らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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旋律達の祭り巡り〜終章こうとやまと編〜

迷子捜索もいよいよ最後の一人を残す所となった。

 

今回俺は、こうの迎えを一番最後に回した。

 

その理由は、今回はじめてこなた達とこういうイベントを回る時の行動がわからなかった事もあるのだが、こうとやまととは今回が3度目であり、ある程度の行動パターンを把握していたのと、俺たち2人はなんだかんだでこういう時のこうの行動を信頼していたと言う事もあった。

 

「さてと、そろそろこうを迎えに行くとするか。っとその前に、やまと、もう一度こうに連絡を頼む。」

 

俺はやまとにこうへの連絡を頼むと、やまとは俺の言葉に頷いた後、すぐさま携帯でこうに連絡を入れた。

 

「もしもし、こう?これから迎えに行くけど現在位置を教えて?先輩に場所伝えるからお願いね・・・・・・わかったわ。先輩に伝えるからそこにいなさいよ?」

 

やまとはこうから現在位置を聞き出すと俺にその場所を伝えた。

 

俺はやまとから聞いたこうの現在位置を頭の中にある地元の地図と照らし合わせて大体の位置を割り出した。

 

「よし、それじゃいくか。やまと。みんな最後の一人を連れに行くからここで待っててくれな。」

 

俺はやまとに行動開始を伝えると共に、皆にも集合場所での待機を伝えると、皆は「わかったよ。ここで待ってるから。行ってらっしゃい。」と言い、やまとも

 

「それじゃ行きましょ?先輩。」

 

と返事をした後、俺と共に行動を開始するのだった。

 

移動の際に俺はやまとに

 

「これだけの人ゴミだからな。はぐれないように行くぞ?」

 

と、やまとに気を抜かずに行く事を伝えると、やまとはごく自然に俺の手を取り

 

「ならこれでいけばいいわね。先輩、エスコート頼むわね。」

 

そう言ってくるやまとに俺も自然に手を握り返していた。

 

「よし、まかせろ。」

 

そう言いつつ、やまとを伴いながらこうの待つ場所へと歩いていく俺達だった。

 

歩きながらやまとは俺の方を向いて”くすり”と笑いながら

 

「思い出すわね先輩、こういうのもなんだか久しぶりな気がするわ。」

 

と言うと、俺も中学時代から高校1年までの事を思い出しながら

 

「そうだな。あの時は都内の俺の実家の祭に行ったんだがあの時もこの3人だっけな。」

 

懐かしむように言う俺にやまとも当時の事を思い出しているようで

 

「そうね。あの時もやっぱりこうは一人迷子になって散々先輩の手を焼かせたわよね。・・・・・・ごめんなさい先輩。こうがあんな子で大分苦労したんじゃないかしら」

 

あの当時もやっぱり迷子になり、俺達を散々振り回したこうの事を思い出したのだろう、やまとは俺にこうの代わりに謝ってきたが、俺はそんなやまとに笑いながら

 

「やまとが謝る事じゃないよ。それに俺もその事事態は大変ではあったけど、嫌だったり怒ったりしてる訳じゃない。だからこそ俺達は、いや、俺はこうを、やまとの親友を見捨てる事はしなかったんだから。それにこうは今のままが一番こうらしい。俺はそう言うあいつも好きだからな。やまとと同じようにな。」

 

俺の言葉にやまとも俺に対してなんだか申し訳ないような表情をしていたが、俺の気持ちを理解したのだろう、やまとも嬉しそうな顔になってくれた。

 

「ありがとう先輩。私やっぱりあの時に先輩と知り合えた事を嬉しく思うわ。そんな先輩がいてくれる事に関してはこうにも感謝かしらね。」

 

そう言ってくれるやまとに俺は照れて顔を少し赤くしながら

 

「まあ、そう言ってもらえるのならあの時2人のケンカの仲裁を買って出た甲斐もあったってもんだな。」

 

やまとから視線をそらしつつそう言うとやまとも薄く微笑みながら

 

