らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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楽しげな旋律~みさお達との約束、思いがけない幸運の招待状、2日目第3話~

ふいに舞い込んだ幸運の招待状。

 

俺達はその招待状を手に、今度オープンするテーマパークへと1泊2日で遊びにやって来た。

 

色々あった1日目を終えて、俺達はいよいよメインとなる乗り物を楽しむ為に園内へと繰り出して行く。

 

そして、そこで最初に乗り込んだ絶叫マシンで、俺はこなたとみさおの企みにかかり、みんなの前で無様な姿を晒す事になったのだった。

 

今回の事に関しては、少々やりすぎだったと反省したこなたとみさおに、とりあえず軽い制裁を済ませてから、俺達は次の乗り物へと移動して行くのだった。

 

ジェットコースターに続いてやってきたのは、メテオ、と呼ばれるいわゆるフリーフォールというタイプの絶叫マシンだった。

 

「へー・・・中々迫力あるね、これは・・・」

 

と、メテオを見上げながらそう呟くこなたに皆もまた頷いていたが、メテオを見つめるかがみが

 

「へえ?座席は6人くらいいっぺんに乗れるタイプみたいね。マシンの規模的には大きい方かしらね?」

 

と、設置されている座席を確認しつつ呟く。

 

そのかがみの呟きにこなたは顎に手を当てながら

 

「ふーむ・・・と、なると6人で2回、最後は4人で、という割り振りで乗るといいかもだね。そう言う訳で、皆に聞くけど、皆もこれに乗る?」

 

と、周りにいる皆に声をかけると、皆は

 

「私は当然乗るわよ?これも面白そうだもんね。」

「わ、わたしもちょっと怖いけどやってみたいかも。」

「私も乗ります。色々と楽しみたいですからね。」

「私は言うまでもないゼ?面白そうだもんなー。」

「ふふ。私も乗ってみるわ。興味もあるしね。」

 

と、3年生組は皆乗り気だ。

 

そして、2年生組もお互いに頷きあいながら

 

「私たちも乗りますよー?折角ですしね。」

「私も乗るわ。楽しそうだしね。」

「当然、私もですよ?楽しむ時には楽しまなきゃですし。」

「私もこういうのは大好きだから当然仲間ハズレはなしで。」

 

と、こちらも楽しげな表情を浮かべていた。

 

1年生組もゆたかとみなみ以外の面々は

 

「私も乗るっス。こういうのって中々乗る機会ないっスからね。」

「ワタシもデス!スリルはノゾむところですからネ!」

「私も楽しみたいですし、乗りますよ?」

 

そう言い、そんな中でゆたかとみなみは少しばかり話し込んでいた。

 

「私もこっちも挑戦したいな。みなみちゃんはどう?」

「・・・私も乗るのは構わないけど・・・さっきの事もあるからゆたかが少し心配・・・」

「だ、大丈夫だよー。さっきも大丈夫だったんだし、みなみちゃんもいてくれるんでしょ?」

「・・・もちろん・・・私はゆたかの側にいるから・・・大丈夫。」

「だったら、大丈夫だね。じゃあ、みなみちゃん、一緒に乗ろうよ。」

「・・・ゆたかがそうしたいのなら、私はゆたかの意思を尊重する・・・」

「じゃあ、決まりだね。という事で、私たちも乗るよー?こなたおねえちゃん。」

 

と、とりあえずゆたかとみなみの話し合いに決着がついた所で、声をかけたこなたに返事をしている2人だった。

 

それを聞いたこなたはうんうんと頷くと

 

「なら、満場一致で決まりだね。それじゃ今度は乗る順番等について話し合おうか、皆、こっち来てー?あ、慶一君はそこで待っててね?」

 

そう言って皆を集めつつ、俺にはそこで待機しているようにと言うこなたに俺は、苦笑しつつ

 

「はいはい、わかったよ。終わったら声かけてくれよな?」

 

そう言うと、軽いため息をつきながらメテオを見上げている俺だった。

 

俺の見ている前で円陣を組んで、何やら話し合いを始めるこなた達だったが、そのうちに数名のグループに分かれてじゃんけんをしているような様子が見て取れた。

 

そうこうしているうちに、話し合いを終えたこなた達が戻って来て、こなたが俺に

 

「お待たせー、慶一君。話し合いが済んだからその結果を君にも報告するよ?」

 

