らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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第3章 旋律達の誕生日とエピソード編 
旋律達の誕生日〜こなたとみさお〜


旋律達との勉強会の後、ゴールデンウィークも終わり、俺達は連休明けの実力テストを受けた。

 

勉強会の成果もあってか今回は勉強会に参加した面々はいつもよりいい成績を取れたようで、皆一様に満足気だった。

 

ひとまず皆でその試練を乗り越えた後、俺は今、今月中にあるイベントに関してどうするべきかと頭を悩ませているのだった。

 

俺の頭を悩ませるイベント。

 

それは、こなたとみさおの誕生日の事なのだった。

 

こなたの方は月末という事もあって本人もそれをやりたいという確認はとれたのだが、みさおの方は部活等忙しいらしく、本来のみさおの誕生日には誕生日会をやる余裕もないらしいという事を本人からも聞いていた。

 

とはいえ、みさおはこなたの誕生日会には出れるという事は後で言っていたので、参加者の頭数に加わってもらう事となった。

 

一応みさおには誕生日会が出来ない代わりに俺達はせめてプレゼントでもと思い、みさおが喜びそうな物を選んでそれぞれがそれぞれの物をみさおに送った。

 

俺はみさおが走る事が好きなのだと聞いていた事があったのと、みさおらしいだろうという理由からみさおに新品のジョギングシューズを送ったのだった。

 

みさおはみんなからプレゼントを貰うと少し照れながら「ありがとなー。」とみんなにお礼を言っていた。

 

みさおは俺にも礼は言ってくれたのだが、俺はなにかみさおに出来る事がないだろうかと思い、色々考えを巡らせていた。

 

散々考えを巡らせた末、そこで俺はある決断をする事にしたのだった。

 

俺は、みさおがいない時に皆にある提案を持ちかけてみた。

 

「なあみんな、みさおの誕生日会出来なかった代わりに俺達はあいつにプレゼント送ったけどさ、なんとなくそれだけってのも寂しい気がしたんだ。それで一つ提案があるんだけどさ・・・・・・って事なんだけどどうだろう?」

 

そう言って俺が提案を持ちかけると、皆も頷きながら

 

「私は別に構わないよ?みさきちも一応は私達の友達であり仲間だしねー。」

「まあ、あんたがそうしたいっていうなら私もその提案、乗ってあげてもいいわ。」

「やっぱり1年に1度の事だし、ちゃんとやりたいよね~。」

「私達で思い出に残るイベントにしてあげたいですよね。」

「私もみさちゃんの事ちゃんとお祝いしてあげたいわ。私の時もみさちゃんは美佐ちゃんなりだったけど、お祝いしてくれたから。」

 

そう言って揃って賛成をしてくれたので、じゃあ当日はそうしよう、って事でこの話は当日まではみさおには秘密という事になった。

 

それから少しして俺は、勉強会でのゲーム大会の優勝者であるかがみのお願いを実行する事になったのと、さり気なくこなたの望むプレゼントを吟味すべく、こなたとかがみの2人と共に再び秋葉腹へと赴いていたのだった。

 

「何か私お邪魔だったかな?2人っきりの方がよかったー?」

 

そう言いながらニヤニヤとしているこなたにかがみは

 

「べ、別に2人っきりで、何て事も言ってたわけじゃないんだし、構わないわよ。」

 

顔を赤くしながら反論する。

 

そんなかがみの様子をみてこなたはさらに

 

「ほんとにー?ほんとはちょっと残念、だとか思ってるんじゃないー?」

 

追い討ちをかけるとかがみはさらに顔を赤くして

 

「そ、そんな事ないわよ!べ、別にそんなんじゃないんだからね!?勘違いしないでよね!!」

 

ますます慌てるかがみにこなたは

 

「はいはい、そーですねー。全くかがみは素直じゃないんだから。」

 

そう言って更なる追撃になる言葉を発すると、かがみは顔をますます赤くしながら激昂してこなたに詰め寄り

 

「こ、こなたあー!あんた、殴る!絶対殴るからそこ動くな!」

 

そう言いながらこなたを追いまわすかがみ。

 

俺はその様子を苦笑しながら見つつ

 

「まあ、かがみがそれでいいって言うのなら俺は別に構わないがな。それと、こなた。お前は少し自重を覚えような。」

 

