らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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旋律達とのそれぞれの出会いと日常編その1となります。


2年生編 第1章 出会いの旋律達 第1部
交わる四重奏〜泉こなた〜


陵桜に入学し1年間はなんの変化もない日常を過ごしてきた俺だったが、1年の終わり頃になり、俺はある4人のグループに出会う。

 

その4人はすごく仲がよさそうでいつも楽しそうに話をしているのを事あるごとに見かけるようになった。

 

一人は小学生並みの背丈、青い長い髪とその頭にある癖っ毛、左眼の下にある泣き黒子が特徴だった。

 

一人は淡い桜色のふわっとしたロングヘアー、そして視力がよくないのか眼鏡をかけていて、性格的におっとりとした印象を受ける子だった。

 

一人は紫のショートヘアー、頭には黄色いリボンをつけ、やはりおっとりとした感じの子だった。

 

一人はやはり同じ紫の髪をしていたが、前の子とは違いロングヘアーでそれを左右に分けてリボンで止めているいわゆるツインテールという髪型をして気の強そうな感じを受ける子だった。

 

その子は前の子とは姉妹らしいという事もクラスメートの話す会話から知った。

 

それから2年生に上がるまでその4人の楽しそうな姿を見る機会がたびたびあったのだが、その時点ではまだ接点を持つというところまではいかないでいたが、あるきっかけから4人との係わりを持つ事になる。

 

それは俺がこれからか係わる事になる四重奏の一人との出会いでもあった。

 

慶一side

 

それは1年の終わり頃、その日弁当を持ってくるのを忘れ、仕方なく学食に買出しに来ていた時の事。

 

「すいません。チョココロネとピーナツサンド、焼きそばパンを下さい。」

 

そう学食のおばちゃんに言ってお金を払い、パンを受け取って、さてどこで食べようか?と思案していたら青髪の小さい女生徒が俺のすぐ後に飛び込んできてパンを買おうとしていた。

 

俺はなんともなしに、その状況の一部始終を何故だがその場に留まって見つめていた。

 

その子はどうやらチョココロネを買いに来ていたらしく、運の悪い事に俺が買ったやつが最後の1つだった。

 

欲しい物が手に入らずとぼとぼと食堂を後にしようと俺の横を通り過ぎるその女生徒に俺は反射的に声をかけていた。

 

「ちょっと待った。」

 

そう声をかけると、その女生徒は俺の声に顔をこちらに向けつつ

 

「何ー?何か私に用?」

 

そう返事をしてくる女生徒に俺は頷いて

 

「ああ。確か泉だったよな?俺は同じクラスの森村慶一だ。泉はこれを買いに来たんだろ?俺が最後の1つを手に入れちゃったからその所為で買えないのを見ていたら罪悪感が沸いたってのもあるけど、まあ、ともかく、これを泉にやるよ。」

 

そう言って俺は自分の持っているチョココロネを泉に投げてよこす。

 

俺の投げたチョココロネを慌ててキャッチしつつ、泉は俺に

 

「え?いいの?譲ってくれる、って言うのなら遠慮なくもらうけど?森村君かー・・・そういえばうちのクラスにいたね。こうやって話すのって初めてじゃない?」

 

そう言って来るのを受けて、俺はその言葉に頷いて

 

「そういえばそうかもな。同じクラスではあったけどまともに話をした事はなかったよな?まあ、なんにしてもだ。改めてよろしくな。」

 

そう言うと、泉は俺の顔を少しの間じっと見つめていたが、おもむろに笑顔になると

 

「うん。こちらこそよろしくー。でも、助かったよ。ありがとねー。今日はもうコロネ食べられないのかと思ったからねー。でも、私がコロネが好物だってよく知ってたねえ?」

 

ニヤつきながらそう言う泉に俺は苦笑しつつ

 

「あー・・・それはな、泉が他の3人の女生徒達とお昼ご飯を食べている所をよく見かけてたからさ。泉はほぼ毎回って言っていい程コロネばかり食べてたろ?だからだよ。」

 

その言葉に泉はふいにニヤニヤといたずらっぽい笑みを浮かべながら

 

「ふーん?ずいぶんとよく見てるじゃん?あ、ひょっとしてフラグでも立てたのかなー?」

 

と、そう言う泉に俺は少し慌てつつ

 

「フ、フラグ?いや、そんなんじゃないさ、たまたまだよ、たまたま。ってか、流石に普段から少し濃いめの話をしてるだけはあるな。」

 

そう言うと、泉は少し驚いたような表情を見せて

 

「あれ?森村君も一応は分かるって事?君って確かオタクとかじゃなかったよね?」

 

そう言う泉に俺は再び苦笑しつつ

 

