らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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楽しげな旋律~みさお達との約束、思いがけない幸運の招待状、第5話~

プールでのトラブルも一段落し、俺達は、このプールのもう1つの目玉であるウォータースライダーへと向かう。

 

プールでのトラブルの影響も体に少なからずあった俺だったが、俺はその影響を無理やり押し込めて、俺を心配するこなた達をあおってウォータースライダーへと誘う。

 

その際にこなたが、こっちへとやってくる際に俺と交わしていた約束を早速実行すべく提案してきたのを、俺は軽い意地悪で返したのだが、そんな俺の返しに悩みに悩んで、ついには涙目になるこなたに慌てた俺は、妥協案を示す。

 

そして、その妥協案を聞いたかがみ達もまた、こなたの言う要求と同じ事を求めてきたの受けて、俺は大きなため息をつきつつもその事を了承したのだった。

 

その後、ウォータースライダーで遊ぶ俺達だったが、最後の最後で再びみゆきのボディアタックを受けて気絶するというトラブルにあい、何とか復活した俺ではあったが、その時に蓄積されたダメージがついに俺の体を蝕み、そのダメージをも無理して押さえ込もうとした俺だったが、体のほうはそのダメージに素直に反応してしまった。

 

それゆえにその後、眩暈を起こして俺は動けなくなり、そんな俺を心配しつつも遊ぶ皆を見つめつつ、時間を過ごしていた俺だったが、しばらくすると丁度いい時間になっていたので、俺達は一端ホテルへと引きあげたのだった。

 

そして、午後6:00にはホテルでの夕食を済ませ、俺は一端はみさお達と部屋に戻り、夜の予定を立てていた。

 

そして、話し合いの結果、ゲーセンへ行く事になったが、俺はまだ回復しきらない体を押して皆に付いて行こうとしたが、俺の体の状態が不完全である事を見抜いていたこなたが

 

「無理はしなくていいよ?慶一君、まだ完全に体が回復していないよね?行く時になったら呼びに来てあげるから、それまで寝ていなよ。」

 

そう言ってくれ、そして、他の皆もまたこなた同様に俺に休めと薦めてきたのを受けて、俺は皆の意見に従うことにして、ベットに横になり、出かける時間まで眠る事にしたのだが・・・・・・

 

結果から言うと、こなた達は俺を起こしには来なかった。

 

その代わりに、俺の側には何人かが残っていてくれたようだった。

 

俺は、部屋の中にある何人かの人の気配を感じて目を覚ました。

 

「・・・ん・・・ふああ・・・あれ?今何時だ・・・?」

 

少し寝ぼけつつもそう呟く俺の声に気付いた、部屋にいる誰かが俺に声をかけてきた。

 

「あ、先輩。起きたんですね?気分はどうですか?」

 

という声に体を起こしつつ振り向いてみると、そこには俺を見ながらニコニコと笑うゆたかとみなみの姿があった。

 

「ゆたか?それにみなみも・・・お前らも皆と一緒に出かけたんじゃなかったのか?」

 

そう尋ねてみると、俺の疑問にみなみが

 

「・・・実は、先輩が休んだ後にゆたかも少し具合を悪くしたので、先輩の様子見も兼ねて、ゆたかを休ませていたんです・・・。それと、今は午後8時です・・・先輩はあれから1時間半くらい休んでいましたよ・・・?」

 

その言葉に俺は驚きつつ

 

「え?もうそんな時間なのか?少しのつもりがずいぶん寝ちゃったみたいだな。それで?ゆたかの方はもう大丈夫なのか?」

 

そう言いながら、ゆたかにも尋ねてみると、ゆたかも頷いて

 

「はい。少し休んだらすっかりよくなりました。先輩の方こそ大丈夫なんですか?」

 

そう聞いてくるゆたかに俺は、とりあえず自分の体の状態を確認しながら

 

「ん。俺の方も問題ないみたいだ。なんなら俺の事ほおっておいて一緒にこなた達の所行ってもよかったのに、ゆたか達にも気を使わせちゃったみたいだな。」

 