そう言うのを受けて、俺もとりあえず頷きつつ

 

「わかった。話し合いの結果とやらを聞こうじゃないか。」

 

とこなたに先を促すと、こなたもそれに頷いて

 

「おっけー。じゃあ、話し合いの結果だけど、メテオには6人ずつ乗れるって事で、3つのグループに分けたよ。慶一君にはその3つのどれにも入ってもらう事になったからよろしくね。」

 

そのこなたの言葉に俺は驚きつつ

 

「え?って事は俺は3回メテオに乗らなきゃならないのか?」

 

そう返すと、こなたはにんまりと笑いながら

 

「当然だよー。だってそうしなきゃ公平とは言えないからね。で、その組み合わせだけど、まず、第1のグループに私、みゆきさん、八坂さん、若瀬さん、毒島さん。第2のグループには、かがみ、ゆーちゃん、山辺さん、つかさ、峰岸さん。そして、ラストグループにはパティ、みさきち、みなみちゃん、永森さん、ひよりんね。さらに席順も決まってるから、そっちは乗る時に聞いてねー。」

 

と言うこなたの言葉に俺は大きな溜息をついてから

 

「・・・はあ・・・わかったよ。皆、お手柔らかになー・・・。」

 

と、半ば諦めの境地でそう言うと、皆もそんな俺に苦笑を向けつつも頷いたのだった。

 

そして、早速第1グループからのスタートになった。

 

第1グループの席順はこうだ。

 

こなた、みゆき、俺、こう、いずみ、みく。

 

今回はこなたは少しだけ悔しそうな顔をしていて、俺の隣に座ったみゆきは嬉しそうに、いずみも少しだけ嬉しそうな表情が伺え、みくはそんな俺達の様子を見ながらニコニコと笑っていたのだった。

 

「ちぇー・・・今回は負けちゃったよ、ちょっと悔しいけど仕方ないね。慶一君、皆、楽しもうねー。」

「今回は勝負に勝てました。慶一さん、よろしくお願いしますね?」

「いやあ、まさか勝てるとは思いませんでした。折角の機会ですし、先輩の隣を堪能させてもらいましょうかね。」

「あはは・・・さっきの勝負は中々に熾烈を極めてましたしね。それはともかく、楽しんで行きましょうか。」

「こうも以外に運がいいのかもしれないね。まあ、私は遠くから微笑ましく見守るのみだけどね。」

 

と言う5人に俺は苦笑しつつ

 

「はは。そうだな、楽しんでくか。みゆき、そんなにかしこまる事もないさ、いつも通りで行こう。それじゃ皆、準備はいいか?」

 

その言葉に全員が頷くと、安全確認の後、メテオが動き始めた。

 

ゆっくりと所定の高さまであがって行く座席部分。

 

俺達は緊張の面持ちで、メテオが所定の位置まで上昇するのを待つのだった。

 

そして、1分後、所定の高さまで辿り着き、1時停止をするメテオ。

 

機械音声によるカウントダウンが始まり、俺達は身構えつつ

 

「いよいよだね、わくわく。」

「き、緊張します・・・何気に結構高いですし・・・。」

「俺もこの手のものは初体験だからどうなるか、だな。」

「いいですねー、この緊張感。やっぱりスリルは最高です。」

「た、高いなー・・・ちょっと怖いかも・・・。」

「さあ、いよいよみたいですよ?後5秒。」

 

と同時に、俺達も残りのカウントダウンをするのだった。

 

「「「「「「4!3!2!1!ゴー!!」」」」」」

 

と同時に一気に落ちて行くメテオに俺達は、揃って悲鳴を上げつつ楽しんでいた。

 

「やっほーい!!」「き、きゃあああ!!」「うぉおおおお!中々の迫力!!」「いやっほー!!」「ひゃあああ!!」「うわー!!」

 

とそれぞれに叫びつつ、さり気にみゆきとこうが俺の腕に抱きついている感触を感じながら、1回目を終了したのだった。

 

1回目終了後、こなたは第2グループの面々の元へ声をかけに行っていた。

 

「じゃあ、ちょっと第2グループの面々に声をかけてくるね。慶一君は次の準備よろしくねー。」

 

と俺に告げてから第2グループの所へ行くこなたを見送りつつ、俺は、やってきた次のグループとの準備を軽いため息をつきつつする。

 

