旋律達と色々な事のあった勉強会合宿もいよいよ最終日を迎えた。
今日を持って一時勉強会は終わりを迎えるが、俺達は昨日の晩にこれが終わっても俺達が望むならまたイベントを起こしたいと言う意思をお互いに確認しあった。
それがあれば今回の終わりも終わりではないのだ、と俺達は心に刻んでいるから、たとえ一時の終わりであっても寂しくはないのだとこの中の誰もが思えていた。
そして最終日の朝、俺は部屋に誰かの気配を感じて目を醒ました。
気配の方を見てみると何かを企むかのような笑顔を浮かべながら俺の顔を覗き込んでいるこなたを見つけた。
俺はこなたの様子をうかがうためにあえて寝たふりをしてみた。
するとそれに気付かないこなたは
「慶一君ー朝だよー。起きてー?起きないといたずらしちゃうぞー?」
ニマニマとしながら俺を起こしにかかる。
俺が中々起きないとみるやこなたは俺の上に覆い被さって来て
「ふっふっふっ、さあどうしてあげようか。目覚めのキスでもしちゃおうかなー?」
というこなたの台詞を聞いた俺は、少し焦りつつもおもむろに起き上がりこなたの額に無言でデコピンをかますのだった。
「朝っぱらから何してるんだ、お前は・・・。」
呆れた顔でこなたに言うと、こなたは涙目で
「うう、痛いよ・・・慶一君、いつから気付いてたのさ?」
抗議の声をあげながら俺がどこから気付いていたかを聞くこなたに俺は軽いため息を1つつきつつ
「お前の気配を部屋に感じた時からだ。その後は寝たふりをしてお前の様子を見ていた。」
そう言い放つと、こなたはそんな俺の言葉に頬を膨らませながら
「ひどいよー、起きてたのならなんですぐに反応してくれなかったのさー。」
そう言いながら、両腕を振り上げながらさらに抗議する。
俺はそんなこなたの態度に
「お前が何をするのかを見極める為だ。ったくリアクションに困りすぎたぞ?」
呆れ顔でこなたに言う俺にこなたはなおも頬を膨らませて
「むうー・・・」
と唸りながら拗ねていた。
俺はこなたが俺の部屋にいると言う事に改めてその違和感に気付き、疑問をこなたにぶつけてみた。
「こなた、そういえばお前は何で俺の部屋に居たんだ?というよりも俺よりも早く起きている事に物凄く驚きを隠せないんだが?」
そんな俺の言葉にますます頬を膨らませ、さらに抗議をぶつけてきた。
「慶一君それは酷いよ。私だってたまには早く起きれる事だってあるよ。最終日くらいは慶一君の手を煩わせないように気を配ったのにー。」
俺はこなたの真意を聞いてちょっと言い過ぎたかな?と思いこなたに
「そういう事か。すまん、こなたがやる気になってくれてたのに茶化すような真似しちゃったな。」
そう言って謝罪すると、こなたはまだ少し不満がありそうだったが俺に笑いかけながら
「いいよ。分かってくれるならその言葉だけで十分だよー。」
と言うこなたの頭をぽんと軽く叩いて
「悪かったな。とりあえず朝食の準備とかしなきゃな。どうせなら手伝ってくれるか?こなた。」
こなたにそう声をかけるとこなたも笑顔で
「まかせたまへー。今日はすべての食事に手をかそうではないかー。」
そう言ってすっかり機嫌を直し、ない胸をぽんと叩いて言うこなたに
「なら俺は着替えてしまうからこなたは先にキッチンへ行っていてくれないか?」
そう言うと、こなたも俺に頷きながら
「うん。じゃあ先に行ってるね?」
そう言って部屋を出て行くこなたに先にキッチンに行っていてもらうように伝えて、俺は着替えを済ませる事にした。
着替えを済ませて廊下に出ると眠そうな目をこすりながらつかさとみさおも起きだして来ていた。
おそらく前日のデコピンがトラウマになったのかもしれない。
俺はとりあえず2人に挨拶をする事にした。
「おはよ、つかさ、みさお。今日はちゃんと起きたな。」
