らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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旋律達の夏休み3〜コミケへ行こう前編〜

ここは有明ビック○イト。

 

俺とかがみの2人はこなたに連れられ、駐車場広場の一般入場ゲートで見渡す限りの行列を眺めながらかがみとともに大きなため息をついていた。

 

「それじゃ、作戦を説明するよ?・・・・・・」

 

こなたが気合の入った表情で俺達に作戦説明を始めるのを聞きながら俺は(・・・結局こうなる運命か・・・)と心の中で考えつつ事のいきさつを思い出していた。

 

それはさかのぼる事3日前・・・・・・

 

俺はいつものように早起きをし、猫達に餌をやって適当に作った朝食で朝の空腹を満たそうとしていた時、こなたからふいに一本の電話が入った。

 

とりあえず朝食を中断し、電話に出る俺。

 

俺とこなたは軽いやりとりを始める。

 

「もしもし、こなたか?どうした、こんな朝早くから。」

「あ、おはよー慶一くん。ちょっと聞きたいんだけど今日は暇してる?」

 

自分の今日の予定を頭に思い浮かべ何もない事を確認した俺は

 

「特に予定は入ってないな。何か用事でもあるのか?」

「うん。ちょっと相談したい事があってね。お昼頃慶一君の家にいってもいいかな?」

「相談したい事?俺にできる事か?」

「うん。まあ、その辺は慶一君の家に行ってからと言う事で。」

「なんだかよくわからんがとりあえず来るの待ってるよ。じゃあまた昼頃にな。」

「うん。それじゃねー。」

 

こなたとの電話のやり取りを終え、俺は頭にハテナマークを飛ばしていたが、とりあえず中断していた朝食の続きを取ってリビングを軽く掃除しておく事にしたのだった。

 

PM12:30になり、玄関の呼び鈴が鳴ったので玄関に出てみると、そこにはかがみがいた。

 

「おーす、慶一くん。こなたに慶一くんの所に行っておいて欲しいと言われて来たんだけどさ。」

 

と声をかけてくるかがみに俺は頭にハテナマークを飛ばしつつ

 

「こなたがかがみも呼んだのか?今朝の電話の件だろうけど一体なんなんだろう?」

 

と言う俺の言葉にかがみも不思議そうな顔で

 

「今朝の電話?こなたからあったの?」

 

そう言ってきたが、俺はとりあえずかがみを中に入れようと思ったので

 

「ああ。まあ、その話は中でしよう。とりあえず上がってくれ。」

 

そうかがみに促すと、かがみは「お邪魔しまーす」と言って上がって来たので、俺はリビングに案内して

 

「適当に座っててくれ。今麦茶出すからさ。」

 

そう促すとかがみは適当な場所に座った。

 

俺は麦茶を入れてかがみの待つリビングに戻り、かがみの前に麦茶を置いて俺も適当に腰を降ろした。

 

「ほい、かがみ、麦茶だ。さっきのこなたからの電話の件なんだが、何でも俺に相談があるとの事だ。」

 

と言う俺の言葉にかがみは首を傾げつつ

 

「相談?あの子がねえ・・・またろくでもないことじゃないかしらね?」

 

苦笑交じりに俺にそう言うかがみに

 

「まあ、なんにしてもこなたが来たらわかるだろ。それまでは少し待ってみるしかないな。」

 

そう言うと、俺の言葉にかがみも頷いて

 

「そうね。とりあえず私はラノベでも読みながら時間を潰す事にするわ。」

 

と言いながらラノベを取り出すかがみに俺は

 

「かがみ、他に持ってるものあったら貸してくれないか?俺も自分の持ってるものは読み尽くしちゃったからな。」

 

と言う俺の言葉にかがみは満面の笑みを見せつつ、鞄からかがみが今読んでる以外のラノベを取り出し俺に貸してくれた。

 

「これなんかもお勧めよ?とりあえず読んでみて?」

「ああ。早速読ませてもらうよ。それじゃ借りるな?かがみ。」

 

かがみからラノベを受け取った俺はかがみの隣で本を読み始める。

 

それから読みふける事1時間、ようやくこなたがやってきたらしく家の呼び鈴を鳴らす音が聞こえたので俺はこなたを迎えに玄関へと行く前にかがみに

 

「かがみ、こなたが来たみたいだ。迎えに行ってくるよ。」

 

そう言うと、かがみは腕組みをしつつ少し不機嫌そうな表情で

 

「ようやくか、相変わらず時間にルーズよね。とにかくいってらっしゃい。」

 

そう言うかがみに俺は頷きつつ、玄関へと向かうのだった。

 

「今開けるよ、ちょっとまってろ。」

 

外にいるであろうこなたにそう言って玄関を開くと、いつもの細い目をしながらこなたが

 

「いやーおくれちゃった。ごめんね慶一君。」

 

まるで反省の色などないかのような物言いのこなたに軽いため息一つつきながら

 

「かがみも待ってるぞ?とりあえず上がれよ。」

 

そう言って家へとあがる事を促すと、こなたは「お邪魔しまーす」といって上がって来た。

 

