らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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第5章 主旋律の過去編
旋律の帰省〜慶一のもう一つの過去、前編〜


旋律達との夏祭り巡りを終えて3日後、俺は再び親父達への義理果たしの為に、夏休み前の顔見せに実家へと帰る事となった。

 

あれから、お袋に知り合いが増えたと言う事を聞いていたのだが、今日は帰った折にはその知り合いを呼んであるとの事なので、その人との顔合わせも兼ねての帰省となったのだが・・・・・・

 

多少の時間の遅れはあったものの、とりあえず実家へと辿り着いた俺は親父はともかく、お袋への挨拶をしとこうと思い、道場の離れの自宅へと赴き玄関のドアを開けた。

 

「ただいまー。とりあえず約束だから顔見せに戻ってきたよ。ところで親父はまだくたばってないか?」

 

と、家の中に入りながらきっちり挨拶とともに、日課の親父への嫌味を言いながら家の居間に入るとそこにはお袋とともに数人のお客さんがいるのに気がついた。

 

お袋は俺を見るなりニコニコと笑いながら

 

「あら、おかえり。相変わらずねえ、あなたとお父さんは。」

 

と、俺に声をかけると、数人いるお客のうちの一人が呆れたような声で

 

「帰ってきて第一声がそれか・・・ほんと、あんたと親父さんてどんな関係なのよ?」

 

そう俺に言ってくる声を聞いて俺はその聞き覚えがある声の主に驚きつつ

 

「かがみ?何でお前がここに?」

 

そう声をかけると、かがみは苦笑しながら

 

「あー・・・それはそこにいるこなたに聞いてくれる?」

 

と言うかがみの視線の先を見ると、こなたがいつもの目を細めた顔をしながら

 

「やほー慶一君。お邪魔してるよー。」

 

そう答えてくるこなたに俺は軽いめまいを覚えつつ、額に手を当てながら

 

「こなたもいるのか?というか何でお前らが俺の実家の場所を知ってるんだよ・・・。」

 

少し疲れたような声でそう言うと、こなたは軽く状況の説明をしてくれるのだった。

 

「いやー、実は祭りの後にさ、慶一君長い休みの前とかに一度実家に顔出しに行くっていってたじゃん?それで慶一君の実家を一度見に行って見たいなー、と思ってさー。みんなで話をしてたらみゆきさんが場所知ってるっていうから、ならこっそり行って脅かしてみよう、って事になった訳なのだよ。」

 

と、なぜか得意げに説明をしてくれるこなたにみゆきが苦笑しつつ謝りながら

 

「す、すみません慶一さん。私は一応慶一さんの実家の事を知っていたと言う事もあったのですが、泉さんのどうしても慶一さんのご実家へ行ってみたい、という希望に歯止めがかけれませんでした・・・。」

 

そう説明するみゆきに一つ軽いため息をつくと

 

「なるほどね、事情は理解したよ。まあ今更みゆきは責められないな。いずれは解る事だったのが今回になったと言うだけの事か・・・で?かがみたちはそれに便乗したわけだな?」

 

かがみ達の方を見ながらそう言うとかがみも俺から視線を外しつつ

 

「いや、まあ、その・・・一度私たちも見てみたいなと思って・・・ひょっとして迷惑だったかな?」

 

頬をぽりぽりと掻きながらばつの悪そうにいうかがみに俺は

 

「いや、ちょっと驚いたけど迷惑って事はないさ。かがみたちもお袋と話をして解ったと思うけど、結構おおらかだからな、うちのお袋はさ。それに人が集まるのが嬉しいみたいでな。だから心配しなくても大丈夫だ。」

 

かがみにそう答えると、かがみたちも安心したようで

 

「そう?それならよかったかな。でもここが慶一くんの実家なのね。道場だって聞いてたけど結構大きいんじゃない?」

 

かがみが外の離れの道場を見ながらそう言うと、俺はかがみに頷きつつ

 

「この辺にもいくつかの道場もあるんだけど、その中では確かに大きい方だな。弟子もそれなりにいるからね。」

 

かがみにそう答えるとかがみは感心したように

 

「へえ?中々凄いのね。慶一くんはたくさんのお弟子さんの一人って事よね?実力的にはどの程度?」

 