そう自嘲気味に笑いながらそう言うと、ゆたかは首をフルフルと振って

 

「そんな事はないですよ。それに、みなみちゃんにも残ってもらったのも私の事があったからですし。それに、残ってくれたのは私達だけじゃないんですよ?もうすぐ戻って来ると思いますけど・・・・・・」

 

ゆたかはそう俺に説明した後に、入り口のドアの方へ視線を向ける。

 

俺もまた、そんなゆたかの行動につられながら、同じように入り口のドアの方へと視線を移した。

 

すると、程なくして部屋の呼び鈴が鳴らされたのを聞いたゆたかが「みなみちゃん、お願い。」と声をかけると、そんなゆたかの言葉に頷いたみなみが入り口のドアを開けた。

 

そして、更に2人が俺達のいる部屋へと入って来たのを見て、俺は思わず驚きつつ声をかけた。

 

「こう?それに、いずみも・・・ゆたか達以外に残ってくれたのはお前等だったのか。」

 

その俺の言葉に2人は、俺を見てほっとしたような表情を向けつつ

 

「あ、先輩。起きたんですね?ええ、そうです。私達も先輩の事が心配だったんでここに残らせてもらったんですよ。」

「私もそうです。何となくほおっておけなくてそれで・・・とにかく元気そうな先輩の姿を見れたのでほっとしてますよ。」

 

と、そう説明してくれた。

 

俺はそんな4人に感謝の気持を向けつつ

 

「そうか。でも、なんだか悪いな。俺のせいでゆたか達の楽しむ時間をとらせちゃったようなもんだしな・・・あ、でも、誤解はするなよ?俺を心配してくれた事に関しては本当に感謝してるんだからさ。」

 

軽く笑いつつそう言う俺だったが、ゆたかをのぞく3人は微笑みながら俺を見ていたが、ゆたかだけはなんとなく複雑そうな表情を俺に向けていた。

 

その表情が気になった俺は、ゆたかに

 

「ゆたか、どうしたんだ?何か言いたそうな、そんな感じを受けたけど。」

 

そう聞いてみると、ゆたかは一瞬はっとして少しだけ俯いたが、ふっと顔を上げると、実に言いにくそうに俺にその理由を語ってくれた。

 

「あはは・・・さすが先輩ですね。やっぱりばれちゃいましたか。えっと、実はですね、私達がここに残っていたのは私の体の事も確かにあったんですけど、その事もまたこの状況の為に利用したんです。」

 

その言葉に俺は首を傾げつつ「この状況の為に利用?」と尋ねてみると、ゆたかはコクリと頷いて

 

「はい、そうです。先輩が寝入ってから、こなたおねーちゃんは先輩の体の事を心配していました。そんな折に私も少し体調を崩していて、それならば、私の体調が戻るまで先輩の様子を見ていて欲しい、と私とみなみちゃんに頼んだんです。その時にたまたま私達の話を聞いていた八坂先輩や若瀬さんがそれなら私達も一緒に様子を見させて欲しい、ってこなたおねーちゃん達に言ってくれてそれで、こなたおねーちゃん達も私達ならば任せられると思ってくれたみたいで、じゃあ、お願い、って事になったんですよ。」

 

そのゆたかの説明を聞いて、俺は、そんな風に気を使ってくれるこなた達にありがたく思いつつ

 

「そっか、納得。それにしても、こなた達もあれで中々鋭い所あるよな。まあ、それでも気を使ってくれた事は嬉しいけどな。それに、ありがとうな、ゆたか、みなみ、こう、いずみ。それと、すまないな、俺に気を使わせちゃってさ。ともあれ、俺もようやく復活したし、皆もゲーセン行ってるんだろ?俺達も皆と合流しよう。お前等に付き合ってもらった分の借りも返させてもらわないと、だからな。」

 

そう言ってゆたか達に礼を言いつつ、俺は皆に皆の所へ行こうと促す。

 

