らき☆すた〜変わる日常、高校生編〜   作:ガイアード

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癒しの旋律達、第2話~やってきたまさかの柊家の人々~

突然の瞬の訃報、そして、悲しみに暮れる俺は相当に落ち込みながら葬儀を終え、自宅へと戻る。

 

俺は、その事件の事でかなり落ち込み、悲しんでいたが、そんな俺に気を使ったパティは、しばらく俺の前から姿を消し、俺を1人にしてくれた。

 

俺は、むしろ1人にされる事の方を辛く感じていたが、まだまだパティとの意思の疎通はしきれていない状況で、お互いに気持にすれ違いを起こしていた。

 

そんな最中に、俺の事を気遣ってくれたこなたとゆたかが家に俺の様子を見て、元気付けてくれる為にやって来てくれた。

 

俺はそんな2人の気持を嬉しく、そしてありがたく思いながら、少しだけ癒された自分の心を感じていたのだった。

 

そして、次の日にこなた達を学校に送り出した俺は、今日も孤独と闘いつつ、過ごすのだった。

 

けれど、今日もまた、家にやってくるものがいる事を、この時の俺は知らずにいたのだった。

 

こなたside

 

昨日は無理にでも慶一君の所へと行って、慶一君を元気付けようと思った私だったけど、その行動は慶一君にとっても意味のあるものとなったようだった。

 

そんな事を思い返しつつ、慶一君の役に立てた事を嬉しく思いつつ、学校に着いた私に、かがみ達も昨日の私の事が気になっていたみたいで、私に色々と聞いて来たのだった。

 

「おはよー。とりあえず昨日は慶一君の所へ行ってみたよ。」

 

皆に挨拶をしつつ、そう言うと、皆は私の側に来て

 

「おはよう、こなた。そ、それで、慶一くんの様子、どうだったの?」

「おはよう、こなちゃん。けいちゃん、まだ落ち込んでた?」

「おはようございます、泉さん。昨日は私も思わず泉さんを止めようとしてしまいましたが、私も結果が気になっていました。」

「おはよう、泉ちゃん。私も踏ん切りつかなかったから、すぐには動けなかったわ・・・。気にはしてたんだけどね・・・。」

「おはよーさん、ちびっ子。私も実は気になってたんだ。で?どうだったんだよ、慶一は。」

 

そうまくし立ててくる皆に私は腕組みしながら

 

「うん。やっぱりまだ、大分参ってるみたいだったね。心持ちまだ落ち込んでるようだったよ。でも、パティが慶一君に気を使って家をしばらく留守にする事になっちゃっててさ、それがさらに慶一君の寂しさをあおる事になっちゃったみたいでねー・・・。帰ろうとしたけど、慶一君に抱きしめられて、今晩だけで良いから一緒に居てくれ、って言われちゃったんだよねー。」

 

最後の方は照れ笑いしながら言ったのだが、その最後の部分に他の皆も激しく反応して

 

「ちょ、ちょっとこなた!最後の抱きしめられたって、一体・・・。」

「ふええ!?けいちゃん、そんな事したんだ~・・・。」

「何と羨まし・・・い、いえ、なんでもありません・・・。」

「泉ちゃん、大胆ね。それに慶ちゃんも寂しいからとはいえ、そんな事をしちゃったのね・・・。」

「むう・・・なんかおもしろくねーなー。でも、慶一やっぱり寂しいんだな。」

 

そんな皆に私はにまにまと笑みを浮かべながら

 

「まあ、慶一君もよっぽど心細かったんだと思うよー?それとさ、そんなに気になるなら、今日、慶一君の家に行ってみればいいじゃん?今日は私、ちょっと用事あるから行けないしね。」

 

そう言うと、皆はそれ以降黙り込んでしまい、何事かを考え込んでいるようだった。

 

かがみside

 

こなたが昨日、慶一くんの家へ様子を見に行くと言ったのを聞いて、私達はまだ慶一くんに会うのは早いのではないだろうか?と慎重になり、こなたのように行動に移せないでいた。

 

しかし、昨日からの一連の行動の結果をこなたから聞いて、私達も行ってみようかな?と考えた。

 

私はつかさに声をかける。

 

「つかさ、今日、慶一くんの所へ行ってみよう。こなたの行動は結果的に慶一くんにとってもプラスになったみたいだし、それなら私達も行動を起こすべきだと思わない?」

 

そう声をかけると、つかさは私の言葉に頷きながら

 

「そうだね。わたしは昨日の今日だから、つい、すぐにけいちゃんの所へ行ってもいいのかな~?って思っちゃってためらっちゃったけど、こなちゃんが大丈夫だって証明してくれたもんね。ゆきちゃん達はまだ踏ん切りつけれてないみたいだから、今日はわたし達が行ってあげるのもいいかもしれないね~。」

 

そんなつかさの言葉に私も頷いて

 

「そうね。慶一くんがまだ寂しい思いしてるのなら、私もそんな慶一くんの寂しさを紛らわせてあげたいし。」

 

