らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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楽しげな旋律~みさお達との約束、思いがけない幸運の招待状、第4話~

幸運のチケットを手に入れ、俺達は、2日間を利用して遊園地を楽しみにやってきた。

 

そこで、初日の残りの1つに施設内プールで楽しむ事となった俺達だが、そこで勃発した俺とみさおとの水泳対決に於いて、みさおの起こしたトラブルにより、俺はまたしても生死の境を彷徨う事となった。

 

何とか一命を取りとめた俺は、自分の体を休ませつつ、次のプール内のアトラクションへと向かう事となったのだった。

 

こうを中心に、そのアトラクションであるウォータースライダーへと向かう皆だったが、こなたとみゆきとかがみとつかさ、みさお、やまとの6人は俺を心配してか、俺の側にいてくれたのだが、俺はそんな6人に

 

「皆はもうウォータースライダーの方へと向かったみたいだけど、お前等は一緒に行かないのか?」

 

そう声をかけると、5人はばつの悪そうな表情を見せつつ

 

「あはは・・・さっきの事もあるし、私にもちょっとは責任もあるしさー・・・。」

「・・・その・・・あんたの事、死なせかけておいて、そんな状況にもお構いなしに言い合いしてた事を反省してる、って事もあるんだけどさ、さっきの今だからちょっと心配で・・・。」

「わたしもけいちゃんの事が心配だし・・・。」

「せめて自分の不手際をお詫びしたいですから・・・。」

「私が一番の元凶でもあるしな・・・。それなのにお前を差し置いて私らが先に楽しむのもなんか罪悪感があってさー・・・。」

「私も・・・ごめんなさい、先輩・・・。」

 

と、それぞれに落ち込んだ表情を見せる皆に俺は、軽くため息をつくと

 

「まあ、皆の言いたい事はよくわかるし、危なかったのは確かだけどな。でも、もう気にしてないし、それに、俺達は楽しむ為にここに来たんだから、いつまでもそんな顔しててもらっても困るってもんだ。とはいえ・・・はあ・・・仕方ないな・・・よいしょっと!」

 

そう皆を説得しつつ、俺はおもむろに横になっていた体を起こして立ち上がると、皆はそんな俺の行動に心配そうな表情を向けていたが、俺は自分がもうなんともない事をアピールしつつ

 

「ほら、この通りもうなんでもないから、皆も待ってるし、一緒にウォータースライダーまで行こうぜ?な?」

 

と、笑顔で皆にそう言うと、皆も戸惑いながらも、笑顔を見せつつ頷いてくれたのを見て

 

「おっし、んじゃ、あそこまで競争な?一番ビリのやつにはジュースでも奢ってもらうとしようか。」

 

そう言って笑ってから俺は、おもむろに他の皆が待つウォータースライダーへと走り出した。

 

俺の突然の行動に一瞬呆けつつも、状況に気付いた皆は慌てながら

 

「ちょっ!?慶一君、いきなりそれはずるいよ!?待ってー!!」

「あんた一応病み上がりのようなものなんだからあまり無茶すんじゃないわよ!!待ちなさい!!」

「わ!わわわっ!!みんな待って~!!」

「は?え?えーと・・・って!待ってくださいー!!」

「ちょ!慶一!!いきなりそれは汚えぞ!?待てよー!!」

「(・・・まったく・・・無理してるのはみえみえなのよ・・・ほんと、先輩はしょうがないわね・・・って、人の心配ばかりしてる場合じゃないわね・・・。)待ちなさい!先輩!!」

 

それぞれにそう言いつつ、俺を追いかけて走ってくるのをちらりと見ながら俺は、本当はまだ動くにはきつい体を無理やり動かしてゆたか達の方へと走ったのだった。

 

ゆたかside

 

さっきの騒ぎから少しして、先輩が無事に復活を果たした事に安堵していた私達だったのだけど、それでもまだプールサイドで横になったままの先輩を、みんなと一緒にウォータースライダーへと向かいつつも気にしている私だったのだけど、ちらりと先輩の方を見ると、先輩の事が心配で先輩の側に残っていたこなたおねーちゃん達が何やら先輩と話している様子が伺えた。

 

