らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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賑やかになる旋律~ゴールデンウィークの勉強会前日の大騒ぎ~

みゆき達が家に来て共同生活を始めてから数日が過ぎた。

 

ゴールデンウィークまで後2日までの所に来て、俺達は連休前のテストと格闘する事となる。

 

だが、俺達の提示した大学を目標にしたこなた達も、今回はそれに向けてしていた勉強の効果もあったようで、今回は誰一人赤点を取る事無く連休前の試験をクリアしたのだった。

 

そして、その日の放課後に俺達は、図書室に集まって試験の答えあわせ等を行い、全員の状況を把握する事となったが、俺は誰一人落ちる事無く無事にクリアできた事に内心、胸を撫で下ろしていた。

 

俺は皆を見回しつつ、今回懸念していた3人に視線を移しながら

 

「ゴールデンウィーク前の試験はどうなる事かと思ったけど、こなた、つかさ、みさお。今回は3人とも問題なしだったな。勉強の成果も良く出てたみたいだし、ほっとしたよ。」

 

そう言うと、3人のうち2人は得意げに、そして1人は照れながら

 

「ふふん。私も目標をもったからね。その目標の為に最近は頑張ってるからねー。」

「見たか慶一!これが私の実力だってヴァ!!」

「あはは。わたしも成果が出せたから嬉しいな。おねえちゃんやけいちゃん達にも感謝だよ~。」

 

と言う3人にかがみは苦笑しつつ

 

「私もちょっと心配はしてたけど、結果が出せたから言う事はないわね。とはいえ、あんまり調子に乗って肝心な所でヘマやらないようにしなさいよ?特にこなたと日下部。」

 

そうツッコムと、こなたとみさおの2人はブーイングを飛ばしつつ

 

「何さー。ちゃんと頑張ってるんだからそんな言い方しなくてもいいじゃんー。」

「そうだそうだー!柊横暴ー!ちょっとは私らの頑張りも認めろー!!」

 

と言う2人にかがみが睨みを効かせながら

 

「・・・あんたら、普段の自分を省みてからいいなさいよ?今だけ良くてもその後がだめだったら、何にもならないんだからね?」

 

そう言うと、2人は「「うぐ・・・」」と言ってうめきはしたが、それでも、あんまり納得いってない、という表情だった。

 

俺達はそんな3人のやり取りを見て苦笑する。

 

「私は今回もいつも通りに出来ました。今後もこれを維持していければ、と思います。」

「私も特に問題はなかったわね。これからもこの調子でいければいいんだけどね。」

 

と、みゆきとあやのも今回の自分達の出来と今後の事を話していた。

 

俺はそんな2人に

 

「2人は俺はあまり心配はしていないよ。でも、その調子は維持していければ理想的だな。」

 

そう言うと、2人ともうんうんと頷いていた。

 

「私もいつもよりは少し落ちますけど、何とかなりました。」

「・・・次は、もっと上を狙いたいですね・・・。」

「いやー、私も今回はちょっと危なかったですが、何とかなりましたっス。」

「ワタシはコクゴイガイはそれなりでしたネ。やっぱり二ポンゴはムズカしいデス。」

 

それぞれに今回の出来を報告してくれる4人に俺は1つ頷きつつ

 

「皆もそれなりに頑張ったみたいだな。ゆたか達はまだまだ時間があるんだし、これからもっと上を目指すようにして行けばいいと思うぞ?今からあまり無理する事はないんだしな。」

 

そう言う俺に、4人とも

 

「そうですね。これからじっくり頑張って行きます。」

「・・・皆と一緒に目指していこうと思います・・・。」

「またプレッシャーに潰されそうになった時はあの時のおまじないをおねがいするっス。」

「ワタシのスタディもミてくださいネ?」

 

そう言って来たので、俺もそれに頷きで応えた。

 

そんな中で、1人落ち込むいずみを見た俺は

 

「いずみ、そう言えばお前は、ゆたか達のクラスでは学級委員長を務めていたんだったな?それを引き受けるほどだし、陵桜受験の時もかなり自信ありげに言ってたから、そんなに心配はしていなかったんだが、今回の成績にはちょっと驚かされたぞ?」

