らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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ようやく続きが投稿できました。

今回は前後編で行きます。


雑音(ノイズ)の中で、お見舞いと密かな決意、前編

慶一side

 

今までに風邪に犯されてなかった旋律達の数名が風邪にかかってしまった事を知ったその日、俺は薬のストックに不安を持ち、龍兄の所へと薬のストックの有無を確認する為に連絡を入れた。

 

その後、親父から少し薬の準備に時間がかかると伝えられた龍兄から連絡をもらった俺は、今後に不安を抱えつつも現在残っているストックでなんとかしようと考える。

 

それと同時に、とりあえずの夕食を済ませた俺は、家の場所を知っている旋律達の所へとお見舞いに向かう事を考え、洗い物もしているやまと達に声をかけるのだった。

 

「やまと、みゆき、パティ。俺は少し出掛けて来る。そんなに遅くなるつもりはないけど、戸締りだけはしっかりと頼むな。」

 

そう声をかけると、みゆきとやまとは俺に

 

「今からですか?承りますが、どちらへ行かれるのですか?」

「まあ、今からなら後のやる事はそれほどないからいいけど・・・せめて行き先は言っていってほしい所ね。」

 

そう言ってきたので、俺はその言葉に頷きつつ

 

「ああ、とりあえず家を知っている皆の所に見舞いに行ってみるつもりなんだ。と、同時に関係しそうな人達に薬を手渡しておこうかと思ってる。今回の状況を見るにつけ、飛び火の可能性は考えられそうだからさ。」

 

そう説明すると、やまとは俺に

 

「話はわかったわ。けれど、薬のストックは心許ないって先輩言ってなかった?大丈夫なの?薬を配ってしまっても。」

 

と、俺の話に納得しつつも疑問をなげかけてくる。

 

俺は、やまとのその指摘に苦笑しつつも頷いて

 

「確かに少し厳しい状況だけど、ストックはそう日を待たずに届けられるだろう、って思ってるのもあるしな。だから、今は出来る限りの事はしておきたい。」

 

そう伝えると、やまとはそんな俺を見つつ軽いため息をついて

 

「・・・はあ・・・やっぱり先輩はお人好しよね・・・」

 

と、少し呆れ気味に言い、みゆきもそんな俺に苦笑しつつも1つ頷くと

 

「わかりました。こちらの方は心配しないで下さい。慶一さんのおっしゃられるようにきちんと戸締りはしておきますので。皆さんの所に行かれましたら、私も”お大事に”と言っていたという事をお伝え下さい。それと同時に慶一さんも風邪を皆さんからもらってしまわないように注意して下さいね。」

 

そう言ってくれたのを受けて俺はやまとの言葉に苦笑しつつ、みゆきの言葉にも頷いて

 

「自分で言うのもなんだが、まあ、自覚はしてるよ、やまと。みゆき、後は任せるからよろしくな。それと、パティ、あまり遅くまで起きてる事がないようにしとけよ?そういう所からも風邪を引く事があるんだからな?」

 

そう言って、最後にパティにも声をかけると、パティは少し頬を膨らませつつ

 

「ケイイチにイわれなくてもわかってマス!ワタシはそんなにシンヨウないデスか!?」

 

と、抗議してくるパティに苦笑しつつ、俺は

 

「すまん、すまん。わかってればそれでいいよ。ま、とりあえず行ってくる。それじゃな。」

 

と、パティに軽く詫びつつその場を後にしようとする。

 

すると、そんな俺に3人もまた、声をかけてくれた。

 

「行ってらっしゃい。」

「あまり遅くならないでよ?」

「ケイイチもハヤくカエってキてクダさいネ!」

 

そう言ってくれる皆の声に軽く手を上げて応えつつ、俺は玄関へと向かうのだった。

 

玄関で靴をはきながら俺は、とりあえずのルートを頭に思い描く。

 

そして、ある程度方針を決めると、俺は家を出た。

 

 

 

まず始めに俺が向かったのはあやのの家だった。

 

とりあえず自分の家の近所のルートから始めていこうと考えたので、俺は自転車を走らせる。

 

しばらくすると、あやのの家が見えてきた。

 

俺は再度自分のズボンのポケットを確認し、自転車を家の前に止めた。

 

そして、軽く1回深呼吸すると、峰岸家の呼び鈴を押すのだった。

 

その後、少しして玄関のドアが開き、あやののお母さんらしい人が現れた。

 

俺はその姿を見て挨拶をする。

 