こなたに声をかけられた皆は1人、準備を進める俺の側へとやって来て、それぞれに席へと着く。

 

ちなみに席順は、かがみ、つかさ、俺、ゆたか、あやの、たまきの順。

 

そして、それぞれの準備が済んだ後、いよいよ第2のグループのスタートの為にメテオが動き始めた。

 

そして、定位置へと向かう間、俺の周りに座った皆は俺に声をかけてきたのだった。

 

「ま、今回は勝負に負けちゃったし、仕方ないわ。でも、楽しんで行きましょ。」

「えへへ。けいちゃんの隣になれて少し嬉しいかも。けいちゃん、よろしくね~。」

「今回は私も慶一先輩の隣って事になっちゃいましたけど、よろしくお願いしますねー。」

「ふふ。良かったわね、妹ちゃん、ゆたかちゃん。まあ、それはそれとして、楽しみましょう。」

「先輩、今回も面白いリアクション、期待してますよー?」

 

と言う皆に俺は苦笑しつつ

 

「はは・・・つかさ、ゆたか、いつも通りでいいさ。あやの、たまき。これ結構迫力あるから楽しいぞ?それとかがみ、写メ準備してる所悪いが、今回はお前の期待には応えられそうにないから一応言っとくぞ?」

 

そう答える俺に、かがみを除く全員が頷いていたが、かがみだけは少し残念そうな顔をしていたのを俺は、再度苦笑しながらも見逃さなかったのだった。

 

そして、メテオが定位置に着くと同時に2度目のカウントが始まる。

 

「いよいよね・・・慶一くんにはああ言われたけど、一縷の望みをかけて携帯を、っと・・・。」

「はわわ・・・緊張するよ~・・・。」

「わ、私もちょっと怖いかも・・・意外と高いですよね・・・。」

「確かにそうかもね。でも、楽しそうよ?」

「乗るのと外から見てるのとはやっぱり違いますねえ・・・でも、面白そう。」

 

と言う5人の言葉を聞き、そして、カウントしつつも全員の顔をちらりと覗いて見ると、かがみは諦めきれずに俺に携帯をかざそうとし、つかさとゆたかはかなり緊張の表情になっていて、あやのとたまきは楽しそうな表情が見て取れた。

 

そんな様子を見た俺は、とりあえず開きなりつつも、皆と共にカウント続行をするのだった。

 

「「「「「「5!4!3!2!1!ゴー!!」」」」」」

 

と同時に落ちるメテオと、あがる歓声を俺も耳にしつつ、この状況を再度楽しんだ。

 

「シャッターチャンス来い!」「はわわゎゎゎ~!!」「うおー!」「うひゃうぅぅぅ!!」「きゃあああ!!」「やっほー!!」

 

そうして2回目が終了し、かがみは少々残念そうな表情を浮かべ、つかさとゆたかは少し顔色を悪くしている感じで、あやのとたまきは何やら楽しそうに頷きあっているのが見えたが、気を取り直したかがみが俺に

 

「じゃあ、私は次のグループを呼びに行くわね?慶一くんは再度準備をしておいてね?」

 

そう言うと、最後のグループに声をかけに行ったのを見送って、俺は3度目の準備をするのだった。

 

そして、俺が1回目、2回目同様に中央の席に着くと、かがみに声をかけられたみさお達がやって来た。

 

ちなみに席順は、パティ、みさお、俺、ひより、みなみ、やまとだった。

 

「ケイイチ!3ドメになりマスが、オツキアイヨロシクですヨ!」

「へへ。慶一の隣になるとは思わなかったけど、これはこれでいいもんだなー。」

「まさか私が先輩の隣になれるとは思ってなかったっス。とはいえ、お手柔らかにお願いするっスよ。」

「・・・ゆたかの顔色が少し悪い感じがしたので、心配です・・・。」

「まあ、今回は日下部先輩達に譲る事になったけど、勝負の結果だし、仕方ないわね。先輩?くれぐれもおかしな事は考えないようにしてよ?」

 

と言う5人に俺は、最後のやまとの言葉に少し怯えながら

 

「皆よろしく。みなみ、とりあえず下にはこなたもいるんだし、そっちは任せて今は楽しめ。それと、やまと。変な事ってなんだよ?」

 

