らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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楽しげな旋律~みさお達との約束、思いがけない幸運の招待状、第2話~

みさお達との約束を果たす為、ゴールデンウィークの後半にはその為に予定を入れた俺だったが、そこで、まさかの龍兄からの差し入れがなされた。

 

それは、今度オープンする新しい遊園地の先行体験無料招待券だった。

 

はからずもふってわいた幸運に喜ぶ俺達は、早速この招待券を使うべく目的地へと繰り出した。

 

そして、さらに思いがけない事に、向こうのホテルで宿泊する事となり、結局残りの連休はそれで使い切る事になりそうだった。

 

それでも、皆が楽しそうにしているのを見ながら、たまにはこういうのも悪くないな、と心の中で思いつつ、迎えのバスの中で案内人の仲安(なかやす)さんから遊園地に関する案内を聞きながら、これからの2日間に思いを馳せるのだった。

 

仲安さんより案内された施設の概要だが、広さはデ○ズニー○ンドには及ばないが、それでもかなり近い広さを持ち、最新鋭の絶叫マシンを含めた乗り物をはじめ、最新台などを揃えたゲームセンター、かと思えば、体を動かすアスレチックもあり、更には、1年を通してどんな季節でも泳ぐ事のできるウォータースラーダー付きのプールと普通の温水プールが敷地内のドームに設置され、更には敷地内に俺達が泊まる事となるホテルもまた存在していた。

 

そこまでの話を聞いて、そして、施設内のマップを示したパンフレットも配られ、俺達はそれに目を通していたが、皆はパンフレットを見ながら今後の行動について話し合っていた。

 

「ほうほう?なかなかよりどりみどりじゃん?色々楽しめそうだねー。この最新機種を揃えたゲームセンターも興味あるよ。」

 

そういい、ゲームセンターへの興味を募らせるこなたに、かがみは呆れ気味に

 

「あんたはそっちばっかりねえ・・・。でも、乗り物やアトラクションも中々楽しめそうなのもあるわね。これは迷うわね・・・。」

 

そういいつつも、乗り物等にはかなり興味を持っているようだった。

 

「わたしもおねえちゃんと一緒かな?乗り物が色々で面白そうだよね~。どれも見てみたいからまよっちゃうけど・・・。」

「私もですね。でも、お客が少ないとはいえ、2日で回るにはかなり厳しそうですね・・・。今回の体験ではある程度当たりをつけたほうが良さそうです。」

 

と、かがみの意見に賛同しつつ3人で顔を見合わせながら悩む。

 

「それよっかさ。これからだとホテルついてからもあんまし時間取れなさそうだし、これから真っ先に行く場所を決めた方がいいんじゃねーか?私の希望としてはここがいいんだけどさー。」

 

そう言ってみさおはプールを指差した。

 

それを見て困ったような顔をしつつあやのは

 

「でも、みさちゃん。プールって言うけど、私達は水着なんて持ってきてないわよ?それは無理なんじゃない?」

 

そう言うあやのにみさおも、しまった!という表情をした後落ち込むのを見て、あやのは苦笑しつつもみさおを慰めていた。

 

そんな様子を見ていた仲安さんが俺達に

 

「ご心配には及びませんよ?当ホテルにてプールのご利用もありえる事を想定しておりますので、水着の貸し出しを行っております。もし、プールへと行かれたい場合には、ホテルにてその旨をお話くだされば、スタッフが水着を置いてある場所まで連れて行ってくれますので、大丈夫です。」

 

そう説明してくれたのを受けて、みさおは”ぱあっ”と表情を明るくして

 

「ほんとかー?それは助かるってヴぁ!皆ー!そういう事らしいけど、皆はどうするー?」

 

と、皆を見回しつつそういうみさおに、こう達は

 

「ふうむ・・・。その辺も抜かりないのであれば行ってみるのも面白そうですね。」

「貸しきりプール、みたいなものよね?それも面白そうかもね。」

 

そういう2人に、みくとたまきは驚きつつ

 

「え?やさこ、やまとさん、本気?」

「いきなりそういう展開も面白そうだね。私は賛成ー。」

 

と、片方は渋りつつ、片方は両手を上げて賛成していた。

 