そう言うと、つかさもうんうんと首を振りながら

 

「そうだよね。やろうよ、おねえちゃん。今日は2人でけいちゃんのとこ行こう。」

 

つかさのその言葉に私も頷きつつ

 

「そうね。とりあえず家に帰ったら慶一くんの家に向かう準備して行きましょ?場合によっては、こなた達みたいに泊まる事も考えつつ、ね。」

 

その言葉に笑顔で頷きながらつかさは

 

「わかったよ~。おねえちゃん。それで、どうする?けいちゃんに行くから、ってメールしとく?」

 

つかさのその言葉に私も少し考え込みつつ

 

「・・・そうね、今回は慶一くんをおどかしてあげる意味でも、予告しないで行きましょ。」

 

そんな私の提案に、つかさも頷いてくれたのだった。

 

その後私は学校が終わるまで、今日の事をずっと気にしつつ、つかさと家へと急いだのだった。

 

ゆたかside

 

昨日の慶一先輩のお見舞いの事で、私は、朝からみなみちゃん達に質問攻めにされていた。

 

「・・・ゆたか・・・慶一先輩の様子、どうだった・・・?」

「ゆーちゃん、先輩はまだ落ち込んでたっスか?」

「イチオウ、ワタシはケイイチにキをツカって、ヒヨリのイエにトまりにイくとイってイエをデてキマシタ。けど、ワタシもケイイチのコトはキニしていましたカラ、ヨウスがキニなっていましたヨ。」

「私も様子を見に行ってあげたい、って思うんだけどね・・・。でも皆と同じように私も気になってたから・・・で、どうなの?小早川さん。」

 

そんな皆に私は軽いため息を1つつきつつ

 

「やっぱりまだ、落ち込んでたよ、先輩。私先輩が眠っている時に先輩の部屋に入って寝顔みたんだけど、目元に涙の後があったんだよね・・・。それに私達が帰る頃には行かないでくれ、って私とこなたおねーちゃん抱きしめて泣きながらそう言ってたしね・・・。先輩、寂しそうだった・・・。」

 

そう答えると、皆も何やら落ち込みつつ

 

「・・・そう・・・まだ先輩の悲しみは癒えてはいないんだね・・・。」

「まあ・・・1日2日でどうなるって問題でもないっスよね・・・こればかりはやっぱり時間も必要みたいっスね・・・。」

「サビシイ、デスか・・・。ケイイチのタメにキをツカったつもりでしたが・・・ウラメにでましたかネ・・・。」

「寂しがってるのか・・・先輩、可愛そうね・・・。」

 

そんなみんなの様子を見ていて私も少し落ち込みそうになったけど、一緒に暗くなってちゃいけない、と思い、私は皆に

 

「ほら!だめだよ、皆しておちこんでちゃ!こういう時だからこそ、皆で先輩の為に出来る事考えようよ!きっとまだ、私達にも出来る事はあるはずだからさ。ね?みなみちゃん、田村さん、パティちゃん、若瀬さん。」

 

そんな風に励ます私に、皆は驚きの表情を見せていたけど、すぐに皆笑顔になって頷くのを見て、私も頑張らなくっちゃ、と思うのだった。

 

かがみside

 

とりあえず皆と別れて家へと帰った私達だったが、私の急いでいる様子を見たお父さんが

 

「おかえり、かがみ。何やら慌しいけど、何かあったのかい?」

 

そう聞いて来たので、私は頷いて

 

「うん。実は先日の慶一くんの一件でね、こなたが慶一君の家に様子見に行ったみたいなんだけど、慶一くん、まだ落ち込んでいるみたいなのよね。だから、今度は私とつかさで慶一くんを元気付けてあげようかなって思ってね。その準備をする為に早く帰って来たのよ。」

 

そう説明すると、お父さんは「ふむ・・・。」と顎に手をやって何事かを考え込んでいるみたいだったけど、やがて考えを纏めたらしく私に

 

「・・・その件は確かに森村君にとっても辛い事だったね・・・。よし、それなら、かがみ。お父さんにちょっと提案があるんだが・・・・・・というのはどうだろうか?」

 

そのお父さんの提案を聞いて、私は思わず驚いて

 

「え?お、お父さん、それ本気?」

 

そう聞き返すと、お父さんも頷いて

 

「ああ。かがみの事では彼には2度も危ない所を助けてもらってるからね。こういう時にこそ、恩は返すべき、そう思うからね。とりあえず、この事はお母さんとまつりにも話してくるよ。だからかがみは先に森村君の所へ行っていなさい。」

 

その言葉に私は、胸中複雑なものがあったが、それでも、その方が慶一くんにはいいかもしれないかな?と思い、お父さんの提案に乗る事にしたのだった。

 

そして、程なくして準備を終えた私はつかさに声をかけ、お父さんにも出かけると言って、家を出たのだった。

 

慶一side

 

柊家でかがみとただおさんがそんな話をしている頃、こなた達を学校に送り出し、今日も俺はゆっくりと心の整理をしつつ、休養を取っていた。

 

