らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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雑音(ノイズ)はやまず、広がり行く風邪の猛威

学校生活も再び始まり、俺達は、休み時間に集まって雑談をしていた。

 

そして、その最中にこなたとみゆきがくしゃみをした事がきっかけになり、2人は風邪を引いてしまった。

 

2人を心配して俺達は、お見舞いをするために放課後に集まったが、俺はその時に、忘れ物を思い出して1度家に戻る事となった。

 

そして、忘れ物を手にした俺は、みゆきとこなたに、龍神流に伝わる滋養強壮薬である龍真丹(りゅうしんたん)を2人に手渡す。

 

とりあえず俺達もまた、風邪に注意しようとお互いに注意を呼びかけたのだが、その翌日、風邪は更に猛威を振るう事となったのだった。

 

こなたside

 

前日に久々に酷い風邪を引いて寝込んだ私だったが、慶一君がお見舞いで持ってきてくれた薬をもらった私は、次の日にはまだ多少体のだるさは残っているものの、熱もすっかり引いて、学校へも行けるほどに体調が回復していた。

 

昨日ゆーちゃんがくしゃみをしていた事が少し気になっていた私だったけど、そんな事を考えつつ、とりあえず学校へ行く支度をしている私の部屋を誰かがノックする音が聞こえた。

 

私はそのノックの音に反応しつつ

 

「どうぞー。着替えも済んでるから入って来ても大丈夫だよー。」

 

と声をかけると、ドアをそっと開いて入って来たのは、同じように学校の制服に着替えたゆーちゃんだった。

 

「おはよう、こなたおねーちゃん。制服に着替えてるけど、もう大丈夫なの?」

 

と聞いてくるゆーちゃんに私は頷きつつ

 

「まあねー。昨日の慶一君のくれた薬の効き目は凄いね。改めてびっくりだったよ。あ、でも、昨日はゆーちゃんもくしゃみしてたよね?ちょっと心配はしてたんだけど、大丈夫なの?」

 

軽く今の状態を説明しつつ、昨日の事が少し気になっていたので、その事をゆーちゃんに尋ねるとゆーちゃんは笑いながら

 

「うん。ほんとにただくしゃみがたまたま出ただけだったみたい。私の方は大丈夫だよ。でも・・・」

 

と、そう言いつつも、最後の方も言葉を言いよどむゆーちゃんの態度が気になって

 

「ん?ゆーちゃん、どうしたの?何か気になる事でも?」

 

と尋ねると、ゆーちゃんは私の言葉に苦笑しながら

 

「・・・うん。実は、私は大丈夫だったんだけど、おじさんが風邪引いちゃったみたいなの。さっきちょっと様子を見に行ったんだけど、布団を被って寒い寒い、って声を枯らしながら言ってたんだよね。」

 

そう説明するゆーちゃんに私も苦笑しつつ

 

「そ、そうだったんだー・・・・まさかそっちに飛び火してるとはねー・・・うーん・・・仕方ないね、とりあえずはまた慶一君にお願いしてあの薬もらってあげる方がいいかもだねえ。」

 

そう言う私にゆーちゃんも頷いて

 

「そうだね。おじさんにもらって来てあげた方がいいかも。慶一先輩、まだお薬持ってるかなー?」

 

そう言うゆーちゃんに私も軽いため息をつきつつ

 

「ま、なんにしても、お粥とかは作っておいてあげるか・・・ゆーちゃん、とりあえず学校へ行く用意しようかー。」

 

と言う私にゆーちゃんも頷きつつ

 

「うん。それじゃ私もこなたおねーちゃんを手伝うね?」

 

と言うゆーちゃんに私も頷くのだった。

 

その後、おとーさんにお粥を用意してから、私達は朝食を済ませて学校へと向かったのだった。

 

かがみside

 

昨日のこなたとみゆきの風邪騒動には驚かされもしたのだけど、その影響らしきものがつかさに出始めていた事を私は少し気にしていた。

 

とはいえ、つかさは子供の頃から体だけは丈夫で、風邪とかもほとんど引いた事がなかったほどだったので、多少気にはしつつも、大丈夫だろうと思い込んでいた。

 