と聞いてきたので俺は「一応師範代クラス程度までは登ったかな。」と答えるとかがみはまた感心しているようだった。

 

そんな話を聞きながらこなたは感慨深げに

 

「意外と有名どころっぽいねー。慶一君はここで鍛えられたわけだ・・・。」

 

同じように道場と俺を見比べつつ言うこなたに俺は笑いながら

 

「まあな。しごきはきつかったよ。うちの親父は容赦ないからな。」

 

そう俺が言うと、こなたは何やら納得したような感じで

 

「そっかー。だから慶一君の性格は曲がったりしなかったんだねえ。ほぼ強制的にまっすぐになるように叩き込まれたって事かー。」

 

俺はそんなこなたの言葉にただただ苦笑するしかなかった。

 

そんな俺たちのやり取りを見ながら

 

「龍神(たつかみ)さんの所は中々の実力のある所と伺っています。お弟子さんの数や道場の規模、それに周りにある道場にもある程度の影響をお持ちだという事も調べてみるうちにわかりましたね。」

 

と、一応下調べしてきたらしいみゆきがいう。

 

そんなみゆきに俺も

 

「まあ、実力的には確かに周りからも一目置かれているところはあるな。家の近くにもいくつかの道場があるけどそこからもたまに出稽古にくる門下生がいるくらいだしな。俺も相手はした事はあるけどさ。」

 

と、みゆきの指摘を肯定するように説明をした。

 

みゆきはそんな俺の説明を聞きながら

 

「そこまででしたか・・・。やはり凄いのですね。」

 

と、離れの道場の方に目をやりながら答えるみゆきだった。

 

つかさはそんな話を聞きながら秋葉腹での出来事を思い出したようで

 

「だから秋葉腹のときのあの動きができたんだね。やっぱりけいちゃんて強いのかなあ。」

 

というつかさに俺は後頭部を掻きつつ

 

「強い、って事なら多少は自信はあるにはあるけど、でも、最近はあまり鍛える事に時間を使ってなかったから大分鈍ってるんだよな。前に見せたあれでも本調子の頃に比べたら大分落ちるよ。」

 

と言うと、つかさは俺の言葉に驚きながら

 

「ええ〜?あれでなの?わたしぜんぜん動き見えなかったよ〜・・・。」

 

と言うつかさの言葉に苦笑しながら

 

「まあ、普通の人から見たら確かにそう見えるよな。だからつかさが見えなかったとしても何ら不思議な事じゃないさ。」

 

そう俺が説明すると、つかさは何やら感心していたのだが、こなたが横から

 

「でも、格闘技経験者である私にも見切れなかったけどね。流石に経験者としてのプライドが少し傷ついたよ・・・。」

 

と、少し悔しそうに言うこなたに俺は、こなたがあの勉強会の時に俺に言っていた事を思い出しながら

 

「こなた、格闘技経験があるって前にもそう言ってたよな?前にお前に背中流してもらった時にはお前の体つきを見て気付いたんだがな。」

 

そう尋ねるとこなたは笑いながら

 

「うん。私は子供の頃にお父さんに進められて習っていた時期があったんだよねー。途中で結局やめちゃったんだけどさ。だからかなーある程度の強さはなんとなくだけどわかるよ?」

 

そう説明してくれた。

 

さらにこなたは言葉を続けて

 

「だから、ある程度強い人ってのも見てきてるから、そういう人とあの時の慶一君の動きを比較してみてレベルを測ったけどさ、正直私が知ってる人よりも上だったから驚きだったんだよね。まさに世の中には上には上がいるって思ったよ。」

 

あの時は自分も驚いていたのだと俺に言うこなただった。

 

そんなこなたの言葉を聞きながら俺は

 

「うーん、こなたがそう俺を評価してくれるのは嬉しいんだがな、うちには俺すら赤子扱いする化け物がいるからなあ・・・。」

 

両腕を組んで頭を捻りつつこなたにそう言うとこなたは

 

「化け物って・・・そんな人いるの?」

 

そう聞いてきたので、俺はその質問に答えようと声を出しかけたが、俺達の後ろから突然声をかけられたので、俺達は驚いて声のほうを振り返った。

 

