らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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3年生編、第5章~ 幸運の招待状編 ~
楽しげな旋律~みさお達との約束、思いがけない幸運の招待状、第1話~


勉強会の最中、俺は無意識に封印していた過去の記憶を思い出し、それと同時に自分の罪にも気付く事となった。

 

その影響により、罪悪感からやまとと目をあわせられなくなる、という事態が発生する。

 

そして、その原因を掴んだ俺は、俺の態度にいらついたやまとが、俺の部屋に飛び込んで来た時に全てをやまとに話す。

 

今まで自分を、自分と見てもらえてなかった事にやまとはショックで落ち込みつつも、今後は自分を自分として見ると言った俺の言葉を信じ、俺を許してくれた。

 

そして、その罪滅ぼしとして、次の日にデートをして欲しいとやまとから提案される。

 

だが、その時そこにいたのはやまとの肉体を借りたしおんだった。

 

次の日のデートで俺は、やまとに対する違和感に気付き、それがしおんだと気付くと、しおんも俺もお互いに伝えるべき言葉を伝え合い、改めてしおんとお別れを済ます事が出来た。

 

成り行きとはいえ、キスをしてしまった俺は、その後改めてやまとからキスされる事となり、その事に軽く現実逃避をしつつも、これでようやく問題の解決がなったのだと俺は安堵していた。

 

しかし、あの後、物凄く上機嫌になったやまとが今回の事をこうと話してる所を、たまたま部屋の前を通りかかったみゆきに聞かれたらしい。

 

俺は今、その事に対して話を聞きたくて俺の部屋に乗り込んできたみゆきの前で正座をして、みゆきの追及を受けていたのだった。

 

「・・・それで?慶一さん。今回の事に関して慶一さんからの弁明というものがありますか?おありなのでしたらお聞かせ願いたいものですが?」

 

と、黒オーラを発しつつ俺を見下ろすみゆきに俺は、恐怖で冷や汗をかきながら

 

「え、えっと・・・その・・・話したいけれど、ちゃんと落ち着いて聞いてくれるというのなら・・・。」

 

と、みゆきをビクビクしながら見つつ、おそるおそるそう言うと、みゆきは見るものを凍りつかせるような笑顔を向けて

 

「・・・伺いましょう。」

 

と短くそう言ったのを聞いて、俺は恐る恐る今回の事について話し始めた。

 

「実はな・・・・・・と言う訳で、やまとの体を借りたしおんがだな、自分を思い出してくれた俺に最後のお別れをしたい、って言っていてそれで、俺もまた、悔いを残さないように伝える事を伝えたが、つい、雰囲気に飲まれて・・・その・・・・・・」

 

その後を補足するようにオーラを強くしたみゆきが

 

「キスをした、そういう事なのですね?」

 

その言葉に、ただただビクビクしながらコクリと頷く俺。

 

そんな俺を見たみゆきは大きなため息を1つくと、先程まで発していたオーラを消して

 

「・・・事情はわかりました。もう一度確認させてもらいますけど、慶一さんは本当にそれで悔いなくお別れが出来たのですね?しおんさんもまた同様に。」

 

そう聞いてくるみゆきに俺は、はっきりと力強く頷くと

 

「ああ。それに関しては間違いなく、だよ。お互いに伝えたい言葉は伝えた。これからは俺は、あいつの願うように生きる事を決めた。そういう事さ。」

 

その言葉にみゆきは表情を緩めると

 

「それを聞けて安心しました。キスの事は気にはなりますが、まあ、それはもういいでしょう。私も永森さんやしおんさん同様に慶一さんとはその・・・しているわけですし、永森さんの事だけどうこうとは言えませんしね。慶一さん。しおんさんとの約束は、今後とも守ってあげてください。私も、いえ、私達もしおんさんの最後の言葉を噛み締めて行こうと思いますから。そして、これからも慶一さんの側に皆さんと共に居たいと思いますから・・・。」

 

そう言ってくれるみゆきに俺は、心が温かくなるのを感じながら

 

「わかってる・・・ありがとう、みゆき。」

 