そして、次の日の朝、私は学校へと行く準備をしていたが、そこにつかさが私を迎えにやってきた。

 

ドアをノックして「おね~ちゃん、朝食出来てるよ~。」とドア越しにつかさの声が聞こえ、その声もいつもと何ら変わらなかったので、私は昨日の心配はただの取り越し苦労だと思い、1人苦笑していたのだった。

 

そして、学校へ行く準備を済ませて下へと降りたのだけど、そこにはお母さんやお父さん、姉さん達の姿も見えなかったので、私はその事を不思議に思って、つかさに何か知らないかを尋ねてみる事にしたのだった。

 

「つかさ、おはよう。ねえ、いつもお母さん達や姉さん達も食卓を囲んでいたはずだけど、今日に限って姿がみえないわね?何かこういうのも珍しいもんだけど、つかさ、あんた何か知らない?」

 

そう尋ねると、つかさは困ったような表情になって

 

「あのね、おねえちゃん。少し言いにくいんだけど、今朝になってみたら、わたし達以外の皆が風邪引いて寝込んじゃってたの。わたし達2人だけが無事っていうなんだか妙な事になってて、わたしも困ってたの~・・・」

 

その言葉に私は驚きつつ

 

「え?私達以外、全員?って、ただ事じゃないわね・・・うーん、どうするべきかしら?」

 

と私も困惑しつつ、つかさに言うと、つかさも困惑の表情のままで

 

「とりあえずわたし達は学校へ行くように、ってお母さんが言ってたんだよ。だから、わたしはお母さん達にお薬とお粥を用意だけはしたんだけどね。」

 

と言うつかさに私は溜息をつきつつ

 

「ふう・・・そういう事なら、仕方ないわね・・・つかさ、とりあえず皆の様子を見てから学校へ行きましょ。お母さん達がそう言ってるなら、私達はそうする方がいいみたいだしね。とりあえず朝御飯を食べて家を出なきゃね。」

 

と言う私につかさも頷いて

 

「うん。お母さん達の看病はわたし達が学校から帰ってきたらしようよ。とにかく今は学校へいかなきゃ。」

 

その言葉に私も頷きつつ、朝食をとりはじめたのだった。

 

いきなり起きたこの事態に頭を悩ませつつも、私達も気をつけなきゃ、と心の中で気を引き締める私だった。

 

みさおside

 

突然のちびっこと高良の風邪騒動で、私達もとりあえずはちびっこの様子を見にお見舞いへと行ったのだが、あの元気そうなちびっこの、弱ってる姿というのを初めて見たような気がして、何となく妙な気分だった。

 

その帰り道にあやのと話をしながら、私達も風邪には注意しようと言い合ってその日は別れたのだけど、その別れ際に私もくしゃみをしていた事に、あやのは少々心配そうな表情で私を見ていた。

 

あやのに大丈夫だと言いつつも、内心では少し注意しておこうと思いつつ、その日は無理をせずに体を休めた。

 

そして、次の日、ちびっこの風邪の影響が現れる事になるとは、この時の私には気付かなかった。

 

昨日の帰りには、今日の朝はあやのが起こしに来る、という事になっていたので、私はあやのに起こされるまで夢の中を彷徨うつもりで眠っていた。

 

そんな私の体を、誰かが揺すっているのを感じていたが、そこにかけられた声に違和感を感じていた。

 

「・・・お・・・さお・・・みさお!ほら、起きろ!学校に遅れるぞ!?」

 

と言う声が聞こえ、私はその声に思わず意識を覚醒させた。

 

そして、寝ぼけ眼で私を起こした人物を見ると、それは私の兄貴だった。

 

私はぼーっとした頭のまま兄貴に

 

「んあ?兄貴、私を起こしに来るなんて珍しいじゃん。あやのが来る筈だったけど、あやの、来なかったんか?」

 

そう言うと、兄貴は溜息を1つつきつつ

 

「あやのは来たくても来れなくなったとの事だから、俺がお前を代わりに起こしたんだ。あやのがお前を起こしてくれって頼むからな。」

 

そう説明する兄貴に私は、あやのが来れなくなったという部分に疑問を感じたので

 