 

そう言うと、いずみはかなり落ち込みながら

 

「・・・実は私・・・そんなに勉強は得意じゃないんですよ・・・今にして思えばよく陵桜(ここ)に入れたなあ、って・・・。」

 

そう言って落ち込むいずみに俺は苦笑しながら

 

「あー・・・ともかくだ。勉強見て欲しいって言うなら協力はしてやるつもりだから、頼りたくなったら言って来い。」

 

俺の言葉にいずみは頷きつつも大きなため息をついていた。

 

「私は、今回もいつも通りでしたね。あまり問題はないですよ。」

「私もね。とはいえ、こうはやっぱりここの受験もそんなに苦戦しなかっただけの事はあるわね。」

 

そう言うやまとの言葉にこうは苦笑しつつも

 

「やまとは私の勉強の出来についてはある程度の評価はしてくれてたね。」

 

そう言うと、やまとは軽くため息をつきながら

 

「下手すると私よりも上かもしれないからね、あなたは。とはいえ、そう言う面でもあなたとは張り合いもあったわ。そのおかげで私も自分を高められたと思ってるしね・・・。」

 

その言葉にこうが感激しつつ

 

「や、やまとー。まさか、あんたが私を認めてくれる部分があるとは思わなかったよー。」

 

そう言いながらやまとに抱きつくこうに、やまとは顔を赤くしながら

 

「ちょ、離れなさい!あくまでもそう言う部分は、と言う事よ!待ち合わせ等に関してはいまだにあなたは信用薄いって事は反省しなさいよ!?」

 

そう言いつつ、抱きつくこうを引き剥がそうと奮闘していた。

 

俺はそんな2人に苦笑しつつ

 

「こう、やまとー。とりあえず程々になー?」

 

そう言うと、2人とも我に帰ってバツが悪そうに笑っているのを見て、俺は更に苦笑したのだった。

 

「私達も問題ないですね。ねえ?たまき。」

「そうね。とりあえずいつも通りクリアできたし。」

 

そう言うみくとたまきに俺も

 

「そうか、それなら何よりだな。これからもその調子で維持しつつ、がんばれ。」

 

と言う俺の言葉に、2人ともにっこりと笑って頷いていたのだった。

 

そして、俺はもう一度皆を見てから

 

「ともあれ、明日からゴールデンウィークだ。前半部でなるべく宿題は片付けるようにしておきたいと思うけど、皆は大丈夫だよな?」

 

そう皆に聞いてみると、ここで4名の手があがったのを見て、俺は苦笑しつつも

 

「こなた、つかさ、みさお、それといずみ。4人揃って手を上げたようだが、何か問題あり、か?」

 

何となく4人の答えは想像がついたが、一応聞いてみた。

 

「・・・えーっと。良ければ、その前半部の時に慶一君の所にお邪魔させてもらって宿題を見てもらえないかなーって・・・だめ?」

「けいちゃんに協力してもらったらすぐ出来ると思うんだよね~。だから、けいちゃん、お願い~。」

「頼れるのはお前しかいねえし、私らを助けると思って、頼むよ、慶一ー。」

「・・・すみません、先輩。私も力を貸していただけたら、と・・・。」

 

その、予想通りすぎる答えに俺は大きなため息を1ついたのだが、そんな4人を見たかがみが

 

「・・・あんたら、またゴールデンウィーク中に慶一くんに迷惑かけるつもり?いい加減そのくらい自分達で何とか出来るようになんなさいよ!!まったく・・・。特にあんたら3人は来年は皆と一緒の大学受験するんでしょうが!ほんとしょうがないわね・・・。」

 

そう言って特に3人への説教モードを開始するのを、俺は何も言えずに見ていた。

 

そして、そんな風にしている俺に悪いと思ったのか、いずみさんは

 

「・・・あの、先輩。ご迷惑おかけしてすいません。やっぱり何とか頑張ってみます。」

 

そう言って少し落ち込み気味にそう言ういずみに俺は、苦笑しながらも

 