「プールかー・・・。いい機会だし、体験しときたいかな?みなみちゃんはどう?」

「・・・ゆたかが行くなら・・・私も行く・・・でも・・・あまり無理はしないで・・・?」

「大丈夫だよ。皆も一緒なら楽しいし、それに、皆やみなみちゃんの目の届く場所にいるようにするから。」

「・・・それなら・・・いいけど・・・。」

 

とゆたかの事を心配そうに見つつも同意するみなみ。

 

「私達もついてるから大丈夫っスよ。だから、楽しもうよ。<キタキタキター!ネタきたっスー!!あ、そうだ・・・。>」

「コレはいいユリですネ!ナイスモエですヨ!?」

「あはは・・・。委員長、みく先輩、たまき先輩、ちょっといいっスか?」

 

と、パティの発言に苦笑しつつも、3人にこっそり声をかけに行くひより。

 

そして、3人共こそこそと話をしていたのだが、何やらその話の最中に俺のほうへと視線を向ける3人は、何かよからぬことを考えているかのようだった。

 

そんな3人に苦笑している俺だったが、そんな風に話を進めるみさおに、こなたが反論していた。

 

「ちょっと!みさきち!!勝手に話を進めてもらっちゃあ困るよ!?私達の意見もあるんだから、そっちも聞いてから決めてよ!!」

 

と叫ぶこなたに、かがみとつかさとみゆきとあやのは、苦笑しながらも事の成り行きを見守っていた。

 

そして、みさおとこなたの言い合いが始まったのだが、それを苦笑しつつ見ながら、俺はかがみ達に声をかけていた。

 

「またもこなたとみさおの意見がぶつかり合ったな・・・。かがみ達はあの2人の意見を聞いてどう思う?」

 

そう尋ねると、4人はそれぞれ

 

「そうね・・・。こなたの言うゲーセンも確かに興味を引かれる所もあるけど、日下部の言うプールも捨てがたい、って思うわ。」

「わたしもかな?と言うよりは、いろいろな所を見て回りたいって思うんだよね~。何しろ初めて行く何も知らない場所だしね~。」

「私もつかささんの意見には賛成ですね。とはいえ、日下部さんの言うプールも悪くないかも、って思います。前とは違い、慶一さんにも泳ぎを教えてもらっていますので、前ほどプール等は苦手ではなくなっていますから。」

「私はどちらも賛成かな?それに、行くならば、今出た2つに行けばいいんじゃないかな?って思うわ。ゲームセンターもそうだけど、観覧車なんかも夜もやっているみたいだもんね。」

 

その言葉に俺はなるほど、と頷きつつ、再度、こなたとみさおの方に視線を戻すと、2人はかなりの勢いでじゃんけんを繰り返していた。

 

そして、数十回のあいこを繰り返した後、軍配はみさおに上がった。

 

「やったゼ!!今回は私の勝ちだな!?ちびっこー!!」

 

勝ち誇るみさおの言葉にこなたは心底悔しそうに

 

「ぐぐぐ・・・まさか負けるなんて・・・おのれみさきち!次こそは絶対に私が勝ってみせる!!」

 

そう言うこなたにみさおは”ふふん”と鼻を鳴らしつつ

 

「おー!いつでもかかって来い!!次も返り討ちだってヴァ!!」

 

と得意げにしていたのだった。

 

俺は、そんな2人の決着を見届けた後、2人の側に行って、さっきあやのから聞いた事を参考に2人に提案をしたのだが、2人ともそれならば、と俺の提案に同意してくれたので、俺はほっと胸を撫で下ろしつつ、最初の行動を決定したのだった。

 

そうこうしているうちにバスは目的地へと辿り着き、俺達は、施設内をホテルに向かって移動していた。

 

道中、ぴかぴかの施設内に俺達は目を奪われながら、そして、感心しながらホテルを目指す。

 

そして、ホテル内に辿り付いた俺達は、真新しいホテルのロビーでその綺麗さ、豪華さに終始感心しきりだった。

 

「うわー・・・ホテルもぴっかぴかだねー・・・。」

 

と言うこなたの言葉に、他の皆もうんうんと頷いて周りを見渡している。

 

すると、そんな俺達の側にホテルのスタッフの人がやって来て、俺達に声をかけてきた。

 