「そうね。でもあの時は本当に驚いたのよ?」

 

俺とこうとやまとが出会った頃の事を言うやまとに俺は苦笑しながら

 

「仕方ないさ。あの時はああでもしないと仲直りなんて難しいかもって思ったんだし、俺だって必死だったからな。」

 

その後に俺はさらに言葉を付け加えて

 

「それにお前ならそれでもこうの事を見捨てるような事はしない。あいつと親友でいたいと思ってるって思えたからきっと上手く行くだろうって思ったんだ。なんとか、こちらの狙い通りに事は進んでくれたがな。」

 

少しいたずらっぽく笑う俺にやまとも苦笑しつつ

 

「確かに先輩の予想通りに行ったわよね・・・でもあのままこうと元に戻れなかったらきっと後悔してただろうなとは思うわ。そう言う意味では先輩が作ってくれたきっかけは無駄じゃないんだって思えるわ。」

 

そう俺に言ってくるやまとに俺は、一つやまとに確認しておきたい事があったのでその事を聞いてみる事にした。

 

「これからもこうと親友としてやっていきたいとと思うか?やまと。俺としてはこれからもそうあって欲しいとは思ってるが。」

 

やまとにそう問い掛けると、やまとは少し考えるような仕草をして

 

「・・・・・・先輩、この事は先輩と私だけの秘密にしておいて欲しい。その上で言うわ。私はこうとこれからも親友でいたい、そう思ってる。ケンカすることもあるかもしれないけどそれでも私を友として選んでくれたこうには少なからず感謝はしてるのよ。」

 

俺から視線を外しつつ照れるように言うやまとに俺は

 

「2人の秘密って事はわかった。お前の気持ちもな。こうにはそのまま伝えてやりたいが、まあ、俺の胸の中にしまっておくとしよう。それと、今後また何かあるようだったら俺に相談してこいよ?俺の出来る事でならなんとかしてやるから。」

 

そうやまとに伝えると、やまとは嬉しそうに微笑みながら

 

「そうね。その時にはまた相談させてもらうわ。」

 

そう俺に答えるやまとに俺も笑って頷き返すのだった。

 

そんな会話をしながらしばらく歩くとフライドチキンの屋台が見えてきた。

 

俺はやまとに

 

「やまと。みんなを待ってる間ほとんど何も食べてないだろ?あれ買ってくるけど食べるか?」

 

そう聞くとやまとは屋台の方を見ながら

 

「そうね。少しお腹がすいたわ。先輩、もちろんご馳走してくれるのよね?」

 

と言うやまとに俺も頷きながら

 

「ああ。任せろ。んじゃちょっと行ってくるからここにいてくれよ?」

 

と言うとやまとも「わかったわ。行ってらっしゃい」と答えたので俺は屋台の方へと向かった。

 

フライドチキンを買ってやまとの元へと戻ってチキンをやまとに手渡した。

 

「ほい、これ。熱いから気をつけてな。」

「あ、ありがとう。っ!熱いわね中々、でもおいしそう。いただくわね先輩。」

 

チキンを受け取ったやまとは大分熱そうにチキンを持っていたが少し冷ました後食べ始めた。

 

「ふう。中々おいしかったわ。ありがとう、先輩。」

「この位は軽いもんだ。それじゃゴミ片付けてこうのとこ行こうか。」

「そうね。いきましょ?先輩。」

 

そんなやりとりをしつつ、やがて食べ終わり、俺達はゴミを片付けた後、再びこうの元へと移動を開始する。

 

移動の最中やまとは歩きながらも周りをキョロキョロと見回しながら祭りを物珍しそうに見ていた。

 

「地元の祭りも行ったけどここの祭りもまた独特の雰囲気があるのね。」

 

歩きながら俺にそう聞いてくるやまとに俺も頷きながら

 

「そうだな。他にも祭りやってるところは数あるんだろうけどそのどれもが独特の雰囲気を持ってるんだろうなって俺も思う。ここの祭り見ててもそう思うしな。」

 

