らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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楽しげな旋律~みさお達との約束、思いがけない幸運の招待状、第4話、混沌のお化け屋敷編、後編~

幸運のチケットを得てやってきた遊園地での楽しいひとときを過ごす俺達は、様々なアトラクションを楽しみつつ、2日目の締めとして、最後にお化け屋敷へとやって来た。

 

全員と回るお化け屋敷も残すところ後3人という所まで進み、いよいよ俺達の楽しい時間も終わりが近づいている事を感じていた。

 

そして、残り3人のうちの1人、つかさとのお化け屋敷巡りが始まろうとしていた。

 

チェックシートを手にしながら、つかさはお化け屋敷が怖いのか、不安そうな顔をしているのが見えたが、俺はそんなつかさに

 

「つかさ、そろそろ行くか。時間も大分差し迫ってきてるようだしな。」

 

そう声をかけると、つかさはビクリと反応しつつも

 

「う、うん。そうだね。そ、それじゃけいちゃん。よろしくね~。」

 

と、緊張の解けない顔でそう言うつかさに俺は苦笑しつつ、つかさの手を引いてお化け屋敷へと入っていく。

 

その時、つかさから短く「ふえっ?」という声が聞こえたので、つかさの方を見てみると、つかさは何故か少し顔を赤くしながら照れているように見えたが、俺はそんなつかさの態度に頭にハテナマークを浮かべていた。

 

と、同時に背後から、なんだかプレッシャーのようなものを感じてその気配に俺はビクリとして1度振り返ってみたが、その時にはさっき感じたプレッシャーが嘘のように無くなっているのを感じ、俺は再び正面に向き直りつつ、首をかしげていた。

 

1度振り返った反動でつかさの手を離してしまっていた俺だったが、その事に気付かないままでお化け屋敷へと突入した俺に、少し遅れて入って来たつかさが俺の手を慌てつつ握り締めて来たのを受けて、俺はその事に驚いてつかさの顔を見ると、つかさは怯えつつも、少しだけ頬を赤くしていたのだが見えた。

 

俺がつかさに顔を向けた事に戸惑いつつもつかさは

 

「ご、ごめんね?けいちゃん。こうしてくれていれば少しはがんばれると思うから、このまま握らせて~。」

 

そう言ってくるつかさに俺は少し照れつつも頷いて

 

「そうする事で少しは安心できるっていうなら俺は別に構わない。ともあれ、まだまだ先は長いんだから、どんどん進むぞ?つかさ。」

 

と言う俺の言葉につかさも恐々ながら頷いて

 

「う、うん・・・もし、迷惑かけちゃったらごめんね~。そ、それじゃいこうよ。」

 

そう言うつかさに頷くと、手を繋いだまま、俺達は先へと進んで行く。

 

つかさの怖がりはかがみにも負けるとも劣らないほどで、事ある事に悲鳴を上げ、泣きそうになり、中盤に差し掛かる頃には、悲鳴と恐怖とで疲れが見えているようだった。

 

つかさが怖がりな事を知っている俺は、今回のこのアトラクションもつかさの事だから、お化け屋敷が怖いという理由でここに入る事もせず、こうして俺や皆に付き合う事もしないかも、と思っていた。

 

けど、そんな俺の予想に反してつかさは、怖がりつつも俺と一緒にここへ入る事を選択した。

 

そんなつかさの行動が気になった俺は、つかさに

 

「なあ、つかさ。お前はこういうのって苦手だったよな?なのに、どうして俺や皆に付き合ったりしたんだ?お前の事だからてっきり断るものとばかり思っていたからさ、ちょっと気になったんだ。」

 

そう言って俺はつかさに疑問を投げかける。

 

つかさは涙目な顔を俺に向けつつもそんな俺の質問にぽつぽつと答え始めた。

 