そういう俺を見て何故かかがみは少し複雑そうな顔をしていた。

 

俺はかがみのその表情を見て頭にハテナマークを飛ばしていたが、かがみはそんな俺の顔を見るとため息を一つつきつつこなたを追うのをやめて

 

「・・・まあいいわ。とりあえずまずは私の目的の方から回らせてもらうわよ?」

 

かがみがそう言うとこなたもさっき追いかけられていたのはどこへやらで

 

「おっけー。それじゃ早速行くとしますかー。」

 

そう言って俺達と共に今回向かった先はゲー○ーズだった。

 

俺は店内を見回しつつ

 

「今回はここか。ここも○二○イト同様、品揃え的には悪くない店だよな。」

 

と言う感想をもらすと、こなたもにこにこしながら

 

「だよねー。この店も捨てがたいもんね、私もよく利用するしさー。」

 

こなたも嬉しそうにそう答え、かがみも一応は納得してるらしく

 

「まあ、店の雰囲気とかに目をつぶれば確かに品揃え豊富よね。普通の本屋さんに比べるとさ。」

 

そう言いつつ、俺達はお互いに頷きあっていた。

 

その後こなたは漫画を、かがみはラノベをそれぞれ選んでいった。

 

漫画とラノベを選ぶ途上で2人は俺に

 

「慶一君は漫画とかは読むほう?」

「慶一くんはラノベみたいのとかは好き?」

 

と聞いてきたので俺はどちらもそれなりに読むほうだったので

 

「漫画もラノベもそれなりに読むぞ?どちらもそれなりに魅力はあるしな。」

 

そう答えると2人とも結構嬉しそうだった。

 

その後もこなたの用事にふりまわされつつ秋葉腹の町を散策して回る俺達。

 

その中で俺は、こなたが欲しがってる物がないかどうかをさり気なく観察してみたのだが、なんというかゲーム系とかグッズ系に偏りがちで、結局そっち系のプレゼントは用意すべきなのかもしれないと思い、そっちはチェックを入れておいた。

 

その買い物の途中で一つこなたとみさおに似合いそうなアクセサリーを見つけた俺はさり気なくそれを購入しておくのだった。

 

こっそりとアクセサリーを買っている所をこなたに目撃されて色々追求されもしたが適当にごまかしておいた。

 

そして最後にやってきた場所はやはり定番のゲームセンターだった。

 

「ふっ、やはりここに来ないと終われないよね。」

 

不敵な笑みでうんうんと頷きながら言うこなた。

 

そんなこなたにかがみは呆れ顔で

 

「はいはい、どうせそうじゃないかとは思ってたわよ・・・。」

 

そう言っていた。

 

俺もかがみの言葉に苦笑しながら、こなたと再会した時の事を思い出して

 

「そういや、こなたと再会したのもゲーセンだったよな?」

 

俺がこなたにそう言うとこなたは俺の言葉に頷いて

 

「そういえばそうだね。あの時は八坂さん達と来てたんだよね?慶一君は。」

 

こなたは笑いながら言う。

 

かがみも興味があったのか俺に

 

「へえ?慶一くん、八坂さん達とここに来てた事あったんだ?」

 

そう聞いてきたので俺も

 

「まあな。あの時はあいつらの陵桜の入試合格祝いを兼ねて遊びに来てたからな。その時こうと対戦してるこなたがいた訳だが。」

 

俺がそう答えると、こなたは何故か少し不機嫌な顔を俺に向けながら

 

「合格祝いか。美女2人を連れて両手に花、してたんだねー・・・。」

 

少しトゲのある言い方をされた。

 

かがみも少し面白くなさそうな表情を作りつつ

 

「そういうのにもきっちり付き合ってあげるあたり、慶一くんも意外と優しいのね。」

 

こちらからも何故か突き刺すような言葉を貰う俺だった。

 

俺はそんな2人の言葉に困惑しながら

 

「どうしたんだよ2人とも、なんだか急に機嫌悪くなってないか?」

 

少しうろたえながら2人に言うと2人は俺の方を一瞥してから「「別にー。」」と言いながら俺を1人残してゲーセンへと入っていく。

 

俺は慌てて「ちょっ、待てよ2人ともー!」と言いながら2人を追ってゲーセンへと入っていった。

 

ゲーセンに2人を追っていくと、こなたは早々に格ゲーコーナーへと行ったようだ。

 