「・・・いいさ。来る気があるなら家に来い。その位は面倒見てやるよ。」

 

その俺の言葉にいずみは驚きの表情で

 

「え?で、でも、ご迷惑じゃ・・・。」

 

そう聞き返してくるいずみに俺は笑いながら

 

「ま、確かに普通ならそうだろうけどな。でも、俺はお前にも世話にはなったんだ。少しでも恩返しが出来るならこの程度の事なら何てことはないさ。」

 

俺のその言葉にいずみは嬉しそうな表情を見せて

 

「先輩にそう言ってもらえるとは思いませんでした。少しは私も先輩のお役に立てた、と言う事なんですね?なんだかほっとしました。」

 

そう言って笑顔を見せるいずみに俺も頷いて

 

「役に立ったさ、だからこそ俺は今こうしてここにいられる。嬉しかったんだぜ?」

 

そう返すと、いずみも更に笑顔になっていた。

 

俺達の会話を聞いていたのか、こなた達も俺の所に寄って来て

 

「慶一君、それってずるくない?私だって慶一君の為にって思って頑張ったんだよ?だったら、私達も助けてくれたっていいじゃん!!」

「そうだよ。いずみちゃんばっかりずるいよ?けいちゃん。」

「私らだってお前の為に頑張ったんだけどなー?それはなかった事なんか?それって酷くねえ?」

 

口々にそう言ってくる3人に俺は、たじたじになりつつも

 

「わかってる、わかってるよ。だから、そんなお前等の為に、お前等の宿題は面倒みてやる。その事はちゃんと言うつもりだったんだからそう睨むなって。」

 

その言葉にとたんにぱあっと明るい顔になる3人は

 

「ほんとに!?さすが慶一君だねー。よーし、これで連休中の宿題はなんとかなるー。」

「ありがと~けいちゃん。わたしもお世話になるね~?」

「やっぱし慶一は話せるやつだゼ!おーしこれで乗り切れるってヴァ!!」

 

そんな風に言う3人にかがみは慌てつつ

 

「ちょ、ちょっとあんたら!そんなんじゃいつまでたってもだめでしょうが!!」

 

そう言って、再び3人を怒ろうとするかがみの肩をぽんと叩くと

 

「いいんだよ、かがみ。俺がそうする、って決めたんだから。まあ、甘やかしてると思われるかもだけど、あいつらに返せる恩があるなら、俺のできる事をするつもりだからな。」

 

その言葉にかがみは、まだ少し納得いかなそうな顔をしていたけど、しぶしぶと

 

「・・・ふう。慶一くんがそうしたい、って言うのなら仕方ないわね・・・。いいわ。なら、私も手伝うわよ。いくらなんでも4人を1人で見るのは大変でしょ?」

 

そう言うかがみに俺は驚きながら

 

「いいのか?かがみ。さっきまであいつらの事叱ってたのに。」

 

そう言うと、かがみは顔を赤くしつつそっぽを向きながら

 

「・・・べ、別に。あんたが無茶しすぎてまた倒れたりされたら困る、っていうだけの事よ。せっかく復活したのにまたダウンなんかされたら、そんなあんたを元気付けにいくとまた大変ってだけよ?か、勘違いしないでよね?」

 

そんな風に言うかがみに俺は苦笑しつつ

 

「はいはい。かがみにそんな労力使わせないようにする為にも、かがみの好意に甘えさせてもらう事にするよ。明日からよろしくな?かがみ。」

 

そう言うと、かがみは軽いため息を1つついて

 

「ふう。まあ、仕方ないわね。4人とも?明日はみっちりしごくからね?覚悟しときなさいよ?」

 

そう言いながら照れ隠ししているかがみを、こなた達はからかっていたのだった。

 

そんな様子を見ていると、みゆき達ややまと達も俺に

 

「慶一さん?私達の事、忘れていませんよね?私だって慶一さんの力になりますよ?分かってくださっていると思ってはいますけど。」

「・・・皆でやれば、負担は軽くなると思いますから、私も協力します・・・。」

「そうですね。私もお手伝いしますよ?遠慮なく言ってください。」

「私もやるわ。と同時に自分の勉強も進めはするけどね。こういう時は助け合いましょ?先輩。」

 