そう声をかけると2人とも眠い目をこすりながら
「おはよ~けいちゃん。なんか今日に限って目が醒めたの~。」
「おはよ、慶一。私もなんだよなー・・・なんでだろう・・・?」
2人の言葉に俺はやはりあれがトラウマになったかもと確信したので、心の中で2人に謝罪しつつ
「まあ、早起き出来るのはいい事だ。早起きは三文の得ということわざもあるくらいだしな。」
と、昨日の自分の行為を棚に上げながら言う俺。
そんな俺の言葉を聞きながらもつかさは思い出したように
「せっかく早く起きれたし、わたしも朝食の準備手伝いにいこうかな?」
そう言って朝食の準備をしにキッチンへと向かおうとしたが、そんなつかさにみさおも
「私もたまにはなんかやるかな。柊妹、向こうで指示たのむぜー?」
そう言ってつかさに手伝うと言うと、つかさもそんなみさおの言葉に頷いて
「うん、分かったよ。それじゃ行こうか、日下部さん~。」
そう答えると、みさおもまた笑いながら
「おう、行こうぜー。」
とつかさに答える。
そんな2人に俺はとりあえず
「2人ともよろしくなー。先にこなたも行ってるはずだから協力してやってくれー。」
そう言って、キッチンへかけて行く2人にそう声をかけた。
2人もそんな俺の呼びかけに「「分かったよ~(ゼ)!」」と返しつつキッチンへと向かったのだった
。
そんな2人を見送ってから洗面所へ向かうと、かがみとあやのとみゆきの3人が丁度顔を洗い終えて出て来る所だった。
3人は俺に気付くと声をかけてきた。
「あ、おはよう慶一くん。これから顔洗うの?」
「おはよう慶ちゃん。今日も早いのね。」
「おはようございます慶一さん。今日も食事の準備やりましょうか?」
俺はそう言う3人にそれぞれ挨拶を返し、食事の件に関してもこなた達が今日はやってくれてると言う事を伝えると
「へえ?珍しいわね。つかさはともかくこなたや日下部まで早起きしてるなんて・・・。」
「そうよね、いつもならみさちゃんは私が起こすんだけど・・・。」
「泉さん達に何か心境の変化でもあったのでしょうか?」
いつもの3人を知る3人はそれぞれに思った事を口にしていたようだが俺は内心ドキドキとしつつ
「あ、あはははは・・・さ、さあな、あいつらも最後はちゃんとしなきゃ、って思いがあったんじゃないかな、うんうん。」
そう言いつつ、俺はその原因が自分にあるとは言えず、ただ乾いた笑いをする事しかできなかった。
そんな俺をみて3人はそれぞれ頭にハテナマークを飛ばして俺の顔を見ていた。
俺はこの場の空気を感じているのがつらくなったので
「ともあれ、そろそろ準備が出来てる頃だろうからキッチンへ行こうぜ?」
そう言いつつ話題をそらすのだった。
3人はそんな俺の態度を見て、まだいまいち納得できないと言う感じだったが、かがみのお腹の虫が空腹を告げると、かがみは顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。
俺達は苦笑しながらもかがみとみゆきとあやのを伴ってキッチンへと向かった。
俺達がキッチンに顔を出すとこなたたちが俺達を迎えてくれた。
「お?いい所にきたね。丁度出来上がったところだよ、さあ座って座って。」
俺達を席に促すこなたの指示に従って俺達はそれぞれの席についた。
そして、つかさは俺達に
「今朝は洋食メインで作ってみたよ~。」
と、今日の朝御飯を指し示してそう言うのだった。
みさおも得意げな顔で
「私もすこしはがんばったゼー?」
そう言うみさおに俺は頷いて、テーブルに並べられた朝食を見ながら
「へえ、なかなか美味そうだ。朝の分量にしては丁度いいんじゃないかな。」
自分の正直な感想を口にすると、かがみも同じように並べられた朝食を見ながら
「さすが我が妹って所かしらね。昨日はお味噌汁誉めてもらえたけど、私ももう少し出来るようにはなりたいかな。」