かがみは入り口近くのUFOキャッチャーを見ながら景品の物色をしているようだった。

 

とりあえず俺はそんなかがみに声をかけることにした。

 

「かがみ、何か欲しい物でもあるのか?」

 

そう尋ねると、かがみはある台の方を指差して

 

「あの台のぬいぐるみ狙ってみようかなって思ってね。こなたの方は後で迎えに行くとして、一人だと心細いから少しの間一緒にいてくれない?」

 

手を合わせてかがみが頼んできたのを見て、特に断る理由もなかった俺は

 

「ああ、いいよ?近くにいるから思う存分やるといい。」

 

そう答えるとかがみは少し顔を赤くして

 

「あ、ありがと・・・それじゃちょっとやってみるわね。」

 

俺にそう言うと、そそくさとお金を崩しに両替機の方へ向かった。

 

こなたside

 

慶一君とかがみから離れて私はいつも遊びに来る格ゲーコーナーへとやってきていた。

 

(さっきはちょっとおかしかったな私・・・あの時慶一君達と会った時はなんでもなかったのに何かさっきも嫌味言っちゃってたし・・・まあ、考えていても仕方ないか。今日も楽しみますかねー♪)

 

そう考えながら周りを見渡してみたが、今回は八坂さんがいないようだったので少し安堵しながら手近な相手との対戦を行う事にした。

 

「さあ、今回は私を脅かすほどのつわものがいるかなー?」

 

そう呟きながら対戦をスタートさせる私だった。

 

かがみside

 

慶一くんにあんな事を言ってしまってから私は恥ずかしさを押し殺しながら両替機へと逃げるように走ってきていた。

 

(うーん、1人になるのがちょっと嫌かもと思ったからつい慶一くんにあんな事言っちゃったけど慶一くんに寂しがりやな子とか思われていないかしら?あの時の秋葉腹での一件もあってつい頼りにしちゃうようになっちゃってるわね。でも、彼優しいからなあ・・・。)

 

心の中で少し恥ずかしい事を思いながら両替を済ませて欲しい景品の入っているUFOキャッチャーへと戻っていった。

 

慶一side

 

さっきのかがみとのやり取りを思い出しながら

 

(まあ、確かに女の子1人きりでほったらかすのは良くないよな。前に秋葉腹へきた時の事もあるし、俺が目を光らせておくに越した事はないよな・・・。)

 

などという事を考えながら両替機の方を見やると両替を終えたかがみが戻ってくる所だった。

 

かがみは目的の台について早速景品を狙い始めた。

 

「えい、このっ、ああ、失敗・・・ええい!もう1回!」

 

「あ、嘘、なんで?そんなー・・・。」

 

かがみの近くに来るとそんな悲痛な声が聞こえる。

 

俺はかがみに

 

「戦果の程はどうだ?かがみ。」

 

と、尋ねたが、俺のその言葉が聞こえていないのか、かなりの額を使って盛大に落ち込むかがみの姿があった。

 

ほどなくして俺の声に気付いたらしく、かがみは俺のほうに悔しそうな顔を向けると

 

「あ、慶一くん。気付かなくてごめんなさい。頑張っては見たんだけど、結局お金だけ無駄に消費して戦果はゼロだったわ・・・見た感じでは楽に取れそうにみえたんだけどなあ・・・」

 

と、言って更に落ち込むかがみを見て思わず苦笑する俺。

 

俺はそんなかがみの姿を見てため息一つついてから

 

「まあ、取れなかったんじゃしょうがないな。かがみ、今度は俺がやってみるよ。欲しいのはあれでいいんだな?」

 

そう、かがみに聞くと、かがみははっと顔を上げて俺の指差す先を確認すると

 

「う、うん。でも、とれる?」

 

不安そうに聞いてくるかがみに

 

「まあ、100%とはいかないが、なんとかなるさ。」

 

と、景品を見据えながら言う俺にかがみは俺に期待の眼差しを送りつつ「頑張って。」と声をかけてくれた。

 

俺はその励ましを受けながらUFOキャッチャーのアームを操作していく。

 

結果1度ミスったが、2度目で目的の景品を取ることができた。

 

俺はかがみに景品を渡しながら

 

「ほら、1度ミスったけどなんとかなったぞ?」

 

笑いながらかがみに言うとかがみは顔を赤くしてうつむきながら

 