そう答えるとやまとはどこか感慨深げに

 

「なんだかまた少し視野が広がった、そんな気がするわ。」

 

俺もそんなやまとの言葉に頷きながら

 

「ああ、そうだな。こうして色々知って視野を広げていけるんだろうな。いろいろ経験するのは大事な事だ。どんな些細な事であってもな。」

 

そう言って2人して頷きあいながら歩いていくと、そのうちにこうとの待ち合わせ場所が近づいてきた。

 

「先輩、もうそろそろかしら?」

 

と聞いてくるやまとに俺も

 

「ああ。もう少しだ・・・・・・。よし、到着。」

 

そう答えながら歩いているうちに待ち合わせ場所へと辿り着いた俺たちだった。

 

待ち合わせ場所に付いた俺たちに気付いたこうが俺たちの元へ駆け寄ってきた。

 

「先輩ー、やまとー、ここです。はぐれてしまってすいません。」

 

そう言うこうの声に振り向いてみると、頭にはお面を側頭部被るようにつけて手には鯛焼きを持ち、どうやら俺たちが来ない間大分祭りを楽しんでいたらしいこうの姿が目に入った。

 

「こう。心配したぞ?と一応言っておこうか。」

「その姿見たらやっぱり心配は杞憂だったとわかるわ・・・。ほんと、あなたらしいわね・・・。」

 

俺とやまとのダブルの突っ込みにこうは苦笑しながら

 

「一応って・・・本当は心配してなかったって事ですかー?」

 

少し不満顔で俺たちに抗議してくるこう。

 

俺はそんなこうに笑いかけながら

 

「心配してなかったさ。こんな時のお前は結構しっかりしてるって事知ってるからな。だからお前の迎えは最後に回したんだし。」

 

と俺がこうに言うと、やまとも

 

「そうね。言って見れば付き合いの長さってのもあるわね。あなたの事は親友である私がよくわかってるから。」

 

俺たち2人がそう言うとこうは照れたように

 

「そ、そうですか?そう言ってもらえると嬉しいかも。それだけ私は2人に信用されてるってことなんですね。」

 

と言うこうに再び俺たち2人の突っ込みが炸裂する。

 

「あくまでもそう言う部分ではって事だ。約束した時間の待ち合わせ等に関しては未だ信用薄いって事は自覚しておけよ?」

「先輩の言うとおりだわ。もっとそっち方面もしっかりして欲しいものね。」

 

2人に突っ込まれたこうはかなりショックだったようで

 

「うう、わかってますよ・・・。2人とも酷いよ・・・。」

 

と言って落ち込んでいた。

 

ともあれ、このままここでこうしているわけにもいかないので俺は2人に

 

「そろそろみんなの所へ戻りがてら、出店にも寄っていこうか。」

 

そう言うと2人は頷いて

 

「そうですね。行きましょうか。」

「そうね。でも、こうは自重しなさいよ?私たちが来るまでに楽しんでたんだから。」

 

そう言うやまとにこうは「わ、わかってるよ」と言いつつも少し不満な顔をしてたがとりあえず2人を伴って戻っていく事にした。

 

俺は2人に一応注意を促す為に

 

「2人ともはぐれないようにしろよ?とりあえずやまととこうで手をつないでどちらかが俺と手をつないで離れないように・・・ってこう!?」

 

そう伝えようとした矢先、こうは俺の右腕に抱きついてきた。

 

俺は慌ててこうに

 

「お、おい、こう、何してるんだよ。」

 

そう言うとこうはしれっとした顔で笑いながら

 

「えー?別にいいじゃないですか。前にもやった事あったんだし、今更ですよ?」

 

いたずらっぽい顔を向けながら言うこうになおも俺は動揺しつつ

 

「い、いや、しかしだな・・・。」

 

そこに、その様子を見たやまとが慌ててこうに

 

「そ、そうよ!先輩に迷惑になるから離れなさい、こう!先輩びっくりしてるじゃない!」

 

