らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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雑音(ノイズ)への対策と不安と

更に飛び火してしまった風邪。

 

その風邪の猛威は俺の仲間達だけでなく、その親や教師達にも及ぶ事となった。

 

それにより、その対処のために手持ちの薬を皆に手渡してきた俺だったが、改めて薬の残量を確認した結果、残りはかなり心許ない数まで減っていた。

 

そんな事を頭の墨に置きつつ、今回の一件について、アニ研の部室にて昼食を摂りながら話し合う俺達。

 

そして、今後に一抹の不安を感じながらもその日の授業を終えた俺達は、こう達のお見舞いをしていってくれると言ってくれた皆と共に学校を後にした。

 

その帰り道に俺は、このままでは薬のストックに少々不安を感じていた事もあり、家についてから龍兄に、薬の件とまつりさん達の事で電話をしようと考えていた。

 

家に辿り着き、こなた達にこう達の所に先に行かせ、俺は部屋に戻って龍兄へ電話をかけてみる事にしたのだった。

 

何回かのコールの後電話に出る龍兄。

 

俺は早速薬の件について話をしようと、龍兄に用件を話し始めたのだった。

 

「あ、龍兄、ちょっといいかな?」

「どうした?慶一。いきなり電話してくるとは珍しいな。」

「その事なんだけど、親父の所にまだ龍真丹のストックってあったかな?ちょっとこっちで面倒な事が起きててさ。」

「ん?龍真丹か?どうだろうな?とりあえず親父に確認はしておこうか?それと、面倒事って何があったんだ?」

「その事なんだけど、龍兄からもらったチケットで遊びに行ってから学校が始まってすぐに風邪でダウンする仲間が出ててさ、その風邪が仲間達の間で飛び火してるんだよ。俺はとりあえず手持ちの龍真丹を風邪を引いた仲間に配ったんだけど、残りの数が心許なくってさ。で、実家にまだストックあるようなら龍兄に悪いんだけどこっちへ届けてもらえないかな?ってさ。」

「ふむ。そういう事になってたのか。わかった。とりあえず親父には、薬の事は確認してすぐに届けられそうなら行ってやる。で?用件はそれだけか?」

「ありがとう、龍兄。それと、柊家の方でもまつりさんやいのりさんもダウンしてるらしいから、龍兄にお見舞いにでも行ってやって欲しいなーってさ。」

「・・・おい、慶一、お前、また何か企んでるんじゃないだろうな?」

「いやいや、別に何も企んでないって。まつりさん達が風邪引いてるのも本当だし、ただおさんやみきさんもなんだからさ。」

「ん?ただおさん達もなのか?ふむ・・・わかった。そういう事なら行ってやるしかないか・・・だが、慶一。この話がもしも嘘だったら、覚悟はできてるだろうな?」

「いやいや、だから、嘘じゃないって!確かにあの時は龍兄を騙したかもしれないけど、今度のは嘘でもなんでもないから!!」

「・・・まあいい。とりあえず薬のストックに関しては後で連絡を入れる。俺はとりあえず柊家へ出向くから、もしもストックがなかった場合は薬の到着は少し遅れる事になるから、それも頭に置いておけよ?その際には一応は連絡はいれるからな?」

「わかったよ。ありがとう、龍兄。」

「まあ、せいぜいお前も風邪を引かないように、体調管理には注意する事だ。じゃあ、そろそろ切るぞ?」

「ああ。せいぜい気をつけるよ。」

 

そう話してから電話を切り、俺は軽い溜息を1つつくのだった。

 

龍也side

 

慶一からの突然の連絡に少し驚きつつも、電話に出て用件を聞いた。

 

それによると、慶一の周りで風邪の蔓延が始まっているらしいとの事。

 

慶一も手持ちの龍真丹でそれらに対処を行ったらしいが、その人数と使用量の増加によって、慶一の方の薬の残量が厳しくなったらしい。

 

俺に薬を届けて欲しいという依頼と共に、まつりさん達も風邪でダウンしているらしい事も慶一から聞いてはいたが、以前にあいつに嵌められた事もあり、少々不審感を持つ俺だったが、今回の慶一の態度から今回はどうやら本当の事らしいと言う事が感じられ、ひとまずはまつりさん達の様子も見に行ってみるかと軽くため息をつきながらも思う俺だった。