「あ、ありがとう・・・これ大事にするね?」

 

と言ってくれた。

 

俺はそんなかがみの言葉に顔を少し赤くして照れていたが、そろそろ時間もいい頃合だったので俺はかがみに

 

「かがみ、そろそろこなたを迎えに行こうか。」

 

そう声をかけると、かがみも時計を確認して頷きながら

 

「そうね、そろそろ帰らないとまずいしね。」

 

そう言って同意してくれたので、俺達はこなたを迎えに行った。

 

やがて格ゲーコーナーに辿り着き、そこで破竹の快進撃を続けるこなたに俺とかがみは

 

「こなたー、そろそろ時間だから切りのいい所で切り上げろよ?」

「そうよ?そろそろ帰らないと怒られちゃうしね。」

 

そう声をかけるとこなたもプレイしながら

 

「うん、わかったよー。これで終わりにするからー。」

 

そう返事を返した後ぎりぎりの差でわざと負けてこなたはゲームを終えた。

 

「いやー今日も戦ったよー♪」

 

さっきの機嫌の悪さはどこへやら、すっかり満足気なこなただった。

 

俺はその様子を見ながら

 

「大分勝ちまくってたみたいだな。前に見たときもそうだけどお前かなり格ゲーの腕すごいよなあ・・・。」

 

感心したように言う俺にこなたはない胸を張って

 

「ふふふ、格ゲーはどんと来い、だよー♪」

 

そんなこたなの言葉にかがみも

 

「まあ、あんたの強さは私も体験済みではあるからね・・・こなたには勝てん。」

 

少し悔しげに言うかがみ。

 

そんなかがみにこなたはニヤニヤとしながら

 

「かがみんはもっと修行しなきゃねー。」

 

こなたがまたも自爆するような事を言うと案の定

 

「こなた、かがみんいうな!」

 

鋭い突っ込みが入っていた。

 

やれやれと両手を広げながら俺は2人に

 

「とりあえず帰るぞ?あまり遅くなってもいけないからな。」

 

そう言うと2人も

 

「そうだね、そろそろ行こうー。今日は楽しかったなー♪」

「まったく、こなたの相手してると時間すら忘れそうになるわよ。慶一くん今日は付き合ってくれてありがとね?」

 

そう返してきたので俺も笑いながら

 

「ははは、別にこの程度の事ならなんてことないよ。俺もそれなりに楽しかったから気にしないでいいさ。とりあえず今日はこれで、来週のこなたの誕生日会は楽しくやろうな。」

 

そう返事をすると2人とも笑顔で

 

「うん、楽しみにしてるよ。慶一君、プレゼントよろしくねー?」

「まったくあんたは・・・まあ、お祝いくらいはしてあげるわよ。じゃあまたね、慶一くん。」

 

そう言いながらそれぞれの家へと帰っていった。

 

それから1週間後・・・・・・

 

こなたの誕生日会が行われる事となったのだが、その会場にはまたしても俺の家が選ばれた。

 

こなたいわく「慶一君の家なら気兼ねしなくていいし。」との事だった。

 

俺は、少しは気にして欲しいと心の中で思いながらも結局オーケーしてしまったのだった。

 

部屋を片付けてしばらくすると、続々とみんなが集まってくる。

 

今回はこうとやまともこなたのお祝いをしたいという希望もあって、こなたに聞いてみた所、許可も出たので参加する事になった。

 

「先輩、こんにちは。もうみんな来てますか?」

「こんにちは先輩、勉強会以来ね。ところで今日の主役はもうついているのかしら?」

 

そう言いながらやってきた2人に俺は頷きながら

 

「ああ、すでに待機済みだよ。後はお前らだけだったからな。とりあえずあがったあがった。」

 

そう言うと、2人も俺の言葉に頷きつつ

 

「「おじゃましまーす。」」

 

そう言って、2人は挨拶をしながら上がってくる。

 

パーティ会場になっているリビングへ着くとこなたたちがすでに待っていた。

 

「遅いよー?2人ともー。もう少し遅かったら先にはじめちゃう所だったよ。」

「こなた、せっかく来てくれたのよ?他に言う事はないの?」

「八坂さん永森さんいらっしゃい~。今日は楽しんでね~?」

「お2人ともよく来てくれましたね。泉さんも喜んでくれてると思いますよ?」

「2人とも元気だった?また何かあったら声かけてくれたりしてくれるとうれしいかな。」

「元気そうだなー、私は相変わらずだけどさ。まあ、今日は楽しもうゼ?」

 