こなたを伴いリビングに向かいながら

 

「リビング着いたら適当に座ってな。麦茶用意するから。」

 

そう言うとこなたは俺に頷きながら

 

「了解ー、とりあえずそれが来たら今朝の相談の件を話そうか。」

 

と言うこなたに俺も頷きで返して途中でキッチンへと向かう。

 

こなたside

 

慶一君と途中で別れ私はかがみの待つリビングへと向かった。

 

リビングに到着するとかがみはラノベを読んでいるようだったが、私に気付くと

 

「こなた、遅かったじゃない。自分から約束したんだからもっと早く来なさいよね?」

「いやーごめんごめん、ちょっと準備とかに色々手間取っちゃってさ。」

「まったく、慶一くんも呆れてたわよ?」

「あはは、まあ、とにかく慶一君が戻ってきたら早速話しに入るからさ。」

「それはいいけど、私まで呼ぶ意味あったの?」

「まあ、それも慶一君が来てからでね」

 

そう言って一旦会話を打ち切り、私は慶一君が戻るのを待つのだった。

 

慶一side

 

キッチンに来た俺は、こなたの分の麦茶とついでにかがみの分のお代わりを持ってリビングへと戻っていく。

 

リビングに戻るとこなたとかがみがたわいのない雑談で盛り上がっていた所だった。

 

「お待たせ。こなた、麦茶だ。かがみのもお代わり持ってきた。」

 

と言ってこなたとかがみの前に麦茶を置く。

 

「おお、ありがとー慶一君。この暑さに麦茶はありがたいよねー」

「ありがと。でも夏はほんとこれって美味しいわよね。」

 

と言う2人に俺も頷きながら

 

「うん。確かに夏はこれがなきゃ夏じゃないって気がするな。毎年必ず作ってるからなあ。」

 

と言いながら俺も、自分の分の麦茶を飲みつつこなたに

 

「さて、こなた。今朝言ってた相談事に関する事なんだが、話してもらえるか?」

 

俺が今朝の件に関して促すと、こなたは持ってきた鞄から何かを取り出してテーブルの上に置いた。

 

置かれた物をよく見るとそれはコミ○ットカタログだった。

 

俺は嫌な予感を覚えつつも一応確認の為こなたに

 

「なあ、こなた。まさかとは思うが・・・」

 

と言う俺の言葉にこなたは大きく頷いて

 

「うん。実はそのとおりなのだよ。私一人で行くの面白くないからさ、慶一君も経験者みたいだしどうかなーって・・・」

 

と言うこなたの言葉に俺は0.1秒で

 

「却下だ」

 

と即答すると、こなたは途端に涙目で

 

「ええー?いきなり即答は酷いよー。慶一君友達でしょー?せめて少しは考えてよー」

 

と言う俺達のやり取りを見ていたかがみはテーブルの上のカタログを一瞥して

 

「こなた。これは一体なんなの?なんかのイベント?」

 

と言う質問にこなたは目を輝かせてかがみの方に向き直り

 

「良くぞ聞いてくれました。これぞ日本でも屈指の大イベント、コ○ックマーケットというものなのだよ。たくさんの漫画やアニメ好きな人達がそれらを元に制作した自費出版の漫画等を持ち込み販売したりする催し物なのさ。中にはコスプレをする人やかがみの好きなラノベみたいなのを持ち込む人、ゲームソフトを制作して持ち込む人なんかもいるんだよ?そこでしか手に入らない限定グッズや本等も目白押しなのだよ。」

 

こなたは一旦言葉を切って一つ深呼吸すると再び

 

「しかも、今現在プロの作家としてやってる人なんかも本を持ち込むこともあるし、そこからプロへとデビューを果たした人もいる未来のプロ漫画家候補の卵達が集まっているのだ。それに今回は八坂さん達も参加してるみたいだしねー。」

 

かがみはこなたが言っていたワードの中の”ラノベ”という言葉に反応していたようだった。

 

「う、うーん、よくわからないけど大きなイベントだって言うのは何となくわかったわ。こなたが出したカタログの厚さが半端じゃないのをみても相当ね。」

 

重さ数キロはありそうなカタログを横目にかがみが言う。

 

「確かにイベントの規模としては他に類を見ないものだろうよ。けどな、そのカタログ見てもわかるだろうがそれだけの厚さになるほどの参加者がいるって事だ。その人数を見るだけで辟易するぞ?」

 

一応の経験者ゆえ、かがみにもそう教えると

 

「それは、きつそうね・・・こなた、悪いけど私も・・・」

 

かがみが断ろうと言葉を出しかける瞬間、こなたはニヤリと笑いながら

 

「かがみー?ちょっとここ見てー?」

 

おもむろにカタログを開き、あるページをかがみに見せる。

 

「なによ?何かあるの?ってこれは・・・」

 

そのかがみの反応を見てこなたはしめたと思ったようでさらに畳み掛けにいった。

 