 

そっちの件も考慮しつつ、俺はとりあえず、慶一の依頼である薬の件に関して親父に聞いてみる事にした。

 

母さんに親父の居場所を聞いてみると、いつものように道場に居るとの事だったので、俺は早速そっちへと足を運んだ。

 

そして、道場で親父の姿を見つけた俺は、早速声をかける事にしたのだった。

 

「親父、ちょっと聞きたい事があるんだが。」

 

そう声をかけると、俺の言葉に気付いた親父が俺のほうへと向き直り

 

「ん?龍也か。私に聞きたい事とはなんなのだ?」

 

そう声をかけてきた。

 

俺はそんな親父の言葉に頷きつつ

 

「実はな・・・・・・と言う訳で、薬のストックがまだ家に残ってたかどうかを確認しにきたのさ。」

 

そう言って事情を説明する俺の言葉に親父は、顎に手を当てて少々考え込みつつ

 

「・・・ふむ。確かこちらもストックは切れかかっていたな・・・すまん、龍也。とりあえず然るべき場所への連絡はすぐにやっておくが、薬が用意できるまでには少し時間がかかるかもしれん。後で慶一にもその事を伝えておいてくれるか?」

 

と、少しすまなそうな表情で俺に言う親父の言葉に俺も苦笑しつつ

 

「わかったよ。けど、なんだかんだであいつも少し運が悪いかもしれないな・・・」

 

俺がそう呟くと、親父も軽くため息をつきながら

 

「まあ、仕方があるまい。間の悪い時というものはそれなりはあるものだ。ともかく、私はすぐに薬を取り寄せる手配をしよう。龍也、慶一への連絡は任せる。それと、まつりさん達のお見舞いも行ってやれ。お前もあの2人から言い寄られて悪い気はしていないのだろう?」

 

と、最後に俺をからかうように言って来る親父の言葉に少々慌てつつ

 

「な、何言ってるんだよ、親父!確かに慶一も世話になっているし、悪い娘達ではないと思ってるけど、親父だってわかってるはずだろ?俺は近いうちにまた武者修行の旅を再会する。そうなったら俺は慶一の側にも居てやることはできないだろう。そして、彼女達の側にもな。そうなる事が分かっている以上、俺は、あの娘達に下手な期待は持たせたくはない。」

 

そう説明すると、親父は軽く溜息を1つついて

 

「それでいいのか?それでお前は納得しているのか?」

 

そう尋ねてくる親父に俺は言葉を返そうとしたのだが、何故かすぐに親父の問いかけに対する答えを口に出来ず、俺はその事に戸惑いを覚えた。

 

そんな俺の様子を見た親父はふっと笑みを浮かべると

 

「・・・どうやら思う所があるようだな。お前が滞在できる期間はまだあるのだから、お前がここを発つその日までは色々と考えてみるがいい。私からお前に言える事はそれだけだ。とりあえずは薬の手配をする為に家の方に戻る。お前も慶一へと薬の件、連絡をしてやるのだな。」

 

そう言って、踵を返して道場を後にする親父の背中を見送りつつ、俺は大きな溜息を1つついてから、慶一の携帯へと連絡を入れたのだった。

 

慶一side

 

龍兄からの薬に関する連絡をもらい、今後の事について思案している俺だったが、そうこうしているうちに俺の部屋のドアがノックされた。

 

その音に気付いた俺は、ノックの主に

 

「はいはい、誰だー?」

 

そう声をかけると、ノックの主はドアを開けて俺の部屋に入って来て

 

「あ、慶一君、ここだったんだね?あの後、姿が見えなかったから探しちゃったよ。」

 

そう言ってきたのはこなただった。

 

俺は、そんなこなたの言葉に苦笑しつつ

 

「そうか、悪かったな。大事な用事があったんでな、ちょっと実家に電話を入れてたんだ。」

 

そう言うと、こなたは首を傾げつつ「実家に?何か用事?」と聞いて来たので、俺は頷きつつ

 

「まあな。それはそうと、俺に何か用だったか?」

 