そう、皆から声をかけられる2人。

 

そんな皆の言葉に2人とも笑顔で

 

「みなさんありがとうございます。泉先輩、今日は誕生日おめでとうございます。」

「今日は楽しませてもらうわね。泉先輩、誕生日おめでとう」

 

こなたにそう言うのを切欠にかがみ達も

 

「こなた、誕生日おめでとう。これ私からよ?」

「こなちゃん誕生日おめでとう。私からはこれ~。」

「泉さんお誕生日おめでとうございます、私はこれを。」

「泉ちゃん、誕生日おめでとう。気にってくれるかどうか分からないけどこれ私から。」

「ちびっこ、誕生日おめでとさん。これは私からだ。」

「誕生日おめでとう、こなた。俺は一応お前の好きそうな物をチョイスしておいたぞ?」

 

それぞれそう言いながらこなたにプレゼントを渡す。

 

こなたはプレゼントを受け取りながら、満面の笑みを浮かべて

 

「みんな、プレゼントありがとねー♪」

 

と、嬉しそうに言っていた。

 

それと同時に、兼ねてからみんなと打ちあわせておいた事を実行した。

 

「みさお、こなたの誕生日ではあるけど、お前の本来の誕生日には予定が入っていて当日には出来ないって聞いていたからな、その日の代わりに今日ここでやってやろうってみんなで相談してたんだ。だからこれはお前の誕生日会でもある。だからお前も楽しんでくれ。これはあの日お前に渡したプレゼントとはまた別のプレゼントだ。受け取ってくれ。」

 

そう言って俺は、みさおにもう1つのプレゼントを渡す。

 

それを切欠に皆も

 

「まあ、そういう事なのだよみさきち。せっかくだから一緒に楽しもうよ。」

「日下部。慶一くんはあんたの事も考えてくれたんだから、今日はこなたと一緒に楽しみなさいよ?」

「良かったね、日下部さん。こなちゃんと一緒に楽しんでね?」

「日下部さん、これは私達で話し合って決めた事なんです。だから今日は泉さんと一緒に楽しんでください。」

「みさちゃん、後で慶ちゃんにちゃんとお礼いっておかなきゃだめよ?みさちゃんの事気にかけてくれてたんだから。」

「日下部先輩、今日は当日できない誕生日会の分まで楽しんでくださいね。」

「改めておめでとう。日下部先輩。」

 

みんながそう言い、その言葉にみさおは最初驚いたような顔をしていたが、やがて嬉しさがこみ上げてきたのだろう、太陽のような笑顔を見せながら

 

「みんな、ありがとーな。まさかこんなサプライズあるなんて思わなかったってヴァ!」

 

そう言った後、俺にさっきのプレゼントの事を聞いてきた。

 

「なあ、慶一さっきのプレゼント開けてみてもいいか?」

 

そう聞いてくるみさおに俺は頷いて

 

「ああ、開けてみてくれ。」

 

箱を開けるように促すとみさおはプレゼントの箱を開ける。その中には星をかたどったペンダントが入っていた。

 

それを見たみさおは驚きながら俺に

 

「な、なあ、これ本当にもらっちゃってもいいのか?私に似合うかな?こんなの。」

 

おずおずと聞いてくるみさおに俺は笑顔で

 

「ああ、そのために選んだ物だからな。俺はお前には似合ってると思うんだがな。」

 

そうみさおにいうとみさおは顔を赤らめながら

 

「そ、そうかな?それじゃ、その、慶一、これサンキューな。」

 

そう言って嬉しそうに受け取ってくれたので俺も安心したのだった。

 

そんな2人のやり取りを見てこなた達は

 

「いいなー。みさきちうらやましい。」

「何か日下部だけいい思いしてるような気がするわね。」

「可愛いペンダントだよね。いいなあ・・・。」

「星、ですか?何か意味のあるものなのでしょうか?」

「よかったね、みさちゃん。いい誕生日になったみたいで。」

「日下部先輩うらやましいですね。私もそんなプレゼントもらってみたいですよ。」

「優しい所は相変わらずね、先輩・・・。」

 

そう口々に訴えかけてくるのだった。

 