「おう、慶一、戻っていたのか。ほう?なかなかべっぴんさんが集まっているじゃないか。ところで慶一よ、この中の誰がお前の恋人なんだ?」

 

いきなり背後から現れて爆弾を投下していく親父に俺は大慌てで

 

「お、親父、いきなり出てきて何言ってるんだ!この娘等は俺のクラスメートと友人だよ。変な勘違いするな!」

 

俺が親父の言葉にそう反論すると、他のみんなが少し複雑な表情をしているのが見て取れたが、俺は親父に言われた事のほうで頭が一杯でその時の4人の気持ちも知る余裕もなかった。

 

「ほう?そうか。こうちゃんややまとちゃんといい、お前の周りには女の子が最近は集まるようになったようだしな。最近のお前の周りの変化はいい傾向だと思っていたのだがな。」

 

親父は顎に手をあてながらニヤニヤと俺をみてそんな事を言っている。

 

俺はそんな親父に不機嫌な顔を向けながら

 

「なんでそこでこうや、やまとが出て来るんだよ・・・まったく変な詮索だけはしてくるんだからな。そんな事ばっかりしててお袋に嫌われても俺は知らないぞ?」

 

そう文句を言うと、俺の言葉にお袋は笑いながら

 

「あら?この人のこの性格は今に始まった事じゃないわよ?それに変な事をしようものなら即絶縁状たたきつけて家をでていくだけだしね。」

 

と親父の方を向きながら顔はにこにことしながらもかなり親父を驚愕させるような事をいっていた。

 

親父はそんなおふくろの言葉に慌てつつ

 

「ま、待て、私はそんな事はしない。お前も洒落ではすまないような事を言うな。まったく・・・ともあれよく戻ったな。」

 

お袋の言葉に言い訳をしつつも威厳をもって俺にそう言う親父に(台無しだな・・・)と俺は思いつつも

 

「一応、息子としての義理もあるからな。とりあえず帰ってきたよ。」

 

そう親父に返事しつつこなたに小声で

 

『あれがうちの化け物だよ。』

 

と、ささやくと、こなたは俺の親父をまじまじとみながらやはり小声で

 

『あの人がそうなんだ・・・確かに私から見ても雰囲気とかで強さがわかるようだよ・・・なんか普通にしててもオーラみたいなのが違う感じがする・・・。』

 

そう俺に返事をしてきた。

 

そんな俺達のやり取りを見つつもかがみ達もとりあえず俺の親父に挨拶をするのだった。

 

「初めまして。慶一君とはクラスは違いますが友人の泉こなたです。」

「柊かがみです。慶一くんとは仲良くさせてもらっています。」

「柊つかさです。わたしもけいちゃんとはお友達です。」

「高良みゆきといいます。慶一さんには何度もお世話になっています。」

 

と、それぞれ挨拶をすると、親父も豪快に笑いながら

 

「ははは。みんなよろしく。うちの馬鹿息子が迷惑をかけていないかね?」

 

と言う親父に俺はすかさず

 

「自分の息子を捕まえて馬鹿とか言うな!この馬鹿親父!」

 

そんな俺の反論に親父は呆れたような顔で

 

「お前のそういう単純な所がだ。まったくつくづく可愛くない性格になりおって、だれの影響を受けたのやら・・・。」

 

自分の事を棚に上げて言う親父に俺はさらに親父をねめつけながら

 

「俺はあんたに育てられたんだけどな?とうとう自分が誰を育てたかもわからなくなるほどボケたのか?」

 

そう言うと、親父もカチンときたのか俺に食って掛かってきた

 

「誰がボケた、だと?相変わらず生意気をいいおって、本当に可愛くない!」

「なんだと?」

「なんだ?」

 

俺と親父が睨みあう。

 

お袋はそんな俺たちをあいかわらずにこにこしながら見ていて、こなたたたちは4人でひそひそと

 

『本当に仲悪そうだね・・・大丈夫なのかな?』

『よくあんなのでいままで上手くやってきたわよね・・・?』

『ど、どんだけ~・・・。』

『お2人とも素直にはなかなかなれない性格なのかもしれませんね・・・。』

 

