らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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動き出す旋律〜アニ研誕生〜

思いがけないこうの来訪、そして伝えられた部活立ち上げの話。

 

四重奏のみんなが話を聞いている中で決まった仮部長という名の役職。

 

仮部員に勧誘される4人を従えて俺は集合場所である職員室前へと皆とともに来ていた。

 

そしてそこには一人の見知った女生徒が待っていたのだった。

 

その見知った女生徒は俺達を一瞥すると呆れたような顔をしながら声をかけて来た。

 

「慶一先輩、こんな所に大勢でやってきて何をしてるの?それと、泉先輩と柊先輩だったかしら、ちょっと前に会ったわね。」

 

そう言って女生徒はこなたとかがみに声をかけると、2人ともその女生徒に気付いて挨拶を返した。

 

「おお?永森さんじゃん。ちょっと前にゲームセンターで会って以来だね。元気してたー?それにしてもゲームセンターで会った時は学校って聖フィオリナ女学院へ行くっていってたよね?何でこの学校にいるの?」

 

と、言うこなたに続いてかがみも同じように挨拶を返して

 

「永森さん、2.3日前に会ったわね。あの時はごめんね?3人の問題だったんだろうし、なんか結果的に邪魔しちゃったわよね?」

 

と、かがみがあの時の事を謝っていた。

 

そんな2人の言葉の後に俺もそんなやまとに声をかける。

 

「やまと、お前こそここで何を・・・ってやっぱり”あれ”の事か・・・。」

 

やまとがここにいる事情を察して俺は額に手を当てて頭を振る。

 

やまとはまず、こなたとかがみに

 

「泉先輩、ええ、元気よ?その事に関してはちょっと複雑な事情がね。柊先輩、どの道分かる事だから気にはしていないわ。」

 

そう言った後、俺の方を向いてふう、と一つため息をつきながら

 

「事情を知っているって事は先輩もやっぱり巻き込まれたのね?ひょっとして泉先輩達も、なのかしら?」

 

と、やまとが呆れた口調で俺に言う。

 

俺もそんなやまとの言葉に頷きながら

 

「ああ、なんというかそういう感じさ。それとこなた達はこうの言った条件で仮部員になってくれるとの事だ。ちなみに俺は仮部長をやらされる。」

 

やれやれといった感じでやまとに答える俺。

 

やまとは俺の仮部長という言葉に驚いたのか

 

「仮部長?そんな事までやらされるの?本当に大丈夫なの?先輩。」

 

と、心配そうに聞いてきたのを受けながら俺は苦笑しつつ

 

「まあ、成り行きでな。部を立ち上げるためには必要なんだそうだ。」

 

と、やまとに答えるやまとは呆れ気味で俺を一瞥しつつ

 

「先輩?お人よしにも程があるわよ?」

 

と、同情とも憐れみとも取れる表情で俺にいうやまとに俺はやれやれと軽くジェスチャーして

 

「もう慣れたさ。」

 

と、諦めの表情で言うのだった。

 

そんなやり取りを見ながらつかさとみゆきは何がなんだか分からない、といったような顔で俺達を見ていたが、とりあえず声かけないとと思ったのか俺達の方へとやって来て

 

「えっと、けいちゃんこの人は誰なの?」

 

と、俺に恐る恐る聞いてくるつかさ。

 

さらにみゆきも首をかしげながら

 

「慶一さんのお知り合いの方ですか?それならぜひ私達にも紹介して欲しいのですが。」

 

そう言ってきたので俺はその言葉に頷いて2人をやまとに紹介する事にした。

 

「やまと、この2人は俺の友達でそこにいるかがみの双子の妹の柊つかさ。もう一人はこなたと同じクラスで学級委員長もつとめている高良みゆきだ。2人ともこなたとかがみの親友だ。」

 

俺が2人を紹介するとやまとは俺の方を見て少し不機嫌そうな顔をして

 

「・・・また、女の人なの?」

 

とぼそりと呟いていたがすぐに2人にも挨拶を返した。

 

「初めまして。柊・・・いえ、少し紛らわしいわね、つかさ先輩と呼ぶといいかしら。後、高良先輩ね?私は永森やまと。慶一先輩とは中学の頃の先輩後輩よ?よろしく。」

 

そう言って2人に手を差し出した。

 

2人もすかさず笑顔で挨拶を返して

 

「柊つかさだよ?名字が一緒で紛らわしいと思うから今みたいに名前で呼んでね?」

 

そう言って手を差し出すつかさ。

 

みゆきも同じように手を差し出して

 

「高良みゆきと言います。慶一さんの後輩さん、なんですね?私の事も呼びやすいように呼んでくださって構わないですよ?」

 