俺はそれらに苦笑しつつ、誤魔化しつつ

 

「ほ、ほら、ケーキのろうそく2人で消せよ。」

 

と言って話をそらすと、まだ若干納得行ってない風ではあったが、こなたとみさおは2人でケーキのろうそくを吹き消した。

 

沸き起こる歓声と拍手が2人をつつみ、一応の誕生日の儀式は終わったのだった。

 

その後はケーキをみんなで切り分けて食べた。

 

その時にこなたがかがみにニヤニヤとしながら

 

「かがみ、前ダイエットしてるとかいってなかったっけ?」

 

と言うと、かがみは明らかにうろたえて

 

「う、うるさいわね!今は自分の標準体重だからいいのよ!」

 

と、こなたに苦しい言い訳をしていた。

 

俺からみたらかがみはそんなに気にするほどに太ってるようには見えなかったんだが、かがみの鉄拳が怖いので言わないでおくとこにした。

 

みんなもそんな2人の様子を苦笑しながら見ていたが。

 

その後はゲームしたり、雑談したり、映画を見たりと色々楽しんでいたが、そろそろ頃合となったのでそれぞれに後片付けをして今回の誕生日会はお開きとなった。

 

それぞれがそれぞれの家へと帰っていくさなか、最後に俺の家を後にしようとしていたこなたに俺は声をかけた。

 

「こなた、ちょっとまってくれるか?」

「ん?なにー?慶一君。」

 

俺の方を振り向くこなたに俺は誕生日会で渡したのとは別のプレゼントをこなたに渡した。

 

「これ、お前にさっき渡した誕生日プレゼントとは別のプレゼントだ。受け取ってくれるか?」

 

そう言ってこなたに包みを渡した。

 

こなたは包みを受け取りながら

 

「え?でも、いいの?さっきも貰っちゃってるのにさ。」

 

そう言ってくるこなたに俺は笑いながら

 

「ああ、一応秋葉行った時に探したやつさ。お前に似合うかもと思って買ってきたんだ。」

 

俺がそう言うとこなたはプレゼントの包みをじっと見つめて

 

「開けてみてもいいかな?」

 

と俺に聞いてきたので俺も頭をかきながら

 

「ああ。ま、気に入ってくれたらいいんだが・・・。」

 

と答えるとこなたは包みを開け始めて中に入っていた箱を開いた。

 

そこに入っていたのは、青い翼の中心に星が1ポイントあしらわれている飾りのついたブレスレットだった。

 

こなたをそれを見つめながら

 

「綺麗だね。これほんとにもらっちゃっていいのかな?」

 

そう俺に確認してくるこなたに俺は

 

「まあ、気に入らなかったら売ってしまっても構わないけどさ。」

 

苦笑しながらそう返すとこなたは俺に笑顔を向けて

 

「そんな事しないよー。こんなに綺麗な物だし私気に入っちゃった。ちょっとまっててね?」

 

そう言いながらこなたはブレスレットをはめて俺に見せてくれた。

 

俺はその様子をまじまじと見ながら

 

「うん、やっぱ、こなたのイメージにはあうな。俺のセンスも捨てたもんじゃない。」

 

と素直に感想を言うと、こなたは俺のその言葉に顔を赤くしながら

 

「あはは、何か嬉しいな・・・今までとはまた一味違った誕生日になったよ。慶一君、ありがとう。」

 

そんなこなたにドキリとしながら、俺も照れたように

 

「いや、その、喜んでくれたのなら俺も嬉しいから。」

 

そう言うと、改めてこなたは笑ってくれた。

 

俺は、そんなこなたに同じように笑顔を向けるのだった。

 

こなたを駅まで送っていく途中こなたがふいに

 

「今日は楽しかったよ。慶一君本当にありがとうね。来年もまたやりたいなあ・・・。」

 

と言い出したのを聞いて、俺もこなたに微笑みながら

 

「そうだな。でもそれを望むなら、俺達がその気になればまたできるさ。来年だけと言わずこれからもずっとさ。俺達が仲間でいる限り、つながりがある限りはさ。」

 

そう言うと、こなたも俺に笑いかけながら

 

「そうだね、そうだよね。私たちならこれからもずっとできるよね。」

 

そう言うこなたの言葉に俺も力強く頷くと

 

「ああ、そうさ。俺達がそうしたいと思うならずっと、な。」

 

