らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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第7章 旋律達の夏休みその2、ドタバタ日常編
旋律達の夏休み2〜柊家再訪問〜


夏休みの海旅行から帰ってきて荷物を整理しながら向こうで撮った写真を見てのんびりとしていると、俺の携帯にかがみからのメールが飛び込んできたので内容を確認すると・・・・・・

 

FROM:かがみ

 

慶一くん、一週間お疲れ様。私達も丁度家についてのんびりしていたんだけど、今回の旅行の事で家のお父さんとお母さんがお礼を言いたいと言ってるのよ。

もし、明日慶一くんの予定がないのなら家に来てくれないかな?慶一くんの都合がよければ電話してくれる?電話が来ない時はだめだったと諦めるからさ。

 

P.S 前の誕生日会の時、慶一くん姉さん達がいる時来れなかったよね?その事でも突っつかれてるからというのもあるんだけど・・・ごめんね、こっちの都合の所為でさ。

 

俺はメールを見て(ふむ・・・わざわざお礼なんていいんだけど、ここはかがみの顔を立てといたほうがいいかもだな・・・)と考えたので、俺はかがみに電話を入れる事にした。

 

数回のコールの後かがみが電話に出たので、俺達は軽くやりとりを始める。

 

「もしもし、慶一くん?」

「かがみか?今大丈夫か?」

「うん。部屋でのんびりしてたからね。慶一くん今回はお疲れ様。楽しい旅行だったよ?」

「喜んでくれたならなによりさ。ところでメールの件だけど・・・」

「あ、読んでくれた?そうなのよ。お父さんとお母さんがわざわざお礼言いたいって言ってるのよね。」

「俺としては俺の私用の為にかがみやつかさに来てもらった訳だから、お礼言われるのも妙な感じなんだけどね。」

「まあ、それだけじゃないっぽいけどね。猪の一件も話したんだけど、そうしたらなおの事お礼言わなきゃって言っててさ。」

「ええ?あれは一歩間違えば俺がかがみたちを危険に晒したかもしれないんだから逆に恐縮しちゃうんだけどな」

「ふふ。慶一くんらしいね。とはいえ電話してくれたって事は明日の件オーケーと思っていいのかしら?」

「うん、そのつもりで電話したからね。それで何時ごろ行けばいいかな?」

「それじゃ午前10時頃に来てくれるかな?それとついでだから夏休みの宿題も進めましょ?」

「それもそうだな。それじゃその時間に。」

「うん、またね。慶一くんもゆっくり休んでね。それじゃ。」

「ああ。お休み、かがみ。」

 

かがみとの電話のやり取りを終えると、俺はかがみの家に持っていく宿題等の準備をして体を休めるのだった。

 

次の日の朝、俺は朝食を済ませ猫達に餌をやった後、頃合の時間を見計らい家を出る。

 

電車に揺られる事10分弱でかがみたちの使う最寄駅へと到着した。

 

あの日は夜に町並みを軽く見てただけだからわからなかったが、昼間に見るとまた違った趣のある町並みだと思えた。

 

以前かがみからもらった地図を頼りにかがみの家を目指して歩いていくと、かがみの家の近くに神社があるのがわかった。

 

軽く中を覗いてみると、結構由緒ありそうな広い神社だった。

 

やがて、時間ぴったりにかがみの家へと到着すると呼び鈴を押す。

 

しばらく待っていると、家の中から足音が聞こえ玄関の扉が開いた。

 

「はーい。あ、慶一くんいらっしゃいー。」

 

と言って出迎えてくれるかがみに俺も

 

「時間ぴったりで来たけどよかったかな?」

 

と聞くと、かがみも頷いて

 

「うん、大丈夫よ。それじゃ上がって?」

 

そう促すかがみの後について「お邪魔しまーす」と言って上がっていく。

 

かがみに案内されて居間へと向かいがてら、ふと気付いた事があったのでかがみに

 

「なあ、かがみ。つかさはどうしたんだ?」

 

と尋ねると、かがみは苦笑しながら

 

