らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

154 / 157
雑音(ノイズ)の脅威、広がる不安と増える患者

こなたとみゆきの風邪騒動の後、俺は2人に龍神家秘伝の薬を手渡し、とりあえずその日はそれで終わった。

 

次の日にはみゆきも熱もすっかり引いていて、風邪の方はとりあえずは大丈夫だと言っていたみゆきと共に、いつものように家事の手伝いをさり気なくする為に2人してキッチンへと向かったのだが、そこには今日の当番であるこうとみなみの姿がなかった。

 

2人の姿が見えない事に2人して首を捻っていた俺達だったのだが、そこにやまと達が現れて、俺達が首を捻っている理由を聞く。

 

とりあえず様子を見てきて欲しいという俺の言葉を受けて、2人の様子を見に行ったやまととパティだったが、俺達にもたらせた報告は、2人が風邪でダウンしたという事だった。

 

その結果を聞いて俺は、2人がこなたとみゆきから風邪をもらったのかもしれないな、と思いつつ、2人に食べさせるお粥を作っていたが、あいつらにも薬を渡してやらないと、と思った俺はこの場をみゆき達に任せて自分の部屋へと薬を取りに行ったのだった。

 

薬を片手に軽く溜息をついてから、俺は2人の部屋へと足を向けたのだった。

 

まずはこうの部屋へとやって来た俺は、とりあえず部屋をノックする。

 

「こう、俺だ。入ってもいいか?」

 

そう声をかけると、どうやらお粥を持ってきてたやまとが、先に部屋にいたらしい。

 

「いいわよ?先輩、入って。」

 

そう声をかけて来たやまとの言葉に俺は、そっと部屋のドアを開け、部屋の中へと足を踏み入れた。

 

そして、お粥をゆっくりと食べているこうに

 

「こう、調子はどうだ?ちょっと額を触るぞ?」

 

そう言って俺は、こうの額に手を当ててみる。

 

そんな俺の行為に、こうは赤い顔を更に赤らめつつ

 

「へ?あ!あの!?」

 

と慌てるこうだったが、俺はそんなこうの態度に頭にハテナマークを浮かべつつも手を離して

 

「ん。確かに熱は高いみたいだな。」

 

そう言う俺に、やまとが少々不機嫌そうな顔を向けつつ

 

「・・・さっき高良先輩がこうの容態を確認してくれたわ。先輩の診断ではこうはインフルエンザではないそうよ。」

 

そう言うやまとに俺は、再び頭にハテナマークを浮かべつつ

 

「そうか。それならいいんだが、やまと。なんかお前少し機嫌が悪くないか?」

 

そう言う俺に、やまとはぷいと横を向きつつ「・・・別に。」と短く答えるやまとを見て俺は困惑していたが、俺は俺のすべき事を思い出したので、持ってきた小瓶から薬を取り出すと

 

「こう。これは昨日、みゆきやこなたにも届けた薬だ。これの効果は抜群だから、それを食べた後飲んでゆっくり休んでおけよ?」

 

そう言って俺は、薬をこうに手渡した。

 

こうは俺から受け取った薬をまじまじと見つめて

 

「昨日の高良先輩がすっかり良くなっていたのを聞いてますし、本当に効きそうですねえ。先輩、ありがとうございます。あ、それと、先輩。よかったら残りのお粥を食べさせてもらえませんかねえ?もちろん、”あーん”して、っていう感じでお願いします。」

 

と、ニヤニヤしながら俺にそう言うこうに俺は、顔を赤くしつつ慌てて

 

「な、何言ってんだよ!そ、そんな恥ずかしい真似できるか!!」

 

と、照れ隠しに思わず叫ぶ俺と同時に、やまともこうを黒いオーラを纏った姿で睨みつけつつ「こーーーーう?」と短く声を発するやまとを見てこうは慌てつつ

 

