にあうように家に来てこれを渡してくれたんだっけ・・・。」

 

かがみもその時の事を思い出してか少し顔を赤くしつつも嬉しそうにしていた。

 

なんだか少し面白くなくなった私は自分の腕に光るブレスレットを触りながら

 

「私だってこれ慶一君からもらったんだもんね。」

 

と呟くと、みさきちも同じように首にかかっている星のペンダントを触って

 

「これだってあいつがくれたもんだもんな。私もそれなりには嬉しかったんだゼ?」

 

それぞれにプレゼントをもらった時の事を思い出していたが、私は話がそれた事に気付いて慌てて

 

「っと、そうじゃなかった。誕生日会の事だよ。みんなはどうかな?」

「私は賛成よ。旅行の事でもお世話になっているんだからささやかでも何かお返ししたいしね。」

「わたしも~。けいちゃんの為になにかしてあげたいな~。」

「私もです。旅行の件や勉強会においてもかなりお世話になっていますし、何かお返しができればと思います。」

「私も賛成。慶ちゃんに喜んでもらおうよ。」

「賛成だー。こいつのお礼もしたいしなー。それに騒げるならなおいいしな。」

 

皆賛成してくれたようなので私は誕生日をどう演出しようかと考えていたがやがていい事を思いついたので皆に

 

「皆、ちょっと思いついたんだけどさ・・・・・・というのはどうかなあ?」

「いいんじゃない?」

「ならお料理は私ががんばるよ」

「私も飾りつけ等を頑張ります。」

「私もプレゼントとか用意しておかないとね」

「私はクラッカーとかも用意するかなー?」

 

等と当日の計画を決めて私は最後に

 

「ならそれで決まりって事で、当日は八坂さん達にも協力してもらわないとね。後はゆーちゃん達も呼ぼうかな?」

 

と言う私にかがみも頷きながら

 

「いいんじゃない?それじゃあんたは八坂さん達と打ち合わせておきなさいよ。もろもろの準備は私達でやるからさ。」

 

かがみの言葉に私も頷いて

 

「わかったよ。それじゃそういう事で、当日は驚かせてあげようかね」

 

私の言葉に皆も全員で頷きあい

 

「「「「「了解ー」」」」」

 

と言って計画の実行の為に八坂さんに連絡を取る私だった。

 

・・・・・・そして現在、そんな事を思い出しながら誕生日会のプランに思いを馳せているとかがみたちが丁度やってきた所だった。

 

「こなた、お待たせ。それじゃ早めに準備始めちゃいましょ?」

「了解、かがみ、みんな。それじゃすぐに行こうー」

「「「「「「「「おー!」」」」」」」」

 

と気合を入れつつ私達は準備を済ませる為に再び慶一君の家に行くのだった。

 

慶一side

 

自分の自宅でそんな事が画策されているとは露知らず、俺はこうとやまととの待ち合わせの為多宮駅に向かった。

 

待ち合わせの時間を確認して時間にまだ余裕があることを確かめると、俺は待ち合わせ場所でこう達を待つべく指定の場所でただずんでいようとしていたのだが、そこにはすでにこうとやまとの2人が待っていたのだった。

 

「あ、先輩こっちですー。」

「待っていたわ、先輩。」

 

そう俺に声をかけてくるこうとやまとを見て俺は、やまとはともかく、こうが俺達の待ち合わせにおいて俺よりも早く待ち合わせ場所にいる事に驚いて

 

「・・・・・・こう、今俺は奇跡でもみているのか?」

 

そう聞くと、こうは頬を膨らましながら俺に

 

「先輩、たまに時間どおりに来れたからってそれはないんじゃないですか?私だってこういう時くらいは・・・ってなんでもないないです・・・」

『っ!馬鹿、こうそれは黙ってなさいよ!』

 

こうは俺に抗議しつつも何かを言おうとしたらしいのだが、言いそうなったのを慌てたやまとに止められていたような感じだったが、また変な事でも言いかけたんだろうという解釈をして俺はその事に関しては追及はしなかった。

 

「まあ、それはともかく俺を呼び出したんだからどこか行く所があるんだろ?」

 

2人に向かってそう言うと、2人も頷きながら

 

「そうなんですよ、実はちょっと買い物があるので先輩にも手をお借りしたいなと思いまして。」

 

「私はこうの付き添いも兼ねてなのだけど付き合ってもらってもいいかしら?先輩。」

 

そう言う2人の言葉に俺は頷きながら

 

「わかった。それじゃ案内頼むよ。俺はあまり詳しいわけじゃないから2人について行くからさ。」

 

俺の言葉に2人は頷いて歩き出したので、俺はそれについて行くのだった。

 

2人が向かった先は駅前の大きなデパートだった。

 

「ヘえ?中々大きな所だな。」

 

デパートを見上げて俺は感想を呟いていたがそれを聞いていたやまとは

 

「これくらいの大きい所は結構あるものよ?でもこれくらい大きければ色々な物が探せて便利よね。」

 