そう言って来たので、俺は4人に

 

「ん?なら、みゆき達にもお願いするか。よろしく頼む。」

 

そう言うと、4人ともにっこりと笑って頷いてくれた。

 

その後、ゆたか達やみく達もやるなら一緒にやらせて欲しい、と言ってきたので、俺はそれにも許可をだしたのだった。

 

「じゃあ、明日から3日、集中で宿題と勉強な?片付けてしまうつもりだから、そのつもりでいてくれよ?で、それが済んだら、後半はみさおとあやのとした約束、果たすとするか。」

 

俺の言葉にこなたは

 

「みさきちと峰岸さんとの約束?何それ?」

 

そう聞いて来たので、俺は、俺が2人に励ましてもらっていたあの日に2人とした約束の事を皆に話した。

 

それを聞いて、こなたや他の皆も納得したようで、ますます、明日からの3日間の勉強会を気合入れて終わらせようと意気込んだのだった。

 

そして、その日の帰り道、今日の夕食の当番はみゆきとみなみ、との事だったので、買い物はみゆき達に任せてこう達と共に家に急いでいた。

 

「そういえば、去年は私達は先輩に誘ってもらえなかったんですよね?勉強会は。」

 

と、去年の事を思い出したこうが俺にそう言うと、やまとも俺に

 

「そういえばそうよね?結局、先輩達の勉強会が済んでから私達も知ったんだしね。あの時ほど先輩を薄情者と思った事はなかったわね。」

 

と、やまとがふいに見せる薄い微笑みを向けながら言うのを聞いて、俺は軽いためいきをつきつつ

 

「・・・そう言うなよ。あの時の事は悪いって思ってるし、その証拠に、あの後でおまえらがその事を知ってやってきた時だってちゃんと勉強見てやったろ?だから、もうあの時の事は勘弁してくれって・・・。」

 

そう言うと、2人ともいたずらっぽい笑みを俺に向けつつ

 

「あはは。分かってますよ。ちょっとからかってみただけです。ねえ?やまと。」

「ふふ。そうね。それに今回は初めから皆と一緒に出来るんだしね。」

 

その言葉に俺はほっとしつつも

 

「ふう。あまり脅かさないでくれよ。ともあれ、早めに戻ろう。みゆき達が帰ってくるまでに準備もある程度済ませておかなきゃ、だしな。」

 

そう言う俺の言葉に2人とも頷きつつ

 

「そうですね。お風呂の準備等は私達でやらなきゃ、なんですから急ぎますか。」

「私と先輩は部屋の掃除等だし、頑張らないとね。」

 

その言葉に俺も頷きつつ、家までの足を早める俺達だった。

 

そして、家にたどり着いて俺達はそれぞれに着替えを済ませ、それぞれにやるべき事に取り掛かっていた。

 

そうこうしているうちに30分程が過ぎたが、ようやくみゆき達が帰って来たのか、家の呼び鈴が鳴ったのを聞いた俺は、出迎える為に玄関へと向かったのだった。

 

「おかえりー。って、あれ?」

 

出迎えに行き、玄関に入ってきたみゆきに声をかけたのだが、そこにいたのがみゆきとみなみだけじゃなかったのを見て、俺は驚いていた。

 

みゆきとみなみは苦笑しつつ

 

「ただいま戻りました。慶一さん。」

「・・・ただいま、先輩・・・。」

 

そう言って、こなたはいつも通りに、ゆたかは遠慮がちに

 

「やふー。慶一くん、来たよー?」

「お、お邪魔します、慶一先輩。」

 

そう言って各々挨拶をしてくるのだが、俺はこなたとゆたかに

 

「こなた、ゆたか。お前等どうして?」

 

そう尋ねると、こなたはない胸を張りつつ

 

「ふっふっふ。どうせ明日から勉強会なんだし、また合宿形式でやりたいと思ったから、今回はゆーちゃんと一緒に来てしまった、というわけさー。」

 

得意げにそう言うと、その後にゆたかが何とも申し訳なさそうに

 