「あ、あはは・・・じょ、冗談ですよ冗談。やまともほら、怒りを抑えて、ね?」

 

と、途端にやまとの迫力に押されて縮こまるこうに、やまとはなにやらぶつぶつ言いながらもとりあえずはオーラを収めたようだった。

 

俺も場の空気がとりあえず落ち着いた事を感じつつ

 

「・・・ったく。風邪引いてる割にはずいぶん余裕そうだな?とにかく。今渡した薬はしっかりと飲んでおけよ?」

 

そう言って、軽いため息をつきつつ、そう、こうに忠告すると、俺はやまとに

 

「やまと、すまないが後片付けだけ頼む。俺はみなみの部屋にも薬を渡しに行って来るから。」

 

そう言うと、やまとは軽い溜息を1つついてから

 

「・・・はあ・・・わかったわ。こっちは任せて。先輩も岩崎さんの所へ行くなら早く行った方がいいわよ?時間も大分押して来てるしね。私も片付け済ませて学校へ行く準備はしておくわ。」

 

そう言うやまとに俺は、苦笑しつつも頷いて

 

「わかった。それじゃな。」

 

そう言って俺は、こうの部屋を後にして今度はみなみの部屋に向かった。

 

みなみの部屋の前に来た俺は、再びドアをノックし声をかける。

 

「俺だ。みなみ、とりあえず入るぞ?」

 

そう言うと、中からはパティとみゆきがみなみの代わりに

 

「ケイイチ、どうぞデス!」

「大丈夫ですよ?とりあえず中へどうぞ。」

 

そう言ってくれたのを受けて、俺はそっとドアを開けて部屋へと入って行った。

 

俺はちらりと、とりあえず上半身を起こして、お粥をゆっくりと食べているみなみの姿を見て

 

「みなみ。具合はどうだ?」

 

そう声をかけると、みなみは俺に何かを言おうとしていたが、みゆきがそれを抑えて

 

「みなみちゃんは喉もきつそうなので、私が代わりに伝えますね。とりあえずはインフルエンザではなく、ただの風邪のようです。熱は弱冠高いですが、それでも栄養のあるものを摂ってゆっくりと休めばよくなるでしょう。」

 

そう説明してくれたのを受けて俺は頷くと、持っていた小瓶から薬を取り出して

 

「わかった。それじゃ、みなみ。これを渡しておくから、それを食べ終わったら、これを飲んでゆっくり寝てるんだぞ?家事のことは元気な俺達でやるから、今はその体を治す事を考える事、いいな?風邪は不可抗力なんだから、今日当番が出来なかった事に罪悪感を覚える必要はないからな?みなみは意外と気にする性質だから、あらかじめ忠告だけはさせてもらうよ。」

 

そう言いつつ、俺はみなみに薬を手渡す。

 

俺から薬を受け取ったみなみは、俺にぺこりと頭を下げた。

 

俺はそれを見て満足気に頷くと、小瓶からもう1つ薬を取り出して今度はみゆきに

 

「みゆき。お前にももう1つ渡しておく。熱は引いたとは思うが、一応は病み上がりの体だ。これは念のため、って事でな。」

 

そう言うと、みゆきは驚きの表情を見せつつも薬を受け取って

 

「ありがとうございます。慶一さんのご忠告どおり、これは朝食後に飲ませてもらいますね。それでは私達もそろそろ朝食を摂りつつ、学校へ行く準備をしましょうか。みなみちゃん、慶一さんの言うようにお薬を飲んだらゆっくりと安静にしていて下さいね?それでは、慶一さん、パトリシアさん、キッチンへと戻りましょう。」

 

そう言うみゆきに俺とパティも頷いて

 

「そうだな。それじゃ、行くぞ?パティ。」

「リョウカイデス!すぐにモドってブレックファストタイムですネ!」

 

そう言ってお互いに頷きあうと、俺達は揃ってキッチンへと戻り、朝食を摂り始めた。

 