と言う話をしている声を何気に捉えつつ俺は、心の中で苦笑する。

 

俺としばらくにらみ合いを続けていた親父が何かを思い出したように俺に

 

「おう!そうだそうだ、慶一。一度こっちに戻ってきたのならまた少し鍛えていくのだろう?ならばその子達にお前の演武を見せてやったらどうだ。こうちゃん達にも見せているのだから問題はあるまい?」

 

そう言う親父に俺は、上手く話題をそらしやがったな?と思いつつも一つため息をつきながら

 

「・・・はあ、上手くごまかされたような気もしないでもないがとりあえずやるとするか・・・みんなちょっと道着に着替えてくるから先に道場の方へ行っていてくれ。」

 

俺は皆にそう言うと、みんなも「わかったよー」と言って道場の方へ行ったのを確認した後、俺は道着に着替えると皆の待つ道場へと移動する為玄関をでた。

 

そして道場へ向かう途中で突如俺を襲ってくる白い物体に飛びつかれて尻餅をついた。

 

その物体は俺の顔を舐めまわし始めたがよく見ると俺の見覚えのある犬だった。

 

「お前、チェリーか?何でお前がここにいるんだ?」

 

チェリーの頭をなでながら周りを見渡すと、俺とチェリーを見ながらおろおろとしている女の子を見つけたので俺はその子に声をかけた。

 

「よっ、岩崎さん。あの時以来だね。とはいえどうして君がここに?」

 

俺が岩崎さんに声をかけると、岩崎さんもおろおろとしつつも

 

「・・・あ、こ、こんにちは、森村さん・・・。あの・・・実は、私、みゆきさんにみゆきさんのお母さんから用事を頼まれたので・・・それで居場所を聞くと龍神さんの道場へお邪魔していると聞いたものですから・・・でも森村さん、なぜ龍神さんの道場に・・・?」

 

と説明してくれた。

 

俺はチェリーを引き離しつつ立ち上がって岩崎さんに

 

「そっか、事情はわかったよ。みゆきはここに来てる。道場の方にいるよ?それと俺がここにいるのはここが俺の実家だからさ。」

 

そう説明すると岩崎さんも少し驚いたような顔をしながら

 

「え?実家、なんですか?でも先輩とは性が違うようですが・・・?」

 

と聞いてきたので俺は

 

「ああ、その辺はみゆきにも話してあるから後で聞いてみてくれ。とりあえずチェリーはそこにつないでおくといい。丁度いいから岩崎さんもおいで。これから演武を行う所だからさ。折角来てくれたんだし見ていくといい。」

 

俺がそう促すと岩崎さんは少し戸惑いつつも

 

「・・・なら・・・少しお邪魔しますね・・・?」

 

と言いながらチェリーのリードを結びつけて俺とともに道場へと向かうのだった。

 

道場に着いて中に入ると俺は皆に

 

「みんな、遅れてすまない。ちょっとお客さんが増えたんでね。」

 

と言った後岩崎さんに

 

「岩崎さん、とりあえずみゆき達の方へ行って一緒に見ててくれ。」

 

と促すと岩崎さんもこくりと頷いてみゆき達の方に行った。

 

こなたside

 

慶一君に促されてこちらにやってくる女の子はどうやら慶一君の知り合いのようだった。

 

私は少し気になったのでその子に何か聞こうと声を出そうとしたら

 

「あら?みなみちゃん。どうしたんですか?こんな所に。」

 

その子に気がついたみゆきさんが先に声をかけた。

 

その子はみゆきさんに

 

「・・・あ、みゆきさん、実はみゆきさんのお母さんから・・・・・・。」

 

と、みゆきさんに事情を説明している。

 

私もその状況を黙って見ていたんだけど、かがみたちも

 

「ねえ、こなた。あの子ってみゆきの知り合いみたいね?それに慶一くんもあの子の事知っているって感じだったし・・・。」

「ゆきちゃんとどういう関係なんだろうね?それにけいちゃんとも・・・。」

 

そう私に聞いてくるが、私も何が何やらだったので

 

「みゆきさんに聞いてみるのが早いと思うよ?」

 

と返しながらみゆきさんに

 