「わ、私は明日からでもいいんじゃない?って言ったんですけど、こなたおねーちゃんが、前もこんな風に前日から行った事あったんだから、今回も構わないよ、って言うものですから・・・。」

 

そう言って来たのを聞いて、俺は呆れのため息をついて

 

「・・・そうだな、そうだったな。お前は前もそんな事やったんだっけな・・・。はあ・・・仕方ない、上がれよ。今更追い返すなんて事する訳にもいかないからな。」

 

そう言うと、こなたは満面の笑みを浮かべて

 

「さっすが、慶一君。話が分かるねー。それじゃお邪魔するよー?それと、これから夕食でしょ?私も前日から来ている以上は手伝わせてもらうからねー?」

 

そう言って上がって来て俺の横を通り過ぎ際に

 

「いつものあの部屋でいいよね?今回はゆーちゃんと一緒にあの部屋使わせてもらうからね?」

 

そう言っていくこなたに俺も頷いて

 

「ああ。2人でも十分な広さはあるはずだからな。そうしてくれるならありがたい。」

 

そう言う、俺にゆたかもおずおずと

 

「すいません、先輩。お世話になりますね?」

 

そう言ってこなたの後を追っていくのを、俺はまた軽いため息をつきつつ見送っていた。

 

「実はちょっと遅くなったのは、泉さんと買い物の帰りに偶然出会ったからなんですよ。事情をお伺いした所、以前の勉強会と同じような事をするから、っておっしゃられていましたので。」

 

こなたの後姿を見送っていた俺に、みゆきは、こなたがみゆき達と一緒に居た経緯を話してくれた。

 

「・・・買い物は、私達の分だけの食材しかありませんでしたから、もう一度お店に戻ってお2人の分も買い込んできたんです・・・。」

 

そこに更に補足してくれたみなみ。

 

俺は2人に

 

「はは。まあ、勉強会企画した時点でこうなる、って言う予想は何となくあったから、それ程驚いてはいないけどな・・・でも、2人とも、買い物のしなおし、大変だったろ?ご苦労さん。」

 

そう言って2人の労をねぎらう言葉をかけると、2人とも笑顔になりながら

 

「いいえ。泉さんの行動には驚かされはしますが、やはり、皆さんが集まるのは楽しいですから。ですから、この程度の事は大した事ではありませんよ?むしろ、明日からどうなるのかも楽しみだったりしますから。」

「・・・賑やかですけど、先輩も寂しくはならないのなら、それでもいいかも、と思いました・・・。」

 

そう言う2人の言葉に俺は照れつつも感謝しながら

 

「まあ、来てしまったものは仕方ないからな。それじゃ早速夕食の準備するか。掃除等の事は済ませておいてあるから、準備の方、頼んだぞ?」

 

そう言うと、2人とも頷いて

 

「はい。それじゃ、すぐに着替えて準備してしまいますから。」

「・・・私もすぐに準備します・・・。泉先輩もいるのなら、夕食の準備も心強いですね・・・。」

 

そう言って、買い込んできた食材を運ぼうとしたのだが、俺は2人から食材を取ると

 

「こっちは俺がキッチンに運んでおくから、お前等はお前等で準備してくればいいよ。まあ、この程度は任せてくれ。」

 

そう言って俺は食材を手にすると、キッチンの方へと体を向ける。

 

「ありがとうございます。それじゃ準備してきますから。」

 

みゆきはそう言い、みなみはぺこりと一礼すると、自分達の部屋へと戻って行ったのを俺は、軽く見送った。

 

そして、食材をキッチンに運び入れる頃に、こなた達もキッチンへとやって来て

 

「お待たせー。あれ?みゆきさん達はまだか。何を作るのかまだ聞いてなかったし、勝手にやっちゃまずいよねえ?」

 

そう言うこなたに気付いた俺は、こなたの方に顔を向けると

 

「まあ、そうだな。とりあえず、みゆき達が来るまでは食材の確認とかしといたらいいんじゃないか?」

 

そう言うと、こなたとゆたかは

 

