らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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大集合の旋律~大人数の勉強会2日目、忘れられていた慶一のもう1つ過去と罪、後編~

皆の学力アップの為ということで始めた勉強会。

 

その2日目には、皆もそれぞれの目標を持って勉強に励む。

 

その日もいい感じに効率良く勉強を終え、自由な時間が出来た俺達は、思い思いにその時間を過ごしていた。

 

俺もまた、久々に実家から持ってきていた、まだ整理しきれていなかった自分の私物を、この機会に整理してしまおうと私物の入った箱を押し入れから取り出す。

 

そして、私物整理の最中に俺は、俺にとって重要な、過去の記憶を呼び覚ます手紙を発見したのだった。

 

その手紙を見て当時の記憶を呼び覚まし、自らの罪に気付いた俺は、偶然にも俺の部屋に用事があって遊びに来ようとしていたかがみとやまとに、手紙を読みながら涙している所を見られてしまう。

 

この手紙の事を聞きたいと俺に言って来る2人に俺は、自らの罪を打ち明けて裁きを下してもらおうと思いたった。

 

そして、かがみたちにこなた達を集めてもらい、俺は、俺の無意識に封じられていた過去の事を話しはじめたのだった。

 

「・・・・・・当時俺の通っていたクラスにある時、転校生がやってきたんだ。そいつの名前はその手紙に出てきた”篠原しおん”と言った。初めて会ったあいつは、自分の回りに心の壁を築いて他人との接触をほとんどしないようなそんな奴だった。新学期になって席変えがあり、俺はそんな変わり者のしおんの隣の席になった。あの時の俺は、少々抜けてる所もあって、4日に1回は教科書を忘れ、隣にいるしおんに見せてもらうというような感じだった。」

 

そこまで話した時、こなたが俺に

 

「へえ?慶一君って意外と当時は抜けてるとこあったんだねー。何だか意外ー。」

 

と言って来たので、俺は苦笑しつつ

 

「あはは。まあ、なんというか、当時は俺も、今みたいにしっかりしようという意識が薄かったっていうのもあるな。とりあえず、話を続けるぞ?最初にあいつが隣の席になった時から、俺は何となくあいつの事が気になってた。だから、教科書を忘れてあいつに見せてもらう事をきっかけにして、あいつに話しかけた。あいつは最初のうちは他人なんて煩わしいだけだ、と俺の事もまた突き放していた。そんなあいつにある時変化が訪れた。」

 

その言葉にこうが

 

「変化、ですか?どういう風になったんです?」

 

そう尋ねて来たので、俺はその言葉に頷くと

 

「うん。それは、あいつと同じクラスになってからしばらく経った夏休みの事だ。あいつが学校の近くの公園の側でジュースを買って、いざそれを飲もうとしてジュースのプルタブを上げた時、あいつの足元にふいに子猫がやってきたらしいんだ。そして、急に自分の足元で寝転ぶ子猫に驚いて、あいつは思わず、持っていたジュースをほおり投げてしまった。そして、そのジュースがたまたま近くを歩いていた不良高校生にかかったらしくて、あいつはその高校生に絡まれる事となった。」

 

その言葉にいずみは顎に手を当てつつ

 

「あ、その後の展開が何となく読めますね。ひょっとして先輩はその場所に偶然居合わせていたとかそういう事ですか?そして、しおんさんを助けた、と。」

 

そう言ういずみにたまきが

 

「えー?でも、当時の先輩は小学6年生だよ?流石に高校生を相手にするのは無理じゃない?」

 

そう言うと、その言葉に俺は笑いながら

 

「はは。まあ、いずみの予想は当たりさ。そして、たまき。実はいずみの予想通りでな。俺は高校生に絡まれているあいつを助けに行った。」

 

その言葉にかがみが驚きながら

 

「え?だって、高校生でしょ?いくらなんでも無茶しすぎじゃ・・・。」

 

そう言うと、ゆたかもそれに同意しながら

 

「そうですよ。私もかがみ先輩と同じようにそう思いました。」

 

と言う2人の言葉に俺は苦笑しながら

 

「まあ、普通ならそうなんだろうな。でも、あの頃から龍神流の技を叩き込まれて来た俺にとって、高校生というのはハンデにはならなかった。むしろ、俺を小学生と侮ったあいつ等が逆に痛い目を見る事となった訳だがな。」