ゆたか達もそんな俺の言葉に顔を赤らめつつ照れながら

 

「い、いえ。いつも先輩には色々助けてもらったりしてますから、私もそんな先輩に1つでもお返しが出来た事が嬉しいですよ。私も体の調子は戻りましたし、いつでも行けますよ?」

「・・・私もそうです・・・先輩には誕生日や、クリスマスの事でもお世話になりました・・・それに私達の勉強も見てくれた・・・そんな風に私やゆたかを助けてくれる先輩に、私も私の出来る事で応えただけですから・・・。あ・・・その・・・私もいつでも出られますから・・・。」

「私は先輩に初めて会った時からお世話になりっぱなしでした。それに、私には他にたいした事もできないですし、だったら今の私に出来ることがあれば、そう思っただけですよ。でも、こんな事でも先輩に喜んでもらえるなら嬉しいですけど。私も用意は出来てます。いつでも出れますよ?」

 

そう言ってくれ、そして最後にこうが

 

「私はあの時からいつでも先輩の助けになろうと思ってましたからね、今更って奴ですよ。それに、これでも先輩の心配をしているんだ、って事はわかってもらいたいですよ?あの時から私達はそうして助け合ってきたじゃないですか。まあ、そういう事です。やまとも待っているでしょうし、出るなら行きましょう。あ、後、さっき私といずみさんが居なかったのは、私達が先に泉先輩達についていってゲーセンの場所を覚えて来たからです。だから、そこまでの道も心配はないですよ?」

 

と、そう言ってくれた。

 

俺は、皆の気持をありがたく受け取りつつ、最後のこうの言葉に頷くと

 

「ありがとう。なら、今度は皆をつき合わせた分、俺が何かお返ししないと、だな。それじゃ、こう、いずみ。こなた達の所への案内を頼む。ちょっと遅れたけど、出発するとしようか。」

 

そう俺が言うと、皆も笑って頷いてくれ、そして、きちんと戸締りを確認した後、俺達はこなた達の待つゲーセンへと足を向けたのだった。

 

こうといずみの案内で俺達は苦もなくゲーセンへと辿り付く。

 

その豪華で立派な建物の外観に俺は、思わず感嘆の声を漏らしていた。

 

「おお・・・こりゃすごいな。流石に話題の遊園地だけの事はある。こっちにもかなりの気合が入った建物の設計だよな・・・。」

 

俺の呟きに、同じようにこの建物を初めて目にするゆたかとみなみも驚いていた。

 

「わあー・・・綺麗だねえ、みなみちゃん。それに大きな建物だよね?」

「・・・うん。私もこんな立派な建物を見るのは初めて・・・。」

 

そんな俺達を見て、すでに一度この建物を目にしていたこうといずみは得意げに

 

「ふふん、どうです?かなりのものでしょう。私も最初見たときには驚きましたけどね。」

「立派な建物ですよねえ・・・一度は見ているはずだけど、やっぱりびっくりしますよね。」

 

そんな風に言う2人に俺は苦笑しつつも

 

「こう。別にお前が建てた訳じゃないだろう?いずみ、ここにこなた達が来てるんだよな?」

 

そう言って、一応こうにツッコミを入れつついずみに尋ねると、こうはそんな俺のツッコミに不満そうな顔を見せて、そんなこうを苦笑しながら横目でみつつ、いずみは頷きながら

 

「そうです。泉先輩達は挌闘ゲームのコーナーに行ってると思いますよ?それと、柊先輩達はユーフォーキャッチャーの方へ動いていたのをこちらに戻る前に見てますし。」

 

その言葉に俺は顎に手を当てて、まずはどっちの様子を見に行ってみようかと思案していたが、とりあえず入った時に、どちらか近い方の様子を先に見れば良いだろうという結論を出して、4人に

 

「ふむ・・・。とりあえず居場所は把握したよ。とりあえず、中に入ってみて近いほうの様子を先に見に行ってみようか。行くぞ?4人とも。」

 