「こんばんは。森村といいます。あやのさんが風邪を引いたという話を聞きましたので、お見舞いに立ち寄らせていただいた次第です。」

 

そう俺が挨拶をすると、あやののお母さんらしい人はにっこりと微笑んで

 

「まあ。あなたがあやのが話していた森村君ね?以前の旅行の時にも大分お世話になったと聞いているわ。」

 

と、言われて俺はその言葉に照れながら

 

「い、いえ、こちらもあやのさんには色々と助けていただいていますのでお互い様ですよ。」

 

と、そう返すと、あやののお母さんはにこにことしながら

 

「ふふ。あやのが話していたとおりの子ね。まあ、それはともかく、上がってちょうだい。あやのの部屋へ案内するわ。」

 

そう言ってくれたので、俺はお言葉に甘える事にしてあやのの家へと上がった。

 

そして、あやののお母さんは俺をあやのの部屋へと案内してくれた。

 

少ししてあやのの部屋の前に辿り着くとあやののお母さんは

 

「ここよ。後はよろしくね、森村君。」

 

そう言って俺に後を託すと、あやののお母さんは居間へと戻っていったのだった。

 

俺はその後姿を見送った後、あやのの部屋のドアを軽くノックする。

 

すると、部屋の中からあやのではない男の声が返ってきた。

 

「誰?ひょっとしてお母さんですか?」

 

と言う声と共に部屋のドアが開けられる。

 

そして、お互いにその姿を目にして驚くのだった。

 

「あれ?君は森村君じゃないか。どうしたんだい?こんな時間に。」

 

そう言ってくるその人に俺も少し驚きつつ

 

「しゅうさんでしたか。まあ、当然ですよね。恋人がダウンしてるんですから。俺は、あやのさんが風邪でダウンしたと言う話を聞いたので、お見舞いがてらに様子を見に来たんですよ。」

 

と、苦笑しつつもそう説明する。

 

俺のその言葉にしゅうさんも少し声を潜めつつ

 

「そうか。わざわざ悪いな。あやの、今眠った所なんだよ。だから、起こさないように気をつけてな。」

 

そう言ってくるしゅうさんの言葉に俺も頷きつつ

 

「わかりました。それじゃ、少し失礼しますね。」

 

俺はそう言いつつ、そっとあやのの部屋に入り、あやのの様子を伺う。

 

見た感じ、とりあえずは落ち着いている、という状態なのが見て取れた。

 

俺はその様子にほっと軽く息をつくと、あやのを起こさないようにそっと部屋から出た。

 

部屋の外ではしゅうさんが待っていて俺に声をかけてきた。

 

「みさおから聞いたよ。あやのに薬を届けてくれるように言ってくれたんだってな。あやのには早速その薬を飲ませてみたんだが、みさおが言った通りよく効いてくれてるみたいだ。ありがとう。」

 

その言葉に俺は照れつつ

 

「い、いえ、その・・・あやのさんも大事な友人の1人ですから、俺は俺の出来る事をしたまでです。とりあえず様子を見ましたが、問題はなさそうなので安心しました。」

 

そう答える俺にしゅうさんも笑みを浮かべて

 

「ふむ。あやのもいい友人をもったもんだ。」

 

そう言ってくれたの受けて、俺は少し恐縮していた。

 

と、同時に俺がここに来た真の目的を思い出し、俺はしゅうさんに声をかける。

 

「しゅうさん、ちょっとお願いしたい事があるんですが。」

 

俺の言葉にしゅうさんは首を傾げつつ「なんだい?」と聞いて来たので、俺はその言葉に頷くと自分のズボンのポケットから龍真丹の瓶を取り出して数粒を手に取ると、それをしゅうさんに見せながら

 

「この薬を峰岸家と日下部家に配ってもらいたいんです。今現在、風邪が猛威を振るってる状況みたいで、友人の家族にも飛び火してるらしいという話も聞いています。ですので、もしもその風邪をもらう事になってしまった時の為にこれを持っていてもらいたいんです。」

 

そう説明しつつ、しゅうさんに両家の家族分の龍真丹を手渡した。

 

しゅうさんは俺から龍真丹を受け取りつつ

 

「わかった。確かにそんな話を聞いたらちょっと警戒せずにはいられないね。わざわざ気を使ってくれてありがとう。これはありがたく受け取らせてもらうよ。」

 

そう言ってくれたのを受けて俺もまたしゅうさんに「お願いします。」と言うのだった。

 