 

そう言うと、つかさが驚きの表情を見せながら

 

「え~?けいちゃん、凄かったんだね~・・・ほんとに、どんだけ~・・・。」

 

つかさの言葉に気を抜かされつつも持ち直して

 

「とはいえ、俺も、やっぱりまだ流神流の技を扱うにはまだまだ雑だったというのもあったから、俺自身も無傷じゃ済まなかった。相手よりはダメージは低かったものの、それでも相手からのダメージをもらう事にはなってしまった。そして、そんな俺を物凄く心配そうな顔で俺の傷を治療してくれたしおんにその時、今までになかった変化が起きた。それは、今まであいつにはそんなに表情や感情といったものが薄かったんだが、そんなあいつがその時、俺の体の事を気遣って涙を流したのさ。」

 

その言葉にやまとが

 

「涙を?それまでの”しおん”さんって、そんな風に先輩の前で涙を流すとかいう事もしなかったという事なのかしら?」

 

俺はやまとの言葉に頷くと

 

「そうだ。なんというのか、それまでの”しおん”には俺と話している時でも感情らしい感情をほとんど見せなかった。ただ、淡々と俺の言葉に相槌をうつ、とか気のない言葉で返すとかそういう感じだった。そんなあいつが初めて俺の前で涙を流した。それだけでなく、ずっと小学生なのに小学生っぽくない態度でいたあいつが、いつでも冷静でいたあいつが、その時にはいつもの冷静さをなくし、自分の所為で俺が傷ついた事にショックを受けてかなり取り乱していた。」

 

そう説明すると、みなみが

 

「・・・それで、先輩はそんな”しおん”さんをどうしたのですか・・・?」

 

そう聞いて来たので、俺は当時を思い出しながら

 

「あいつが落ち着くまで、泣き止むまで俺はあいつを抱きとめて背中をさすってやってた。まあ、そんな感じでその時は終わったんだが、それが、あいつの感情の発露のきっかけとなったんだ。その後はあいつは俺があいつを助けた事に対する礼をしたいと自分の家へ俺を連れて来た。そして、その・・・俺は特に礼に関しては何も考えていた訳じゃなかったし、その時には同級生の言葉をその時にあいつに言ったんだが、あいつはそれを真に受けたみたいでな・・・その・・・。」

 

そこまで話しつつ言い淀んでいると、そんな俺の言いにくそうな姿を見たみさおが

 

「ん?そん時慶一は”しおん”になんて言ったんだよ?」

 

そう言ってくるみさおの言葉に俺は、少し言葉を詰まらせたものの

 

「えっと、な?当時はその・・・同級生同士で話す事っていうのは子供っぽい馬鹿な事ばかりだったから、その時にしていた馬鹿話の事をあいつに言ったんだ。えと・・・お礼って言ったら『ホッペにチューされたら嬉しいよなー?』って同級生が言ってた事を思わず口走ってしまった。と言う訳だ。」

 

俺は照れながらその事を話すと、みくが俺を見てニヤニヤとしながら

 

「なるほど。何だか先輩の小学生時代って微笑ましかったんですねえ。想像したら可愛いですね。」

 

その言葉に俺は顔を赤くしつつ

 

「・・・う・・・今から思い起こしてみてもかなり恥ずかしいな・・・これは・・・。ま、まあ、とにかく、そんな事を言った俺に、あいつは何気に言った俺の言葉を実行した訳だ。俺も不意打ちを食らった感じだったんだが、凄くパニクってな。そんな状況だったんだけど、その時にあいつは”微笑む”事を思い出したらしかった。それからと言うもの、あいつは、どんどんと俺やクラスの同級生らとも前以上に話すようになっていった。クラスの連中も、そんなあいつの変化に徐々に打ち解けるようになっていったようだった。その後、俺達はつるむようになり、互いの家に遊びに行ったり2人して色々と遊んだりするようになっていった。」

 

それを聞いていたパティがうんうんと頷きながら

 

「ナルホド!フタリでデートをタノしんでいたのですネ?」

 

と言う言葉に、若干他から黒オーラを感じつつも、またしても照れから顔を赤くしつつ

 