「確かにけいちゃんの言うようにわたしはこういうのって凄く苦手だよ?だけど、私同様に怖がりなおねえちゃんや、ゆたかちゃんや、永森さんや八坂さんも入ったんだもん。おねえちゃん達だって怖いのを我慢してでもここに入ったのは、みんなとの思い出をつくるためだって思ったから・・・だから、わたしも・・・怖いけど勇気を出してみたかったんだよ。おねえちゃん達同様、思い出をつくりたかったんだよ。皆との、そして、けいちゃんとの・・・・・・」

 

つかさの最後の言葉に俺は、顔を赤くしつつもつかさの頑張る理由が少しはわかったような気がした。

 

俺はそんなつかさに笑いかけながら

 

「そっか。確かにこういう事も思い出にはなるよな。まあ、俺との、っていうのには少し照れくさかったが、それでも、嬉しくはあったかな?なんにしてもだ。思い出を作るつもりならば残り半分、頑張って行かなきゃ、だぞ?今でもかなり辛そうだけど、本当に大丈夫か?つかさ。」

 

そう声をかけると、つかさはまだ恐怖が残る表情をしつつも頷いて

 

「うん。怖いけど・・・だいじょうぶだよ。けいちゃんが側にいてくれるから、わたし、残りもがんばれるよ?だから、けいちゃん、最後までよろしくね?」

 

そう言うつかさに俺は頷きつつ、こうやかがみにもやってあげたように、つかさを軽く抱きしめると

 

「よし、それじゃ、後半へ向かう前に、俺の心臓の鼓動を聞きながらゆっくりと深呼吸するんだ。ゆ~っくりとな。」

 

そう言ってつかさの恐怖を和らげるようにアドバイスをする。

 

俺のそんな行動につかさも驚いたらしく「ふぇ!?」と声をあげて顔を再び真っ赤にしながらも、俺に言われた通りにゆっくりと深呼吸をするつかさ。

 

そして、少しは落ち着いたらしいつかさを見ると

 

「ん。とりあえずは大丈夫だな。それじゃ、後半も頑張るぞ?行こう、つかさ。」

 

そう言って声をかけると、つかさもまだ赤い顔のままだったが俺の言葉に頷いて

 

「う、うん。ありがとう、けいちゃん。今のでずいぶん怖さもやわらいだ感じだよ。残りもがんばるから、まただめそうな時はさっきのをお願いしてもいいよね?」

 

そう言うつかさに俺は苦笑しつつも頷いて

 

「はは。わかったよ。とりあえず、後半戦突入だ。行こう。」

 

そう言って俺は再びつかさの手を引いて、残りの部屋へと進むんで行くのだった。

 

途中何度か、さっきのような事をしつつも、つかさも最後までクリアする事ができたようだった。

 

お化け屋敷からリタイアせずに出てくる事が出来た事を、皆に褒めてもらっているつかさを見ながら、俺はまた1つ無事に済ませられた事に安堵しつつ、次に向けて気持を切り替えるのだった。

 

つかさside

 

怖かったけど勇気を出してみたお化け屋敷。

 

けいちゃんが側にいて、そして、わたしを励ましてくれたおかげで最後までリタイアせずに行く事が出来た。

 

わたしをリラックスさせようと、けいちゃんがしてくれた行為は恥ずかしかったけど、とても嬉しくて、それがわたしにさらに勇気をくれたんだな、って思えた。

 

最後までクリアしてみんなに褒めてもらいながらわたしは心の中で

 

(えへへ。みんなに褒めてもらえるなんて思わなかったから、ちょっとびっくりしたな~。でも、最後まで行けたのもけいちゃんがわたしを励ましてくれたからだよね。それに、抱きしめられちゃったことも結構うれしかったし。結局こわさがあったせいでけいちゃんにお願いしたい事、言いそびれちゃったけど、まだ言えるチャンスはあるよね。だから、その時も勇気をだしてみようっと。色々あったけど、いい思い出になったよね。)

 

そう考えながら、わたしはわたしのお願い事を、近いうちに伝えようと心に誓ったのだった。

 

慶一side

 