ここでの用事は済んだと思った俺は、玄関で俺を見送ってくれたしゅうさんとあやののお母さんに

 

「お邪魔しました。俺は今日はこれで帰ります。最近風邪が流行っている感じですので、お2人ともどうか体調には気をつけて下さい。しゅうさんに一応、薬を手渡しておきました。もしも風邪を引かれてしまった時には役立てて下さい。」

 

そう伝えると、2人とも俺に頷きつつ

 

「わかった。これはその時にありがたく使わせてもらう事にするよ。君も気をつけて帰るんだよ?」

「まあ。わざわざありがとう。私達も注意するようにするわ。また機会があったら遊びにいらっしゃい。夜道だし、車には気をつけるのよ?」

 

そう言ってくれたの受けて俺も

 

「ありがとうございます。いずれまた立ち寄らせていただきますね。それでは、これで。」

 

そう言って2人に頭を下げると、俺は2人に見送られながら峰岸家を後にしたのだった。

 

次に向かったのは柊家。

 

峰岸家からはそれ程離れていなかった事もあり、程なくして家に辿り着く。

 

柊家に着いた俺は、家の呼び鈴を鳴らす。

 

すると、少しして、「はーい、どちら様?」と声が聞こえ、玄関からかがみが顔を出した。

 

俺の姿を見たかがみは少し驚きつつ

 

「あれ?慶一くん、どうしたの?こんな時間に。」

 

と言うかがみの言葉を受けて俺は頷きつつ

 

「うん。ただおさん達の事がちょっと気になったから、様子を見に来たんだ。ただおさん達の容態はあれからどうだ?」

 

と、ここに来た理由を説明すると、かがみは苦笑しながら

 

「ふふ。あんたもたいがいお人好しね。お父さん達なら、あんたからもらった薬を飲ませたら大分容態は落ち着いてるわよ。とりあえずはあんたに感謝、って所ね。それで、どうする?一応、お父さん達の顔見ていく?」

 

ただおさん達の様子を説明してくれながら、そう言ってくれるかがみに俺も頷いて

 

「ああ。その為に来たようなもんだし、とりあえずはお邪魔するよ。」

 

そう言うと、かがみも俺の言葉に頷いて

 

「分かったわ。それじゃ上がって?お父さん達の部屋に案内するから。」

 

と言うかがみの言葉に甘えさせてもらい、俺はかがみの案内でただおさん達の部屋へと向かった。

 

その途中、キッチンから出てきたつかさに声をかけられた。

 

「あれ?けいちゃん?お客さんってけいちゃんだったの?」

 

そんなつかさの言葉にかがみは

 

「そうよ。わざわざお父さん達の様子を見に来てくれたんだって。」

 

つかさにそう説明すると、つかさもにっこりと笑いながら

 

「そうなんだ~。ありがとう、けいちゃん。あ、それと、けいちゃんからもらったお薬のおかげでみんなの熱も引いたみたいなんだ~。本当、助かったよ~。」

 

そう言ってくれるつかさに俺も内心でほっとしつつ

 

「そうか、それならよかったよ。でも、つかさもかがみも、今は自分達が風邪を引いてないとはいっても油断はするなよ?今回は結構面倒な感じだしな。」

 

そう言うと、2人は苦笑しつつ

 

「わかってるわよ。まあ、あんたの忠告も心に刻んでおくわ。」

「うん。わたしも気をつけるよ~。だから、けいちゃんもきをつけてね~。」

 

そう言ってくれたのを受けて、俺もそんな2人に頷くと

 

「それなら大丈夫だろうな。俺も一応は注意するよ。ありがとな、つかさ。」

 

そう言いつつ、つかさに気遣ってもらった礼を言うと、つかさも嬉しそうに頷いてくれたのだった。

 

ほどなくしてただおさん達の部屋の前に辿り着くと、かがみが部屋を軽くノックする。

 

部屋からただおさんの「かがみか?入っていいよ。」と言う声を聞いて、かがみがそっと部屋のドアを開ける。

 

「お父さん、お母さん、入るわよ?」

 

かがみは中の2人にそう言い、つかさと共に俺を部屋へと招き入れてくれた。

 

部屋に入って来た俺の姿を見たただおさんとみきさんは少し驚きつつ

 

「おや?森村君、うちに来てたのかい?」

「あら、森村君いらっしゃい。」

 

そう言う2人に俺も

 

「お邪魔してます。かがみ達からただおさん達が風邪を引いたとお聞きして、ちょっと様子を見に伺わせてもらいました。お2人共あの薬を飲んでいただいたとの事ですが、体調の方はいかがですか?」