「いらっしゃいませ。当ホテルへようこそおいでくださいました。私はこのホテルの案内係を勤めさせていただきます、中浦(なかうら)といいます。早速ですが、皆様の事はすでに承知しておりますので、皆様を当ホテルの客室へとご案内させていただきます。それでは、あちらのボーイに案内させますので、客室へと向かっていただきますよう。それと、私どもに今この場でお聞きしたい事等ございますでしょうか?」

 

そう言う中浦さんの言葉に、みさおが

 

「あ、そーだ。私らまずはプールへと行きてえんだけどさ、ここで水着の貸し出しをしてるって聞いて来たんだけど、それってどこへ行けばいいんだ?」

 

そう尋ねると、中浦さんは頷いて

 

「それでしたら、お部屋にお荷物を置いて来た後にこちらへといらしていただき、お声をかけていただければ、係のものが貸し出しの部屋へとご案内いたします。」

 

そう答える中浦さんにみさおはうんうんと頷くと

 

「わかったゼ!皆、そういう事みてえだから部屋に荷物置いたらここに集合しようゼ!?」

 

と、皆にそう言うと、皆もその言葉に頷き、俺達は早速部屋へと案内される事となったのだが・・・・・・。

 

ここで問題が勃発した。

 

それは、ここに来るまでに俺達の部屋割りを決めてなかったからなのだが、それに気付いた皆はすぐさま部屋割りを決める為に話し合う事となった。

 

部屋は、シングルとダブル、そして4人部屋の3種あるようだった。

 

その際に、俺は男なのだから、シングルの部屋でもいいと希望を出したのだが、何故かその意見は頑なに皆に却下され、4人部屋4つで、と言う事になってしまった。

 

そして、グーパーで組み合わせを決めたのだが、中でも俺と一緒の部屋の権利を巡っては後で聞いた話だが、かなりの激闘がなされたと言う事だった。

 

が、結局、邪な考えを持つ者達の願いはかなわず、部屋割りはこのようになった。

 

301号室:こなた、かがみ、つかさ、みゆき

302号室:ゆたか、みなみ、ひより、パティ

303号室:こう、やまと、みく、たまき

304号室:俺、みさお、あやの、いずみ

 

と言う並びとなった。

 

激闘を無駄に、熱くなってやっていた面々は相当落ち込んでいたが、俺はとりあえず無難な部屋割りになった事に内心ほっとしていた。

 

そして、それぞれの部屋へと入り、部屋の中を見渡しつつ、貴重品以外の荷物を所定の場所に置いて、俺達は軽くやりとりをした。

 

「・・・何だか変な事になってしまったが、3人共俺が居て気まずいかもしれないが、明日までよろしくな?」

 

俺が複雑な表情でそう言うと、そんな俺にケラケラと笑いながらみさおは

 

「なーに言ってんだよ、慶一。こんなのはお前と旅行行ったり勉強合宿やったりとかで慣れっこじゃん?今更そんな事私らだって気にしちゃいねーって。なあ?あやの。」

 

そう言ってあやのに話を振ると、あやのは苦笑しつつも

 

「そうね。でも、それはあくまでも慶ちゃんが私たちと一緒の部屋にいなかったからだって事よ?今回みたいに一緒の部屋っていうのは初めてなんだから、ちょっと緊張はしてるわよ?」

 

そう言うあやのにみさおは”はっ”となって何やら考え込んでいるようだった。

 

そんな2人を見ながらいずみもまた緊張気味に

 

「お、お2人はそうかも知れませんけど、私は2回目ですし、さらに緊張してますよー・・・。」

 

とそう言ういずみの言葉を聞いて、3人は改めて俺の顔を見ると

 

「・・・ひょっとして私ら早まった真似しちゃったかな・・・?」

「慶ちゃんを信用してるから大丈夫だとは思うけど・・・そ、そうよね?大丈夫、きっと大丈夫よ・・・。」

「男の人と同じ部屋で寝泊りなんて・・・いきなりハードルが高いです・・・。」

 

と言う3人に、俺は大きなため息を1つついて

 

「・・・そんなに心配なら、今からでも部屋かえて貰おうか?俺だけシングルとかさ。」

 

そう言うと、みさお達は慌てつつも、何かを決意したような表情になり

 