「なあ、兄貴。あやの、来れなくなったって今言ったよな?どういう事なんだ?」

 

そう尋ねると、兄貴は少し心配げな表情になり

 

「あやのの奴な、昨日の夜から風邪を引いたらしいんだ。熱も結構高いらしくてな、お前を起こしに行けないから、みさおを起こしてあげて、って昨日の夜のうちに俺の携帯に電話があったのさ。だから、俺はあやのの頼みを聞いてお前を起こしたって事だ。」

 

そう説明する兄貴に私は驚きつつ

 

「え?あやのが?むー・・・まさかちびっこの風邪が飛び火してた、って事なんかな?うーん・・・」

 

と腕を組んで唸る私に兄貴は呆れたような顔になり

 

「おいおい、悩んでる暇あったらさっさと学校行く用意でもしろ。時間も大分押してるぞ?それと、俺は、お前を送り出したらあやのの見舞いに行くつもりだ。もし、みさおも様子見に来るつもりなら、学校が終わってから来てやれ。その方があいつにとってもいいだろうしな。」

 

そう言う兄貴に私は時計を見て慌てながら

 

「あ!やべえ!!すぐ準備しなきゃ!わかった。とりあえず私は学校へ行くゼ。んで、帰りにあやのの様子を見に寄るってヴァ!」

 

そう言う私に兄貴も頷くと、そのまま部屋を出ていった。

 

とりあえず私は学校へと行く準備を済ませ、あやのの事を気にしつつ、学校へと向かったのだった。

 

みくside

 

昨日は泉先輩が急に風邪を引いてダウンしたという事で、アニ研の面々や3年生の先輩達と一緒に泉先輩のお見舞いに行った。

 

その際に、高良先輩もまた、風邪に倒れた事を聞いて驚く私とたまきだったが、その帰り道にいずみさんがくしゃみをしていた事に少し心配しつつも、その日は一端別れる事となった。

 

翌日に高良先輩の方もお見舞いに行ってみようかと考えながら、その日は体を休めた私だったけど、次の日に学校へ一緒に行こうとたまきを迎えに行った時、私は驚く事となった。

 

「おはよーたまきー!学校行くから迎えに来たよー!」

 

と、いつものように声をかけたが、そんな私の呼びかけに玄関から姿を現したのは、たまきのお母さんだった。

 

そして、困ったような顔をしながらたまきのお母さんは私に

 

「みくちゃん、いつも迎えに来てくれてありがとうね。今日も来てくれてありがたいんだけど、今朝からあの子熱出して寝込んじゃってるのよ。熱は結構高いみたいだから今日は大事をとって休ませる事にしたわ。それで、あの子からみくちゃんに伝言があるの。今日は悪いんだけど私の事は気にせず学校へ行って、ってそう伝えといて、って言われたわ。そういう事だから、今日はあの子の事は気にせずに学校へ行ってね。みくちゃんが来た事はあの子に伝えておくから。」

 

と、たまきのお母さんはそう説明してくれたの受けて、私はたまきを心配しつつも頷くと

 

「わかりました。たまきに伝えておいて下さい。学校の帰りに様子見に寄ってあげるから、って。それと、お大事に、とも。」

 

その言葉にたまきのお母さんも頷きつつ

 

「わかったわ。ありがとうね、みくちゃん。それじゃ行ってらっしゃい。」

 

と言ってくれるたまきのお母さんに私も頷いて「はい。それじゃ行って来ます。」と言って私は、学校へと歩き出したのだった。

 

いずみside

 

突然の泉先輩、高良先輩の風邪のダウンの報を受けて、私達はこの日は泉先輩のお見舞いに先に行く事にした。

 

そして、泉先輩のお見舞いを済ませて家へと向かう道すがら、アニ研のみく先輩、たまき先輩と田村さんと4人で歩きながら、今回の泉先輩の状態を見て、自分達も気をつけようとお互いに頷きあいつつ、その日はそれぞれの帰路へとついた私達だった。

 

そんな中、田村さんとは少しの間一緒に帰っていたのだけど、その際に田村さんと私は、高良先輩の様子も次の日にでも見に行ってみようと話をしつつ、その日は別れた。

 