 

と、挨拶を返しつつ、俺がここに来た目的を話すと、2人はにっこりとしながら

 

「ああ。かがみから聞いてるよ。ありがとう、私たちのためにわざわざ大切な薬を分けてくれたらしいね。おかげで体調は大分良くなってきてるよ。」

「気を使わせちゃってわるいわね。おかげで早めに回復できそうよ。」

 

そう言ってくれたのを受けて俺も照れながら

 

「い、いえ、俺もただおさん達には凄くお世話になりましたから、この位は何て事はないです。それよりも元気そうで安心しました。薬の方ですが、後1回、翌朝に飲むようにして下さいね。それで完全によくなるはずですから。」

 

と、言いつつ、もう1度薬を飲んで欲しい事を説明すると、2人は俺の言葉に頷いて

 

「わかったよ。君のいうとおりにするとしよう。」

「明日また飲めばいいのね?わかったわ。」

 

そう言ってくれたのを聞いて俺は頷いて

 

「はい。それでお願いします。それじゃ、俺はまつりさん達の様子を見てから帰りますね。」

 

そう言って、部屋を後にしようとした時、ただおさんから再び声がかった。

 

「ああ。ありがとう。いのりとまつりにも同じように伝えてくれるのかな?」

 

その言葉に俺は頷くと

 

「はい。そのつもりです。それじゃ俺はそろそろ行きます。お2人ともお大事に。」

 

そう言う俺に、2人は揃って軽く頭を下げたのを見て、俺もまた、同じように頭を下げると、かがみとつかさと共に部屋を後にした。

 

まつりさん達の部屋に3人で移動する最中、かがみとつかさは俺に

 

「ありがとう、慶一くん。お父さん達も喜んでたみたいだったわ。」

「けいちゃんのおかげだね。ありがとう~。」

 

そう言い、俺はまたしてもその言葉に照れていたが、ふいにかがみが何かを思い出したのか俺に

 

「あ、そういえば、慶一くんが来る2時間位前かな?龍也さんがお父さん達と姉さん達のお見舞いに来てくれたのよ。」

 

そう言って来たので、俺はその言葉に驚きつつ

 

「え?龍兄が?確かに俺は龍兄にまつりさん達のお見舞いに行ってあげたら?と言いはしたけど、すでに行動を起こしてたんだな・・・流石龍兄、って所か。」

 

そう言うと、かがみも俺の言葉に苦笑しつつ

 

「そうね。でも、ちょっと不思議だったな。」

 

軽く人差し指を立てて頬に当てつつそう言うかがみの言葉に俺は、首を傾げつつ

 

「不思議?どういう事だ?」

 

かがみにそう尋ねると、かがみは俺の言葉に頷きつつ

 

「お父さん達のお見舞いを済ませて姉さん達の部屋に向かう時に龍也さんの顔をちらっとみたんだけど、いつになく真剣な顔をしていたのよね。まるで何か思いつめているような、そんな感じだったわ。」

 

そう説明してくれるかがみの言葉を聞いて俺もまた、そんな龍兄の様子を想像して少し考え込む。

 

だが、今の状況ではその程度の情報だけでは龍兄の心の内を推し量る事は出来そうになかったので、俺は今はその事を考えるのをやめたのだった。

 

「そうか・・・ちょっと気にはなるけど、今は考えても仕方なさそうだな。とりあえずはまつりさん達に会って行く事にするかな。かがみ、一応俺もその事に関しては気に留めておくけど、今後、何かあるようなら俺に教えてくれるか?」

 

そう俺が言うと、僅かに考え込んでいた俺に少し心配するような顔をしていたかがみは俺に頷いて

 

「うん。わかったわ。まあ、どうなるかはわからないけどね・・・」

 

そう言うかがみに俺も頷くのだった。

 

そうこうしているうちにまつりさん達の寝ている部屋へと辿り着く。

 

そして、部屋に入り、まつりさん達に薬の事を説明しつつ、龍兄の事に関してもちょっと尋ねてみたのだが、今はまだ何も言えない、そのうちにはっきりしたら森村君にも伝えるよ、との事だった。

 

俺は、そんな2人の姿を見た時、2人が何かの決意を固めているように感じていた。

 

その決意は同時に、龍兄もしていた事だと気付いたのはかなり後になってからだった。

 

今回、柊家において、何か大事な事があったのかもしれない、俺は柊家を後にしつつ、そう感じていた。

 

 






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