「この絵、どこかで見たことない?」

「これは私が好きなラノベの挿絵に書かれてる絵よね?一体何故?」

「そうだよー?この人も今回のこれに参加してるんだよ。かがみはこの人の絵好きだっていってたよね?」

「う、うん。確かにそう言ってたけど・・・」

「このイベントに行けば、この人のオリジナル絵の作品集とか手に入れられるんだよ?それに書いてる本人も来てるからサインだってもらえちゃうよ?」

「え?オリジナル作品集?それに書いてる人が来てる?サインももらえる?ほ、ほんとなの?こなた!」

「うん。だって参加しない人はここに載らないしさ。絶対確実だよ?だからさ、一緒に行こうよー?」

「・・・・・・行く。」

 

まさにとどめの一撃だった。

 

「か、かがみ?」

 

俺は今まさに目の前で起こった出来事に対処しきれず混乱しまくっていた。

 

そして2人が俺に向き直り

 

「ねえ、慶一君。かがみも一緒に行くってさー。かがみも行くって言うんなら慶一君も来てくれるよねえ?」

「慶一くん、折角だし一緒に行ってみようよ。ね?私も行くからさ。」

 

2人にそうまでも詰め寄られてはもはや観念するしかなかった俺は

 

「・・・・・・わかったよ・・・一緒に行くよ・・・」

 

大きなため息をつきながらそう返事をするしかなかったのだった。

 

そして、こなたが回りたいサークルやその回り方等の作戦会議をこれでもか、というくらい行ってその日はお開きになった。

 

俺は仕方なく覚悟を決めて、行くならば万全を期すかと思い、そのための準備を行ったのだった。

 

・・・・・・そして現在。

 

「・・・・・・・というわけで作戦の再確認は以上。何か質問は?」

 

こなたが俺達を見回してそう言うと俺とかがみは

 

「今のところは特になしだ。」

「・・・・・・右に同じく・・・」

 

かがみは想像以上の人数をみて辟易してるようだった。

 

ようやくここに来てかがみは自分が地獄に足を踏み入れたのだと悟ったらしい。

 

しかし今更言っても後の祭りだと覚悟を決めたようだ。

 

俺はそんなかがみを見つつ、こなた達にもう一つ告げるべき作戦を告げるため2人に声をかける。

 

「2人とも、今度は俺から伝える事がある。俺も数回こうに付き合ってわかった事があるんだが、この会場内では相手との連絡方法が最も重要になるだろうという結論に至った。そこで俺はその方法をいくつか摸索してみて2つの方法を考えたんだが、片方はどうも使えなくはないだろうが、かなり厳しい物になることがわかったから俺はもう一つの方法をとることにした。」

 

そう言って俺は、鞄の中からあるものを取り出し2人に渡した。

 

「これがその結論だ。」

 

俺が渡した物を2人はまじまじと見て

 

「これってトランシーバー?」

「おもちゃみたいね?でも、これがいいの?」

 

と言う2人に俺は頷きつつ、さらに説明を加える。

 

「見た目は小さくておもちゃみたいだが、半径1キロの範囲で電波が届くし、何より携帯よりもつながりがいい。この異常空間内じゃ携帯なんてほとんど無意味になってしまうほど電波が飛び交う場所だからな、ここは。けど、トランシーバーなら周波数さえちゃんとなってれば他に邪魔される事なく交信が可能だ。この会場内でなら十分な武器となりえる。」

 

という説明に2人は感心しながら

 

「へー、中々凄いねー。こんなの考え付かなかったよ。」

「中ってそんなに携帯通じ難いのか・・・」

 

そう言う2人を見ながら俺は

 

「ともあれ緊急通信はこれで行うようにしよう。周波数の合わせ方と使い方を教えるからちょっとテストしてみよう」

 

と言った後、俺は2人に使い方等を教えて

 

「まあ、俺からは以上だ。後は中に入ってからだな。」

 

と言う俺の顔をまじまじとみながらこなたは

 

「なんというか、一番乗り気でなかった慶一君のはずなのにえらく本気じゃない?」

 

そう俺に言ってくるこなたに俺は苦笑しながら

 

「やると決めたからには本気でいくさ。こうなりゃやけってね。」

 

そう言うと、こなたは軽いため息を一つつきながらも笑って

 

「まあ、なんにしても来てくれたのは嬉しいしね。折角だから楽しもうよ。」

 

と言うこなたにかがみは早くも疲れたような顔をしながら

 

「楽しめればいいけどね・・・」

 

と言っていた。

 

俺は2人の肩を軽くぽんと叩くと

 

「これもまた、高校2年生の夏の思い出になるさ。後で笑って話せる思い出にさ。だから俺は楽しむって決めたんだ。こなた、かがみ。楽しんでいこうぜ。」

 

俺の言葉にこなたは俺に笑顔を向けながら

 

「思い出か。楽しい思い出は多く作りたいよね。よーし気合いれていくよー。」

 

そんな俺とこなたにやれやれといった感じのかがみだったが、意を決したらしく

 

「仕方ないわね。こうなったら私も楽しんでやるわよ。」

 

そう言った後俺達は3人でエイエイオーと気合をいれて会場入りを待つのだった。

 


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