先輩は、こなたおねーちゃん達に何事かを話してからふいに起き上がると、私達の方へ向かってダッシュし始めたのを見て、私はそんな先輩の行動に少し心配になりつつ、みなみちゃんに話かけていた。

 

「ねえ、みなみちゃん。慶一先輩、あんな風にダッシュしてこっちに向かってきてるけど、大丈夫なのかな?さっきの騒ぎのすぐ後だから、私ちょっと心配だよ・・・。」

 

そう言うと、みなみちゃんも同じように心配気な表情を私に向けながら

 

「・・・そうだね・・・私も少し心配かな・・・あんな事があった後でそう簡単に体が回復するとも思えないし・・・それに、先輩がなんだか無理しているようにも見えるし・・・。」

 

そう言うみなみちゃんに私も頷いて

 

「そうだよね・・・。先輩大丈夫かなあ・・・?」

 

そう呟く私にみなみちゃんもまた、不安気に先輩を見つめていた。

 

そんな私達の会話を聞いていたひよりちゃん達は

 

「先輩、ああ見えて無理する人っスからね。私達も先輩の仲間なんだし、それとなく気にしてあげていればいいと思うっスよ。まあ、それでも先輩の事だから強がるかもしれないっスけど・・・。」

「それがケイイチのいいトコロでもあり、ワルイトコロでもありますネ。とにかくワタシタチはそれとなくケイイチのヨウスをミマショウ!」

「そうだね。何があっても大丈夫なように・・・。」

 

そう言い、最後の若瀬さんの言葉に、私や他の皆もうんうんと頷いていたのだった。

 

こうside

 

側で小早川さん達がそんな風に話しているの聞きつつ、私達も走ってくる先輩達の方に視線を向けながら、みくやたまきらとやりとりをした。

 

「ん?先輩、復活したっぽいかな?って、先輩また・・・。」

 

と、先輩の方を見ながら表情を曇らせつつ、そう言うと、そんな私の言葉に頭にハテナマークを飛ばしているっぽい2人が

 

「どうしたの?やさこ。先輩元気そうじゃない?」

「そうだよ。何でそんなに心配そうな顔してるのさ?」

 

そう言うのを聞いて、私は2人に曇った表情のまま

 

「いやー・・・先輩、また無理してるな、って思ってね。」

 

そう言うと、たまきが私に

 

「んー?私から見たら、先輩ちゃんと復活してるっぽいけどな。そうじゃないの?」

 

そう言って来たのを聞きながら私は、その言葉に首をフルフルと振って

 

「一見するとそう見えるけどねー・・・私にはわかるんだよね。これも付き合いの長さなのかもだけどね。それに、中学時代にも先輩は一度無茶をした所を私も見てるからね。おそらくは泉先輩達に心配をかけさせない為に、なんだろうけどね。無理をしてるってのがみえみえだからさ・・・。」

 

その言葉に2人とも感心しつつも

 

「なるほど。付き合いの深さに関しては私達は及びもつかないね。」

「とはいえ、私達も小早川さん達同様にそれとなく先輩の様子を見ていた方がいいかもしれないね。」

 

そう言ってくれる2人に私は、ありがたい気持になりながら

 

「ありがとね、2人共。私の知らない所でなにかあるようならすぐに教えて?」

 

そう言うと、2人共笑って頷いてくれたのを見て、私自身も先輩の様子には気をつけよう、と改めて思うのだった。

 

慶一side

 

1年生組や2年生組がそんな事を話している事などつゆ知らず、俺はこなた達を引き連れてウォータースライダーの前で集まっている皆の元へと辿り付いた。

 

ゆたか達がまだ若干心配そうな目を俺に向けていたようだったが、俺はそんな視線に気付きつつも、その視線に気付かないフリをしつつ、皆に声をかけた。

 

「皆、心配かけてしまったけど、もう大丈夫だ。今度はこれで遊ぶんだろ?って・・・意外と大きいな、これ・・・俺、ここまで立派なウォータースライダーはそうそう見た事はないぞ?」

 

その言葉に皆も改めてウォータースライダーを見ながらその大きさに感嘆のため息をついているのが伺えた。

 

「・・・なるほど、これはやりがいがありそうだね。さて、それじゃー・・・っと、いい事思いついた!」

 