「慶一が私らに気を使ってくれるのは嬉しいけど、それは却下な。それに、私はお前を信用してっから大丈夫だよ。それに、こんな体験もめったにできるんもんじゃねえしなー。」

「ごめんなさい、慶ちゃん。慶ちゃんの事、一瞬でも疑ってしまったわ。今までも慶ちゃんはちゃんと誠実な所見せてくれてたものね。それに、今更慶ちゃんに1人寂しい思いをしてもらう訳にはいかないもの。だから、私たちと一緒に過ごしましょ?」

「そうですね。ここまで来てどうこう言っても仕方ないですし、1泊2日なんですから問題もないですね。先輩、大丈夫ですよ?私たちが先輩に寂しい思いはさせませんから。」

 

と言ってくれる皆に、俺は苦笑しつつも

 

「そ、そういう事なら・・・とりあえず俺はここにいるよ。ともあれ、改めてよろしくな?」

 

そう言うと、3人共笑顔で頷いてくれたのだった。

 

そうこうしているうちに、部屋の呼び鈴が鳴ったので、俺は部屋のドアを開けると、外にはこなた達が来ていた。

 

「やふー、慶一君達。そろそろ準備出来たかな?と思ったから呼びに来たよ。早速皆で水着借りに行こうよ。」

 

と言うこなたに俺は

 

「お?わざわざ迎えに来てくれたのか。ちょっと待っててくれ、今みさお達を呼ぶから。おーい!みさお!あやの!いずみー!!こなた達が迎えに来てくれたぞー!?」

 

そう叫ぶと、みさお達もすぐさま準備を済ませてやって来たのを見て、俺はみさお達を先に部屋から出した後、カードキーの所持を確かめ、戸締りがちゃんとなされている事を確かめて、フロントへと皆で降りていった。

 

「それじゃ慶一君。私達はこっちだから、後でプールで会おうねー。」

 

そう言って、係員に案内されて水着の置いている場所へと歩き出す皆に俺も

 

「ああ。俺も水着借りたらプールに向かうから、後で落ち合おう。」

 

そう言って皆に手を振り、俺もまた男用の水着の置いてある場所へと案内されたのだった。

 

そこで水着を決めた俺は、それを手に、プールのロッカールームへと移動し、早速水着に着替えてプールへと出て行く。

 

そして、まさに貸切状態のプールを見渡しつつ、俺はひとしきりその広さと綺麗な空間に感動していた。

 

「おー・・・こいつは結構凄いな。こんなのが貸切で楽しめるなんて、物凄いラッキーだよな・・・。しかも、オープン前のまだ誰も入っていないプールだし、ほんと、こんなに贅沢でいいのかな?って思うよ・・・。」

 

そう独り言を呟きつつ、プールを見渡していた俺だが、ふいにテレビカメラとそれの前で笑顔を見せているアイドルらしい女の子の姿を見つけたのだが、そちらの方へと視線を向けると、ふいにその子と目が合った。

 

そして、その子も俺に気付いたみたいだが、そう思った瞬間、その子は俺の方へと駆け寄ってきた。

 

「森村さーん!お久しぶりですー!私です、あきらですよ。覚えてますかー?」

 

そう叫びながら走ってくるその子に俺は、見覚えがあった。

 

「おお?久しぶりだな、あきら。2年前のバイトの時以来だな。その様子だと元気でやってるみたいだな。」

 

と、俺は、その子、小神あきらに声をかけた。

 

あきらもまた、嬉しそうな顔で俺に

 

「そうですねー。森村さん、1年足らずで私のボディガードやめちゃったじゃないですか?その後は森村さんのお父さんの道場の人を正式にボディガードとして雇って以来、どうしてるんだろう?ってずっと思ってたんですよー?でも、元気そうで安心しましたー。」

 

その言葉に俺は苦笑しつつ

 

「はは・・・俺も色々とあったからな。でも、時折テレビでお前の事は見ていたよ。あれからも何事もなさそうで俺も安心はしてる。」

 

そう言うと、あきらは笑いながら

 

「そうだったんですね?一応は私の心配をしてくれていたのなら嬉しいですけどねー。あ、そういえば、森村さんは何故こんな所に居るんですか?」

 

そう尋ねて来たので、俺はここに来た経緯をあきらに簡単に説明すると、あきらも納得の表情を見せて

 