今日の出来に感心していた。
みゆきも昨日の朝食を思い出しながら
「昨日は和食でしたし、ローテーションさせるのもいいかもしれませんね。」
そう口にして、あやのもこなたが料理をここまでやれるという事に驚きながら
「泉ちゃんも結構出来るのね。私もまだまだがんばらないとね。」
そう言い、俺達はそれぞれの感想を口にしつつ「いただきます」の掛け声と共に今日も朝食の時間が始まった。
朝食を食べ終えて俺達は残りの宿題とテスト対策の勉強を追い込む為に食後の少しの休憩後最後の勉強を開始した。
3日前からの追い込みで思ったほど時間もかからずに終わる事が出来た。
「よし、こんなもんだろう。」
と、勉強会の終わりを口にすると、それまで頑張っていたこなたも心底ほっとしながら
「やったー!宿題終われた。残りの連休、これで遊べるー♪」
と、残りの休日を遊びに当てれる事に喜んでいた。
かがみもまた、今回の勉強会に成果を見出せていたようで
「ほんとにいいペースだったわよね。これだけ効率良くやれたのも珍しいわ。」
と、今回の事に納得していたようだった。
つかさもつかさでかなり宿題を終えられた事にほっとしていたようで
「宿題間にあえたよ。勉強会やってよかった~。」
そう言って緊張を解きながらも自分の荷物にちゃんと宿題をしまっていた。
みゆきはいつも以上の成果を出せたみたいで
「皆さんと一緒に私もいい勉強が出来たと思います。」
そう言って喜んでいた。
あやのもかがみやみゆき同様に有意義に時間を過ごせた事が満足だったようで
「本当、有意義だったわ。慶ちゃん私達も誘ってくれてありがとうね?」
今回の勉強会に招待された事に喜んでいた。
一番てこずっていたみさおも皆と同様に宿題を片付ける事が出来て
「宿題終われたのも慶一やみんなのおかげだな。凄く頭使ったけど、やってよかったゼ。」
そう言ってほっとしているようだった。
みんなが口々に笑顔で成果を実感しているようだった。
俺も俺で成果が出せていたので同じように喜んでいた。
「きっかけはともかく、みんなして成果だせたんだ。今回の勉強会は成功だよな?」
みんなの顔をみながらそう言うとみんなも「うん」と大きく頷いているのだった。
勉強会も終わって結構自由な時間が出来た。
お昼をまたいでしばらくはみんな思い思いに自由時間を過ごしていたが、こなたが何かを思いついたようで俺達に声をかけてきた。
「ねえ、私みんなで遊べるパーティゲーム持ってきたんだけどさ、みんなでプレイしない?」
その提案に俺も興味を持ったのでこなたに
「パーティゲームね・・・何を持ってきたんだ?」
俺がすかさず聞き返すとこなたは自分の荷物の中から”桃太郎電鉄”を取り出して
「これだよー。総資産の額で順位決めしようよ。」
と言うこなたに、俺も桃鉄を見ながら
「なるほど、やるゲームは分かった。けど順位をつけるのはいいがその順位で何かやるのか?」
こなたが順位付けにこだわっている感じだったので一応聞いてみると、そんな俺の言葉にしばし腕組みをしながら何事か考えているみたいだったが、ふいに何かを思いついたらしく
「トップの人がトップ以下の誰かに何か一つ言う事を聞いてもらう、ってのはどう?」
そうこなたが提案すると、みんなも何やら乗り気になったようで
「中々面白そうなルールね。面白そうだから参加するわ。」
「こういうゲームならわたしでもなんとかなるかなあ?」
「すごろくと不動産売買を組み合わせたようなゲームって感じでしょうか?中々面白そうですね。」
「うーん、こういうのも初めてだけどちょっとやってみようかしら?」
「よーしちびっこ、トップと柊の所有権をかけて勝負だってヴァ!」
それぞれに興味を持ち、そう言う中、最後にみさおが言った言葉にこなたも乗ってきたようで