そう言って中に入る事を促し、そんな俺の言葉に4人とも頷きで応えると、俺達は早速建物内へと足を踏み入れた。

 

そして、外の派手さも驚きだったが、中もまたかなり豪華な装飾をしてあるゲーセンの内部を見ると、どうやら、ユーフォーキャッチャーの方が近そうだと思った俺は、早速かがみ達を探す為に移動を始めた。

 

その際、こうは俺に

 

「あ、すいません、先輩。私、泉先輩のいる挌ゲーコーナーの方へ行ってますから。やまと達と後でこっちにも来て下さい。それじゃ、そういう事でー。」

 

そう言って、すぐさまこなた達がいるらしい挌ゲーコーナーへと走って行くのを、残った俺達は苦笑しつつ、軽いため息をついて見送った。

 

その後は、残った3人と一緒に、やまと達が居るらしいユーフォーキャッチャーコーナーへと足を運ぶ。

 

そして、そこで見たものは、orzの姿勢で落ち込む4人を慰める為に、声をかけているみゆきとみくだった。

 

そんな状況を見てゆたか達も驚いていたのだが、俺はそんな6人の姿を見て苦笑しつつも6人の側へと近寄って声をかけた。

 

「よっ。遅れてすまない。まあ、その様子を見れば何が起きたのかは何となくわかるけど、欲しい物が取れなかった、って所かな?」

 

その言葉に4人を慰めていたみゆきとみく、そして、落ち込んでいたかがみ、みさお、あやの、やまとの4人が俺の方へと顔を向けて

 

「あ、慶一さん。もうお体のほうは大丈夫なんですか?」

「よかったです、先輩。私も少し心配していましたから。」

 

そう言って俺に笑顔を向けるみゆきとみく。

 

「うう・・・実はそうなんだけどね・・・って、慶一くん、もう体の方は大丈夫なの?」

「・・・結構難しいゼ・・・もう6000円も使っちゃったってヴァ・・・あ、慶一、もう体の方はいいのかー?」

「やっぱり慣れてないと無理ね・・・あ、慶ちゃん、ようやく来たのね?もう平気?」

「・・・あれはどうしても取りたかったわ・・・あ、先輩。また無理はしてないでしょうね?」

 

と、悔しそうな顔をしつつ、俺に体調を聞いてきつつ心配してくれるかがみ達。

 

俺はそんな6人に頷きながら

 

「ああ。少し眠ったらすっかり回復したぞ?気を使わせて悪かった。それにしても・・・相当つっこんだみたいだなあ・・・。」

 

と言う俺の言葉に、安心したような表情を浮かべつつも俺の指摘に再び落ち込む4人と、それを苦笑しながら見ている4人。

 

「かがみ先輩達がやってたのってあれなのかな?よく見るとかわいいぬいぐるみとかあるね、みなみちゃん。」

「・・・そうだね・・・かがみ先輩達が狙いたくなる気持も少しわかるかも・・・。」

「へえ?結構可愛いのあるね。私もやってみようかな?」

「若瀬さんもやるの?なら、私もやってみようかな?」

「・・・ゆたかがやってみるって言うなら、私も挑戦してみようかな・・・?」

「やろうよ、2人共。これもきっといい思い出になると思うし。」

 

と、最後にいずみがゆたかとみなみにそう言うと、2人も笑顔で応えて、早速やりたいキャッチャーにとりついて品定めを始めた。

 

そんな3人の様子を見てかがみ達が

 

「やるのはいいけど、一筋縄では行かないわよ?私達でさえこのありさまなんだし。」

「そうだゼ?まあ、精々私らの二の舞にならねえようになー。」

「上手く取れないと熱くなっちゃうかもだから、お金の使いすぎには注意してね?」

「まあ、現実をその身に体験するのもいいかもね。」

 

と、そう3人に忠告していたのだった。

 

自分達の経験を忠告する4人の言葉を聞きつつ、忠告をされた3人に視線を向けながら、俺とみゆきとみくは苦笑を浮かべていたのだが、ここでまさかの事態が起きた。

 