つかさの順番も終わり、残す所後2人となった。

 

俺は、気を取り直し、順番を待って待機しているみゆきに声をかけた。

 

「みゆき、待たせたな。そろそろ行くか?」

 

そう声をかけると、みゆきはにっこりと笑って頷いて

 

「はい。それでは、慶一さん。エスコートをお願いしますね。」

 

そう言って、チェックシートを手にしつつ俺の側へとやってくるみゆき。

 

俺はそんなみゆきにコクリと頷きつつ

 

「ああ。それじゃ、出発だ。」

 

そう言うと、みゆきも俺のその言葉に頷きながら、俺の後から小走りに駆けて来て俺の横に並ぶと同時に俺の手を握って来る。

 

その行為に俺は、ドキリとしつつ顔を少し赤くしながらも、そんなみゆきの手を引いてお化け屋敷へと入って行くのだった。

 

お化け屋敷へと入り、先へと進んで行く俺達。

 

みゆきも怖がってはいたものの、それでもかがみ達のように過剰に怖がっている状態とも少し違うように見えた。

 

そんなみゆきに俺は部屋を移動しながら

 

「なあ、みゆき。お前も怖がりはしてるみたいだけど、なんというか、他の怖がっていた連中よりは落ち着いてる感じだな?」

 

そう尋ねると、みゆきは苦笑しつつも

 

「そうですね。確かに怖いですが、それでも落ち着いていられるのは、隣にあなたが居てくれているからだと思います。あなたが私の側に居てくれるだけで本当に心強いですし、怖さも半減するんですよ?」

 

そう言って俺を上目使いで見つつ、少しだけ顔を赤らめるみゆきを見て、俺もまた照れから顔を赤くしつつ

 

「そ、そうか?まあ、俺が少しは役に立っているなら、俺としても嬉しくはあるが。」

 

その言葉にみゆきはにこりと笑いつつ

 

「慶一さんは十分にお役に立ってくれていますよ。だって、あなたにはいつも元気と勇気をもらっていますから。」

 

と言うみゆきの言葉に俺は更に照れていたが、そんな俺にみゆきがおずおずと声をかけてくる。

 

「あの、慶一さん。こういう時、こういう場所でこんな事をお願いするのは場違いなのかもしれませんが、私はあなたにどうしてもお話したい事があるんです。ご迷惑でなければ聞いていただけますか?」

 

そう言いつつ、真剣な表情を見せてくるみゆきに俺は頷いて

 

「言いたいことがある、っていうのなら、俺でよければ聞くよ。それで?お願いってなんなんだ?」

 

そう尋ねると、みゆきはさっきよりも顔を赤くしつつも俺をじっと見据えると

 

「・・・慶一さん、今日の朝に展望ラウンジで泉さんがおっしゃった事を覚えていますか?」

 

その言葉に俺は、今朝の展望ラウンジでの出来事を思い出す。

 

「まあ、一応はな。けど、その事がみゆきのお願いってやつと関係があるのか?」

 

と、みゆきに尋ねると、みゆきはコクリと頷いて

 

「はい。泉さんはあの時に今度はあなたと2人きりでここへ来たい、そうおっしゃっていました。それを聞いて私は・・・私も、あなたにそれをお願いしたい、そう思ったんです。慶一さん、私と・・・いつか、いつか私と一緒に・・・ここに来ませんか?それが私のお願い・・・です。」

 

必死の思いでそう言葉にするみゆきの言葉に俺は、みゆきに

 

「・・・俺なんかでいいのか?お前と一緒にここへ遊びに行くのが俺なんかで・・・」

 

そう言うと、みゆきはコクリと頷いて

 

「はい。あなたと・・・いえ、あなたと行く事に意味があるんですから。」

 

そう真剣な表情で答えるみゆきに俺は困惑してはいたが、俺は軽いため息を1つついた後

 

「・・・わかったよ。俺なんかでいいのなら、付き合うよ。」

 

そう答えると、みゆきの表情がぱあっと明るくなり

 