その際に、翌日学校へ行く時には一緒に行こうという話になり、私はその翌日、田村さんを迎えに行ったのだが、その時には予想外の出来事が起きていた。

 

私は田村さんの家の前まで来て、家の呼び鈴を押し、田村さんが出てくるのを待っていたのだが、そこに現れたのは、田村さんに少し雰囲気が似ている男の人だった。

 

その人は私を一瞥して

 

「えーっと、どちら様?その制服を見る限りじゃ妹と同じ学校の人みたいだけど。」

 

そう言ってくるその人の、妹という言葉に私は、この人が田村さんのお兄さんらしいと考え

 

「あ、はい。えっと、先程妹って言ってましたよね?その妹さんってひよりさんの事ですよね?私はひよりさんの同級生で同じクラスの若瀬いずみって言います。今日はひよりさんと一緒に学校へ行く約束をしていたので迎えに来たんですよ。」

 

そう説明すると、その言葉に田村さんのお兄さんは納得したような表情になって

 

「お?そうか、君がひよりの言っていた友達の1人って奴か。あー・・・折角迎えに来てくれた所悪いんだけどね、あいつ昨日から急に風邪引いて、今朝も熱下がってないみたいでさ。学校を休むって言ってたんだよ。」

 

と、更に困惑の表情も顔に浮かべながらそう言うお兄さんの言葉に、私は驚きつつ

 

「え?そうなんですか?そういう事じゃ、仕方ありませんね。じゃあ、私はこのまま学校へ向かいます。ひよりさんには私がお大事に、後でお見舞いに来て上げるから、って言っていたと伝えてくれませんか?」

 

そう言うと、田村さんのお兄さんも私の言葉に頷いて

 

「わかったよ。俺からひよりには伝えておくから、君も遅刻しないうちに学校へと行きなよ。」

 

そう言ってくれる田村さんのお兄さんに私は頭を下げると

 

「はい。それではこれで。」

 

そう挨拶をして、とりあえず学校へと向かった私だった。

 

慶一side

 

昨日のこなたとみゆきの風邪騒動によるお見舞いの後、俺はこなたに薬を渡してから家へと戻って来た。

 

家にはすでにやまと達も帰って来ていたようで、やまと達に来るのが遅い!と文句を言われるはめになった。

 

こなたの家に行く前に、みゆきにも龍神家秘伝の薬をあげておいた事が効を奏したらしく、次の日の朝にはみゆきの体調もすっかり良くなり、今日の朝食当番が準備をしている頃に、俺もいつものように起きて準備を手伝おうとキッチンへと向かって歩いていた際に、みゆきと出会った。

 

俺はみゆきに挨拶をしつつ、体の具合の事を聞いてみた。

 

「おはよう、みゆき。もう起き出しているみたいだが、体調の方はどうだ?無理はしてないだろうな?」

 

と尋ねると、みゆきはにっこりと笑いながら

 

「おはようございます、慶一さん。はい。あのお薬の効き目はかなり凄いみたいで、もうすっかりよくなりました。私の体の事をご心配下さっているみたいですが、大丈夫ですよ。無理はしていません。それに、昨日は私の当番でしたが、それも出来ませんでしたからね。昨日の埋め合わせも兼ねて、今朝はお手伝いをしようと思いましたので、これからキッチンへと向かう所だったんですよ。」

 

と、俺の質問に答えつつ、そう言うみゆきに、俺はほっとしながら

 

「そうか。それならいいけどな。俺もキッチンへは向かう所だったんだ。みゆきもそのつもりなら、一緒に行くか?」

 

そう尋ねると、みゆきも再びにっこりと笑って頷くと

 

「はい。それでは一緒に行きましょう。」

 

そう言うみゆきに俺も頷きで返すと、2人連れ立ってキッチンへと足を向けた。

 

今朝の当番はこうとみなみ。

 

俺はキッチンに入ると、朝食の準備をしているであろう2人に声をかけてみた。

 

「おはよう、こう、みなみ。今朝はお前らが当番だったよな?俺達も手伝う為に来たぞ?一応言っておくが、これも俺達の意思で、だからな・・・って、あれ?」

「おはようございます。昨日はご迷惑をおかけしました。今朝は昨日の分までお手伝いさせていただきますから・・・って、あら?」

 