そう、こなたに尋ねると、こなたは俺の言葉に「あっ」という表情を見せつつ

 

「そうそう。お見舞いも済んだし、そろそろおとーさんにも薬を届ける為に帰ろうと思ってさ。かがみ達ももう帰るつもりのようだったし、その事も含めて慶一君に声かけていこうって思ってねー。」

 

そう説明してくれるこなたの言葉に俺は頷くと

 

「そうか。じゃあ、駅までは俺が送って行くよ。かがみ達と一緒に玄関で待っていてくれないか?みゆき達にはその事を伝えに行くからさ。」

 

そうこなたに言うと、こなたも俺の言葉に頷いて

 

「わかったー。それじゃ先に行って待ってるからねー?」

 

そう言ってこなたは俺に手を振りつつ、部屋を後にするのを見送ってから、みゆき達が居るであろうキッチンへと足を向けた。

 

そして、キッチンでみゆき達の姿を見つけた俺は、みゆき達に

 

「みゆき、やまと、パティ。こなた達を駅まで送ってくるから、その間食事の準備等を頼むよ。俺も戻り次第手を貸すから。」

 

そう声をかけると、みゆきはにっこりと笑いながら俺に

 

「わかりました。こちらの方はお任せください。あ、それと、泉さん達を送ったその帰りに、このメモにあるものの買い物をお願いしたいのですけど。」

 

そう言って、買い物の内容が書かれたメモを渡してくるみゆきからそれを受け取ると、内容をとりあえず確認する。

 

そこには、今の段階で不足している調味料の類などが書かれていた。

 

俺はそれを確認してから

 

「ん。了解。こっちは請け負うよ。それじゃちょっと行ってくる。」

 

そう言って踵を返してキッチンを出ようとした俺に、3人から声かけられたのだった。

 

「よろしくお願いしますね?慶一さん。」

「先輩。道草はなしでお願いね?こちらも少々忙しいのだから。」

「ケイイチ!オハヤイオカエリをマっていますデスよ!」

 

そう声をあげる3人に、背を向けたままで軽く手を上げると、俺はこなた達の待つ玄関へと急いだ。

 

玄関までやってくると、俺の姿に気付いたこなたが俺に声をかけてきた。

 

「あ、慶一君、待ってたよー?」

 

と言うこなたに俺は苦笑しつつ

 

「はは。お待たせ。それじゃ、行くか。」

 

そう声をかけると、こなた達は頷き、先に家を出る俺の後ろをついて来た。

 

俺は皆がちゃんと付いて来てる事を確認しつつ、最寄の駅へのバスを待つために、家の側にあるバス停を目指した。

 

そして、バスを待ちながら、こなた達は俺に話し掛けて来たので、軽くやりとりを始めるのだった。

 

「ねえ、慶一君。さっき君の部屋で君が言ってた事って何?あの時は話が中断しちゃってたから、ちょっと気になってたんだよね。」

「ん?あの事か?まあ、たいした話じゃないよ。」

「話?それって、八坂さん達のお見舞いしてた時に、こなたが何時の間にか居なくなってた時間があったわよね?あの時こなたは慶一くんの所へ行ってた訳?」

「そうだよー?そろそろお見舞いも終わるし、私達もそれに合わせて帰るつもりだったじゃん?だから、慶一君に報告に行ってたんだよ。」

「そうだったんだ~。気付いたらこなちゃんの姿が見えなくなってたから、わたしも、あれれ?って思ってたんだよね~。」

「なんだ?ちびっ子は慶一の所へ行ってたんか?だったら一言言ってくれればよかったのに。」

「あはは。ごめんごめん。本来の目的はお手洗いだけのつもりだったんだけどねー。一応、慶一君には報告しといた方がいいかな?ってねー。」

「あ、それじゃ、こなたおねーちゃんはそのついでに私も呼びに来てくれたんだね?私だけみなみちゃんの所に残っちゃってたから、気をつかわせちゃったかな?」

「んーん。ゆーちゃん、そんな事ないよ。どの道、ゆーちゃんも呼びに行くつもりだったからねー。まあ、そっちは無問題って事で。」

「あはは。なんにしてもやさこも元気そうだったし、先輩の飲ませた薬の効果は本物みたいですね。」

「そうみたいですねー。とりあえず私も効果の程はわかりましたし、田村さんに急いで薬を届けてあげなきゃ。」

「ああ。そうしてやってくれ。2個でほぼ完全によくなるはずだからな。風邪程度にならこの薬の効果は保証済みだ。ともあれ、こなた。さっきの電話はこの薬の件に関する電話だったのさ。」