「ああ、あの子は昨日までの旅行で疲れてたみたいでまだ寝てるわ。といっても休日とかは昼まで寝ちゃうほどだからね」

 

と言うかがみの言葉に俺も苦笑しつつ

 

「はは、つかさらしいっていうか・・・まあ、とりあえず後で会えるだろうしな。」

 

と、話してる間に居間へと辿り着いた俺は、中に案内されて客席に腰を落ち着けた。

 

「ちょっと待っててね。」

 

と言ってかがみはご両親や姉妹を呼びにいったようだった。

 

しばらく待っていると、かがみのご両親らしい人とお姉さん達が居間に入ってきたので

 

「こんにちは。森村慶一と言います。今日はお邪魔させていただいています。」

 

そう挨拶すると、かがみのお父さんらしき人が俺に握手を求めながら

 

「君がかがみやつかさが言っていた森村君か、話は聞いているよ。私は柊だたお、よろしく。」

 

そして次にお姉さん?らしき人も俺に柔らかい笑顔を向けながら

 

「あなたが森村君なのね?私はかがみの母で柊みき、よ?よろしくね。」

 

母という言葉に俺は目を点にして驚いていたが、何とか正気を取り戻し

 

「こちらこそよろしくお願いします。いや、それにしてもお若いですね。てっきりお姉さんかと思いましたよ。」

 

と苦笑しながら言うと、みきさんは嬉しそうな顔をして

 

「あらやだ、森村君ってお世辞が上手いのね。でもなぜか年相応に見られないのよねー。」

 

と言うみきさんを見ながら(お姉さん2人もいるって言ってたから4児の母って事だよな・・・とてもそうは見えないし年相応に見られないって事も納得できるな・・・)と言う事を漠然と考えていると、今度こそお姉さんらしい人が俺に挨拶をしてきた。

 

「君が森村君ね?私は柊まつり。柊家の次女よ。よろしくね。一度君に会いたかったんだよねー。」

 

と言いながら握手を求めてくるまつりさんに俺も握手の為に手を差し出しつつ

 

「は、はあ、恐縮です。前回の誕生日の時にはお邪魔できず、申し訳ありませんでした。」

 

と恐縮する俺にまつりさんは手を左右にふりつつ

 

「いいのいいの。今日来てくれたんだし、前回の事はチャラよ。今日はゆっくりしていってね?」

 

と言ってくれたので俺も

 

「では、お言葉に甘えさせていただきますね。」

 

と返していると、その横からもう一人のお姉さんも俺に挨拶をしてきた。

 

「もう、まつり、次は私の番よ?こんにちは、森村君。私は柊いのり、柊家の長女よ。よろしくね?」

 

と言う挨拶に俺も

 

「いのりさん、ですね?森村慶一ですよろしくお願いします。」

 

そう挨拶を返す俺を見ていのりさんは

 

「へえ、結構礼儀正しい子じゃない。まだ若いのにたいしたものね。」

 

と言って誉めてくれたので、俺はその言葉に恐縮しながら

 

「いえ、これは俺の鍛えてきた道場で叩き込まれた物ですから。礼は武術には必要な、武術を学ぶ者の心構えのようなものだと教えられましたから鍛えていくうちに自然と身についたんですよ」

 

そう答える俺をにこにこしながら見ているいのりさんだった。

 

「かがみから話は聞いたよ。今回の旅行に誘ってくれた事、そしてその旅行の最中に猪と遭遇してその危険からかがみを守ってくれた事も。改めて御礼をいいたくてね。かがみに頼んで君に来てもらった訳さ。ありがとう、かがみを助けてくれて、かがみが今無事にここにいるのも君のおかげだ。」

 

ただおさんが俺に改めて御礼を伝えるのを聞きながら俺はその言葉に恐縮しきりで

 

「いえ、旅行の件に関しても正直自分の私用を優先させる事となりました。猪の件に関してもともすればかがみさんを危険に晒す可能性だってあったわけですから・・・」

 

そう俺が謙遜しながら答えるとみきさんもにこにこしながら

 