「そうだね。ゆーちゃん、ちょっと手伝ってー?」

「うん。わかったー。こなたおねーちゃん。どれから取り出そうか?」

 

そう言って、買い込んできた食材の吟味を始めるのを、俺は食器を用意しつつ、見ていた。

 

その後、みゆき達もキッチンにやって来て、4人による夕食作りが始まった。

 

こうや、やまと、そして、パティもこなた達が居ることに驚いていたのだが、こなたから事情を説明されたらしく、3人ともに納得していたのだった。

 

夕食も出来上がり、俺達はテーブルを囲んでの食事となった。

 

明日からの予定などについて、食事しつつ、話し合いをして、ある程度の事を決めた後に食事を終えた。

 

その後、こなた達は風呂へ、俺は部屋でのんびりしていたが、またしても家の呼び鈴が鳴ったのを聞いた俺は

 

(こんな時間に誰だ?なーんか、嫌な予感がするんだが・・・。)

 

そう心の中で考えつつ、俺は玄関へと向かい

 

「はーい?どちら様ですか?」

 

そう言って玄関を開けると、そこにはかがみ、つかさ、みさお、あやの、ひよりが立っていたのだった。

 

「今晩は、慶一くん。明日からって事だったけどさ、色々下準備しておきたいから前日からだけどきちゃったわ。」

「わたしはおねえちゃんが行くって言うからついてきちゃった。」

「柊に電話したら柊が慶一の家に行くって言うから一緒に来ちゃったゼ?」

「私は迷惑かけるから明日にしよう、って言ったんだけどね。」

 

と言う4人の言葉に苦笑しつつ

 

「はは、そういう事か。まあ、仕方ないよな。」

 

そう言うと、更にひよりもまた、早めにきた理由を俺に説明してくれた。

 

「私は、パティと電話していた時に、泉先輩達がもう来てるって教えてもらったんですけど、パティがひよりも来なよ、って言ったので、その誘いを受けて来た次第でして・・・。」

 

と、ひよりがそう言い終わると同時に、かがみが

 

「田村さん?今、泉先輩、って言ったわよね?ひょっとしてこなたがもう来てるって事?」

 

そう問い掛けるかがみに、ひよりは一瞬、しまった!という顔をしたが、かがみにそこを見抜かれ

 

「・・・なるほどね・・・あいつめ、また私達に勝手にそんな事してるのか・・・慶一くん。とりあえずお邪魔するわね?」

 

何かを察したかがみは俺にそう言うと、家に上がり込み、物凄い勢いでこなたの居る部屋へと走っていったのを、ひよりは驚きの表情で見送り、みさお、あやのは苦笑して、俺は、その光景にデジャヴを感じつつ、ため息を1つついてかがみの行った方を見つめていた。

 

心の中でこなたに両手を合わせて冥福を祈った時、こなたの居る部屋から、こなたの断末魔が聞こえてきたのを受けて、俺はただただ苦笑するのみだった。

 

今、この短い時間で立て続けに起きた事に、終始混乱気味のひよりは俺に

 

「あ、あの、慶一先輩、大丈夫なんでしょうか?泉先輩は・・・。」

 

その言葉に俺も乾いた笑いを向けつつ

 

「あー・・・去年もこなたは同じ事してかがみに殴られてたからな・・・まあ、大丈夫だろ?」

 

と言う俺の台詞に、ひよりもただ引きつった笑いをするしかなかったようだ。

 

やがて、皆が集まるリビングに俺も戻ると、少し後に涙目のこなたを引きずってリビングにやってきたかがみが現れ、俺達の囲むテーブルの空き席にこなたを座らせ、自分も席につくと

 

「ごめんね?慶一くん。またこいつが迷惑かけちゃったわね。」

 

と、申し訳なさそうに俺に言う。

 

こなたはそんなかがみに涙目のままで

 

「酷いよ、かがみん・・・ちょっと連絡しそびれただけじゃん・・・それなのに・・・頭陥没するかとおもったよ・・・。」

 

と言うこなたにかがみはキッと睨みを効かせると

 

「前回の事といい、今回の事といい、全部自業自得じゃないの!!まったく、いい薬よ。」

 