やまとも合流し、学校へ行く準備も済ませた俺達だが、俺はここに少し違和感を感じていた。

 

そう、いつもなら猫の世話にやってくるはずのあやのが、今日は未だに現れていないのだ。

 

いつもの時間を過ぎても、現れる気配のないあやのを気にしていた俺だったが、ふいに俺の携帯にメールの着信があったので、俺は携帯を取り出すと、差出人と内容の確認をする。

 

from:慶ちゃん

 

title:ごめんなさい。

 

昨日の夜から突然風邪を引いてしまって、今日はそっちに行けなくなってしまったの。

 

本当にごめんね?風邪が治ったらまた行くようにするから、今日は猫ちゃん達のお世話をしてあげてね。

 

byあやの

 

 

という内容のメールだった。

 

俺はこの事に驚いて、集まってる皆にあやのの事を伝える為に声をかけた。

 

「みんな。あやのから今メールが来た。どうやらあやのも風邪を引いてしまったらしい。だから、今日は俺が猫の世話をしてくるから、皆は先に学校へ行く準備を済ませて外で待っていてくれないか?」

 

そう言うと、皆は驚きつつ

 

「え?峰岸さんもなのですか?心配ですね・・・1度様子を見に行ってあげた方がいいでしょうか?」

「なんだか色々な所で風邪引きが出ているわね・・・私も注意しないと・・・」

「ダウンしてるヒトがオオスギなキがシマス!ワタシタチもユダンはキンモツデスよ!?」

 

それぞれにそう言うのを聞いて、俺も頷きつつ

 

「そうだな。これはちょっとまずい兆候かもしれない。皆で気をつけていこう。それじゃ皆、先に外へ行っててくれ。」

 

そう言うと、皆も頷いて後片付けを済ませた後、学校へ行く準備を済ませて外へと向かったのだった。

 

俺はそれを見送った後、猫の餌をあげたりトイレの掃除をしたりして猫の世話を終えると、皆の所へと急いだ。

 

そして、皆と合流した後、俺達は最寄駅へと向かい、いつもの電車に乗り込んだ。

 

その電車でまずかがみとつかさと合流し、俺達は互いにいつものように挨拶を交わす。

「おはよう、かがみ、つかさ。」

「おはようございます、かがみさん、つかささん。」

「おはよう、かがみ先輩、つかさ先輩。」

「モーニン!カガミ、ツカサ!」

 

という俺達の挨拶に、かがみ達も挨拶を返す。

 

「おはよう、慶一くん、永森さん、パトリシアさん。それに、みゆきも風邪良くなったのね、まだだったらお見舞いに行こうと思ってたけど、って、あれ?」

「おはよ~、けいちゃん、永森さん、パトリシアさん。あ、ゆきちゃん、風邪治ったんだね~今日はおねえちゃんとお見舞いにいこうって思ってたんだよ~?って・・・え?」

「お2人とも、お気遣いありがとうございます。ですが、このとおり風邪はよくなりましたので。それと、お2人とも驚かれているみたいですが、何かありましたか?」

 

と、挨拶を返しながらも、俺達のメンバーの違和感に気付いた2人。

 

そんな中、かがみが俺に声をかけてきた。

 

「ねえ、慶一くん、みゆき。八坂さんと岩崎さんの姿が見えないけどどうしたのよ?珍しい事もあるわね?」

 

そう聞いてくるかがみに俺とみゆきは苦笑しつつ

 

「ああ、実はな。昨日のみゆきの風邪が治ったはいいんだが、こうとみなみが知らない間に風邪のウィルスをもらったらしくて、2人とも風邪引いてダウンしちゃったんだよな。みゆきのお見舞いに来ようとしてくれていたらしいけど、よかったら、代わりにこうとみなみのお見舞いでもしてやってくれないか?」