「それでも、今ここにかがみが無事でいることは私達にとっても安心できる事だから、かがみを助けてくれたあなたにはとても感謝してるのよ?」

 

と言うみきさんの言葉に俺はさらに恐縮しながら

 

「恐縮です。とは言え、あの時は必死でしたから。」

 

そう苦笑交じりに答える俺にいのりさんとまつりさんも感心しながら

 

「でも、かがみから聞いたけど結構大きい猪だったんでしょ?よくやっつけられたわよね?」

「人間て必死になれば何でもできるって事なのかしら?」

 

と言う2人の言葉に俺は、ただただ頭掻きながら複雑な顔をしていた。

 

そんな俺の様子を見ながらただおさんは俺に

 

「それと、これもかがみから聞いた事なのだが、君には生みの親と育ての親がいるという事みたいだね。君の過去の事も今回の旅行に関係している事だったと聞いているよ。若いのにかなり苦労しているみたいだね。」

 

と言うただおさんの言葉に俺は複雑な顔をしながら

 

「はは。結局そのせいで育ての親の方には大分苦労かけてしまいましたが・・・育ての親からその事を告げられた時にはかなり荒れていた時期もありましたし・・・」

 

一旦言葉を区切り再び言葉を続ける

 

「けれど、かがみさんを初めとして俺の周りに集まった友達達のおかげで、俺は過去に向き合う事ができました。だから、かがみさんやつかささんには本当に感謝をしてるんですよ。」

 

俺がそう言うと、隣にいたかがみもにっこりと笑って、ただおさん、みきさん、いのりさん、まつりさんも感心したように俺を微笑みながら見ていた。

 

「そうか。こんな娘達だけど、これからも仲良くしてあげて欲しい。娘達も君と出会ってさらに変わってきたからね。」

 

と言うただおさんに続いてみきさんも

 

「森村君さえよければいつでも遊びにいらっしゃい。娘達も喜ぶだろうし、私達も歓迎よ?」

 

と言ってくれ、いのりさんとまつりさんも

 

「そうね。君ならかがみたちの良いお友達になりそう。それとも彼氏かなー?」

「たまには私とも遊んで欲しいかも。君ならそれも良いと思うし」

 

2人ともニヤつきながらそんな事を言う。

 

俺とかがみは赤くなって慌てて

 

「い、いや、その、か、彼氏とか彼女とかまだそういった関係では・・・」

「そ、そうよ、姉さん達なに言ってるのよ、別に私達まだそんなのじゃ・・・」

 

と慌てる俺達を4人は笑って見ていたのだった。

 

その後はもう一度挨拶をした後、俺とかがみは宿題の片付けも兼ねてかがみの部屋へとお邪魔する事になった。

 

かがみの部屋へついて宿題の準備をしながらかがみは

 

「ごめんね、慶一くん。お父さんやお母さんはともかく姉さんたちが色々と・・・」

 

と言う言葉に俺も苦笑しながら

 

「あはは。でもかがみの言ってたとおり中々凄いお姉さん達だね。前の誕生日会でてたらあんな風になってたのかな?」

 

と言う俺の言葉にかがみは困ったような顔で

 

「たぶんね。とはいえ、慶一くんが帰った後絶対ひやかされるだろうな・・・」

 

と言うかがみの言葉に俺は軽いため息を一つついて

 

「ご愁傷様、かがみ。」

 

と言うと、かがみは怒ったような顔で

 

「人事のように言わないでよ!凹むからさ・・・」

 

と言うかがみに俺は「ごめんごめん」と謝ったのだった。

 

「ちょっと飲み物持ってくるから待っててね」

 

と言って部屋を出て行くかがみを見送って、俺はかがみの部屋を改めて見回してみる。

 

「へえ?結構綺麗に片付いてて物もそんなに多くはない感じだ。それにあの本棚・・・」

 

本棚の方に目を向けるとかがみが好きだといっていたラノベがかなりの量置いてあるのが見えた。

 

「かがみはラノベ本当に好きなんだな・・・」

 