なんと、ゆたかとみなみといずみの3人は、狙った景品のぬいぐるみを、それぞれがあっさりとゲットしてしまったのだ。

 

「あ、とれたー。」

「・・・あ、私も上手く行った・・・。」

「やったー!一発ゲットー!!」

 

と言って喜ぶ3人を見た4人は、再びorzの姿勢で落ち込みながら

 

「・・・そんな・・・なんでああもあっさり・・・。」

「理不尽だ・・・私らの苦労って一体・・・。」

「あんなに・・・あんなに頑張ったのに・・・。」

「何で?私は何度やってもだめだったのに・・・。」

 

そう呟くのを聞いて、3人はばつの悪そうな顔をしつつ苦笑しながら

 

「あ、その・・・ごめんなさい。」

「・・・すみません・・・。」

「えーっと・・・なんて言ったらいいのか・・・。」

 

と言っていたのだが、俺はそんな4人を見てため息を1つつくと

 

「・・・まあ、なんだ・・・かける言葉が見つからないが、とりあえずはお前等が狙ってた物ってどれだ?このままじゃ気の毒だし、俺も協力するよ。」

 

そう言うと、4人は涙目の顔のまま俺の方を見てそして

 

「・・・ほんと?じゃ、じゃあ、あれなんだけど、取れそう?」

「わ、私はあれな?慶一、仇討ち頼むゼ!」

「ごめんね?慶ちゃん。私も諦めきれなくて・・・あれなんだけど、どうかな?」

「先輩、私もあれ狙ってるんだけど、行けそう?」

 

と、それぞれに指摘してきた景品を見て、俺はそれらをゲットすべく奮闘を開始した。

 

「おーし、あれだな?んじゃ、ちょっとやってみるぞ?」

 

そう言って俺はそれぞれの台でアームを動かした。

 

結果は、それ程使い込まずになんとか4人の狙った景品をゲットする事が出来た。

 

そのついでに、みゆきとみくの分もゲットし、2人にもプレゼントをしたのだった。

 

「あ、ありがとう、慶一くん。これ、大事にするね?」

「サンキュー慶一。おかげで手に入ったゼ!」

「ごめんね?慶ちゃん。でもありがとう。凄く嬉しいよ?」

「ありがとう先輩。私の無念を晴らしてくれて。これ、大事にするわ。」

 

と4人は満面の笑みで俺に礼を言い、そして、みゆきとみくも

 

「なんだかすみません。私は特に狙っていた訳ではなかったですが・・・でも、嬉しかったので、これ大事にしますね?」

「私の分まで取ってもらえるとは思いませんでした。ありがとうございます。私もこれ大事にしますから。」

 

そう言って笑ってくれたのを見て、俺は内心ほっとしつつ頷いた。

 

ゆたか達もそんな俺達を見てほっとしたような笑みを浮かべながら、俺達を見ていたのだった。

 

その後も少しだけ、この場にいないメンバーの分の景品も確保した俺だったが、とりあえずここでの目的も果たしたと思ったので、俺は皆に

 

「そろそろこなた達の居る挌ゲーコーナーへ行くとしよう。皆ももう、こっちでの用事は大丈夫だよな?」

 

そう尋ねると、9人が頷いたのを見て、今度はこなた達の居る挌ゲーコーナーへと足を運ぶ俺達だった。

 

建物は2階構造になっていて、1階がユーフォーキャッチャー等の大型筐体が多いコーナーになっていて、2階にはゲーム筐体がメインに並ぶ場所となっていた。

 

俺達は、建物の中央にある螺旋階段をあがり、2階へと移動する。

 

そして、周りを見渡してこなた達がいるであろう格ゲーコーナーを探してみると、いち早くこう達の居場所に気付いたやまとが声をあげた。

 

「先輩、あっちにこう達の姿があるわ。どうやらあそこが挌ゲーのコーナーみたい。」

 