「本当ですか?本当に、私と一緒に行ってくれるんですか?」

 

そう言うみゆきに俺は苦笑しつつも頷いて

 

「ああ。けど、いつになるかはわからない。何しろ俺達は受験生でもあるからな。受験勉強等が忙しくなってしまったら高校の間では行けないかもしれないしさ。」

 

そう言うと、みゆきは左右に首を振って

 

「それは分かっています。ですから、それに関しては私も無理は言いません。高校がだめだったとしても・・・大学に行ってからでも構いません。あなたと一緒にここへ来る。その約束さえできるのなら・・・」

 

そう言って笑うみゆきに俺は、ドキッとして顔を赤くしつつ

 

「わ、わかったよ。それじゃ約束だ。」

 

そう言うと、みゆきも微笑みながら頷いて

 

「約束しましたよ?もし、この約束を破ったら酷いですからね?よーく覚えておいて下さいね?慶一さん。」

 

そう言うみゆきに俺も苦笑しつつも頷くと、その事ですっかり上機嫌になったみゆきは、さっきまで握っていた手を離し、今度は俺の腕に抱きついて来たので、俺はそのみゆきの行為に驚き、顔を真っ赤にして

 

「み、みゆき?いきなりそれはびっくりするんだが。」

 

そう慌てながら言うと、みゆきは俺に顔を向けてにっこり笑って

 

「こうする事で怖さが半減するのですから、是非協力してくださいね?慶一さん。」

 

そう言うみゆきに俺は、赤い顔のままで溜息をつくしかなかった。

 

みゆきと思いがけずした約束もあったが、とりあえずは最後まで無難にクリアを果たしたのだった。

 

そして、みゆきと腕を組んだままだった事もあり、お化け屋敷をでた途端に俺に黒いオーラが発せられるのを感じて、俺はビクリとしながらオーラの出所を探ると、そこにはいい笑顔だが、何故だか怖さのあるそんな感じで俺達を見ているかがみ達の姿があった。

 

そんなオーラに気付いたのか、みゆきは俺の腕を離して

 

「慶一さん、ありがとうございました。怖かったですが、楽しかったですよ?それと、先程の約束の件、忘れないで下さいね?」

 

そう言いつつにっこりと笑うと、みゆきは踵を返して皆の方へと歩いて行った。

 

そんなみゆきを見送っていた俺だったが、そこに最後の1人であるこなたがやって来た。

 

こなたは、少し面白くなさそうな顔をしつつ

 

「・・・慶一君。ずいぶんといい思いをしたようだねえ?みゆきさんと腕を組めて嬉しかった?」

 

と、俺に少しトゲのある言葉をぶつけてきたこなたに俺は慌てつつ

 

「い、いや、あれはああしている方がみゆきも怖さを紛らわせられるから、っていうから・・・」

 

そう言うと、こなたは軽く溜息をついてから

 

「はいはい。とりあえず、最後は私とだから、時間も差し迫ってるし準備しようよ。」

 

そう言うこなたに俺はとりあえず頷いて

 

「あ、ああ、そうだな。それじゃこなた、これがチェックシートだ。準備はいいか?」

 

そう言うと、こなたは親指をビシッと立てて頷いて

 

「もちろん。それじゃ出発しようか。慶一君。ちゃんとエスコートしてよね?」

 

そう言うこなたに俺は軽く溜息をつきつつも頷いて

 

「了解だ。それじゃ行こう。」

 

そう言って動き出す俺に、こなたも小走りでついて来て、俺の横に並ぶと同時に手を握って来る。

 

そして、俺の手を握ったこなたはさっきとはうって変わって上機嫌になって

 

「それじゃ、楽しんでいこうよ。さあて、何があるのかな?」

 

と、ワクワクするような顔でそう言うこなたに俺は苦笑しつつ

 

「まあ、お化け屋敷の中ではレベルは高い方だとは思うぞ?」

 

そう、こなたに言うと、こなたは楽しそうに

 