昼には昨日のこなたが作ってくれたチキンカレーを温めて食べて、改めてこなた達の行動にありがたさを感じていた俺だった。

 

「・・・やっぱりこなたのカレーは美味いな・・・半日寝かせて改めて食べてみたけど、さらに美味しさが増している気がする。そういえば、こなたは、前にカレーを家で作った時に何故か腐らせてしまって落ち込んでた、ってつかさから聞いた事あったよな・・・もう、あの頃から、大分経つんだなあ・・・。」

 

そう独り言を呟きつつ、当時を振り返って懐かしんでいる俺だったが、そんな事を考えていた時、またしても今の現状に寂しさを感じて落ち込む俺だった。

 

それから少しして、家の呼び鈴が鳴るのが聞こえたので、俺は玄関へと向かった。

 

そして、「はい、どちら様ですか?」そう言いながら玄関を開けると、そこにはかがみとつかさの2人が立っていたのだった。

 

俺は、玄関で少しだけバツの悪そうな顔をしているかがみとつかさに、驚いた表情を向けていたのだった。

 

かがみside

 

お父さんからの提案を受けて、私とつかさは先に慶一くんの家へとやってきた。

 

こなたはああ言ってくれてはいたけれど、やっぱりまだ少し緊張しつつ、私は慶一くんの家の呼び鈴を押すのだった。

 

少しして、「はい、どちら様ですか?」と言って慶一くんが出迎えてくれたのだけど、その顔にはまだ暗い影が見てとれたのを、私は少しだけ胸に痛みを覚えつつも感じたのだった。

 

その所為で少しバツの悪い表情になった事に気付いた私は、気を取り直すと

 

「おっす、慶一くん。昨日こなたから聞いたわよ?まだ落ち込んでるみたいだって。だから今日は私とつかさがあんたの様子を見に来てあげたわ。」

 

そう挨拶をする。

 

そして、そんな私に続いて、つかさも笑顔で

 

「こなちゃんから聞いたよ?けいちゃん、寂しがってたって。だから今日はおねえちゃんと一緒に居てあげたいな、って思ったんだよ?おねえちゃんもこなちゃんから、けいちゃんがまだ落ち込んでる、って聞いて、心配してたんだよ?」

 

と、またも天然で本音をばらすつかさに私は顔を赤くしつつ慌てながら

 

「つ、つかさ!あんたは余計な事言わないの!!」

 

そう咎めるが、つかさはよく分かっていない顔で頭に大きなハテナマークを浮かべていた。

 

私はそれを見て大きなため息を1つつくと

 

「・・・ま、まあ、とにかく。お邪魔するわね?つかさ、あんたもおいで?」

 

そう言ってつかさを呼ぶと、つかさも頷いて

 

「あ、まってよ、おねえちゃ~ん。」

 

慌てつつ私の後に付いてきたのだった。

 

慶一くんはそんな私たち姿を見て驚いたような表情を向けていたけど、ふっと顔に微笑みを浮かべると

 

「いらっしゃい、かがみ、つかさ。2人とも、ありがとな?」

 

そう言う慶一くんに私は思わず顔を赤くしながら

 

「ベ、別にいいわよ・・・。あんたのいない学校も、ちょっと張り合いないって思ってたからね。それに皆だってあんたの事心配してるんだから、早いとこ元気になってもらわなきゃこっちだって困るんだから。」

 

慶一くんから視線を外しつつそう言う私。

 

そして、つかさも慶一くんに笑顔を向けながら

 

「わたしもけいちゃんには早く元気になってもらいたいな、って思ったんだよ?だからおねえちゃんと一緒にけいちゃんの様子を見にきたの。あ、後ね、もう少ししたらもっと驚く事あるよ?だから、楽しみにしててね?」

 

そう言うつかさに私は再度慌てつつ

 

「しーっ!つかさ、まだ言っちゃだめよ。それじゃサプライズにもならないじゃない!」

 

そう言ってつかさの口を塞いだ。

 

そんな様子を頭にハテナマークを浮かべつつ見ている慶一くんに私は、大きな溜息を1つつきつつ

 

「・・・はあ・・・つかさが言っちゃったから仕方ないけど、まあ、そういう事だからさ、楽しみにしてて?」

 

そう言う私に慶一くんは頷いて

 

「何だかよく分からないけど、そういう事ならそうさせてもらおうかな?それじゃ2人とも、リビングへどうぞ。」

 

そう言って私たちをリビングへと誘導してくれたので、私達はそれに従ってリビングへと移動した。

 

「適当に座ってくれ。それと、今お茶入れてくるから。」

 

そう言って席を立とうとする慶一くんをつかさが

 

「いいよ、けいちゃん。その位の事は私がやってあげるよ。だから、今日はくつろいでてよ。」

 

そう言って慶一くんを制して立ち上がり、キッチンへと向かう。

 

慶一くんは何か言いたそうだったけど、私はそんな慶一くんに

 

「慶一くん。つかさはあんたの為に色々頑張りたいって言ってたから、今回はその気持を汲んであげてくれないかな?慶一くんは私達に悪い、って思うかもしれないけど、私達はその為に今日、ここに来たんだしね。」