と呟いていると、ふいに部屋のドアが開いてつかさがひょっこりと寝ぼけ眼のまま、俺が部屋にいる事に気付かずに入ってきて

 

「・・・ふああ、おねえちゃんおはよ〜」

 

と言うつかさに俺は苦笑しながら

 

「もう昼だぞ?つかさ。それとせめて着替えてから来ような?みっともないぞ?」

 

と指摘すると、つかさは俺がかがみの部屋にいる事にようやく気付いたようで、慌てながら

 

「え?ええ!?どうしてけいちゃんがお姉ちゃんの部屋に?あれ?お姉ちゃんは~?」

 

と言うつかさにため息一つついて俺は

 

「つかさ、落ち着け。かがみは今飲み物取りに行ってる。それと俺がここにいるのはかがみに招待されたからだけど、かがみから聞いてないのか?俺が来る、って事をさ。」

 

つかさに落ち着かせつつ事情を説明するとつかさは

 

「え〜?全然聞いてなかったよ〜。そっか〜、改めていらっしゃい、けいちゃん。」

 

と言うつかさに俺は

 

「お邪魔してるよ、はいいんだが・・・つかさいい加減着替えて来い。それと夏休みの宿題やるなら道具もってこっちに来いよ?」

 

と言う俺の指摘に、つかさ自分の格好を思い出したらしく慌てながら

 

「は、はわわっ!うん、すぐ着替えてくるね。それじゃ後でー。」

 

そう言って慌てて部屋を後にするつかさを苦笑交じりに見送りつつ待っていると、そこに飲み物を用意したかがみが戻ってきた。

 

「慶一くん、お待たせー。さっきなんか話し声聞こえていたみたいだったけど何かあったの?」

 

飲み物をテーブルに置きながら聞いてくるかがみに俺も

 

「ああ、さっきつかさが寝ぼけながら部屋にきてな。宿題やるなら準備して来いと言っておいた所さ。」

 

と言う俺にかがみも呆れたような顔で

 

「ようやく起きたのねあの子ったら・・・旅行中に慶一くんに教わったやり方試した方がよさそうね。」

 

そう言うかがみの言葉に俺は頷きつつも

 

「それはいいが、つかさに俺が来ること言ってなかったのか?つかさは何も知らないみたいだったが?」

 

と言う指摘にかがみは、はっとした顔で

 

「えーっと・・・言うの忘れてたわ・・・」

 

ばつの悪そうな顔で答えるかがみに俺は「おいおい・・・」と言いながら苦笑していた。

 

「まあ、でもさ。いい人達じゃないか。お父さんやお母さんやお姉さん達もさ。」

 

さっきの事を思い出しながらかがみに言うとかがみも笑って

 

「そうなのかな?お父さん達はともかく姉さん達とはケンカとかもしょっちゅうなのよ?」

 

かがみの言葉に俺はあのお姉さん達とかがみの事を想像してみたが

 

「うーん・・・ちょっと想像してみたけどありそうな感じだな、とくにまつりさんとはよくぶつかりそうな感じがするよ。」

 

かがみは苦笑しながら

 

「慶一くんの想像のとおりかな、特にまつり姉さんとはよく衝突するわね。」

 

俺はそんなかがみを見ながら少しうらやむ気分になって

 

「俺には血の繋がった兄弟とかいないから、何か少しだけ羨ましい気もするね。」

 

と言うとかがみはやれやれというジェスチャーを交えつつ

 

「姉妹なら姉妹なりの苦労ってものもあるわよ。それを言ったら私なんかは慶一くんやこなたやみゆきを羨ましく思うときだってあるわ。」

 

そう言って来たので俺はその言葉に首を傾げつつ

 

「そういうものなのか?一人でも兄弟姉妹が多くてもどっちも一長一短なのかな?」

 

そう言うと、かがみはそんな俺の疑問に

 

「どっちもそういう立場になってみないとわからない事もあるのかもしれないわね。」

 

などと言うやりとりをしていると、着替えを終えたつかさが部屋にやってきた。

 