「あー・・・まあ、そう言うのとは違うといえば違うけど、まあ、そういうのとかも目にする機会もあるし、漫画とかもそれなりに好きだからな。用語みたいなのは普通の人よりはわかるから、かな。」

 

その言葉に再度俺を見つめつつ何かを考え込む泉の姿に俺は首を傾げていた。

 

泉side

 

お昼休み、いつも私はチョココロネを食べていたのだけど、今回もまた、それを手に入れるべく、購買へとやって来た私だった。

 

そして、購買のおばちゃんの所へと向かっている時、複数のパンを持っている男子生徒とすれ違い、私はふと、その男子生徒の持っているパンへと一瞬視線を向け、その男子生徒が何のパンを持っているのかを見た。

 

その男子生徒の抱えるパンの中にチョココロネも見えたので、ああ、この人もコロネを食べるみたいだな、と思ったのだった。

 

そして、購買に辿り着き、早速コロネを購入して皆の所へと戻ろうと思っていたのだが、運が悪く、最後の一個をさっきの男子生徒に買われてしまっていたのだった。

 

コロネが手に入らない事に落ち込みつつ、私は購買を後にしようととぼとぼと歩いていたが、ふいにそんな私にその男子生徒が声をかけてきた。

 

彼の名前は森村慶一君。

 

彼は私とは同じクラスだったのだけど、話をしたりする機会は今の今までなかった。

 

そんな彼が私に声をかけ、更には彼が持っているコロネを私に譲ってくれた。

 

不意に起きた出来事に私はラッキーだと思うと同時に、私にコロネを譲ってくれた彼に興味が湧いた。

 

私の好物を知っている理由等を尋ねたりと彼と会話をしていくと、彼は私が好きな漫画やアニメ等で使われる用語のようなものも知っているようだったので、その事が更に話しやすい人かも、と思えるようになった。

 

少し彼の顔を見つめつつ考え事をしていた私だったが、皆を待たせている事を思い出した私は彼に

 

「あ、ごめん。私、皆を待たせてるんだよ。もう行かなきゃ。森村君、コロネありがとねー。それとさ、私たち同じクラスでしょ?何かあったら声かけてね。それじゃねー。」

 

そう言って私は森村君に手を振りながら食堂を後にしたのだった。

 

そんな風に言って去っていく私に森村君も手を振ってくれつつ

 

「ああ。その時には声かけさせてもらうよ!じゃあな、泉!!」

 

そう声をかけてくれたのを聞いて、私はこの出来事に何かの予感を感じていたのだった。

 

慶一side

 

同じクラスだったにも係わらず、俺と泉は今回が初めてまともにする会話となった。

 

あいつの事は他に3人の女生徒達と楽しそうに話している事を知っていたが、何故か、泉と話す事が出来る機会は全然なかった。

 

今回の会話はたわいのないものではあったが、俺は、機会があるならまた泉と話してみてもいいかもしれないな、と思ったのだった。

 

(初めて泉とまともに話をしたな。普段からあいつは元気一杯って感じだったが、こうして話してみて改めてそうだと思ったな。なんだろう?何だか今回の事は何かのきっかけになりそうな、そんな気がするな。まあ、それが良い事だといいけどな。とりあえず、俺もパンを食べちゃわないと、昼休みが終わっちまうなあ・・・よし、あの場所で食べるとするか。)

 

そう心の中で考えつつ、俺は星桜と呼ばれた桜の樹の所へ行って、お昼を済ませたのだった。

 

こなたside

 

森村君からコロネをもらい、みんなの待つ教室へ戻りながら、私はさっきのやり取りを思い出していた。

 

(チョココロネ売り切れって聞いた時はがっかりだったけど、思わぬところから手に入っちゃったなー。森村君か、同じクラスではあったけど話した事は今の今までなかったよねえ・・・でも、さっきやりとりを見てても悪い人じゃなさそうだねー・・・今度はコロネのお礼に私達のグループに誘ってお昼ってのも悪くないかもねー・・・)

 

そう考えているうちに教室へとたどり着いた。

 

ドアを開けると奥のほうから私を呼ぶ声がしたのでそっちへと移動する。

 

「こなたー?ずいぶん遅かったじゃない、何やってたのよ?」

 

「こなちゃん、チョココロネ買えたの?」

 

「泉さん、いつもより遅かったので少し心配してたんですよ?」

 

いつもの3人に迎えられる。

 

「いやー、実はさっき食堂でさー・・・・・・」

 

と、3人に事情を説明しつつ、早速もらったコロネにかぶりつく私。

 

この後私達はそれぞれに森村君と係わることになるのだけどそれはもう少し先のお話。

 

旋律の一本目、それは後にどんどん数を増すそのきっかけなのだった


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