そう言うかがみに、こなたはびくびくと縮こまっていたのだった。

 

とりあえず一通り話が済んだ事を確認した俺はみんなに

 

「何にしてもだ。来てしまった人達がいるのは仕方ないし、そこらへんの事はもういいっこなしにしよう。で、だ。明日からは今まで以上の人数による勉強会になりそうだからな。その下準備だけは済ませてしまおう。皆、今日はそれだけ手伝ってくれれば、後は自由でいいからな?」

 

その言葉にこなたが

 

「手伝うって、何をすればいいの?」

 

と聞いて来たので、俺は頷きながら

 

「とりあえず、もう1つ奥の大部屋でやろうとおもうから、そこに皆がつけるだけのテーブル等の準備をしたりするつもりさ。勉強道具とかもそこに置いておきたい人はその部屋に持っていっておくといいよ。」

 

そう言うと、こなた、つかさ、みさお、こうが

 

「なら、私は慶一君のテーブル出しを手伝うよ。」

「わたしも手伝うね?けいちゃん、どうすればいいか指示おねがい。」

「私もやるゼ?力仕事ならどんと来いだ。」

「日下部先輩、一応女の人、ですよね・・・?まあ、いいですけど・・・。とりあえず私もこっちはお手伝いさせてください。」

 

そう言ってきたので、俺は頷いて

 

「なら、よろしく頼むよ。手を貸してくれ。」

 

そう伝えると、4人とも頷くのだった。

 

かがみ、みゆき、あやの、やまと、みなみ、ゆたか、ひより、パティは4人を従えて部屋を出ようとする俺に

 

「なら、私達は勉強道具の移動と、軽くその大部屋の掃除をやっちゃいましょ?」

「そうですね。私達が先にそちらへ行っておきましょうか。」

「慶ちゃん、そのお部屋には何が置いてあるか教えてくれない?下手に動かしちゃまずい物とかあったら困るし。」

「そうね。私もそれを聞いておきたいわ。」

 

そう言う4人に俺は

 

「わかった。あの部屋にはな・・・・・・という感じだ。あまり問題のあるものは置いてないから、それ程気にする必要はないぞ?」

 

そう伝えると、4人はそれに頷いて、大部屋へと向かった。

 

少し遅れてゆたか達が

 

「じゃあ、私達は掃除道具の準備をしようよ、みなみちゃん、ひよりちゃん、パティちゃん。」

「・・・そうだね・・・。場所は先輩から教えてもらってるから、私が案内する・・・。」

「それは助かるっス。みなりん、よろしく。」

「では、ワタシタチはサッソククリーニングをハジメましょうカ。」

 

そう言っているのを聞いた俺は

 

「なら、みなみ。ゆたか達を連れて、そっちは頼む。」

 

そう言うと、みなみもコクリと頷いて、早速ゆたか達を連れて、掃除用具のしまってある場所へと移動を始めた。

 

俺はそれらを確認し、改めて4人を連れて物置へと向かったのだった。

 

物置から4人が運べるテーブルを出し、俺も1人で大きなテーブルを持つと、4人と一緒に大部屋まで戻る。

 

途中、こなたが、俺の持ってるテーブルの大きさを心配して

 

「ねえ、慶一君。私達の誰か1人でもそれ持つの手伝わなくて大丈夫?なんか、凄く重そうなんだけど。」

 

そう言って来たので、俺は笑いながら

 

「この程度は問題ないさ。それよりも俺の方に気をとられすぎてそっちのテーブルを落として怪我なんかしないようにな。」

 

そう言う俺に、こなたはどこか安心したような表情を見せると

 

「流石に力持ちだね。まあ、余計なお世話だったかな?」

 

と言うその言葉に俺は

 

「はは。でも、心配してくれた事は嬉しかったぞ?」

 

そう言うと、こなたは少しだけ顔を赤くして

 

「そ、そう?それならいいけどさ。」

 

と、少し照れたように言うこなたを横目でチラ見しつつ、テーブルを運ぶ俺だった。

 

俺達がテーブルを大部屋に運び込む頃には、大体の掃除や諸準備も済んだので

 