 

そう説明する私に慶一くんは苦笑を浮かべていたが、やがて頷くと

 

「ありがとう。それじゃ、その・・・お言葉に甘えさせてもらうよ。」

 

そう言ってくれる慶一くんに私もほっとしたのだった。

 

慶一side

 

今回は何の予告もなしにやって来たかがみとつかさに驚いていた俺だったが、2人の俺を心配してくれる気持がありがたいと思った俺は、2人を受け入れつつ、あがってもらった。

 

その際につかさが言っていた”驚く事”というのが気になっていた俺だったが、とりあえずはそれを楽しみにしてみよう、と思うのだった。

 

(つかさの言う、”驚く事”ってのが気になるけど、とりあえずは、2人が来てくれた事は嬉しいな。寂しさ、か・・・俺ってこんなに弱い奴だったかなあ・・・。まあ、いいか・・・今は、今だけは、こんなでも・・・。)

 

そう考えつつ、お茶の準備をして戻って来たつかさを迎えて俺達は、ゆっくりとお茶タイムを楽しむのだった。

 

そうして、1時間ばかり経っただろうか?またしても家の呼び鈴が鳴る音が聞こえたので、俺は立ち上がって玄関へといこうとしたのだけど、その俺の行動をかがみが制して

 

「あ、慶一くん。あんたはここで座ってて?私が行って来るから。」

 

俺は、そんなかがみに何かを言おうと口を開きかけたのだが、すぐさま立ち上がったかがみが玄関へ向かって走って行く姿を俺は、ただ見送る事しかできなかった。

 

そして、何気につかさの方に視線を向けると、俺の視線に気付いたつかさは、にこにこしながら俺に笑顔を向けていたのだった。

 

そして、少しして、かがみが誰かを伴ってリビングに現れたのだが、俺はその人達を見て思わず驚きの声をあげたのだった。

 

「え?ただおさん、みきさん、まつりさんに、それに、いのりさんも・・・皆さん、一体何を・・・?」

 

混乱しつつそう言う俺に、ただおさん達はにこにこと俺に笑顔を向けていた。

 

かがみside

 

お父さんからの提案を受けて、私は先に慶一くんの家に行ってつかさと2人でお父さん達がやってくるまでの間、慶一くんの話し相手をしつつ、時間を稼いでいた。

 

しばらくすると、家の呼び鈴が鳴り、お父さん達がやって来た事に気付いた私は、お客さんに対応しようと席を立とうとした慶一くんを制して、お父さん達を出迎えに行く私だった。

 

そして、玄関に来て、私は「今あけるわ。」と言って玄関を開けると、そこにはお父さん達が立っていたのだった。

 

「待ってたわ。でも、つかさがうっかり余計な事言っちゃったから、サプライズも半減しちゃってるわよ?」

 

そんな私の言葉にお父さんは苦笑しつつ

 

「ははは、まあ、言ってしまったのなら仕方ないね。とりあえずお邪魔させてもらうとしようか。行くよ?みき、いのり、まつり。」

 

後ろに控える3人に声をかけると、3人とも苦笑しつつも家に上がり、私の後についてリビングへと向かうのだった。

 

そして、お父さん達を見た慶一くんは、凄く驚きの表情で

 

「え?ただおさん、みきさん、まつりさんに、それに、いのりさんも・・・皆さん、一体何を・・・?」

 

そう言うと、お父さんはにこにことしながら

 

「今回の事はかがみとつかさから聞いているよ。かなり大変だったみたいだね。私達も君には娘の事で大分世話になった。君がつらい今、私達は君への恩を返すチャンスだと思ったんだよ。だからこうして、家族揃ってやってきた、と言う訳なんだ。」

 

そう説明するお父さんの後に、お母さんも微笑みながら

 

「かがみからも森村君が今回の事で落ち込んで寂しがってる、って聞いたの。だから、今晩は、私達が森村君の家族になってあげようと思って来たのよ。」

 

そう言ったのだった。

 

まつり姉さんといのり姉さんもまた満面の笑顔を浮かべて

 

「そういう事だよ?だから森村君。今日はたっぷり私達に甘えていいんだよ?」

「ふふ。あの時みたいにまたまつり姉さん、って呼んでよね?今日は私は君のお姉さんになってあげるから。」

 

そう言う2人に私は呆れつつも軽いため息をついて

 

「・・・まったく姉さん達は、調子に乗ってくれちゃって・・・でも、まあ、そういう事よ。今日だけは私もあんたの家族。3つ子の兄妹って所かしらね?」

 

そう言う私につかさも満面の笑顔を浮かべつつ

 

「わたしとおねえちゃんとけいちゃんが兄妹なんて、なんだかおかしな気分だね~。でも、これで今日は寂しくないよ?けいちゃん。」

 

そう慶一くんに言うつかさを見ながら、慶一くんはまだ呆然と私達を見ていたが、その顔が徐々に歪んできたかと思うと、慶一くんは感極まったのか、涙を流し始めたのだった。

 