「あー・・・いや・・・そのう・・・まあ、今から考えたらそう言えなくもないかも、だな・・・。とにかく、そんな事をしていたある冬の日の事。俺達はその日は俺の実家、龍神流の家で遊ぶ事となり、家についた俺達は俺の部屋へと向かう為に家にあがり込み、廊下を自分の部屋に向かって移動していた。その途中で・・・皆も・・・特にこなた達は瞬から直接俺の過去の話はされていて知っているとは思うけど、その時に親父達が俺が本当の龍神家の子供ではない、と言う事を居間で話している所を偶然にも聞いてしまった。そして、その事にショックを受けた俺は訳も分からずにその家を飛び出した。」

 

そこで言葉を一端切ると、そこにあやのが

 

「それで?その後はどうなったの?」

 

と聞いて来たので、俺はその言葉に頷くと

 

「ああ。その時、いつの間にか寒い冬の雨が外では降り出していた。俺はあの時・・・親父達が俺が本当の息子でない事を明かしてくれなかった事を、真実を伝えてくれなかった事にショックを受け、何もかもがどうでもよくなった俺は、その雨に打たれて死のうとさえ思っていた。だが、そんな俺を救ってくれたのは、あいつの平手打ちとあいつの言ってくれた『いい加減にしなさい! あんたが今さら『森村』だからってそれがどうしたの!? あなたは『龍神』や『森村』の前に『慶一』なの! 名字が変わったくらいで何よ!! 龍神のおじさんもおばさんも、あんたのこと本当の子供だと思ってるわよ!!!』と言う言葉だった。そして、俺を必死に探してくれた親友やあいつのおかげで、俺はその時に命を落とさずに済んだんだ。」

 

俺の言葉にみゆきが、少しだけ悲しそうな、それでいて、ほっとしたような表情で

 

「そういう、事ですか・・・今この場に慶一さんがいる、という事には”しおん”さんには感謝しなければなりませんね・・・そうでなければ、慶一さんは・・・今頃は・・・。私は改めて今ほっとしています・・・。」

 

そのみゆきの言葉に俺はすまなそうな顔で

 

「すまん、みゆきの言うとおりだな。俺も今、こうしてこの場に居れる事にはあいつにも感謝してる。けど、またこうして皆に心配かけてる事に罪悪感を感じてるよ。ともあれ、その後は親父達とも話し合い、今の現状をとりあえずは受け入れた。俺の本当の両親の家、つまりここだが、それが残ってるという事もその時に親父達に教えてもらった。あの当時から俺は、この家に入る事を決意していたんだがな。」

 

その言葉にひよりは納得した顔で

 

「なるほど、そういう事っスか・・・。それで、その後はどうなったんスか?」

 

その言葉に俺も頷いて更に先へと話を進める

 

「その後は、俺は、あいつに命を救ってもらった事のお礼をするべく、あいつを水族館へと誘った。丁度クリスマスでもあったから、あいつに礼も兼ねたプレゼントを渡したかった、というのがあったからな。とりあえず水族館を2人して廻った後、お互いにプレゼント交換をした。あいつはお手製のマフラーを、俺は当時の小学生としてはかなり高額の5000円という値段のアクセサリーを送った。そして、その後、あいつは俺に、俺の知らないうちに転校する事になったのだ、という事を話してくれた。そして、俺はあいつに告白された。俺の事が好きだという事を。」

 

俺の言葉にこなたはおそるおそる

 

「そ、それで・・・慶一君は”しおん”さんになんて答えたの?」

 

その言葉に、俺は苦悶の表情をしながら

 

「・・・俺は・・・その告白にすぐには応えてやれなかった・・・俺はその当時にはあいつにつり合うような男になっていないと思っていた。だから、俺はあいつへの返事を保留してしまった。3年待ってくれ、そうしたら俺は最高の男になって見せるから、ってな。3年経ってまたあいつと再会した時こそ、あいつに俺の気持を打ち明けよう、そう思っていたんだ。だけど・・・・・・。」

 

その言葉にかがみは不安そうな表情で

 

「ど、どうしたのよ?その後何かあったの?何だか辛そうな顔してるわよ?」

 

と言うかがみの言葉に俺は、涙がこぼれそうになるのをこらえながら

 