「慶一さんの言う通りなのです。どうやら、私も原因がありそうなので、罪悪感は感じているのですが、お2人さえよろしければ私からもお見舞いの件、お願いしてもいいでしょうか?」

 

と言う俺達2人の言葉に、かがみとつかさも苦笑を返しつつ

 

「そういう事なのね?わかったわ。とはいえ、私達もそんなに長居はできないけどね。早めに帰ってお母さん達の看病もしないとだし・・・」

「そうだったんだ~・・・そういう事なら私もちょっとお見舞いしてあげたいな。でも、おねえちゃんの言った事もあるから、長くはいられないかも。ごめんね~?」

 

そう言ってくる2人に俺は、かがみの言っていたお母さん達の看病という言葉を聞いて

 

「かがみ、つかさ。お母さん達の看病、って言ってたようだけど、何かあったのか?」

 

そう尋ねると、かがみは軽いため息をついて

 

「そうなのよね。実は、今朝起きていつものようにキッチンへと朝食を摂りに降りてみたけどいつも集まってるお母さん達がいないから、つかさにお母さん達の事を知らないか?って聞いてみたらさ、私達以外が全員風邪でダウンしちゃってるって聞いてね。」

 

そう説明するかがみの言葉に俺は驚いて

 

「え?ただおさん達がか?本当に風邪が流行ってるみたいだなあ・・・これは本当に気を引き締めないと俺達もまずいかもしれないな・・・それはそうと、かがみ、ちょっと手を出せ。」

 

俺はそう言いつつ、鞄から小瓶を取り出すと、その中の薬を必要分量だけ出す。

 

そんな俺の行動を見ていたかがみが、首を傾げつつも手を出して

 

「え?なんなの?慶一くん、今出したのって何?」

 

と聞いて来たので、俺はかがみの質問に頷いて

 

「これは、龍神家に伝わる滋養強壮薬さ。これは風邪にも良く効くから、かがみに持ち帰ってもらってただおさん達に渡して欲しいんだ。1回1錠、食後に服用が望ましいから、って伝えてくれるか?」

 

そう言いながら、俺はかがみに薬を手渡してそう説明する。

 

かがみは、俺から受け取った薬をまじまじと見て

 

「へえ?慶一くんの家ってこんなものもあるのね?あれ?って事は、みゆきが回復したのって・・・」

 

と、何かに気付いたかがみの言葉にみゆきもにっこりと笑いながら

 

「ええ、そうなんです。私もそのお薬のおかげですぐに回復する事ができたんですよ。ですから、そのお薬の効果は保証付きですね。」

 

そう言うみゆきの言葉にかがみは感心しつつ、持っていたハンカチに大事に薬を包むと

 

「そういう事か。分かったわ。ありがとう、慶一くん。これ、家に帰ったらお母さん達に飲ませるから。」

 

そう言って、俺からもらった薬を鞄にしまうかがみに

 

「頼むな。それと、俺がお大事にと言っていた事も伝えといてもらえるか?それと、まつりさん達には龍兄にお見舞いに行かせるようにする、ともさ。」

 

と言う俺の言葉の最後の方に、かがみは

 

「わかったわ・・・って、ぶふっ!そ、そっちの方もねえさん達には伝えておくわね?くくくっ!」

 

そう言って噴出しつつも頷いてくれたのだった。

 

そんなかがみと俺とのやりとりを、つかさ達も苦笑しつつ見ていた。

 

その後、こなた達と合流する駅に辿り着くと、次はこなた達も電車に乗り込んできた。

 

こなた達は俺達を見つけるなり、俺達の方へやってきて

 

「あ、おはよーみんな。昨日は心配かけちゃってごめんねー。このとおりもう大丈夫だからさー。」

「おはようございます、皆さん。昨日はこなたおねーちゃんのお見舞いに来ていただいてありがとうございました。」

 

そう言ってくるこなたに俺達も挨拶を返したが、その後でこなたが俺に

 