「みゆきさん、その子ってみゆきさんの知り合いなの?慶一君も知っているっぽいようだったけど?」

 

と私が聞くとみゆきさんはにっこり笑いながら

 

「ああ、この子は私の家の近所に住んでいる岩崎みなみちゃんです。私にとっては妹みたいな感じなんですよ。それと慶一さんが知っていたのはみなみちゃんと出会うきっかけがありまして・・・・・・。」

 

と、岩崎さんが慶一君と出会うきっかけになった時の事を教えてくれた。

 

と同時に、岩崎さんが私達と同じ陵桜を受験しようとしている事も教えてくれたのだった。

 

私達は岩崎さんにそれぞれ自己紹介をすることにした。

 

「私は泉こなただよ。みゆきさんと慶一君と同じで陵桜に通ってるんだ。岩崎さんもゆーちゃんと同じに陵桜目指しているんだね?」

「柊かがみ、よ。そこのこなたとみゆきと慶一くんとも友達なのよ。よろしくね?」

「柊つかさだよ。こなちゃんやゆきちゃん、けいちゃんとはお友達なんだよ?それとかがみは私の双子のおねえちゃんなんだよ〜。」

「みなみちゃん。泉さんやかがみさん、つかささんとはお友達です。陵桜に合格できたらまた会うことになると思いますよ?」

 

最後にみゆきさんがそう言うと岩崎さんはおずおずと

 

「・・・あ、わ、私は岩崎みなみといいます。みゆきさんの家の近所に住んでいましてみゆきさんは私の姉のような人なんです。よろしくお願いします・・・。」

 

と自己紹介してくれた。

 

私たちもそんな岩崎さんに「よろしくー」といいながら握手を交わしたのだった。

 

慶一side

 

道場の隅でそんな5人のやり取りを見ながらどうやらちゃんと打ち解けられたみたいだな、と思いながらみんなにそろそろ演武を始める事を伝えるのだった。

 

「みんな、そろそろ始めるよ。あまり面白い物じゃないけど、まあ見ててくれ。」

 

俺がそう言うとみんなはおしゃべりをやめてこっちに注目してくれた。

 

皆の注目が少し照れくさい俺だったが、とりあえず演武をはじめる事にした。

 

流れるように体を動かし、突きや蹴りの動作、特殊な歩法を交えて型をこなす。

 

そして最後に決めの型をやって一通りの演武が終了した。

 

演武が終わるとみんなは俺に大きな拍手をしてくれて口々に

 

「おー!やっぱりすごいねー。動きにキレがあって一つ一つの動作も綺麗だったよー。」

 

少し興奮気味に感想を言うこなた。

 

「力強さと繊細さってのがよくわかるわね。すごくかっこよかったよ。」

 

大きく頷きながら言うかがみ。

 

「動きの意味とかはよくわからないけど凄さみたいなのは伝わってくる感じだったよ〜?」

 

あまりわかっていなさそうではあるが、その一方で凄さを感じたらしいつかさ。

 

「思わず見とれてしまいました。一つ一つの動作にも意味があるのがわかります。とても素晴らしかったですよ?」

 

とにっこり微笑みながら誉めてくれるみゆき。

 

「森村さんがこんな事をしているというのも初めて知りました・・・。凄く動きが綺麗でした・・・。」

 

少し照れながらも感想を言ってくれた岩崎さん。

 

俺は体の鈍りもあって少し息切れしながらもみんなに

 

「ははは。とはいえ結構鈍ってるよ。これはもう少し基礎体力鍛え直さないとかもなあ・・・。」

 

後頭部を掻きながら照れつつ言う俺。

 

そんな俺の周りにみんなが集まって色々話していると親父が道場に姿をあらわして

 

「慶一、お前にお客さんだ。さあ、入ってきなさい。」

 

俺に客人があることを伝えてその人に道場に入ってくるように促すとその人は中に入って来て俺に声をかけるのだった。

 

「よう、慶一。元気にやってるか?今日はお客さんが多いみたいだな。」

 

俺に笑顔を向けながら言うその人に俺は複雑そうな表情で

 

「瞬、お前だったのか・・・しばらくぶりだな・・・。」

 

そう声をかけるのだった。

 

 


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