「あ、ありがとう・・・ございます・・・お、俺なんかの為に・・・皆さんにそんなにも気を使って・・・もらって・・・うぅ・・・嬉しいです・・・俺を家族と言ってくれて・・・嬉しいです・・・。」

 

泣きながら私達に自分の正直な気持を吐き出す慶一くんを見て、つかさもまたもらい泣きをして、私も、そんな慶一くんの姿に思わず泣きそうになったけど、私は気を取り直すと、慶一くんの側に行って

 

「ほらほら、泣かないの。今日は皆で側にいてあげるから、早く元気になってよね。」

 

そう言って慶一くんの肩をぽんぽんと叩く。

 

そんな私に慶一くんはうんうんと泣きながらも頷いて、そんな慶一くんを見たお母さんや姉さん達も慶一くんを抱きしめてあげて

 

「・・・つらかったわよね。でも今日は寂しくないから、だから、元気出してね?」

「今の君は1人じゃないわよ?だから、安心してよね?」

「可愛い弟の為に、私も今日は張り切らせてもらうよ?だから、頑張ってね?」

 

そう優しく言う3人に、慶一くんは悲しみを吐き出すように泣きつづけていたのだった。

 

慶一side

 

突然のただおさん達の家への訪問。

 

そして、それはかがみとつかさが俺の為に用意してくれた最高のサプライズと言えた。

 

次々に俺に暖かい言葉をかけてくれる皆さんの言葉が、気持がありがたくて、俺の今の境遇を考えた時、思わず俺は感極まって泣いてしまっていた。

 

そして、泣きながらお礼を言う俺に、みきさんといのりさんとまつりさんが俺を優しく抱きしめてくれながら、更にありがたい言葉をかけてくれた事が嬉しかった。

 

俺はみんなの気持に、心にとても暖かなものを感じながら、皆と一緒に今日は過ごす事となった。

 

あの後、みきさんやかがみ、つかさが食事の準備を始めた。

 

俺はその準備を任せつつ、ただおさん達にリビングでくつろいでいてもらう事にして、俺は食器等の準備を済ませた。

 

今日は久々にリビングでの食事となりそうだったので、食器類はすべてそこに持ってきて並べたのだった。

 

料理に関してはみきさん達に任せっきりだったいのりさん達も、食器運び等は手伝ってくれたので、思いの他早く準備が出来たのだった。

 

リビングでくつろぎながらテレビを見ていたただおさんが俺に

 

「森村君、中々立派なテレビだねえ。これはかがみ達が言ってた文化祭の時の奴なのかい?」

 

そう、聞いて来たので、俺は照れながら

 

「はは。そうです。文化祭の出し物で腕相撲がありまして、俺はそこで全勝してその景品であるそれを貰って来たんですよ。」

 

その言葉にまつりさんもあの時の事を思い出したのか、俺に

 

「お?ひょっとして私と森村君が文化祭で出会った日に取った奴?」

 

その言葉に頷く俺。

 

そんな俺に感心しつつ、いのりさんも

 

「中々やるじゃない、森村君。流石にあの龍也さんの義弟と言うだけはあるわね。」

 

その言葉に俺も笑いながら

 

「はは。龍兄のしごきも親父同様、きつかったですからね。鍛え込んだ結果って奴ですかね、いのりさん。」

 

そう言うと、いのりさんは俺の言葉に頷きながらも俺を睨んで

 

「・・・森村君?”いのりさん”じゃないでしょ?”いのり姉さん”よ?はい、やり直し。」

 

その言葉に俺は苦笑しつつ更に照れながら

 

「あ、その・・・えと・・・いのり・・・姉さん・・・。」

 

慌ててそう返すと、いのりさんは満足そうに笑顔で頷いて

 

「そうそう。それでいいのよ?さて、森村君。お風呂どこかな?軽く掃除してお湯はっておくから、場所教えてくれない?」

 

その言葉に俺はやや驚きつつ

 

「え?でも、その位の事なら俺が・・・。」

 

そこまで言いかけた時、いのりさんは俺の顔の前に人差し指を立てて

 

「今日は私達がやってあげる、って言ったはずよ?私達が何の為に今日、ここに来ているのか、忘れてもらっちゃ困るわね。」

 

そう言ういのりさんに俺はたじたじになりつつ

 

「わ、わかったよ。いのり姉さん。そこの廊下をでて・・・・・・です。それじゃその・・・お願いします、いのり姉さん。」

 

俺の案内を聞いて、笑顔で頷くと、いのりさんはお風呂の準備をしに行くのだった。

 

それと入れ替わりで入ってくるまつりさんが俺に

 

「あれ?森村君、いのり姉さんは?」

 

そう聞いて来たので俺は、いのりさんがお風呂の準備をしに行ったと伝えると

 

「そっかー。それじゃ私もちょっと手伝ってくるわ。森村君はお父さんと一緒にリビングで座ってのんびりしててよ。もうすぐ食事も出来上がるからさ。」

 