「おまたせ〜。おねえちゃん、けいちゃん。早速宿題やっちゃおうよ。」

 

そう言うつかさも準備をしてきたようなので俺達も

 

「つかさー、とりあえずそっちすわんなー?」

「待ってたぞ?早速始めるか。」

 

と言う言葉と共に俺達は宿題を始めた。

 

「ねえ、おねえちゃん。ここなんだけど・・・」

「ここはこうやるのよ、わかった?」

「かがみ、すまん。ここなんだが、これでよかったかな?」

「ここはこれであってるわ。慶一くん、ここなんだけど、これでいいのかな?」

「ああ、問題なしだ。後、こうやるのもいいぞ?」

「けいちゃん、ここはどうやるの〜?」

「これはだな・・・というわけだ。そっちはあってるからこれはこうな?」

「ありがと〜」

 

お互いに分からない場所を教えあい、俺達は前に勉強会で使ったやり方で効率良く宿題を進めていった。

 

しばらくして一段落ついたので、今日やる分はこれでおしまいと言う事になり、つかさが

 

「けいちゃん、お姉ちゃんちょっと待っててね。お茶とクッキー焼いてくるから。」

 

そう言い、そんなつかさの言葉に俺は、あの日つかさたちがはじめて俺の家に遊びにきた時のことを思い出して

 

「お?あの時の約束か。楽しみにしてるよ、つかさ。」

 

俺の言葉につかさは顔を赤くしながら

 

「うん、約束を果たすいいチャンスだから頑張ってくるよ。それじゃしばらく待っててね?」

 

そう言って部屋を出て行くつかさを見送ってるとかがみも

 

「わ、私もちょっとつかさの手伝いに行ってくるね。慶一くんはラノベかなんかでも読んで時間潰してて?」

 

と言ってつかさの後を追いかけて部屋を出て行った。

 

俺はとりあえず、かがみに言われたとおりラノベでも読んでいようとかがみの机の側にある本棚を見に行ったのだが、その際に机の上に旅行の時撮った写真が飾ってあったのを見て少しだけ顔を赤くしていた。

 

かがみの机に飾ってあった写真は集合写真もあったのだが、個別に撮っていたツーショット写真もあったからだ。

 

極力意識しないようにとりあえずラノベを選んで本を読みつつ時間を潰していたのだが、どういうわけかあまり本に集中できずにいた俺だった。

 

しばらくしてかがみとつかさがお茶の準備を終えて部屋に帰ってきた。

 

「お待たせけいちゃん。クッキー焼くのに少し時間かかったけど食べてくれたら嬉しいな。それとお姉ちゃんも手伝ってくれたんだよ?」

 

と言いながら俺の前にお茶とクッキーの皿を並べるつかさ、その後ろでかがみも少し照れながら

 

「私はこういうのあまり得意じゃないからちょっと形変かもしれないけど・・・食べてみてくれる?」

 

と言う2人に俺は笑いながら

 

「ありがとう、2人とも。とりあえずいただいてみるよ。」

 

そう言って、2人の作ったクッキーに手を伸ばす俺を緊張の面持ちで見つめるかがみとつかさ。

 

俺はつかさの作ったらしいクッキーからまずは食べてみる事にした。

 

「お?これはなかなか美味いな。こなたの言ってた事もまんざらじゃないな。」

 

と素直にクッキーが美味しかったのでそう感想を言うと、つかさは顔を赤くして嬉しそうにしていた。

 

「さて次はかがみが作ったっぽいクッキーをっと・・・」

 

次に少し形がいびつだけどかがみが作ったクッキーに手を伸ばす俺。

 

「うん。形は少しいびつだけどこれも美味い。大した物だよ」

 

と感想を言うと、かがみは照れながらもかなり喜んだようで俺に嬉しそうな顔を向けながら

 

「あ、ありがと・・・つかさに教わりながら作ってみたの。上手く行っててよかったな・・・」

 

と言うかがみにつかさも笑顔で

 

「よかったね、お姉ちゃん。」

 

と言っていたのだった。

 