そう短く言う俺に、みゆきもにっこりと笑って頷いてくれたのを見て、俺は改めてしおんとした約束を守っていかないと、と思うのだった。

 

その後は、皆と共に明日の事を相談し、こなた達にも連絡を回した。

 

それを済ませた後俺は、明日のみさおとあやのとした約束を果たす、という事に改めて気合をいれたのだった。

 

その後は、うちの居候5人を交えて明日の事に関しての打ち合わせを行った。

 

そして、こなた達にも連絡を済ますと、改めて明日の事に思いを馳せつつ、夢の世界へと旅立つ俺だった。

 

次の日の朝、俺達は出かける準備を済ませて朝食を摂っていたが、いつもの時間になった時、みさおを伴い、あやのが猫の世話をしにやってきてくれた。

 

「おはよう、慶ちゃん。出かける前に済ましてしまうわね?ちょっと待ってて。」

 

そう言って猫の世話に行ってくれるあやのに礼を言いつつ、俺はみさおに話し掛けていた。

 

「おはよう、みさお。今日はあの時の約束、果たさせてもらうよ。楽しもうな。」

 

そう言うと、みさおは満面の笑顔で

 

「もちろんだゼ!でも、ちょっと嬉しいぞ?慶一。私らとの約束をちゃんと覚えててくれたもんな。」

 

そう言うみさおに俺も笑顔で頷きつつ

 

「もちろんさ。忘れやしないよ。凄く嬉しかったからな。お前等にも元気をもらえたしさ。」

 

そう言うと、みさおも照れつつ

 

「ま、まあ、私らにとってもお前は大切な仲間なんだから、当然じゃん。お前もなんだかんだで私らを大切に思ってくれてるんだ。そんなお前に応えてやらなきゃ、それこそ仲間失格ってもんだゼ。」

 

その言葉に俺はもう一度笑顔を向ける。

 

そんな俺に更に照れるみさおは、俺に

 

「そ、それはいいとして、慶一。ちゃんとお前の気がかりには決着つけたんだろうな?わだかまり残しちまってるんじゃ、気が散って楽しめるものも楽しめなくなんぞ?」

 

そう話題転換してきたので、俺はそれにも頷いて

 

「ああ。そこらへんは心配しなくても大丈夫だ。その為に昨日1日をもらったんだからな。ちゃんとすっきりさせたから問題ないぞ?」

 

そう説明すると、その言葉にみさおもほっとした表情を見せた。

 

やがて、猫の世話を終えたあやのが俺達の所へ戻って来て

 

「お待たせ、皆。やる事は済んだから、そろそろ待ち合わせ場所へと行きましょ?」

 

そう声をかけてくるあやのに俺は頷きつつ

 

「そうだな。あやの、今日もお疲れさん。皆そろそろ行くぞ?忘れ物がないかだけ確認しといてくれよ?」

 

そう言うと、皆も頷きながら

 

「大丈夫ですよ。戸締りなども済ませてます。」

「私も大丈夫です。すぐに出れますよ?」

「私も問題ないわ。岩崎さん達はどう?」

 

とやまとが後輩2人に声をかけると、みなみとパティもやまとに頷いて

 

「・・・私達も大丈夫です・・・。」

「ノープロブレムですヨ!サッソクシュッパツしまショウ!」

 

そう答える2人を見て、俺もみさおとあやのと顔を見合わせて頷くと、こなた達との待ち合わせ場所へ向けて出発したのだった。

 

だが、この時、待ち合わせ場所に向かった俺達は、こなた達の前にとある人物が現れていた事には気付かずにいたのだった。

 

こなたside

 

今回は慶一君達との待ち合わせにには遅れるわけにはいかなかったので、私はゆーちゃんに起こしてもらったりして、何とか待ち合わせ場所に余裕を持って来る事が出来ていた。

 

そして、慶一君達を待ちながら、私達は今日の事にわくわくしつつ、皆と話をしていた。

 

「いやー。今日はいい天気になってよかったよ。折角の約束だし、雨天中止になんてなったら目も当てられないよね?」

 