「なるほど、森村さんのお父さんの道場って結構すごいんですね。私もここは、所属している事務所のスポンサーさん関連の施設らしいので、宣伝も兼ねてここに来てるんですよねー。まあ、そんな訳で私は仕事なんですけど、連絡先はあの時のままですから、たまには連絡してもらえるとあきら、嬉しいなー。」

 

そう言うあきらに俺は微笑みつつ

 

「わかったよ。お前も忙しいんだろうし、中々連絡できないかもだが、余裕のありそうな時には連絡するから。」

 

そう言うと、あきらも嬉しそうに笑っていた。

 

そうこうしていると、突然後ろから「あー!!ひょっとして、小神あきら!?うそー!本物だー!!」という声が聞こえ、俺は慌てて後ろを振り返ると、準備を済ませたこなた達が俺の姿を見つけてやってきたらしく、その時に一緒に話をしていたあきらの存在に気付いたようだった。

 

「森村さん、この子達は森村さんの知り合い?」

 

と俺に聞いてくるあきらに俺は頷くと

 

「ああ、そうさ。こいつらは、俺が通っている学校のクラスメートとその後輩達なんだ。」

 

その言葉にあきらは目を丸くして驚いていたが、それ以上に俺が、あきらと親しく話している事にこなた達は驚いているようだった。

 

そして、こなたは俺に

 

「ね、ねえ、慶一君。小神あきらと親しげに話してるみたいだけど、2人とも知り合いなの?」

 

そう尋ねて来たので俺は頷いて

 

「ああ、そうだよ。まあ、その件に関しては後で話してやるよ。今は、折角の機会を噛み締めたらどうだ?こなたも確か小神あきらのファンだったもんな?」

 

そう言うと、こなたはうんうんと頷いて

 

「その通りだよ!なんか私と共通している部分とかありそうで、凄く親近感も沸くんだよねー。あ、あきらさん、少しお話してもいいですか?それと、できればこれにサインももらえると・・・。」

 

そう興奮しながら言いつつ財布を取り出して、その表面にサインをねだるこなた。

 

俺はあきらに目で合図を送ると、あきらも俺の合図に気付いて、こなた達の相手をしてくれたのだった。

 

そんな光景を眺めていると、事情の飲み込めないみゆきとつかさと少し不機嫌なやまとが俺に

 

「あの、慶一さん。あの小神あきらさんと言う方はどういった方なのですか?芸能人らしい、というのはわかりましたが、私もそういうのには疎いもので。」

「わたしもよく知らないんだよね。でも、そう言う人と知り合いなけいちゃんはなんかすごいよね~。」

「・・・まさか私の知らない所でそんな知り合いを作っていたなんてね・・・でも、また女の子、なのね?」

 

そう言って来る3人に俺は苦笑しつつ

 

「ああ、みゆき。あいつはアイドルやってるんだ。まだまだ中学生だから、これから売れていくとは思うけどな。つかさ、凄いのは俺じゃないさ。そんなパイプを持っている親父が凄いってだけだよ。やまと、その件に関しては後で皆にも説明するから、とりあえず、その黒オーラは収めてくれたらありがたいんだが・・・。」

 

そう言うと、2人は納得し、やまとは一応は黒オーラは抑えたものの、まだ不機嫌そうだった。

 

そんな3人と話していると、向こうもようやく話が済んだらしく、あきらは俺に手を振って再び仕事へと戻って行ったのだった。

 

そして、あきらと話し、サイン等ももらってホクホク顔で帰って来たこなた達に俺は声をかけた。

 

「おかえり。その様子だとかなり満足いったようだな。」

 

そう言うと、こなた達は興奮冷めやらずの状態で俺に

 

「うんうん。まさにレアなアイテムを手に入れられたからねー。この直筆サイン入り財布は他にはない一品になったし。」

「私もバックにサインしてもらっちゃった。いや、本当にラッキーだったわ。」

「私もです。これはもう、永久保存版ですよ?ほんとラッキーですよ。」

 

と言うこなたとかがみとこうの3人。

 