そう言うと、みさお、パティ、ひよりは笑って頷いてくれ、みなみはとりあえず俺の言った事に安心する顔を見せつつ、楽しむ為に切り替えをした感じで、やまとは俺の言葉につんとそっぽを向いて少々不機嫌そうだった。

 

そうこうしているうちに、定位置についたメテオのカウントダウンが始まる。

 

「オウ!これはワクワクしますネ!!」

「うーん、やっぱり絶叫マシンはこうでなきゃなー。」

「わ、私も少し高い所は苦手っスね・・・」

「・・・高い所は少し怖いです・・・」

「ちょっと緊張してきたわ・・・」

 

と言う皆の呟きに耳を傾けつつ、最後のカウントに入る俺達。

 

「「「「「「5!4!3!2!1!ゴー!!」」」」」」

 

と同時にスタートするメテオにそれぞれの悲鳴が重なる。

 

「イェー!!」

「うひょおおお!こりゃすげえええ!!」

「う、うわわわっ!こ、怖いっスー!!」

「・・・っ!!」

「きゃあああ!!」

 

という悲鳴を聞きながら、流石に3回目で慣れてしまった俺は、今回は悲鳴を上げなかったのだった。

 

その代わり、恐怖のあまり手を握ってきたひよりに、少しだけ照れていた俺だった。

 

一通り楽しんだ後、俺達は次の場所へと向かった。

 

次の乗り物はウォーターウェーブという、ちょっと変わった名前の乗り物だった。

 

ここを選んだのはやまとだったので、俺はどんな乗り物なのかをやまとに尋ねてみた。

 

「なあ、やまと。これはどういうアトラクションなんだ?」

 

と言う俺にやまとは、俺の方に向き直りながらクスリと笑うと

 

「ふふ。先輩は川下りっていうのは知っているわよね?」

 

と言うやまとの言葉に頷いくと、やまとは人差し指を立てつつ

 

「このアトラクションはそれに似た事をやるものなのよ。まあ、乗るのは船ではなく、ジェットコースターのような車両で、川もまた、水を張って作った擬似的な物ね。そして、滝にも似た降下ポイントがあるのが特徴らしいわ。その滝に当たる部分が絶叫ポイントらしいわね。」

 

と説明してくれたのを聞いて、俺も納得して頷き、皆も興味深々のようだった。

 

「へえ?中々面白そうじゃん?私は乗るよ。皆はどうする?」

 

とこなたは皆を見回しつつ訪ねると、ゆたかとみなみ、いずみ以外は賛成していたが、3人は俺達に

 

「ごめんなさい、先輩、おねえちゃん達。私ジェットコースターとさっきのメテオでちょっと疲れちゃったみたい。少し気分が悪くなっているから今回は休むね。みなみちゃんといずみさんも残ってくれるって言うから、皆は楽しんで来て?」

「・・・すみません、私はゆたかの側についています。皆さんは私たちの代わりに楽しんで下さい・・・。」

「私もちょっと心配だから小早川さんについていてあげようと思います。皆さんは私たちの分まで楽しんで来て下さい。」

 

と、そう言って来たのを受けて、俺は3人に

 

「そうか。そういう事じゃ無理させる訳にはいかないな。わかった。体調が戻るまでは少し休んでるといい。みなみ、いずみ。ゆたかを頼むよ。」

 

そう言うと、さらにそこにパティやひよりも声をあげた。

 

「先輩、ゆーちゃん。私たちも残るっスよ。私もゆーちゃんとは友達なんスから。」

「ワタシもですヨ!?ワタシだってユタカタチのフレンドなんですカラ!!」

 

と言う2人に俺達は顔を見合わせてから

 

「そっか、なら、ひより、パティ。お前等にもゆたか達の事を託すよ。友達として見てやってくれ。」

「ひよりん、パティ、みなみちゃん、いずみさん。ゆーちゃんの事よろしくね?」

 

と、俺とこなたはみなみ達にそう告げると、4人は頷いて「「「「任せて下さい<デス><っス>」」」」と応えてくれたのを受けて、俺達は頷きで返してから、改めて10人でウォーターウェーブへと足を向けた。

 

そして、やっぱりと言うかなんというか、再び席順争いが勃発している様子を俺は、苦笑しながらも見つめていたのだった。

 

今回の座席は、1列4人で座る仕様になっていたので、4.4.3で分れる事となった。

 