そう話を振ると、かがみとつかさは頷いて

 

「そうね。ゴールデンウィークの思い出にもなるイベントなわけだし、きっちりと楽しみたいわよね。」

「うんうん。私もそう思うよ~。折角だから楽しい思い出作りたいよね~。」

 

と言う2人に、ゆーちゃんたちも頷いて

 

「折角皆で行ける機会だもん。雨なんて降っちゃったら悲しくなるよー。」

「こういう機会もめったにないっスから、どうせなら楽しみたいっスよね。<それに、いいネタも得られそうだし・・・>」

「私も結構楽しみにしてたし、折角出来た仲間達との初のお出かけだしね。実は、こういう事に少しあこがれてもいたり。」

 

と、1年組みがそう言うと、みくさん達2年生組みも頷きつつ

 

「私達も誘ってもらえた事が嬉しかったしね。それに、弟の面倒を見る事から少し解放されるのはいい気分転換にもなるかな?」

「みくは面倒見いい方だしね。今日は羽を伸ばすといいんじゃない?」

 

と、皆して話していると、そこに声をかけて来る人がいたのだった。

 

「あれ?こなたちゃん。それに皆も一緒か。珍しいね、こんな場所で会うなんて。」

 

その言葉に振り向いてみると、そこには、たった今到着した下り電車から降りてきたらしい、龍也さんだった。

 

「あれ?龍也さん?そっちこそ、何故こんな所に居るんですか?」

 

そう尋ねてみると、龍也さんは笑いながら

 

「ああ、ちょっと慶一に用事があってね。君達こそ、どうしたんだ?誰かを待ってるのかい?」

 

そう聞いてくる龍也さんに私は頷いて

 

「はい。実は、今日は前からの慶一君達との約束もあって、今日は皆で遊園地にでも行って遊ぼう、という事になったんですよ。それで、これから出かけるので、慶一君達の到着を待っていた所だったんです。」

 

そう説明すると、龍也さんは私の言葉に顎に手を当てて何事か考えているみたいだったが、ふいに私に

 

「そっか。なら、丁度いいかな?こなたちゃん、松嶋プレイワールドという今度オープン予定のレジャーランドの事は知ってるかい?」

 

そう聞いてくる龍也さんに私はコクリと頷いて

 

「ええ。今テレビとかでも話題ですよね?中々大きい遊園地だとか、って聞いてますが。けど、それがどうかしたんですか?」

 

そう聞き返すと、龍也さんは持っていた鞄の中からある物を取り出して私に見せながら

 

「実はね、うちの親父がその松嶋グループの会長さんとはかなり親しい間柄なんだが、今度オープンする予定のその遊園地に、オープン前に50人限定の先行体験の招待状をもらったんだよ。それで、ゴールデンウィークもまだ今日を含めて2日残ってるし、慶一が暇してるようなら、こなたちゃん達を誘って行って来たらどうだろうか?って思ってね。その招待状を慶一の所に届けるつもりだったんだ。けど、こなたちゃんとこうして出会ってそして、丁度遊園地に出かける所だって今聞いたから、だったら丁度いいかな?って思ったのさ。」

 

その説明に驚愕しつつも、その遊園地の招待券があるという事に興奮しつつ目を輝かせながら

 

「本当ですか!?それが本当なら、慶一君が来たら、説得してみます!!皆もそれでいいよね?」

 

そう話を振ると、皆も目を輝かせながらうんうんと頷いていた。

 

それを見ていた龍也さんもにっこりと笑うと

 

「そっか。ならこの券はこなたちゃんに預けるよ。その券は誰か1人が持っていれば、持ってる人が係員に伝える事で、連れて来た全員を招待客として見てくれる事になってるからね。ああ、それと、大事な事を伝えないと。券の効力には条件があって、1泊2日で利用してもらうという条件があるけれど、その条件に同意できないと券は効力を持たなくなるから注意ね。それと、その際には、施設内に建っている専用のホテルが利用できるんだけど、そこの宿泊費も無料で利用できるらしい。」

 

その言葉に私は驚きつつ

 

「え?そういう条件があるんですか?うーん・・・皆、どうする?」

 