そう言うと、すぐさま部屋を出て行ってしまったのを、俺はただ見送る事しかできず、仕方ないのでただおさんと一緒にリビングで食事の出来上がるのを待つのだった。

 

そんな俺にただおさんはにこにこと笑いながら

 

「そういえば今年に入って、君のところでまつりとかがみを預かってもらった事があったね。あの時は助かったよ。改めてお礼を言うよ。」

 

その言葉に俺も照れながら

 

「い、いえ。俺もかがみやつかさにも色々とお世話になっていましたから、俺の出来る事ならば、って思っただけですよ。そんな大した事ではありません。」

 

そんな風に言う俺に、ただおさんは1つ頷くと

 

「うん。森村君、君に頼みがあるのだけど、いいかな?またあの時のような事があった時には君にお世話になりたいと思うが、構わないかい?」

 

そう言って来たので俺は恐縮しつつ

 

「え?でも、俺なんかでいいんですか?」

 

そう返すと、ただおさんは頷きながら

 

「君だから、かな?娘達を預けても心配ないって思えるからね。それに、いざとなったら娘達を護ってくれるのだろう?君なら。」

 

その言葉に俺は思わず力強く頷くと

 

「それは、当然です。俺にとっても大事な仲間であり友人であり、そして、護りたいと思える人達ですから・・・。」

 

とっさにそう言葉がでたのだが、その言葉にただおさんはにっこり笑いながら

 

「なら、大丈夫だね。これからも娘達の事をよろしく頼むよ。まあ、なるべくならそうならないように、私達も今回のくじで決まった旅行のようにあぶれるものが出ないようにはするつもりだけどね。」

 

そんなただおさんの言葉に俺も、ただただ苦笑していた。

 

ただおさんとの話をしていると、食事の準備が済んだのか、みきさん達が出来上がった料理を運んできた。

 

「はいはい、夕食が出来たわよ?席についてみんなで食事にしましょう。」

 

そう言って料理を並べるみきさんに続いて、かがみ達もそれぞれの料理を運んできた。

 

かがみは相変わらず味噌汁を頑張ったみたいで、今回も自信ありげだった。

 

つかさもサイドメニュー等を作ってきたようだった。

 

そして、今回並べられた料理は全員でつつける鍋料理、すき焼きだった。

 

全員に器を配り終えてそして、一晩だけの暖かい食事の幕開けとなった。

 

「・・・でね?こなちゃんが~・・・・・・。」

 

つかさが話しに夢中になって肉を食べれずにいたのを見かねて、かがみが

 

「ほら、つかさ。あまりおしゃべりに夢中になっていたらお肉なくなっちゃうわよ?ほら、私のを分けてあげるから。」

 

そう言って自分の取っていた肉をつかさに分けてやるかがみ。

 

かがみはつかさに肉を分けながらまつりさんといのりさんに

 

「もう!2人してお肉食べまくってたらつかさの分がなくなっちゃうじゃない!」

 

そう言うと、2人もまたそんなかがみに反論した。

 

「何よ、私達にそんな事言う割にはかがみだって食べまくってたじゃない?」

「そうだよ。自分の事棚に上げて私達だけにそんな事言うのはおかしいじゃん!」

 

そう返されると、かがみも顔を赤らめつつ黙り込んでしまった。

 

それを見かねたみきさんが

 

「ほらほら、3人ともケンカしないの!お肉はまだまだあるから心配ないわよ?」

 

そんな風に、かがみやまつりさん達、それに俺にもそう言ってくれるみきさん達を俺は、まるで夢心地でぼんやりと見つめていた。

 

そんな俺の様子に気付いたみきさんが俺に

 

「あら?どうしたの森村君。なんだかぼーっとしちゃってない?」

 

そう聞いて来たのを受けて俺は”はっ”と意識を戻して慌てつつ

 

「い、いえ、なんでもないです。ただ・・・こんな食事風景もいいもんだな、って思っちゃって・・・。」

 

顔を赤くしつつ照れながら俺がそう言うと、皆が俺の顔を見てそして、にっこりと笑ってくれたのを見て、俺は更に心が暖かくなるのを感じたのだった。

 

そんな、暖かな夕食を終えて、みきさんとかがみとつかさが食事の後片付けをしている間に、まつりさんといのりさんがお風呂へと行っていたので、俺はリビングでただおさんとくつろいでいた。

 

そして、まつりさんといのりさんが風呂からあがり、今度はかがみとつかさが風呂へと向かった。

 

リビングでくつろぐ俺にまつりさんといのりさんは

 

「ふう、いいお湯だったー。慶一、ありがとね?」

「慶一の所はお風呂も結構大きいからいいわよね。家もリフォームしてもう少し大きいお風呂にしたいわねー。」

 

と言う2人の風呂場に対する感想もそうだったが、ふいに俺を名前で呼び捨てにした2人に俺は目を丸くしつつ

 

「いや、満足してもらえたのならいいですが、その、2人とも俺の事名前で呼び捨てにしましたよね?ちょっと驚きましたが、一体どういう事なんです?」

 