そう声をかける俺達2人だったが、そこには2人の姿は見えず、朝食の準備も始まっていなかった。

 

俺はこの状況に首を傾げつつ

 

「んー?妙だな?あの2人もこういう時はちゃんと起きてやってたはずだけど、何故今日に限っていないんだ?」

 

そう言う俺にみゆきも困惑の表情をしつつ

 

「そ、そうですよね?みなみちゃんも八坂さんも自分のお仕事を無断でさぼられる方ではなかったはずですし・・・」

 

と言うみゆきに俺もやはり困惑しつつも頷いて

 

「だよな・・・うーん、どうしたものか・・・あいつらの自主性に任せているから、あいつらが準備をしている最中に手伝わせてくれと言って、自然に手伝いをするつもりだったけど、何もしてない状況で余計な手出しをするのも気が引けるとこなんだがな・・・」

 

そう言うと、みゆきもまた、俺の言葉に頷きつつ

 

「そうですね。この事は慶一さんの所でお世話になる事になった時から決めていた事ですし、私もみなみちゃんや八坂さん達の御意志は尊重したいと思っていますから。」

 

そう言うみゆきに、俺もどうしたものかと首を捻っていた。

 

2人して悩んでいた所だったが、そこにやまとと、最近は当番をする事もあったので早めに起きれるようになったパティの2人がやって来て、俺達に声をかけてきた。

 

「おはよう、先輩達。2人してキッチンで何してるのよ?」

「グッモーニン!ケイイチ!、ミユキ!キョウはフタリがトウバンでしたカ?」

 

と言う2人に俺達は2人の方へ顔を向けて

 

「お?おはよう、やまと、パティ。いや、今日は俺達じゃなくこうとみなみなんだが、2人がキッチンに姿を見せていない事にちょっと困惑しててな。」

「家事も私達の自主性を重視してする事になっていましたから、どうすべきかと、慶一さんと2人で悩んでいた所なんですよ。」

 

そう説明すると、2人ともやはり俺達と同じように首を捻りながら

 

「こうと岩崎さんがねえ・・・珍しい事もあるものね、こうはともかく。」

「ヤマト、ナカナカきついデスね。とはいえ、ミナミのコトもスコシシンパイですネ。ワタシがヨウスをミにイきましょうカ?」

 

と、さりげにこうに対して酷い事を言っているやまとに苦笑しつつ、様子を見に行って来ようか?と提案してくるパティに俺は頷いて

 

「パティ、頼めるか?それまではここは俺達が引き受けるから。やまとも出来るならこうの様子を見に言ってみて欲しいが、頼めるかな?」

 

と、パティにみなみの様子を見てきてくれと頼みつつ、やまとにもこうの様子を見に行ってくれと頼む俺。

 

「ワカリマシタ!それではちょっとイってキマス!こちらはケイイチタチにオマカセしましたヨ!?」

 

そう言って、みなみの様子を見に行く為にキッチンを出て行くパティ。

 

やまともまた、軽くためいきをつきながら

 

「ふう、仕方ないわね。私もこうの様子を見に行ってくるわ。先輩、こっちは任せるわよ?」

 

そう言ってやまともまた、こうの様子を見に行く為にキッチンを出て行った。

 

2人を見送った後、俺とみゆきはお互いに頷きあうと

 

「よし、じゃあ、こっちは先に始めておこう。みゆき、冷蔵庫から食材を頼む。」

「わかりました。それと、食器の方の準備もお任せください。」

 

そう言って俺達は、早速朝食の準備を始めたのだった。

 

俺は、この事態に少々不安を感じていたのだが、少しして慌ててキッチンへ飛び込んでくる2人からの報告で、その不安が現実のものとなった事を実感する事となった。

 

「慶一先輩、こうが風邪引いたらしいわ。もしかして泉先輩か、高良先輩から風邪もらったんじゃないかしら?」

「ケイイチ!ミナミがカゼでダウンしてマス!」

 

その2人の言葉に、俺は溜息をひとつつきつつ、みゆきは困惑の表情で2人に

 