「皆、ご苦労さん。後は明日に備えてゆっくりしててくれ。俺は部屋にいるから、何かあったら声かけてくれな。」

 

そう言ってから、俺は自分の部屋へと戻って落ち着いたのだった。

 

その後は各々自分のしたいこと等をしていたようだったが、そのうちに俺の部屋をノックする音が聞こえたので、俺は

 

「ん?どうぞー。」

 

そう声をかけると、部屋に入って来たのはかがみだった。

 

「お邪魔するわね、慶一くん。ごめんね?色々慌しかったでしょ。ちょっと落ち着きたいんじゃないかな?って思ったからこれ、持ってきたわ。」

 

そう言って俺に、自分の持っていた新作のラノベを渡してきたので、俺はそれを受け取って

 

「はは。でも、最近はこれが普通になりつつあるよ。ん?これは見たことない奴だな。新刊か?」

 

そう言いつつ表紙を見る俺にかがみは

 

「うん。最近出た奴でね、私のお勧めなの。ちょっと読んで見てくれるかな?」

 

そう言うかがみに俺は頷きつつ、俺もかがみの知らない新刊を取り出して

 

「わかったよ。じゃあ、代わりに俺がこれをかがみに。まあ、かがみの趣味に合えばいいんだがな。」

 

そう言うと、俺は手に持っていた自分が買った新刊をかがみに手渡した。

 

かがみは俺から受け取った新刊を手にして

 

「ふーん?これは初めて見るかも。それじゃ、ちょっと読ませてもらうわね?」

 

そう言って、俺のベットの側に腰掛けると、早速俺の手渡した本を読み始めた。

 

俺もそれを見て、かがみから受け取った本を、やはり、自分のベットを背もたれにして読み始めた。

 

そうして、しばらく読んでいたが、気付けば本にのめりこんでいた俺は、またもさり気なく俺の隣に座って本を読んでいるかがみに気付かなかった。

 

ふと、その事に気付いた俺は少し照れていたのだが、そこに、俺の部屋のドアをノックする音が聞こえたので、俺はかがみに向けていた意識をそっちへと移すと

 

「どうぞー?開いてるよ。」

 

そう声をかけると、やまととみゆきが俺の部屋へとやってきたのだった。

 

「何となくそんな予感がしましたので、来て見ましたが、どうやら当たりのようですね。お2人とも本を読んでいるのでは?と思いましたよ。私もご一緒させていただきたいですが、いいでしょうか?」

「かがみ先輩にお勧めって言われた本もまだ読んでないし、丁度いい機会だから、私も一緒に読ませてもらってもいいわよね?」

 

と言う2人に俺とかがみは苦笑しつつ

 

「ははは・・・まあ、この際だしな。眠くなるまでは一緒に読んでるか。」

「そういえば、みゆきと永森さんに私も自分のお勧めを教えたんだっけ。いいわ。なら、一緒に読みましょ?」

 

そう答えると、2人もにっこりと笑って、それぞれに座る場所を決めて、俺達は眠くなるまで読書をして、ゆったりとした時間を楽しんだのだった。

 

やがて、3人とももう休む、と言ってきたので、今日はこれでお開きとなった。

 

部屋を出る際に3人は俺に

 

「それじゃ私も部屋に戻って休むわ。慶一くん。明日から頑張りましょ?それじゃお休み。」

「私もそろそろ休む事にしますね。私も明日からの事が少し楽しみですよ。それでは私はこれで、お休みなさい、慶一さん。」

「有意義な勉強会になるといいわね。まあ、何かあったら言ってね?先輩。私の出来る事なら協力はするわ。とにかく、そういう事で。じゃあ、お休み、先輩。」

 

そう言って出て行く3人に俺も

 

「ああ。どうなるか分からないけど、頑張ろうな。それじゃお休み、皆。」

 

そう言って3人を送り出して、俺も自分のベットへともぐりこんだ。

 

明日からの勉強会に思いを飛ばしつつ、俺は疲れた心と体を休ませる為に、夢の世界へと旅立って行くのだった。

 


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