「ん?慶一君、それって?」

「あー・・・まあ、皆に薬を配った事でストックに不安が出てきてたからな。補充を頼む為、って奴だ。」

「え?ひょっとして、あんたからもらったこの薬って結構貴重だったりする?」

「貴重、と言えばそう言えるかもだが、それでも、本家の方で作ってもらってる物だからまた作ってもらえば補充は可能だ。とはいえ、そこ等で売ってる物でもないからな。足りなくなる事に弱冠の不安があったという事かな。ストックがなくなっていた場合、作ってもらうのに時間がかかるかもだからさ。」

「そんな貴重な薬をわたし達に配ってくれたんだね?ありがとう、けいちゃん。」

「わりいな、慶一。私も礼を言うゼ?」

「私もです。たまきに気を使ってもらってありがとうございました。」

「私も気にかけてくれてありがとうございます。慶一先輩。」

「私にも念のために下さいましたよね?ありがとうございます。」

「いいさ。仲間の為に俺が出来る事をしただけだ。それはともかく、折角渡した薬だから、きちんと届けてくれよ?今日はちょっと無理だけど、一応は、ダウンしている皆の所には顔は出させてもらうつもりだからな。」

 

と、最後に俺がそう言うと、皆もそんな俺ににっこりと笑って頷いてくれたのを見て、俺もまた、笑顔で頷き返した。

 

そうこうしているうちにバスもやってきたので、俺達はバスで駅まで向かう。

 

そして、駅でこなた達を見送りつつ、俺は全員に声をかけた。

 

「こなた、そうじろうさんと念のためゆたかの方でも体調が心配になったら薬は使ってやってくれ。かがみ、つかさ、恐らく薬を飲ませたら次の日には風邪程度なら治ってるかもだから、お見舞いできないが、ただおさん達によろしくな。みさお、あやのにちゃんと薬を渡してやるんだぞ?みく、たまきに薬を届けたら俺がお大事にと言っていたと伝えといてくれ。ゆたか、体調が悪いと感じたらこなたから薬をもらって飲んで置けよ?いずみ、頼んでしまうようで悪いが、ひよりの方、任せるよ。」

 

そう声をかけると、皆もそれぞれに

 

「了解だよー。ありがとね、慶一君。」

「わかったわ。ちゃんと伝えておくから。」

「大丈夫だよ~。けいちゃん、ありがとう。」

「ちゃんと薬届けっから大丈夫だゼ?」

「この薬はきちんと届けますから。後、先輩からの伝言もです。」

「ありがとうございます。先輩の言うように、体調に不安を感じたらこなたおねーちゃんから薬もらいますから。」

「わかってます。委員長として、友達としての務めはきちんと果たして来ますから。」

 

そう答えた後、俺に手を振って駅の構内へと歩いて行くこなた達を見送った後、俺は踵を返して、みゆきから頼まれた買い物を済ませる為に、近くのスーパーへと足を向けたのだった。

 

買い物を済ませて家に戻ると、丁度夕食の準備を終えたらしいみゆきとキッチンで出くわした。

 

俺に気付いたみゆきは俺に声をかけてくる。

 

「あ、お帰りなさい、慶一さん。丁度準備が済んだ所です。それと、お願いした物はどうなりましたか?」

 

そう聞いてくるみゆきに俺は、手に持っている袋をみゆきに手渡しつつ

 

「ただいま、みゆき。ほら、これが頼まれていた物だ。そういえば、やまととパティはどうしたんだ?」

 

そう言いつつ、キッチンに2人の姿が見えなかったので、俺はその事をみゆきに尋ねると、みゆきは柔らかく微笑みながら

 

「ありがとうございました。お2人なら、八坂さんとみなみちゃんの分のお粥を作って、先程お2人の部屋へと向かわれた所ですよ?じきにこちらへと戻られると思いますので、慶一さんも手を洗って準備しておいて下さい。」