「こうとみなみが風邪か。やまと、パティ。2人の熱は高いのか?」

「八坂さんとみなみちゃんが・・・私のせいでしょうか?だとしたら、申し訳ないです・・・」

 

そう言うと、2人は頷きつつ

 

「こうの方は昨日の高良先輩程度に熱が上がってたわ。今日はこれじゃ学校も無理ね。」

「ミナミもケッコウネツがタカかったデス!38°チョウドみたいですネ!」

 

そう説明する2人に俺は頷いて

 

「そうか、わかった。とりあえず、やまと、パティ。俺とみゆきとで2人のお粥も作るから、それを持っていってやってくれ。それと・・・みゆき、ちょっとこの場を頼む。」

 

そう2人とみゆきに指示を出すと、2人とみゆきは俺の言葉に頷いて

 

「は、はい。とりあえずこの場はお預かりします。それで、慶一さんはどうされるおつもりなのですか?」

「わかったわ。風邪薬とかは必要かしら?」

「リョウカイデス!オマカセください!」

 

そう言ってくれたのを受けて、俺は更に2人に

 

「すまないな、みゆき。それと、やまと、パティ。こうとみなみへの薬は俺が持っていくから、そっちは心配しなくていいぞ。」

 

そう言うと、2人とも頷いて、みゆきもまた、俺のやろうとしている事を察してくれたようで、俺の言葉に頷いて、2人へのお粥制作へと入りはじめた。

 

俺はそれを確認しつつ、自分の部屋へとあの薬を取りに行く為にキッチンを後にしたのだった。

 

やまとside

 

昨日の高良先輩と泉先輩の風邪騒動の事もあって、私達も泉先輩のお見舞いの後はお互いに風邪には注意しようと話していた。

 

そして、その翌朝、その日の朝食当番はこうと岩崎さんだったのだけど、そろそろ準備が始まった頃合を見計らってキッチンへと向かった私だった。

 

その途中でパトリシアさんと合流した私は、2人してキッチンへと行ったのだが、そこにはこうと岩崎さんの姿はなく、何やら困惑の表情を浮かべる慶一先輩と高良先輩に姿があった。

 

私達は2人に何をしているのか、と声をかけてみたが、今朝の朝食当番であるはずのこうと岩崎さんの姿が見えないとの事。

 

そこで、慶一先輩は、私とパトリシアさんに2人の様子を見てきて欲しい、と言って来たの受けて、私は溜息をつきつつも、先輩の指示通りにこうの様子を見に行った。

 

私はこうの部屋の前に立ち、部屋のドアをノックして

 

「こう!あなたは今日は食事当番じゃなかったの!?慶一先輩達、困惑してたわよ!?こう!私の声が聞こえてる!?」

 

そう声をかけるが、中からこうの返事は帰ってこなかった。

 

その事を不審に思った私は

 

「どうしたの?こう、とりあえず中に入るわよ?」

 

そう言ってこうの部屋へと入り込んでみると、そこには顔を赤くして辛そうにしているこうの姿が目に入った。

 

私はその事に驚きつつ、こうの側へと近寄って見ると、こうは苦しそうな顔を私に向けて

 

「ご、ごめん・・・やまとー・・・急に風邪、引いちゃったみたいでさー・・・ごほっ!ごほ!熱も結構高いみたいなんだよね・・・」

 

そう言って体温計を差し出してくるこうからそれを受け取って確認してみると、熱は38°2分を示していた。

 

「結構熱も高いわね・・・これじゃ、しょうがないか・・・こう、先輩には私が事情を説明するから、あなたはゆっくり休んでなさい。この熱じゃ学校も行けないでしょ?」

 

と、一応こうの事を気遣ってそう言うと、こうは苦笑を浮かべながら

 

「うん。ごめんね、やまと。慶一先輩にも後で謝っておくよ。」

 

そう言うこうに私は頷きつつ

 

「わかったわ。とりあえずは安静にしてる事。いいわね?」

 

そう言う私に、こうも頷きで返してくれたのを見て、私はそれを確認してから部屋をでて、慶一先輩達の所へと向かったのだった。

 