やまとの言葉にこうが苦笑しつつ

 

「大きいのはいいけど大きすぎても逆に探しにくくなる時ってない?」

 

そう返すと、やまとは軽いため息を一つつきながら

 

「まあ、その辺は否定しないわよ。けど一言言わせてもらえばそのあたりはこうの探し方に問題があるんじゃないの?」

 

やまとの指摘にこうは「うぐ・・・」と一声うめくとやまとの言った事を否定できずにいた。

 

俺はそんな2人のやり取りを苦笑交じりで見ていたが、そのうち2人が動き出したので俺も2人を追いかけたのだった。

 

2人は洋服やアクセサリー等のお店を中心に見回っていたようだった。

 

そんな中で俺も、いくつか立ち寄った場所に興味を引かれる物があったりもして時折立ち止まってはそれに見入ったりもしていた。

 

その時俺が見ているものをこうたちがさり気なく見ていた事には気付かずにいたのだが・・・・・・。

 

いくつか見回っていた中でこうたちはそれぞれの買い物をしたようだった。

 

少ししてとりあえず休憩でもしようかということになり、俺達は手近なデパートの中にある飲食店で休憩を取る事になった。

 

休憩をしながらたわいのない雑談をしているときこうが

 

「すいません先輩、ちょっとお手洗いに行ってきますね。」

 

と言ってお手洗いへ行く為にその場を立ったのを俺とやまとは見送ってまた雑談をしていた。

 

しばらくしてこうが戻ってきたが、それを見計らったように今度はやまとがお手洗いに行くと言ってこの場を立った。

 

当然ながらその行動に違和感など感じていなかったので、俺はその行動を気にも止めていなかったが。

 

しばらくしてやまとも帰って来たのでそろそろ出ようかって事になり、俺達はデパートを後にした。

 

戻る途中でこうがどこかへ電話をしていたの見たが、おそらく知り合いにでもかけているのだろうと思い特に気にはしなかった。

 

こうside

 

先輩と買い物を済ませて私は大分いい時間になったので泉先輩に連絡を取って状況の確認とともに先輩と一緒に家に向かうために携帯を取り出し、泉先輩へ電話をした。

 

何回かのコールの後、泉先輩が電話に出たので私は確認を取ってみる事にした。

 

「もしもし?泉先輩ですか?そちらの準備はどうですか?」

「あ、八坂さん。時間を稼いでくれたおかげでこっちはばっちりだよ。そろそろ帰ってきてもいいよ?」

「了解です。それじゃそちらで。」

「うん。気をつけて戻って来てね。」

 

と言う短いやり取りを終えて電話を切ると私は先輩に

 

「先輩。とりあえずこれからなんですが、そのまま帰るのもなんなので先輩の家に行ってもいいですか?」

 

と聞くのだった。

 

慶一side

 

こうからどこかへと電話したらしいのを見た後、家に寄りたいと言って来たので俺は

 

「お前が忙しくないというのなら別に構わないぞ?」

 

そう返事をするとこうとやまとは

 

「ならお邪魔させてもらいますね。」

「私も付き合わせてもらうわよ?とりあえずいきましょう?」

 

と言う2人の言葉に俺は頷きで返して俺達は家へと帰っていった。

 

そこに何が待っているのかも知らぬままに。

 

3人で雑談を交わしつつ家の前まで来るとなにやら家に人の気配のような物を感じた俺だった。

 

(ん?だれかいるっぽいな・・・こなたは朝には帰ってるし、かがみか誰かでも来てるかな?)

 

そう感じつつも玄関の扉を開いた時いきなり俺に向かってクラッカーが鳴らされた。

 

こなたside

 

慶一君が帰ってくる少し前に私達は、こっそり飛ばしてくれた八坂さんのメールを受けて慶一君が家に辿り着き玄関を開けるタイミングでクラッカーを鳴らそうと皆で玄関の扉の前で待機していた。

 

「もうすぐだね。ちょっとわくわくしてきたよ。」

「慶一くんきっと驚くわよね。」

「よろこんでほしいな~。準備がんばったもんね。」

「きっと喜んでくれますよ。慶一さんですから。」

「うふふ。慶ちゃんの驚く顔が見ものね。」

「皆が来てるなんて事しらねーだろうからなー。」

「旅行の時のお礼が少しでもできるといいな。」

「・・・先輩に何か・・・お返ししたいなと思ってましたから・・・いいチャンスです。」

「私もいい機会をもらった気分っス」

 

皆で頷きあっていると玄関の前に人の気配が近づいてくるのを感じた私は皆に

 

「3.2.1のタイミングで行くよ?みんな準備いい?」

 

とそう言うと皆は頷きながらクラッカーを構えた。

 

「3~2~1~、それー!!」

 

と同時に玄関が開き、私達は玄関の前に立つ人にクラッカーを一斉に発射したのだった。

 

慶一side

 