「ほんと?それは楽しみだね。よーし、早速最初の部屋だー!」

 

そう言って張り切って最初の部屋のドアを開けた。

 

最初のうちこそ元気そうだったこなただったが、進んで行くにつれて緊張感が高まっているように感じた。

 

そして、その表情に少し怯えの色も見えた感じがしたので、俺はこなたに話し掛けてみた。

 

「どうした?こなた。お前は文化祭の準備の時も肝試しと言って皆を連れまわしていたよな?あの時のお前はあまり怖がっていないように見えてたんだが、今回はあの時とは違って少し怖がっているようにも見えるな?」

 

そう言う俺に、こなたは俺に顔を向けつつ頬を膨らませながら

 

「むう・・・まあ、ちょっとね。あの時とはちょっと状況が違う所為もあるけど・・・というか、慶一君、君は私がこういうのを全く怖がらない子だと思ってた?だとしたらちょっと心外だよ。慶一君、忘れてない?私だって一応は女の子だって事をさ。それに、あの時あまり怖がっていなかったのは周りに他の皆もいたからこそ、だったんだよ?君が居てくれる分、怖さは柔らいでいるけどさ、もし1人だったら、きっちり涙目になっちゃってた所だよ。」

 

そう言って少しむくれるこなたに俺は、少しだけ自分の無神経さを反省しつつ

 

「そ、そうだったのか。ごめん、こなた。お前が本当はそう思っていた事に気付かずに変な事言っちゃったな。」

 

そう言ってこなたに謝ると、こなたはそんな俺をちらりと見てからやれやれ、というジェスチャーを交えつつ

 

「もういいよ。分かってくれたならそれでさ。まあ、それはともかく、慶一君にお願いしたい事があるんだけど聞いてくれるかな?」

 

そう言うこなたに俺は少々困惑しつつ

 

「お願い、ねえ・・・内容ににもよるけどな。とりあえず聞こかせてくれ。」

 

そう言うと、こなたはコクリと頷いてから話しはじめた。

 

「うん。それじゃ言うけどさ、今日の朝に展望ラウンジで私が君に言った事は覚えてるよね?」

 

その言葉に俺は頷いて

 

「まあな。今度は私と2人で行こうよ、とかだったよな?」

 

そう答えると、こなたも頷いて

 

「そうだよ。それでね、改めて言うけど、あの言葉は冗談じゃなくて本気だから。」

 

その言葉に俺は驚きつつ

 

「そ、そうなのか?でも、いいのか?俺なんかで。」

 

そう言うと、こなたは俺に笑顔を見せつつ

 

「まあねー。あの時も言ったけど、君と2人で、って事に意味がある訳だからさ。まあ、それと同時にもう1つお願いしたい事があってさ、その一緒に行く、ってやつだけど、それはさ、私が大学受験に成功した時のご褒美って事でお願いできないかな?」

 

その言葉に俺は苦笑しつつ

 

「ご褒美って・・・うーん・・・まあ、それでこなたが大学受験を頑張れるっていうのなら・・・」

 

そう答えるとこなたは満面の笑みを浮かべて

 

「もちろんだよ!よーし!約束したからね!?後で嘘でしたとかはなしだよー!?うーん、萌えて・・・いや違う燃えて来たー!!」

 

そう言ってガッツポーズを見せるこなたに俺は、ふっと軽く溜息をつくと

 

「やれやれ・・・ともあれ、続きだな。残りは半分、行くぞ?こなた。」

 

そう声をかけると、こなたも頷いて

 

「うん!テンションも上がったし、怖いのは吹き飛んだよ。さあ、行ってみようかー!」

 

そう言って凄く嬉しそうな顔をするこなたを見て俺は、ああ、いつものこなた以上だなあ、と思いながらも俺の手を引っ張るこなたについて行くのだった。

 

最初は同時に入ったお化け屋敷だったが、出てきてみたらこなたが俺を引っ張るという構図になっていて、外で待機していた皆も、そんな俺達の姿を見て驚いていたようだった。

 