と握手を交わし終えるのを見て俺はこの場に言い出しっぺの姿が見えない事に気がついた。

 

俺は一つ軽いため息をついてやまとに

 

「やまと、言い出しっぺの遅刻姫はまだ来てないようだな?」

 

と、俺が皮肉交じりに言うとやまとも腕組みしながら不機嫌そうに

 

「こうが時間通りに来る確立なんてあってないようなものよ・・・。」

 

とこちらも皮肉を言っていた。

 

それを聞いていたかがみがこなたの方を見て笑いを必死にこらえながら

 

「ち、遅刻姫、言い得て妙だわ。くくく・・・」

 

と、こなたに言うとこなたは頬を膨らませてかがみに詰め寄って

 

「むうー、それはどういう意味さ、かがみー?」

 

そう言って両手を振り上げて抗議の声を上げるこなた。

 

俺もそれを不思議に思ったのでかがみに尋ねてみる。

 

「かがみ、こなたも結構待ち合わせとかにはルーズだったりするのか?その様子だと。」

 

という俺の質問にかがみはまだ笑いをこらえながら

 

「まあね。この子も結構遅れてくるわよ?待ち合わせで30分40分の遅刻なんてざらだわ。」

 

と、かがみがそう言うとこなたはさらに頬を膨らませて

 

「そんな事ないよー!かがみの意地悪ー!!」

 

と言ってむくれてしまうこなた。

 

そんな2人をみて苦笑するつかさとみゆきそこに俺は更なるツッコミを入れるのだった。

 

「なら、こなたには2代目の遅刻姫の称号を与えるか。」

 

と、俺が笑いながらそう言うとこなたは俺に猛抗議をしてきた。

 

「慶一君、なんなのさーそれー!かがみもだけど慶一君も酷すぎない!?」

 

そう言って不機嫌になったので俺は(ちょっとやりすぎたかな?)と心の中で思いながら

 

「ははは。冗談だ冗談、気にするな。」

 

そう言ってこなたに一応謝罪をしたがこなたはまだ頬を膨らませて不機嫌そうだった。

 

そこへ、ようやく我らが初代遅刻姫がやってきた。

 

「やまと、先輩、それにみなさん、遅れてすいません。」

 

申し訳ないといったような顔で謝罪してくるこうに俺も呆れ顔で

 

「こう、お前が誘った大事な事なんだからもう少し早く来い。」

 

と、俺がそう言うとやまともこうに鋭い視線を向けながら

 

「先輩達まで巻き込んでるんだからそれ相応にしっかりと約束は守りなさいよ?」

 

と痛烈に皮肉を浴びせた。

 

そのやまとの突っ込みにこうはますます小さくなって

 

「わ、わかってるよ・・・ごめんやまと、先輩・・・それにみなさんも。」

 

こうの謝罪にみんなも「いいよいいよ。」「まあ、謝ってるんだしいいわ。」「わたしは気にしてないよ?」「次はしっかり守ればいい事ですから。」と言う事で全員からのお許しを貰ったこうは早速本題へと入るのだった。

 

「先輩、中へ一緒に来てください。部活立ち上げの申請で桜庭先生にも待ってもらっていますから。」

 

こうが俺を中に入るように促したので俺はこうに頷き返すと

 

「分かった。それじゃみんな行ってくる。」

 

みんなの方を向いてそう言うとみんなも「「「「「行ってらっしゃい。」」」」」と言って見送ってくれるのだった。

 

俺はこうとともに職員室の扉をノックをして

 

「「失礼します。」」

 

と言って職員室へと入っていった。

 

そしてアニ研の顧問であり俺のクラスの担任でもある桜庭先生のところへ行き

 

「桜庭先生、部長になる人を連れて来ました。それと私は副部長と言う事で。」

 

こうが俺を紹介したので俺も

 

「アニメーション研究部の部長をやらせてもらいます、森村です。」

 

そう言って俺が挨拶をすると、桜庭先生は俺を一目見て

 

「おお、森村か。八坂から話は聞いていたが本当にやるのか?部長を。お前がそんな事を好きな感じには見えないんだが・・・?」

 

咥えタバコを吹かしながら俺に聞いてくる。

 

俺はその言葉に頷いて

 

「ええ。一応付き合いの長い後輩からの頼みですからね。」

 

そう答える俺とこうを見比べながら桜庭先生は重々しく頷くと

 

「まあ、お前がやるというのならよかろう。部活立ち上げの許可を出す。後は部室に行って色々準備をしてくるといい。ところで部員の方は大丈夫なのか?」

 

部活結成の条件に関して先生がそれを聞いてきたので、すかさずそれにこうが答える。

 