「私もお願いしちゃいました。こういう事って初めてだったから、すごくいい体験できました。」

「・・・私もアイドルの人と話すなんてないと思っていましたから、凄く貴重な経験です・・・。」

「あきら様最高っス!私もこれは永久保存版ですねー!」

「アキラはミニマムでカワイイデス!まさにモエアイドルとイエるでショウ!」

「私もサインもらっちゃいました。一生の宝物になりそうです。」

 

と、ゆたかたちも嬉しそうに話すのを、俺も微笑ましく見ていた。

 

「サインも嬉しかったけど、それ以上に先輩という存在の奥深さにも興味が湧きますね。」

「ほんとだよね。先輩ってどれだけのコネを他に持っているのか、興味がでてきちゃった。」

 

そんなふうに言うみくとたまきに、俺は苦笑していた。

 

その一方で、あきらの事を知らなかったみさおとあやのは少々困惑気味な顔をしつつ、俺達の方を見ていたのだった。

 

「まあ、それはともかく、慶一君、説明してくれない?慶一君が小神あきらと知り合いだった理由をさ。」

 

と、皆を代表して俺に当然の疑問をぶつけてくるこなたに、俺は頷くと

 

「そうだな。それを説明しないと、だな。実は俺は、高校に入った頃に即座に1人暮らしを始めた訳だったんだが、いきなり俺の本当の両親の残してくれた貯金に手をつける事に抵抗があってな、それで、親父に何か割りのいいバイトはないか?って聞いた所、これからデビューする事になるっていうあきらのボディガードの仕事を紹介されたんだ。学校が終わってからそのバイトをするのは結構きつかったんだが、それでもきつさの割にはかなりの高給だったんでな、とりあえず1年間、そのバイトを続けて自分の貯金を作った、と言う訳なんだ。」

 

そこまで説明すると、かがみは俺に

 

「ふうん?何となくは理解したけど、でも、どうしてあんたにその仕事が回って来たのよ?あんたも確かにボディガードとしては役に立つけどさ、あんた以外にも役に立つ人も居たんでしょ?」

 

そう聞いて来たので、俺はその問いかけに頷くと

 

「確かにかがみの言うとおり、そういう人も居るには居た。でも、親父が言うには出来るだけ年の近い人間の方が相手も接しやすかろう、という事だったらしい。事実、俺もあいつの事を妹のように見ていたし、あいつも俺を兄貴みたいに見てくれたから、ガードするのもやりやすかったよ。」

 

その答えにかがみも、納得の表情で頷いていた。

 

「では、慶一さんは何故1年でそのお仕事をやめてしまわれたのですか?お話を伺っている限りでは、中々の高収入のお仕事みたいですよね?」

 

と言うみゆきに俺は苦笑しつつ

 

「・・・まあ、確かにみゆきの言う通り、収入はかなりのバイトだった。でも、それをやめるきっかけになったのはさ・・・お前等とその時に友達になったからだよ。お前等と友達になって、俺はバイトに使う時間よりもお前等と一緒に過ごす時間の方が大切になったから・・・だから、少しでも皆と居たかったから俺はバイトをやめたのさ。それに、その頃にはかなり自分の貯金にも余裕がでていたからな。」

 

そう照れながら答えると、皆は凄く嬉しそうな顔で俺を見つめているのを見て、俺はさらに顔を赤くしつつそんな皆から視線を外していた。

 

「えへヘ、嬉しいな。けいちゃんは私たちとの事を大切に思ってくれてたんだね?その時から私たちの事を気にかけてくれていた事が凄く嬉しいな~。」

 

そんなつかさの言葉に全員がうんうんと頷いていた。

 

若干名、頬を赤くしつつ、俺を見ている者もいたのだが、それでも、皆嬉しそうだった。

 

「なるほどね、でも、そんな慶一君も今じゃ統括主任を任されるほどの人になってるもんねえ。こっちで見つけたバイトも満更でもないよね?」

 

と言うこなたに俺は苦笑しつつも頷いて

 

「まあ、な。もっとも、俺自身がこんな事になるとは思いもしなかったけどな。でも、まあ、皆がいるから楽しいよ。それだけは間違いない。」

 

その言葉にバイトの面々は再度嬉しそうな顔を見せ、バイトしていない組は、そんな俺達の様子を羨ましげに見つめていた。

 

そして、ふと、こなたは何かを思い出したようで、俺に

 