それからしばらくは3人で雑談などをしながら過ごしていたが、そろそろ頃合の時間になり俺は柊家を後にしようとしたのだが、ただおさん達に夕食を食べていって欲しいと言われ、みんなに引き止められたので俺はお言葉に甘える事にしたのだった。

 

大家族での夕食は俺にとってもはじめての経験で、俺は騒がしい家族を見ながらこういうのもいいものだな、としみじみ感じていたのだった。

 

夕食後は俺も、お世話になった事もあるので後片付けを手伝う事を申し出たのだが、俺はお客さんだからと言う事でやんわりと拒否されてしまった。

 

そして家に帰る時間になったので俺はみんなに挨拶をして柊家を出る事になった。

 

「今日はお招きありがとうございます。夕食もごちそうになってしまってなんだか恐縮です。」

 

と言うとただおさんは

 

「いいんだよ。かがみやつかさの友達だしかがみの恩人でもある君へのお礼みたいなものでもあるんだからね。それと、またいつでも遊びにおいで。」

 

そう言ってくれ、みきさんもにこにことしながら

 

「家族が増えたみたいで楽しかったわ。また遊びにいらっしゃいね?」

 

そう言ってくれるのだった。

 

いのりさんやまつりさんも

 

「また遊びにおいでー?私達も歓迎するよ。」

「今度は私とも遊んでよね?森村君。」

 

まつりさんの言葉に少し慌てる俺だったがかがみが

 

「まつり姉さん何言ってるのよ!慶一くんが困ってるじゃないの!!」

 

と突っ込みを入れていたが、まつりさんもそんなかがみに反論して軽い言い争いを起こしているのを苦笑交じりに見つつ

 

「あはは。とりあえず、また今度お邪魔させていただきます。今日は本当にありがとうございました。」

 

そう言って家を出る俺にかがみとつかさがついてきて

 

「慶一くん、駅まで送るわ。一緒に行きましょ?」

「わたしも一緒に行くよ〜。」

 

と言って来たので、俺は2人のその申し出を受ける事にした。

 

駅への道中にかがみはにこりとしながら

 

「今日は来てくれてありがとう。お父さん達も慶一くんの事気に入ってくれたみたい。」

 

今日の事に対するお礼を言って来たので俺もかがみに笑顔を向けつつ

 

「はは、それは嬉しいな。でも楽しい時間だったよ。ありがとな、かがみ。」

 

かがみに御礼を言うとかがみも顔を赤くして

 

「そ、それならよかったけどさ・・・最後も結構騒がしくなっちゃったでしょ?ちょっと心配はしてたのよね、こういう雰囲気慶一くん大丈夫かなって・・・」

 

と言うかがみにさらにつかさも笑いながら

 

「うちは家族多いし賑やかだもんね〜」

 

と言う2人に俺も笑いながら

 

「ああいうのも初めてだけど悪い気はしなかったよ。それに賑やかさだったら俺達も負けてないと思うけどな。」

 

俺がそう言うと、2人とも納得したようで

 

「言われて見ればそうね・・・私達も十分騒がしいわ・・・」

「あはは。でも楽しいから私は気にしないよ〜?」

 

と言う2人に俺も苦笑しつつ頷いていた。

 

そうこうしてるうちに駅へと辿り着いて、俺は2人に

 

「それじゃ今日はこれで。2人とも、ここまで送ってくれてありがとな。気を付けて帰ってくれよ?」

 

そう言って手を振ると2人も

 

「今日は楽しかったわ。また遊びに来てよね。」

「じゃあねけいちゃん。また遊ぼうね〜」

 

と言って俺を見送ってくれた。

 

プレゼントを渡しに行って以来、今回はまともに柊家にお邪魔する事になったわけだが、俺はあの家族の事を思い出しながらああいうのも悪くはないな、と思いながら家へと帰っていった。

 

二匹の猫の家族以外はいない広い家、なぜか俺は少しだけ、人のぬくもりのない家に寂しさを感じたのだった。

 

そんな事を感じたその後に俺は、ある事を行動に移すのだが、それも後の話。

 

 


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