早速遊ぼうとしているこなたがふいに声をあげたので、俺はこなたに

 

「ん?いい事?一体何なんだ?」

 

そう尋ねると、こなたはニヤリと不敵な笑顔を見せてから俺に

 

「慶一君、ここに来る前に私達とした約束の事は覚えてるよね?」

 

その言葉に、俺はここへの道中にこなた達から言われた言葉を思い出しながら

 

「あー・・・確か私達の言う事を聞く事、って言ってたあれか?」

 

そう返すと、こなたは満面の笑みで頷いて

 

「そうそう、それだよ。それでだね、ウォータースライダーをやる時に、2人1組でやるのがいいかな?と思ったんだけどさ、その時に慶一君には私を後ろから抱きしめる形で支えてもらいながら滑るってのをやってもらおうと思ってねー。」

 

その言葉に俺は照れで顔を赤くしつつ

 

「ちょ、待ってくれ。それは流石に照れくさいぞ?それ以外で他にはないのか?」

 

と、あたふたしながらこなたにそう提案したのだが、こなたは何かを企む時のような笑みを俺に向けながら

 

「ほほう?慶一君は自らした約束を守れない、とおっしゃるのですかね?それは男としてどうなのかなー?」

 

こなたの言葉に俺は思わず言葉を詰まらせる。

 

「男が一度した約束はきちんと守るのが男ってものだよね?違う?違うのー?」

 

そう言って詰め寄ってくるこなたに更にあたふたしつつ、俺はふと思いついた意地悪をこの状況に対する反撃としてこなたにしてみる事にした。

 

「い、いや・・・それはそうなんだが・・・・・・なら、こなたの俺への言う事を聞く事、ってのはこれでいいんだな?お前の望みはこれで使い切る、でいいんだな?」

 

と、特に回数設定はしていないはずだったが、そんな風にカマをかけてみたところ、その俺の言葉に今度はこなたが慌て始めた。

 

「え?えっと・・・その・・・え?あ、あれー?ちょ、ちょっと待ってね?えっとええっと・・・・・。」

 

そう言いつつうーんうーんと唸り、悩み始めたこなたの様子を内心ニヤリとしながら見ていたが、そのうちにこなたが唸りながら俺を見て涙目になり始めたのを見て、俺はそれに慌てながら

 

「わ、わかった!わかったよ!俺が悪かった!回数制限はつけない。この2日間の間だけ我侭聞いてやるから、そんな顔するなって。な?」

 

そう言って慌てて妥協案を出すと、こなたは涙目の顔のまま俺を見つめて

 

「・・・ほんとに?」

 

と言うこなたに俺は頷いて

 

「ああ、本当だ。悪かったな、ちょっとからかってみようと思っただけなんだ。」

 

そう言って謝ると、こなたは頬を膨らませながら

 

「むう、酷いよ、慶一君。私真剣に悩んじゃったんだからね?じゃあ、早速まずはここでのお願いを聞いてくれるよね?」

 

むくれつつも気を取り直してそう言ってくるこなたに俺は、観念しつつ

 

「ま、約束は約束だからな・・・。それじゃ行くか。」

 

その言葉にこなたは満面の笑顔で喜びながら

 

「やたー!それじゃ行こう!早速行こう!!」

 

そう言って俺の手を引いてウォータースライダーの上へと登ろうとしたのだが、そこへ事態を見守っていたかがみ達からも声をかけられた。

 

「待ちなさい!こなたばかりずるいわよ!私も・・・その・・・お願い・・・。」

「わたしもいいよね?けいちゃん。」

「私も・・・お願いしたいです。いいですよね?」

「先輩?当然私もいいわよね?お願いを聞いてくれる、って言ってくれたんだから・・・。」

 

そう言ってくる4人に俺は大きなため息をつきつつ

 

「わかったよ・・・。それじゃ、順番でいいよな?・・・はあ・・・・・・。」

 

そう言いながら、他にそんな約束をしていた4人の願いを受けたのだが、それを皮切りに、他の連中も私も、私もと言って来たので、俺は半ばやけくそでその申し出を受けたのだった。

 

こなたside

 