いきなりの事に驚いてしばらくは何が起きたのかわからない状態で俺はその場にただずんでいたが、よく見るとみんなが揃って俺の家の玄関に立っていることに気付いた俺はみんなに

 

「・・・・・・すまん。これは一体何のドッキリなんだ?みんな集まってさ。」

 

まだ混乱した頭でとりあえず現状の説明を求める俺にこなたは

 

「あれ?今日は何の日か慶一君忘れちゃったんじゃないよねえ?」

 

と言うこなたに俺は、今日の事をいろいろ考えてみたが未だ掴みきれていない俺は

 

「すまん、何の日だっけか・・・」

 

そう答えるとこなたは俺を呆れたような目で見ながら

 

「はあ・・・まったく自分の誕生日の事忘れちゃったの?自分の事に関しては慶一君て無頓着な方なのかな?」

 

と言うこなたの言葉に俺はその事を思い出して

 

「あ、そういえばそうだっけか・・・最近祝ってくれる人もいなかったからすっかり忘れてたな・・・」

 

俺のその答えにこなた達は少し寂しげな表情になりつつも

 

「そっか・・・慶一君私達を会う前は友人もあまりいないっていってたよね・・・でも、今日はそんな事はないよ?私達が君の誕生日を祝ってあげるんだからさ。だから今日の誕生日は楽しんでよね。」

 

と言うこなたの言葉を聞きながら俺はものすごく嬉しい気持ちになっていた。

 

そして玄関に突っ立ったままの俺にこなたは俺の手を引きながら

 

「まま、それはともかく上がりなよ。今日のために皆で準備したんだからさ。慶一君を驚かせてあげたかったからね。」

 

と言いながら俺の手を引くこなたに連れられてリビングに向かう俺だった。

 

リビングにつくと部屋には飾り付けがしてあり、ケーキや料理が並べてあった。

 

そしてそこには俺の見知った仲間達が俺を笑顔で迎えてくれたのだった。

 

「慶一くん、お誕生日おめでとう。これ私からのプレゼントよ?受け取ってくれると嬉しいな。」

「けいちゃんお誕生日おめでとう~これは私からだよ?役に立つと思うから使ってね?」

「慶一さんお誕生日おめでとうございます。これは私からささやかではありますがプレゼントです。」

「慶ちゃんお誕生日おめでとう。これは私からよ?」

「慶一、誕生日おめでとう。あやのと一緒に選んだ物だけどさ受け取ってくれな。」

「慶一先輩お誕生日おめでとうございます。以前からお世話になりっぱなしでしたからこれはほんの気持ちです。」

「・・・先輩、お誕生日おめでとうございます・・・これはゆたかと一緒に選んだ物です・・・」

「先輩、おめでとうございます。これは私からっス。先輩の似顔絵を書いてみました。」

 

そして後ろにいたこうとやまとも

 

「先輩、お誕生日おめでとうございます。これはさっきのデパートで先輩が興味を持った物を買ってみたんですよ。受け取ってください。」

「先輩、誕生日おめでとう。これは私から。いつもお世話になってる先輩にお礼もかねて買った物よ?」

 

俺はみんなからのプレゼントを受け取りながら半ば呆然としながらこの状況を見ていた。

 

自分自身が忘れていた誕生日、それを皆が祝ってくれる。

 

その状況があまりにも夢みたいで、今こうなっている事が信じられなくて俺はただただみんなの笑顔をみながらこれが夢ならば覚めないでくれと心の中で考えていた。

 

未だ呆然としている俺の手を引きこなたは俺をケーキの前に座らせて

 

「さあ、慶一くん。ケーキに立てた蝋燭を吹き消してよ。」

 

そう促すこなたに俺はまだ呆然とした頭で頷きながらも蝋燭の炎を吹き消したその瞬間皆からの歓声があがった。

 

「おめでとう。慶一君。」

「おめでとう。慶一くん。」

「けいちゃんおめでとう~」

「慶一さん、おめでとうございます。」

「おめでとう。慶ちゃん。」

「慶一、おめでとう。」

「慶一先輩。おめでとうございます。」

「・・・先輩・・・おめでとう・・・」

「先輩。おめでとうっス」

「よかったですね。先輩」

「先輩、おめでとう。」

 

と言う皆の言葉を聞きながら俺は涙が頬を伝うのを感じながら

 

「みんな、ありがとう。俺自身が自分の誕生日を忘れていたってのに・・・凄く嬉しいよ。プレゼントもありがとうな。絶対に大事にするから。」

 

そう皆に告げると、皆は俺の言葉ににっこりと笑って頷いてくれたのだった。

 

その後はつかさの作った料理に舌鼓を打ったり、ケーキを食べたりみんなでゲームしたりとかしながら次の日の朝日が昇るまで俺達は楽しんでいたのだった。

 

皆が帰って行くのを見送りながら俺は、今回の誕生日の事をずっと忘れないと心に誓いながらまた一つ思い出を心に刻み付けるのだった。

 


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