そう抗議するやまとを見てこうはニヤニヤとしながら

 

「あれー?何を慌ててるのかな?やまとは。別に私と先輩がこんな事してたってやまとには関係ないんじゃないの?」

 

そういってからかうこうにやまとはなおも慌てながら

 

「そ、そういう問題じゃないでしょ?それに先輩だって迷惑してるじゃないの。」

 

そう言うやまとにこうは俺の方を向いて

 

「先輩、こうされるのって迷惑ですか?」

 

と俺に話を振って来るこう。

 

俺は困惑しながら

 

「迷惑と言うかなんというか・・・こういうのって普通、恋人とか好きな人にするもんじゃないか?」

 

そう答えると、こうはきょとんとした顔を向けて

 

「先輩ってお堅いですねー。私としては先輩の事好きですから問題なしですよ?」

 

とさらにニヤニヤとしながらいってくるこうにやまとは顔を赤くして動揺しながら

 

「こ、こう!好きってどういう・・・まさかあなた先輩の事・・・!?」

 

そう言ってくるやまとにこうはしたり顔で

 

「好きだよ?友達として、だけどね。あれれー?やまとはひょっとしてそっちの意味だと思っちゃった?でもそんなに動揺するって事はやまともひょっとして先輩の事を・・・。」

 

ここぞとばかりに逆襲してくるこうにやまとはさらに顔を真っ赤にして混乱しながら

 

「え?ええっ!?わ、私が先輩の事?ちょっ!こう、あなた何言って・・・私は・・・私は・・・そんな・・・。」

 

などと言う2人のやり取りを見ながら俺も顔を赤くして動揺していた。

 

こうはやまとのあまりの混乱っぷりをみてちょっとやりすぎたかな?と思ったらしく

 

「冗談だよ、やまと。ちょっとからかいすぎちゃったね。とはいえ先輩を友達として好きってのは本当だけどね。」

 

こうがやまとにそう言うと、やまとも幾分か落ち着きを取り戻してきたようで

 

「も、もう、こうはいっていい冗談と悪い冗談があるわよ?でも、友達として好きでもあなたはそういう事しちゃうのね・・・。」

 

やまとがこうにそう言うとこうは笑いながら

 

「まあ、スキンシップは嫌いじゃないからついね。でも誰にでもって訳じゃないよ?やろうと思えばやまとにもやるしね。それに先輩だからかな。安心してこんな事できるんだよねー。」

 

というこうの言葉に俺もまだ照れと動揺を交えながら

 

「俺の事をそんな風に見てくれるのはうれしいが、こうのスキンシップは慣れそうにないなあ・・・。」

 

俺がそう言うと、やまとは少し不機嫌そうな顔になって

 

「先輩はもっとそういう事に隙があるっていうのを自覚してもらわないと困るわ。でなきゃこうがますます調子に乗るわよ?」

 

そんなやまとの指摘に苦笑しながら

 

「そうだな。すまん、みっともないとこ見せた。」

 

そうやまとに謝る俺だった。

 

こうside

 

先輩達とお祭りへとやって来て少しの間皆と一緒に回っていたのだけど、気付いたら私は迷子になっていた。

 

その後私がいない事に気付いたやまとから連絡を貰い、私を迎えに来てくれる事になったので私はやまとが来るまでも間、何もしていないのもなんだったので、1人でお祭りを楽しんでいたのだった。

 

ある程度楽しみ尽くした頃、やまとが先輩と共に私を迎えにやって来た。

 

先輩とやまとに突っ込みをもらいつつ、やまとをからかいつつとやっていた私だったが、とりあえずは皆の所へと戻る為に動きだす。

 

その際に再び先輩とやまとをからかうべく、先輩の腕に抱きつく私に期待通り大慌てを見せてくれるやまとと先輩。

 

そんな2人の様子を見て満足する私だったが、その時にやまとの先輩に対する態度を見た時、私は心の中で(やまと、やっぱり先輩の事気になってるんじゃないのかなあ?)と思うのだった。