 

と、2人の事を説明しつつそう言うみゆきの言葉に頷いて

 

「わかった。それじゃ、ちょっと手を洗ってきますか。」

 

そう言って俺は、洗面所へと手を洗いに向かう。

 

その帰りに2人の様子が気になって、それぞれの所へと顔を出してみたが、2人とも薬が効いたのか、朝よりはかなり元気そうだった。

 

これなら、今晩しっかりと寝れば、明日には熱も下がるだろうと感じた俺は、2人に無理はしないように伝えてから、やまと達を伴いキッチンへと戻る。

 

そして、キッチンに勢ぞろいした俺達は、早速夕食を食べるのだった。

 

夕食を摂りつつ、俺達は軽くやりとりをする。

 

「それにしても、2人とも早めに回復しそうだから、何よりだな。」

「慶一さんからいただいたあのお薬はかなり効きますからね。おかげで私もすっかり元気になれました。」

「確かに回復は早いわね。そういえば思い出したのだけど、先輩が中学生の頃に軽い肺炎になったあの時も、先輩のお父さんが先輩に何かを飲ませていたのを見たような記憶があるわね。あれって今回の薬だったのかしら?」

「あー・・・後で親父から聞いた話ではそうらしい。ただ、肺炎だった事もあって、風邪よりは少し回復に時間はかかってた、って話だけどな。」

「ケイイチはイゼンにそのようなコトがあったのデスか?」

「まあな、今思い出したら、我ながら馬鹿な事をした、って思うけどな。」

「そうですね。永森さんや八坂さん、それに、お話を聞かせてもらった私も心配しましたし。」

「そうね。あの時は本当に焦ったもの。でも、先輩、高良先輩にあの時の事を話したの?」

「う・・・返す言葉もないな・・・まあ、みゆきに俺が雨が苦手な理由が聞きたいって言われたからな。」

「よほどタイヘンなメにあったのデスね。」

「ああ。あの時やまとに見つけてもらわなかったら死んでたかもだしな。それもあって、俺はあの時から龍真丹を身近に置くようになったんだけどな。」

「それであのお正月に風邪引いてその事を忘れてたんじゃ、本末転倒じゃないの?先輩。」

「そう言うなよ、やまと。俺もあの後、結構凹んだんだからさ。」

「今回、お薬の事も分かった訳ですから今後は大丈夫でしょう。万が一慶一さんが忘れても私達の誰かが薬の事を知っているのですから。」

「そうね。先輩、後で保管場所、教えてくれる?そうすれば、何かあってもすぐに薬を取りにいけるでしょ?」

「そうですね。私にも教えて下さい。」

「ワタシもシリタイデス!」

「そうだな・・・わかった、後で俺の部屋へ来てくれ。保管場所を教えておく。みなみ達が回復したなら、あの2人にも教えておくか。」

「それが良いと思いますよ?この家に一緒に住んでいる以上はそう言う重要な部分は共有した方が何かと便利でしょうから。」

「だな。じゃあ、先に3人に教えとくよ。風邪でダウンしている2人にはその後で、って事で。」

 

そこまで話をして、食事も丁度終わる。

 

その後は、もう1度2人の様子を見に行ってから、みゆき達に薬の保管場所を教え、その日の残り時間は思い思いに過ごしたのだった。

 

その最中にこなた達から感謝のメールや電話をもらい、とりあえずは薬が無事に届けられた事にほっとする俺だった。

 

薬の件で龍兄からの電話も待ったが、その日は龍兄からの電話はかかってこなかった。

 

手元にある薬の残りの量に不安を残す俺だったが、ない物は仕方がないと割り切る一方で、これ以上の病人がでない事を祈る俺。

 

だが、その祈りも、いまだ吹き荒れる風邪の猛威の前には意味をなさなくなる事を、その翌日に思い知らされる事になる。

 

事態の収束には向かっていたものの、いまだ雑音(ノイズ)は俺達の周りを覆っていたのだった。

 




今回でストック分は終了となります。

今後は更新速度はかなり落ちるかもしれませんが、今後ともおつきあいいただけたら、ありがたいです。

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