そう言うやまとの向いている方へと視線を向けると、そこにはまたしてもorzの姿勢でゲーム筐体の横で落ち込むこうの姿と、それすらお構いなしに得意げな表情でゲームを続けるこなた、そして、そんなこうを慰めるひよりやパティ、たまき、そして、こなたのいる筐体の側からそんな4人を苦笑しながら見ているつかさが見えた。

 

俺は、そんな皆の姿を苦笑交じりに見つつも、かがみ達と顔を見合わせて頷き合うと、6人のいる方へと歩いて行き、こなた達に声をかけた。

 

「よう、こなた。調子よさそうだな。それと、こう、一応お気の毒様、と言っとくよ。ひより達も楽しんだか?」

 

と言う俺の声に、こなた達も

 

「あ、慶一君。どうやら回復はしたみたいだね。来るのを待ってたよ?対戦相手が八坂さんだけだと物足りないし、慶一君もよければ対戦しようよ。」

「けいちゃん、もう大丈夫なの?わたしもちょっと心配してたよ~。でも、とりあえずほっとしたかな。」

「先輩、どうやらもう大丈夫そうっスね。よかったっス。」

「ケイイチもフッカツしたコトデスし、オタノシミはこれからですネ!」

「なんにしても、安心しましたよ?お帰りなさい、先輩。」

 

そう言ってくれるこなた達に俺も頷きを返しつつ

 

「ああ、なんとかね。こなた、つかさ、ひより、パティ、たまき、心配かけちゃったけど、もう大丈夫。でも、気を使ってもらって悪かった。感謝してるよ。」

 

そう言うと、こなた達も照れながらも笑顔で頷いてくれたのを見て、俺もまた笑顔を返した。

 

そして、たまきの側で落ち込むこうが

 

「・・・先輩ー、私の仇を取ってくださいよー・・・先輩、泉先輩に勝った事あるんですよね?」

 

と、涙目の顔を向けて来たが、俺はそんなこうにため息をつきつつ

 

「そうはいっても、俺だって10回中2回勝てればいい方だぞ?とてもお前の仇を取れるほど余裕はないって。」

 

そう言うと、こうはますます涙目で「そ、そんなー・・・。」と言いながら更に落ち込む。

 

そんなこうを見たやまとは呆れ口調で

 

「そんなに悔しいなら、もっともっと練習して自分の力でリベンジしないさいよ?そういうのは自分の力で勝ち取ってこそ意味のあるものじゃないの?」

 

そんな言葉の槍をこうに突き刺すやまと。

 

その言葉にこうが、ますます落ち込んでいたのを俺は気の毒そうに見つつ、さっきのユーフォーキャッチャーでゲットした景品をこなた達にも渡した。

 

「待たせたお詫びも兼ねて、こんなものを下で取って来てみたよ。」

 

そう言って戦利品を手渡す俺だったが、そんな突然のプレゼントにこなた達も驚きつつ

 

「え?いいの?もらっちゃっても。なら、遠慮なくいただくよー。」

「ありがと~けいちゃん。これ大事にするね~?」

「私の分もっスか?嬉しいっスけど、なんだか悪いっスね。」

「オウ!これはワタシがホシがっていたものじゃないデスか。サスガケイイチ、わかってますネ!」

「ありがとうございます。気を使ってもらっちゃってすいません。」

 

と、それぞれにお礼を言ってくれ、そして、落ち込んでいたこうも

 

「私の分も取ってきてくれてたなんて・・・ありがとうございます。仇討ちはしてもらえなかったけど、私の事も気にしてくれた事は嬉しいですよ。」

 

そう言うこうたちに俺は、フルフルと首を振って

 

「いや、いいんだ。俺も皆には気をつかわせちゃったしな。それのお詫びみたいなもんだ。だから、この程度はどうって事はないよ。」

 

その言葉に、他の皆もにこにことしながら俺の方を見ているのを見て、俺は照れ隠しに、そんな皆から視線を外した。

 

そして、気恥ずかしさを誤魔化すように

 