「・・・結論から言えば、俺はもう2度とあいつに自分の気持を伝える事は出来なくなった。」

 

俺がそう言うと、つかさは俺を心配そうな表情で見ながら

 

「どうして?はなればなれになっちゃったから?”しおん”ちゃんにはもう会いにいけなくなっちゃったの?」

 

と聞いてくるつかさに俺は頷き

 

「・・・そうだ。だが、それは・・・俺があいつの転校していった場所へ行けないからじゃない・・・。実際、俺はあいつの転校していった場所は知っているし、会いに行こうと思えば行ける場所だった。けど・・・あいつはいなくなってしまった・・・。あいつの転校先で1ヵ月が経った頃に、あいつは・・・この世から消えてしまったからだよ・・・。」

 

そこまで言った時、俺は堪らず涙をこぼした。

 

それを見た皆は、俺の語った事実に驚きと戸惑いを見せていたが、そんな俺の姿を見たゆたかが悲しそうな顔をしながら

 

「先輩・・・その1ヵ月に何があったんですか?教えて下さい。」

 

そう尋ねて来たので、俺もそれに頷くと

 

「・・・うん。後で聞いた事だけど、あいつが転校して1ヵ月後、あいつは俺への気持を手紙にしたためて、自分の家の近所にある信号のある交差点の先にあるポストへと、さっき皆に見せた手紙をだそうと向かっていた。あいつはちゃんと信号を守って、自分の進む方向の信号がちゃんと青になるのを確認してから渡ったらしいんだが、そこに信号無視して突っ込んできた車にあいつは轢き逃げされた。そして・・・打ち所の悪かったあいつはそのまま・・・帰らぬ人となった、という訳さ・・・。」

 

そこまで話終えてから俺は、一度気持を落ち着かせる為に深呼吸をする。

 

そして、落ち着きを取り戻した頃、こうが俺に

 

「先輩と”しおん”さんの事はわかりました。その上で聞きたいんですけど、先輩が言っていた自分の罪、っていうのは何なんですか?」

 

その言葉に俺はしばし考え込む。

 

そして、ある程度考えを纏めた俺は、皆を見回しながら話し始めた。

 

「俺の罪、それは・・・あいつに対する俺の気持ちをはっきりと伝えなかった事・・・そして、その為に3年の時間が欲しいと言い訳をした事・・・あいつに心残りをさせてしまった事だ・・・。俺の中にもあいつへの気持はあったのに・・・俺は結局・・・逃げたんだ・・・言えばよかった・・・言わなきゃいけなかった・・・それが出来なかった意気地なしの自分を・・・俺は記憶を取り戻した今、後悔している・・・。さらにはあいつの事を記憶から無意識とはいえ消してしまっていた。それが俺の・・・・・・罪というやつだ。皆に問いたい。俺の・・・俺の受けるべき裁きを・・・。」

 

その言葉に皆も、色々と考え込んでいるようだった。

 

そして、皆は顔をつき合わせて、俺の罪についてあれこれと話しあっているようだった。

 

しばらくして結論が纏まったのか、こなたが俺の方に向き直って

 

「話はわかったよ。それで今皆と色々話し合ったんだけどね?今からその結論を言うよ?」

 

その言葉に俺は頷いて、次の言葉を待つ。

 

そんな俺を見てこなたは再度頷くと、こなたは俺に改めて話し始めた。

 

「まず、慶一君の罪についてだけどさ、まあ、確かに”しおん”さんに慶一君の気持を言ってあげれなかった事と、告白されて逃げてしまった事は確かに罪かもしれないね。それについては皆から『最低』だの『しおんさんが可愛そう』だのという意見が出てたね。それに関しては私も同意かなー?」

 

その言葉に俺は、心にグサリと何かが突き刺さるの感じつつ、ダメージを受けていた。

 

そんな俺を見つつこなたは、更に言葉を続ける。

 

「でもさ、慶一君は”しおん”さんを変えてあげられた。僅かな時間だったけれど、彼女に幸せをあげる事ができたのは慶一君が”しおん”さんにそのきっかけを作ってあげたからだよ?そこの所は皆も認めてる。それにね、彼女は慶一君の手の届かない場所で亡くなってしまっているし、慶一君はその時のショックで記憶を失ってしまったんだよね?彼女の事に関する事だけを、さ。」