私達とした約束を逆手に取られてからかわれた私だったが、その事に本気で悩んで涙目になった私を見た慶一君が妥協案を出してくれたのを受けて、私はその事に内心ほくそえみつつも、この状況を楽しんでやろうと思うのだった。

 

そして、まずは私から2人1組でのウォータースライダーを始める。

 

私を支えるように抱きしめる慶一君の体の感触を感じつつ、私は心の中で

 

(おお・・・こういうのも結構いいもんだね。前から思ってたけど、やっぱり慶一君は逞しい体してるよ。さて、それじゃ、慶一君の体温を感じつつ、楽しみますかねー。)

 

そう考えた後、慶一君に「それじゃ行くからしっかりと私を支えててよ?」と声をかけてから、慶一君が

 

「わかった。それじゃ行くか。」

 

と返事したのを確認してから、私達は早速滑り出したのだった。

 

「いーーーやっほーーーー!!」

「おお!こりゃ迫力だ!!」

 

と言う声とともに私達は、ウォータースライダーを堪能したのだった。

 

かがみside

 

こなたと慶一くんのやりとりを目にして、私もまたこなたに対抗する為に、こなたが慶一くんにした要求を私もする事にしたのだった。

 

そして、こなたと慶一くんが一回目のウォータースライダーを終えて再び戻って来たのを見て、私は慶一くんに声をかける。

 

「お帰り、2人共。さあ、次は私の番ね?慶一くん、よろしくね。」

 

そう言うと、慶一くんは苦笑していたが「ああ、わかった。」と頷くと、早速スタートの準備へと進んだのだった。

 

そして、心の中で慶一くんに支えるように抱きしめてもらいながら

 

(あ・・・やっぱり慶一くんの胸板って広いわね・・・。なんだか、恥ずかしいのもあるけど、こうして密着していると落ち着くかも・・・。って、何を考えてるの!?と、とにかく・・・今は楽しむ事に集中しようっと・・・。)

 

そう考えつつ、顔を赤らめながら私は慶一くんに合図をだして、滑り出したのだった。

 

「行くわよ?用意はいい?慶一くん。」

「おう。いつでもいいぞ?」

「よーし、それじゃ行くわよ?それー!」

 

そう言って照れを隠すようにはしゃぎつつ、楽しむ私だった。

 

慶一side

 

こなたの願いを聞き、そして、かがみ達からも要望を突きつけられ、俺はかがみの順番まで終えてから次のつかさの順番へと向かう途中も、はあ、と軽いため息をつきながら再び上へと登って行った。

 

そんな中、俺は心の中で

 

(・・・ふう・・・言う事を聞く、って事は自分で言い出したことだったとはいえ、しょっぱなからきつい要求だよなあ・・・そりゃ、俺も普通の男だし、そう言う状況は嬉しいとは言えなくもないけど・・・やっぱし理性を保つにはきついし、この状況は拷問にも近いってもんだ・・・でも・・・これも俺のけじめだもんな・・・いいとも、ならば、俺はこの拷問的状況も受け入れてやろうじゃないか。せめてそうする事が、今の俺のけじめのつけ方だしな・・・。苦難困難上等だ!これを乗り切ってまた俺は成長してみせる!)

 

そう最後は決意しつつ俺は、この状況を受け入れつつ乗り越えようと思うのだった。

 

つかさside

 

こなちゃんがけいちゃんにした要求を、けいちゃんが受け入れたのを見て、おねえちゃん達もそれに便乗して自分達の要求を突きつける事となった。

 

わたしもそんなおねえちゃん達の勢いに乗せられる形となり、思わずけいちゃんにこなちゃん達のような要求をしてしまったのだが、おねえちゃんの番が済んでけいちゃんが再び上に上がってくるのを待ちながら、自分の行動を振り返って驚いていた。

 

(わたしもこんな風にけいちゃんに言えるなんて思ってなかったから、自分の行動にちょっと驚いちゃったよ・・・。今にして思えば、わたし、かなり大胆な事けいちゃんに言ったな~って思ったら、なんだか恥ずかしくなってきちゃったよ~・・・で、でも、言っちゃった以上はわたしも頑張らないと・・・。)

 