 

慶一side

 

やまと共にこうを迎えに来て俺は、再びこうのペースに乗せられてからかわれる事となった。

 

俺の腕に抱きつくこうは、中学の時もそうしていた事もあったが、そのスキンシップには未だに慣れず、俺はただただ照れるばかりだった。

 

やまとにも散々睨まれ、俺は萎縮しっぱなしだった。

 

このままはまずいと思った俺は、その後何とかこうを説得して手つなぎにとどめてもらい、みんなが待つ集合場所へ向けて出発した。

 

集合場所に戻りがてら俺は一つ気になってた屋台へと2人を伴って向かうのだった。

 

「よし、着いたぞ。ここが気になってたんだ。」

 

そうして到着したのは射的屋だった。

 

「射的ですか?何を狙うんです?」

「いい景品でもあるのかしら?」

 

こうとやまとが俺に聞いてきたので俺は

 

「まあ、見ててくれ。とりあえず準備しとくか。」

 

そう言って屋台の主人にお金を払って準備をすると俺は銃を構えて狙いを定める。

 

(狙いはあれとあれか、よし!)

 

引き金を引き絞り弾を打ち出すと一つは黄色いリボンに当たり、もう一つは花をあしらったブローチにヒットした。

 

残りはお菓子を取って終了。

 

「よし、こんなもんだろ。」

 

景品を取った俺は2人の元へ行きこうにはブローチを、やまとにはリボンをそれぞれあげた。

 

「2人とも、これは日頃の感謝と俺のささやかな気持ちだ。受け取ってくれると嬉しいが。」

 

俺がそれぞれに取った景品を渡すと2人とも喜んでくれて

 

「ありがとうございます先輩。わざわざ気を使ってくれなくてもよかったのに律儀なとこありますよね?先輩も。ともあれこれは大事にさせてもらいますね。」

 

とこうが言うとやまとも俺に

 

「ありがとう先輩。私にこれ似合うかしら・・・?でもせっかく取ってくれた物だからちゃんと使わせてもらうわ。」

 

そう言ってリボンを受け取ってくれた。

 

その後は帰る途中にこうとやまとに食べ物を奢り、ようやく集合場所へと辿り着いた。

 

「ただいま。ようやく帰ってきたよ。みんなお待たせ・・・って?」

 

俺はそう言って皆に話し掛けようとした時に、こなたが見知った顔の人と話をしてるのが見えたのでこなたの所に行って

 

「ただいま、こなた。それとこんばんは成実さん。あの時以来ですね、今日はお仕事ですか?」

 

声をかけた俺に気付いたこなたとゆいさんが俺に

 

「あ、お帰りー慶一君。ってあれ?慶一君ゆいねーさんの事知ってるの?」

「んう?あー君は確かあの時ゆたかを助けてくれた森村君じゃない。こなたとも知り合いなの?」

 

そう返事してくる2人に俺も少し困惑気味で

 

「ああ。前にちょっとな。ってゆいねーさん?成実さんってお前の知り合いなのか?成実さん、実は、俺はこなたとは同級生なんですよ。それと、ゆたかはあれから元気にしてますか?」

 

と俺が聞くとこなたは

 

「うん。ゆいねーさんは私の従姉なんだよ。それにしてもゆいねーさんだけでなくゆーちゃんの事も知っていたとは・・・。」

 

そう言って成実さんも

 

「うん。ゆたかのは生まれつきだからね、私も一応注意しながら見てるよ。そっかー、こなたとは同級生だったんだね。私もさっきは他の子達とこなたを見て同級生だと気づかないで恥ずかしいこと言っちゃってたしね。」

 

そう言いながらさらに言葉を続けて

 

「今日はこういうお祭りの日だからね。交通課としては事故がおきないように見回りをしないといけないんだよ。」

 

と言う成実さんの両手にはフランクフルトと水風船、頭にはお面とどうみても仕事してるようには見えなかった。

 