「あ、そうそう、慶一君。昨日はありがとね。あの薬のおかげですっかりよくなったよ。あの薬の効き目はすごいねー。」

 

そのこなたの言葉に俺は頷いて

 

「まあな。何しろ秘伝の薬だからな、効かないはずはないさ。」

 

と言いつつも俺は、鞄から再び小瓶を取り出して薬を手に取ると、こなたに

 

「こなた、とりあえずもう1錠渡すから念のため飲んでおけ。直ったとは言ってもまだ不完全だ。こいつはだめ押し的な感じにしたいからな。」

 

そう言って薬を手渡すと、こなたは俺からもらった薬を手にしながら

 

「そう?じゃあ、慶一君の言う通りにしなきゃね。あ、そうだ、慶一君、まだその薬残ってたらもらえないかな?実はおとーさんが今朝になって風邪引いちゃったみたいでさー。」

 

そう言うこなたの言葉に俺は驚きつつ

 

「え?そうじろうさんも、なのか?俺はゆたかの方は心配していたが、そっちはノーマークだったな。よし、わかった。これをそうじろうさんに渡してやってくれ。それと、これは、ゆたかの分な。」

 

そう言って俺は、そうじろうさんと、念のためにゆたかの分もこなたに手渡した。

 

こなたは俺から薬を受け取ると、かがみと同じように大事にしまいこんで

 

「ありがとう、慶一君。帰ったらこれ、おとーさんに渡しておくね。それとゆーちゃんの分も大事に保管しておくようにするよ。」

 

そう言ってきて、ゆたかもまた俺に

 

「先輩、お気遣いありがとうございます。私も体が弱い方ですから、こういうのは助かります。」

 

そう御礼を言って来るゆたかの頭に俺は、手を軽く乗せつつ

 

「ま、備えあれば、だからな。なんか風邪が流行ってるみたいだから、気をつけるんだぞ?」

 

そう言うと、ゆたかもぱあっと笑顔になって「はい!」と答えるのを見て、俺もうんうんと頷くのだった。

 

その後、みなみの事もゆたかに伝えると、ゆたかもみなみの様子を見ていきたいという事だったので、帰りは待ち合わせて家へと向かう事にしたのだった。

 

電車を降り、バスに乗って校門前までやって来た俺達だったが、昇降口に向かう途中にみくといずみの姿が見えたので、俺達は2人に挨拶をした。

 

その時に、いつも一緒にいるはずのたまきの姿がない事に気付いた俺は、みくにそれとなしに聞いてみた。

 

「みく。今日はたまきと一緒じゃないのか?いつもお前ら一緒に登校しているのを見ていたからちょっと気になってな。」

 

その俺の言葉にみくは困った顔になって

 

「その事なんですけど、実は、たまきが風邪で寝込んでるらしく、仕方ないので1人で今日は学校へと来たんですよ。」

 

そう説明するみくに俺は再び驚いて

 

「何?たまきもなのか?こりゃ本格的に風邪が猛威を振るってるみたいだな・・・実はこっちでも風邪でダウンしてる人達が続出しててな・・・・・・」

 

とこちらの経緯もみくに伝えると、みくもまた、苦笑するしかないようだった。

 

そして、俺達の話を聞いていたいずみもまた、ひよりが風邪でダウンしている事を伝えてきて、またも驚く俺達だった。

 

俺はとりあえず2人に、小瓶から薬を取り出して2人に手渡して

 

「2人とも悪いんだが、これをたまきとひよりに届けてやってくれないか?俺もできる限りは見舞いに立ち寄るつもりだが、こうもあちこちだと、回りきれないかもしれないからなあ・・・」

 

そう言うと、2人とも薬を受け取って頷いて

 

「わかりました。これは必ず届けますね。先輩も心配していたって伝えておきますから。」

「私も学級委員長としての責任を果たしてきます。あ、それと、友達としても、ですけど。」

 