そう尋ねてみると、2人とも少し不満な表情を見せつつ俺に

 

「慶一?今日は一晩だけとはいえ、私とあんたは姉弟なのよ?姉が弟を名前で呼ぶのは当然の事じゃない?」

「そうそう。あんたは私の弟なんだから別段おかしい事なんてないよ?」

 

そう答える2人に俺はひたすら照れていたのだった。

 

更にはみきさんも俺に

 

「慶一、私も先にお風呂いただくわ。私達が入った後はあなたもはいっちゃいなさい。」

 

と言われたので、俺は更にその言葉に驚く事となったのだった。

 

そして、みきさん、ただおさんもお風呂に入り、最後は俺の風呂の番になったので、風呂場へと向かった。

 

だが、更にここに、柊4姉妹の思惑がある事に俺は気付かないまま、風呂へ入る。

 

しばらく湯船につかりながら、俺は今日のかがみ達の言うサプライズを思い返していたが、ふいに風呂のドアが開いたと思ったら、そこには水着を着用した柊4姉妹が立っていた。

 

俺は一瞬何が起きたのかわからずに一時思考停止の状態に陥っていたが、状況を察すると、途端に顔を真っ赤にして

 

「ち、ちょ!いきなり何やってるんですか!4人とも!今は俺が入っているのであって、その、あの、だから・・・・・・。」

 

そう言って混乱しまくっていると、4人ともいたずらっぽい笑みを浮かべると

 

「ま、まあ、私はやめよう、って言ったんだけどさ。姉さん達が慶一くんの背中を流してあげよう、って言うから・・・。」

「あ、あはは。おねえちゃん達に押し切られちゃったよ・・・。でも、何かけいちゃんの為にがんばりたかったから・・・。」

「あの時温泉で皆で露天風呂に浸かったじゃない。水着も着てるし、お互いに肌をさらしてるんだから今更よ?」

「そうだよ?だからとっととあがったあがった。私達で慶一の背中を流すサービスだよ?じっくり堪能してねー?」

 

そんな4人の勢いに押されて俺は、仕方なくタオルを腰に巻いて湯船から上がると、4人に背中を流してもらうというとんでも体験をする事となったのだった。

 

風呂の熱気と恥ずかしさから何だかのぼせるような感じになってしまった俺だった。

 

そうして、物凄く疲れる入浴タイムを終えて俺は自分の部屋に戻り、ベットに倒れ込んでいた。

 

しばらくそうしていると、俺の部屋のドアをノックする音が聞こえたので俺は「・・・どうぞー。」と声をかけると、ドアを開けて入って来たのはかがみだった。

 

「慶一くん、まだ眠くないからちょっと遊びにきちゃった。慶一くんもまだ寝ないわよね?」

 

そう言うかがみに俺も頷いて

 

「ああ。まあ、確かにかなり疲れる事になったけど、不思議とまだ眠くはなってないからな。それで、どうするんだ?」

 

そう尋ねると、かがみは新刊のラノベを取り出して

 

「新しいの手にいれたから、読まない?眠くなるまでさ。」

 

そんなかがみの提案に俺も乗る事にした。

 

「わかった。しばらく読んでるとするか。」

 

そう言うと、かがみも満面の笑顔で頷いたのだった。

 

そして、しばらくは2人してラノベを一緒に読んでいたが、気付くとかがみはまた、俺の隣に座ってラノベを読んでいた。

 

あの時は照れていた俺だけど、今はそんな風にかがみが俺の側に居てくれる事が嬉しかったから、俺も自然とその形を受け入れる事ができた。

 

そうしているうちにかがみは俺に

 

「・・・ねえ、慶一くん。今日は色々慌しくなっちゃったわよね?今回の事はお父さんが提案してくれた事だけどさ、正直私も不安だったわ。慶一くんはまだ牧村君の事で傷ついている。そんな状況の中で、慶一くんの寂しさを紛らわせる為とはいえ、ちょっとやりすぎちゃったんじゃないかな?って不安に思ってた。慶一くんを励ましてあげたい気持は確かにあったの。でも、本当によかったのかな?ってつい考えちゃうのよね・・・。」

 

そんな風に言いながら、不安げな目を俺に向けてくるかがみの頭にぽんと手を乗せると

 

「・・・確かに色々驚かされたり、慌しかったり、って言うのはあったさ。でも、俺は凄く嬉しかった。一晩だけのかりそめの家族だったけど、俺は、いなくなってしまった自分の両親の姿をただおさんとみきさんの中に見たような気がした。そして、俺を弟と呼んでくれるまつりさんといのりさんの気持も、俺の為に一生懸命になってくれるつかさも、そして、こうやって俺の為に気を使ってくれるかがみも、みんなみんな、俺の為に、って思ってくれる気持を感じたら、凄く嬉しくなった。俺は瞬を失って不幸だと思っていた。でも、それ以上に俺に幸せをくれる皆に感謝してるんだ。だから、かがみも胸をはってくれ。俺にこんなにも幸せな気持を与えてくれたきっかけをかがみが作ってくれたんだからさ。」