そして、慶一先輩達にこうの現状報告をすると、慶一先輩は私にこうへの指示をだし、高良先輩にこうに食べさせるお粥を作っててくれと頼んでから、風邪薬らしきものを取りに自分の部屋へと向かったのを見送ってから、私も高良先輩を手伝ってこうのお粥を作ったのだった。

 

パティside

 

昨日のこなたとみゆきの風邪騒動もあり、こなたのお見舞いに行った私は自分も改めて気をつけなくては、と思いつつ、こなたの家から帰って来た。

 

前日にくしゃみも出た私は、とりあえず出来うる限りの風邪対策を施してからその日は休んだのだった。

 

その甲斐あってか、今朝もいつも通りの体調だった事にほっとしていた私は、今日の朝食の準備が始まった頃を見はからい、私もさり気なく準備に協力しようと思ってキッチンへと向かったのだが、その時にやまとと合流した。

 

私はやまとに朝の挨拶をしつつ、2人して話しをしながらキッチンへと向かったのだけど、そこにいたのは今朝の朝食当番であるこうとみなみの姿ではなく、2人して困惑顔を浮かべる慶一とみゆきだった。

 

私は2人に事情を聞いてみたのだが、今朝に限って2人が姿を見せていないとの事。

 

何か気になる事があるような顔をしている慶一にみなみの様子を見てきてくれと頼まれて私はみなみの部屋へと向かった。

 

そして、みなみの部屋のドアをノックしつつ

 

「モーニン!ミナミ!!おネボウさんはいけませんデスよ!?ケイイチタチもシンパイしてイマス!」

 

そう声をかけるが、中からの反応がなかった。

 

その事を不思議に思った私は

 

「ミナミ?とりあえずシツレイシマスよ?」

 

そう言ってみなみの部屋に足を踏み入れると、いまだベットの上で布団を被っているみなみの姿が目に写った。

 

私はその状況に苦笑しつつもみなみの側に行って声をかけてみる。

 

「モーニン、ミナミ。ケサはどうしましたか?」

 

という声にみなみは、もぞりと体を動かして私の方へと顔を向けたのですが、その顔が妙に赤いのと、少し苦しげな表情を見せるみなみが気になりました。

 

更に私が声をかけようとしたのですが、それよりも先にみなみからの声がかかり、私はそれに気付いてその言葉に耳を傾けました。

 

「・・・パトリシアさん、ごめんなさい・・・私、体調を崩してしまったみたいで・・・熱も高いみたいで・・・」

 

という言葉と共に体温計を私に見せてきたので、私はそれを確かめる。

 

熱は38°丁度を示していた。

 

私はその事に驚いて

 

「ダイジョウブですか?ミナミ。カゼをヒいているのなら、ムリはキンモツです!ケイイチにはミナミのコトをハナシてキますから、ミナミはそのままネテてクダさいね。」

 

そうみなみに言い聞かせると、みなみもコクリと頷いて

 

「・・・わかった。ありがとう、パトリシアさん・・・それと、ごめんなさい・・・迷惑をかけて・・・先輩にも謝らないと・・・」

 

そう言って落ち込むみなみに私は首を左右に振りつつ

 

「イイんデスよ。コマったトキにはオタガイサマってヤツです!ケイイチもきっとオコリませんからミナミはシンパイムヨウデスよ!」

 

そう言ってサムズアップする私に、みなみも苦笑しつつも頷くのを見て、私はみなみの部屋を後にして慶一のいるキッチンへと向かったのでした。

 

そして、みなみの事を報告すると、慶一は私にみなみへの指示を出しつつ、みゆきにこの場を任せ、自分の部屋へと何かを取りに行くのを見送って、私はみゆきややまとと協力してみなみへのお粥制作をしたのでした。

 

慶一side

 

思いがけず更に2人がダウンをする事となった今回、俺は、まだ知らずにいた。

 

俺の知らない場所で風邪が更なる猛威を振るっている事を。

 

そして、風邪の連鎖はまだまだ続くという事を。

 

部屋に戻り、龍真丹(りゅうしんたん)を手にして軽いため息をつく俺だったが、とりあえずはこうとみなみにこの薬を飲ませてやろうと思う俺だった。

 


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