と、皆に意見を聞こうと話を振ってみると、皆もそれぞれに考え込んでいた。

 

私はその様子をじっと見つめつつ、みんなの決断を待っていたが、やがて考えが纏まったらしく、皆は私にそれぞれに言葉を発したのだった。

 

「条件は理解したわ。一応私も今日明日はゆっくりする予定だったから、特に問題はないわね。この後すぐに家に連絡を入れて許可を取るつもりよ?」

「わたしもおねえちゃんとおんなじだよ?入園料も宿泊費用もかからないっていうんなら、うれしいし~。」

 

と、かがみとつかさがまずそう言ってきた。

 

そして、ゆーちゃん達も

 

「こなたおねーちゃんもいるし、みなみちゃん達も一緒なんだよね?だったら私も一緒に行きたいよ。」

「今話題のあのレジャーランドを先行体験できる、っていうんならこんなにおいしい話はないっスよね?私も行くっスよ?」

「ふって沸いた幸運を逃す手はないし、私も行きます。皆が一緒だし、親にも許可は取りますよ?」

 

そう言って、わくわくするような目で訴えてくるのを私も笑い返しつつ見る。

 

「2日くらい弟の面倒を見なくても問題はないですし、私も楽しんで来たいですね。」

「私も絶対に行きますよ?こんなチャンスめったにないですからね。」

 

そう力強く訴えるたまきさんに私も同じように頷いて、私は龍也さんに

 

「皆も行きたいみたいですし、私もそうですし、折角なのでこの券、利用させてもらいます。龍也さん、本当にありがとうございました。」

 

と、笑顔でお礼を言うと、龍也さんもにっこりと笑って

 

「いやいや、喜んでくれたのならよかったよ。それじゃ、慶一の説得もよろしく頼むよ?と言っても、あいつはこの申し出を断らないとは思うけどね。じゃあ、俺はまた戻らないといけないから、行くよ。皆しっかり楽しんでおいでよ?」

 

その言葉に、私を含めたこの場の全員が龍也さんにお礼を言うと、龍也さんも軽く手を振って再び登り電車のホームへと降りて行ったのだった。

 

そうして、思いがけず素晴らしい招待券を手に入れた私達は、わくわくしながら慶一君達の到着を待ったのだった。

 

慶一side

 

駅でこなた達が、龍兄とそんなやりとりを交わしていた事を知らず、俺達は、こなた達の待つ駅の改札口までやってきた。

 

そして、何やら興奮気味に楽しそうに話しているこなた達に声をかける。

 

「こなた、皆。待たせたか?ようやく到着だ。所で、何やら嬉しそうにしてるみたいだが、何かあったのか?」

 

そう尋ねると、こなたが俺に頷きながら

 

「うん。実はさっき龍也さんと会ってね?龍也さんからある物をもらったんだよ。」

 

その言葉に俺は首を傾げつつ「ある物?」と聞き返すと、こなたは頷いて手に持っていた券を俺に手渡しながら

 

「うん。実はこの招待券をもらってね。それで、慶一君達にも意見を聞きたいな、と思ってさ。実はこの招待券ってさ・・・・・・というものなんだよね。」

 

その説明に俺もそうだが、みゆき達もかなり驚いていて

 

「そりゃ本当か?だとしたら、これは凄いな。とりあえず皆からの意見も聞いてどうするか決めるか・・・。みゆき、みさお、あやの、こう、やまと、みなみ、パティ、お前等はどう思う?」

 

と話を振ると、みゆき達は俺の言葉を聞いて少し考えてから

 

「私は構いませんよ?私も興味がありますし、それに、今の私達の帰る場所は慶一さんの家なのですから、そうなったとしてもさほど問題はないと思いますし。」

「わたしも賛成だゼ!?こんなチャンスめったにねえもんなー。」

「私も後学の為に見ておきたいかな?どんな所かも興味あるしね。」

「私も賛成ー!オープンしたら行ってみたいって思ってましたし!」

「私も興味はあるわね。結構面白い乗り物なんかもあるって噂だし。」

「・・・私はゆたかやみゆきさんも賛成、という事なら・・・特に反対する理由はないです・・・。」

「タノシイコトならダイカンゲイデス!!それに、ミンナがイクなら、ワタシがイカナイリユウはありませんですヨ!?」

 