「はい。協力してくれる先輩達がいたのでそちらは問題なしです。とりあえず後で紹介しますので。」

 

こうがそう説明すると、桜庭先生も納得したようで

 

「なら後はお前達に任せる。部室には後で私も顔を出すから後はその時にな。」

 

どうやら許可は無事に降りたらしいので俺とこうは顔を見合わせた後先生に頭を下げて

 

「わかりました。それでは俺たちは部室の方へと行っていますね。」

「桜庭先生、ありがとうございました。それじゃ後ほど。」

 

そう言って俺たちは先生に挨拶をして職員室を後にしてこうの案内の元、皆を引き連れて部室へと向かった。

 

ちなみに職員室から出る際に俺は先生に資材を部室に届けるように頼まれていたので重い荷物を抱えながら歩く羽目になっていた。

 

程なくして部室に到着し俺は持っていた資材を部室へと運びいれた。

 

部室はそれなりのスペースがあって活動していくには悪くない環境だと思えた。

 

他の皆もあてがわれた部室内部を見回してしきりに関心していたようだった。

 

部室内を見たこなたは

 

「なるほど。ここが今日から私達の活動拠点になるんだね?」

 

と顎に手を添えながら頷いていて、かがみも部屋の中を見ながら

 

「へえ?意外といい部屋じゃないの。結構人数入っても大丈夫そうだし。」

 

そう言ってかがみも関心していろようだった。

 

つかさもまた、部室内をきょろきょろしながら

 

「結構綺麗だねー。八坂さん、よかったね。」

 

とこうに笑顔で言っていて、みゆきもまた部室内を見回しながら

 

「中々いい環境ですね。うちの学校もまんざらではないようです。」

 

と部室内の色々な個所を確認しながら頷いていた。

 

やまとはどこか諦めたような顔で

 

「はあ、本当にやる事になるのね・・・。」

 

とこれから先の事に頭を悩ませているようだった。

 

俺はそんなやまとの言葉に苦笑をするしか出来なかったが。

 

とりあえず俺は持ってきた資材を床に置き、こうに

 

「中々の部屋だな。これから部員も集まってくればいいけど。」

 

部室内を見回して俺はこうに言う。

 

こうも俺の言葉に頷いて

 

「そうですね、がんばりたいです。先輩、みなさん、今日は色々お手伝いいただいて本当に助かりました。」

 

そう言ってこの場に居る全員に頭を下げるこう。

 

俺はこうに

 

「俺はとりあえず仮部長ではあるが実質の権限はお前が持つ、って事でいいんだよな?みんなも仮の部員、言ってみれば人数が揃うまでの幽霊部員という扱いという条件だったよな?」

 

そう言って今回協力するための条件をこうに確認する。

 

こうは俺の言葉に再び頷くと

 

「ええ、そうです。まあ、時折は顔は出して欲しいですけど。」

 

と、こうがそう言うとこなたは

 

「時々は顔出すようにするよー。”あれ”の事もあるしね♪」

 

と、こなたが親指を立てながら言う。

 

そんなこなたの言葉を聞きながらかがみも仕方ないわね、と言った顔で

 

「まあ、機会があればなるべく顔は出すようにするわよ。」

 

そう、腕組みしながら答えるかがみ。

 

つかさもまた、そんなかがみを見て

 

「わたしはおねえちゃん達が行く時にはついていくよ?」

 

そう言い、そしてみゆきも他の3人の方を見ながら

 

「私も委員会がない日、こちらに伺える日には活動のお手伝いをさせてもらいますね?」

 

そう、こうに言っていた。

 

やまとはあまり乗り気でない顔をしながら

 

「部員が増えるまではあなたの手伝いはしてあげるわ。でも増えてきたら手を引かせてもらうから。」

 

そう言うやまとに俺も苦笑して

 

「みんなありがとうな、俺の後輩の無茶な頼み聞いてくれてさ。やまと、お前も時々は顔出してやれよ?一応友達なんだしな。」

 

俺がそう言うとこうとやまと以外は「分かったよ」と同意してくれたがやまとは

 

「本当にこうの友達でいていいのか疑問になってきたわ・・・。」

 

と皮肉たっぷりにこうに言うとこうは慌てて

 

「何言ってるのさやまとー、それは酷いよー、私達友達でしょー?」

 

と言ってやまとに抗議していたがやがて桜庭先生が部室にやってきたのでこれからの活動の準備を皆でやって今日はお開きになった。

 

かくしてここにアニメーション研究部が立ち上がった。

 

そしてその後新たな同人作家を迎える事になり、さらにはそれに準ずる人材がこの部にくる事になるのを知るのはもう少し先のお話。

 

 


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