そう心の中で思いながら色々考えていたが、ふいにかけられた声でわたしの思考が中断された。

 

「・・・つかさ、どうしたんだ?なんだかぼーっとしてないか?次はお前の番だろ?さあ、準備しようぜ?」

 

その言葉にわたしはビクッとなりつつ

 

「ひゃあっ!あ・・・け、けいちゃん?ご、ごめんね~?ちょっと考え事してて・・・そ、そうだね?それじゃけいちゃん、よろしくね?」

 

慌てながらそう言うと、けいちゃんもそんなわたしを見つつ、苦笑していたが、わたしもけいちゃんに言われた通りにウオータースライダーのスタート準備をするために、けいちゃんに支えるように抱きしめてもらうと同時に、その事で今度はさっきまで考え事をしていた事がふっとんでしまい、その状況に顔を真っ赤にして照れつつのスタートとなった。

 

「よーし、それじゃ、つかさ。行くぞ?」

「はううう・・・あ、え?う、うん。いいよ?」

「んじゃ、スタートだ!行くぞー!?」

「う、うん・・・はわわわわ~!!」

 

終始慌てながらのスタートだったけど、凄く楽しかったなと後で思ったのは、その時には恐怖と照れで頭が真っ白になってしまっていたからだった。

 

みゆきside

 

泉さんの慶一さんに対する要求を見て、私も凄くそれが羨ましくなり、泉さんと同じ要望を慶一さんにお願いしていた私でした。

 

そして、慶一さんとウォータースライダーを滑る泉さん達の様子を羨ましげに見つめながら、私は自分の順番を待ったのでした。

 

そして、つかささんの番も終了し、いよいよ私の番が回ってきたので、私は少し恥ずかしさと照れもありましたが、それ以上に慶一さんと楽しむ事ができると言う事に対して、とてもうきうきした気分になっていたのでした。

 

つかささんとの滑りを終えた慶一さんが再び上へと登って来たので、私は慶一さんに声をかけました。

 

「お疲れ様です、慶一さん。次は私の番ですね。どうかお手柔らかにお願いします。」

 

そう言ってにっこりと笑いながら慶一さんに言うと、慶一さんも苦笑しつつ、照れつつも私に

 

「ああ。やると言った以上は約束は果たすよ。それじゃ、準備しようか。」

 

そう言う慶一さんに私も頷いて、滑る準備をする為に、私は私を支えるように抱きしめてくれる慶一さんの体に密着しつつ、心の中で

 

(・・・慶一さんの体にこうして触れる事は何度かありましたが、やっぱり逞しい体をしていますね・・・。それに、今回は私の背中に触れている慶一さんの心臓の鼓動も感じられるようです・・・。なんと言いますか、凄く安心できますね・・・。それに、私もこうされるのはそれ程嫌ではないようです・・・むしろ、安心できるといいますか・・・。)

 

そう思いつつ、そっと慶一さんの顔を見てみると、慶一さんは顔を赤くしながら緊張している様子が見て取れ、それを見た私は思わず笑みをこぼしたのでした。

 

「あー・・・とりあえず、準備はいいか?みゆき。」

「はい。私はいつでもいいですよ?」

「よ、よし。それじゃ行くか。」

「はい。それじゃ参りましょうか。行きます!」

 

そう言ってスタートし、私たちは楽しい時を過ごしたのでした。

 

みさおside

 

さっきの慶一の事故で、原因を作ってしまった私はかなり落ち込んだのだけど、慶一はあんな目にあっても私をデコピン一発で<すっごく痛かったけど・・・>許してくれた。

 

その後、ちびっこの要求を受け、慶一はそれを実行する事を約束した。

 

皆もまた、ちびっこが羨ましかったのか、ちびっこと同じように慶一に要求をしていたようだったが、慶一はそんな皆の要求も受け入れた。

 

私はその時は、慶一に対する罪悪感もあったから、皆が言うように慶一と遊ぶ事に抵抗があったのだけど、慶一はそんな私に気付いてか、ウォータースライダーへと登る際に私に

 

『みさお、お前がさっきの事を気にしているって事はわかる。だけど、俺はもう怒っちゃいないし、気にもしていない。それに、俺達はここへは楽しむ為にやってきたんだぜ?だから、お前にも楽しんでもらいたい。だから、俺が受け入れたこなた達の要求、お前もしてくれていいぞ?』