「ふふふ、みさきちにはかがみは渡さないよ?ゲームで私に勝てると思わない事だね!」
みさおと火花を散らすこなた。
かがみがそこに呆れながらも
「あんたら・・・私はあんたらのものじゃないっての!!」
激しいツッコミを忘れないかがみだった。
俺はそんな3人のやりとりに苦笑しつつも
「ま、まあ、かがみの所有権うんぬんはともかく、面白そうではあるな。なら早速始めてみるか、こなた、ソフトのセットを頼むよ。」
そう促すとこなたは
「了解ー、ちょっと待っててねー。」
と言ってゲーム機にソフトをセットして電源を入れた。
ゲームの起動を確認してこなたはみんなに簡単なルール設定をするのだった。
「今回は人数が多いし、このゲーム自体も4人同時までのプレイしかできないから、組み合わせはくじ引きで決めて2チームのうち最下位が外れて残りの人数で決勝って事で。ちなみにAチーム、Bチーム共に上位2位までの勝ち抜けって事で。設定期間は5年で、みんなおK?」
ゲームに参加するみんなはこなたのルール設定と確認をして全員が頷いた。
その後くじ引きが行われてチームは以下のように別れた。
慶一、かがみ、みさおがAチーム。
こなた、つかさ、みゆき、あやのがBチームになった。
チーム分けも終わり、まずは俺達のチームからのスタートになった。
「それじゃAチーム、がんばってねー」
と言うこなたの掛け声と共にゲームスタート。
猪突猛進の勢いでとりあえず進むみさおに対して慎重に物件を買い込み少しづつ資産を増やすかがみ。
俺もかがみと同じような感じで徐々に資産を増やしながら進んだのだが、ここでまさかの事態が発生する。
猪突猛進で進んでいたかのように思われたみさおが、俺達ほどではないにしても資産をすこしづつ上げていっていたのもあったのだが、なぜかボンビーをほとんど背負わず俺か、かがみにボンビーがやってくる回数が多くなった。
「うわ、またかよ・・・」
「うそっ!?また私のところにきた!」
そう言ってボンビーを擦り付けられて慌てている最中、そんな俺達の様子をじっと見ていたみさおが
「なあ、そいつあんまし私のとこ来ないみたいだな。さっきから見てるとそいついると結構やばいみたいだし、これはラッキーだゼ!」
そう言ってニヤリとほくそえむのを俺達はどうにも出来ずに歯噛みしながら見ているしかなかった。
そして期限の5年が経過した頃には俺とかがみはほぼ同じくらいの資産ではあったが、ボンビーの影響は大きく、結局みさおの勝ち抜けとなった。
「くっそー、みさお意外と運いいな。」
「ボンビーさえ来なければ勝てたのに、悔しいわね。」
そう言ってくやしがる俺とかがみを見て、みさおは満面の笑顔で
「へっへっへ、わりいな慶一。勝ち抜けさせてもらうぜー」
俺達にそう言うみさおとかがみが今回は勝ち抜けた。
俺は僅差で届かなかったので予選落ち。
俺達のチームの様子を見てこなたは
「とりあえずAチームは、かがみとみさきちの勝ち抜けだね。それじゃBチームの私達も始めようか。」
と言うこなたの声と共に、つかさとみゆきとあやのもそれぞれに
「こなちゃん、お手柔らかにね?」
「とりあえずがんばってみるわね。」
「さっきので何となくやり方は把握出来ました。どこまでやれるか分かりませんが精一杯やってみますね。」
そう答え、それを確認したこなたがゲームの準備を終えて
「よーし、それじゃゲームスタートー!」
と言う開始の合図と共にAチームの面々の見守る中、こなたたちのBチームのスタートとなった。
こなたは資産を手堅く増やしながらカード等を上手く使いながら順調に進めていた。
つかさは不慣れな部分もあってか、どうしても一歩遅れる状況になってはいたが何とか食らいついていた。
あやのは2人の様子を見ながらも少しずつ資産を増やしつつ進んでいた。