俺達は心の中で(仕事っていってるけど思いっきり楽しんでませんか?)と突っ込みをいれるのだった。

 

そうこうしてると、成実さんの同僚の人がやってきてゆいさんを引っ張っていってしまった。

 

俺達はその様を半ば呆れたように見送っていたがその後こなたに

 

「ねえ慶一君。ゆーちゃんの事について聞かせて欲しいんだけど?」

 

と言われたので、俺はとりあえず事情を説明した。

 

すると、こなたはなるほどと一応の納得はしてくれたのだった。

 

「そっか。じゃあ、ゆーちゃんが言っていた森村さんって慶一君の事だったんだね。ゆーちゃん感謝してたよ?私からも改めてお礼言わせてね。ありがとう慶一君。」

 

そう言って御礼を言うこなたに俺は後頭部を掻きつつ照れながら

 

「たまたま俺がその場に居たからできた事さ。ゆたかの運が良かったってのもあるよ。それに大した事したわけじゃないしそう改めて言われると照れるな。」

 

と言う俺の答えにこなたは笑って

 

「慶一君はおくゆかしいねえ。まあそういう所も慶一君のいい所なんだろうけど。」

 

と言うこなたに俺はますます照れるのだった。

 

みんなと合流した後最後に俺達は全員で再び出店等を回って今日のお祭りイベントは何とか無事に終わったのだった。

 

祭りを終えてとりあえず家へと全員で帰宅してみんなは風呂に入ったり浴衣から私服へと着替えたりと各々がすべき事を終えて俺たちはリビングに集まっていた。

 

「ちょっとトラブルあったけど、今日は楽しかったな。」

 

俺が今日の感想を漏らすとみんなは

 

「そうだね。でも楽しかったなー。いい物も手に入ったし、ほくほくですよ♪」

 

と、嬉しそうに言うこなた。

 

「まあ、今回あんたが迷子にならなかったというのが意外な気はするけどね。慶一くん、今日はつかさを助けてくれてありがとう。それと金魚大事にするからたまに家に見に来てやってよ。」

 

つかさを迎えに行ったときの事を思い出して俺に改めて礼をいうかがみ。

 

「今回はめいわくかけちゃってごめんね?けいちゃん。助けてくれた事本当にありがとう。おねえちゃんと一緒に金魚大事にするからね。」

 

そう言いつつ、迷子になった事を気にしながらもかがみと一緒に金魚を育てようと思っているつかさ。

 

「今度来る時はご迷惑をおかけしなくても済むかと思います。また一緒に楽しみたいですね。」

 

にこにこといつもの笑顔で言うみゆき。

 

「一緒にいてくれて大分心強かったわ。カチューシャ大切にするからね。」

 

俺があげたカチューシャをつけて嬉しそうにしてるあやの。

 

「あやのやみんなにも迷惑かけちゃったけど私は楽しかったゼ?またみんなで行きたいよなー。」

 

今回の祭りを思い切り楽しんでいたみさお。

 

「色々ありましたが今回も楽しかったです。またこういうイベントの時は誘ってくださいね。」

 

こちらも相当楽しんでいたこう。

 

「私も今日は楽しかったわ。これからもこんな風に回れたらいいわね・・・。」

 

こうの行動に頭を痛めつつもそれなりに楽しんでいたやまと。

 

みんな最後は笑顔だった。

 

俺はそんなみんなの笑顔を見ながら、この楽しい生活がこれからも続くならば俺はどんな苦労も楽しんでやろう、と心に思うのだった。

 

すでに終電もなくなっていたので全員を家に泊めて次の日の朝一でみんなと別れた。

 

こうして波乱のお祭り巡りが幕を閉じたのだった。

 

旋律達と巡る祭り。

 

さまざまな事があったけれど俺にとっても忘れられない思い出となった。

 

もうすぐ夏休み、俺はさらにこれから起こるかもしれないこの騒がしい生活に、期待に胸を膨らませている自分に思わず笑みを浮かべるのだった。

 

 

 


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