 

かがみを安心させるように俺は、優しい言葉をかがみにかけた。

 

かがみはそんな俺の言葉を聞いて、自分のした事が改めて間違っていなかった事に対する安堵感と嬉しさで少しだけ涙ぐみつつ

 

「・・・よかった。私もあんたの役に立てたのね?あんたを元気付ける事ができたのね?嬉しいな・・・誰かの役に立てるっていうのはこんなにも嬉しい気持になるのね・・・。」

 

そんな風に言うかがみに俺も笑顔で頷き、そんな俺にかがみもまた笑顔で頷いてくれた。

 

そうして、一晩だけの家族タイムは幕を下ろしたのだった。

 

次の日、大学に向かうまつりさん、仕事に向かういのりさん、そして、神社へと戻るみきさんただおさん、学校へ向かうかがみとつかさを俺は見送った。

 

柊一家を見送りながら俺は、一晩の幸せだったけど、決してこの事は忘れないと心に誓いながら、自分の心が更に癒された事を感じていたのだった。

 

(かがみとつかさの来訪から、あんな事になったけど、凄く嬉しかった。柊家の人達の気遣いと暖かさは本当にどれだけお礼を言っても足りない程に、俺に力をくれたな・・・。俺も頑張らないと・・・俺を励ましてくれた皆の気持に応えて、一日も早く元気にならなくっちゃな・・・。)

 

今日も1人になった時に俺は心の中でそう考えていたのだった。

 

かがみside

 

最初は私とつかさだけで慶一くんを励ましに行く予定が、何だか凄い事になってしまった。

 

私はその事に不安を感じていたけれど、慶一くんはそんな私の不安を吹き飛ばすように、私を安心させてくれる言葉をくれたのだった。

 

学校に行く時に見た慶一くんの顔は昨日よりも元気そうに見えて、今回の試みは成功だったかも、と密かに思っていた私だった。

 

そして、私は学校に向かいながら

 

(いきなり家族で押しかける事になったけど、慶一くんが喜んでくれてよかったかな。昨日見た時よりも慶一くんの顔に元気が戻っているのが見て取れたから、私もちょっと安心かな。今回、私もあいつの役に立てたみたいだし、後は、あいつが学校に戻って来てくれることを祈るばかりね。まあ、あの状況なら大丈夫かな?慶一くん、私達あんたを待ってるから、早く元気になってよね。)

 

そう考えていたのだった。

 

つかさside

 

おねえちゃんと一緒にけいちゃんを励ましてあげたくて、けいちゃんの家に行ったわたし達だったけど、そこにお父さん達も一緒に来る事になって、わたしは驚いていたのだった。

 

それでもけいちゃんは、そんなわたし達を受け入れてくれて、その日は一晩だけの家族になったわたし達だった。

 

色々とどたばたしちゃったけど、それでも次の日の朝にはけいちゃんは昨日よりも元気な顔を見せてくれたので、わたしもほっとしていた。

 

おねえちゃんと一緒に学校に向かいながら

 

(最初はわたし達だけだだったのに、急にお父さん達も来ることになったからわたしも驚きだったよ~。でも、けいちゃん、喜んでくれてたからよかったな・・・。けいちゃんには元気な姿でわたし達の前に戻って来てほしいから、その為に役に立ててよかったよ・・・。まだけいちゃんは学校には来れないけれど、きっとすぐに戻ってくるよね。わたし、待ってるよ?けいちゃん。元気な顔見せてくれるのを。だから、頑張ってね?)

 

そう、心の中で考えつつ、私はおねえちゃんに

 

「ねえ、おねえちゃん。」

 

そう声をかけると、おねえちゃんも私に振り向いて

 

「何よ?つかさ。」

 

そう言って来たので、私は

 

「最初はどうなる事かと思ったけど、けいちゃん、喜んでくれたみたいでよかったよね。」

 

その言葉におねえちゃんも微笑みながら

 

「そうね。お父さん達も行く事になってちょっとやりすぎかも、って私も内心不安だったけど、慶一くんは嬉しかった、って言ってくれたから、私もほっとしたわ。」

 

その言葉にわたしも嬉しくなって

 

「そっか~。けいちゃん、早く元気になるといいね~、おねえちゃん。」

 

にこにこしながらそう言うと、おねえちゃんも少し顔を赤くしながら

 

「・・・そうね。あいつには早く学校に戻って来て欲しいし、それに・・・あいつが居て、私たちが居てが本当の在るべき姿だって思うから・・・だから、あいつが早く学校に戻って来れるように祈ってましょ?つかさ。」

 

そんなおねえちゃんの言葉に、わたしも大きく頷くのだった。

 

わたしはおねえちゃんと話しながら、わたし達の願いはそう遠くないうちに叶うと確信していた。

 

そして、同時にみんなと一緒に笑っているわたし達のビジョンも見えたような気がした。

 

わたしはそのビジョンを胸に、今日も1日頑張っていこう、と気合を入れなおしたのだった。

 


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