みゆきは手堅い部分では大きい資産を抱き込みつつ、厳しそうなところは慎重にバランスを取りながら着実に手を進めて行っていた。
しかしながら、ここでもハプニングが巻き起こる。
どういう訳かつかさの不運スキルが発動しはじめたのだ。
つかさは事あるごとにボンビーを抱え込む事になり、どうしてもその呪縛から逃れられなくなっていた。
そうしているうちに、近くに来ていたみゆきやあやのまでをも巻き込み始めた。
つかさの近くに来たみゆきにいきなりつかさのボンビーが襲い掛かり、しかも引っ掛けた瞬間キングボンビー化するという負の連鎖が起こっていた。
あやのの方も同じような感じでつかさのボンビーをそれとなく擦り付けられてその資産を削られていった。
「はわわっ!?ゆきちゃん、峰岸さんごめ~ん!」
つかさがそう言ったと同時にみゆきにボンビーが襲い掛かる。
そして、擦り付けと同時にボンビーがキングボンビー化してみゆきに大ダメージを与え
「ひいっ!ボンビーさんが変身したと思ったら資産がごっそりと削られました!」
と言うみゆきの悲鳴と共に、みゆきの資産は見るも無残にごっそりと削られた。
そして、その脅威はあやのやこなたにも襲い掛かる。
「これは厳しいわね・・・どうにかできないかしら・・・。」
予想以上に酷い状況に陥り苦い表情を見せるあやのと、そんなつかさの影響を恐ろしく感じているこなたも
「むう、つかさ、恐ろしい娘・・・」
そう呟きながらもこの事態に頭を痛めていたが、巻き込まれつつも流石に経験の差で被害を最小限にとどめていた。
つかさの暴走はさらに続き、気付いたら不運から逆転して幸運状態になり、少しづつ資産の復活を果たしていた。
そして終わってみたらつかさが1位になっているという予想外の結果となっていた。
そんな結果にこなた達も呆れ顔で
「つかさ、極端すぎるよ・・・。」
と、少々疲れた声で言い、あやのもそんなつかさに
「妹ちゃん、すごいね・・・。」
そう言って感心していた。
みゆきは大物を狙いすぎた事が仇となったようで
「大きい資産を狙いすぎたのが仇になりました・・・なかなか奥が深いですね・・・。」
そう言って、今回の自分の敗因を分析していた。
そんなみゆきとあやのにつかさもすまなそうな顔で
「えへへ、ごめん、ゆきちゃん、峰岸さん。」
そう言っていたが、そんなつかさの言葉に再度苦笑する3人だった。
というわけで決勝に出揃う2人が決定した。
Aチーム、かがみ、みさお。
Bチーム、こなた、つかさ。
そして運命を決する決勝がスタートする。
「負けないよ?かがみを守る為に、1位の賞品のためにも」
と、流石に決勝なので、さっきとは段違いの気合でこなたはそう言い、そんなこなたの言葉を目ざとく聞いていたみさおも
「私だって負けないぜー?柊はうちんだ!!」
と、かがみの所有権を主張していた。
そんな2人の争いにかがみは呆れながら
「2人とも黙れ!私はあんたらの物じゃない!!というか、事あるごとに変な事で張り合うんじゃないわよ!!」
そう言っていつものツッコミを発動させていた。
つかさはつかさでとりあえず
「なんだか分からないうちに決勝にきちゃったよ。でもやるだけやってみようっと。」
そう言って、頑張ってみようと決意しているようだった。
そんな中、決勝は序盤はかがみとこなたの2人の接戦で進んでいった。
後ろから追いすがるみさおに、ここに来てまたしてもつかさのスキルが発動した。
突然のつかさのスキル発動に場は大いに荒れる事になった。
順調に資産を伸ばしていたこなたとかがみがまず被害を受け、一人逃げ延びたみさおだったはずが、気付いたらボンビーを背負わされていた。
つかさも資産を増やしては削られを繰り返して結局あまり資金を伸ばせない状況。
ほぼ全員が横一列状態になっていた。