 

そう小声で言って気を使ってくれた慶一の思いに、私も応える事にしたのだった。

 

そして、高良の番が済み、私の前へとやって来た慶一に私も声をかけた。

 

「よっ、慶一。高良の抱き心地はどうだったんだ?慶一も結構エッチな所あるもんなー。案外嬉しかったんじゃね?」

 

そうからかうと、慶一は途端に顔を赤くしつつ

 

「ちょ!みさお、何言ってるんだよ!お、俺は別に・・・その・・・」

 

そう言いつつ、もじもじとし始めた慶一を見てしてやったり、の笑顔を浮かべつつ、後方から来る不機嫌オーラを感じつつ、私は本来の目的を果たす為に困惑しまくっている慶一に再度声をかけた。

 

「はいはい。とりあえず次は私の番なんだから、とっとと準備しようゼ?慶一。」

 

そう声をかけると、慶一もはっと我に帰り

 

「う・・・話を振ったのはお前だろ?って、後もつかえてる事だし、そうするか・・・。」

 

そう言って、私と慶一は2人1組のちびっこ達がやっていた形を取る。

 

そして、慶一に抱きしめられながら心の中で

 

(へー・・・やっぱ慶一の体ってすげーな・・・。ちゃんとこうやって抱きしめられたのは初めてだけど、がっしりした腕、厚い胸板はやっぱ鍛えてるだけあんなー・・・。うちの兄貴もそれなりに体鍛えてはいたみたいだけど、こりゃ、比べ物になんねえな・・・。でも、不思議と落ち着く感じだ・・・。なんかいいな・・・こういうのもさ・・・。)

 

慶一の体温を感じつつ、この状況を悪くないと思える自分がいた。

 

「んじゃ、いこーゼ?慶一。」

「おう。こっちはいつでもいいぞ?」

「おーっし!行くかー!!それえええええっ!!」

 

と、照れ隠しの掛け声とともに、勢いよく飛び出していく私達だった。

 

やまとside

 

この遊園地に来る事になって、その時に慶一先輩は泉先輩達と言う事を聞く、と言う約束を取り交わしていた。

 

このプールに於いて、その約束が実行される時が来たようだったのだけど、その際に慶一先輩は泉先輩にその件に関して、少し意地悪をしたようだった。

 

そして、涙目になった泉先輩を見て、慌てて先輩は自分の意地悪をを撤回し、この1泊2日の間だけは要求を受け付けるという妥協案を示したのを見て、私は

 

(先輩、意思が弱すぎるわね・・・。優しい、って事もあるんだろうけど、もっとしっかりしてもらわないと泉先輩達につけこまれちゃうわよ・・・?)

 

と、そう考えつつ、先輩に冷たい視線を向けていたが、泉先輩の要求に便乗する他の先輩達の様子を見た私も思わず先輩に泉先輩達のような要求を突きつけていたのだった。

 

そして、これまで順番に楽しんできたのだけど、いよいよ私の順番になったのだった。

 

何度も往復する慶一先輩に少し疲れが見えているようだったけど、私は

 

「お疲れ様。次は私の番ね?またご苦労様だけど、泉先輩の言う要求を受け入れたのは先輩な訳だし、私もしっかりと楽しませてもらうわ。」

 

そう声をかけると、先輩も苦笑しつつ

 

「はは・・・手厳しいな・・・。でも、男に2言はない、の言葉どおり頑張るだけさ・・・。それはともかく、やまと、早速準備しないとな。」

 

そう言う先輩の言葉に頷いて、私達はスタートの準備へと入った。

 

先輩に体を支えてもらいつつ抱きしめてもらいながら、私は心の中で

 

(・・・ふふ。懐かしいな、この感触・・・。思えば私は泉先輩達よりも前から、先輩の体の感触は知っていたのよね・・・昔のプールで足を吊って溺れそうになった時、先輩が私を抱き上げてくれた事が最初だったっけ・・・その後も何度か、先輩に抱きついたりとかした事もあったわね・・・今思うと凄く恥ずかしいけど、でも、これは私にとってのイニシアチブだし、ここだけは泉先輩達に勝ってる部分だと思いたいわ・・・。そうでなくても最近は泉先輩達に押され気味だしね・・・って!何考えてるの!?ベ、別に私は先輩の事なんて・・・)