しばらくしてようやく席順も決まり、こなた達はその結果を持って俺の側へとやって来た。

 

「ようやく決まったみたいだな。それで?今回はどんな風になったんだ?」

 

そう尋ねると、代表でこなたが俺に席順の説明をしてくれた。

 

「今回の席順はねえ・・・こうなったよ。まず1番前の列だけど、山辺さん、慶一君、かがみ、つかさ。2列目はみゆきさん、私、みさきち、八坂さん。最後は永森さん、峰岸さん、毒島さんね。」

 

と言うこなたの言葉に、俺は頷きで返しつつ周りの様子を伺うと、かなり残念そうな顔をしているやまととすごくいい笑顔のかがみと、満更でもない表情のこなた達がいた。

 

そして、俺達は早速ウォーターウェーブに乗り込んで行く。

 

その際に係員から俺達はあるものを貸してもらった。

 

それは、全身を覆える雨具だった。

 

何でも、このアトラクションではコース内に水が張り巡らされているとの事で、水が結構跳ねたりするらしいので、その為の備えが必要らしい。

 

そんな訳で俺達は、早速借りた雨具を身につけて準備を完了させた。

 

そして、出発を待つ俺達はそれぞれに言葉を交わしていたのだった。

 

「うわー、なんだかドキドキするね。どんな風になるんだろう?それに今回は先輩の隣に初めてなれたし、結果オーライかな。」

「私も楽しみ。それに・・・いいポジション取れたのも嬉しいかも。」

「わたしは少しドキドキしてるよ~。1番前になるなんて思ってなかったし。」

 

と言う3人に俺は笑いながら

 

「はは。まあ、確かに楽しみではあるな。たまき、そう言われると少し照れる。かがみ、もう写メは勘弁してくれよ?つかさ、なんにしても落ち着いていこう。」

 

とそう声をかけると、たまきは少しだけ口元を緩ませて、かがみはなんだか今回は、そんな事もどこ吹く風の顔をして終始笑顔でいて、つかさはそんな俺の言葉にまだ少し顔に緊張を張り付かせつつも、頷いていた。

 

そして、俺の後ろでもこなた達の会話が聞こえていたので、俺はそちらの方にも視線を巡らせた。

 

「この程度の防御で大丈夫なのでしょうか?ちょっと心配ですね。」

「大丈夫じゃない?一応は全身を覆えてるみたいだしね。それよりもきっちり楽しんでゆーちゃん達に乗った感想等を聞かせてあげないとね。」

「うーん、こういうのもわくわくすんなー。どうなるのか楽しみだゼ!」

「流石に泉先輩と日下部先輩ですねー。とはいえ、私も結構期待してたりしますけどね。」

 

そう言って笑い合っているようだった。

 

3列目ではやまと達も何やら話しているのが聞こえたので、こなた達をちらりと見た後、そっちにも目を向けて、聞き耳を立てた。

 

「前の列になれなかったのは残念だったけど、折角だから楽しむわ。」

「そうね。私もそうするつもりよ?今度は彼と一緒に来るつもりだしね。」

「いいですねえ、峰岸先輩にはすでに彼氏さんがいるんですから。」

「ふふ、永森ちゃんや毒島ちゃん達にもきっといい人が現れるわよ?」

「いい人、ね・・・。」

「そうだといいですけどね。」

 

そう言った後、ふいにこちらを見たやまとと偶然にも目が会い、やまとは顔を赤らめつつもそっぽを向いたのを見て、俺は苦笑していたのだった。

 

そして、準備も整い、いよいよ出発となったのだった。

 

「それではいってらっしゃいませ。」

 

と言う係員さんのお見送りの言葉でマシンは動き始めた。

 

最初は、なだらかにまさに水面を滑るが如くの表現のように、マシンはゆっくりと加速をつけながら動いていった。

 

そして、ある程度加速がついて来た所で、ついにこのマシンの絶叫ポイントである滝へと飛び込む。

 

ゴオオォォォ!ザバアーッッ!!!