観戦side
場の様子を見ながら俺は
「うーん、これは分からなくなってきたな・・・。」
そう言って考え込みつつ状況を見て、さらにみゆきも
「つかささんが大分場を引っ掻き回していますね。これは上手くすり抜けられた人が勝つでしょう・・・。」
状況を分析し始めていた。
そんな様子を楽しげに見つめつつあやのも
「波乱万丈って感じよね・・・でも緊迫感あっておもしろいかも。」
そう感想をもらしていたのだった。
プレイヤーside
こなたもこの状況に現状の打破を見出せずに苦しんでいた。
「むう、これは厳しいね・・・何とか抜け出ないと勝てないや。」
そう言って、何とかしないと、と現状打破の為に考えを巡らせていた。
かがみもこなた同様、この状況をひっくり返す手を見つけられず
「つかさにここまで引っかき回されるとは思わなかったわ。思わぬ伏兵ね・・・。」
そう言ってこの状況をいかにすべきか、を必死に考えているようだった。
みさおは現状を見ながらつかさから逃げる手段を摸索していた。
「うーん、こいつは厳しいってヴァ、柊妹から何とか逃げねーと・・・」
だが、その摸索も上手くいっているとはいえなかったのだが。
そんな中、ここまで現場を引っ掻き回してしまった当の本人のつかさも皆に悪いと思いながらもどうにも出来ない状況に
「あはは・・・どんだけ〜・・・。」
と言いながらただ苦笑するしかできないでいた。
そんな中で、ついに膠着状態からかがみが一歩抜け出る。
混戦の隙をついてつかさからも距離をとり、地味に資産を増やす事に成功していた。
そして、そのまま期限の5年が過ぎてついにかがみが勝利を掴む事となったのだった。
「やったわ!勝てた!!」
ガッツポーズを決めるかがみにこなたは悔しげに
「うう、負けたー。一歩届かなかったよー・・・。」
そう言いながら落ち込み、みさおもまたこなたとは引き分けに終わったのでとりあえず
「ちびっこ、この勝負は一旦お預けだな。」
そう言って勝負を保留にした。
つかさは結局最下位に転落する羽目になったものの、ゲームは楽しめたみたいで
「結局最下位になっちゃったけど、楽しかったよ?」
とりあえず楽しめた事に満足しているようだった。
そして、全員がゲームを終えてこなたから勝利者の名前がコールされた。
「勝者、柊かがみー!!おめでとう。」
こなたが言うとみんなも「「「「「「おめでとうー!!」」」」」」とかがみを祝福するのだった。
その様子を見ながらこなたはかがみに1位の賞品の使い方について聞いてみた。
「かがみ、優勝賞品だけどさ、どう使うつもりなのか考えた?」
こなたの言葉にかがみは腕組みして考え込みながら
「うーん、どうしようかしらね・・・。」
少し悩んだ挙句にかがみは俺の方を見て
「慶一くん、あのさ・・・えーっと・・・ね?」
顔を赤くしてもじもじとしながらかがみは言葉を続ける
「今度発売するラノベの新刊買いに行く時にさ、一緒に付き合って欲しいんだけど、そんなお願いじゃだめかな?」
かがみの言葉にこなたはやれやれというジェスチャーをしながら
「かがみー、だめだよせっかくのチャンスにそんなお願いじゃーさ。思い切って”デートしない?”とか言うのが普通じゃない?」
ニヤニヤとしながらかがみをからかうこなた。
かがみは顔を真っ赤にしながら
「う、うるさいわね!いいのよこれで。私がこの権利をどう使おうと勝手じゃないの!」
かがみが反論するとこなたはなおもニヤつきながら
「まあ、かがみにしてはがんばったほうだよねえ?」
そういってからかうこなたにかがみは鉄拳制裁をかまして
「うるさい!いい加減にしないと殴る!」
こなたは涙目になりながら
「もう殴ってるよー・・・。」
と言っていた。
俺はそんな2人のやり取りに軽いため息をつきながらさっきのかがみのお願いの返事をする。