「さ、さーて。折角ここに来たんだし、こなた、一手手合わせを頼むぜ?まだまだ時間もあるし、ホテルに戻るまでの時間は楽しもう。」

 

そう言うと、他の皆もそれぞれに頷きあって、思い思いにゲームコーナーを堪能したようだった。

 

今回も10戦したが、今回は10回中3回の勝利を収める事が出来たので、前よりはこなたとの対戦勝率もアップしたようだった。

 

その後、散々に楽しんだ俺達はホテルのそれぞれの部屋へと戻って行った。

 

そして、別れ際に

 

「今日はお疲れ様ー。後1日あるし、明日も最後まで楽しんでいこうね?それじゃお休みー。」

「今日は楽しかったわ。明日ももっと楽しみたいわね。それじゃ、また明日ホテルのロビーで会いましょ?」

「今日は色々あったけど、楽しかったよ~。あしたも皆で楽しもうね?それじゃわたしも部屋に戻って寝るね~?」

「皆さん、今日はお疲れ様でした。私も今日は楽しかったです。明日もまた皆さんと一緒に楽しめる事を期待していますね?それでは私も部屋に戻ります。おやすみなさい。」

 

そう言って、こなた達4人も部屋に戻って行くのを見送りつつ

 

「ああ、お休み。明日も楽しんでいこうな。」

 

そう言って俺達は別れたのだった。

 

「今日はお疲れ様でした。明日も体調を崩す事無く楽しみたいです。それでは私も部屋に戻りますね?皆さん、おやすみなさい。」

「・・・後1日ありますが、明日も楽しんでいきたいです・・・。私もそろそろ休みます・・・皆さん、お疲れ様でした・・・。」

「明日はどんな事が待っているのか、とても楽しみっスね。私も今日はおとなしく休む事にするっス。それじゃ皆さん、おやすみなさい。」

「二ポンにキてハジメテのテーマパーク、とてもタノしいデス!アシタももっとタノしんでイキマスよ!?それではミナさん、Goodnight!!」

 

そう言いながら、ゆたか達も自分達の部屋へと戻って行く。

 

俺はそんなゆたか達を見送りつつ

 

「お休み。みなみ、ひより、パティ、ゆたかの事頼んだぞ?」

 

そう声をかけると、みなみはコクリと頷き、ひよりとパティは、親指をビシッと立てて応えてくれた。

 

「今日は色々ありましたけど、明日は変なトラブルとかはなければいいですね。私も部屋に戻ります。それじゃお休みなさいー。」

「色々あった1日だったけど、楽しかったわ。先輩、もらったこれは大切にするわ。だから明日も楽しんで行きましょ?それじゃお休み、先輩。」

「今日は心地よい疲れがあるので、よく眠れると思います。明日もよろしくお願いしますね?先輩。それじゃお休みなさい。」

「まだ1日あるし、わくわくしてます。明日も楽しみましょうね、先輩。それじゃ私も今日は休みますねー。」

 

そう言って部屋に引き上げていくこう達を見送りつつ

 

「ああ、今日はゆっくりと体を休めて明日に備えろよ?それじゃお休みなー。」

 

そう言って、こう達がいなくなった後、俺達も自分達の部屋へと戻っていった。

 

そして、先に俺が寝巻きに着替え終えてから部屋の外へ出て、あやの達の着替えが終わるのを待っていた。

 

『慶ちゃん、もう入って来ていいわよ?』

 

と言う声が聞こえたので、俺は『入るぞー』とドアの前で一声かけてから部屋の中へと入ると、着替えを終えたあやの達がそれぞれのベットに座っていた。

 

「今日は色々あったけど楽しかったわ。明日も楽しい1日になるといいわね。」

「そうだなー。ほんとに今日は色々あった・・・っ!!」

「ですね。でも、この仲間達と一緒なら退屈しなくていいですよ。」

 

3者3様にそう言っていたのだが、みさおだけが何かを思い出したのか、顔を真っ赤にして黙り込むのを見て、あやのといずみも不思議そうにみさおを見ていた。

 