と、それぞれの意見を聞いた結果、反対者はいないという事のようなので、俺はこなたから受け取った券を大事にしまうと、皆に

 

「よし、満場一致で決まりだな。思いがけない事になったけど、今日から1泊2日、楽しんでいこう。それじゃ早速出発と行こう。」

 

そう言うと、皆も「「「「「「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」」」」」」と気合を入れつつ俺達は早速目的地に向かって出発したのだった。

 

電車に乗り込み、目的地を目指す俺達。

 

その際に、昨日の一件について、どこからか情報が漏れていたらしく、俺は、こなた達からその事についての追求がなされていた。

 

「・・・で?昨日の一件についてとある筋からの情報をもらったんだけど、その事に関して何か慶一君は言いたい事はあるのかな?」

 

と、先ほどまでのはしゃぎようはどこへやら、黒いオーラを立ち上らせながら俺に詰め寄るこなた。

 

「私も詳しく聞きたいわねえ・・・。どこをどう間違えたら昨日のような結果になってしまうのか、って事をね。」

 

そのこなたの横で、やはり同じように不機嫌な表情をしつつ、黒オーラを発しながら俺にそう言うかがみ。

 

そんな2人の反応以外にも、昨日の事を聞いてその様子を想像して顔を赤くする者、そして、人知れず妄想に浸っている者、どう反応していいのか対応に困っている者、様々な状況になっているこの中で、俺はしどろもどろになりながら、とりあえず2人の追及に正直に答えていた。

 

「ええと・・・言い訳はないです・・・事実は事実ですし・・・ここで言い訳するのも男らしくないし・・・なので、裁きを下すという事であれば、遠慮なくやってください・・・。」

 

と、半ば諦め気味にそう言う俺をじっと凝視している2人だったが、ふいに黒オーラを収めると

 

「ふむ。そういう事ならば、君には今回、私達の言う事を聞いてもらおうかな?それでいい?」

「そうね。きっちりと心配させた罪と不機嫌にさせた罪は償ってもらいましょっか。向こうでは私達の言う事を聞く事、いいわね?慶一くん。」

 

その言葉に俺はため息をつきつつも頷いて

 

「・・・わかったよ。それでも少しでも罪が償えるというなら、やるしかなさそうだしな・・・。」

 

そう言うと、途端に満面の笑みを浮かべる2人を見て、俺はもう一度ため息をついた。

 

そんな俺達のやりとりを見ていた他の皆も、なら私達も、と言ってきたのを見て俺は、さらに重いため息をつきつつも、その事を了承したのだった。

 

それで機嫌の直ったこなたは俺に

 

「それにしてもさ、慶一君のお父さんは結構凄いコネを持ってるよね?松嶋グループって結構有名じゃん?」

 

そう聞いて来たので、俺は頷いて

 

「まあな。とはいえ、親父にそんなコネがある事も最近までは俺も知らなかったんだよ。聞くところによると、うちの道場で修行した弟子等は、そういう大きな企業や財閥等の要人警護の就職に就く者が多いらしいのさ。それにうちの道場はそういう所からの信頼も高いみたいでな。だから、親父も必然的にそれらのトップ等との繋がりが出来ているらしいんだ。今回の事も、その1つだったんだろうな。とはいえ、ラッキーだったけどな。」

 

そう説明すると、かがみはかなり感心したようで

 

「へえー。慶一くんの所は結構有名だとは思ってたけど、そんな部分でもかなり名が知れ渡っているのね?なるほど、あの夏休みの旅行の時、龍神家で持ち山を持っていた事も半信半疑だったけど、これでその理由にも納得だわ。」

 

その言葉に、あの時夏の旅行時の事を知らない面々は驚きの表情を見せ、事情を知ってる面々はうんうんと頷いているのだった。

 