「それくらいにしとけ、2人とも。かがみ、さっきの願いは引き受けるよ。本屋へ行く時には声かけてくれ。」
俺がそう返すとかがみはまたも顔を赤くして
「あ、ありがと、慶一くん。」
そう言うかがみに俺は笑いながら
「いいさ、敗者は勝者の言う事を聞くのみだからな。」
そう言うと、かがみはさらに顔を赤らめてうつむいてしまった。
俺はそんなかがみを見ながら頭にハテナマークを飛ばしていたが、そんな俺に呆れたような視線を向けるこなた達を見て俺はその視線の意味が分からず再度ハテナマークを頭に飛ばす事になったのだった。
ゲームを終えて時計を何気なく確認したらいい時間帯だったので、俺達は夕食の準備をする事にした。
勉強会最後の夕飯にはこなたとつかさとあやのが料理を作ってくれた。
その後、最後の食事をみんなでとりながら
「これで最後だね。色々あったけど楽しかったな。」
と言うこなたにかがみも頷いて
「本当、この3日間は楽しかったわね。私にとってもいい思い出になったと思うから。」
かがみの言葉を聞いてつかさも頷きながら
「うん、本当にたのしかったよ。またやろうね?みんな。」
そう言い、そんな3人の言葉にみゆきもいつもの微笑みを浮かべながら
「本当に充実した3日間でした。私も今までに出来なかった事や知らなかった事を体験できたと思います。でも、これで終わりにせず、これからももっともっと色々な事を体験していきたいですね。」
そう言うと、あやのも同じように笑みを浮かべて
「勉強も上手くいったし、言う事ないわね。お友達も新しく出来たようだしね。」
そう言い、みさおも楽しげに笑いながら
「最後にみんなでゲームしたりとか、面白かったゼ?勉強はまあ、きつかったけどなー。」
そう言っていたのだった。
俺はその皆の言葉を聞きながら
「またこうして集まるか。誕生日やクリスマス、イベントはまだまだあるよな?」
俺が皆にそう言うと皆もそれぞれに頷きながら
「そうだね。集まろっか。」
「そうね。またみんなでやりましょ。」
「うん。また集まりたい、絶対。楽しいと思うから。」
「私もまたみなさんと集まれる事を願います。」
「私も。これからもこうやって皆の中にいたいわ。」
「私もだ。みんなとまた遊びたいな。ほんと楽しかったしなー。」
そう言い合ってそれぞれに3日間の感想と、更なるイベントで再び集まりたいという意思を示す俺達だった。
その後、食事も済んで最後の夜。
みんなを先に風呂に入らせて俺は最後にゆっくり風呂に浸かっていた。
その際になにやら合宿前日の嫌な予感を感じていたので事前に海パン装着で風呂に入っていた。
するとなにやら脱衣場のあたりで騒がしい声が聞こえてきた。
「こなた!あんた何をするつもりよ!?」
「3日間お世話になったからお礼に最終日にもう一度慶一くんの背中を流してあげようと思ってさー。」
「こ、こなちゃん、さすがにそれはまずいんじゃないかな~?」
「泉さん、落ち着いて下さい、早まった真似は謹んでください。そんなに慶一さんのお背中を流したいという事でしたら私が行きますから。」
「ちょっ!?高良ちゃん、何気に問題発言でてるわよ?」
「高良、結構大胆だな・・・。」
そして、その話し声はだんだんこっちへ近づいて来て、こなたが全員の隙をついて風呂場に飛び込んできた。
みんなはこなたを止めるため、こなたを押さえながらも全員で風呂場になだれ込んでくる事になった。
その状況に一瞬何が起きたのか分からなかったが、皆の姿を確認すると俺は顔を赤くしながら
「うわわっ!?何だ?何事だこれはー!?」
そう叫んで、俺は慌てながらみんなから距離を取りつつ声をかけた。
みんなは俺の方を視認するなり顔を真っ赤にしてそっぽを向き<こなたは除く>
「い、いや、その、これはこなたが・・・。」