 

という激しい音と共に水しぶきが激しくあがった。

 

俺達はその光景に思わず声をあげた。

 

「うわー!!すっごーい!!」「うおおおっ、すごいな、こりゃ!!」「きゃあああっ!!1番前ってこんなに水が来るの!?」「ひゃあああ!!お、おねえちゃーん!!」

 

と、1列目の俺達は相当水を受ける事となった。

 

そして2列目では

 

「きゃあ!こ、これは迫力です!」「今こそ慶一君バリアーっ!!」「うっひょー!楽しいー!!」「ちょ!泉先輩、どさくさに紛れて!あはは!!」

 

と、ちゃっかり俺の後ろで水を防ぐこなたと、それを聞いて笑うこうの声が聞こえていた。

 

さらに3列目では

 

「きゃあっ!こっちも結構水が来るのね。でも、1番前が1番迫力ありそうね、私も1番前で体験したかったかも。」

「きゃっ!後ろでも結構水が来るのね。でも、確かにこれは永森ちゃんの言う通りかもね。」

「っ!以外と急でしたね、滝の部分は。」

 

と、そんな声が聞こえていたのだった。

 

そして、確かにみくの言う通り、滝の角度は中々のものだった。

 

おかげで前列にいた俺達は、後列の皆に比べると、かなりの水を被る結果になったのだった。

 

そんな事もありながらも俺達は、スタート地点へと戻って来た。

 

そして、マシンを降り、係員さんに雨具を返す俺達だったが、流石に前列にいた俺達は髪の毛まで濡れる程の水をあびていたので、係員さんはそんな俺達に、濡れた髪を拭くタオルを貸してくれたのだった。

 

髪を拭き終わった後、俺達はゆたか達の側に行って、このアトラクションの事を報告していたが、少し休んだ事でゆたかの体調も戻ったようで、俺達はほっと胸を撫で下ろしていた。

 

その後、合流した俺達は次のアトラクションへ向けて歩き出したのだが、その最中、俺はこなたに

 

「おい、こなた。お前さっきのアトラクションで俺を盾にして水を防いでたろ?なんだよ、慶一君バリアーって・・・」

 

そう言うと、こなたはとぼけたような顔で

 

「んー?だって丁度慶一君が目の前にいてくれたし、慶一君、体大きいじゃん。まさにバリアーみたいだったしついねー。」

 

そんな風に言うこなたに俺は、軽いため息をつきつつ

 

「あのなあ・・・はあ・・・もういいや。いずれこなたには制裁を科すという事で。」

 

と言う俺の言葉に慌てたこなたが

 

「え?ちょ、ちょっと慶一君。ちょっとしたお茶目じゃん。制裁は勘弁してよー。」

 

と言うこなたに俺は、意地悪く笑いながら

 

「んー?どうしようかなー?」

 

と言う俺に、こなたは必死に謝っていたのだった。

 

そんな俺達の会話を聞いていた皆は

 

「まあ、こなたの自業自得よね?」

「こなちゃん、どんまい。」

「泉さん、無事をお祈りしていますよ。」

「まあ、今回は仕方ねえんじゃね?私は楽しんでたから、ちびっこがそんな事してたなんて気付かなかったけどな。」

「まあまあ、けいちゃん。泉ちゃんも反省してるみたいだし、その位で・・・」

 

と3年生組が言うと、それ以外の皆もまた、笑いながら俺達の様子を眺めていた。

 

俺もまた、そんな風に笑う皆を見ながらなおも必死に謝るこなたに

 

「もういいよ、こなた。もう怒ってないからさ。ちょっとお前を困らせようと少し調子に乗りすぎたな、すまん。」

 

そう言うと、こなたは涙目になりかかっていた表情を一転させ、頬を膨らませてむくれながら

 

「むう・・・慶一君、意地悪だよ。私本気で焦ってたんだからねー?」

 

そんな風に言うこなたに今度は俺が謝り倒す。

 

「いや、ほんとすまんって。この通りだ。あの約束もまだ有効なんだから、な?機嫌直してくれって。」

 

そう言う俺に、こなたは俺をちらりと見つめると、ニヤリと何やら邪悪な笑みを浮かべたと思ったら

 

「まあ、そういう事ならいいかな?それじゃ、気を取り直して次のアトラクションへレッツゴー!!」

 

こなたはそう言うと、俺の手を引いて走り始める。

 

そんな俺達の様子を見て他の皆も慌てながら着いてきた。

 

俺はそんな状況に苦笑しつつも、次のアトラクションに<次はどんな事があるだろうか?>という思いを胸にしつつ、皆と共に楽しめる喜びを感じていたのだった。

 


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