 

そこまで言うこなたに俺も頷きで返すと、こなたは更に言葉を続けた。

 

「その部分は私達もしょうがないって思うよ?だって、その当時の慶一君は小学生だったんだし、どう考えてもそれを受け止めることは出来なかったと思うよ?それこそ、それを求める事なんて無茶だと思うしさ。私だって同じようになったらたぶん受け止められないね。」

 

そこまで話した後、かがみが更に言葉を続けて

 

「私も同じようだったら、たぶんこなたと同じだったと思うわ。それにさ、慶一君が”しおん”さんに対して自分の罪を自覚して受け入れているのなら、それでいいんじゃないかな?その事を受け入れたなら、後は次の事よね?」

 

そう言うと、さらにみゆきが

 

「そうですね。今、慶一さんがしなければならない事があるとすれば、それは、その罪を自分の心に刻み込んでそして、前を向く事ではないでしょうか?」

 

その言葉に頷いたこうが更に

 

「そうですね。高良先輩の言うとおりですよ。慶一先輩は”しおん”さんの分までこれからも生きていくべきですよ。それが”しおん”さんにとっての望みでもあると私は思います。」

 

そう続け、更にやまとも

 

「こうや高良先輩の言うとおりね。先輩は”しおん”さんの分まで幸せにならなきゃそれこそ”しおん”さんの気持を裏切る事になってしまうわ。」

 

そう言い、あやのもまた俺に

 

「そうね。もしも慶ちゃんがその事を後悔していると言うのなら、今度は誰一人失わせないように、そして、慶ちゃん自身も幸せになれるように頑張らないといけないわ。」

 

そう言うと、みさおが更に

 

「そうだゼ?お前は今までだって散々不幸な目にあってきたじゃん?だから、お前の罪は十分に償ってきてると思うぞ?だったら今度は、お前も幸せになったっていいはずだ。」

 

そう言い、最後にゆたかが

 

「先輩、皆さんの言っている事がわかりますよね?だったら、先輩がこれからすべき事もわかってるはずですよ?」

 

と言う言葉に俺は、皆の言葉の一つ一つを受け止めつつ、心の中で整理していた。

 

そして、俺は皆の言葉に思わず涙しつつ皆に

 

「そうか・・・皆、ありがとう。今後、俺がやるべき事、それが”しおん”への償いと望みを叶える事になるんだな?だったら、俺は・・・あいつの死を受け入れ、そして・・・。」

 

その後を皆が揃って同じ言葉を発した。

 

「「「「「「「「「「「「「「「しおんさんの死を受け止めて、幸せになる為に前向きに生きて行く事。」」」」」」」」」」」」」」」

 

俺はそんな皆の言葉に力強く頷いた。

 

「ありがとう、皆。俺に道を示してくれて感謝してる。」

 

そう言って俺は、皆に今の俺の素直な気持ちを口にした。

 

こうして俺は、無くしていた記憶を取り戻し、その俺の罪を皆に打ち明け、そして、俺のこれからすべき事を知った。

 

俺は、その事を皆に感謝すると、皆も笑って頷いてくれたのだった。

 

そして、俺はその手紙と写真を、俺の本当の両親の仏壇に持っていき、そこに飾った。

 

今後、俺は両親と親友と共に、しおんも一緒に供養していこうと誓ったのだった。

 

しおんの事を思い出した俺は、同時に、中学時代のあの時、こうとやまとに初めて会い、助けた時の事を思い出していた。

 

そして、何故あの時にやまとを助けたのか、その理由に行き当たったのだった。

 

「・・・そうか・・・やまとは、しおんに似ていたんだな・・・俺は記憶を失っていても無意識にしおんをやまとに重ねたのかもしれない・・・。」

 

そう呟きながら、俺は、その事が、こうややまとと親友となった事が、偶然ではなかった事に戸惑いを見せていた。

 

勉強会の2日目にふいに復活した過去の記憶、そして俺の罪。

 

俺は、それを受け止めて、これからも皆と共に行こうと心に誓うのだった。

 

いつか堂々とあいつの墓前へと立つ事を、幸せになった俺の姿を見てもらう事を思いつつ、今日という日がふけていったのだった。

 


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