と言ってかがみは赤い顔のまま言い訳をし、こなたは不満げな顔で
「むう、私はお世話になったお礼に背中を流してあげようと思ったのに・・・。」
そう言って、つかさも顔を赤くして慌てながら
「は、はわわ、ごめんけいちゃん、すぐでていくから~!」
両手で顔を覆い、そう言っていて、みゆきも同じように顔を赤らめつつしどろもどろになりながら
「わ、私達は泉さんを止めようとしてですね、その・・・。」
そう言って、自分の行動を説明していた。
あやのも赤い顔のままで俺に
「ご、ごめんね?慶ちゃん、止めきれなかった。」
そう言って詫びていた。
みさおも顔を赤くしながら
「わ、私は何も見てないってヴァ。」
そう言ってそっぽを向いていたのだった。
こなたに呆れつつ他のみんなに恥ずかしくなりつつ俺は
「こなた、気持ちは嬉しいがさすがにまずいと思うぞ?それと、みんなもとりあえず裸は裸だが嫌な予感してたからな。海パンは一応はいてるからこっち見ても大丈夫だ。」
こなたに諭しつつみんなにもそう言う。
そしておそるおそる俺の方に視線を戻すみんなは俺を見て何故か一様に顔を赤らめていた。
俺もまた、そんな皆の前で照れの為に顔を赤くしていたのだが。
こなた達side
慶一君にこの3日間色々とお世話になった事もあり、私はそのお礼をしようと思って、初日同様、慶一君の背中を流してあげようと思い、スク水を来て慶一君のいるお風呂場へと向かおうとしていた。
その時に私の行動に気付いたかがみが、私を止めようとした事をきっかけに、つかさやみゆきさん、はてはみさきち達さえも巻き込み、お風呂場へとなだれ込むという事になってしまった。
慶一君は驚きながらも、この事態を想定していたようで、水着を着用してお風呂に入っていたようだったが、それでも慶一君の鍛え込まれた肉体は晒されている訳で、私たちはそれを見ながらそれぞれに恥ずかしさと照れとで顔を赤くしながら
(やっぱり鍛えてるだけあっていい筋肉ついてるね・・・。)
(水着着てるとはいえ、初めて慶一くんの体見ちゃったな・・・、でも結構逞しいかも・・・。)
(腕も結構太いな~。足も引き締まってる感じ~。)
(やはり鍛えこまれていますね、無駄のない筋肉です。)
(以前秋葉腹での事聞いてはいたけど嘘じゃないかったみたい。よく鍛えられた体よね・・・。)
(スポーツマンの体だなー。なんかかっこいいかも・・・。)
そんな風に思いながら、慶一君を凝視していたのだった。
その後は羞恥心に耐え切れなくなった慶一君にお風呂場から追い出され、私はその事を残念に思いつつも自分の部屋へと戻って行ったのだった。
慶一side
まさかのこなたの行動に照れながらもこなたとみんなを外に出して風呂を終えて改めて自分の部屋に戻る。
寝る時にはみんながそれぞれに部屋に訪れて俺に改めて挨拶をしていってくれた。
こうして俺達の勉強会合宿最後の夜はは終わるのだった。
次の日の朝一でみんなは自分の家へと帰っていった。
またここに集まる事を改めて誓いあって、騒がしかった3日間が終わりを告げた。
みんなが去った後少しの間は一人になった寂しさもあったが、それでもまたみんなと学校で会えるのだからと自分を納得させて残りの連休を過ごした。
余談だが、その後どこから聞きつけたのかこうとやまとも勉強を教えて欲しいとやってきて、結局残りの連休も気が休まる事無く過ぎたのだった。
旋律達は集まり、そして、一度離れる事になった。
けれど、再びまた集まりたいと俺達は誓いあう。
その誓いがある限りはまた、俺達は集まれるだろう、楽しく過ごせるだろう、何度でも、何度でも。
俺は、旋律達と深まった絆を改めてかみ締めて、これから先も過ごしていこうと思うのだった。
これにて第2章の終了です。
次は第3章、旋律達の誕生日編にて