かくしてこのお化け屋敷を最後に、俺達の楽しい時間も終わりの時を迎えた。

 

駅で電車を待つ俺達は、今回の事で軽いやりとりをした。

 

「うーん。今回の事は棚からぼた餅って感じだったね。凄く楽しかったよ。」

「そうね。思いがけない幸運をくれた龍也さんに感謝よね。」

「うんうん。遊園地も思った以上のものだったし、わたし、また遊びに行きたいな~。」

「そうですね。私も楽しかったです。今回では周り切れなかったアトラクションもありましたし、何度かは足を運ぶのもいいかもしれませんね。」

「そん時はまた私も一緒に行ってもいいよな?」

「私も仲間に入れてね。皆との思いでももっと作りたいから。」

 

そう言う3年生組に俺は

 

「龍兄には俺からも後で皆がお礼を言っていたって伝えておくよ。俺もまた、皆とは一緒に行って見たいから、いつかまた皆で来ような。もっともこれから受験も近づくから高校で行くチャンスがあるかどうか、だけどさ。」

 

その言葉に3年生組の皆もうんうんと頷いていた。

 

「ほんとに楽しかったですよ。でも、私達も先輩達が大学受験終わらせるまでは待とうかなあ?」

「そうね、私達だけでまた楽しみに行くのも少し悪いような気もするし。」

「2人とも義理堅いね。いいんじゃない?私達は私達で行ったりしてもさ。」

「そうそう。その位の事で目くじら立てるような先輩達じゃないよ。」

 

そう言い合う2年生組に俺は頷きつつ

 

「そうだな。みくやたまきの言うように、お前等はお前等で行きたいなら行ってくればいいさ。その辺りは特に遠慮する必要もないからな?俺達は受験なんだし、仕方がないってだけだからな。でも、受験終了後に誘う事になったら、一緒につきあってくれるよな?」

 

そう言う俺の言葉に2年生組は全員が頷いて「「「「もちろん<です><よ>」」」」と声を揃えてくれたのを受けて、俺は満足気に頷くのだった。

 

「ほんとに楽しかったなー。ねえ?みなみちゃん。また皆と一緒に行きたいねー。」

「・・・そうだね、ゆたか・・・皆とだったら凄く楽しい・・・」

「私もそう思うっス。また行ってもいいなって思えるっスよ。ほんと、先輩や龍也さんには感謝っスね。」

「ワタシもミナさんとスゴせるジカンはミジかいデスから、こういうキカイがあるってイうコトはとてもウレシイコトですネ!コンゴはケイイチタチとイけるチャンスはオソラクハワタシがフタタビリュウガクしてくるまではナイかもシれませんガ・・・」

「そっか、パーさんは1度向こうに帰るんだったよね。皆と自然な感じで一緒にいるからその事をすっかり忘れてたなー・・・」

 

そう言う1年生組とパティに俺は

 

「楽しんでくれたならよかったよ。確かにパティの事情は俺達にはどうしようもない事だけど、ゆたか達がパティに付き合ってやってくれるならまた行けるんじゃないかな?俺達の事も考えてくれるのは嬉しい事だが、ゆたか達には、一緒に行ってやれない俺達の代わりにパティに思い出を作ってやって欲しい。そして、もし、パティが再び大学へと留学してくるのなら、その時こそ、もう1度皆と一緒に行こう。それを今ここで約束しないか?」

 

そう言うと、1年生組を始め、2年生組、3年生組も頷いて

 

「「「「「「「「「「「「「「「賛成ー!!」」」」」」」」」」」」」」」

 

と声を揃えて俺達は今ここで、もう1度皆と共に幸運のチケットで訪れたこの場所へ行く事を誓い、それぞれの帰路へとついたのだった。

 

明日から再び学校が始まる。

 

今回のゴールデンウィークも思い出に残る物になった事を俺は、心の中で嬉しく思っていたのだった。

 


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