「とりあえず話はわかったよ。まあ、それはそれとして、どうだい?慶一君。今回私たちが選んできた水着は。」

 

と言って、俺に借りてきた水着を見せつけるこなたと、それ以外の面々も少々照れ気味に俺の反応を見ているようだった。

 

「え?あ、うん。凄く似合ってると思うよ。こなたもまさかビキニ系をつけてくるとは思わなかったしなあ・・・。」

 

と、いきなり振られた話に戸惑いつつもそう返すと、こなたは少し複雑な表情を見せたが、それでも嬉しそうだった。

 

今回の皆の水着は、こなたはスポーツ系のビキニ、かがみもビキニだが、白の胸の部分は大きなリボンのように結ぶタイプの奴だった。

 

つかさはショートパンツ系のタイプで、みゆきは以前に海で見たようなやはり白系のビキニ、みさおは相変わらずのスポーツタイプのビキニで、今回はあやのも赤のビキニを着けていた。

 

ゆたかはワンピース系のやはり赤の水着で、みなみはみさおやこなたのようなスポーツ系のビキニ、ひよりは赤のビキニ系なのだが、下半身の方にはフリルのような物がついていた。

 

パティはブルー系のビキニ、いずみは黄色系のワンピース。

 

こうとやまとは黄色系のビキニと緑系のワンピースを、みくとたまきは青系のワンピースと水色系のビキニだった。

 

今回は、みゆきとこうに加え、パティもまた、目のやり場に困る水着姿だったのだが、こなた達はそんな俺の葛藤に気付いているようで、ニヤニヤと嫌な視線を向けているのに気付いた俺は、軽いため息をついていた。

 

だが、そんな俺の側に、いずみとみくとたまきとひよりがやって来て、俺の体を舐め回すようにじっと見つめているのに気付いた俺は、4人に

 

「?どうした?なんか俺、変だったか?」

 

そう尋ねると、ひより以外の3人が、俺を少し頬を赤くしながら見て

 

「いや、まあ、ひよりんから聞いてはいましたが、ひよりんのいう通り、凄い体しているな、って思いまして。」

「先輩、やっぱり挌闘家の肉体のモデルになってくれませんか?先輩の体は凄く理想的だし。」

「ほんとに鍛え込まれた体ですね。凄く逞しいです。なんか見とれてしまいますね。」

 

とそういう3人に俺は顔を赤くして照れると

 

「い、いや、褒めてもらえる事は嬉しいが、なんか照れるな・・・って何してる、ひより?」

 

こっそりと俺の体を携帯の写メに収めようとしているひよりを見つけて、じろりと睨みを効かせる。

 

「え?あ、いや、その、これはですね・・・ちょっとした資料の1つにしようかと思いまして-・・・。」

 

その言葉に俺は呆れつつも重いため息を1つついて

 

「・・・はあ・・・仕方ない奴だな・・・変なことに使わないっていうんなら構わんが・・・こう、検閲はしっかりやれよ?もし、少しでもおかしな物見つけた時には、それ相応の覚悟はしてもらうからな?」

 

と、ドスを効かせてこうに脅しをかけると、こうは慌てながら

 

「わ、わかってます。しっかりと私が管理しますんで、お任せを。」

 

そう言うこうにやまとはため息をつきながら

 

「・・・先輩、私もチェックするようにするわ。もし変なのがあったら私が止めて見せるから。こうとの友情を終わらせてでもね・・・。」

 

そう言うやまとにこうは更に慌てながら

 

「ちょっ!やまと、それは勘弁してよー。ちゃんと管理するから、変なもの書かせないようにするからさー。」

 

と言うこうにやまとと俺は目を見合わせてから

 

「その言葉、信用するからな?やまととの友情を終わらせたくなかったら、ちゃんとしろよ?」

「大丈夫よ?先輩。私もきっちり見ておくから。こう?きっちりと釘刺しておくわよ?」

 

そう言うと、こうは涙目になりつつも俺達にコクコクと頷いていた。

 

そんな俺達の様子を苦笑交じりに見ている皆に向き直ると

 

「さて、それじゃ、早速時間ももったいないし、早速遊ぼうか。」

 

その俺の言葉に皆も満面の笑顔で頷くのを見た俺は、今からの遊びに心をわくわくとさせていたのだった。

 


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