そんな風に雑談をしているうちに、俺達は目的地の最寄の駅へと到着する。

 

そして、電車に乗る前にプレイワールドの招待券に書かれた電話番号に問い合わせをする事で、事前に呼んで置いた迎えの車が来ているかどうかを、駅前の様子を見て確かめた。

 

すると、係員らしき女性が俺達に気付き、側に寄って来て声をかけてきた。

 

「ようこそ。松嶋プレイワールドに今回先行体験招待をお受けいただいた森村様ご一行ですね?あなた方をお迎えにあがりました担当の仲安(なかやす)といいます。これより1泊2日の楽しいひと時へと誘わせていただきますので、どうぞよろしく。」

 

そう言って来る仲安さんに俺は頭を下げつつ

 

「どうも。今回はお招きに預かりまして、とても光栄に思います。これから2日間、よろしくお願いします。」

 

そう挨拶を返すと、仲安さんはにっこりと笑って

 

「こちらこそよろしくお願い致しますね。それでは皆さん、お車の方へとご乗車下さい。これより、松嶋プレイワールドまで、ご案内させていただきますので。」

 

その言葉に俺達も頷くと、プレイワールド行きの貸しきりバスへと乗り込む俺達。

 

バスも流石に新車のバスであり、内装もぴかぴかだった。

 

「おおー!貸しきりバスとはすごいね。車内もぴかぴかだよ。それに結構ゆったりできそうだし。」

「確かにすごいわね。こんな待遇めったにあるものじゃないしね。」

 

と、顔を見合わせながらそう話すこなたとかがみ。

 

「な、何だかこんなに綺麗なシートに座ってしまっていいのかな?って思っちゃうよ~。」

「こういうところから体験させていただける事になるとは思いませんでした。これはプレイワールドの方も期待がかかりますね。」

 

と、気を使いつつも、この後に待つ楽しみに思いを馳せながらそう言うつかさとみゆき。

 

「ほんとだよなー。ずっとわくわくしっぱなしだったけど、これで更にわくわくしてきたゼ!」

「まさにめったに出来ない体験ね。ほんと、龍也さんには感謝よね。」

 

と、まさにわくわくがはちきれそうになっているみさおと、貴重な体験ができる事を喜ぶあやの。

 

そんな風に3年生組が興奮しながら話しているのを見て、2年生組も

 

「何だか夢のようですね。向こうでは何が待っているのか、私も楽しみですよ。」

「思っていた以上の物、っていう事はわかったわ。これはますます興味が湧くわね。」

「弟の面倒をほおって来て正解だったね。これは存分に楽しまないと。」

「うんうん。慶一先輩と龍也さんに感謝だね。そして、そんな2人と知り合えた事のラッキーさを噛み締めないと、だね。」

 

そう楽しそうに言いあっていて、1年生組もまた

 

「来てよかったなー。どんな乗り物があるか、楽しみだよね?みなみちゃん。」

「・・・そうだね。でも、はしゃぎすぎて体調を崩さないように注意してこう、ゆたか・・・。」

 

そう言いあうゆたかとみなみにひより達も2人を気遣って

 

「大丈夫っスよ。私達も一緒なんスから。その時には私達もフォローしてくって。ねえ?パティ、委員長。」

「そうですヨ?ワタシタチがイルカギリ、ノープロブレムデス!ドロブネにノったつもりでドーンとオマカセですヨ?」

「・・・パーさん、それじゃ不安だよ・・・。と、とにかく、そういう事だから心配しなくてもいいよ?岩崎さん、小早川さん。」

 

そう言うと、2人とも嬉しそうな顔をしながら

 

「うん。ありがとう、田村さん、パティちゃん、いずみさん。私も無理はしないようにするよ?」

「・・・私からもありがとう・・・みんな・・・。」

 

そう言って笑っているのを俺は微笑ましく見ていた。

 

そして、バスは目的地に向かって動き出したのを感じつつ、仲安さんが施設の概要等を、運転席側についている大きなモニターを使って説明してくれているのを聞きながら、俺もまた、久しぶりに楽しくなりそうだと心をわくわくさせていたのだった。

 


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