 

と、何時の間にか顔を赤らめている自分に気付きつつ、葛藤していると

 

「・・・?やまと、どうした?準備出来たなら、そろそろ行くぞ?」

 

と言う先輩の声に我に返り、私は慌てつつも

 

「え?あ、そ、そうね。それじゃ行きましょ?先輩。」

 

そう返事をすると、先輩も

 

「おう。それじゃ行くぞー!」

 

そう声を上げたのを受けて、私も気合を入れなおして

 

「行くわよ!?それっ!!」

 

と言う掛け声とともに、勢いよく滑り出した私達だった。

 

慶一side

 

その後は、ゆたか達もおっかなびっくりであったが、ウォータースライダーを楽しんでいたようだったが、俺はあの後は下にいて、皆が滑ってくる様子を見つつ、万が一の為にウォータースライダーの出口付近で待機しつつ、水に浮いていたのだが、この日、プールにて最後のトラブルと遭遇する事になった。

 

それは・・・・・・

 

こなたside

 

慶一君とウォータースライダーを楽しんだ後は、ゆーちゃん達も交えて思い思いにウォータースライダーを堪能していた私達だった。

 

だけど、ここで、再びつかさとみゆきさんのドジっ子属性が発動する事になったのだった。

 

何度かペアを組替えてウォータースライダーを楽しんでいる時、つかさとみゆきさんの組み合わせになったのだけど、この2人が合わさった時、恐るべき事が起きた。

 

2人がもう一度滑ろうと準備をしていたのだけど、その時に先に前に座っていたみゆきさんの後ろにつかさがやって来ていた。

 

そして、もう少しでみゆきさんと合流となった時、つかさがスタート地点付近に溜まっていた水に足をとられた。

 

そして、「え?あ、あわわわわ・・・はうっ!」という声と共にみゆきさんの方へとつんのめったつかさは、その勢いで、スタート地点で準備をしていたみゆきさんを押し出す形になった。

 

私がそれを見て慌てて

 

「つ、つかさ?って・・・遅かったか・・・。」

 

そう呟いた時にはすでに遅く、つかさに押し出されたみゆきさんが、悲鳴をあげながらスタートした所だったのだ。

 

「え?い、一体何が・・・き、きゃああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 

と言う悲鳴と共に滑り落ちていくみゆきさんと、そんなみゆきさんにもはや声も届かない状況だったけど

 

「あ・・・ゆきちゃん・・・ごめん・・・。」

 

と申し訳なさそうに謝るつかさを見て、私やかがみ達もまた、苦笑しつつため息をついていたのだった。

 

慶一side

 

パティやひより、こう達が滑り終わって、ちょうどプールから上がった頃、俺は次の子が降りてくる感じもあったので、ウォータースライダーの出口付近で待機しつつ、様子を伺っていたのだが、ふいにそこへ誰かの悲鳴が聞こえて来たのを感じた俺は、ふと出口の方へと顔を向けた。

 

そして、次の瞬間

 

「ぁぁぁぁぁああああああ!!」

 

と言う悲鳴と共に滑り降りてきたみゆきの姿は、完全に俺にとって不意打ちだった。

 

そして、みゆきの体をかわす事も出来ず、俺はみゆきのボディアタックをもろに受ける事になった。

 

「へ?おわあああっ!!」ズドン!むにゅり!バッシャーン!!

 

という感触を受けつつ、俺はみゆきともつれるようにプールへと沈み込み、またしても俺は気絶するという憂き目にあったのだった。

 

再び意識を取り戻した俺が見たものは、ひたすら俺に平謝りするみゆきと、俺の方に視線を向けてニヤニヤしているひより達。

 

そして、不機嫌オーラを発しているこなた達の姿だった。

 

俺はそんな光景を目にして、みゆきとの激突時の感触を思い出して顔を真っ赤にしたが、少しして冷静を取り戻して、再び陥ったこの状況に、はあ・・・と盛大なため息をつく事になったのだった。

 


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