俺はそんなみさおに

 

「どうした?みさお。急に顔真っ赤にして。」

 

そう尋ねると、みさおは真っ赤な顔のまま俺を睨みつけて

 

「うっさいな!なんでもねえよっ!<何で慶一は平気な顔してられんだ?私はすっげえ恥ずかしいってのに・・・>」

 

そう怒鳴りつけるみさおの姿に驚きつつ

 

「そ、そうか?なら、いいけどさ・・・。」

 

みさおの突然怒り出した理由がわからずにとりあえずそう答えた俺だったが、あやのといずみは何故みさおがあんな態度を取ったのか、その理由に気付いたのか、ニヤニヤしながら俺とみさおを見ていたのだった。

 

だが、そんなあやの達の態度を見て、俺はみさおの怒った理由に気づく。

 

けど、意識したら恥ずかしくてこの場にいられそうになかった俺は、その理由を無理やり押さえつけて努めて平静を装いながら

 

「ま、まあ、とりあえず明日もある事だし、そろそろ休もうぜ?」

 

そう話を誤魔化しつつそう言うと、みさお以外の2人は頷いて

 

「そうね。それじゃそろそろ休みましょうか。慶ちゃん、最後にベッドに入るのなら、電気お願いね?」

「ふああ・・・私ももう眠いです。私もそろそろ寝ますねー?」

 

と言ってベッドに潜り込んだ。

 

みさおは俺を、しばらく赤い顔のまま睨みつけていたが、やがて

 

「・・・私ももう寝る。慶一、昼間の事に関してはもう一度謝っとく。ごめんな?それと、その・・・慶一も私が顔を赤くしてる理由には気付いてんだろ?誤魔化そうとしてたけど、私にはわかるぞ?最後に1つだけ聞かせろよ?慶一は私とあんな事をして・・・嫌だったか?」

 

そう言ってくるみさおに俺は、再びその事を意識してしまい、顔を赤くして照れていたが、それでもみさおにはちゃんと言わなきゃいけないと思い、俺は電気を消すために部屋の電気スイッチの所に立ってみさおに背を向けながら

 

「・・・もう終わった事だ。俺は気にしてない、と言ったと思うけどな。それと、流石に気付かれちゃったか・・・俺も結構顔に出やすいみたいだな。さっきみさおが言った事だけどな?俺は別に嫌じゃなかったよ。かなり照れくさかったのは確かだけど、少なくとも俺はお前を嫌だとは思っていない。それだけははっきりと言っておく。ま、まあ、そう言う訳さ。それじゃ、明日も楽しもうぜ?それじゃ、電気を消すぞ?」

 

そう言って電気スイッチに指を置く俺に、みさおはベッドにもぐりこみながら

 

「・・・ありがとな?慶一。それ聞けただけでもよかったゼ。それじゃ私もそろそろ寝るよ。慶一、明日も楽しくやろうゼ?」

 

そう言うみさおに俺も

 

「ああ。こうやって皆で思い出を作っていこう。いつか皆と笑って話せるように。それじゃ、お休み、みさお。」

 

そう言った後、電気を消して、俺も自分のベッドへと潜り込み、夢の世界へと旅立った。

 

みさおside

 

(・・・ふう、今日はほんとに色んな事あったゼ・・・でも、まさか私も慶一とキスする事になるなんて思わなかったよなー・・・それに今日も慶一に迷惑かけちゃったし、正直それを思い出すと凹むゼ・・・。でも・・・あいつは私のあの行為を嫌だとは言わなかった・・・それだけは嬉しいかな?なんにしてもまだ後1日あるんだし、今日以上に楽しんで、慶一が言っていたように、楽しい思い出つくらねえとな・・・。)

 

そこまで考えたあと、私は睡魔に負けて、そこから先の思考を切り離したのだった。

 

後1日、どんな思い出を作れるか、その事を期待しながら・・・・・・。 

 


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