そう言って俺達はお互いに約束を交わし、その日は別れたのだった。

 

こなたside

 

連休も明けてテストも終わらせ、私は自分の誕生日を今月の末に控えていた。

 

慶一君達も私の誕生日の事は覚えていてくれたみたいで、皆でお祝いしてくれる事になり、私はその事を喜んでいた。

 

その際に、みさきちの方は部活等で誕生日になっても誕生日会ができない、という事を知り、それに気を使った慶一君は、なら、私の誕生日会に一緒にやったらどうか?と提案して来た。

 

みさきちも私にとってはもう友達だし、そんな慶一君の提案には異存はなく、皆もそれでいいと言っていたので、プレゼントだけは前渡ししたが、誕生日会だけはその日に一緒にをやる事となったのだった。

 

その後、誕生日会の当日になり、皆で集まって合同の誕生日会を行い、皆から私へのプレゼントを貰う事となったのだが、その時に慶一君は私やみさきちに今回あげたプレゼント以外にもう1つ用意してくれたプレゼントをもらう。

 

意外な慶一君の気遣いでもらったプレゼントを左手首にはめて、私はその日、上機嫌で家へと帰ったのだった。

 

(うーん。みさきちと一緒に誕生日会やる事になるとは思わなかったけど、これはこれで楽しかったなー。皆からもらったプレゼントも嬉しかったしねー。でも、慶一君がくれたもう1つのプレゼントはそれよりももっと嬉しかった気がするな。すごく綺麗だし、これは絶対大切にしよう。そして、今度は私が慶一君の誕生日には何かおかえししなきゃね。今から楽しみだなー。)

 

そう心の中で思いつつ、慶一君からもらったプレゼントに再び目をやって私は笑みを浮かべると、ベットに潜り込んで休む事にしたのだった。

 

その夜に見た夢を私は覚えていなかったが、それでも楽しい夢を見た気がしたというのだけはなんとなく分かる私だった。

 

みさおside

 

連休が終わり、テストも何とかクリアをし、仲間達と教室で雑談をしていた時に今月の28日がちびっ子の誕生日だという事を知った。

 

その後は他の連中の誕生日の話題等も上がったりして、ならそれぞれに誕生日を祝おうと言う話にもなっていったのだが、その際、私は自分の誕生日にどうしても都合がつかない事を皆に話した。

 

それを聞いていた慶一が気を使ってくれて、誕生日会が出来ない代わりにプレゼントを用意してくれ、みんなからのプレゼントを先貰いしたのだった。

 

けど、サプライズはそれで終わらず、私の誕生日会が当日できないのであれば、ちびっ子の誕生日会の時に一緒にやってあげよう、という事になっていたらしく、ちびっ子の誕生日会の当日にそれを知らされてなおかつ、あの時に貰ったプレゼント以外のものを慶一からプレゼントされて私は嬉しくなり、今度は慶一にもちゃんと返さなきゃな、と思いながら、その日の誕生日会を過ごしたのだった。

 

私は慶一から貰ったペンダントを軽く撫でながら今日の事を思い出す。

 

(私の誕生日の当日にはどうしても私の都合がつかねーから今回はちょっと諦めてたけど、慶一が気を利かせてくれたおかげで思いがけず今日に誕生日会、って事になっちまったなー。とはいえ、プレゼントももらえたし、すっげえ嬉しかったけど。それに、慶一からは2つもプレゼントもらっちまったもんなー・・・こりゃ、しばらくは慶一には頭あがんねーぞ?でも・・・これを貰った時に慶一がかけてくれた言葉はちょっと嬉しかったぞ?似合う、って言ってくれたしな。おっし!せっかく貰ったんだしな、これはぜってー大事にすんぞ。んで、今度は私がこの借り返さなきゃ、だよなー。へっへっへ、今後もまた、楽しくなりそーだゼ!)

 

私はそう考えつつ、これからの楽しみを思い、今日という思い出に残る日を終えるのだった。

 

 

 

 

慶一side

 

今日は旋律達の誕生日。

 

けれど、これは終わりではなく始まりだ。

 

旋律達の数だけ誕生日もある。

 

なら俺は、これからもそれすらも楽しんでいこう。

 

再びやって来る次の旋律の誕生日を思い、俺は、その全てを楽しみ尽くしていきたいと思うのだった。

 

 

 


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