と言う2人に俺は頷いて

 

「ああ。よろしく頼むな。それと、2人もくれぐれも風邪には気をつけるんだぞ?もし引いてしまったら俺の所に連絡をいれて来い。薬を届けに行ってやるから。」

 

そう言うと、2人とも嬉しそうに頷いてくれ

 

「わかりました。その時にはお願いしますね。」

「私達の事も気にかけてくれてありがとうございます。その折には頼らせてもらいますね。」

 

と言う2人に俺も、頷きで応えるのだった。

 

その後、2人と別れて俺達はそれぞの教室へと向かう。

 

教室ではみさおが一足先に待っていて、あやのの事を改めて説明してくれた。

 

俺はみさおにあやのへの薬も手渡してやり、散々念を押して、ちゃんとこれをあやのに届けるようにと伝える。

 

そんな騒動も一段落したかと思ったのだが、その風邪の猛威は、うちのクラスの担任にまで及んでいたようだった。

 

明らかな体調不良で、やっとの思いで教壇に立つ黒井先生に俺達は、ただただ苦笑するしかなかった。

 

その後、桜庭先生までもが風邪にやられていたらしく、俺は溜息をつきつつも2人に薬を届けに行った。

 

天原先生はその時丁度保健室にいて、俺の持ってきた薬を興味深そうに眺め、サンプルで1つ欲しいと言って来たので、薬を手渡す。

 

お昼休みにはいつもの場所に集まってのお昼になったのだが、人数の減った今の状況に誰しもが浮かない表情をしていた。

 

その中で俺達は今回の事で軽いやりとりをする。

 

「突然の大流行て感じだな。笑える話じゃとてもないけど。」

「だよねえ・・・ここまで回ると逆に怖い気もするよ。」

「インフルエンザじゃない、って事が唯一の救いかしらね・・・」

「でもさ、他の生徒達はかかってる人少なくない?」

「確かにそのようですね?奇妙な事ですが・・・」

「まさか、悪性の新型ウィルスとかじゃねえよな?」

「それはないと思うわ。もしそうなら、高良先輩や泉先輩だって慶一先輩の薬があったとしてもすぐには回復しないと思うけど。」

「そうですよね?でも、気をつけないと私達もどうなるか・・・」

「私は特に心配かなー?普通の人より体も弱いですし・・・」

「ユタカ!ヤマイはキからとイイますヨ!?どんなトキでもポジティブシンギングデス!!」

「パーさんの言うとおりだよ?小早川さん。そうでなくても出会った頃よりは体力も付いてきてるんだから、自信もたなきゃ。」

「いずみの言うとおりだな。ゆたか、遊園地でも壁を1つ超えれたお前なんだから、大丈夫さ。だから、そんなに不安になる事はないぞ?」

「は、はい!そうですよね。もっと自信もたなくちゃ。」

「さっすが慶一君、いい事言うねー。」

「い、いや、俺はただ、俺は自分が思った事をだな・・・と、とにかく、改めて全員注意していこう。今の状況、何が起きてもおかしくないからな。皆、健康管理だけはしっかりしていこう。」

 

そう言って、こなたの言葉に照れつつも〆る俺の言葉に皆も改めて気をつけよう、という気持が見て取れた。

 

俺はそれを見て安心すると共に、薬の残量が心配になったので後で確認をしてみたら、思ったとおりもうすぐなくなる所まで消費していた。

 

今後の事も考えつつ、まつりさん達の見舞いに来てもらう事も兼ねて俺は、龍兄に薬の予備を届けてもらう為に連絡をとったのだが、まつりさん達の件に関しては以前の事もあり、不信感を持つ龍兄を説得するのにちょっと時間がかかったのは、俺にとっても計算外だった。

 

一応薬は届けてもらう事になったものの、犠牲者はこの後も出るかもしれないという嫌な予感を感じる俺だった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。